JP4155630B2 - 医療用シリンジ包装袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用シリンジが収納されたピロータイプの易開封性包装袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療用シリンジは、三方袋、四方袋又はピロー袋に収納されており、その袋は、ヒートシール部分にノッチや微細傷痕を付与してそこを開封の開始起点として手指の力で袋を引き裂いて開封できるようにしていた。
【0003】
嵩の大きい医療用シリンジを収納する場合は、内容物の収納容積の点から平袋タイプの三方袋、四方袋よりも、ピロータイプの包装袋の方が適している。
【0004】
この場合のピロータイプの包装袋の開封は、従来は背貼り合掌ヒートシール縁端部分又は横ヒートシール縁端部分にノッチや傷痕を付与しその部分を左右の指で摘んで、フィルムを反対方向に捩じるか又は左右に引張って袋を引裂くことによってなされるが、この場合ヒートシール部の摘みしろが狭いために開封操作がやりにくかった。
【0005】
医療用シリンジをピロータイプの包装袋から簡単な開封操作で素早く、スムースに取出すには、袋の折曲げ部分から直角方向に袋を真直ぐに引裂いて袋を二つに切断分離して開口端を大きく開きそこから取り出す方法が良いが、包装袋に二軸延伸フィルムとヒートシール性樹脂からなる積層フィルムを用いた場合、二軸延伸フィルムの分子配向の影響により、フィルムの捩じり方向によって、引裂き抵抗が大きくなって開封に困難が生じたり、包装袋の表裏のフィルムの引裂き方向が股裂け方向となって袋を二つに切断分離して開封することができず、内容物の取出しに不都合があった。
【0006】
また別の問題として、医療用シリンジを収納した袋は、内容物を収納する時に袋の内部に封入された空気によって袋が膨らみ包装袋の収納に余計なスペースをとることになる。
【0007】
さらに、空気が封入されて膨らんでいる包装袋を積み重ねる場合、積み重ねた包装袋が嵩ばり不安定で崩れ落ちたり下部にある包装袋がパンクするなどの問題があった。
【0008】
このような事態を避けるために、包装袋に空気抜き孔を設けて、封入された余分の空気を袋の外に排気して逃がす方法があるが、どうしても1個の空気抜き孔が大きくなって、収納物が塵、ほこりなどの外部からの侵入物で汚染される恐れがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、、医療用シリンジの取出しが容易なピロータイプの易開封包装袋で、かつ包装袋に空気が残留せず取扱いが容易で衛生的な医療用シリンジ包装袋を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、横一軸に延伸された一軸延伸フィルムとヒートシール性樹脂層とを含む積層フィルムを折り曲げ成形し、突合わせ接合端部を縦ヒートシールして筒状部を形成するとともに、筒状部の開口端を横ヒートシールしてなるピロータイプの包装袋において、袋の折り曲げ部に折曲げ線に沿って伸びる開封開始と空気抜き孔を兼ねる積層フィルムを貫通する長さ1mm以下の微細な傷痕群を形成するとともに、内容物収納部に医療用シリンジを収納したことを特徴とする包装袋である。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る医療用シリンジ包装袋について図1のピロータイプ平袋の斜視図を例にして説明する。
【0012】
本発明の医療用シリンジ包装袋1(以下包装袋1)は、横一軸に延伸された一軸延伸フィルムとヒートシール性樹脂層とを含む積層フィルムをヒートシール性樹脂層が内側になるようにして折り曲げ成形し、突合わせ接合端部を縦ヒートシール2して筒状部を形成するとともに、筒状部の開口端を横ヒートシール3a、3bしてなるピロータイプの包装袋1で、包装袋1の袋の折り曲げ部4a、4b、4cに折り曲げ線に沿って伸びる積層フィルムを貫通する微細な傷痕群5を形成するとともに、内容物収納部6に医療用シリンジ(図示せず)を収納した包装袋1である。
【0013】
本発明の医療用シリンジとは、動植物の体内に薬液を注入したり、体内から血液などを採取する医療行為に用いるシリンダー/ピストン形のいわゆる注射器を指し、すでに注射剤がシリンダー内に封入されていても良い。
【0014】
包装袋1への医療用シリンジの収納は、予めピロータイプの袋を製袋しておいてから別工程で収納するか、又は巻き取られたフィルムからフオーマーによって連続的に折曲げて筒状にしながらコンベアーで運ばれてきた収納物を連続的に包み込み、その筒のほぼ中心部をセンターシーラーで縦ヒートシールした後、収納物と収納物都の中間部を横ヒートシーラーでシールすると同時に切断をする横形ピロー包装機で袋を製袋すると同時に収納しても良い。
【0015】
ピーロータイプの包装袋1とは、合掌貼り又は封筒貼りの平袋、またはガゼット折り部を有するガゼット袋を指し、医療用シリンジのサイズによって使い分けられが、大きな嵩るシリンジを収納する場合は内容物収容部6の容積を大きくとれるガゼットタイプの包装袋1が好ましい。
【0016】
本発明の包装袋1に用いる積層フィルム7は、図2の包装袋1の折曲げ部でのその断面図に示されるように、横一軸に延伸された一軸延伸フィルム8と、ヒートシール性樹脂層9とを含むものである。
【0017】
本発明における横一軸に延伸された一軸延伸フィルム8とは、長尺のフィルムを幅方向に一軸に延伸したものである。このフィルム材料としては、例えば高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系のフィルムを好適に用いることができる。また、横一軸延伸の延伸倍率は3〜10倍程度が好ましく、縦方向(長手方向)に僅かに延伸されていても良い。
【0018】
積層フィルム7の構成に一軸延伸フィルム8を含む理由は、包装袋1を軽い力で容易に引き裂いて開封できるようにするためと、積層フィルム7の引裂き方向を一軸延伸フィルム8の延伸方向に沿って直線的に誘導するためのものである。ヒートシール性樹脂層9は、熱溶融性の合成樹脂で構成された層で、包装袋1の内側に設けられるものである。ヒートシール性樹脂層9を構成するヒートシール性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリプロピレン樹脂などが好適に用いられる。
【0019】
積層フィルム7は、少なくとも上記の一軸延伸フィルム8とヒートシール性樹脂層9が積層されたフィルムで、流通、保管に耐えられる強度を有するものであれば足りるが、必要によっては、上記のフィルム構成に加えて、例えば二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエステル、二軸延伸ポリプロピレンなどの他のフィルムを横一軸延伸フィルム8の外側又は横一軸延伸フィルム8とヒートシール性樹脂層9の中間に積層しておくこともできる。この場合も積層フィルム7の引裂き方向は、一軸延伸フィルム8の延伸方向に沿って誘導される。
【0020】
本発明の包装袋1の、袋の折り曲げ部4の折り曲げ線に沿って伸びる積層フィルム7を貫通する微細な傷痕群5の傷痕とは、図2に示したように横一軸延伸フィルム8とヒートシール性樹脂層9を貫く積層フィルム7の表裏に開口を有する傷痕10であり、包装袋1となしたとき袋の内部と外部の連通孔となるものである。
【0021】
傷痕群5は、微細な傷痕10が多数集合した群からなり、包装袋1の開封を開始するための応力集中源として作用するとともに、合わせて医療用シリンジを包装袋1に収納する時に包装袋1の内部に封入された空気を包装袋1の外に排気するための通気孔としても作用する。
【0022】
具体的な傷痕の形成方法としては例えば、微細な砥粒を円周面上に電着した回転円盤や、鋸刃状突起などを円周面上に加工した回転円盤と回転受けロールの間で積層フィルム7を連続して押圧する方法などがある。押圧は、積層フィルム7の一軸延伸フィルム8面からでも、ヒートシール性樹脂層9面のどちら側の面からされても良い。
【0023】
貫通傷痕10は、押出しラミネート法、ドライラミネート法などの方法で一軸延伸フィルム8にヒートシール性樹脂層9を積層した後の積層フィルム7に形成する。
【0024】
傷痕群5は、包装袋1となった時に包装袋1の折曲げ部4となる位置の積層フィルム7に形成するが、その形成はロール状に巻き取った積層フィルム7に予め形成しておくか又は包装工程で製袋と同時に形成しても良い。
【0025】
包装袋1に傷痕群5を形成する位置は、包装袋1の折り曲げ部4a、4b、4cであるが、必ずしもこの3カ所全てに形成する必要はなく、開封を開始したい包装袋1の折曲げ部4a、4bの少なくとも1カ所に形成すれば良いが、開封をより円滑にするためにはそれに加えて開封開始折り曲げ部と反対側に位置する積層フィルム7の縦ヒートシール折曲げ部4cにも形成することが好ましい。
【0026】
傷痕群5の幅は包装袋1製造時の積層フィルム7の蛇行によって折曲げ部2の位置ずれが発生することを考慮すると、5〜15mm程度の幅に調整することが好ましい。
【0027】
傷痕群5を形成する傷痕10の形状は、図1の折り曲げ部の部分拡大図である図3に示されるように短線状の多数の微細な切り込み11を積層フィルム7の折曲げ線の垂直方向に対して±45゜以内の角度で列状に並べたものであることが好ましい。短線状の切り込み11は、幅より長さが長い短線状の微細なもので、長さが1.0mm以下のものであることが好ましく、長さが0.5〜0.1mmのものであることが特に好ましい。又その幅は、狭いほど切り込み11の両端が鋭角になり応力集中し易くなって、引裂き開始が容易になるので好ましい。
【0028】
上記のサイズの切り込み11であれば、切り込み11の貫通孔から塵、ほこりなどが外部から侵入する恐れも極めて少ない。
【0029】
傷痕群5を構成する傷痕10は、包装袋1の開封開始起点として作用するためにはそれほど多くの数は必要としないが、包装袋1を積み重ねたり、抑えたりして包装袋1に荷重を加えたときに包装袋1に封入された空気を所定時間内に包装袋1の外に排気するめの通気孔としては貫通孔の開口面積の合計が一定面積以上となるようにする必要がある。その合計開口面積は、包装袋に封入される空気量と、空気抜きに要するの時間によって決定されるが具体的には、傷痕のサイズ、形状、数などを調節することによって達成される。
【0030】
本発明の包装袋1は、一軸延伸フィルム8の分子配向性に基ずく易引裂き性と引裂き方向性、及び貫通傷痕10に基ずく応力集中のし易さがあいまって弱い力で極めて容易に開封することができるとともに、貫通傷痕10が通気孔として働くため医療用シリンジ収納時に包装袋1に封入された空気を包装袋1の外に排気することができる。
【0031】
本発明の易開封包装袋の開封方法の一例を図4によって説明する。
【0032】
開封は、まず図4Aのように収納された医療用シリンジ収納部分を片手でを掴み、もう一方の手で傷痕群5を形成した包装袋1の折曲げ部4aを摘み折曲げ部の傷痕群5を医療用シリンジの先端の角部に押し付けるよう矢印の方向に引張ることで医療用シリンジの角で包装袋1を内側から突き破ることにより開始される。 次いで、包装袋1の表裏の積層フィルム7は図4Bのように横一軸延伸フィルムの延伸方向即ち包装袋1の折曲げ部4aと直角方向に引裂かれ包装袋1反対側の折曲げ部4bに到達する。引裂きが包装袋1の反対側の折り曲げ部に到達すると、包装袋1の表裏の積層フィルム5の引裂き先端が合流して包装袋1は図4Cのように二つ分離切断して開封される。
【0033】
このようにして開封することで、医療用シリンジを取り落とすことなく、広く開口した開封端から医療用シリンジを円滑に取り出すことができる。
【0034】
包装袋表面には、開封開始位置、引裂き開封方向などを矢印などで指示する表示を印刷しておいてもよい。
【0035】
【実施例】
実施例1
厚み25μmの横一軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ株式会社製「YT22」)に、Tダイより厚み50μの低密度ポリエチレン樹脂を押し出し積層することによって厚み75μで幅700mmの積層フィルムを得た。
【0036】
次いで、この積層フィルムを240mmの幅にスリットした。
【0037】
一方、直径80mmで厚み8mmの金属製円盤の外周面上に、長さ方向が円盤の円周方向と垂直になるようにして、刃元幅が0.5mmで0.45mmの高さを有する先端が鋭利な微細な突起を、円盤の厚み方向のピッチが0.5mm、円盤の円周方向のピッチが2.0mmとなるように14列千鳥状に配列形成した。この金属製円盤を、その突起刃形成領域帯の中心線が、上記の240mm幅の積層フィルムの縁端から13mm(A)、176mm(B)の位置になるように2個並べて、この円盤と共に回転するゴム被覆した受けロール間に積層フィルムを通し、円盤と受けロールで連続的に押し圧することで、積層フィルムの縦方向に7mm幅の開封用粗面を構成する2条の傷痕群A、Bを形成した。
【0038】
次いで、この積層フィルムを横形ピロー包装機にかけて、注射液が100ml封入された外径35mmφのシリンダーとそれに対応するピストンからなる組み合わせの医療用シリンジを収納したピロータイプの包装袋を得た。
【0039】
この包装袋でA位置の傷痕群は背シール部の折曲げ部に、B位置の傷痕群は袋の折曲げ部に位置している。
【0040】
この包装袋は、シリンジ収納直後にはを余分な空気が封入され膨らんでいたが包装袋を軽く手で抑えることで余分な空気がすぐに包装袋の外部に排出され包装袋の高さがシリンジと同一の高さになった。又この包装袋のシリンジ収納部分を左手で掴み、右手で包装袋の傷痕群Aを形成した折曲げ部を掴んでシリンジの角に折り曲げ部を押し付けることによって、その部分を開封起点として積層フィルムを一軸延伸フィルムの延伸方向に直線的に真っ直ぐ引き裂くことで容易に包装袋を二つに分離した状態で開封することができた。
【0041】
このようにして開封した広く開口した開封端からシリンジを円滑に取り出す事ができた。
【0042】
比較例1
実施例1の横一軸延伸フィルムのみに実施例1と同様の2条の傷痕群を予め形成した後に、厚み50μmの低密度ポリエチレン樹脂を押し出し積層した以外は実施例1と同様にしてシリンジを収納した非貫通孔を有する包装袋を得た。この包装袋は、開封性は実施例1より若干悪い程度で実用的には問題無かったが、包装袋に封入された余分な空気を包装袋の外部に排出することができず包装袋は嵩ばったままであった。
【0043】
実施例2
実施例1の横一軸延伸フィルムの種類を厚み20μmの横一軸延伸高密度ポリエチレンフィルム(東洋化学株式会社製「カラリアンY」)に変更したこと、及び実施例1の金属製円盤の鋭利な突起が円盤の円周方向に対して30°傾斜して配置されている以外は、実施例1と同様にして包装袋を得た。この包装袋について、実施例1と同様にして開封性及び封入された空気の排出性を調べたところ実施例1と同様の結果が得られた。
【0044】
実施例3
実施例1の横一軸延伸ポリプロピレンフィルムに厚み12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネート法によって積層し、次いでこの積層フィルムの二軸延伸ポリエステルフィルム側にTダイより厚み40μmの低密度ポリエチレン樹脂を押出し積層し3層構成の厚み77μmの積層フィルムを得た。
【0045】
この積層フルムを用いて実施例1と同様にしてシリンジを収納した包装袋を得た。実施例1と同様にしてこの包装袋の開封性及び封入された空気の排出性を調べたところ実施例1と同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係かる医療用シリンジ包装袋の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係かる医療用シリンジ包装袋の折曲げ部における積層フィルムの一例を示す断面図である。
【図3】図1に示される医療用シリンジ包装袋の部分拡大図である。
【図4】本発明の医療用シリンジ包装袋の開封方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 医療用シリンジ包装袋
2 縦ヒートシール部
3a、3b 横ヒートシール部
4a、4b、4c 折曲げ部
5 傷痕群
6 内容物収納部
7 積層フィルム
8 横一軸延伸フィルム
9 ヒートシール性樹脂層
10 貫通傷痕
11 短線状切り込み
Claims (2)
- 横一軸に延伸された一軸延伸フィルムとヒートシール性樹脂層とを含む積層フィルムを折り曲げ成形し、突合わせ接合端部を縦ヒートシールして筒状部を形成するとともに、筒状部の開口端を横ヒートシールしてなるピロータイプの包装袋において、袋の折り曲げ部に折曲げ線に沿って伸びる積層フィルムを貫通する長さ1mm以下の微細な傷痕群を形成するとともに、内容物収納部に医療用シリンジを収納したことを特徴とする包装袋。
- 積層フィルムを貫通する微細な傷痕群が短線状の微細な切り込みをフィルムの折曲げ線の垂直方向に対して±45゜以内の角度で列状に並べた多数の傷痕から形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
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JP23569998A Expired - Lifetime JP4155630B2 (ja) | 1998-08-21 | 1998-08-21 | 医療用シリンジ包装袋 |
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