JP4161287B2 - 導電性樹脂組成物とその製造方法および用途 - Google Patents

導電性樹脂組成物とその製造方法および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属被覆を設けた短繊維を基体樹脂に混合することによって導電性を有するようにした導電性樹脂組成物に関する。本発明においては、樹脂に混合する金属被覆短繊維の被覆強度が大きいので優れた導電性を長期間安定に保つことができ、かつ軽量で製造コストが低く、成形の容易な導電性樹脂組成物を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、基体となる樹脂に導電性の充填材を混合して導電性樹脂組成物が製造されている。この導電性充填材としては、導電性金属やその合金、金属酸化物等の導電性化合物からなる粉体や繊維体などが用いられている。ところが、導電粉や金属粒子を用いたものは樹脂中でこれらが相互に接触した状態にするためには比較的多量に用いる必要があり、樹脂組成物の重量が増す。しかも粉体や粒状物は接触面積が大きくないので多量に用いても高い導電性を得るのは難しいと云う問題がある。一方、金属繊維は相互に絡み合って接触状態を保つので金属粉よりは少ない使用量で足りるが、金属繊維自体が樹脂より重いのでこれを配合した樹脂組成物の重量も大きくなる。さらに、金属繊維は樹脂繊維より柔軟性に乏しいので、金属繊維の配合量が多くなると樹脂組成物の柔軟性および耐久性が損なわれる。別の手法として、ウイスカー状(針状結晶)の金属を用いる例も従来知られていたが、微細な金属繊維や金属ウイスカー、針状金属酸化物などは呼吸器官に吸引されて重大な障害を引き起こすことが問題となり、最近では殆ど使用されていない。
【0003】
また、従来の金属被覆を有する樹脂繊維は被覆強度が十分ではなく、通常の単繊維と混紡すると、加工の際に金属被覆が剥離したり、あるいは混紡後にも経時的に金属被覆が剥離して導電性が低下する問題があり、実用に適うものが得られていない。さらに、均一な金属被覆を有する長繊維は製造コストが高い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来の導電性樹脂組成物における上記問題を解決したものであり、被覆強度の大きな金属被覆を有する短繊維を用い、これを基体樹脂に練込または混合することにより、優れた導電性を有し、しかも導電性が長期間安定に維持される導電性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(1)金属被覆を有する短繊維を樹脂に混合して導電性を有するようにした樹脂組成物であって、金属被覆短繊維が基体繊維の表面に金属被覆を設けた後に該基体繊維の結晶化温度以上および融解温度未満の温度で加熱処理したものであることを特徴とする導電性樹脂組成物に関する。
【0006】
本発明の導電性樹脂組成物は、(2)金属被覆短繊維の混合量が1質量%以上〜50質量%以下である導電性樹脂組成物、(3)金属被覆短繊維が互いに接触するように樹脂組成物中に混合されている導電性樹脂組成物、(4)基体繊維としてアクリル系繊維、ナイロン系繊維、またはポリエステル系繊維を用い、この基体繊維表面に金属被覆を設けた後に、基体繊維の種類に応じて120℃〜250℃の加熱処理を施してなる金属被覆短繊維を樹脂に混合してなる導電性樹脂組成物、(5)基体繊維として高強度ナイロン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維、ポリカーボネート系繊維、またはアラミド系繊維を用い、この基体繊維表面に金属被覆を設けた後に、高強度ナイロン系繊維については200〜500℃、ポリフェニレンサルファイド系繊維については200〜300℃、ポリカーボネイート系繊維については200〜300℃、アラミド系繊維については250〜350℃の温度で加熱処理した金属被覆短繊維を樹脂に混合してなる導電性樹脂組成物、(6)上記金属被覆短繊維が、金属被覆を設けて加熱処理した長繊維を短繊維に加工したもの、あるいは短繊維にした後に金属被覆を設けて加熱処理したものである導電性樹脂組成物、(7)上記金属被覆短繊維の長さが0.1mm〜10cmである導電性樹脂組成物、(8)上記金属被覆短繊維と共に添加材が配合されている導電性樹脂組成物、(9)上記金属被覆短繊維が金属被覆の表面にケイ素化合物またはチタン化合物の被覆層を有している導電性樹脂組成物を含む。また本発明は、(10)上記(1)〜(9)の何れかに記載する導電性樹脂組成物によって製造された導電性繊維、導電性塗膜、導電性フィルム、導電性ネット、導電性筺体、または導電性成形体に関する。
【0007】
さらに、本発明は、(11)基体繊維の表面に金属被覆を設けた後に該基体繊維の結晶化温度以上であって融解温度未満の温度で加熱処理し、基体繊維が長繊維のものはこれを切断して金属被覆短繊維とし、あるいは基体繊維が短繊維のものは金属被覆の形成とその後の上記加熱処理によって金属被覆短繊維とし、この金属被覆短繊維を基体樹脂に練り込むことを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法に関する。この製造方法は(12)上記 ( ) 〜上記 ( ) の何れかに記載する導電性樹脂組成物を、繊維状、フィルム状、ネット状、筺体、または他の形状に成形することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法を含む。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り質量%である。
本発明に係る導電性樹脂組成物は、金属被覆を有する短繊維を樹脂に混合して導電性を有するようにした樹脂組成物であって、金属被覆短繊維が基体繊維の表面に金属被覆を設けた後に該基体繊維の結晶化温度以上および融解温度未満の温度で加熱処理したものであることを特徴とするものである。好ましくは、金属被覆短繊維は互いに接触するように基体樹脂に混合されている。
【0009】
金属被覆を有する短繊維の基体となる繊維(基体繊維と云う)としては、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ナイロンなどの高分子材料を主成分とした合成繊維、木綿などの天然繊維、レーヨンなどのセルロース系繊維、これらの複合繊維などが挙げられる。このうちポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維などの合成繊維に金属被覆を設けたものは被覆強度が従来のものより格段に高い。
【0010】
さらに、本発明は基体繊維として高強度ナイロン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維、またはポリカーボネート系繊維を用いたものを含む。高強度ナイロン系繊維とはザイロンの商品名で市販されている高重合ナイロン繊維などである。これらの繊維は高重合体であり溶融温度が高く耐熱性に優れており、この基体繊維を用いた金属被覆炭繊維を配合した導電性樹脂は高温環境下での使用に適する。なお、この他のエンジニアプラスッチクからなる繊維を用いることができる。
【0011】
基体繊維の表面に設ける金属被覆は、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、亜鉛、白金、オスミウム、パラジウム、またはこれらの合金の一種または二種以上からなる導電性金属を用いることができる。また、この金属被覆は異なる二種以上の金属を積層したものでも良い。なお、被覆方法ないし手段は限定されない。電解メッキや化学(無電解)メッキ、あるいは真空蒸着などを利用することができる。基体繊維表面に電解メッキあるいは化学メッキなどによって上記金属の被覆を設けると良い。なお、金属被覆を設ける際に、予め繊維体表面をアルカリ等によってエッチング処理し、粗面化すれば被覆されるメッキ金属がこの繊維体表面の粗面に入り込んでアンカー効果を発揮するので好ましい。
【0012】
上記金属被覆は、その表面にオレンジピールを有するものが好ましい。金属被覆がオレンジピールを有することによって密着強度が向上する。オレンジピール(orange peel)とはオレンジの皮に似た状態であって、表面粗さが概ね0.01〜1μmの表面状態を云い、ユズ肌ないし梨地肌と称されている。金属被覆の層厚が概ね数百ナノメータ(nm)以下であるとき、金属被覆がオレンジピールを有するものは被覆の裏側まで粗面状態になっており、基体繊維の表面がこの粗面状態の金属被覆裏面に入り込んでアンカー効果を発揮するので基体繊維と金属被覆との接着強度が向上する。さらに、これを基体樹脂に練り込んだときに、金属被覆短繊維表面と基体樹脂との間でアンカー効果が生じ、基体樹脂に対する密着性が向上する。
【0013】
金属被覆繊維は、好ましくは、金属被覆を設けた後に基体繊維の結晶化温度以上および融解温度未満の温度範囲で加熱処理することによって基体繊維の組織を整え、具体的には、例えば基体繊維の再結晶化を進め、金属被覆の被覆強度を格段に高めると共に加熱による収縮を大幅に抑制することができる。
【0014】
一般に、ポリエステル、ナイロン、ポリアクリル等の合成繊維を加熱すると、加熱温度に応じてガラス転移、結晶化、融解(溶融)と次第に状態が変化し、多くの場合にはガラス転移によって軟化し、続いて結晶化の段階で大きく収縮する。金属被覆繊維をその繊維の結晶化温度以上に加熱すると、繊維が軟化し、繊維表面が金属被覆の接触面の微細な凹凸に入り込み、アンカー効果によって金属被覆と繊維との密着性が向上し、大きな被覆強度を得ることができる。
【0015】
ポリエステル、ナイロン、ポリアクリル等について、加熱温度は概ね120℃〜250℃が適当である。具体的には、例えば、ポリエステル繊維については170〜240℃、ナイロン繊維については110〜180℃、アクリル繊維については150〜200℃が適当である。
【0016】
高強度ナイロン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維、およびポリカーボネイート系繊維は何れも耐熱性繊維であり、溶融温度が高いので、例えば、高強度ナイロン系繊維については200〜500℃、ポリフェニレンサルファイド系繊維については200〜300℃、ポリカーボネイート系繊維については200〜300℃、アラミド系繊維については250〜350℃の温度で加熱処理するのが好ましい。
【0017】
この加熱処理においては、繊維体が十分に軟化するように昇温後の温度を5〜200分程度保持するのが好ましい。なお、加熱温度が基体繊維の融解温度を上回ると繊維全体が溶融して結晶性が低下すると共に繊維体が崩れて金属被覆を保持できなくなるので好ましくない。
【0018】
金属被覆繊維を加熱処理することにより、冷却する過程で基体繊維の組織が整えられ被覆強度が向上する。例えば、加熱により繊維の分子配列が揃って結晶化し、金属被覆に密着した状態で繊維体が収縮し、徐冷工程で金属被覆が基体繊維との一体性を保って収縮することにより被覆強度が向上する。また、このような加熱冷却処理によって被覆強度が向上すると共に非伸縮性を有するようになる。一般に合成繊維は結晶化温度以上に加熱されると結晶構造が変化するので熱収縮を生じることが多いが、以上のような加熱処理を施せば基体繊維の結晶構造が整えられるので、その後に加熱しても結晶構造が変化し難く、熱収縮を殆ど生じない。さらに、加熱処理を施すことによって、より低い電気抵抗値を有するものを得ることができる。
【0019】
加熱処理手段は加熱炉、熱風炉などの他に赤外線による加熱でも良い。また、メッキ槽内での加圧水蒸気による加熱処理でも良い。加熱処理雰囲気は空気中でも良いが、金属被覆の酸化による変色を防止するには、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で加熱処理するのが好ましい。
【0020】
金属被覆繊維は、以上の加熱冷却処理を行うことにより、規格(JIS L 0849)に基づく被覆の剥離強度試験において4等級以上の剥離強度(単に4等級以上の強度と云う)を有することができる。因みに、上記規格試験は繊維体や布の染色堅ろう度を示す試験であり、汚染度の高い順(付着性の低い順)に1等級から5等級までの基準が定められており、5等級の汚染度が最も低く、従って染色の密着性が最も高い。
【0021】
本発明で用いる金属被覆短繊維は、基体繊維として長繊維を用い、これに以上のような金属被覆を設けた後に加熱処理し、これを切断して短繊維にしたもを用いることができる。または基体繊維として予め長繊維を切断した短繊維を用い、この短繊維に金属被覆を設けて加熱処理したものを用いることができる。具体的には、例えば、切断して短繊維にした基体繊維を無電解メッキ槽に装入し、攪拌しながら無電解メッキを施す。短繊維に金属被覆を設けたものは、繊維の端面まで金属被覆が施されるので、金属被覆どうしの接触状態が良く、これを樹脂に混合したときに優れた導電性を得ることができる。
【0022】
金属被覆短繊維は、一般的な合成樹脂に混練する場合には、繊維の直径が1μm以上〜100μm以下程度であって、繊維長さが0.1mm〜10cm、好ましくは1mm〜10mmが適当である。繊維長さが0.1mm未満では繊維相互の接触が少なくなる。また繊維長さが10cmを上回ると樹脂へに混合する際に、繊維相互の絡み合いが過剰になり、繊維が樹脂中で均一に分散し難くなる。
【0023】
金属被覆短繊維は、金属被覆の表面にパラフィンやワックスによる防錆処理ないしオイル処理(オイリング)などを施したものでも良い。基体樹脂に混合した金属被覆短繊維が部分的に外部に露出している場合、この防錆処理等によって金属被覆を防錆し、長期間安定に導電性を維持することができる。表面処理剤の使用量は金属の種類や加熱冷却処理の条件等にもよるが、概ね0.1〜20%の範囲が有効である。
【0024】
また、この金属被覆短繊維は金属被覆表面にシリカやチタニアなどによる保護被覆を有するものを用いることができる。この表面保護被覆はケイ素やチタンのアルコキシド溶液を金属被覆表面に塗布し、これを乾燥し焼成することによって形成することができる。なお、この場合、基体繊維は先に加熱処理されて結晶組織が整えられているので、先の加熱処理と同程度の温度で焼成しても基体繊維の結晶組織は崩れない。因みに、例えば、ポリエステル繊維については約240℃以下、ナイロン繊維については約180℃以下、アクリル繊維については200℃以下の温度で焼成処理すれば良い。一方、金属被覆を設けた後に加熱処理を行わずにケイ素化合物被覆またはチタン化合物被覆を設け、この焼成処理時に基体繊維の加熱処理を同時に兼用して行っても良い。金属被覆表面にシリカやチタニアなどによる保護被覆を設けることにより、金属被覆短繊維が部分的に外部に露出している場合でも、この保護被覆によって金属被覆が防錆され、長期間安定に導電性を維持することができる。なお、これらの被覆を設けても膜厚がナノメータ(nm)程度であれば電気特性には影響がない。
【0025】
上記金属被覆短繊維を混合する基体の樹脂(基体樹脂と云う)はアクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネイト、ポリイミド、フェノール、メラミンなど各種の樹脂を用いることができる。この基体樹脂中に金属被覆短繊維を混合する。具体的には、例えば基体樹脂中に金属被覆短繊維を練り込み導電性樹脂組成物を製造する。なお、金属被覆短繊維は樹脂組成物中で互いに接触するように混合されている状態が好ましい。
【0026】
基体樹脂に対する金属被覆短繊維の混合量は、その繊維長さや目的とする導電性の程度にもよるが、導電性樹脂組成物全体の1〜50%が適当であり、通常は20%程度の混合量で十分な導電性を得ることができる。なお、金属被覆短繊維の混合量が80%より多いと裂け性、剥離性が強くなる。また、基体樹脂として透明樹脂を用いた場合、これに配合した金属被覆短繊維の白色または金属色が透けて見える導電性樹脂組成物を得ることができる。例えば、銀、白金、ニッケルなどの白色系の金属被覆を設けたものは白色度の高い導電性樹脂組成物を得ることができる。
【0027】
本発明の導電性樹脂組成物は、金属被覆短繊維と共に他の添加材を配合したものでも良い。この添加材としては基体樹脂の可塑性等を調整するシリカ粉末などや、樹脂に加えられる一般的な添加材などが挙げられる。
【0028】
本発明の導電性樹脂組成物は導電性繊維、導電性塗膜、導電性フィルム、導電性ネット、導電性パイプ、導電性筺体、あるいは他の成形体や積層樹脂、樹脂塊など種々の形状に成形することができる。本発明の導電性樹脂組成物は織布または不織布などの布地材料や編物材料、電磁波シールド材、無塵服や手袋、靴、カバー、作業衣など静電防止材料、あるいは電極や電線の代替材料の原料として用いることができる。例えば、金属被覆短繊維を基体樹脂に練り込んで筺体状に成形したものは導電性があるので、パソコンなどの電子機器の外枠として利用すれば電磁波シールド、静電気防止機能等を発揮することができる。また、薄いフィルム状に加工すれば、導電性フィルムとしてやはり電磁波シールド材や静電気防止のカバー、包装材等として利用することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に示す。なお、各例において、金属被覆短繊維はは各表に示す高分子材料からなる繊維(150デニール)を0.1〜5cmの長さに切断して短繊維とし、以下の処理工程(イ)〜(ヘ)を経て金属被覆短繊維を製造した。
(イ)脱脂処理:脱脂液(エースクリーンA-220:奥野製薬工業社製品)の5%溶液を55℃でメッキ槽に5分間循環させた後、イオン交換水を通じて十分に洗浄した。
(ロ)アルカリ処理:脱脂処理後に20wt%水酸化ナトリウム溶液を70℃でメッキ槽に20分間循環させ、さらにイオン交換水を通じて十分に洗浄した後に5%濃塩酸溶液を室温でメッキ槽に2分間循環させた。
(ハ)活性化処理:アルカリ処理後に濃塩酸溶液と塩化パラジウム混合溶液(キャタリストC:輿野製薬工業社製品)をメッキ槽に室温で3分間循環させた後にイオン交換水を通じて十分に洗浄した。さらに10wt%硫酸溶液をメッキ槽に45℃で3分間循環させて活性化した。
(ニ)第一層金属被覆の形成:以上の前処理によって短繊維の表面に触媒を付着させた後に銀、ニッケル、銅の各メッキ液に短繊維を浸漬し、無電解メッキによって下地の第一層金属被覆を形成した。
(ホ)第二層金属被覆の形成:第一層金属被覆を有する短繊維をさらに金、銀、銅の各メッキ液に浸し、無電解メッキにより二層目の金属被覆を形成した。
(ヘ)加熱処理:以上の工程を経て製造した金属被覆短繊維の一部を電気炉に装入し、短繊維の結晶化温度以上および融解温度未満の温度条件で加熱し処理した。
【0030】
〔実施例1〜3〕
表1〜3に示す金属被覆短繊維を基体樹脂(ポリエステル、アクリル、ナイロン)に混合して導電性樹脂組成物を得た。この導電性樹脂組成物について、基体樹脂との親和性、金属被覆の剥離割合、腐蝕の程度、白色度(L値)などを測定し、この結果を製造条件と共に表1〜表3に示した。一方、比較基準として、ITO粉末を基体樹脂に混合した導電性樹脂組成物について同様の値を測定した結果を表1〜3に併記した。なお、基体樹脂との親和性を示すものとして、金属被覆の剥離のある無しを記載している。この親和性は金属被覆短繊維の形状、太さ、表面状態、製造手段などによって左右されるが、実施例で表記したものは表面状態が非結晶または結晶化したものであり、金属被覆短繊維の太さは均等で1〜100μm、形状は同一である。
【0031】
表示する結果から明らかなように、本発明の導電性繊維体は金属被覆の剥離割合が格段に少なく、従って安定な導電性を有している。また、金属量が少なく軽量でありながら長期耐食性に優れている。また、非結晶(非加熱)と結晶化(加熱処理)の比較では、結晶化したものの親和性が高く、剥離が生じていない。これは金属被覆表面が加熱処理によって親和し易くなったためと考えられる。
【0032】
〔実施例4〜7〕
基体繊維として高強度ナイロン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリカーボネイト繊維、アラミド繊維を用いたほかは実施例1〜3と同様にして金属被覆短繊維を製造し、これを基体樹脂(ポリエステル、アクリル、ナイロン)に混合して導電性樹脂組成物を製造した。この導電性樹脂組成物について、基体樹脂との裂け回数、金属被覆の剥離割合、腐蝕の程度、白色度(L値)などを測定し、この結果を製造条件と共に表4〜表7に示した。これらの結果も実施例1〜3と同様の傾向を示した。
【0033】
〔実施例8〜実施例14〕
表8〜表14に示す高分子材料からなる基体繊維に上記メッキ処理(イ)〜(ニ)(ヘ)を施して金属被覆短繊維を製造し、この金属被覆短繊維を基体樹脂(ポリエステル、アクリル、ナイロン)に混合して導電性樹脂組成物を得た。この導電性樹脂組成物について表面電気比抵抗値を測定した。この結果を製造条件と共に表8〜表14に示した。一方、比較基準として、ITO粉末を基体樹脂に混合して製造した導電性樹脂組成物について同様に測定した値を表8〜表14に同時に示した。表示する結果から明らかなように、本発明の導電性樹脂組成物は従来の金属酸化物を用いた導電性樹脂組成物よりも格段に優れた導電性を有している。
【0034】
〔実施例15〕
表15に示す基体繊維を用い、表示する条件に従って金属被覆を設けて金属被覆短繊維を製造した。この金属被覆短繊維を基体樹脂(ポリエチレン、ポリカーボネート)に混練して分散させ、加熱プレスしてフィルム状に成形した。このフィルムについて表面電気抵抗値を測定した。また、金属剥離、裂けの発生を調べた。この結果を表16に示した。
【0035】
【発明の効果】
本発明の導電性樹脂組成物体は、被覆強度の大きな金属被覆を有する短繊維を用い、これを基体樹脂に練り込むので優れた導電性を有し、しかも導電性が長期間安定に維持される。また、短繊維は樹脂中で相互に絡みあって接触するので、比較的少量で優れた導電性を得ることができる。さらに金属被覆短繊維は金属被覆が安定であり、金属量が少なく軽量でありながら長期耐食性に優れた導電性を有する。また金属被覆短繊維を基体樹脂に練り込み時の金属被覆の剥離が防止され、高品質の製品を得ることができ、さらに、製造コストを抑えることができる。また、高強度ナイロン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維、ポリカーボネイート系繊維を基体繊維に用いたものは耐熱性に優れるので高温下での使用に適する。また、これら金属被覆は一層でも二層でも実施例と同様に比抵抗が9×105Ω以下の導電性を得ることができる。
【0036】
【表1】
Figure 0004161287
【0037】
【表2】
Figure 0004161287
【0038】
【表3】
Figure 0004161287
【0039】
【表4】
Figure 0004161287
【0040】
【表5】
Figure 0004161287
【0041】
【表6】
Figure 0004161287
【0042】
【表7】
Figure 0004161287
【0043】
【表8】
Figure 0004161287
【0044】
【表9】
Figure 0004161287
【0045】
【表10】
Figure 0004161287
【0046】
【表11】
Figure 0004161287
【0047】
【表12】
Figure 0004161287
【0048】
【表13】
Figure 0004161287
【0049】
【表14】
Figure 0004161287
【0050】
【表15】
Figure 0004161287
【0051】
【表16】
Figure 0004161287

Claims (12)

  1. 金属被覆を有する短繊維を樹脂に混合して導電性を有するようにした樹脂組成物であって、金属被覆短繊維が基体繊維の表面に金属被覆を設けた後に該基体繊維の結晶化温度以上および融解温度未満の温度で加熱処理したものであることを特徴とする導電性樹脂組成物。
  2. 金属被覆短繊維の混合量が1質量%以上〜50質量%以下である請求項1の導電性樹脂組成物。
  3. 金属被覆短繊維が互いに接触するように樹脂組成物中に混合されている請求項1または2の導電性樹脂組成物。
  4. 基体繊維としてアクリル系繊維、ナイロン系繊維、またはポリエステル系繊維を用い、この基体繊維表面に金属被覆を設けた後に、基体繊維の種類に応じて120℃〜250℃の加熱処理を施してなる金属被覆短繊維を樹脂に混合してなる請求項1、2または3の導電性樹脂組成物。
  5. 基体繊維として高強度ナイロン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維、ポリカーボネート系繊維、またはアラミド系繊維を用い、この基体繊維表面に金属被覆を設けた後に、高強度ナイロン系繊維については200〜500℃、ポリフェニレンサルファイド系繊維については200〜300℃、ポリカーボネイート系繊維については200〜300℃、アラミド系繊維については250〜350℃の温度で加熱処理した金属被覆短繊維を樹脂に混合してなる請求項1、2または3の導電性樹脂組成物。
  6. 上記金属被覆短繊維が、金属被覆を設けて加熱処理した長繊維を短繊維に加工したもの、あるいは短繊維にした後に金属被覆を設けて加熱処理したものである請求項1〜5の何れかに記載する導電性樹脂組成物。
  7. 上記金属被覆短繊維の長さが0.1mm〜10cmである請求項1〜6の何れかに記載する導電性樹脂組成物。
  8. 上記金属被覆短繊維と共に添加材が配合されている請求項1〜7の何れかに記載する導電性樹脂組成物。
  9. 上記金属被覆短繊維が金属被覆の表面にケイ素化合物またはチタン化合物の被覆層を有している請求項1〜8の何れかに記載する導電性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載する導電性樹脂組成物によって製造された導電性繊維、導電性塗膜、導電性フィルム、導電性ネット、導電性筺体、または導電性成形体。
  11. 基体繊維の表面に金属被覆を設けた後に該基体繊維の結晶化温度以上であって融解温度未満の温度で加熱処理し、基体繊維が長繊維のものはこれを切断して金属被覆短繊維とし、あるいは基体繊維が短繊維のものは金属被覆の形成とその後の上記加熱処理によって金属被覆短繊維とし、この金属被覆短繊維を基体樹脂に練り込むことを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜請求項9の何れかに記載する導電性樹脂組成物を、繊維状、フィルム状、ネット状、筺体、または他の形状に成形することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
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