JP4160184B2 - 塩基性炭酸セリウムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、流動性に優れた塩基性炭酸セリウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩基性炭酸セリウムは、セリウム(III)化合物の製造原料として広く使用されており、通常、セリウム(III)塩水溶液に、炭酸アンモニウム水溶液を添加して沈殿物を生成させ、これを濾過・水洗・乾燥することにより製造している。
しかしながら、この方法で製造される炭酸セリウムは、粒径が1μm以下の微粉状あるいは粒径の大きな板状であったため流動性は極めて悪く、貯蔵容器から容易に取り出すことができなかった。
【0003】
そこで、本発明はかかる問題点を解決し、流動性に優れた塩基性炭酸セリウムの製造方法を提供しようとするものである。
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するために、粒径が大きく、かつシャープな粒度分布をもつ塩基性炭酸セリウムを尿素法で製造することにより、流動性を向上させた塩基性炭酸セリウムが得られることを見いだし、その製造法について種々検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、反応温度を90〜100℃に保った状態で、濃度が0.05〜0.2mol/Lのセリウム(III)塩水溶液に、尿素水溶液を2〜8時間添加しながら攪拌して反応させることを特徴とする、安息角が50度以下及び/又は崩壊角が20度以下である塩基性炭酸セリウムの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、まず、濃度が0.05〜0.2mol/Lのセリウム(III)塩水溶液を調製する。出発原料となるセリウム(III)塩は、特に限定はなく、溶解度が0.2mol/L程度あるものであればよい。そして、このセリウム(III)塩を水に溶解して、0.05〜0.2mol/Lの濃度とする。この濃度が0.2mol/Lを超えると、得られる塩基性炭酸セリウムの粒径が小さくなり流動性が悪くなる。0.05mol/L未満の場合は、粒径への影響は特にないが、生産性が低下する。
【0006】
次に、上記水溶液を90〜100℃に加温し、その温度を保ちながら、攪拌下で尿素水溶液を2〜8時間添加する。ここで、反応温度が90℃より低いと、尿素の分解速度が遅くなり、反応時間当たりの収率が低下する。また、100℃を超えると、尿素の分解速度は向上するが、圧力容器を使用する必要が生じるのでコスト的に不利となる。
尿素の使用量は、尿素/セリウムのモル比を10以上とすることが好ましく、10未満では塩基性炭酸セリウムの収率が低下する。
尿素水溶液の濃度に特に限定はないが、あまり濃度が低いと尿素水溶液の量が多くなり、生産性を損なうので、5mol/L以上で飽和濃度以下にするのが好ましい。
また、尿素水溶液の添加時間を2時間未満にすると、得られる塩基性炭酸セリウムの粒径が小さくなる。一方、添加時間が8時間を超えると、粒径には影響しないが生産性の低下を招くので好ましくない。
このようにして得られた塩基性炭酸セリウムの沈殿物は、濾過・水洗した後、100℃程度で乾燥することにより、安息角が50度以下及び/又は崩壊角が20度以下の流動性に優れた塩基性炭酸セリウムが得られる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施態様を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0008】
(実施例1)
500Lの反応釜に、0.1mol/Lの硝酸セリウム水溶液を300L入れて、95℃に加熱した。別に273kgの尿素を水に溶解した尿素水溶液50Lを用意した。この時の尿素水溶液の濃度は7.8mol/Lで、尿素/セリウムのモル比は13であった。
次に、反応温度を95℃に維持しながら、攪拌している硝酸セリウム水溶液中に、尿素水溶液を3時間かけて添加し、塩基性炭酸セリウムの沈殿物(スラリー)を生成させた。尿素水溶液の添加終了後、さらに95℃で2時間、攪拌熟成させた後、スラリーを冷却し、遠心分離器で固液分離して、固形部を水で洗浄した。その後、この固形部を100℃で16時間乾燥して、67.8kgの塩基性炭酸セリウムの乾燥粉末1(表1)を得た。
乾燥粉末1の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックFRA)で測定した。また、乾燥粉末1の安息角、崩壊角をパウダーテスター(ホソカワミクロン社製、商品名)で測定した。これらの測定結果を表1に示した。
【0009】
(実施例2)
500Lの反応釜に、0.2mol/Lの硝酸セリウム水溶液を300L入れて、95℃に加熱した。別に546kgの尿素を水に溶解した尿素水溶液100Lを用意した。この時の尿素水溶液の濃度は7.8mol/Lで、尿素/セリウムのモル比は13であった。
次に、反応温度を95℃に維持しながら、攪拌している硝酸セリウム水溶液中に、尿素水溶液を3時間かけて添加し、塩基性炭酸セリウムの沈殿物(スラリー)を生成させた。尿素水溶液の添加終了後、さらに95℃で2時間、攪拌熟成させた後、スラリーを冷却し、遠心分離器で固液分離して、固形部を水で洗浄した。その後、この固形部を100℃で16時間乾燥して、134.0kgの塩基性炭酸セリウムの乾燥粉末2(表1)を得た。
乾燥粉末2の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックFRA)で測定した。また、乾燥粉末2の安息角、崩壊角をパウダーテスター(同上)で測定した。これらの測定結果を表1に示した。
【0010】
(比較例1)
500Lの反応釜に、0.3mol/Lの硝酸セリウム水溶液を300L入れて、95℃に加熱した。別に819kgの尿素を水に溶解した尿素水溶液50Lを用意した。この時の尿素水溶液の濃度は7.8mol/Lで、尿素/セリウムのモル比は13であった。
次に、反応温度を95℃に維持しながら、攪拌している硝酸セリウム水溶液中に、尿素水溶液を3時間かけて添加し、塩基性炭酸セリウムの沈殿物(スラリー)を生成させた。尿素水溶液の添加終了後、さらに95℃で2時間、攪拌熟成させた後、スラリーを冷却し、遠心分離器で固液分離して、固形部を水で洗浄した。その後、この固形部を100℃で16時間乾燥して、216.2kgの塩基性炭酸セリウムの乾燥粉末3(表1)を得た。
乾燥粉末3の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックFRA)で測定した。また、乾燥粉末3の安息角、崩壊角をパウダーテスター(同上)で測定した。これらの測定結果を表1に示した。
【0011】
(比較例2)
尿素水溶液を硝酸セリウム水溶液に1時間で添加したこと以外は、実施例1と同じ条件で塩基性炭酸セリウムの乾燥粉末4(表1)を得た。
乾燥粉末4の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラックFRA)で測定した。また、乾燥粉末4の安息角、崩壊角をパウダーテスター(同上)で測定した。これらの測定結果を表1に示した。
【0012】
【表1】
【0013】
(評価)
表1からわかるように、本発明の方法によれば、安息角が50度以下で、崩壊角が20度以下を示す流動性に優れた塩基性炭酸セリウムが得られた。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、流動性に優れた塩基性炭酸セリウムが容易に得られ、産業上その利用価値は極めて高い。
Claims (1)
- 反応温度を90〜100℃に保った状態で、濃度が0.05〜0.2mol/Lのセリウム(III)塩水溶液に、尿素水溶液を2〜8時間添加しながら攪拌して反応させることを特徴とする、安息角が50度以下及び/又は崩壊角が20度以下である塩基性炭酸セリウムの製造方法。
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