JP2859215B2 - 高電磁波シールド性複合シートの製造方法 - Google Patents

高電磁波シールド性複合シートの製造方法

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JP2859215B2
JP2859215B2 JP8198010A JP19801096A JP2859215B2 JP 2859215 B2 JP2859215 B2 JP 2859215B2 JP 8198010 A JP8198010 A JP 8198010A JP 19801096 A JP19801096 A JP 19801096A JP 2859215 B2 JP2859215 B2 JP 2859215B2
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fibers
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明方法は、すぐれた電磁
波シールド性を有し、かつ高耐屈曲性を有する複合シー
トの製造方法に関するものである。更に詳しく述べるな
らば、本発明方法は風などによるはためきなどのように
繰り返して屈曲作用を受ける用途に用いてもすぐれた耐
久性を示し、電磁波シールド性にすぐれ、かつ屈曲自在
な、高耐屈曲性複合シートを効率よく製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、既知の導電性シート材料として
は、重合体材料からなるマトリックス中に、金属質フィ
ラー、例えば金属粉末、および金属フレークなど、非金
属無機フィラー、例えばカーボンブラックおよびグラフ
ァイトなどの粉末、又はフレーク、或は金属化ガラス繊
維、例えば化学蒸着法、電気めっき法、又は無電解めっ
き法などにより金属化されたガラス繊維などを分散含有
させ、これをシート状にしたものがある。一般に、導電
性シート又はフィルムは、その重合体材料からなるマト
リックスが伸長しやすいものであるため、全体として、
繰り返し伸長荷重が負荷されたり、或は瞬間的荷重がか
けられると容易に伸長する傾向がある。このように、導
電性シート又はフィルムが伸長、又は変形すると、その
中に分散している導電性フィラーの分布に変化を生じ、
その結果、その抵抗値、および電磁波シールド性に変化
を生じて、その性能を低下させ、やがて、実用性を失う
に至ることがある。
【0003】上記の欠点を解消するために、例えば、本
発明者により、導電性シート、又はフィルムを繊維材料
からなる基布の片面、又は両面上に形成、又は貼着する
ことが試みられた。このような導電性複合シートは、従
来の導電性シート、又はフィルムの上記欠点をほぼ解消
し、実用上有用なものであった。しかしながら、極めて
高い電磁波シールド性を要求される用途には、導電性シ
ート、又はフィルム中の導電性材料の濃度を極めて高く
し、しかも導電効率の高い形状、例えば比較的長さの長
い導電性繊維の形状で使用する必要がある。このように
長さの長い導電性材料を多量に含む塗布液は塊状化し、
その塗布展延性が著しく低くなって実用が不可能にな
り、またその塗布性を高めるために溶剤量を増加する
と、塗布液中で導電性材料が沈澱したり或は局在化し、
また塗布液層を乾燥固化する際に多数の気孔を形成する
などの欠点を生じ、実用することができない。一般に
は、従来方法によって導電性繊維含有層を形成した場
合、その中の導電性繊維の容積含有率を7.5%より高
くすることは、極めて困難であった。またこのように導
電性繊維の容積含有率が低い場合、所望の電磁波シール
ド性を得るためにはかなり厚さの大きい導電性繊維含有
層を形成する必要がある。例えば40dBのシールド性
を得るためには、導電性繊維容積含有率が10%以上の
導電性繊維含有層の厚さは、0.1mm以上であれば十分
であるが、上記容積含有率が7.5%、または5%のと
きの導電性繊維含有層は0.50mm以上、または1.0
mm以上の厚さを必要とし、導電性短繊維の使用必要量も
著しく多くなる。更に、導電性材料を重合体材料と混合
して、これをミキサー、ニーダー或はカレンダーなどに
かけると、その剪断力によって、導電性材料、特に繊維
が切断されて細粉化し、導電性材料相互の接結点が減少
し、めっき材料の場合はめっきが剥離して導電性が低下
するなどの問題点を生ずる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明方法は、従来の
電磁波シールド性複合シートの前記欠点を解消し、所望
量の導電性繊維材料を、それを破断することなく所望部
位において樹脂マトリックス中に一体化することがで
き、電磁波シールド性にすぐれ、かつすぐれた耐屈曲性
を有する高電磁波シールド性複合シートを効率よく製造
することのできる方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明方法に係る高電磁
波シールド性複合シートの製造方法(1)は、耐熱性剥
離シートの剥離面上に、熱可塑性を有する重合体材料を
主成分として含有する樹脂液を塗布して樹脂液塗布層を
形成し、前記樹脂液塗布層上に導電性短繊維を撒布堆積
し、前記樹脂液塗布層を固化して樹脂マトリックス層を
形成し、前記導電性短繊維撒布堆積層と、それを担持し
ている樹脂マトリックス層とに加圧処理を施し、それに
よって前記導電性短繊維撒布堆積層を、前記樹脂マトリ
ックス層の少なくとも表層部分内に埋没させて導電性繊
維−樹脂一体化層を形成し、前記導電性繊維−樹脂一体
化層の少なくとも一面上に、少なくとも1枚の繊維布帛
を含むシート状基体を積層結着し、前記積層結着操作の
前、又は後に、前記耐熱性剥離シートを前記導電性繊維
−樹脂一体化層から剥離する、ことを特徴とするもので
ある。本発明方法に係る他の高電磁波シールド性複合シ
ートの製造方法(2)は、耐熱性剥離シートの剥離面上
に、熱可塑性を有する重合体材料を主成分として含有す
る樹脂液を塗布して樹脂液塗布層を形成し、前記樹脂液
塗布層上に導電性短繊維を撒布堆積し、前記導電性短繊
維撒布堆積層の上に、少なくとも1枚の繊維布帛を含む
シート状基体を積層し、前記積層操作の前、又は後に、
前記樹脂液塗布層を固化して樹脂マトリックス層を形成
し、前記積層体に加圧処理を施して、それによって前記
導電性短繊維撒布堆積層を前記樹脂マトリックス層の少
なくとも表層部分内に埋没させて導電性繊維−樹脂一体
化層を形成するとともに、前記シート状基体と前記導電
性繊維−樹脂一体化層とを結着し、前記加圧処理の前、
又は後に、前記耐熱性剥離シートを、前記樹脂マトリッ
クス層から剥離する、ことを特徴とするものである。上
記方法(1)および(2)の各々に用いられる前記繊維
布帛含有シート状基体は、前記繊維布帛の少なくとも1
面が、熱可塑性を有する重合体材料を主成分として含む
基体被膜層によって被覆されているものであってもよ
い。また、本発明方法の高電磁波シールド性複合シート
の製造方法(1)および(2)は、前記導電性繊維−樹
脂一体化層の上に、可撓性重合体材料を主成分として含
有する表面保護層を形成する工程を更に含んでいてもよ
い。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明方法に使用されるシート状
基体は、少なくとも1枚の繊維布帛を含んで構成される
ものであって、繊維布帛のみからなるものであってもよ
く、或いは、この繊維布帛の少なくとも一面上に、熱可
塑性を有する重合体材料を主成分として含む基体被覆層
が形成されているものであってもよく、或いは2枚以上
の繊維布帛の間に可撓性樹脂材料を主成分として含む中
間層が配置されているものであってもよい。
【0007】繊維布帛を構成する繊維としては、天然繊
維、例えば、木綿および麻など、無機繊維、例えば、ガ
ラス繊維、炭素繊維および金属繊維など、再生繊維、例
えば、ビスコースレーヨン、およびキュプラなど、半合
成繊維、例えば、セルロースジーおよびトリアセテート
繊維など、並びに合成繊維、例えば、ナイロン6、ナイ
ロン66、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレー
ト)、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、アクリ
ル重合体、ポリ塩化ビニル、ビニロン、およびポリオレ
フィンの繊維などから選ぶことができ、特に高強度繊維
(15〜50g/d)および/又は、高耐熱性繊維など
も使用することができる。本発明方法に好ましい繊維
は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、水不溶化ポリ
ビニルアルコール繊維、芳香族ポリアミド繊維、および
芳香族ポリエステル繊維などである。繊維布帛中の繊維
は短繊維紡績糸、長繊維糸、スプリットヤーン、テープ
ヤーンなどのいずれの形状のものであってもよく、また
繊維布帛は、織物、編物、不織布、紙状物、および、こ
れらの2種以上の複合シートのいずれであってもよい。
一般には、本発明方法に用いられる繊維はポリエステル
繊維が好ましく、この繊維は長繊維(フィラメント)の
形状のものが好ましい。本発明方法に用いられる繊維布
帛は、得られる複合シートの伸長を抑制し、かつその機
械的強度を高いレベルに維持するために有用である。ま
た、有用な織物としては、綾織、平織、からみ織、もじ
り織、特殊編織物その他の組織からなる織物を挙げるこ
とができる。繊維布帛の重量や、厚さなどに格別の限定
はないが、一般に300〜1000g/m2 の重量およ
び/又は、0.05〜1.0mmの厚さを有するものが好
ましい。本発明方法により得られる複合シートにおい
て、繊維布帛を含むシート状基体は、導電性被覆層の伸
長や変形を抑制して、複合シートの電磁波シールド性を
安定させること、およびはためきや繰り返し屈曲に対す
る耐久性を向上させることができ、更に、導電性繊維−
樹脂一体化層の形成の際に、得られる複合シートの寸法
安定性を維持するのにも有効ある。
【0008】本発明方法において、樹脂マトリックス層
を形成するために用いられる熱可塑性重合体材料は、可
撓性を有するものであって、可撓性天然および合成ゴ
ム、および合成樹脂の少なくとも1種からなるものであ
る。可撓性合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリブテン、ポリアクリル酸エステル、ポリビニル
ブチラール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリ
ル、ABS樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、エ
ステル−酢酸ビニル樹脂、アイオノマー樹脂、弗素化ポ
リエチレン、アセタール樹脂、塩化ポリエーテル樹脂、
ポリプロピレンオキシド、ポリエステル、ポリアミド、
ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂を例示することが
できる。また、合成ゴムとしてはスチレン−ブタジエン
共重合体などのジエン系ゴム、ブチルゴムなどのオレフ
ィン系ゴム、弗化アクリレートゴムなどの含弗素ゴム、
エーテル・チオエーテルゴム、ウレタンゴム、シリコン
ゴム、クロルスルホン化ポリエチレンなどのゴム類をあ
げることができる。
【0009】本発明方法において、樹脂マトリックス層
は、上記重合体材料を主成分として含む樹脂液を耐熱性
剥離シートの剥離面上に塗布し、これを固化(ゲル化、
又は乾燥)して形成される。
【0010】本発明方法において、耐熱性剥離シートの
剥離面上に、熱可塑性を有する重合体材料を主成分とし
て含有する樹脂液を塗布して樹脂塗布層を形成し、この
樹脂液塗布層上に導電性短繊維を撒布する。撒布された
導電性短繊維は、樹脂液塗布層に粘着し、その上に堆積
して、導電性短繊維撒布堆積層を形成する。
【0011】次に、本発明方法(1)においては、前記
樹脂液塗布層を固化して樹脂マトリックス層を形成し、
前記導電性短繊維撒布堆積層と、それを担持している樹
脂マトリックス層とに加圧処理を施し、それによって前
記導電性短繊維撒布堆積層を、前記樹脂マトリックス層
の少なくとも表層部分内に埋没させて導電性繊維−樹脂
一体化層を形成し、この導電性繊維−樹脂一体化層の少
なくとも一面上に、少なくとも1枚の繊維布帛を含むシ
ート状基体を積層結着する。また、本発明方法(2)に
おいては、前記導電性短繊維撒布堆積層の上に、少なく
とも1枚の繊維布帛を含むシート状基体を積層し、この
積層操作の前、又は後に、前記樹脂液塗布層を固化して
樹脂マトリックス層を形成し、前記積層体に加圧処理を
施して、それによって前記導電性短繊維撒布堆積層を前
記樹脂マトリックス層の少なくとも表層部分内に埋没さ
せて導電性繊維−樹脂一体化層を形成するとともに、前
記シート状基体と前記導電性繊維−樹脂一体化層とを結
着する。
【0012】次に、本発明方法(1)および(2)の各
々において、前記加圧処理の前、又は後に、前記耐熱性
剥離シートを、前記樹脂マトリックス層から剥離するこ
とによって、高電磁波シールド性複合シートが得られ
る。
【0013】本発明方法において、耐熱性剥離シートの
剥離面上に形成された樹脂マトリックス層の少なくとも
一面側表層部分中に、所定量の導電性短繊維の撒布堆積
層状体が埋没され、それによって、導電性繊維−樹脂一
体化層が形成される。このような導電性繊維−樹脂一体
化層の形成において、導電性短繊維は樹脂マトリックス
層の少なくとも一面の表層部分のみに撒布堆積層状体を
なして高密度に分布し、樹脂マトリックス層の残余の部
分には導電性短繊維が実質的に分布していない態様にし
てもよいし、或いは導電性短繊維が樹脂マトリックス層
の実質的に全容積にわたって、高密度で分布している態
様にしてもよい。
【0014】本発明方法に用いられる導電性短繊維は、
導電性金属繊維(例えば、銅繊維、アルミニウム繊維、
黄銅繊維、アルミニウム合金繊維、およびステンレスス
チール繊維など)、カーボン繊維、グラファイト繊維お
よび導電性複合繊維などから任意に選択することができ
る。前記導電性複合繊維とは、有機又は無機繊維、好ま
しくは有機短繊維からなる芯体と、この芯体の表面上に
形成され、かつ導電性材料、特に導電性金属からなる被
覆層によて構成されるものである。このような導電性複
合繊維は、芯体を構成する有機繊維が良好な可撓性と機
械的強度を有しているため、使用中に繰り返し屈曲を受
けても折損粉末化することがなく、また、導電性被覆層
の剥離や亀裂を発生することが少なく、このため、すぐ
れた耐久性を有するものである。
【0015】上記導電性複合繊維の芯体として用いられ
る有機短繊維は、既知の天然有機繊維、有機再生繊維、
有機半合成繊維、および有機合成繊維から選ぶことがで
き、これらの1種又は2種以上を混合して用いることが
できる。このような有機天然繊維としては、例えば木
綿、麻、絹、羊毛などを用いることができ、有機再生繊
維としてはビスコースレーヨン、キュプラなどを、また
半合成繊維としてはセルロースジ−およびトリアセテー
ト繊維などを用いることができる。更に有機合成繊維と
しては、ナイロン6、およびナイロン66のようなポリ
アミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維のよう
なポリエステル系繊維、ビニロンの如きポリビニルアル
コール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリ
デン系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリオレフィン系繊
維、フルオロカーボン系繊維、ポリウレタン系繊維など
の有機質繊維があげられる。本発明方法に好適なものと
してはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、および水不
溶化ポリビニルアルコール繊維などがある。また有機短
繊維の太さには格別の制限はないが、一般に0.1〜1
0デニールの範囲内にあることが好ましい。
【0016】上記のような有機短繊維芯体の表面上に、
導電性金属被覆層が形成される。この導電性金属被覆層
の形成方法に、格別の制限はなく、金属蒸着法、電気め
っき法および無電解めっき法などのいづれを利用しても
よい。しかし、短繊維に対する適合性、工程の容易さ、
加工条件、コスト、必要装置などを勘案すれば無電解め
っき法を用いることが好ましい。無電解めっき工程は、
下記のようにして実施することができる。有機短繊維に
対して、所要のめっき前処理、例えば、アルカリ洗浄液
による脱脂洗浄、および塩酸、硫酸、又はリン酸を含む
酸洗浄液による洗浄を施し、次に、塩化第一スズ水溶液
による感受性付与処理、および塩化パラジウム水溶液に
よる触媒化処理を施す。このとき、有機短繊維の種類に
応じ、例えばポリアミド繊維、羊毛、又は絹などの場
合、上記触媒化処理の後に、還元剤処理を施したり、又
はシランカップリング剤を含む塩化パラジウム処理液に
よる触媒化処理を施してもよい。前処理された有機短繊
維に対し、無電解めっき処理を施す。有機短繊維芯体表
面上に形成される金属被膜は、銅、ニッケル、又はニッ
ケル合金からなるものが一般的であるが、その他にも、
コバルト、銀、金などを用いることもあり、また、異な
る金属による2層以上の被膜を積層してもよい。
【0017】次にニッケル被覆層の形成工程の一例を示
す。所定の長さを有する有機短繊維100gを、例えば
5重量%苛性ソーダ水溶液中において、所定温度、例え
ば50℃で、所定時間、例えば10分間、ゆるやかに撹
拌しながら処理する。処理後短繊維を処理液から濾別
し、水洗し、例えば1重量%塩酸水溶液中で、所定温度
(例えば常温)で、所定時間(例えば2分間)撹拌しな
がら処理し、この処理液に、塩化第一スズの塩酸溶液を
所定濃度、例えば1ml/lになるように添加して所定時
間(例えば2分間)処理する。処理された有機短繊維を
処理液から濾別し、水洗し、次に所定濃度、例えば1g
/lの塩酸水溶液中でよく撹拌しながら所定温度(例え
ば常温)で、所定時間(例えば5分間)増感処理し、濾
別する。
【0018】この濾別した有機短繊維を、所定濃度、例
えば、0.1g/lの塩化パラジウム塩酸溶液10ml
と、10ml/lの塩酸990mlとを含む水溶液で撹拌し
ながら、所定温度(例えば常温)で、所定時間(例えば
5分間)活性化(触媒化)処理する。処理された有機短
繊維を濾別し、これを所定組成(例えば、下記組成)の
無電解ニッケルめっき液: 硫酸ニッケル 25g/l 次亜リン酸ソーダ 25g/l クエン酸ソーダ 30g/l 酢酸ソーダ 15g/l pH(酸、又はアルカリで調整) 4.5〜5.5 中において、撹拌しながら、所定温度(一般に80〜9
5℃)で処理する。すると、導電性ニッケル被覆層を有
する導電性短繊維が得られる。このようにして得られた
導電性短繊維は、その周辺のみならず、両端断面も導電
性金属被膜により被覆されていて、これをマトリックス
中に分散すると、良好な導電性を示す。
【0019】金属被覆層を有する導電性短繊維の性能の
一例を表1に示す。
【表1】
【0020】〔註〕金属化率:無電解めっき短繊維を硫
酸水溶液に投入し、これに溶解したニッケルの量をIC
Pにより定量分析し、下式により求めた値として定義す
る。 金属化率(%)=〔溶出ニッケル量の測定値(mg)〕/
〔採取試料の重量(mg)〕×100 密度の算出=金属化短繊維の密度は下式により算出し
た。
【数1】 式中A=被覆金属の密度(g/cm3)、B=繊維の密度
(g/cm3)
【0021】本発明方法に用いられる導電性短繊維の太
さ、および長さに格別の制限はないが、一般に、その太
さは1.0〜50μmであることが好ましく、その長さ
は、0.5〜5mmであることが好ましく、0.8〜3mm
であることがより好ましい。また、そのアスペクト比
は、10〜5000であることが好ましく、15〜30
00であることがより好ましい。導電性短繊維の長さ
が、0.5mm未満であると粉末と同様の挙動を示し、導
電性発現の効率が低下し、その長さが5mmより長くなる
と、均一に撒布堆積させることが困難になる。
【0022】本発明方法において、樹脂マトリックス層
と合体されるべき導電性短繊維の量は、シート材料の目
的に応じて任意に設定することができるが、得られる導
電性繊維−樹脂一体化層の抵抗値が10-2Ωcm以下にな
るように定めることが好ましい。一般に、本発明方法に
おいて、樹脂マトリックス層の厚さは0.01〜0.5
mmであることが好ましく、また樹脂マトリックス層に合
体されるべき導電性短繊維の撒布堆積量(合計容積)は
10〜250cm3 /m2 であることが好ましい。導電性
繊維−樹脂一体化層中の導電性短繊維含有部分における
導電性短繊維の合計容積含有率は、導電性繊維−樹脂一
体化層の当該部分の容積に対して、10〜50容積%で
あることが好ましく、15〜25容積%であることがよ
り好ましい。この容積含有率が10%未満であると、得
られる複合シートの電磁波に対するシールド性が、不十
分になることがあり、またそれが50%をこえると、導
電性繊維−樹脂一体化層の耐摩耗性が不良となり、かつ
シート状基体および/又は表面保護層に対する剥離強度
が不十分となるという不都合が生ずる。
【0023】本発明方法において、必要に応じて導電性
短繊維に、既知の導電材料、例えば金属繊維、金属被覆
ガラス繊維、金属フレーク、金属粉末、カーボン繊維、
カーボンブラック、塩化アンチモン粉末、ヨウ化銅粉末
など、並びに着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤などのよ
うなマトリックス改質材料を、樹脂マトリックス層に適
宜の量だけ含有させてもよい。
【0024】本発明方法において、導電性繊維−樹脂一
体化層上に、可撓性の良好な重合体材料を主成分として
含有する表面保護層を形成する工程を更に含んでいても
よい。この表面保護層は、導電性短繊維の表面露出を防
止して、導電効果の低下を抑制し、かつ複合シート表面
を機械的、化学的ダメージから保護することができる。
また、表面保護層に所望の色彩、模様、凹凸模様、汚れ
防止性、防水性、防油性、耐候性、透明性、或は不透明
性などを付与することができる。表面保護層に用いられ
る重合体に格別の限定はないが一般にポリ塩化ビニル
(PVC)、ポリウレタン、ポリエステル、弗素含有重
合体、シリコーン重合体、アクリル重合体、エチレン−
酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、および、クロ
ルスルフォン化ポリエチレン、並びに、合成および天然
ゴムなどのゴム状重合体などから選ぶことができる。ま
た、表面保護層の厚さおよび重量には、格別の限定はな
いが一般に、それぞれ0.05〜0.5mm、および50
〜500g/m2 であることが好ましい。
【0025】本発明方法により得られる複合シートの一
実施態様の断面説明図を図1に示す。図1において、シ
ート状基体1の上に、導電性繊維−樹脂一体化層2が形
成されており、この一体化層2の表層部分2aにおい
て、導電性短繊維が撒布堆積層状体をなして高密度に樹
脂マトリックス層中に分布しており、その他の部分2b
には、実質的に導電性短繊維が埋没分布していない。導
電性短繊維が高密度で分布している前記表層部分2aは
良好な導電性を示し、従って、複合シートは全体として
すぐれた電磁波シールド性を示す。上記導電性繊維−樹
脂一体化層2は、実質的に、導電性短繊維が高密度に分
布している部分2aのみからなるものであってもよい。
導電性繊維−樹脂一体化層2は、その導電性繊維高密度
部分2aがシート状基体1に直接接合するように結着さ
れていてもよい。また、導電性繊維−樹脂一体化層2上
に表面保護層3が結着されていてもよい。
【0026】図2において、導電性繊維−樹脂一体化層
2は、樹脂マトリックス層と、その全容積にわたって高
密度で分布している導電性短繊維から構成されており、
この導電性繊維−樹脂一体化層上に表面保護層が結着さ
れていてもよい。表面保護層は、図1および図2に示さ
れているように、複合シートの少なくとも一つの最外表
面に形成されることが好ましい。
【0027】本発明方法(1)において、耐熱性剥離シ
ートの剥離面上に、樹脂マトリックス層用熱可塑性重合
体材料含有樹脂液を塗布し、この樹脂液塗布層上に導電
性短繊維を撒布堆積し、樹脂液塗布層を、前記導電性短
繊維の撒布堆積後に固化して樹脂マトリックス層を形成
し、これに加圧処理を施して導電性繊維−樹脂一体化層
を形成する。次に、導電性繊維−樹脂一体化層の少なく
とも一面上にシート状基体を積層してこれらを任意の手
段により結着する。剥離シートを、前記積層結着操作の
前、又は後に積層体の導電性繊維−樹脂一体化層から剥
離する。
【0028】また本発明方法(2)においては、樹脂液
塗布層上に形成された導電性短繊維撒布堆積層上にシー
ト状基体を積層し、この積層操作の前、又は後に、樹脂
液塗布層を固化して樹脂マトリックス層を形成し、前記
積層体に加圧処理を施す。このようにすると、導電性繊
維−樹脂一体化層の形成と、それとシート状基体との結
着が同時に行われる。耐熱性剥離シートの剥離は、加圧
処理の前又は後に行うことができる。
【0029】本発明方法に用いられる耐熱性剥離シート
(フィルム)は、従来使用されているもの、例えば、剥
離剤(例えばシリコーン含有低分子量化合物、又は重合
体、フッ素含有低分子量化合物、又は重合体、或はパラ
フィンなど)を塗布したプラスチックフィルム(例えば
ポリエステルフィルム)、紙、又は布帛など、或はマト
リックス樹脂に対し、比較的接着性の低いプラスチック
フィルム、などから選ぶことができる。
【0030】本発明方法において、前述の耐熱性剥離シ
ートの剥離面上に樹脂マトリックス層が形成される。こ
の樹脂マトリックス層は、樹脂液を剥離面上に塗布し、
これを固化して形成されたものである。この樹脂マトリ
ックス層形成用樹脂液塗布層上に導電性短繊維を撒布
し、これを粘着堆積させる。本発明方法(1)において
は、上記のようにして形成され、導電性短繊維撒布堆積
層を担持している樹脂液塗布層に対し、これを固化して
樹脂マトリックス層を形成し、この樹脂マトリックス層
と、その上の導電性短繊維撒布堆積層に加圧処理を施し
て、導電性短繊維層を、樹脂マトリックス層の少なくと
も表層部分中に圧入埋没させて、両者を一体化し、導電
性繊維−樹脂一体化層を形成する。この場合、樹脂マト
リックス層が熱可塑性を示す温度条件下において加圧処
理を施すことが好ましい。
【0031】本発明方法(2)においては、上記のよう
にして形成された導電性短繊維撒布堆積層の上に、少な
くとも1枚の繊維布帛を含むシート状基体を積層し、こ
のようにして形成された積層体に、前記と同様の加圧処
理を施して、それによって導電性短繊維撒布堆積層を、
樹脂マトリックス層の少なくとも表層部分内に埋没させ
て、導電性繊維−樹脂一体化層を形成すると同時に繊維
布帛を有するシート状基体を結着する。
【0032】上記導電性繊維−樹脂一体化層の厚さは、
0.01〜0.5mmであることが好ましく、0.1〜
0.2mmであることがより好ましい。この導電性繊維−
樹脂一体化層において、導電性短繊維は、撒布堆積層状
体をなして、樹脂マトリックス層中の少なくとも表層部
分に最も高い密度で分布している。換言すれば、導電性
短繊維は、樹脂マトリックス層の少なくとも表層部分に
高密度で偏在しており、このため高い導電性を示すこと
ができる。或は、樹脂マトリックス層が薄い場合、埋没
した導電性短繊維は、撒布堆積層状体をなしたまゝ樹脂
マトリックス層の全容積にわたって分布している。
【0033】本発明方法において、導電性短繊維の撒布
堆積方法に格別の制限はなく、例えば、自重落下法、空
気吹きつけ法、載置法、および磁力吸引法などを用いる
ことができる。撒布堆積された導電性短繊維の量が過多
の場合は、加圧処理前に、その一部分を除去回収しても
よい。本発明方法において、導電性短繊維層を担持して
いる樹脂マトリックス層に対し加圧処理が施されると、
導電性短繊維は、可塑性を示す樹脂マトリックス層の少
なくとも表層部分中に圧入され、埋没し、或は密着す
る。この加圧操作により、導電性短繊維の折損や表面の
めっきが剥離することは殆んどなく、その長さや導電性
を維持したまゝ樹脂マトリックス層と合体するため、そ
の導電効率が極めて良好である。また、加圧操作は任意
の温度、例えば室温で行われてもよいが、一般に樹脂マ
トリックス層が熱可塑性を示す温度条件下において、実
施することが好ましい。
【0034】本発明方法において、導電性繊維−樹脂一
体化加圧処理の前又は後に、耐熱性剥離シートを、樹脂
マトリックス層から剥離する。この剥離シートが剥離さ
れ、露出した樹脂マトリックス層表面に、必要により、
可塑性重合体を主成分として含む表面保護層を形成す
る。
【0035】この表面保護層は、可撓性樹脂フィルム又
はシートを前記樹脂マトリックス層表面に貼着したもの
であってもよいし、可撓性樹脂液を前記樹脂マトリック
ス層表面上に塗布しこれを固化したものであってもよ
い。
【0036】本発明方法(1)及び(2)においては、
熱可塑性樹脂をマトリックスとし、その中に導電性短繊
維が撒布堆積されている導電性層を形成するために、耐
熱性剥離シートの剥離面上に、樹脂塗布層を形成し、そ
の上に導電性短繊維の撒布堆積層を形成し、前記樹脂塗
液層を固化して、樹脂マトリックス層を形成した後、前
記導電性短繊維の撒布堆積層状体と、樹脂マトリックス
層とを含む積層体を加圧して、導電性短繊維撒布堆積層
状体を、その形状のまゝ樹脂マトリックス層中に圧入埋
没してこれらを一体化する点に特徴がある。このように
することにより、従来方法、すなわち、導電性短繊維を
マトリックス樹脂溶液に混入撹拌する方法や、マトリッ
クス樹脂と導電性短繊維とをカレンダーなどにより混練
する方法などに較べて、導電性短繊維を均一に、かつ高
含有率で、導電性を損うことなく、しかも繊維長を所望
の長さに保持したまゝ、利用できるという特徴がある。
すなわち導電性繊維の折損や金属被覆層の剥離を生ずる
ことがない。また導電性繊維−樹脂一体化層を、高電磁
波シールド性複合シート材料の所望の部位に、比較的薄
い層として1つ又はそれ以上の任意の数だけ容易に形成
することができるので、極めて多様な構造の製品が得ら
れる。また、複合シートの最外表面に任意の着色層を設
けることなどにより、多様な外観を有する複合シートを
得ることができる。
【0037】従来方法においては、繊維長を比較的長く
保ち、かつ多量の導電性短繊維を含有させるために、例
えば抄紙法によって形成された導電性繊維含有紙を挟み
込み、又は貼着する方法もあるが、この場合、導電性短
繊維に対し、その繊維長よりも長い他の繊維やパルプを
混抄する必要があり、また、バインダーの混入が必要で
ある。これら他の繊維、又はバインダーの混合は、当該
導電性層の導電性を低下させるという不都合を生じる。
本発明方法においては、本来必要とされる物性、特に導
電性を阻害する他の材料を併用する必要がない。また、
従来の抄紙法においては、工程を維持するための紙力の
増強のために、前記のような他の材料を混用することに
より、得られる導電性層の物性や、この導電性層と他の
層との間の剥離強力が著しく低下するという問題があ
る。これらの問題点は、抄紙法以外にも、例えば予じめ
形成された不織布を用いた場合にも発生する。しかしな
がら、本発明方法においては、このような問題点を生ず
ることはない。
【0038】
【実施例】本発明方法を、下記実施例により更に説明す
る。
【0039】実施例1 (A)シート状基体の調製 ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントヤーン
からなる下記組織: を有し、かつ、180g/m2 の重量を有する平織布帛
を製造し、これを常法により洗浄・乾燥した。次に、こ
の布帛の裏面上に下記組成: P.V.C. 100重量部 D.O.P. 67 〃 安定剤 3 〃 顔料 8 〃 トリクロロエチレン 5 〃 を有する樹脂液(25℃において10ポイズの粘度を有
していた)を塗布し、100℃で3分間加熱乾燥し、1
80℃で3分間ゲル化して、乾燥重量70g/m 2 の裏
面被覆層を形成した。得られたシート状基体の重量は2
50g/m2 であった。
【0040】(B)導電性短繊維の調製 0.8mmの長さと、15μmの直径を有し、かつアスペ
クト比:53を有するポリエチレンテレフタレート短繊
維100gを、5g/lのγ−アミノプロピルトリエト
キシシランで処理し、乾燥し、次にこれを、0.1g/
lの塩化パラジウム塩酸溶液10mlと、10ml/lの塩
酸990mlとを含む水溶液に投入し、よく撹拌分散しな
がら、常温で30分間これに触媒化処理を施した。次に
これを濾別して、110℃の乾燥機中で乾燥した。この
触媒化ポリエステル短繊維を、下記組成のニッケルめっ
き浴:成 分 量(g/l) 硫酸ニッケル 25 次亜リン酸ソーダ 30 リンゴ酸 30 コハク酸 16 pH 4.5〜5.0 中に投入して、60〜95℃の液温においてニッケルめ
っき処理した。得られた導電性ポリエステル短繊維の金
属化率は36%であった。
【0041】(C)複合シートの製造 (i)樹脂被覆層用樹脂液 下記組成: P.V.C. 100重量部 D.O.P. 67 〃 安定剤 3 〃 を有する混合物にトリクロロエチレンを添加して、その
粘度が、25℃において30ポイズになるように調整し
て、樹脂液を作成した。 (ii)複合シート 厚さ25μmの耐熱性ポリエステルフィルム(商標:ル
ミラ−S−10、(東レ))の1面上に、上記樹脂液
を、乾燥重量が60g/m2 になるように均一に塗布
し、この上に上記導電性短繊維(繊維長0.8mm)を、
35g/m2 すなわち13.9cm3 /m2 の量で撒布堆
積して導電性短繊維撒布堆積層を形成し、これに赤外線
加熱を施して樹脂液層を乾燥固化した。次に、直圧プレ
ス機を用いて、上記積層物を175℃に加熱しながら、
これに5kg/cm2 の加圧処理を2分間施し、その上に上
記シート状基体を積層し、これを更に175℃に加熱し
ながら、これに20kg/cm2 の加圧処理を1分間施し、
得られた積層製品から耐熱性ポリエステルフィルムを剥
離して複合シートを得た。得られた複合シートの合計重
量は345g/m2 であり、その厚さは0.35mmであ
って、平滑な表面を有していた。得られた複合シートの
導電性繊維−樹脂一体化層の厚さは0.08mmであり、
導電性短繊維含有率は21.88容積%であり導電性繊
維−樹脂一体化層の体積抵抗値は1.1×10-3Ω−cm
であって、良好な性能を有するものであった。体積抵抗
値は、SRIS 2301(1963),3.1項電圧
電流法により測定された。一般に、電磁波シールド性シ
ートの体積抵抗値は、10-2Ω・cm以下であることが好
ましく、10-3Ω・cm以下であることがより好ましい。
【0042】また導電性繊維−樹脂一体化層を有するシ
ートを耐熱性ポリエステルフィルムから剥離して独立の
シートとしこれを前記基布に積層貼着した結果も上記と
同様に良好なものであった。
【0043】実施例2 実施例1と同様の操作を行った。但し、導電性短繊維撒
布堆積後、その上に実施例1の繊維布帛を積層し、これ
に赤外線加熱を施して樹脂液を乾燥固化し、これに直圧
型プレス機を用いて175℃に加熱しながら5kg/cm2
の加圧処理を2分間施し次に、20kg/cm2 の加圧処理
を1分間施して導電性短繊維を樹脂層中に埋没一体化さ
せた。次に耐熱性基材フィルムを剥がして複合シートを
得た。得られた複合シートの性状は実施例1とほぼ同様
であり良好なものであった。
【0044】
【発明の効果】本発明方法により、比較的長い繊維長を
有する、比較的多量の導電性短繊維を、その導電性を損
なうことなく、或は、折損または粉状化することなく、
樹脂マトリックス層中に合体して導電性繊維−樹脂一体
化層を形成することが可能になり、従って、所望の高電
磁波シールド性を有する有用な複合シートを効率よく製
造することが可能となった。また、表面保護層を設ける
ことにより導電性繊維−樹脂一体化層を保護して機械的
損傷や導電性短繊維の脱落を防止し、かつ、その耐候性
を著しく向上させるとともに、所望の色彩、模様、凹凸
模様などを有する外観の美麗な高電磁波シールド性複合
シートが得られ、その複合シートの製造が可能になっ
た。本発明方法により得られる複合シートは、比較的高
密度に分布した導電性短繊維含有層(導電性繊維−樹脂
一体化層)を含むもので、極めてすぐれた電磁波シール
ド性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明方法により得られる高電磁波シー
ルド性複合シートの一実施態様の断面説明図。
【図2】図2は、本発明方法により得られる高電磁波シ
ールド性複合シートの他の実施態様の断面説明図。
【符号の説明】
1…シート状基体 2…導電性繊維−樹脂一体化層 2a…導電性短繊維が高密度で分布している表層部分 2b…実質的に導電性短繊維が分布していない部分 3…表面保護層

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性剥離シートの剥離面上に、熱可塑
    性を有する重合体材料を主成分として含有する樹脂液を
    塗布して樹脂液塗布層を形成し、 前記樹脂液塗布層上に導電性短繊維を撒布堆積し、 前記樹脂液塗布層を固化して樹脂マトリックス層を形成
    し、 前記導電性短繊維撒布堆積層と、それを担持している樹
    脂マトリックス層とに加圧処理を施し、それによって前
    記導電性短繊維撒布堆積層を、前記樹脂マトリックス層
    の少なくとも表層部分内に埋没させて導電性繊維−樹脂
    一体化層を形成し、 前記導電性繊維−樹脂一体化層の少なくとも一面上に、
    少なくとも1枚の繊維布帛を含むシート状基体を積層結
    着し、 前記積層結着操作の前、又は後に、前記耐熱性剥離シー
    トを前記導電性繊維−樹脂一体化層から剥離する、 ことを特徴とする高電磁波シールド性複合シートの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 耐熱性剥離シートの剥離面上に、熱可塑
    性を有する重合体材料を主成分として含有する樹脂液を
    塗布して樹脂液塗布層を形成し、 前記樹脂液塗布層上に導電性短繊維を撒布堆積し、 前記導電性短繊維撒布堆積層の上に、少なくとも1枚の
    繊維布帛を含むシート状基体を積層し、 前記積層操作の前、又は後に、前記樹脂液塗布層を固化
    して樹脂マトリックス層を形成し、 前記積層体に加圧処理を施して、それによって前記導電
    性短繊維撒布堆積層を前記樹脂マトリックス層の少なく
    とも表層部分内に埋没させて導電性繊維−樹脂一体化層
    を形成するとともに、前記シート状基体と前記導電性繊
    維−樹脂一体化層とを結着し、 前記加圧処理の前、又は後に、前記耐熱性剥離シート
    を、前記樹脂マトリックス層から剥離する、 ことを特徴とする高電磁波シールド性複合シートの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記繊維布帛を含むシート状基体におい
    て、前記繊維布帛の少なくとも1面を、熱可塑性を有す
    る重合体材料を主成分として含む基体被膜層によって被
    覆する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記導電性繊維−樹脂一体化層中の導電
    性短繊維の合計容積含有量を、10〜250cm3 /m2
    とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記導電性繊維−樹脂一体化層の厚さを
    0.01〜0.5mmとする、請求項1又は2に記載の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記導電性繊維−樹脂一体化層中の前記
    導電性短繊維含有部分における前記導電性短繊維の合計
    容積含有率を、前記導電性短繊維含有部分の容積に対
    し、10〜50容積%とする、請求項1又は2に記載の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記導電性短繊維が、1.0〜50μm
    の太さと0.5〜5mmの長さを有する、請求項1又は2
    に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記導電性短繊維が、導電性金属繊維、
    カーボン繊維、グラファイト繊維、および導電性複合繊
    維から選ばれる、請求項1又は2に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記導電性繊維−樹脂一体化層におい
    て、前記導電性短繊維を、前記樹脂マトリックス層の一
    面側表層部分のみに高密度で分布させ、前記樹脂マトリ
    ックス層の残余の部分には、前記導電性短繊維を実質的
    に分布させない、請求項1又は2に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記導電性繊維−樹脂一体化層におい
    て、前記導電性短繊維を、前記樹脂マトリックス層の実
    質的に全容積にわたって高密度で分布させる、請求項1
    又は2に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記導電性繊維−樹脂一体化層の上に
    可撓性重合体材料を主成分として含有する表面保護層を
    形成する工程を更に含む、請求項1又は2に記載の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 前記表面保護層が前記複合シートの少
    なくとも一つの最外表面に形成される、請求項11に記
    載の製造方法。
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