JP4153834B2 - 種々の置換基を有する1,1’−ビインデニリデン誘導体の新規合成方法 - Google Patents

種々の置換基を有する1,1’−ビインデニリデン誘導体の新規合成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
種々の置換基を有する1,1’−ビインデニリデン誘導体の新規合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビインデニリデン骨格を有する化合物は、一般に、インデン誘導体の酸化的カップリングによって合成されている。例えば、ジアゾインデンから発生するインデニルカルベンを、Ru(CO)12触媒存在下でホモカップリングさせる方法(非特許文献1参照);インデンにnBuLiを加えてTMSClで処理した場合の副生成物として得る方法(非特許文献2参照);インデニルクロリドを、NaOHおよびnBuNBrの存在下でホモカップリングさせる方法(非特許文献3参照);インデンのアニオンを、塩化銅(II)の存在下で酸化的カップリングさせる方法(非特許文献4参照);インダノンを、Cu(OTf)存在下で酸化的カップリングさせる方法(非特許文献5参照);インデニルクロリドを、V(CO)の存在下でホモカップリングさせる方法(非特許文献6参照);インデンにDBUおよびBrCClを加えて、ビインデニリデンを得る方法(非特許文献7参照);ヒドロキシメチルインデンを、CrOの存在下でカップリングさせる方法(非特許文献8参照)などが知られている。しかし、これらの方法はいずれも、インデン誘導体の二量化によるものであり、種々の置換基を有する1,1’−ビインデニリデン誘導体、例えば、2つのインデン骨格が非対称な1,1’−ビインデニリデン誘導体を選択的に得る方法は全く知られていない。
【0003】
【非特許文献1】
Capparelli, M.V.ら,Acta Cryst., 1996年, C52巻, 947頁
【非特許文献2】
Stradiotto, M.ら,Organometallics, 2000年, 19巻, 590頁
【非特許文献3】
Jonczyk, A.ら,Polish J. Chem., 2000年, 74巻, 985頁
【非特許文献4】
Kerber, R.C.およびWaldbaum, B.,Organometallics, 1995年, 14巻, 4742頁
【非特許文献5】
Baierweck, P.ら,Chem. Ber., 1988年, 121巻, 2195頁
【非特許文献6】
Priebsch, W.ら,Chem. Ber., 1988年, 121巻, 1971頁
【非特許文献7】
Hori, Y.ら,Chem. Lett., 1978年, 73頁
【非特許文献8】
Bergamasco, R.およびPorter, Q.N.,Aust. J. Chem., 1977年, 30巻, 1051頁
【非特許文献9】
Tietze, L.F.ら,Chem. Eur. J., 2002年, 8巻, 401頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、種々の置換基を有する1,1’−ビインデニリデン誘導体を合成するための新規な方法、ならびに該方法により得られる2つのインデン骨格が非対称な1,1’−ビインデニリデン誘導体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の式Iで表される1,1’−ビインデニリデン誘導体:
【0006】
【化6】
Figure 0004153834
【0007】
(ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、ニトロ基、リン酸基、シリル基、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、隣接する基は一緒になって環を形成してもよい)の合成方法を提供し、該方法は、
以下の式IIで表されるスチレン誘導体:
【0008】
【化7】
Figure 0004153834
【0009】
(ここで、R、R、R、およびRは、上で定義したとおりであり、Xは、脱離性基または脱離性基に変換可能な基であり、そしてYは、脱離性基である)を、パラジウム触媒の存在下で、以下の式IIIで表されるアセチレン誘導体:
【化8】
Figure 0004153834
(ここで、Wは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、または2−ヒドロキシ−2−プロピル基である)と反応させる工程;
該反応生成物を、以下の式IVで表されるスチレン誘導体:
【0010】
【化9】
Figure 0004153834
【0011】
(ここで、R、R、R、およびRは、上で定義したとおりであり、そしてZは、脱離性基である)と、パラジウム触媒の存在下で、反応させる工程;および
該反応生成物を、パラジウム触媒、塩基、および相間移動触媒の存在下で加熱する工程、を含む。
【0012】
好適な実施態様によれば、上記R、R、R、R、R、R、およびRは、水素原子である。
【0013】
他の好適な実施態様によれば、上記R、R、R、R、R、およびRは、水素原子であり、上記RおよびRは一緒になって縮合環を形成している。
【0014】
本発明はまた、以下の式I’で表される1,1’−ビインデニリデン誘導体を提供する:
【0015】
【化10】
Figure 0004153834
【0016】
ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、ニトロ基、リン酸基、シリル基、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、隣接する基は一緒になって環を形成してもよく、RとR、RとR、RとR、およびRとRの各対のうち少なくとも1対は互いに同一の置換基ではない。
【0017】
好適な実施態様によれば、上記R、R、R、R、R、R、およびRは、水素原子である。
【0018】
他の好適な実施態様によれば、上記R、R、R、R、R、およびRは、水素原子であり、上記RおよびRは一緒になって縮合環を形成している。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0020】
本発明の1,1’−ビインデニリデン誘導体の合成方法は、2つのスチレン誘導体とアセチレンとから得られるジアリールジエンイン類の連続5−エキソ環化反応に基づくものである。連続5−エキソ環化反応については、これまでに1例のみ報告があるが(非特許文献9)、π共役系の合成への応用に関する報告はなく、このような反応は、本発明により初めて行われた。
【0021】
本発明の1,1’−ビインデニリデン誘導体の合成方法の概略は、以下の反応スキーム1で表される。
【0022】
【化11】
Figure 0004153834
【0023】
式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、ニトロ基、リン酸基、シリル基、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、隣接する基は一緒になって環を形成してもよく;Xは、脱離性基または脱離性基に変換可能な基であり;YおよびZは、脱離性基であり;そしてWは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、または2−ヒドロキシ−2−プロピル基である。
【0024】
上記反応スキーム1に示されるように、まず、種々の置換基を有する2種のスチレン誘導体IIおよびIVとアセチレン誘導体IIIとを用いて、パラジウム触媒の存在下で順次反応させると、種々の置換基を有するジアリールジエンインVが得られる。次いで、得られたジアリールジエンインVを、パラジウム触媒、塩基、および相間移動触媒の存在下で加熱することにより、連続5−エキソ環化反応が生じ、種々の置換基を有する1,1’−ビインデニリデン誘導体Iが得られる。
【0025】
ここで、上記R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、ニトロ基、リン酸基、シリル基、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく;隣接する基は一緒になって環を形成してもよい。有機基である場合、その炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜16である。これらの例としては、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、複素環基、N−アリール−N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、チオアルキル基、ジアルキルホスフィニル基などがある。好適には、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、ベンジル基、4−クロロフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ジエトキシホスフィニル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、チオメチル基(メチルスルフィド)、フェノキシ基、チオフェニル基(フェニルスルフィド)、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N−フェニル−N−エチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、チオベンジル基(ベンジルスルフィド)、ペンタフルオロフェノキシ基、シアノ基などが挙げられる。隣接する基が一緒になって環を形成した場合は、単環系または多環系のいずれであってもよく、縮合環であってもよい。環構造の例としては、シクロペンテン環、シクロペンタン環、チアゾール環、オキサゾール環、シクロヘキセン環、シクロへキサン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラン環、シクロヘプタン環、アゼピン環、ナフタレン環、フラン環、チオフェン環などが挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0026】
以下、各工程について詳細に説明する。
【0027】
本発明の方法における第一の工程は、以下の反応スキーム2に示すように、式IIで表されるスチレン誘導体を、有機溶媒中、パラジウム触媒の存在下で、アセチレン誘導体IIIと反応させ、さらに塩基で処理して、式VIで表されるアリールエンイン(スチリルアセチレン誘導体)を得る工程である:
【0028】
【化12】
Figure 0004153834
【0029】
(ここで、R、R、R、R、X、Y、およびWは、上で定義されたとおりである)。
【0030】
本発明において、脱離性基とは、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離性の高い基をいう。また、脱離性基に変換可能な基とは、容易な操作で脱離性基に変換できる基をいい、例えば、水酸基、メトキシ基、アセトキシ基、トリアゼン基、アミノ基などが挙げられる。
【0031】
本発明において用いられるアセチレン誘導体IIIは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、または2−ヒドロキシ−2−プロピル基で置換されたアセチレンである。最も好適には、トリメチルシリルアセチレンが用いられる。
【0032】
上記工程において用いられる有機溶媒は、その種類は特に限定されない。このような有機溶媒の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ジエチルエーテル、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジンが挙げられる。好適には、ジエチルアミンが用いられる。
【0033】
この工程において用いられるパラジウム触媒は、特に限定されず、例えば、Pd(PPh)、PdCl(PPh)、Pd(OAc)、Pd (dppf)Cl、Pd (PhCN)Cl、Pd (dba)・CHClなどが挙げられる。好適には、Pd(OAc)、Pd(PPh)などが用いられる。パラジウム触媒の使用量は、特に限定されないが、0.01〜30mol%が好ましい。通常、トリフェニルホスフィンの共存下で使用される。
【0034】
この工程において、金属のハロゲン化物を共存させることが好ましい。金属のハロゲン化物としては、ヨウ化銅、塩化銅などが挙げられる。
【0035】
上記工程の後半で用いられる塩基は、無機塩基でも有機塩基でもよいが、無機塩基が好ましい。無機塩基の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウムなどが挙げられ、特に炭酸カリウムが好ましい。上記無機塩基の使用量は特に限定されず、当業者によって適切に選択され得るが、スチレン誘導体IIの量に対して好ましくは0.5〜10当量である。塩基は、好ましくは、メタノール、THFなどの有機溶媒に溶解して用いられる。
【0036】
上記第一の工程は、まず、窒素雰囲気下でスチレン誘導体II、アセチレン誘導体III、パラジウム触媒、トリフェニルホスフィン、金属のハロゲン化物、および有機溶媒を添加した後、室温で攪拌下にて行われる。反応時間は、好適には2〜8時間、より好ましくは3〜6時間である。なお、反応条件は、使用する有機溶媒やパラジウム触媒の種類によって異なるため、特にこれらに限定されない。次いで、適切な有機溶媒に溶解した塩基を加え、さらに室温で撹拌下で反応する。この反応時間は、好適には30分〜4時間、より好ましくは1〜3時間である。この工程によって得られるアリールエンイン化合物VIを含む反応液は、反応生成物を精製することなく、そのまま次の工程に用いることができる。
【0037】
本発明の方法における第二の工程は、以下の反応スキーム3に示すように、上記第一の工程で得られたアリールエンインVIを、有機溶媒中、パラジウム触媒の存在下で、式IVで表されるスチレン誘導体と反応させ、式Vで表されるジアリールジエンインを得る工程である:
【0038】
【化13】
Figure 0004153834
【0039】
(ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、X、およびZは、上で定義されたとおりである)。
【0040】
この工程において用いられるパラジウム触媒および有機溶媒は、第一の工程と同様である。好適には、パラジウム触媒としては、PdCl(PPh)、Pd (PPh)などが用いられ、そして有機溶媒としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、テトラヒドロフランなどが用いられる。この工程においても、金属のハロゲン化物を共存させることが好ましい。金属のハロゲン化物としては、ヨウ化銅、塩化銅などが挙げられる。
【0041】
上記第二の工程は、窒素雰囲気下で上記すべての物質を添加した後、室温で攪拌下にて行われる。反応時間は、好適には30分〜4時間、より好ましくは1〜2時間である。なお、反応条件は、使用する有機溶媒やパラジウム触媒の種類によって異なるため、特にこれらに限定されない。
【0042】
この工程により得られるジアリールジエンインVは、ZZ/EZの割合が、通常、約70〜99/0〜30となる。好適には、ZZ体が次の工程に用いられるが、EZ体が含まれていてもよい。この工程によって得られるジアリールジエンインVを含む反応液は、反応生成物を精製することなく、そのまま次の工程に用いることができる。
【0043】
本発明の方法における第三の工程は、以下の反応スキーム4に示すように、上記第二の工程によって得られたジアリールジエンインVを、有機溶媒中、パラジウム触媒、塩基、および相間移動触媒の存在下で加熱して、1,1’−ビインデニリデン誘導体Iを得る工程である:
【0044】
【化14】
Figure 0004153834
【0045】
(ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、およびXは、上で定義されたとおりである)。
【0046】
ここで、Xが脱離性基に変換可能な基である場合は、この第三の工程の前に予め、脱離性基に変換可能な基を脱離性基に変換する必要がある。これは当業者が通常用いる方法によって行われ得、例えば、Xがアミノ基である場合は、アミノ基をトリアゼン基に変換して、ヨウ化メチルで処理すると、ヨウ素原子に変換することができる。
【0047】
上記第三の工程において用いられる有機溶媒は、その種類は特に限定されない。このような有機溶媒の例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド(DMF)、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアセトアミドが挙げられる。好適には、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルアセトアミド(DMA)が用いられる。
【0048】
この工程において用いられるパラジウム触媒は、特に限定されず、例えば、Pd(PPh)、PdCl(PPh)、Pd(OAc)、Pd (PhCN)Cl、Pd (dba)・CHCl、Pd (dppf)Clなどが挙げられる。好適には、Pd(OAc)などが用いられる。パラジウム触媒の使用量は、特に限定されないが、0.01〜50mol%が好ましい。通常、トリフェニルホスフィンの共存下で使用される。
【0049】
この工程で用いられる塩基は、無機塩基でも有機塩基でもよいが、無機塩基が好ましい。無機塩基の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウムなどが挙げられ、特に炭酸カリウムが好ましい。上記無機塩基の使用量は特に限定されず、当業者によって適切に選択され得るが、ジアリールジエンインVの量に対して好ましくは0.5〜10当量である。
【0050】
この工程で用いられる相間移動触媒としては、例えば、BuNBr、PrNBr、BuNBFなどが挙げられ、好適にはBuNBrが用いられる。相間移動触媒の使用量は特に限定されないが、好ましくはジアリールジエンインVの量に対して0.5〜5当量である。
【0051】
上記第三の工程では、上記すべての物質を添加した後、加熱する。加熱温度は、好ましくは40〜110℃、より好ましくは70〜90℃、最も好ましくは約80℃であり、好適には5分〜2時間、より好ましくは10分〜1時間、攪拌下にて行われる。なお、反応条件は、使用する有機溶媒、パラジウム触媒、塩基、および/または相間移動触媒の種類によって異なるため、特にこれらに限定されない。
【0052】
薄層クロマトグラフィー(TLC)およびガスクロマトグラフィー(GC)でのモニタリングによってジアリールジエンインVの消失を確認して反応を終了した後、生成した1,1’−ビインデニリデン誘導体Iは、カラムクロマトグラフィーなどの当業者が通常用いる手段によって単離・精製され得る。
【0053】
このようにして、任意の位置に種々の置換基を有する1,1’−ビインデニリデン誘導体Iを製造することができる。1,1’−ビインデニリデン誘導体Iは、2つのインデン骨格が対称または非対称のいずれも製造可能である。このうち、以下の式I’で表される所望の位置に置換基を有する、2つのインデン骨格が非対称な1,1’−ビインデニリデン誘導体:
【0054】
【化15】
Figure 0004153834
【0055】
(ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、ニトロ基、リン酸基、シリル基、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、隣接する基は一緒になって環を形成してもよく、RとR、RとR、RとR、およびRとRの各対のうち少なくとも1対は互いに同一の置換基ではない)は、従来の方法では選択的に製造することができなかったため、その報告例は全くなく、本発明の方法によって初めて得ることができた化合物である。
【0056】
上記R、R、R、R、R、R、R、およびRが有機基である場合、その炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1〜16である。これらの例としては、上述のとおりである。
【0057】
【実施例】
(実施例1)アリールエンイン(スチリルアセチレン誘導体)の合成
【0058】
【化16】
Figure 0004153834
【0059】
玉入り冷却管およびセプタムを備えた乾燥した50mL枝付きフラスコに、窒素雰囲気下、ヨウ化銅(51.0mg、268μmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(PdCl(PPh)(94.0mg、134μmol)を加え、次いでジエチルアミン(15mL)および(Z)−2,β−ジブロモスチレン(3.50g、13.4mmol、Z/E=100/0)を加えた。さらに、トリメチルシリルアセチレン(2.08mL、1.45g、14.7mmol)およびジエチルアミン15mLを滴下して、室温にて撹拌下で4.5時間反応を行った。反応は、TLCおよびGCにてモニタリングした。反応終了後、反応混合物に水およびエーテルを加え、ハイフロで濾過した。濾液に1N塩酸を加えた後エーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で精製し、アリールエンインのトリメチルシリル保護体(1−(2−ブロモフェニル)−4−トリメチルシリル−1−ブテン−3−イン)を淡黄色液体(3.15g、10.7mmol、Z/E=97/3、収率82%)として得た。
【0060】
得られた(Z)-異性体のH-NMRはスペクトルデータは次のとおりであった:H-NMR(300MHz, CDCl,30℃)δ8.39(dd,J=7.8,1.5Hz,1H),7.58(dd,J=7.8,1.2Hz,1H),7.33(td,J=7.8,1.2Hz,1H),7.19(td,J=7.8,1.5Hz,1H),6.99(d,J=12.1Hz,1H),5.82(d,J=12.1Hz,1H),0.20(s,9H)。
【0061】
次に、玉入り冷却管およびセプタムを備えた乾燥した300mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、炭酸カリウム(148mg,1.07mmol)を入れ、さらに乾燥メタノール175mLおよび乾燥THF50mLを加えて撹拌した。次いで、この混合物に、THF25mLに溶解した上記のアリールエンインのトリメチルシリル保護体(100mg,0.36mmol,Z/E=97/3)を滴下して、室温にて撹拌下で2時間反応させた。反応はGCにてモニタリングした。反応終了後、反応混合物に水および1N塩酸を加えてエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で精製し、アリールエンイン化合物(1−(2−ブロモフェニル)−1−ブテン−3−イン)を淡黄色オイル(66mg、2.70mmol、Z/E=97/3、収率88%)として得た。
【0062】
得られた(Z)−異性体の解析結果は次のとおりであった:H-NMR(300MHz, CDCl,30℃)δ8.26(dd,J=7.7,1.7Hz,1H),7.60(dd,J=7.7,1.4Hz,1H),7.32(ddd,J=7.7,7.7,1.4Hz,1H),7.15(dddd,J=7.7,7.7,1.7,0.6Hz,1H),7.04(dd,J=12.3,0.6Hz,1H),5.80(dd,J=12.3,2.4Hz,1H),3.23(dd、J=2.4,1.2Hz,1H);13C-NMR(75MHz, CDCl,30℃)δ139.4(d),135.4(s),132.7(d),129.9(d),129.6(d),127.0(d),124.2(s),108.7(d),83.9(d),80.9(s);IR(KBr)3293,3063,3027,2091,1586,1558,1467,1433,1023,947,768,735cm−1;MS(EI)m/z:208,206(M),127(M−Br);HRMS(EI)計算値:C10Br:207.9711,205.9731.実測値:207.9765,205.9760。
【0063】
(実施例2)ジアリールジエンインの合成
【0064】
【化17】
Figure 0004153834
【0065】
【表1】
Figure 0004153834
【0066】
(R=R=R=Hの場合)
玉入り冷却管およびセプタムを備えた乾燥した50mL枝付き二ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ヨウ化銅(7.6mg、40μmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(PdCl(PPh)(14mg、20μmol)を加え、次いでジエチルアミン(10mL)およびβ−ブロモスチレン(378mg、2.07mmol、Z/E=96/4)を加えた。さらに、上記実施例1で得たアリールエンイン化合物(405mg、1.95mmol、Z/E=97/3)およびジエチルアミン11mLを滴下して、室温にて撹拌下で1.5時間反応を行った。反応は、TLCおよびGCにてモニタリングした。反応終了後、反応混合物にエーテルを加え、セライトで濾過した。濾液に1N塩酸を加えた後エーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)で精製し、1−(2−ブロモフェニル)−6−フェニル−1,5−ヘキサジエン−3−インの異性体混合物を黄色オイル(457mg、ZZ/ZE/EE=91/8/1、収率76%)として得た。これを、リサイクル分取液体クロマトグラフィーによりさらに精製し、淡黄色オイルのジアリールジエンインの(Z,Z)−異性体を得た(269mg、収率45%)。
【0067】
得られた(Z,Z)−異性体の解析結果は次のとおりであった:H-NMR(300MHz, CDCl,30℃)δ8.29(dd,J=6.0,1.5Hz,1H),7.81−7.77(m,2H),7.59(dd,J=6.0,1.2Hz,1H),7.29−7.19(m,4H),7.13(ddd,J=7.8,7.5,1.5Hz,1H),6.99(d,J=12.0Hz,1H),6.65(d,J=12.0Hz,1H),6.05(dd,J=12.0,3.0Hz,1H),5.86(dd,J=12.0,3.0Hz,1H);13C-NMR(75MHz, CDCl,30℃)δ139.0(d),137.3(d),136.3(s),135.9(s),132.8(d),129.7(d),129.6(d),128.6(d),128.5(d),128.3(d),127.2(d),124.1(s),109.9(d),107.2(d),94.5(s),93.3(s);IR(neat)3061,3023,2162,1587,1492,1466,1447,1434,1416,1023,771,741,690cm−1;UVλmax(logε)333(4.30),263(4.28),254(sh,4.26)nm;MS(EI)m/z:310,308(M),229(M−Br),228(M−HBr);HRMS(EI)計算値:C1813Br:310.0182,308.0201.実測値:310.0221,308.0145。
【0068】
(R=Me、OMe、またはCFかつR=R=Hの場合、あるいはR=HかつR,R=(−CH=CH−CH=CH−)の場合)
β−ブロモスチレンの代わりにそれぞれの置換基を有するβ−ブロモスチレンを用いて、上記と同様にして、それぞれのジアリールジエンインの(Z,Z)−異性体を得た。生成物の解析結果はそれぞれ次のとおりであった。
【0069】
(R=MeかつR=R=Hの場合)
淡黄色オイル:H-NMR(400MHz, CDCl,30℃)δ8.31(dd,J=7.8,1.6Hz,1H),7.70(d,J=8.0Hz,2H),7.59(dd,J=8.0,1.6Hz,1H),7.24−7.20(m,1H),7.13(td,J=7.8,1.6Hz,1H),7.08(d,J=8.0Hz,2H),6.97(d,J=12.0Hz,1H),6.62(d,J=12.0Hz,1H),6.05(dd,J=12.0,3.2Hz,1H),5.80(dd,J=12.0,3.2Hz,1H),2.34(s,3H);13C-NMR(100MHz, CDCl,30℃)δ138.90,138.60,136.93,135.82,133.53,132.65,129.52,129.50,128.96,128.42,127.10,124.07,109.92,106.13,94.76,93.39,21.48;IR(KBr)2924,2847,1550,1508,1465,1436,1023,823,767cm−1;MS(EI)m/z:324,322(M,33),228(M−Br−CH,100),129(50);HRMS(EI)計算値:C1915Br:322.0357,324.0339.実測値:322.0343,324.0349。
【0070】
(R=OMeかつR=R=Hの場合)
淡黄色オイル:H-NMR(400MHz, CDCl,30℃)δ8.32(dd,J=8.0,1.6Hz,1H),7.77(d,J=8.8Hz,2H),7.60(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.23(dd,J=7.6,1.2Hz,1H),7.13(td,J=8.0,1.6Hz,1H),6.96(d,J=11.6Hz,1H),6.79(d,J=8.8Hz,2H),6.58(d,J=12.0Hz,1H),6.06(dd,J=11.6,2.8Hz,1H),5.74(dd,J=12.0,2.8Hz,1H),3.81(s,3H);13C-NMR(100MHz, CDCl,30℃)δ159.68,138.43,136.79,135.93,132.68,129.99,129.55,129.51,129.28,127.13,124.06,113.66,110.01,104.67,94.96,93.14,55.27;IR(KBr)2929,2835,2165,1604,1509,1436,1257,1174,1025,837,767cm−1;MS(EI)m/z:338,340(M,85),259(M−Br,28),215(100);HRMS(EI)計算値:C1915BrO:338.0306,340.0288.実測値:338.0308,340.0304。
【0071】
(R=CFかつR=R=Hの場合)
無色オイル:H-NMR(400MHz,CDCl,30℃)δ8.19(dd,J=7.5,2.1Hz,1H),7.86(d,J=8.5Hz,2H),7.61(dd,J=7.5,1.7Hz,1H),7.48(d,J=8.5Hz,2H),7.19−7.10(m,2H),7.01(d,J=11.7Hz,1H),6.66(d,J=12.0Hz,1H),6.04(dd,J=11.7,3.2Hz,1H),5.98(dd,J=12.0,3.2Hz,1H);13C-NMR(100MHz,CDCl,30℃)δ139.38,138.26,137.07,135.79,132.79,129.91(q,J=32.2Hz),129.84,129.59,128.53,127.07,125.19(q,J=3.7Hz),124.08,123.94(q,J=269.7Hz),109.87,109.55,94.62,93.36;IR(KBr)3065,3026,1615,1468,1435,1325,1167,1125,1065,1024,848,768cm−1;MS(EI)m/z:376,378(M,30),297(M−Br,52),228(M−Br−CF,100).HRMS(EI)計算値:C1912BrF:376.0074.実測値:376.0048。
【0072】
(R=HかつR,R=(−CH=CH−CH=CH−)の場合)
無色固体:融点55〜57℃:H-NMR(400MHz, CDCl,30℃)δ8.15(d,J=7.2Hz,1H),8.11(dd,J=7.8,1.4Hz,1H),8.04−8.01(m,1H),7.87−7.84(m,1H),7.80(d,J=8.4Hz,1H),7.54−7.48(m,3H),7.40(d,J=11.6Hz,1H),7.38(t,J=7.8Hz,1H),7.04(td,J=7.6,1.6Hz,1H),6.94−6.92(m,1H),6.91(d,J=12.0Hz,1H),6.10(dd,J=11.6,2.8Hz,1H),5.94(dd,J=12.0,2.8Hz,1H);13C-NMR(100MHz, CDCl,30℃)δ137.01,136.79,135.57,133.47,132.86,132.57,131.22,129.49,129.29,128.85,128.53,126.97,126.38,126.20,125.79,125.29,124.04,123.58,109.78,109.65,94.27,92.30;IR(KBr)3057,1606,1586,1557,1506,1464,1433,1340,1021,946,798,776,751cm−1;MS(EI)m/z:358,360(M,65),278(100);HRMS(EI)計算値:C2215Br:358.0357,360.0339.実測値:358.0376,360.0323。
【0073】
(実施例3)1,1’−ビインデニリデンの合成
【0074】
【化18】
Figure 0004153834
【0075】
冷却管を備えた乾燥した10mLの二ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、酢酸パラジウム(1.5mg、6.7μmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(11mg、32μmol)、無水炭酸カリウム(14.0mg、100μmol)、およびトリフェニルホスフィン(3.4mg、13μmol)を入れた。次いで、上記実施例2で得た(1−(2−ブロモフェニル)−6−フェニル−1,5−ヘキサジエン−3−イン(10mg、32μmol)をDMF3mLに溶解した溶液(0.01M)を滴下し、80℃にて撹拌下で2時間反応させた。反応は、TLCにてモニタリングした。反応終了後、反応混合液を室温まで冷却し、水およびエーテルを加え、混合物をエーテルで3回抽出した。有機層を合わせ、そして飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液を減圧留去して黒褐色固体を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)により精製して1,1’−ビインデニリデンを得た(4.0mg、17μmol、収率34%)。
【0076】
本実施例における1,1’−ビインデニリデンの合成工程においては、パラジウム触媒の量、塩基の種類(例えば、酢酸カリウム、炭酸ナトリウムなど)および量、相間移動触媒の種類(例えば、PrNBr、BuNBFなど)および量、ならびに有機溶媒の種類(例えば、DMAなど)および量を種々変更した実験も行った。その結果、いずれの条件下でも、1,1’−ビインデニリデンを得ることができた(データを示さず)。
【0077】
(実施例4)1,1’−ビインデニリデン誘導体の合成
【0078】
【化19】
Figure 0004153834
【0079】
【表2】
Figure 0004153834
【0080】
乾燥したフラスコに、酢酸パラジウム(20mol%)、無水炭酸カリウム(3当量)、トリフェニルホスフィン(40mol%)、および臭化テトラブチルアンモニウム(1当量)を入れた。次いで、表3に記載のジアリールジエンインのDMF希釈溶液(0.01M)をフラスコに加え、得られた混合物を80℃まで20分間加熱し、そして反応が終了するまで反応温度を80℃で維持した。反応物を室温まで冷却し、水およびエーテルを連続して加えた。混合物をエーテルで3回抽出した。有機層を合わせ、そして食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して濾過した。濾液をエバポレートして暗色の残渣を得、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、対応の生成物をそれぞれ表2に記載の収率で得た。
【0081】
(R=MeかつR=R=Hの場合:6−メチル−1,1’−ビインデニリデン)
赤色固体:融点:80〜82℃:H-NMR(400MHz,CDCl,30℃)δ7.93(d,J=7.2Hz,1H),7.75(s,1H),7.44(d,J=5.6Hz,1H),7.34(d,J=5.6Hz,1H),7.31−7.29(m,1H),7.25(dd,J=7.6,1.2Hz,1H),7.22−7.19(m,1H),7.17(d,J=7.6Hz,1H),7.05(d,J=6.8Hz,1H),7.04(d,J=5.6Hz,1H),7.00(d,J=5.6Hz,1H),2.42(s,3H);13C-NMR(100MHz,CDCl,30℃)δ143.48,141.42,140.97,140.67,137.20,136.85,136.22,135.83,135.47,128.77,128.14,127.18,126.42,126.31,125.68,125.04,121.71,121.43,21.91;IR(KBr)2924,2853,1734,1541,1448,1369,1243,875,818,751cm−1;MS(EI)m/z:242(M,6),205(100);HRMS(EI)計算値:C1914:242.1096.実測値:242.1110。
【0082】
(R=OMeかつR=R=Hの場合:6−メトキシ−1,1’−ビインデニリデン)
橙色固体:融点:>300℃:H-NMR(400MHz,CDCl,30℃)δ7.92(d,J=7.2Hz,1H),7.52(d,J=2.0Hz,1H),7.37(d,J=5.6Hz,1H),7.30−7.18(m,3H),7.28(d,J=5.6Hz,1H),7.17(d,J=8.0Hz,1H),7.03(d,J=5.6Hz,1H),6.98(d,J=5.6Hz,1H),6.76(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),3.87(s,3H);13C-NMR(100MHz,CDCl,30℃)δ158.58,143.44,141.26,140.62,138.71,136.81,136.51,136.24,135.96,128.18,126.87,125.71,125.04,121.93,121.74,113.78,111.69,55.77;IR(KBr)2925,2853,1699,1586,1451,1374,1285,1229,1032,821,756cm−1;MS(EI)m/z:258(M,100),225(32);HRMS(EI)計算値:C1914O:258.1045.実測値:258.1035。
【0083】
(R=CFかつR=R=Hの場合:6−トリフルオロメチル−1,1’−ビインデニリデン)
橙色固体:融点:72〜73℃:H-NMR(400MHz,CDCl,30℃)δ8.14(s,1H),7.93(d,J=7.3Hz,1H),7.60(d,J=5.6Hz,1H),7.54(d,J=7.8Hz,1H),7.41(d,J=7.8Hz,1H),7.37(d,J=5.6Hz,1H),7.32(dd,J=7.3,1.3Hz,1H),7.29(dd,J=7.3,1.0Hz,1H),7.23(td,J=7.3,1.7Hz,1H),7.12(d,J=5.6Hz,1H),7.10(d,J=5.6Hz,1H);13C-NMR(100MHz,CDCl,30℃)δ146.40,143.58,142.94,139.23,137.68,136.91,136.51,134.73,129.62,128.92,127.64(q,J=31.6Hz),126.68,126.12,125.31,125.27(q,J=4.1Hz),124.60(q,J=270.6Hz),122.10,121.49,121.38(q,J=4.1Hz);IR(KBr)2960,2924,2853,1732(w),1614,1540,1452,1374,1330,1262,1155,1111,1052,824,801,746cm−1;MS(EI)m/z:296(M,100),226(M−CF,36);HRMS(EI)計算値:C1911:296.0813.実測値:296.0788。
【0084】
(R=HかつR,R=(−CH=CH−CH=CH−)の場合:4,5−ベンゾ−1,1’−ビインデニリデン)
灰色固体:融点:>300℃:H-NMR(270MHz,CDCl,30℃)δ8.10(d,J=8.6Hz,1H),8.05(dd,J=7.9,1.0Hz,1H),8.00(dd,J=6.6,1.6Hz,1H),7.83(dd,J=7.3,2.0Hz,1H),7.68(d,J=8.6Hz,1H),7.55(d,J=5.7Hz,1H),7.51(d,J=5.6Hz,1H),7.50−7.41(m,3H),7.33−7.19(m,2H),7.24(d,J=5.6Hz,1H),7.10(d,J=5.7Hz,1H);13C-NMR(100MHz,CDCl,30℃)δ143.56,143.20,141.91,140.64,137.05,136.83,133.66,133.09,132.91,128.67,128.22,127.59,127.38,126.20,126.13,126.08,125.93,125.57,125.34,123.82,122.85,121.88;IR(KBr)3048,1698,1506,1451,1407,1371,1189,794,755,721cm−1;MS(EI)m/z:278(M,100),226(60);HRMS(EI)計算値:C2214:278.1096.実測値:278.1090。
【0085】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、1,1’−ビインデニリデン誘導体は、2つのスチレン誘導体から構築されるため、置換基の導入が極めて容易であり、所望の置換基を有する1,1’−ビインデニリデン誘導体、例えば、2つのインデン骨格が非対称な1,1’−ビインデニリデン誘導体を簡便に合成できる。例えば、ドナー性およびアクセプター性の置換基がそれぞれのインデニルユニットに導入されている1,1’−ビインデニリデン誘導体は、非線形光学特性、エレクトロルミネッセンスなどの有用な性質を有する可能性がある。また、非対称な1,1’−ビインデニリデン誘導体を配位子として用いることにより、選択的な金属への配位が可能となり、そのためヘテロメタリックな多核金属錯体の構築が期待できる。さらに、理論計算から、ビインデニリデンのポリマーは、低バンドギャップであることが予測されるため、半導体としての応用も可能である。

Claims (6)

  1. 以下の式Iで表される1,1’−ビインデニリデン誘導体:
    Figure 0004153834
    (ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、ニトロ基、リン酸基、シリル基、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、隣接する基は一緒になって環を形成してもよい)の合成方法であって、
    以下の式IIで表されるスチレン誘導体:
    Figure 0004153834
    (ここで、R、R、R、およびRは、上で定義したとおりであり、Xは、脱離性基または脱離性基に変換可能な基であり、そしてYは、脱離性基である)を、パラジウム触媒の存在下で、以下の式IIIで表されるアセチレン誘導体:
    Figure 0004153834
    (ここで、Wは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、または2−ヒドロキシ−2−プロピル基である)と反応させる工程;
    該反応生成物を、以下の式IVで表されるスチレン誘導体:
    Figure 0004153834
    (ここで、R、R、R、およびRは、上で定義したとおりであり、そしてZは、脱離性基である)と、パラジウム触媒の存在下で、反応させる工程;および
    該反応生成物を、パラジウム触媒、塩基、および相間移動触媒の存在下で加熱する工程、
    を含み、
    該有機基が、炭素数が1〜16であり、そしてアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アラルキル基、複素環基、N−アリール−N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、チオアルキル基、またはジアルキルホスフィニル基であり、
    該環が、無置換の環であって、かつシクロペンテン環、シクロペンタン環、チアゾール環、オキサゾール環、シクロヘキセン環、シクロへキサン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラン環、シクロヘプタン環、アゼピン環、ナフタレン環、フラン環、またはチオフェン環であり、そして
    該脱離性基に変換可能な基が、水酸基、メトキシ基、アセトキシ基、トリアゼン基、またはアミノ基である、方法。
  2. 前記R、R、R、R、R、R、およびRが、水素原子である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記R、R、R、R、R、およびRが、水素原子であり、前記RおよびRが一緒になって縮合環を形成している、請求項1に記載の方法。
  4. 以下の式I’で表される1,1’−ビインデニリデン誘導体:
    Figure 0004153834
    ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、アミノ基、ニトロ基、リン酸基、シリル基、または炭素数1以上の1価の有機基であり、該1価の有機基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ケイ素原子、およびリン原子のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、隣接する基は一緒になって環を形成してもよく、RとR、RとR、RとR、およびRとRの各対のうち少なくとも1対は互いに同一の置換基ではなく、該有機基が、炭素数が1〜16であり、そしてアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、アラルキル基、複素環基、N−アリール−N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、チオアルキル基、またはジアルキルホスフィニル基であり、そして該環が、無置換の環であって、かつシクロペンテン環、シクロペンタン環、チアゾール環、オキサゾール環、シクロヘキセン環、シクロへキサン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラン環、シクロヘプタン環、アゼピン環、ナフタレン環、フラン環、またはチオフェン環である。
  5. 前記R、R、R、R、R、R、およびRが、水素原子である、請求項4に記載の1,1’−ビインデニリデン誘導体。
  6. 前記R、R、R、R、R、およびRが、水素原子であり、前記RおよびRが一緒になって縮合環を形成している、請求項4に記載の1,1’−ビインデニリデン誘導体。
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