JP4155507B2 - バイオマスのガス化方法およびガス化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機質固形物であるバイオマスから可燃ガスを製造するガス化方法およびガス化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機質固形物であるバイオマスの発生量は年々増加しており、下水汚泥を例にすると、その発生量は1997年度で約35000万m3に達している。これらは脱水・焼却などの処理が行われた後、最終的に約240万トンが埋立てなどで処分されている。この焼却処理には、多段炉や流動床炉を用いた燃焼処理によって行われている。
【0003】
このような燃焼処理では、燃焼ガスから熱エネルギーの回収が行われているが、図2に示すように、流動床炉11の燃焼ガスは熱交換器12によって燃焼処理用空気aの予熱に利用したり、煙突の白煙防止に利用するほか、事例は多くないが、廃熱ボイラ13で得た蒸気によって蒸気タービン14を駆動し発電機15を運転するなどして、発電に利用する場合もあった。(非特許文献1を参照)
【0004】
ところがこのような蒸気タービン方式の発電設備は、小規模な場合には廃熱ボイラや蒸気タービンの特性上、熱損失が大きくなり効率が著しく低下する傾向があることから、下水処理施設では普及しないという事情があった。また、下水処理施設では前記の通り焼却処理が広く利用されているものの、多くは将来の環境規制強化や老朽化による設備更新に対応するため、高効率かつ環境負荷の少ない設備が要望されており、特に下水汚泥は廃棄物の中でも発生量が多いことから、下水汚泥からエネルギーを回収する技術の開発が特に期待されている。
【0005】
そこで、本件出願人は、特願2002−209710号出願において、有機質固形物であるバイオマスの焼却処理の過程からエネルギーを可燃ガスの形態で回収できるガス化システムを提案している。
【0006】
【非特許文献1】
誌名「用水と廃水」、Vol.39 No.2(1997)、産業用水調査会発行:第169頁〜第173頁、図1
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、先願を改善するためのものであり、バイオマスの焼却処理の過程からエネルギーを可燃ガスの形態でより効率的に回収できるガス化方法およびガス化装置を提供する。さらに、焼却灰分を原料とした焼結造粒骨材を製造できるガス化方法およびガス化装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、バイオマスを循環流動ガス化炉において熱分解し、得た熱分解ガスを循環流動改質炉において酸素と反応、改質させ可燃ガスを製造するバイオマスのガス化方法であって、前記可燃ガス中から灰分を抜き出して造粒し、次いで得た造粒体を前記循環流動改質炉に導入し、その炉内の流動媒体として循環、利用するとともに、その高温作用により該造粒体を焼結して造粒骨材を製造することを特徴とする本発明のバイオマスのガス化方法によって、解決することができる。
【0009】
このバイオマスのガス化方法の発明は、前記循環流動ガス化炉において、空気比0.1〜0.7、熱分解温度450℃〜850℃の範囲に設定してバイオマスを熱分解し、得た熱分解ガスを前記循環流動改質炉において、前記循環流動ガス化炉の熱分解温度より高い温度で酸素と反応、改質させ可燃ガスを製造する形態が好ましく、さらに、前記循環流動改質炉において、酸素比0.1〜0.5、温度900℃〜1200℃の範囲に設定して可燃ガスを製造する形態の方法として具体化される。
【0010】
また、上記の問題は、バイオマスのガス化装置の発明であるところの、前記したバイオマスのガス化方法を実施するためのガス化装置であって、バイオマスを熱分解する循環流動ガス化炉と、その循環流動ガス化炉から得た熱分解ガスを改質し可燃ガスを得る循環流動改質炉とを具備し、可燃ガスから流動媒体を分離、返送するサイクロンを付設するとともに、該可燃ガス中の灰分を捕集する集塵機と、捕集した灰分から造粒体を成形する造粒機と、その造粒体を前記循環流動改質炉に送給する搬送手段とを具備し、前記造粒体をその循環流動改質炉内の流動媒体として循環、利用するとともに、その高温作用により該造粒体を焼結して造粒骨材を製造するようにした形態のバイオマスのガス化装置として好ましく具体化できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のバイオマスのガス化方法および装置に係る実施形態とその作用効果について、構成図である図1を参照しながら、ガス化装置(第2発明)とガス化方法(第1発明)について説明する。
本発明のガス化装置は、バイオマスを熱分解する循環流動ガス化炉2と、その循環流動ガス化炉2から得た熱分解ガスdを改質し可燃ガスe2を得る循環流動改質炉3と、可燃ガスe2中の灰分gを捕集する集塵機6を主要な装置としていて、この集塵機6には、捕集した灰分gから造粒体を成形する造粒機61と、この造粒機61によって成形された造粒体hを前記循環流動改質炉3に送給する搬送装置62を配設した点に特徴がある。
【0012】
この循環流動ガス化炉2は、原料ホッパ21を経由して原料であるバイオマス、例えば下水汚泥b(脱水または乾燥汚泥)を受け入れ、加熱し、熱分解するもので、熱分解ガスdと珪砂など流動媒体とを分離するサイクロン22が付設され、分離された流動媒体は循環流動ガス化炉2に返送されるよう構成されていて、装置全体は横幅より縦長形状の装置をその要部として構成されている。
【0013】
この循環流動ガス化炉2では、空気または酸素を供給しつつ高速拡散により下水汚泥bを、空気比0.1〜0.7の条件下で後記改質炉の温度より低い熱分解温度、好ましくは450℃〜850℃の温度範囲に設定し、大気圧下、好ましくは0.3〜2.5MPaの加圧下で、熱分解し、流動媒体を分離して、熱分解ガスdを得る。この目的のため、供給される熱分解用空気a(または酸素)を、後記改質炉3の後段に設けられた予熱器4によって300〜600℃の温度に予熱するのが効果的である。
【0014】
本発明の縦型の循環流動ガス化炉2は、従来の横型のロータリ炉に比較して設置面積は1/2以下となり、また従来の完全燃焼タイプの循環流動加熱炉と比較しても発生ガス量が少なくなるので、設置面積は1/2〜1/3になりよりコンパクト化される。さらに、加圧下で運転すれば実ガス容積が少なくなるのでさらにコンパクト化が可能となる利点が得られる。
【0015】
また、本発明の循環流動ガス化炉2で得られる熱分解ガスdは、可燃性ガス成分(炭化水素、一酸化炭素、水素の他、不燃性の窒素、炭酸ガスを含む)、タール成分(重質油分)、チャー(未燃カーボン粒子、無機粒子)からなるが、本発明での前記した熱分解温度は、従来行われている熱分解温度より低温低空気比に設定しているので、可燃分が比較的多く得られる利点がある。
【0016】
なお、本発明では下水汚泥を例に説明しているが、これに限定されずいわゆるバイオマス全体に適用可能である。ここでバイオマスとは、下水汚泥、パルプスラッジなど産業廃棄物や家庭ごみ、し尿などの生活廃棄物、農産物の廃材、家畜類の糞尿、あるいは間伐材、材木端材など有機質固体物質を総称する意味で用いている。
【0017】
次に、本発明における改質炉は、前記循環流動ガス化炉2から送給される熱分解ガスdを酸素cの供給下で改質し、可燃ガスを含む改質ガスe1を生成する縦型形式の循環流動改質炉3を要部として構成するところに特徴があり、ここで得られた改質ガスe1は、付設されたサイクロン32によって、流動媒体は分離、返送されるとともに、可燃ガスe2として取り出されるのである。
【0018】
本発明では、この循環流動改質炉3は、酸素の存在下、好ましくは、酸素比0.1〜0.5で、前記循環流動ガス化炉2の熱分解温度より高い温度、例えば、反応温度を900℃〜1200℃の範囲に設定して改質するのが好ましい。
【0019】
かくして、本発明では、循環流動改質炉3における、流動媒体の激しい流動作用により、比較的高温、高速(例えば、滞留時間:2〜4秒)の改質反応が進行して、熱分解ガスd中のタール分が低級炭化水素、一酸化炭素あるいは水素に熱分解するとともに、同時に送給される熱分解ガスd中の可燃性ガス成分と併せて酸素との反応が進行して、水素と一酸化炭素を主可燃ガス分とする可燃ガスe(ガス成分=CO:25〜45%、H2:15〜35%、CH4:0〜2%、CO2:10〜15%、N2:5〜45%)を効率よく生成することができるのである。
【0020】
以上詳細に説明した、前記循環流動改質炉3で得られた可燃ガスe2は、後段に設置された予熱器4、ガスクーラー5、集塵機6、ガス精製装置7などを経て、精製可燃ガスfとして取り出されるのである。そして、このガス精製装置7によって、ガス中の微量有害成分(硫化水素、シアン化水素、アンモニアなど)が除去された精製可燃ガスfは、ガスエンジン、ガスタービン蒸気タービン複合発電、燃料電池、ボイラなどのガス発電装置や熱利用機器の燃料として提供される。また、メタノールやアンモニアなど化学原料の合成用原料として利用することもできるのである。
【0021】
なお、前記予熱装置4は、前述のように循環流動ガス化炉2に供給される熱分解用空気a(酸素を使用する場合もある)を可燃ガスe2の顕熱で300〜600℃に加熱する熱交換機であり、さらに次段に設けられたガスクーラー5は、予熱装置4を経た可燃ガスe2を200℃以下に急冷するものであり、このように急冷操作を行うことにより排気ガス中のダイオキシンの再合成を最小限に押さえることができるのである。
【0022】
次に、冷却された可燃ガスは、次のバグフィルタなどを備えた集塵機6によって無機微粒子が灰分gとして分離されるが、ここで、本発明を特徴付ける好ましい実施形態を説明する。
その特徴とするところは、前記バイオマスを熱分解する循環流動ガス化炉2と、その循環流動ガス化炉2から得た熱分解ガスを改質し可燃ガスを得る循環流動改質炉3とを具備するバイオマスのガス化装置において、その後段に配設される可燃ガス中の灰分gを捕集する集塵機6には、捕集した灰分gから造粒体を成形するブリケットマシンやペレタイザのような造粒機61を具備し、この造粒機61によって形成された造粒体hをホッパー31を経由して前記循環流動改質炉3に送給するコンベヤなどの搬送装置62を配設した点にある。
【0023】
このように、灰分gに適宜に成形助剤として珪酸アルカリなどを加えて造粒機61によって形成された造粒体hは、循環流動改質炉3に送給され炉内の流動媒体として循環して利用されるとともに、その高温作用によって焼結されるので、十分な強度を持った造粒骨材iとして循環流動改質炉3の下部から取り出すことができるのである。
【0024】
【発明の効果】
本発明のバイオマスのガス化方法およびガス化装置は、以上説明したように構成されているので、縦型の循環流動ガス化炉および同様な形式の循環流動改質炉によりコンパクト化された形態で設置面積が少なく設置できるうえ、有機質固形物であるバイオマス、特に下水汚泥の未利用エネルギーを可燃ガスの形態で効果的に回収でき、ガスエンジンなど高効率発電に利用できるので環境負荷低減に寄与できるという優れた効果がある。また、可燃ガス中の灰分を造粒骨材とすることで、従来の微粉状焼却灰と比較して嵩密度が大きく処分容積を低減できるほか、粉塵の発生が無いため、処理処分が容易であること、人工軽量骨材等の一次利用や透水性ブロック等の二次製品原料として再利用が可能になる。更には、900〜1100℃の高温で焼結させることにより、重金属の溶出が防止できる効果も得られる。よって本発明は、従来の問題点を解消したバイオマスのガス化方法およびそのガス化装置として、実用的価値はきわめて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイオマスのガス化システムを説明するための要部フローブロック図。
【図2】従来の熱回収システムの1例を示す要部フローブロック図。
【符号の説明】
2 循環流動ガス化炉、21 原料ホッパ、22 サイクロン、3 循環流動改質炉、31 ホッパ、32 サイクロン、4 予熱器、5 ガスクーラ、6 集塵機、61 造粒機、7 ガス精製装置、a 熱分解用空気、b 下水汚泥、c 酸素、d 熱分解ガス、e1 改質ガス、e2 可燃ガス、f 精製可燃ガス、g 灰分、h 造粒体、i 造粒骨材

Claims (4)

  1. バイオマスを循環流動ガス化炉において熱分解し、得た熱分解ガスを循環流動改質炉において酸素と反応、改質させ可燃ガスを製造するバイオマスのガス化方法であって、前記可燃ガス中から灰分を抜き出して造粒し、次いで得た造粒体を前記循環流動改質炉に導入し、その炉内の流動媒体として循環、利用するとともに、その高温作用により該造粒体を焼結して造粒骨材を製造することを特徴とするバイオマスのガス化方法
  2. 前記循環流動ガス化炉において、空気比0.1〜0.7、熱分解温度450℃〜850℃の範囲に設定してバイオマスを熱分解し、得た熱分解ガスを前記循環流動改質炉において、前記循環流動ガス化炉の熱分解温度より高い温度で酸素と反応、改質させ可燃ガスを製造する請求項1に記載のバイオマスのガス化方法。
  3. 前記循環流動改質炉において、酸素比0.1〜0.5、温度900℃〜1200℃の範囲に設定して可燃ガスを製造する請求項2に記載のバイオマスのガス化方法。
  4. 請求項1または2または3に記載のバイオマスのガス化方法を実施するためのガス化装置であって、バイオマスを熱分解する循環流動ガス化炉と、その循環流動ガス化炉から得た熱分解ガスを改質し可燃ガスを得る循環流動改質炉とを具備し、可燃ガスから流動媒体を分離、返送するサイクロンを付設するとともに、該可燃ガス中の灰分を捕集する集塵機と、捕集した灰分から造粒体を成形する造粒機と、その造粒体を前記循環流動改質炉に送給する搬送手段とを具備し、前記造粒体をその循環流動改質炉内の流動媒体として循環、利用するとともに、その高温作用により該造粒体を焼結して造粒骨材を製造するようにしたことを特徴とするバイオマスのガス化装置。
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