JP4157643B2 - 不凍水栓柱 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は不凍水栓柱に関し、さらに詳細に言えば、通水状態と、止水・排水状態との切り換え機構にボールを利用した不凍水栓柱に関する。
【0002】
【従来の技術】
水栓の一つとして、屋外、例えば庭等に設置される水栓柱がある。そして寒冷地等で使用される水栓柱に、ボールを利用した水抜き機構を備えた不凍水栓柱がある。図2にその一例を示す。
【0003】
図2は、従来の不凍水栓柱の要部である、通水状態と止水・排水状態を切り換えるための弁機構を示す縦断面図である。符号1は栓本体であり、一次側が接続される流入口2を備え、この流入口2は、ボール4を収納している弁室3に通じている。ボール4はL字状の内部流路5を備え、二つのボールシート6、7により支持されている。ボール4には、紙面手前側に、一端が内部流路5に通じている貫通穴が排水用穴8として形成されている。符号9はボール押さえであり、10は排水用の逆止栓である。栓本体1には上部からスピンドル11が挿入され、さらにボール4の内部流路5の縦穴部5aを通って、その先端部の角軸部11aは、ボール4の下部に貫通形成された角穴に嵌まっている。符号12はスピンドル押さえであり、このスピンドル押さえ12に、立ち上がり管13が接続され、さらにその周囲を囲むようにして、水栓柱の外観を呈する中空の角パイプ14が、スピンドル押さえ12に取り付けられた下部キャップ15に受け止められて立設している。立ち上がり管13の上端は栓(図示せず)により閉じられ、また角パイプの上端は上部キャップ(図示せず)により閉じられ、スピンドル11に結合されたロッド16がそれら栓とキャップとを貫いて延び、その端部にボール4を操作するためのハンドル(図示せず)が取り付けられている。また、栓の下側の位置で立ち上がり管13から、側方への流路を形成するためのチーズ(図示せず)が取り付けられ、その先端には角柱14の側部に形成された穴から挿入された中空の蛇口取付け具(図示せず)が結合され、これに蛇口(図示せず)が取り付けられる。図示の状態は通水状態を示しており、流入口2から入った水は、ボール4の内部流路5を通り、スピンドル押さえ12を通って立ち上がり管13に入り、蛇口へ通じている。図示の状態からボール4が、上から見てスピンドルの軸回りに半時計方向に90度回転させられると止水・排水状態となる。すなわち、流入口2と弁室3との連通はボール4により遮断され止水される。一方排水穴8が、ボールシート7の中央部開口7aとボール押さえ9の排水穴9aを介して逆止栓10に連通し、立ち上がり管13内の水が排水される。なお、スピンドル11の回転範囲は、スピンドル11に取り付けられたピン17が、栓本体1の上端に円周方向所定の長さで形成された切り欠き1a内で移動することにより規制される。
【0004】
上記のような構成からなる従来の不凍水栓柱では、通水路内部をスピンドル11が延びているので、流路面積が減少する。特にスピンドル11がボール4の縦穴部5aを貫通しており、この部分では流路面積が大幅に狭くなる。また、内部流路の横穴部5bにおいては、スピンドル11は流れ方向を横切る形で位置し、流れの障害的要素となる。また、スピンドル11の回転範囲を規制するピン17も水の流れに横切るように位置し、流れの障害となる。
【0005】
ところで、水栓柱の施工を行った際に、配管内に砂利或いは余剰の接着剤等が異物として残留する場合がある。これらの異物は、上述のごとく流路が狭められたため或いは障害物の存在により、止水機構部を通過出来ずにボール周辺に存在し続け、ボール等を傷つけ、止水不良の原因となることがある。この対策としてストレーナ等の補助機構を取り付けることが考えられるが、水栓柱は土中に埋設されるので、メンテナンスを行えず、不適当である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、本願発明が解決しようとする課題は、十分な流路面積を確保し、流れに対する障害物を排して、スムーズな水の流れを可能とし、残留した異物が、設置直後に実施される通水テスト等初期段階で容易に吐き出されてしまい、残留異物の影響を受けにくい構成の不凍水栓柱を提供することである。また、使用環境によっては、吐き出されなかった異物が残ることも考慮し、それら異物を特定の箇所に堆積させ、そのような残留異物がボール等を損傷することのない不凍水栓柱を提供することも、本発明の課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、ボール弁体に連結されるスピンドルを中空とし、その一端を、ボール弁体の内部流路の、二次側すなわち立ち上がり管側に連通する開口部に取り付ける構成とした。
【0008】
また、ボール弁体の回転範囲を規制する規制部材を、スピンドルの外周上に取り付け、流路外に位置させることとした。
【0009】
また、スピンドルの内部の上部に繊維性浮遊物の堆積空間を、スピンドルの周囲の下部に固体粒状物の堆積空間を形成した。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本願発明の具体的実施の形態を説明するが、本願発明の範囲は以下に説明される実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る不凍水栓柱21(以下、単に水栓柱という)の要部を示す縦断面図であり、符号23は栓本体である。なお、以下の説明では、前述の従来例での水栓柱の部材と同様の部材についての詳細な説明は省略する。栓本体23は内部に弁室25を備え、さらにこの弁室に通じる流入口27と、後述する立ち上がり管が取付けられる、弁室25に通じる筒状の立ち上がり管取付け部29とが設けられている。
【0012】
弁室25には弁体としてのボール弁31が、それぞれ中央部の開口33a、35aを有するボールシート33、35により支持され、回転可能に配置されている。符号37はボール押さえである。ボール弁31には、内部流路39が形成され、この内部流路39は、横方向に穿たれた有底の横穴39aと、上方から穿たれ、この横穴39aに通じる縦穴39bとから構成されている。図示の状態で、横穴39aは、ボールシート33の開口33aを介して流入口27に通じているが、例えばボール弁31が、図1において上側から見て反時計方向に90度回転させられると、横穴39aは開口33aとの整合位置から外れ、流入口27との連通を断たれる。ボール弁31にはさらに、図1の紙面手前側に、横穴39aに通じる排水孔41が設けられている。この排水孔41は、ボール弁31が、図1において上側から見て反時計方向に90度回転させられると、ボールシート35の開口35aに整合し、ボール押さえ37に形成された排水孔37aを介して、排水用逆止弁43に通じることとなる。
【0013】
立ち上がり管取付け部29には、中空のスピンドル押さえ45がその下部側においてネジ結合で取り付けられ、このスピンドル押さえ45の上部側内周部には、立ち上がり管47がネジ結合で取り付けられている。符号49は、立ち上がり管の端部に取り付けられた防食用の管端コアである。スピンドル押さえ45の上部側外周部には、下部キャップ51が取り付けられ、それに受け止められた形で角パイプ53が立ち上がり管47を取り囲んで立設されている。符号55は、立ち上がり管47を囲んで配置された保温材である。
【0014】
符号57は立ち上がり管47内から栓本体23内へ延びている中空のスピンドルであり、その下端部は、ボール弁体31の内部流路39の、二次側すなわち立ち上がり管47側へ通じる開口部である縦穴39bに嵌まっており、上端部には、ロッド59が結合されて閉じられている。本実施の形態では、スピンドル57は角形の中空パイプであり、縦穴39bはそれに対応して角形をしており、ボール弁31はスピンドル57と一体にスピンドルの軸心回りに回転可能である。なお、スピンドル57及び縦穴39bの形状はこれに限定されるものではなく、スピンドル57が内部に十分広い流路を備えることと、両者が一体に回転する結合方法が用いられていればよい。六角或いは他の多角形のパイプは勿論、丸形パイプの下端を両面あるいは4面カットして使用することも可能である。
【0015】
スピンドル57の外周には、栓本体23の立ち上がり管取付け部29の内部穴の上端部近くの位置で、円形のガイドワッシャ61が、中心部に形成された角穴がスピンドルの外周に嵌まることにより、一体回転するように取り付けられている。ガイドワッシャ61の外周部には外方へ突出する突起61aが設けられ、この突起61aが栓本体23の立ち上がり管取付け部29の開口部に形成された円周方向に延びる切り欠き内に入り、ボール弁33の回転範囲を規制する。また、このガイドワッシャ61の上方に、スピンドル押さえ45に形成された内側フランジ45aが位置し、スピンドル57の抜け止めが行われる。
【0016】
スピンドル57の側壁には、高さ方向で異なる位置に上下の連通孔57a、57bが明けられて、この孔を介してスピンドル57の内部は立ち上がり管49の内部に通じている。上側の連通穴57aは、スピンドル57内に挿通されたロッドの端部よりある距離をおいて下方に設けられ、下側の連通穴57bは、ガイドワッシャ61からある距離をおいて上方に設けられている。
【0017】
ロッド59の上端が、立ち上がり管47の上端の栓(図示せず)及び角パイプ53の上端に設けられた上部キャップ(図示せず)を通って延び、その先端にハンドル(図示せず)が設けられていること、立ち上がり管に取り付けられたチーズ等を介して蛇口が取り付けられることは従来例と同じである。
【0018】
上記の如く構成された不凍水栓柱1においては、図示の状態では通水状態にあり、流入口27から入った水はボール弁31の内部流路39に入り、中空のスピンドル57の内部を通り、連通穴57a、57bを通って立ち上がり管47に流れる。ボール弁を90度回転させると止水・排水状態となり、流入口27から立ち上がり管47側への通水は止められ、一方、立ち上がり管47内の水は、中空のスピンドル57、内部流路39、排水孔41、ボールシート35の開口35aを通って排水用逆止弁43から排水される。
【0019】
そして本発明の水栓柱の場合には、従来の如くスピンドルによって流路が狭められることはなく、また、スピンドルが水の流れ方向を横切って流れの障害となることもない。従って、十分な流路面積が確保できるとともに流れに対する障害物が存在せず、スムーズな水の流れを確保することができる。また、従来は水の流れる流路内に位置してやはり流れの障害となっていた回転規制用のピンに代わるガイドワッシャは、流路内に位置しておらず、やはり水の流れの障害とはならない。従って、配管内に残った異物の排出は容易に行われる。
【0020】
しかしながら、使用環境や設置条件等により、配管内に残存した異物が通水テスト時に全て排出されることは補償できない場合がある。本発明の水栓柱の場合、排出できなかったとしても止水機構部を一旦通過し、二次側の通水部に移動した異物が止水機構部周辺に移動し、これを損傷することが、以下のように防止される。
【0021】
すなわち、施工直後に配管内に残留する異物は、砂等に代表される粒状固形物と、テープ屑、余剰接着剤等の繊維性浮遊物に大別されるが、本発明で採用した中空のスピンドル57は、止水機構部の通水空間とそれより下流側の器具内部通水空間を切り分け、下流側の器具内通水空間に至った異物が再び止水機構部へ戻るのを防止するようになっている。すなわち、スピンドル57に形成された上側の連通穴57aは、スピンドル57内に挿通されたロッドの端部よりある距離をおいて下方に設けられ、スピンドル57内上部に繊維性浮遊物の堆積空間63が形成される。繊維性浮遊物は、その性状からしてスピンドル57に形成された連通孔57a、57bから立ち上がり管47への移動性に劣るが、その浮遊性のため、また、上側の連通孔57aに絡む等して上側の堆積空間63に堆積し、下方へは落下しない。一方、固形粒状物は容易に連通孔57a、57bを通過し易く、スピンドル57内へ戻ることはない。そしてスピンドル57の周囲の下側の連通穴57bより下方に形成される固形粒状物堆積空間65に堆積される。この堆積空間65は、その下側に位置するガイドワッシャ61により、下側の弁室11側と仕切られており、ここに堆積した異物が下方へ移動することはない。すなわちガイドワッシャ61は、立ち上がり管47から弁室11へ通じる経路を上下に仕切っている。スピンドル57として円筒状部材が用いられた場合、例えばスピンドル押さえ45の内方フランジ45aを図示の例より内径を小さくし、これにより堆積空間65を下側の弁室11側と仕切るようにしてもよい。なお、連通孔は必ずしも2個設ける必要はなく、1個でもよいし、必要あれば3個以上も受けてもよい。但し、複数個設ける場合には、堆積した異物により下方の連通孔が塞がれても支承が無いように、高さ方向での位置を変えることが望ましい。
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明においては、ボール弁を回転させるためのスピンドルを中空とし、ボール弁の内部流路の二次側に通じる開口部において接続したので、水の流路面積が十分広く確保でき、また、水の流れ方向を横切る部材も存在しないのでスムーズな水の流れが確保でき、配管内に残留した異物の排出が容易に行える。
【0023】
ボール弁の回転範囲を規制する規制部材を、スピンドルの外周に取り付けたので、この部材が水の流れの障害となることはない。
【0024】
また、スピンドルの上端を閉じ、スピンドル内部と立ち上がり管内部とを連通する連通孔を上端より所定の距離だけ下方の位置でスピンドルの側壁に形成し、スピンドル内上部に繊維性浮遊物の堆積空間が画成され、さらに、スピンドル周囲に形成される立ち上がり管から弁室に通じる経路をその連通孔より下の位置で仕切る仕切り部材を設けて固形粒状物の堆積空間が画成されたので、排出できなかった異物もこれら堆積空間に堆積し、止水機構部を損傷することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る不凍水栓柱の要部の縦断面図である。
【図2】従来の不凍水栓柱の要部の縦断面図である。
【符号の説明】
21 不凍水栓柱
23 栓本体
25 弁室
27 流入口
29 立ち上がり管取付け部
31 ボール弁
39 内部流路
39a 横孔
39b 縦穴
41 排水孔
43 排水用逆止弁
57 スピンドル
57a、57b 連通穴
63 浮遊物堆積空間
65 固形粒状物堆積空間

Claims (4)

  1. 内部に形成された弁室と、流入口と、立ち上がり管接続部とを備えた栓本体と、前記立ち上がり管接続部に接続された立ち上がり管と、前記弁室に回転可能に配置され、前記流入口と前記立ち上がり管とを連通させるための内部流路と、一端において前記内部流路に通じた排水穴とを備えた弁体と、前記栓本体に取り付けられた排水栓と、前記立ち上がり管内から前記弁室に向かって延び、一端において前記弁体に一体回転可能に接続され、外部から操作可能なスピンドルとを備え、前記弁体を回転させることにより、前記流入口から前記立ち上がり管への通水が可能な通水状態と、前記流入口から前記立ち上がり管への通水を止め、且つ前記立ち上がり管から前記排水穴を介して前記排水栓への通水が可能な止水・排水状態とを切り換える水抜き不凍水栓柱において、前記スピンドルは、中空の管で構成され、その一端において前記弁体の前記内部流路の前記立ち上がり管側へ通じる開口部に接続され、前記立ち上がり管内に位置する部位において、前記立ち上がり管の内部に通じる連通孔が設けられ、さらに、前記スピンドルの周囲に形成される前記立ち上がり管から前記弁室に通じる経路を上下に仕切る仕切り部材が、前記連通孔より下方の位置に設けられていることを特徴とする、不凍水栓柱。
  2. 請求項1記載の不凍水栓柱において、前記スピンドルの回転範囲を規制する回転規制部材が、前記立ち上がり管取付け部において、前記スピンドルの外周に取り付けられていることを特徴とする、不凍水栓柱。
  3. 請求項1に記載の不凍水栓柱において、前記スピンドルの上端は閉じられ、前記連通孔は、前記スピンドルの側壁に、前記閉じられた上端から所定の距離を置いて下方に設けられていることを特徴とする、不凍水栓柱。
  4. 請求項2に記載の不凍水栓柱において、前記仕切り部材が、前記回転規制部材により構成されていることを特徴とする、不凍水栓柱。
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