JP4254476B2 - 半導体センサ - Google Patents

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本発明は、半導体基板に形成された薄膜部と、当該薄膜部に形成されたヒータ部を含む配線部と、半導体基板上に形成され、配線部と電極としてのパッド部とを電気的に接続する引出し配線部とを備える半導体センサに関するものである。
従来、半導体基板に形成された薄膜部(メンブレン)と、当該薄膜部に形成されたヒータ部を含む配線部と、半導体基板上に形成され、配線部と電極としてのパッド部とを電気的に接続する引出し配線部とを備える半導体センサとして、例えば熱式流量センサがある。
このセンサは、ヒータ部の生じる熱が、ヒータ部近傍を通過する流体によって奪われることを利用して、流体の流量を検出する構成となっている。このような熱式流量センサとして、半導体基板上に、ヒータ部(発熱抵抗体)から電極(端子電極)までの配線材料に金属を用いたものがある(特許文献1参照)。また、ヒータ部(ヒータ線)の構成材料である多結晶シリコン膜をそのまま延長し、引出し配線部(引出し線部)としたものもある(特許文献2参照)。
特開平11−83580号公報 特許2880651号
熱式流量センサにおいては、検出精度の向上を図るために、薄膜部をできるだけ薄く形成するとともに、他の部分の抵抗が低くなるような構造が要求される。
また、薄膜部は、測定対象となる流体に曝されることとなる。従って、熱式流量センサが、例えば自動車エンジンの吸入空気量測定用として使用される場合、エアクリーナを通過したダストがセンサ表面に衝突する。また、EGR(Exhaust Gas Recirculation)システムを採用している場合には、吸入側の流路に戻された排気ガス中の成分(例えば酸成分)や、塩水雰囲気(車両が海岸沿いを走行の場合)に曝されることとなる。従って、そのような測定対象下において損傷しない耐久性が要求される。
しかしながら、特許文献1に記載されたものでは、エアクリーナを通過してきた空気中に含まれるダストがセンサに衝突した際に、配線材料表面に設けられた保護膜に貫通キズが生じ、配線材料としての金属が空気に触れて腐食される恐れがある。
また、特許文献2に記載されたものでは、配線材料として多結晶シリコン膜を用いているので、腐食に対する耐性は有する。しかしながら、ヒータ部(ヒータ線)の構成材料である多結晶シリコン膜をそのまま延長し、引出し配線部としているので、設計上引出し配線部の厚膜化を図ることが難しく、またセンサのサイズ増大に繋がるため、配線幅を広げることも困難である。このため、引出し配線部を低抵抗化することが困難であり、検出精度が低下する恐れがある。
本発明は上記問題点に鑑み、薄膜部の耐久性と検出精度の両方を確保できる半導体センサを提供することを目的とする。
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の半導体センサは、半導体基板に形成された薄膜部と、当該薄膜部に形成されたヒータ部を含む配線部と、半導体基板上に形成され、配線部と電極としてのパッド部とを電気的に接続する引出し配線部とを備える。そして、配線部がシリコン膜により構成され、引出し配線部が低抵抗金属材料により構成されるとともに、引出し配線部形成領域を除き、且つ、少なくとも薄膜部を含む基板部位が、測定対象下に配置されることを特徴とする。
このように、本発明の半導体センサによると、ヒータ部とパッド部との間を電気的に接続する配線を、測定対象下に配置される部位と測定対象下外に配置される部位との2つに分割し、それぞれを異なる材料を用いて形成している。具体的には、少なくとも一部が測定対象下に配置される配線部が、耐久性に優れるシリコン膜により構成され、測定対象下外に配置される引出し配線部が、シリコン膜よりも抵抗値の低い低抵抗金属材料により構成される。従って、苛酷な使用環境下においても、薄膜部の耐久性を確保することができ、配線を構成する引出し配線部の抵抗値を極力低くしているので、検出精度を確保することができる。
より具体的には、請求項2に記載のように、測定対象を含む測定対象領域を定める部材に対して、請求項1に記載の基板部位が測定対象領域内に露出し、引出し配線部形成領域が測定対象領域外となるように、半導体基板を配置することが好ましい。測定対象は部材によって定められた測定対象領域内に存在しており、当該測定対象領域内に少なくとも薄膜部を含む基板部位が配置され、測定対象領域外に引出し配線部形成領域が配置される。従って、配線部が測定対象に曝され、引出し配線部は測定対象に曝されないので、検出精度を確保することができる。
配線部を構成するシリコン膜としては、例えば請求項3に記載のように、多結晶シリコン膜がある。この場合、一般的な半導体製造技術により形成することができる。
請求項4に記載のように、配線部が半導体基板表面に沿って伸延して設けられ、引出し配線部の全形成領域が配線部の形成領域上に設けられていることが好ましい。
配線部と引出し配線部とが所定量重なって接続されている場合、配線部の端部段差において、引出し配線部のカバレッジ不足が生じる。しかしながら、引出し配線部の全形成領域が配線部の形成領域上に設けられているので、カバレッジ不足の問題を解消することができる。
また、引出し配線部の全形成領域が配線部の形成領域上に設けられているので、配線部と引出し配線部との接続部を複数箇所あるいは広い接続面積をもって設けることができる。従って、引出し配線部をより低抵抗化することができる。
請求項5に記載のように、配線部との接続部を除く引出し配線部の直下に、BPSG膜を備えると良い。
BPSG(Boron−doped Phospho−Silicate Glass)膜は高温で熱処理することにより、配線部の端部段差においてなだらかな形状とすることができる。従って、引出し配線部の全形成領域が配線部の形成領域上に設けられていなくとも、引出し配線部のカバレッジ不足の問題を解消することができる。
尚、半導体基板は、請求項6に記載のように、薄膜部形成面の裏面側に開口していても良いし、請求項7に記載のように、薄膜部形成面側に開口していても良い。また、両表面が開口したものであっても良い。
請求項8に記載のように、引出し配線部の形成領域を覆うように保護材が設けられていると良い。引出し配線部は測定対象下外に配置されてはいるものの、低抵抗金属材料に形成されている。従って、保護材により保護された状態であると好ましい。
また、半導体センサとしては、例えば請求項9に記載のように、測定対象としての流体の通路内に、請求項1に記載の基板部位が配置され、ヒータ部から流体へ伝わる熱量に基づいて流体の流量を検出するものであっても良い。請求項1〜8いずれかに記載の半導体センサは、熱式流量センサとして好適である。しかしながら、それ以外にも、ガスセンサ等に適用が可能である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。尚、本実施の形態においては、半導体センサとして、熱式流量センサを例にとり、以下に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態における熱式流量センサを車載内燃機関の吸気管に配置した状態を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形形態における熱式流量センサ10は、その一部が車載内燃機関の吸気管100内に配置されるように、吸気管100の所定位置に設けられた図示されない取付け部に取り付けられている。尚、吸気管100が特許請求の範囲で示す部材に該当し、その吸気管100内の流路が測定対象領域に該当する。
熱式流量センサ10は、吸気管100内に配置された部分に、薄膜部としてのメンブレン20を有しており、当該メンブレン20にて吸気管100内を流通する空気の流量を検出する。尚、その詳細については後述する。
また、その一端に電極としてのパッド部30(図1においては6個)を有しており、メンブレン20に設けられた図示されないヒータ部と当該パッド部30とは、図示されない配線により電気的に接続されている。そして、パッド部30からボンディングワイヤ31によって、熱式流量センサ10の感知結果に基づき電気信号を生成・処理する回路基板40に電気的に接続されている。尚、図1においては、便宜上、パッド部30が露出した状態を図示しているが、実際にはゲル等の保護材料により保護されたり、若しくはモールドケース内に収納されている。
吸気管100には、左方に図示しないエアフィルタが設けられ、右方に図示しない内燃機関が設けられており、エアフィルタを通過した測定対象としての空気が、吸気管100内を流通する。ここで、EGRシステムを採用している場合には、エンジンから排出される排気ガスが再循環されるので、エアフィルタを通過した空気には、外気とともに、排気ガス中の硫酸等の酸性分が含まれる。また、車両が海岸沿いを走行した場合には、エアフィルタを通過した外気中に塩水成分が含まれる。従って、エアフィルタを通過したダストや上記酸成分、塩水成分等を含む吸入空気が、吸気管100内に配置された熱式流量センサ10のメンブレン20に衝突しながら流通している。尚、図1において、熱式流量センサ10は吸気管100に対してメンブレン20の面方向に沿って左側から空気が流通するように配置される例を示したが、その配置は本例に限定されるものではない。吸気管100内に二次流路を形成する流路部材が取り付けられ、当該流路部材内に熱式流量センサ10を配置しても良い。
次に、熱式流量センサ10の概略構成を、図2を用いて説明する。図2は、図1に示した熱式流量センサ10の拡大図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面における断面図である。尚、図2(a),(b)において、二点鎖線を境界として矢印方向の部位が、図1に示した吸気管100内に配置される部位である。また、図2(a)においては、便宜上、配線部及び引出し配線部を透過させて図示している。
図2(b)に示すように、単結晶シリコン等からなる半導体基板11は、薄膜部であるメンブレン20形成位置に対応して、開口部12を有している。本実施形態において、開口部12は、半導体基板10の下面側において、図2(a)に一点鎖線にて示されるような矩形状の領域をもって開口されており、この開口面積が半導体基板10の上面側へ行くほど縮小され、半導体基板10の上面では、図2(a)に破線にて示されるような矩形状の領域となっている。従って、メンブレン20は、開口部12の上面を架橋するように形成されており、熱式流量センサ10の他の部位と比べて膜厚が薄く形成されているので、熱容量が低く抑えられ、他の部位との熱的な絶縁が確保されている。尚、破線で囲まれる半導体基板10上面の開口領域は、メンブレン20形成領域と同等であるので、図2(a)において、破線で囲まれる領域をメンブレン20形成領域とする。
半導体基板11の下面には、窒化シリコン膜13を有している。また、半導体基板11の上面には、絶縁膜14(例えば窒化シリコン膜)が形成されており、当該絶縁膜14上には、酸化シリコン膜15が設けられている。
そして、酸化シリコン膜15上には、多結晶シリコン膜からなる配線部16が所定形状を持って形成されている。この配線部16は、メンブレン20の形成部位に設けられた一対のヒータ部16aと、温度を検出する一対の感温部16bと、これらと後述する引出し配線部とを繋ぐリード部16cとにより構成される。
本実施形態においては、ヒータ部16aは、電流の供給によって発熱する発熱体としての機能に加えて、ヒータ部16aの抵抗温度係数の変化に基づいて、自身の温度をも感知する。そして、上流側(エアフィルタ側)のヒータ部16aと下流側(内燃機関側)のヒータ部16aとの生じる熱のうち、流通する空気によって奪われる熱に基づき流量を感知する。また、上流側のヒータ部16aと下流側のヒータ部16aとのそれぞれに生じる熱のうち、空気によって奪われる熱量の差に基づき、空気の流通方向を感知する。
また、上流側のヒータ部16a及び上流側感温体16bの温度差と、下流側のヒータ部16a及び下流側感温体16bとの温度差とに基づき、ヒータ部16aに供給される電流量が制御される。
配線部16上には、例えば窒化シリコン膜からなる保護膜17が形成されている。この保護膜17は、積層方向において、配線部16と引出し配線部とが重なる位置に、開口部を有しており、当該開口部内及び保護膜17を覆うようにAu,Al等の低抵抗金属材料からなる引出し配線部18が形成されている。従って、上記開口部形成位置が、配線部16と引出し配線部18との接続部19である。
また、引出し配線部18の端部には、電極としてのパッド部30が形成されており、当該パッド部30からボンディングワイヤ31によって、回路基板40に電気的に接続されている。尚、パッド部30とボンディングワイヤ31との接続部を含む引出し配線部18の形成領域には、図2(b)に示すように、ゲル等の保護材32が設けられている。そして、熱式流量センサ10は、図示されないモールドケースに固定されて、吸気管100に取り付けられている。尚、保護材32の代わりに、直接モールドケースにより保護される構成であっても良い。また、保護材32が、吸気管100の少なくとも一部を構成するものであっても良い。
以上のように構成される熱式流量センサ10は、メンブレン20を構成するヒータ部16aを含む配線部16を耐腐食性を有する多結晶シリコン膜により形成して、測定対象領域である吸気管100内に配置し、引出し配線部18を多結晶シリコン膜よりも抵抗値の低い低抵抗金属材料により形成し、吸気管100外に配置する構成としている。従って、メンブレン20を、ダストが流入する雰囲気や酸等が流入する雰囲気などの苛酷な使用環境に曝して使用する場合でも、耐久性と検出精度の両方を確保することができる。
次に、上記構成の熱式流量センサ10の製造方法の概略を、図3(a)〜(e)に示す工程別断面図を用いて説明する。
先ず、図3(a)に示すように、単結晶シリコンからなる半導体基板11の上面に、CVD法により窒化シリコン膜からなる絶縁膜14を全面に形成する。この絶縁膜14が後述する半導体基板11のエッチングの際に、エッチングストッパとなる。尚、絶縁膜14は、メンブレン20を構成する要素であるため、膜応力を制御して形成することが重要である。このため、必要に応じて例えば窒化シリコン膜と酸化シリコン膜からなる複合膜として形成しても良い。
そして、絶縁膜14を覆うように酸化シリコン膜15をCVD法により形成する。この酸化シリコン膜15は、その直上に形成される多結晶シリコン膜からなる配線部16の密着性を高め、配線部16をエッチングにより形成する際のエッチングストッパとなる。
次に、酸化シリコン膜15上に、多結晶シリコン膜をCVD法により形成し、リン等の不純物を導入して所定の抵抗値が得られるように調整する。尚、配線部16は、単結晶シリコン膜により構成されても良い。続いて、多結晶シリコン膜をフォトリソグラフィー処理によりパターニングする。これにより、図3(b)に示すように、ヒータ部16a,感温部16b,及びリード部16cを含む配線部16が形成される。尚、図示されないが、熱酸化により、配線部16表面に酸化シリコン膜を形成しても良い。
配線部16の形成後、図3(c)に示すように、保護膜17を形成する。本実施形態においては、耐環境性、特に耐ダスト性の確保ができるような材質の膜を形成する必要があり、例えばCVD法により窒化シリコン膜を形成する。尚、保護膜17としては、それ以外の構成であっても良く、酸化シリコン膜であっても良いし、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の複合膜であっても良い。そして、積層方向において配線部16と引出し配線部18が重なる位置において、保護膜17をフォトリソグラフィー処理し、後述する接続部19を形成するための開口部(コンタクトホール)を形成する。
そして、上記開口部内及び保護膜17上に、配線部16を構成する多結晶シリコン膜よりも抵抗値の低い低抵抗金属材料(例えばAl)を成膜し、フォトリソグラフィー処理によりパターニングする。これにより、図3(c)に示すように、配線部16と接続部19にて電気的に接続される引出し配線部18が形成される。尚、引出し配線部18の形成とともに、引出し配線部18の端部に外部接続端子としてのパッド部30が形成される。
引出し配線部18の形成後、半導体基板11の下面全面に、例えばプラズマCVD法によりエッチングマスク用の窒化シリコン膜13を形成する。そして、フォトリソグラフィー処理により、メンブレン20を形成する領域に開口部を形成し、半導体基板11を例えばKOH液等を用いてエッチングする。このエッチングでは、基板上面に設けられた絶縁膜14が露出するまで半導体基板11のエッチングがなされ、その結果、図3(d)に示すように、メンブレン20を有する熱式流量センサ10が形成される。
その後、ダイシングにより個々のチップに分割された熱式流量センサ10は、図3(e)に示すように、パッド部30に、ボンディングワイヤ31でボンディング処理することにより、外部(例えば回路基板40)と電気的に接続される。そして、パッド部30とボンディングワイヤ31との接続部を腐食等から保護するために、当該接続部を覆うようにゲル等からなる保護材32を形成する。この保護材32は、上記接続部以外にも、ダスト等から、接続部19及び低抵抗金属材料からなる引出し配線部18を保護するように、所定の範囲にわたって形成される。尚、引出し配線部18の形成領域は、吸気管100外に配置され、吸気管100内を流通する空気中の成分の影響を受けないので、必ずしも保護材32により保護する必要はない。しかしながら、保護材32を有すると、吸気管100に取り付けた際に、熱式流量センサ10と吸気管100の取付け部との隙間を埋めることができ、また吸気管100外における成分から引出し配線部18を保護することができるので好ましい。
尚、上記製造工程において、酸化シリコン膜等、吸湿性を有する膜を形成する際には、吸湿による膜応力の変動を防ぐため、膜形成後に必要に応じて加熱処理しても良い。
このように、本実施形態に示す熱式流量センサ10は、ヒータ部16aとパッド部30との間を電気的に接続する配線を、吸気管100内に配置される部位と吸気管100外に配置される部位との2つに分割し、それぞれを異なる材料を用いて形成している。具体的には、吸気管100内に配置される配線部分である配線部16を、多結晶シリコン膜により形成し、吸気管100外に配置される配線部分である引出し配線部18を、多結晶シリコン膜よりも抵抗値の低い低抵抗金属材料により形成している。従って、苛酷な使用環境下においても、メンブレン20の耐久性を確保することができ、配線を構成する引出し配線部18の抵抗値を極力低くしているので、検出精度を確保することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態における熱式流量センサ10の概略構成を示す断面図である。尚、図4は、第1の実施形態で示した図2(b)に対応している。
第2の実施の形態における熱式流量センサ10は、第1の実施の形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
第2の実施の形態において、第1の実施の形態と異なる点は、配線部16が引出し配線部18下に伸延して設けられている点である。
第1の実施形態に示す熱式流量センサ10においては、図2(b)に示すように配線部16(リード部16c)の一部と引出し配線部18の一部が、積層方向に重なって(同一位置に)形成されている。従って、引出し配線部18の形成時に、配線部16端部の段差部分において低抵抗金属材料の被覆量が減少する。すなわち、カバレッジ不足の問題が生じる。
しかしながら、本実施形態の熱式流量センサ10における配線部16(リード部16c)は、図4に示すように、半導体基板11表面に沿って引出し配線部18の形成方向に伸延して設けられており、それにより、引出し配線部18の全形成領域が、配線部16の形成領域上に設けられている。
従って、本実施形態の熱式流量センサ10によると、引出し配線部18下に段差がないので、カバレッジ不足の問題を解消することができる。
また、図4においては、接続部19を第1の実施形態と同様に図示しているが、引出し配線部18の全形成領域が配線部16の形成領域上に設けられているので、接続部19を複数箇所あるいは広い接続面積をもって設けることも可能である。従って、引出し配線部18をより低抵抗化することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態における熱式流量センサ10の概略構成を示す断面図である。尚、図5は、第1の実施形態で示した図2(b)に対応している。
第3の実施の形態における熱式流量センサ10は、第1の実施の形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
第3の実施の形態において、第1の実施の形態と異なる点は、配線部16と引出し配線部18との間にBPSG膜が設けられる点である。
第1の実施形態で示した製造工程において、配線部16の形成後、配線部16を含む酸化シリコン膜15上に、CVD法によりBPSG膜50を形成し、例えば900〜1000℃の温度にて熱処理する。そして、熱処理後、所定位置に接続部19を形成するための開口部(コンタクトホール)を形成する。
ここで、BPSG膜50は吸湿性があり、吸湿するとBPSG膜50の膜応力が変動する。この場合、配線部16を構成する多結晶シリコン膜のピエゾ抵抗効果により、ヒータ部16aの抵抗値が変動することとなる。
従って、BPSG膜50上に、第1の実施形態で示した手順により引出し配線部18を形成したのち、引出し配線部18及びBPSG膜50を覆うように防湿性を有する保護膜51を形成する。尚、本実施形態において、保護膜51は窒化シリコン膜からなるものとする。また、保護膜51は、引出し配線部18を覆うように形成されるので、パッド部30を形成するために、保護膜51をフォトリソグラフィー処理して、開口部を形成する。
このように形成された熱式流量センサ10は、図5に示すように、配線部16との接続部19を除く引出し配線部18の直下に、BPSG膜50を有している。すなわち、配線部16端部の段差部分にBPSG膜50を有している。このBPSG膜50は、上述のように高温で熱処理することにより、配線部16端部の段差部分においてなだらかな形状となり、段差形状を緩和することができる。従って、第2の実施形態に示すように、引出し配線部18の全形成領域が配線部16の形成領域上に設けられていなくとも、引出し配線部18のカバレッジ不足の問題を解消することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態における熱式流量センサ10の概略構成を示す断面図である。尚、図6は、第1の実施形態で示した図2(b)に対応している。
第4の実施の形態における熱式流量センサ10は、第1の実施の形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
第4の実施の形態において、第1の実施の形態と異なる点は、メンブレン20を形成する際に、半導体基板11の上面からエッチングする点である。
第1の実施形態で示した製造工程において、引出し配線部18の形成後、フォトリソグラフィー処理により、メンブレン20を形成する領域の保護膜17、酸化シリコン膜15、及び絶縁膜14のうち、ヒータ部16aと積層方向において重ならない部分を除去する。次いで、保護膜17をエッチングマスクとして、半導体基板11を上面側から例えばKOH液によりエッチングし、メンブレン20を形成する。従って、形成された熱式流量センサ10は、半導体基板11の上面側(メンブレン20形成側)に開口しており、当該開口部12をヒータ部16a等が架橋した構造となっている。
このように、本実施形態における熱式流量センサ10は、半導体基板11の上面側からメンブレン20を形成するので、半導体基板11の下面に窒化シリコン膜13を形成し、パターニングする必要がない。従って、製造工程を簡素化することができる。
また、メンブレン20は半導体基板11の上面側に形成されるので、エッチングが半導体基板11の上面側からなされれば、上面と下面とのアライメントが不要となる。従って、メンブレン20の位置精度を向上できる。
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、種々変更して実施する事ができる。
本実施形態において、半導体センサを、熱式流量センサ10に適用した例を示した。しかしながら、それ以外にも、ガスセンサや圧力センサ等、種々のセンサに適用することができる。
また、本実施形態において、図2(b)に示すように、配線部16と引出し配線部18との間に保護膜17を介しており、接続部19のみで両者が接続される例を示した。しかしながら、図7に示すように、配線部16形成後に、先に引出し配線部18を形成し、配線部16及び引出し配線部18を覆うように保護膜17を形成しても良い。この場合、保護膜17形成後に、フォトリソグラフィー処理により保護膜17に開口部を設け、パッド部30を形成すれば良い。この構成とすると、配線部16と引出し配線部18が直接接しているので、引出し配線部18の抵抗をさらに下げることができる。
本発明の第1の実施における熱式流量センサを車載内燃機関の吸気管に配置した状態を示す概略図である。 熱式流量センサの拡大図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面における断面図である。 熱式流量センサの製造方法の概略を示す工程別断面図である。 第2の実施形態を示す熱式流量センサの断面図である。 第3の実施形態を示す熱式流量センサの断面図である。 第4の実施形態を示す熱式流量センサの断面図である。 変形例を示す概略断面図である。
符号の説明
10・・・熱式流量センサ
11・・・半導体基板
12・・・開口部
16・・・配線部
16a・・・ヒータ部
18・・・引出し配線部
20・・・メンブレン(薄膜部)
30・・・パッド部

Claims (9)

  1. 半導体基板に形成された薄膜部と、
    当該薄膜部に形成されたヒータ部を含む配線部と、
    前記半導体基板上に形成され、前記配線部と電極としてのパッド部とを電気的に接続する引出し配線部とを備える半導体センサであって、
    前記配線部がシリコン膜により構成され、前記引出し配線部が低抵抗金属材料により構成されるとともに、前記引出し配線部形成領域を除き、且つ、少なくとも前記薄膜部を含む基板部位が、測定対象下に配置されることを特徴とする半導体センサ。
  2. 前記測定対象を含む測定対象領域を定める部材に対して、前記基板部位が前記測定対象領域内に露出し、前記引出し配線部形成領域が前記測定対象領域外となるように、前記半導体基板を配置することを特徴とする請求項1に記載の半導体センサ。
  3. 前記シリコン膜は多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体センサ。
  4. 前記配線部が前記半導体基板表面に沿って伸延して設けられ、前記引出し配線部の全形成領域が前記配線部の形成領域上に設けられていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の半導体センサ。
  5. 前記配線部との接続部を除く前記引出し配線部の直下に、BPSG膜を備えることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の半導体センサ。
  6. 前記半導体基板は前記薄膜部形成面の裏面側に開口していることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の半導体センサ。
  7. 前記半導体基板は前記薄膜部形成面側に開口していることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の半導体センサ。
  8. 前記引出し配線部の形成領域を覆うように保護材が設けられていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の半導体センサ。
  9. 前記測定対象としての流体の通路内に前記基板部位が配置され、前記ヒータ部から前記流体へ伝わる熱量に基づいて前記流体の流量を検出することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の半導体センサ。
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