JP4158256B2 - 可逆性感熱記録シート及びそれを用いた表示記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、会員カード、IDカード、クレジットカード、キャッシュカード、ICカード、プリペイドカード等に用いる可逆性感熱記録シート及びそれを用いた表示記録媒体に関わり、磁気データ、電子データによる情報記録とその可視情報を併せ持つカードのより高範囲な活用を可能にする可逆性感熱記録シート及びそれを用いた表示記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、会員カード、IDカード、クレジットカード、キャッシュカード、ICカード、プリペイドカード等の情報記録は、カードの一部に磁気記録可能な磁気テープ、磁気記録層、あるいはICチップを設けることにより、デジタル或いは、アナログ信号による記録が行われている。
ところで、これらカードは情報記録内容を表示、或いは確認する場合においては、専用の読み取り装置で記録情報の読み込み処理を行なう必要があり、一般のユーザーが確認する事は困難である。そこで、こうした情報記録内容の簡易的な表示への要求が高まりつつある。近年、この要求を満足させるため、不可逆、及び可逆性の表示媒体の開発がなされている。
とくに可逆性の表示記録体は、ポイントカードなどへ適用する場合、表示情報の継続的な更新が可能であり、プリペイドカードのみならず、キャッシュカード及びクレジットカードへの対応が可能である。
【0003】
可逆性の表示記録体としては、例えば特開昭54−119377、特開昭55−154198、特開平5−85045等の公報に示されているように、樹脂バインダー中に有機低分子を分散させ、透明/白濁のコントラストにより表示を行なう高分子/低分子タイプの可逆性表示技術が開発されている。
高分子/低分子タイプの可逆性表示体は、プラスチックシート/着色(反射)層/記録(高分子/低分子)層/保護層から構成されており、熱刺激による記録層の透明/白濁を表示原理とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高分子/低分子による可逆性感熱記録体は、もともと白濁時の隠ぺい性が弱く、白濁時のコントラストを上げるために、着色層をAlなどの蒸着による反射層に置き換える等の改良が行なわれてきた。このような可逆性感熱記録体を、クレジットカードやキャッシュカード、ポイントカード、プリペイドカードなどのカード媒体と組み合わせる場合、当然のことながらカード基材上に設けられた印刷やホログラムなどの絵柄、特殊インキやホログラムによる偽造防止の為の絵柄を隠してしまう。
これは、カードのデザイン上大きな制約となるばかりか、カード発行元が定める偽造防止規定を満たす為の大きな障害となっている。
本発明はかかる従来の問題点に鑑みなされたもので、可逆性感熱記録層の下側に形成されているエガラ、OVDなどが可視できるようにした可逆性感熱記録シート及びそれを用いた表示記録媒体である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため、請求項1の発明においては、透明支持体上に少なくとも反射層、有機低分子を樹脂母材中に分散した透明/白濁タイプの可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録シートにおいて、該反射層の少なくとも一部を不連続に設けたことにより、可逆性感熱記録層を透明化した場合において可逆性感熱記録シートを介して、景色や絵柄の視認が可能であることを特徴とする可逆性感熱記録シートとしたものである。
【0006】
また、請求項2の発明においては、請求項1に記載の可逆性感熱記録シートを、着色インキ、蛍光インキ、赤外線発色インキ、紫外線発色インキから選ばれる少なくとも1種類のインキを用い絵柄を設けたカード媒体の少なくともその一部の上側に一体化して設けたことを特徴とする表示記録媒体としたものである。
【0007】
更にまた、請求項1の発明においては、請求項1に記載の可逆性感熱記録シートを、ホログラムや回折格子のなどのようなOVDによる絵柄を設けたカード媒体の少なくともその一部の上側に一体化して設けたことを特徴とする表示記録媒体としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の可逆性感熱記録シートの断面図であり、本発明の基本的構成である。すなわち、図1に示すように、透明プラスチックシートからなる支持体1に、Al等の無機物の部分蒸着加工もしくは鏡面インキ等の高反射性のインキの塗布により、部分的なパターン状もしくは極小エリアを非連続に分布させた状態として高反射領域を設けた反射層2を設ける。
さらに該反射層2の上層に、必要により接着アンカー層3を印刷法またはコーティング法により設けた後、樹脂母材と樹脂母材中に分散された有機低分子とを主成分とした記録層4を印刷法またはコーティング法により設ける。加えて記録層4の上層に保護層5を印刷法または、コーティング法により設けたものが、基本構成である。
【0009】
図2は、本発明の可逆性感熱記録シートを一体化させたカード媒体の断面図であり、本発明の構成の一例である。
すなわち、図2に示すように、透明プラスチックシートからなる支持体1に、Al等の無機物の部分蒸着加工もしくは鏡面インキ等の高反射性のインキの塗布により、部分的なパターン状もしくは極小エリアを非連続に分布させた状態として高反射領域を設けた反射層2を設ける。
さらに該反射層2の上層に、必要により接着アンカー層3を印刷法またはコーティング法により設けた後、樹脂母材と樹脂母材中に分散された有機低分子とを主成分とした記録層4を印刷法またはコーティング法により設ける。加えて記録総4の上層に保護層5を印刷法または、コーティング法により設けることにより可逆性感熱記録シートを得る。この可逆性感熱記録シートを、少なくとも印刷層8を設けた基材7上に、熱ラミネート法等の方法により一体化させたものを基本構成とする。
【0010】
図3は、本発明の可逆性感熱記録シートを一体化させたカード媒体の断面図で、本発明の構成の一例である。
すなわち、図3に示すように、透明プラスチックシートからなる支持体1に、Al等の無機物の部分蒸着加工もしくは鏡面インキ等の高反射性のインキの塗布により、部分的なパターン状もしくは極小エリアを非連続に分布させた状態として高反射領域を設けた反射層2を設ける。
さらに該反射層2の上層に、必要により接着アンカー層3を印刷法またはコーティング法により設けた後、樹脂母材と樹脂母材中に分散された有機低分子とを主成分とした記録層4を印刷法またはコーティング法により設ける。加えて記録層4の上層に保護層5を印刷法または、コーティング法により設け可逆性感熱記録シートを得る。さらに該可逆性感熱記録シートの裏面に接着層6を印刷法またはコーティング法により設けた後、ホログラムなどのOVDを用いた絵柄を設けたカード媒体に一体化させたものを基本構成とする。
【0011】
OVDとしては微細な凹凸パターンを有するレリーフ型ホログラムや、感光性樹脂などの記録材を用いて体積方向に干渉縞を記録するリップマンホログラムなどの体積型ホログラム、微小なエリアに複数種類の単純な回折格子を配置して画素とし、画像を表現するグレーティングイメージ、ピクセルグラムといった回折画像が含まれる。
【0012】
図4は、可逆性感熱記録シート表面及び、絵柄を設けたカード基材上の一部分に一体化させた場合の様子を説明するものである。蒸着層を設けた可逆性感熱記録シートであるが、記録層を透明化する事によりカード基材表面に設けた絵柄に重ねた場合においても、絵柄を認識する事ができる。
図1、2及び3に示した可逆性感熱記録シートの支持体1は、機械的に強靭で柔軟性や可とう性を有する厚さの比較的薄いポリエチレン、ポリプロピレン、その他の透明性を有する高分子材料からなる厚さ10〜100μmのプラスチック製フィルム等が用いられる。好ましくはコーティングや印刷時の搬送製や加工性を考慮し25〜50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが用いられる。
【0013】
図1、2及び3に示した反射層2は記録層4に記録された透明/白濁のコントラストを向上させる層であり、支持体1上に部分的なパターン状もしくは極小エリアを非連続に分布させた状態に高反射領域を設けることにより得る。この高反射領域は、支持体1上にAl等の無機物の部分蒸着加工もしくは鏡面インキ等の高反射性のインキを印刷法やコーティング法を用いて塗布することにより実現される。
【0014】
蒸着により部分的な高反射領域を形成する方法としては、支持体1上にパターンを形成したマスクを重ねて蒸着後マスクを除去する方法、水溶性もしくは有機溶剤に容易に溶解可能な樹脂を一定のパターンで支持体1に印刷法またはコーティング法で塗布後、蒸着加工を行ないさらに適切な溶媒による樹脂の除去や粘着フィルムのラミネート−剥離工程による余剰蒸着部の除去を行なう方法、また支持体1上に蒸着加工を行なった後、蒸着面にエッチングレジストを印刷法及びコーティング法により、または感光性レジストを露光などの方法により一定パターンで形成し、エッチング工程及びエッチングレジストの剥離工程を経て蒸着パターンを得る方法等のいわゆる既知の部分蒸着加工を用いる事ができる。
【0015】
これら支持体1上の反射層2を部分蒸着法を用いて設ける場合、その蒸着工程には真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ラミネート法などを用いる事ができ、例えばAl、Cr、Sn、Ni、Cu等を反射が十分に得られる程度に厚さ0.03〜0.1μmの高反射部として設ける事ができる。
さらにこれら薄膜の形成材料としては、ここに示した以外の材料を単体もしくは複合的に用いる事により色調を調整することができる。
これら支持体1上の反射層2を鏡面インキなどの印刷法により設ける場合、印刷方法としては、従来公知のグラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷方式を用い、0.1〜20μmの厚さで高反射部を設ける事ができる。
【0016】
また、これら反射層の高反射部は、網点や格子などのパターン状に加工されることが加工上及び均一な可視性の確保の点から好ましい。これらパターンはシートの透視性が得られるように、一つのドットが直径0.02〜0.5mm程度の範囲で構成され、支持体1の露出部分に対する高反射部の面積が20〜80%程度、好ましくは50%に近い割合で設ける。これらパターンの割合が高ければ白濁時の隠ぺい性が高いが下層の絵柄の可視性が劣ってしまう。
【0017】
図1、2及び3に示した接着アンカー層3は、反射層2と記録層4の接着性を高める場合において、必要に応じて印刷法及びコーティングにより、0.5μm〜20μm程度の厚さで設ける事ができる。
材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、などの一般的な樹脂もしくはそれらの混合体を必要に応じて硬化させて用いることができる。
【0018】
図1、2及び3に示した記録層4は、樹脂母材のマトリックス中に分散された有機低分子物質の結晶状態の変化によって白濁、透明化が可逆的に変化するもので、印刷法、またはコーティング法等により可逆性感熱記録層を膜厚4〜2μmに設けることができる。可逆性感熱記録層中に分散される有機低分子物質としては脂肪酸若しくは脂肪酸誘導体または、脂環式有機酸が挙げられ、さらに詳しくは、飽和若しくは不飽和のもの或いはジカルボン酸、または、これらのエステル、アミド等を含むものである。前記飽和脂肪酸の具体例としては、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチル酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられ、また、不飽和脂肪酸の具体例としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ソルビン酸、ステアロール酸等が挙げられる。尚、脂肪酸若しくは脂肪酸誘導体又は脂環式有機酸はこれらのものに限定されるものではなく、且これらの内の一種類または二種類以上を混合させて適用することも可能である。
【0019】
また、用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩ビ系樹脂、酢ビ系樹脂の単独、混合或いは共重合物が用いられる。一方、可逆性感熱記録部の透明化温度範囲を制御するため、必要に応じて樹脂の可塑剤、高沸点溶剤などを樹脂母材に対し、0.1〜20%重量部添加することができる。
【0020】
図1、2及び3に示した保護層5は、感熱記録層以下を保護する役割を果たす物であり、印刷法、コーティング法等により、膜厚0.2〜20μmに設けることができる。使用される樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂等の公知の熱可塑性樹脂、紫外線又は電子線硬化樹脂を単独或いは、混合して用いられる。
更に、耐性の向上、スティッキング防止のために、樹脂を架橋する硬化剤、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、シリコンワックス等のワックス類、或いは炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、シリカ、アルミナ、タルク等の体質顔料、シリコーン油脂等の油脂類を透明性を損なわない範囲で添加することができる。また、サーマルヘッドで印字消去した際、熱の伝導性を制御するため、中空フィラー、ビーズ等を透明性を損なわない範囲で添加することができる。
【0021】
図1、2及び3に示す接着層6は、可逆性感熱記録シートをカード基材7に接着させるため軟化点150℃以下の高分子材料を印刷法又はコーティング法により膜厚0.5〜20μmに塗布し設けられる。高分子材料としてはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が単独或いは混合して用いられる。好ましくはポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂が用いられる。
図2、3に示すカード基材7は、図1に示された可逆性感熱表示シートを貼りあわせる対象として用いるものであり、材質としては、白色、有色或いは透明なポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂等の材料が使用できる。厚みとしては印刷適性を考慮し、50μm〜2mmの範囲から選択される。これら好ましくはさらに基材をセンターコアとオーバーシートにより構成し、厚さを100μm前後としたシートが用いられる。
【0022】
図2に示した印刷層8は、通常の着色インキ、蛍光インキ、赤外線発色インキ、紫外線発色インキ等の単体もしくはこれらを混合して用い、従来公知のグラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の印刷方式や、あらかじめ用意された絵柄転写シートを用いて設けることができる。
図3に示した剥離保護層9は、ホログラム絵柄をカード表面に転写する為に別途用意されたプラスチック基材上に塗工し、以下に記載のホログラム形成層及び反射性薄膜、接着層を塗り重ねた後、基材とこれらホログラム絵柄を容易に分離させる為に設けられる。また、転写後はホログラム画像形成層を保護する役目も同時に持たせる事ができる。
この剥離保護層としては、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などに、オイルシリコン、脂肪族アミド、ステアリン酸亜鉛を添加したものが使用可能であり、印刷法及びコーティング法により厚さ約0.5〜2.0μmに設けることができる。
【0023】
図3に示したホログラム形成層10は、エンボス成型性が良好で、プレスムラが生じ難く、明るい再生画像が得られ、剥離保護層9及び反射性薄膜層11との接着性が良好である樹脂であり、印刷法及びコーティング法により厚さ約0.3〜1.0μmに設ける事ができる。
また、回折構造形成面はこのような組成のホログラム形成層に対し、版面温度が165℃のプレス成形を行なう事により形成されている。
ホログラム形成層はポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合不飽和基を有する熱成型性材料などが使用可能であり、また、上記以外のものでも回折構造を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。
【0024】
図3に示した反射性薄膜層11は光線を反射する層であり、反射性薄膜層11を形成する方法としては、真空蒸着法の他、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適応可能であり、膜厚としては10〜150nmの範囲にある事が好ましい。また、蒸着には他に金属反射性を有する物質が使用可能で、例えばAu、Ag、Cuなどの金属が考えられる。また、反射性薄膜層として、反射性と透過性を併せ持つ高屈折率透明材料を使用する事も可能である。高屈折率透明材料としては、Sb2 S3 、Fe2 O3 、TiO2 、CdS、CeO2 、ZnS、PbCl、CdO、Sb2 O3 、WO3 、SiO、Si2 O3 、In2 O3 、PbO、Ta2 O3 、ZnO、ZrO2 、Cd2 O3 、Al2 O3 などが使用可能である。
【0025】
図3に示した接着層12は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂など、樹脂又は塗工時に用いる溶媒が反射性薄膜層を変質させたり、侵すものでなければ、通常接着剤として用いられるもので良く、とくに限定されるものではない。
膜厚は、グラビア法など既存の方法により、約0.1〜20μm程度に設けられる。
【0026】
【実施例】
<実施例1>
A4大の厚さ25μmの透明PETシートに、ポリスチレン系樹脂溶液を、グラビア印刷により塗工してパターン(網点濃度50%)を膜厚約1μmで設けた。さらに、加工面に真空蒸着法を用い膜厚60nmになるようにAl蒸着を行なった。蒸着加工後、トルエン溶液を用いてあらかじめPETに設けたポリスチレン系樹脂を溶解し、同時にパターンを構成するAl以外のAlを除去した。
この網点状のAl蒸着PETシート面に、可逆性感熱記録材料を含む記録層をグラビア法を用いて、乾燥温度130℃、塗布厚9μmで設けた。さらに、これら上層に保護層をグラビア法を用いて、塗布厚6μmで設け、可逆性感熱記録シートを得た。以下に製造に使用した各塗料の組成を示す。
【0027】
{可逆性感熱記録シート}
(網点加工用)
ポリスチレン系樹脂 ‥‥20重量部
トルエン ‥‥80重量部
(感熱記録)
ステアリン酸 ‥‥7重量部
セバシン酸 ‥‥2重量部
塩酢ビ共重合樹脂 ‥‥6重量部
テトラヒドロフラン ‥‥30重量部
トルエン ‥‥10重量部
(保護層)
アクリル系樹脂 ‥‥50重量部
硬化剤 ‥‥3重量部
テフロンフィラー ‥‥1.5重量部
炭酸カルシウム ‥‥1.5重量部
トルエン ‥‥100重量部
メチルエチルケトン ‥‥100重量部
【0028】
得られた可逆性感熱記録シートはサーマルヘッド(京セラ製薄膜ヘッド、8dot/mm、1000Ω)を用いて、印加エネルギー0.3mJ/dotで印字が可能であった。さらに約90℃の熱板(ホットスタンプ:セラミック製、面積1.0×2.5cm)を1kgf/cm2 で1秒間押し当てることにより印字データの消去が可能であった。この消去した場合の透明状態においては、媒体の透視性が確認された。
【0029】
<実施例2>
実施例1記載の可逆性感熱記録シートをカード基材と一体化させる為、裏面にさらに接着層を設け、幅12mmの形状にスリットした。
前もって、印刷絵柄を設けたカード表面に上記可逆性感熱記録シートを重ね、ロール温度120℃、搬送速度50mm/秒の条件で熱ロール法によって一体化し可逆性感熱記録シートが一体に形成されたカード媒体を得た。以下に製造に使用した各塗料の組成を示す。
【0030】
{可逆性感熱記録シート}
(網点加工)
ポリスチレン系樹脂 ‥‥20重量部
トルエン ‥‥80重量部
(感熱記録)
ステアリン酸 7重量部
セバシン酸 ‥‥2重量部
塩酢ビ共重合体樹脂 ‥‥6重量部
テトラヒドロフラン ‥‥30重量部
トルエン ‥‥10重量部
(保護層)
アクリル系樹脂 ‥‥50重量部
硬化剤 ‥‥3重量部
テフロンフィラー ‥‥1.5重量部
炭酸カルシウム ‥‥1.5重量部
トルエン ‥‥100重量部
メチルエチルケトン ‥‥100重量部
(接着層)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 ‥‥30重量部
ポリエステル樹脂 ‥‥20重量部
メチルエチルケトン ‥‥50重量部
トルエン ‥‥50重量部
【0031】
得られたカード媒体の可逆性感熱記録部分はサーマルヘッド(京セラ製薄膜ヘッド、8dot/mm、1000Ω)を用いて、印加エネルギー0.3mJ/dotで印字が可能であった。さらに約90℃の熱板(ホットスタンプ:セラミック製、面積1.0×2.5cm)を1kgf/cm2 で1秒間押し当てることにより印字データの消去が可能であった。この消去した場合の透明状態において、下層の印刷絵柄を十分に認識する事が可能であり、さらに白濁化を行なった場合、十分に印刷絵柄を隠蔽し、白濁状の印字画像をコントラスト良く表示する事ができた。
【0032】
<実施例3>
実施例1記載の可逆性感熱記録シートをカード基材と一体化させる為、裏面にさらに接着層を設け、幅12mmの形状にスリットした。
前もって、印刷絵柄を設けたカード表面にホログラム絵柄を転写し、その上から上記可逆性感熱記録シートを重ね、ロール温度120℃、搬送速度50mm/秒の条件で熱ロール法によって一体化しカード媒体を得た。以下に製造に使用した各塗料の組成を示す。
【0033】
{可逆性感熱記録シート}
(網点加工用)
ポリスチレン系樹脂 ‥‥20重量部
トルエン ‥‥80重量部
(感熱記録)
ステアリン酸 7重量部
セバシン酸 ‥‥2重量部
塩酢ビ共重合体樹脂 ‥‥6重量部
テトラヒドロフラン ‥‥30重量部
トルエン ‥‥10重量部
(保護層)
アクリル系樹脂 ‥‥50重量部
硬化剤 ‥‥3重量部
テフロンフィラー ‥‥1.5重量部
炭酸カルシウム ‥‥1.5重量部
トルエン ‥‥100重量部
メチルエチルケトン ‥‥100重量部
(接着層)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 ‥‥30重量部
ポリエステル樹脂 ‥‥20重量部
メチルエチルケトン ‥‥50重量部
トルエン ‥‥50重量部
【0034】
{ホログラム表示}
(ホログラム形成層)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 ‥‥25重量部
ウレタン樹脂 ‥‥10重量部
メチルエチルケトン ‥‥70重量部
トルエン ‥‥30重量部
(剥離保護層)
アクリル樹脂 ‥‥30重量部
ポリエステル樹脂 ‥‥5重量部
トルエン ‥‥40重量部
メチルエチルケトン ‥‥40重量部
メチルイソブチルケトン ‥‥20重量部
【0035】
得られたカード媒体の可逆性感熱記録部分はサーマルヘッド(京セラ製薄膜ヘッド、8dot/mm、1000Ω)を用いて、印加エネルギー0.3mJ/dotで印字が可能であった。さらに約90℃の熱板(ホットスタンプ:セラミック製、面積1.0×2.5cm)を1kgf/cm2 で1秒間押し当てることにより印字データの消去が可能であった。この消去した場合の透明状態において、下層のホログラム画像を十分に認識する事が可能であり、さらに白濁化を行なった場合、十分にホログラム画像を隠蔽し、白濁状の印字画像をコントラスト良く表示する事ができた。
【0036】
【発明の効果】
透明/白濁タイプの可逆性感熱記録シートに、網点または格子などのパターン状に微細な高反射領域を配置した反射層を設ける事により、該可逆性感熱記録シートを、あらかじめカード支持体に設けられた印刷絵柄やホログラムなどのOVD絵柄上に一体化した場合においても、これら絵柄の視認が可能となった。
これにより、可逆性感熱記録技術のカード媒体への応用範囲を広げるとともに、カードデザイン上の制約を低減する事ができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における可逆性感熱記録シートの断面図である。
【図2】本発明の一実施例における可逆性感熱記録シートを一体化させたカード媒体の断面図である。
【図3】本発明の一実施例における可逆性感熱記録シートを一体化させたカード媒体の断面図である。
【図4】本発明の一実施例における可逆性感熱記録シートを一体化させたカード媒体の絵柄及び透明化した可逆性感熱記録シートを介した絵柄の見える様子の模式図である。
【符号の説明】
1‥‥‥支持体
2‥‥‥反射層
3‥‥‥接着アンカー層
4‥‥‥記録層
5‥‥‥保護層
6‥‥‥接着層
7‥‥‥カード基材
8‥‥‥印刷層
9‥‥‥剥離保護層
10‥‥‥ホログラム形成層
11‥‥‥反射性薄膜層
12‥‥‥接着層
21‥‥‥リライトシート
22‥‥‥高反射領域
23‥‥‥透明領域
24‥‥‥白濁による文字
Claims (3)
- 透明支持体上に少なくとも反射層、有機低分子を樹脂母材中に分散した透明/白濁タイプの可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録シートにおいて、該反射層の少なくとも一部を不連続に設けたことにより、可逆性感熱記録層を透明化した場合において可逆性感熱記録シートを介して、景色や絵柄の視認が可能であることを特徴とする可逆性感熱記録シート。
- 請求項1に記載の可逆性感熱記録シートを、着色インキ、蛍光インキ、赤外線発色インキ、紫外線発色インキから選ばれる少なくとも1種類のインキを用い絵柄を設けたカード媒体の少なくともその一部の上側に一体化して設けたことを特徴とする表示記録媒体。
- 請求項1に記載の可逆性感熱記録シートを、ホログラムや回折格子のなどのようなOVDによる絵柄を設けたカード媒体の少なくともその一部の上側に一体化して設けたことを特徴とする表示記録媒体。
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---|---|---|---|
JP00504199A JP4158256B2 (ja) | 1999-01-12 | 1999-01-12 | 可逆性感熱記録シート及びそれを用いた表示記録媒体 |
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