JP4154801B2 - シールド掘進機の制御方法及びこれらの装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド掘進機の制御方法及びこれらの装置に係り、特に掘削中の掘進方向の制御或いは姿勢を修正する姿勢制御を行うシールド掘進機の制御方法及びこれらの装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、矩形断面などの異型断面或いは多連型シールドなどによる真円以外の断面の掘削に用いられるシールド掘進機として、非円形断面シールド機が知られている。
【0003】
この非円形断面シールド機は、図4(a)に示すように、シールド本体であるシールドフレーム41が例えば矩形状の前面部42を底とする有底筒体状に形成されていると共に底側の前胴43と口側の後胴44とに分割されており、これら前胴43と後胴44は左右の中折れジャッキ45,46によって連結されている。さらに、前胴43は、複数段の掘削部43a,43bに分割されており、これら掘削部43a,43b同士は連結ジャッキ48,49によって連結されている。
【0004】
そして前胴43の前面部42には、複数のメインカッタ47がその前面部42の大きさに合わせて一列に設けられており、また、後胴44の内部には、メインカッタ47により掘削された土を、前面部42に形成された注入口を通して後方に排出するスクリューコンベアと、シールドフレーム41を前方に押出すためのシールドジャッキとが設けられている。
【0005】
これらにより、シールドジャッキでシールドフレーム41を前方に押し出しながらメインカッタ47を回転して地盤を掘削し、その掘削した土をスクリューコンベアにより順次後方に搬送して掘進するようになっている。
【0006】
また、曲線施工時には、シールドフレームの左右に設けられた中折れジャッキ45,46の長さを調節することにより後胴44に対して前胴43の中折れ角度を変化させて前進させることで、掘進方向を制御している。
【0007】
ところで、この非円形断面シールド機は、地盤の硬さの違いなどにより、シールドフレーム41が上下方向に傾斜(以下、ピッチングと称する。)してしまうという問題がある。
【0008】
この場合、連結ジャッキ48,49の長さを調節して前胴43の傾斜角度を制御することにより、ピッチングを修正するようにしている。
【0009】
さらに、非円形断面シールド機は、前胴43の前面部42に設けられたメインカッタ47が掘削面に対して回転するので、地盤が硬い場合などによりメインカッタ47の回転力がシールドフレーム41の地盤に対する摩擦力よりも大きくなると、その回転力の反力により、シールドフレーム41が回転(以下、ローリングと称する。)してしまうという問題がある。
【0010】
このローリングの修正方法としては、各々の掘削部43a,43bと後胴44との間に中折れジャッキ45,46を設け、これらを独立して中折れできるように構成し、ローリングした場合には、それら掘削部43a,43bを適宜横方向に移動させて斜めに配置するように中折れ量を制御しながら掘進することで、ローリングを修正する方法が特開平9−250294号公報に開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−250294号公報に開示された方法は、前胴43を複数段に分割するために、図4(a)、図4(b)に示すように、各掘削部43a,43bと後胴44との間及び各掘削部43a,43b間に中折れジャッキ45,46及び連結ジャッキ48,49を設けなければならず、さらにこれらの中折れジャッキ45,46及び連結ジャッキ48,49を全て制御しなければならないため制御が複雑になり、また、これら中折れジャッキ45,46及び連結ジャッキ48,49が設けられた部分にはシールを施さなければならないため、装置が複雑になり、コストが増大してしまうという欠点がある。
【0012】
また、上述したようにシールド機内にはスクリューコンベアやシールドジャッキなど多くの装置が設けられている上、これら中折れジャッキ45,46、連結ジャッキ48,49、及びそれらを制御する制御手段を設けると、シールド機の機長が増加するばかりでなく、機内スペースの関係などで設置が困難な場合がある。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の課題を解決し、簡単な構造で機内スペースを必要とせず、かつ低コストで掘進方向を変化させる方向制御或いはピッチングやローリングなどの姿勢を修正する姿勢制御が行えるシールド掘進機の制御方法及びこれらの装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、非円形断面シールド掘進機の制御方法において、シールドフレームの先端上下にテーパフードを形成し、そのシールドフレームの前面に掘削断面形状可変カッタを設け、その掘削断面形状可変カッタのシールドフレーム上下での掘削断面形状を変化させることによりピッチングを制御する方法である。
【0015】
請求項2の発明は、非円形断面シールド機の制御方法において、シールドフレームの先端にテーパフードを形成し、そのシールドフレームの前面に掘削断面形状可変カッタを設け、その掘削断面形状可変カッタの掘削断面形状を変化させることによりローリングを修正する方法である。
【0016】
請求項3の発明は、非円形断面シールド掘進機において、シールドフレームの先端上下にテーパフードを形成し、そのシールドフレームの前面に掘削断面形状可変カッタを設け、その掘削断面形状可変カッタのシールドフレーム上下での掘削断面形状を変化させることによりピッチングを制御するものである。
【0017】
請求項4の発明は、非円形断面シールド機において、シールドフレームの先端にテーパフードを形成し、そのシールドフレームの前面に掘削断面形状可変カッタを設け、その掘削断面形状可変カッタの掘削断面形状を変化させることによりローリングを修正するものである。
【0018】
上記構成によれば、通常時には、掘削断面形状可変カッタをシールドフレーム断面とほぼ同一断面を掘削するように制御される。曲線施工時には、外側の掘削量を減らす。また、ピッチング発生時には、前面部の上側又は下側の掘削量を減らすようにコピーカッタを出没させて掘削断面形状が変化される。さらに、非円形断面のシールド機のローリング発生時には、前面部の中心から点対称であり、鉛直、水平軸に対して対称とならない位置の左右部分を残して掘削するように、掘削断面形状可変カッタが制御される。そして、シールド機を前進させこの掘り残された部分にテーパフードが乗り上げることによりシールドフレームに回転モーメントが発生し、シールド機の姿勢が修正される。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
図1に本発明にかかる非円形断面シールド機として異型断面シールド機の概略図を示し、図3(a)に側面図を、図3(b)に図3(a)のA−A線矢示断面図を示す。
【0021】
図3(a)に示すように、本発明にかかる異型断面シールド機は、シールド本体であるシールドフレーム10が、矩形状の前面部1を底とする有底筒体状に形成されていると共に底側の前胴20と口側の後胴30とに分割されている。そして、これら前胴20と後胴30は、2つの中折れジャッキ2,3によって連結されており、図3(b)に示すように、従来のシールド機のように複数の掘削部に分割されておらず、さらに中折れジャッキもこの2つの中折れジャッキ2,3のみによって掘進方向を可変にできるようになっている。
【0022】
そして、図1に示すように、前胴20の前面部1には、2つの掘削断面形状可変カッタ4,5が前面部1の大きさに合わせて一列にかつ回転自在に設けられている。
【0023】
この掘削断面形状可変カッタ4,5は、主に地盤を掘削するメインカッタ4a,5aと、このメインカッタ4a,5aの先端に出没自在に設けられ前面部の外周部分の地盤を掘削するコピーカッタ(伸縮カッタ)4b,5bとから構成されている。
【0024】
このメインカッタ4a,5aには、図示していないが、それを回転させるための駆動手段が接続されており、さらにコピーカッタ4b,5bには、メインカッタ4a,5aの回転に連動して出没させて掘削断面形状可変カッタ4,5のストロークを変化させるための制御手段が接続されている。
【0025】
また、シールドフレーム10の前面部1には、掘削断面形状可変カッタ4,5により形成された掘り残し部に乗り上げることにより回転モーメントを発生させるべく、その前面部1の左右両側が斜めに傾斜されたテーパフード11が形成されており、上述したコピーカッタ4b,5bがこのテーパフード11のテーパ部11aのほぼ範囲内で出没するようになっている。
【0026】
このテーパフード11のテーパ部11aの傾斜角度は、例えば約5度に設定されているが、シールドフレーム10の大きさやカッタ4,5の性能及び地盤の状態などにより決定される。すなわち、テーパ部11aを大きく形成すれば、ローリング修正効果を大きくできるが、大きく形成するほどテーパ部11aに対向する掘削面が崩れやすくなるので、テーパ部11aの角度は、この約5度に限定されず地盤が崩れない範囲内で適宜大きく形成されている。
【0027】
また、シールドフレーム10の内部には、図示していないが、ローリングを検出するための傾斜計や、その検出した傾斜度に応じてコピーカッタ4b,5bを制御する上述した制御手段、メインカッタ4a,5aにより掘削された土を、前面部1に形成された注入口を通して後方に排出するスクリューコンベア、シールドフレーム10を前方に押出すためのシールドジャッキなどが設けられている。
【0028】
次に、このシールド掘進機を用いて、その制御方法を作用と共に図2を用いて説明する。
【0029】
図2(a)に示すように、通常時は、メインカッタ4a,5aが回転され、このメインカッタ4a,5aの回転角度に応じてコピーカッタ4b,5bのストロークが制御され、テーパフード11の位置の余掘りを含めたほぼ前面部1の形状で地盤が掘削される。この掘削と共に、シールドジャッキによりシールドフレーム10が前方に押し出され、さらにその掘削した土がスクリューコンベアにより順次後方に搬送され、掘進する。また、曲線施工時には、前面部1の外側の掘削量を減らすようにコピーカッタ4b,5bのストロークが制御され、任意の方向に掘進する。
【0030】
そして、この通常の掘削の際に、上下のメインカッタ4a,5aで掘削される地盤の硬さの違いなどにより、異型断面シールド機がローリングすることがある。
【0031】
このローリング発生時は、図2(b)に示すように、前面部1の中心から点対称であり、鉛直、水平軸に対して対称とならない左右部分l,rの余掘りをやめる(掘削量を減らす)べく、その部分l,rの余掘外径が小さくなるようにコピーカッタ4b,5bが制御される。そして、シールド機を前進させこの掘り残された部分にテーパフード11が乗り上げることによりシールドフレーム10に回転モーメントが発生し、シールド機のローリングが修正される。
【0032】
そして、傾斜計によりシールド機のローリングが修正されたことが確認されると、再び通常時のように、掘削断面形状可変カッタ4,5が制御され、地盤が掘削される。
【0033】
以上説明したように、本発明は、カッタに余掘外径(掘削断面形状)を変化できる掘削断面形状可変カッタ4,5を用い、さらにシールドフレーム10の前面部1にテーパフード11を形成し、この掘削断面形状可変カッタ4,5のストロークを制御することにより、異型断面シールド機の姿勢を修正することができるので、姿勢制御するための多数の中折れジャッキや連結ジャッキ、複雑な制御を行う制御手段を必要とせず、簡単な構造で異型断面シールド機の姿勢制御が行える。
【0034】
これにより、シールド掘進機のローリングによりセグメントを組めなくなることを容易に防止することが可能となるため、作業能率が向上する。
【0035】
また、本発明は、ピッチングの修正にも適用することができる。
【0036】
ピッチングを修正する場合には、シールドフレーム10の前面1の上下両側にもテーパ部を有するテーパフードを形成する。
【0037】
そして、掘進に際して、上側又は下側の掘削量を減らすようにコピーカッタ4b,5bを出没させて掘削断面形状を変化させて姿勢を制御する。
【0038】
このように、本発明は、ローリングの修正方法と同様に、簡単な構造で容易にシールド機のピッチングも修正することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態ではピッチングやローリングの修正などの姿勢制御方法及びその装置について説明したが、掘削中に自在に掘進方向を変化させる方向制御装置にも適用できる。
【0040】
この場合、シールドフレームの先端にテーパフードを形成し、掘進方向の余掘をやめるようにコピーカッタを出没させて掘削断面形状を変化させることにより所望の方向に掘進方向を制御することができる。
【0041】
尚、本実施の形態では、シールドフレーム10の前面部1が矩形状に形成されており、この前面部に合せてカッタを2つ設けた異型断面シールド機に適用した例で説明したが、掘削面の形状は矩形状に限定されず、多連型シールドなどの真円以外の断面形状に掘削するシールド機にも適用できることは勿論である。
【0042】
また、カッタの数も1つあるいは3つ以上設けられたシールド機にも適用できることは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、簡単な構造で掘進方向を制御でき、容易にピッチングやローリングを修正できる。
【0044】
さらに、ローリング発生による作業の中断をなくすることができ、作業能率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す非円形断面シールドの概略図である。
【図2】図1の非円形断面シールドの正面図を示し、(a)は通常時の掘削断面形状可変カッタの余掘外径を示す図、(b)は姿勢制御時の掘削断面形状可変カッタの余掘外径を示す図である。
【図3】図1の非円形断面シールドの姿勢制御装置を示し、(a)は側面図、(b)はA−A線矢示断面図である。
【図4】従来の非円形断面シールドの姿勢制御装置を示し、(a)は側面図、(b)はB−B線矢示断面図である。
【符号の説明】
1 前面部
4,5 掘削断面形状可変カッタ
4a,5a メインカッタ
4b,5b コピーカッタ(伸縮カッタ)
10 シールドフレーム
11 テーパフード
20 前胴

Claims (4)

  1. 非円形断面シールド掘進機の制御方法において、シールドフレームの先端上下にテーパフードを形成し、そのシールドフレームの前面に掘削断面形状可変カッタを設け、その掘削断面形状可変カッタのシールドフレーム上下での掘削断面形状を変化させることによりピッチングを制御することを特徴とする非円形断面シールド掘進機の制御方法。
  2. 非円形断面シールド機の制御方法において、シールドフレームの先端にテーパフードを形成し、そのシールドフレームの前面に掘削断面形状可変カッタを設け、その掘削断面形状可変カッタの掘削断面形状を変化させることによりローリングを修正することを特徴とする非円形断面シールド機の制御方法。
  3. 非円形断面シールド掘進機において、シールドフレームの先端上下にテーパフードを形成し、そのシールドフレームの前面に掘削断面形状可変カッタを設け、その掘削断面形状可変カッタのシールドフレーム上下での掘削断面形状を変化させることによりピッチングを制御することを特徴とする非円形断面シールド掘進機。
  4. 非円形断面シールド機において、シールドフレームの先端にテーパフードを形成し、そのシールドフレームの前面に掘削断面形状可変カッタを設け、その掘削断面形状可変カッタの掘削断面形状を変化させることによりローリングを修正することを特徴とする非円形断面シールド機。
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