JP4156546B2 - 感湿膜前駆体及び容量式湿度センサの製造方法 - Google Patents

感湿膜前駆体及び容量式湿度センサの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、容量式湿度センサに適用される感湿膜の感湿膜前駆体及び当該感湿膜前駆体を用いた容量式湿度センサの製造方法に関するものである。
従来、一対の電極間に、感湿膜として湿度に応じて誘電率が変化するポリイミドを介在させ、感湿膜の誘電率変化を電極間の容量変化として検出する容量式湿度センサが知られている。このような感湿膜として、例えば本出願人は特許文献1を開示している。
特許文献1に示される感湿膜(感湿素子)は、例えば化学式1に示すように、ポリイミドを構成する酸無水物とジアミンのうち、ジアミン側に少なくとも4つのベンゼン環(化学式1においては4つ)を有している。尚、化学式1において、nは重合度を示す繰り返し数である。
Figure 0004156546
このように分子鎖を長くすることによって、単位体積当たりに存在するイミド基の数を少なくし、加水分解に伴うセンサ出力のドリフトを小さくしている。また、ジアミン側にスルホニル基若しくはフルオロアルキル基(化学式1においてはフルオロアルキル基)を有しているので、隣接するポリマー間において分子間CT(charge transfer)錯体が形成されにくい。すなわち、ポリマー間のミクロボイドに存在する吸着水が自由に吸脱着されるので、高温高湿下におけるセンサ出力のドリフトがより小さくなる。
さらに、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の末端をアセチレンで終端させ、加熱してポリイミド形成を行うと、隣接するポリマー間のアセチレン同士が重合し、ベンゼン環(6員環)若しくはシクロオクタテトラエン(8員環)を形成する。この場合、ポリマーが3次元網目構造となり、体積膨張を起こしにくくなるので、高温高湿下における膨潤が抑制され、センサ出力のドリフトがより小さくなる。
このように、上記感湿膜は高温高湿下であっても良好な耐久性を示し、それによりセンサ出力のドリフトを小さくすることができる。
特開2003−232765号公報
ここで、上記感湿膜を備える容量式湿度センサの場合、感湿膜は基板に対して、アンカー効果とともに、水素結合(例えば基板表面に存在するヒドロキシル基と感湿膜のカルボニル基)によって密着しているものと考えられる。実際、本発明者は、基板と感湿膜との密着性を接触角により調査したところ、両者の間に水素結合が作用していることを確認している。
しかしながら、上記感湿膜を備える容量式湿度センサを、高温高湿雰囲気下で所定時間放置した後のセンサ出力を測定したところ、高湿側でセンサ出力値が実際の湿度よりも大きくなる(ドリフトする)現象が発生した。これは、高湿とすることにより、感湿膜内だけでなく、基板と感湿膜との間にも水分子が浸入し、当該水分子によって結合エネルギーの小さな水素結合が切断されたためであると考えられる。すなわち、水素結合の切断により、基板と感湿膜との距離が初期状態よりも長くなり(すなわち隙間が生じる)、基板と感湿膜との間に初期状態よりも多くの水分子を保持可能となったためであると考えられる。
本発明は上記問題点に鑑み、基板に対する感湿膜の密着性を向上できる感湿膜前駆体及び容量式湿度センサの製造方法を提供することを目的とする。
以下、請求項1〜4に記載の発明は、上記目的を達成するための感湿膜前駆体に関する発明である。
請求項1に記載の感湿膜前駆体は、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸、トリアルコキシシラン系化合物をモル比1:0.01〜0.5で混合し、ポリアミド酸にトリアルコキシシラン系化合物を共有結合させてなることを特徴とする。
トリアルコキシシラン系化合物は所謂シランカップリング剤であり、加水分解性基であるアルコキシル基と、有機物であるポリアミド酸と共有結合する官能基とを一分子中に有している。従って、ポリアミド酸にトリアルコキシシラン系化合物を共有結合させてなる感湿膜前駆体は、アルコキシル基を加水分解してなるヒドロキシル基(シラノ−ル基)により、容量式湿度センサを構成する基板と、水素結合よりも結合エネルギーの強い共有結合を形成することができる。すなわち、本発明の感湿膜前駆体によれば、基板に対する感湿膜の密着性を従来よりも向上することができる。
トリアルコキシシラン系化合物は所謂シランカップリング剤であり、加水分解性基であるアルコキシル基と、有機物であるポリアミド酸と共有結合する官能基とを一分子中に有している。従って、ポリアミド酸にトリアルコキシシラン系化合物を共有結合させてなる感湿膜前駆体は、アルコキシル基を加水分解してなるヒドロキシル基(シラノ−ル基)により、容量式湿度センサを構成する基板と、水素結合よりも結合エネルギーの強い共有結合を形成することができる。すなわち、本発明の感湿膜前駆体によれば、基板に対する感湿膜の密着性を従来よりも向上することができる。また、本発明では、ポリアミド酸とトリアルコキシシラン系化合物とのモル比を1:0.01〜0.5とするので、感湿膜としての要求特性を満たしつつ、基板に対する感湿膜の密着性を向上することができる。
トリアルコキシシラン系化合物は、請求項2に記載のように、ポリアミド酸のカルボキシル基と反応して、共有結合を形成していても良い。また、ポリアミド酸がその末端にカルボン酸無水物を有する場合、請求項3に記載のように、カルボン酸無水物と反応し、カルボン酸無水物を開環させて、共有結合を形成していても良い。
その際、ポリアミド酸と共有結合する官能基としては、例えば請求項4に記載のように、アミノ基若しくはエポキシ基を適用することができる。それ以外にも、ポリアミド酸と共有結合する官能基(例えば二重結合を有するもの)であれば適用が可能である。
次いで、請求項5〜11に記載の発明は、請求項1〜4に記載の感湿膜前駆体を用いた容量式湿度センサの製造方法に関する発明である。
請求項5に記載の発明は、基板上の同一平面に、離間して対向する一対の電極を形成する電極形成工程と、加熱処理することにより湿度に応じて誘電率が変化する感湿膜となる感湿膜前駆体を準備する準備工程と、感湿膜前駆体を一対の電極及び一対の電極間を覆うように基板上に堆積させ、加熱処理して感湿膜を形成する感湿膜形成工程とを備える容量式湿度センサの製造方法に関する発明である。そして、準備工程において、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸、トリアルコキシシラン系化合物をモル比1:0.01〜0.5で混合し、ポリアミド酸にトリアルコキシシラン系化合物を共有結合させて、感湿膜前駆体を形成することを特徴とする。
このように本発明の容量式湿度センサの製造方法によると、ポリアミド酸にトリアルコキシシラン系化合物を共有結合させて感湿膜前駆体を形成し、当該感湿膜前駆体を基板上に堆積させ、加熱処理して感湿膜を形成する。従って、形成された容量式湿度センサにおいて、基板と感湿膜が互いに共有結合を形成するので、従来よりも、基板に対する感湿膜の密着性を向上することができる。特に本発明では、ポリアミド酸とトリアルコキシシラン系化合物とのモル比を1:0.01〜0.5として感湿膜前駆体を形成するので、感湿膜としての要求特性を満たしつつ、基板に対する感湿膜の密着性を向上することができる。
また、本発明の製造方法によると、基板に対する感湿膜の密着性が向上されるので、基板と感湿膜との間に水分子が浸入してきても、基板と感湿膜との間の距離を初期状態の距離にほぼ維持する(すなわち隙間を生じない)ことができる。すなわち、基板と感湿膜との間に水分子が浸入しやすい高湿側においても、正確な湿度を検出することができる。
請求項6〜8に記載の発明の作用効果は、請求項2〜4に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
請求項9に記載のように、基板は半導体基板であり、電極形成工程において、電極は酸化シリコンからなる絶縁膜を介して基板上に形成されても良い。基板は、ガラス基板等の絶縁基板を用いることが可能である。しかしながら、絶縁膜を備える半導体基板を用いることで、半導体プロセスによってセンサを形成することができる。従って、製造コストを低減することができる。
請求項10に記載のように、電極形成工程後、一対の電極及び一対の電極間を覆うように、基板上に窒化シリコンからなる保護膜を形成する保護膜形成工程をさらに備え、感湿膜形成工程において、感湿膜前駆体は保護膜上に堆積されても良い。この場合、水分から電極を確実に保護することが可能となり、各電極の水分に対する耐食性が向上される。
請求項11に記載のように、電極形成工程において、一対の電極は互いに噛み合うように櫛歯状に形成されることが好ましい。この場合、一対の電極間の対向面積を大きくできるので、電極間の静電容量の変化量を大きくすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態における感湿膜前駆体、及び、当該感湿膜前駆体を用いた容量式湿度センサの製造方法について説明する前に、先ず、感湿膜前駆体を用いて形成される容量式湿度センサについて、図1を用いて説明する。図1は容量式湿度センサの概略構成を示す断面図である。
図1において、符号10は基板としての半導体基板であり、本実施形態においてはシリコンから形成されている。そして、半導体基板10の上面に、絶縁膜として酸化シリコン膜20が形成されている。そして、一対の電極31,32が、酸化シリコン膜20上の同一平面において、離間して対向配置されている。
電極31,32の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、それぞれの電極31,32が、共通電極部と、この共通電極部から一方向に延びる複数の櫛歯電極部とにより構成される。そして、一対の電極31,32の各櫛歯電極部が交互に並んで配置されるように、一対の電極31,32が配置されている。尚、図1においては、電極31,32として、上述の櫛歯電極部を図示している。このように、一対の電極31,32の形状として櫛歯形状を採用することにより、電極31,32の配置面積を小さくしつつ、互いに対向する面積を大きくすることができる。これにより、周囲の湿度変化に伴って変化する電極31,32間の静電容量の変化量が大きくなり、容量式湿度センサ100の感度が向上する。
電極31,32は、例えばアルミ、銅、金、白金等の低抵抗金属材料を半導体基板10上に蒸着やスパッタリング等の手法によって付着させ、その後、フォトリソグラフィー処理により、櫛歯状パターンにパターニングすることによって形成される。本実施形態において、電極31,32はアルミを用いて形成されている。それ以外にも、ポリシリコンや単結晶シリコンに不純物を導入することにより形成することもできる。
これら一対の電極31,32を覆うように、半導体基板10上に保護膜として窒化シリコン膜40が形成されている。この窒化シリコン膜40は、例えばプラズマCVD法等により、半導体基板10上の各部において同じ厚さをもつように堆積形成される。但し、電極31,32に水分に対する耐食性がある場合には、窒化シリコン膜40を形成しなくとも良い。
尚、電極31,32には、その端部に外部接続端子としてのパッド部(図示せず)が形成されており、当該パッド部を介して、出力を補正する補正回路や静電容量の変化量を検出するための信号処理回路等と電気的に接続されている。このパッド部は、補正回路等との接続のため露出されている必要があり、窒化シリコン膜40によっては被覆されていない。また、本実施形態においては、容量式湿度センサ100を構成する基板として半導体基板10を採用しているので、上述した補正回路等を同一基板上に形成することも可能である。
窒化シリコン膜40上には、一対の電極31,32及び電極31,32間を覆うように、ポリイミドからなる吸湿性を備えた感湿膜50が形成されている。感湿膜50は、ポリアミド酸を基本骨格とする感湿膜前駆体を、スピンコート法や印刷法にて半導体基板10の最表面である窒化シリコン膜40上に堆積させた後、所定温度で加熱して硬化(イミド化)させることにより形成することができる。
このように構成される容量式湿度センサ100において、感湿膜50中に水分が浸透すると、水分は誘電率が大きいため、その浸透した水分量に応じて、感湿膜50の誘電率が変化する。その結果、感湿膜50を誘電体の一部として一対の電極31,32によって構成されるコンデンサの静電容量が変化する。感湿膜50内に含まれる水分量は、容量式湿度センサ100の周囲の湿度に対応するため、一対の電極31,32間の静電容量から湿度を検出することができる。
ここで、ポリイミド(例えば化学式2に示すような分子構造を有する)を感湿膜とする従来の容量式湿度センサ100においては、感湿膜50は半導体基板10に対して、アンカー効果とともに、水素結合によって密着しているものと考えられる。尚、化学式2において、nは重合度を示す繰り返し数である。
Figure 0004156546
実際、本発明者は、半導体基板10と感湿膜50との密着性を接触角により調査したところ、両者の間に水素結合が作用していることを確認している。特に、水分存在下(例えば雰囲気中の水分又は半導体基板10表面の吸着水)において、無機物である半導体基板10の表面(本実施形態においては窒化シリコン膜40)には複数のヒドロキシル基が存在していると考えられるので、上述の水素結合は、例えば半導体基板10の表面のヒドロキシル基と感湿膜50のカルボニル基(イミド基内)との間に作用し、半導体基板10と感湿膜50とをより密着させているものと考えられる。
しかしながら、化学式2に示す感湿膜50を備える容量式湿度センサ100を、高温高湿雰囲気下で所定時間放置した後のセンサ出力を測定したところ、高湿側でセンサ出力値が実際の湿度よりも大きくなる(ドリフトする)現象が発生した。これは、高湿とすることにより、感湿膜50内だけでなく、半導体基板10と感湿膜50との間にも水分子が浸入し、当該水分子によって結合エネルギーの小さな水素結合が切断されたためであると考えられる。すなわち、水素結合の切断により、半導体基板10と感湿膜50との距離が初期状態よりも長くなり(すなわち隙間が生じる)、半導体基板10と感湿膜50との間に初期状態よりも多くの水分子を保持可能となったためであると考えられる。
それに対し、本実施形態においては、感湿膜前駆体として、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸にトリアルコキシシラン系化合物を共有結合させてなるものを適用している。その構成材料であるトリアルコキシシラン系化合物は、化学式3に示す構造を有している。
Figure 0004156546
トリアルコキシシラン系化合物は所謂シランカップリング剤と呼ばれるものであり、化学式3に示すように、半導体基板10と共有結合を形成する加水分解性基としてアルコキシル基(−OR)を有している。また、化学式3における側鎖αに、ポリアミド酸と共有結合を形成可能な官能基を有している。官能基としては、ポリアミド酸と反応して共有結合を形成するものであれば良く、例えばアミノ基、エポキシ基、その他二重結合を有するもの等を適用することができる。本実施形態においては、アルコキシル基としてメトキシ基を有し、官能基としてアミノ基を有するアミノプロピルトリメトキシシラン(化学式4)を適用した。
Figure 0004156546
また、感湿膜50の基本骨格となるポリアミド酸の構造は特に限定されるものではなく、酸無水物とジアミンから構成されれば良い。本実施形態においては、化学式5に示す分子構造のものを適用した。尚、化学式5において、nは重合度を示す繰り返し数である。
Figure 0004156546
このように、ジアミン側に少なくとも4つのベンゼン環(化学式5においては4つ)を有していると、分子鎖が長くなり、結果として感湿膜50形成時において単位体積当たりに存在するイミド基の数が少なくなる。すなわち、感湿膜50自体の加水分解を抑制することができる。
また、ジアミン側に少なくとも1つのスルホニル基若しくはフルオロアルキル基(化学式5においては1つのフルオロアルキル基)を有していると、隣接するポリマー間において分子間CT(charge transfer)錯体が形成されにくくなる。すなわち、ポリマー間のミクロボイドに存在する吸着水が自由に吸脱着されるので、高温高湿下におけるセンサ出力のドリフトをより小さくすることができる。
尚、ポリアミド酸の末端をアセチレンで終端させておくと、加熱してポリイミドを形成する際に、隣接するポリマー間のアセチレン同士が重合し、ベンゼン環(6員環)若しくはシクロオクタテトラエン(8員環)を形成する。この場合、感湿膜50を構成するポリイミドポリマーが3次元網目構造となり、体積膨張を起こしにくくなる。すなわち、高温高湿下における膨潤が抑制され、センサ出力のドリフトをより小さくすることができる。
そして、本実施形態においては、化学式4に示す構造のトリアルコキシシラン系化合物と化学式5に示す構造のポリアミド酸を反応させて、感湿膜50の前駆体である感湿膜前駆体を形成した。その分子構造の一例を化学式6に示す。化学式6において、nは重合度を示す繰り返し数である。
尚、トリアルコキシシラン系化合物のアルコキシル基は常温で容易に加水分解されるので、化学式6においても加水分解されてヒドロキシル基(シラノール基)となった状態を示している。また、感湿膜前駆体の製造方法の詳細については後述する。
Figure 0004156546
この感湿膜前駆体を半導体基板10(実際は窒化シリコン膜40)上に堆積させ、所定温度で加熱すると、感湿膜前駆体内で脱水縮合(イミド化)が進行し、感湿膜50(ポリイミド)が形成される。それとともに、化学式6に示す感湿膜前駆体側鎖(トリアルコキシシラン系化合物側)のヒドロキシル基(シラノール基)が例えば半導体基板10表面のヒドロキシル基と脱水縮合し、図2に示すようにシロキサン結合を形成する。尚、図2は、感湿膜50と窒化シリコン膜40(半導体基板10)との接続構造を説明するための模式図である。図2において、感湿膜50のうち、本実施形態の特徴部分のみを図示している。
従って、本実施形態に示す感湿膜前駆体を用いて感湿膜50を形成すれば、半導体基板10と感湿膜50とを、水素結合よりも結合エネルギーの強い共有結合にて接続することができる。すなわち、半導体基板10に対する感湿膜50の密着性を向上することができる。
また、本実施形態に示す感湿膜前駆体を用いて形成された感湿膜50は、半導体基板10に対する密着性に優れているので、半導体基板10と感湿膜50との間に水分子が浸入しても、水素結合のように切断されることなく、半導体基板10と感湿膜50との間の距離を初期状態の距離にほぼ維持する(すなわち隙間を生じない)ことができる。すなわち、半導体基板10と感湿膜50との間に水分子が浸入しやすい高湿側においても、容量式湿度センサ100は正確な湿度を検出することができる。
また、本実施形態に示す感湿膜前駆体を用いれば、図2に示すように、隣接する側鎖(トリアルコキシシラン系化合物)間においてもシロキサン結合を形成することが可能である。従って、感湿膜50自体の耐久性、すなわち容量式湿度センサ100の耐久性も向上される。しかしながら、隣接する側鎖間において、シロキサン結合が形成されない構成であっても良い。
尚、化学式6に示すように、トリアルコキシシラン系化合物はポリアミド酸の一部のカルボキシル基と反応して、共有結合を形成している。より多くのポリアミド酸のカルボキシル基とトリアルコキシシラン系化合物が反応するほど、半導体基板10の表面(窒化シリコン膜40)に対する感湿膜50の密着性が向上する。しかしながら、その分イミド結合が減少するので、感湿膜50としての要求特性(感湿特性等)を満たさなくなる恐れがある。従って、感湿膜50が要求特性を満たすように、トリアルコキシシラン系化合物とポリアミド酸とを所定比率で反応させることが好ましい。
次に、本実施形態における容量式湿度センサ100の製造方法について、図1及び図2を用いて説明する。尚、本実施形態の特徴部分である感湿膜前駆体及び感湿膜50の形成工程を重点的に説明する。
図1に示すように、先ず、熱酸化やCVD法等により、半導体基板10の表面に酸化シリコン膜20を形成する。そして、当該酸化シリコン膜20上に、電極31,32をAl等を用いてスパッタ法や蒸着法にてパターニング形成し、電極31,32及び電極31と電極32との間を覆うようにプラズマCVD法等により窒化シリコン膜40を形成する。ここまでの製造方法は、従来の製造方法と同様である。
また、感湿膜50の形成までに、感湿膜50の前駆体である感湿膜前駆体を準備する準備工程が実施される。先ず、感湿膜前駆体の基本骨格となるカルボン酸二無水物とジアミンを所定の比率で混合し、反応(アミド化)させてポリアミド酸を形成する。そして、ポリアミド酸とトリアルコキシシラン系化合物を所定の比率で混合することにより、トリアルコキシシラン系化合物の官能基とポリアミド酸のカルボキシル基が反応(共有結合を形成)してなる感湿膜前駆体が形成される。尚、トリアルコキシシラン系化合物のアルコキシル基は常温で容易に加水分解されるので、感湿膜前駆体の時点でヒドロキシル基(シラノール基)となっている。
感湿膜前駆体の形成後、この感湿膜前駆体を用いて感湿膜50を形成する感湿膜形成工程が実施される。先ず、感湿膜前駆体をグラスフィルター等を用いて圧ろ過し、Nーメチルピロリドン(以下NMPと示す)等の溶媒で濃度調整する。そして、ワニス状の感湿膜前駆体溶液を、例えばスピンコート法にて窒化シリコン膜40上に塗布し、所定温度で加熱する。その結果、感湿膜前駆体内で脱水縮合(イミド化)が進行し、感湿膜50(ポリイミド)が形成される。また、上記イミド化とともに、感湿膜前駆体側鎖(トリアルコキシシラン系化合物側)のヒドロキシル基(シラノール基)が例えば半導体基板10表面のヒドロキシル基と脱水縮合し、図2に示すようなシロキサン結合が形成される。尚、感湿膜前駆体の塗布方法は上記スピンコート法に限定されるものではなく、それ以外にも印刷法等を適用することができる。このように、上述の製造方法によれば、通常の半導体プロセスを利用して、本実施形態における容量式湿度センサ100を製造することができる。
本実施形態においては、化学式7に示す分子構造のカルボン酸二無水物を例えば120℃で3時間Arパージし、その後室温まで放冷した。そして、NMPを溶剤として室温で約2時間攪拌し、所定濃度のカルボン酸二無水物溶液を得た。
Figure 0004156546
次に、化学式8に示す分子構造のジアミンを、カルボン酸二無水物とのモル比がほぼ1対1となるように、NMPを溶剤として濃度調整した。そして、カルボン酸二無水物溶液とジアミン溶液を混合し、常温で反応させた。
Figure 0004156546
これにより、化学式5に示す分子構造を有するワニス状のポリアミド酸を得た。そして、ポリアミド酸とトリアルコキシシラン系化合物とのモル比が、所定の比率(例えば1対0.01〜0.5)となるように、化学式4に示す分子構造のアミノプロピルトリメトキシシランを、水を用いて濃度調整した。そして、アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液とワニス状のポリアミド酸を混合し、反応(例えば50℃で30分〜1時間攪拌)させることにより、化学式6に示す分子構造の感湿膜前駆体を形成した。そして、当該感湿膜前駆体を用いて、窒化シリコン膜40上に感湿膜50を形成した。
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、種々変更して実施する事ができる。
本実施形態において、シリコンからなる半導体基板10を基板として採用し、酸化シリコン膜20を介して、半導体基板10上に電極31,32を形成する例を示した。このように基板として半導体基板10を用いると、一般的な半導体プロセスにより、容量式湿度センサ100を形成することができるので、製造コストを低減することができる。しかしながら、基板としては、ガラス基板等の絶縁基板を適用することも可能である。
また、保護膜としての窒化シリコン膜40上に感湿膜50を形成する例を示した。しかしながら、窒化シリコン膜40を形成しない場合には、酸化シリコン膜20上に感湿膜50を形成することも可能である。また、基板がガラス基板等の無機絶縁基板の場合には、絶縁基板上に直接感湿膜50を形成することも可能である。
また、本実施形態においては、容量式湿度センサ100の製造方法として、ポリアミド酸側鎖のカルボキシル基とトリアルコキシシラン系化合物の官能基が反応して、トリアルコキシシラン系化合物がポリアミド酸に共有結合してなる感湿膜前駆体が形成される例を示した。しかしながら、カルボン酸二無水物とジアミンの混合比率によっては、ポリアミド酸末端が無水カルボン酸となる場合もある。従って、トリアルコキシシラン系化合物は、ポリアミド酸側鎖のカルボキシル基だけでなく、ポリアミド酸末端の無水カルボン酸と反応してカルボン酸無水物を開環させ、共有結合を形成することも可能である。
本発明の第1の実施形態における容量式湿度センサの概略構成を示す断面図である。 感湿膜と窒化シリコン膜(半導体基板)との接続構造を説明するための模式図である。
符号の説明
10・・・半導体基板(基板)
20・・・酸化シリコン膜(絶縁膜)
31,32・・・電極
40・・・窒化シリコン膜(保護膜)
50・・・感湿膜(ポリイミド)
100・・・容量式湿度センサ

Claims (11)

  1. ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸、トリアルコキシシラン系化合物をモル比1:0.01〜0.5で混合し、前記ポリアミド酸に前記トリアルコキシシラン系化合物を共有結合させてなることを特徴とする感湿膜前駆体。
  2. 前記トリアルコキシシラン系化合物は、前記ポリアミド酸のカルボキシル基と反応し、前記ポリアミド酸と共有結合していることを特徴とする請求項1に記載の感湿膜前駆体。
  3. 前記トリアルコキシシラン系化合物は、前記ポリアミド酸末端のカルボン酸無水物と反応し、前記カルボン酸無水物を開環させて前記ポリアミド酸と共有結合していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の感湿膜前駆体。
  4. 前記トリアルコキシシラン系化合物は、前記ポリアミド酸と共有結合する官能基として、アミノ基若しくはエポキシ基を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の感湿膜前駆体。
  5. 基板上の同一平面に、離間して対向する一対の電極を形成する電極形成工程と、
    加熱処理することにより湿度に応じて誘電率が変化する感湿膜となる感湿膜前駆体を準備する準備工程と、
    前記感湿膜前駆体を前記一対の電極及び前記一対の電極間を覆うように前記基板上に堆積させ、加熱処理して前記感湿膜を形成する感湿膜形成工程とを備える容量式湿度センサの製造方法であって、
    前記準備工程において、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸、トリアルコキシシラン系化合物をモル比1:0.01〜0.5で混合し、前記ポリアミド酸に前記トリアルコキシシラン系化合物を共有結合させて、前記感湿膜前駆体を形成することを特徴とする容量式湿度センサの製造方法。
  6. 前記トリアルコキシシラン系化合物は、前記ポリアミド酸のカルボキシル基と脱水縮合し、前記ポリアミド酸に共有結合されることを特徴とする請求項5に記載の容量式湿度センサの製造方法。
  7. 前記トリアルコキシシラン系化合物は、前記ポリアミド酸末端のカルボン酸無水物と反応し、前記カルボン酸無水物を開環させて前記ポリアミド酸に共有結合されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の容量式湿度センサの製造方法。
  8. 前記トリアルコキシシラン系化合物は、前記ポリアミド酸と共有結合する官能基として、アミノ基若しくはエポキシ基を有することを特徴とする請求項5〜7いずれか1項に記載の容量式湿度センサの製造方法。
  9. 前記基板は半導体基板であり、前記電極形成工程において、前記電極は酸化シリコンからなる絶縁膜を介して前記基板上に形成されることを特徴とする請求項5〜8いずれか1項に記載の容量式湿度センサの製造方法。
  10. 前記電極形成工程後、前記一対の電極及び前記一対の電極間を覆うように、前記基板上に窒化シリコンからなる保護膜を形成する保護膜形成工程をさらに備え、前記感湿膜形成工程において、前記感湿膜前駆体は前記保護膜上に堆積されることを特徴とする請求項5〜9いずれか1項に記載の容量式湿度センサの製造方法。
  11. 前記電極形成工程において、前記一対の電極は互いに噛み合うように櫛歯状に形成されることを特徴とする請求項5〜10いずれか1項に記載の容量式湿度センサの製造方法。
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