JP4153270B2 - 弾性履帯 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラ式走行装置に採用される弾性履帯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、雪上車やコンバイン等の走行部に採用される走行装置として、駆動輪とアイドラ等とに亘って履帯を掛装し、この履帯を周方向に回転させることにより走行するようにしたクローラ式走行装置がある。
このクローラ式走行装置の履帯として、ゴム様弾性体によって無端帯状に形成された履帯本体を備えると共に、この履帯本体の外周側にラグを備えた弾性履帯がある。
【0003】
この弾性履帯のラグとして、履帯の幅方向中央部に位置していて、履帯周方向一方側に凸となる中央ラグ部と、この中央ラグ部の履帯幅方向両側から、履帯幅方向端部に至るに従って履帯周方向他方側に移行する傾斜方向に延びる左右一対の側部ラグ部とから、全体として履帯周方向一方側に凸となる山形状に構成されているラグがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−42383号公報(第1図)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のラグにあっては、全体として履帯周方向一方側に凸となる山形状に形成されているので、履帯を周方向一方側に回転させると、排土性に優れているものの、軟弱地や雪路等における牽引力に劣るという問題がある。
本発明は、前記問題点に鑑みて、良好な排土性と、良好な牽引性能とを有するラグパターンを備えた弾性履帯を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明が技術的課題を解決するために講じた技術的手段は、ゴム様弾性体によって無端帯状に形成され、周方向Aに回転駆動される履帯本体2を備え、この履帯本体2の外周側に、履帯本体2の幅方向B中央側に位置する履帯中央側ラグ部10と、履帯本体2の幅方向B側部に位置する履帯側部側ラグ部11とを備え、履帯中央側ラグ部10は、履帯1の回転方向A1前方側に凸となる山形状に形成され、履帯側部側ラグ部11は、履帯1の回転方向A1後方側に凸となる湾曲状に形成されており、
履帯中央側ラグ部10及び履帯側部側ラグ部11は、履帯本体2の周方向Aに亘って間隔をおいて設けられ、履帯側部側ラグ部11の履帯周方向AのピッチP2は、履帯中央側ラグ部10の履帯周方向AのピッチP1の2倍以上とされていることを特徴とする。
【0007】
また、履帯側部側ラグ部11が、履帯中央側ラグ部10の履帯幅方向B両端部の内、一方からのみ連続状に延出されて形成されているラグ9A,9Bを有するのがよい。
また、履帯側部側ラグ部11が履帯中央側ラグ部10に連続状に設けられており、履帯側部側ラグ部11の履帯幅方向Bの外端側の履帯回転方向A1先端側が、履帯中央側ラグ部10の履帯回転方向A1先端よりも、履帯回転方向A1後方側に位置しているのがよい。
【0008】
また、履帯中央側ラグ部10が、転輪通過面15に対応して位置しているのがよい。
また、履帯中央側ラグ部10及び履帯側部側ラグ部11の履帯回転方向A1の前側の面10a,11aは、履帯外周側に向かうに従って履帯回転方向A1後方に移行する傾斜面とされており、履帯側部側ラグ部11の履帯回転方向A1の前側の面11aの履帯周方向Aに対する傾斜が、履帯中央側ラグ部10の履帯回転方向A1の前側の面10aの履帯周方向に対する傾斜よりも、緩やかに形成されているのがよい。
【0009】
また、中央側ラグ部10は履帯回転方向A1前方側に凸となる円弧状に形成され、側部側ラグ部11は履帯回転方向A1後方側凸となる円弧状に形成されていて、中央側ラグ部10の曲率半径は、側部側ラグ部11の曲率半径よりも小である
また、履帯側部側ラグ部11のラグ高さHが、履帯中央側ラグ部10のラグ高さHよりも高いのがよい。
また、履帯中央側ラグ部10の履帯幅方向B一側にのみ履帯側部側ラグ部11を連続状に備えたラグ9Aと、履帯中央側ラグ部10の履帯幅方向B他側にのみ履帯側部側ラグ部11を連続状に備えたラグ9Bとが履帯周方向Aに交互に配置されているのがよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜4は、本発明の一実施の形態を示しており、1は、クローラ式走行装置に採用される弾性履帯(以下、単に履帯という)である。
クローラ式走行装置は、例えば、進行方向前後一側に配置された駆動輪(駆動スプロケット)と、進行方向前後他側に配置されたアイドラと、これら駆動輪とアイドラとの間に配置された複数の転輪と、これら駆動輪、アイドラ、複数の転輪に亘って巻き掛けられた無端帯状の履帯1とを有し、駆動輪から履帯1に駆動力を伝達して、該履帯1を周方向Aに回転(循環回走)させることにより、走行するように構成され、通常、走行体の本機に対して左右一対設けられる。
【0011】
履帯1は、ゴム様弾性体から無端帯状に形成された履帯本体2を有し、この履帯本体2内には、抗張体3と補強層4とが履帯周方向A全周に亘って埋設されている。
抗張体3は、例えば、履帯本体2内に、周方向Aに沿って1周巻回状として埋設された有端のスチールコード等の抗張力コード6を、履帯幅方向B(左右方向)に適宜間隔をおいて、並列状に配設されて構成されており、駆動輪から伝達された駆動力を履帯1の他の部分に伝達すると共に、履帯1に加えられる履帯周方向Aの張力に耐える機能を該履帯1に持たせるために履帯本体2に埋設される。
【0012】
補強層4は、外傷から抗張体3を保護すると共に、履帯1の捩り、横剛性を向上させて履帯外れを防止する機能を持つキャンバス等によって構成されている。
前記履帯本体2の内周側には、駆動輪から履帯本体2へ駆動力を伝達するためのゴム様弾性体からなる駆動突起7が履帯周方向Aに亘って設けられており、この駆動突起7は、履帯本体2の幅方向Bの中央部に、履帯周方向Aに間隔をおいて且つ一体的に設けられている。
また、履帯本体2の外周側には、抗張体3及び補強層4の保護、牽引力の伝達、入力振動の低減等の機能を持つラグ9A,9Bを、履帯周方向Aに亘って且つ履帯周方向Aに間隔をおいて有する。
【0013】
このラグ9A,9Bは、ゴム様弾性体によって構成され、履帯本体2に接続する基部側から接地面14に向かうに従って、漸次狭幅となる断面台形状に形成されており、履帯本体2の幅方向B中央側に位置する履帯中央側ラグ部10と、この履帯中央側ラグ部10と連続的に形成されていて履帯本体2の幅方向B側部に位置する履帯側部側ラグ部11とを備えている。
履帯中央側ラグ部10は、履帯1の回転方向A1(前進回転方向)前方側に凸となる山形状に形成され、履帯側部側ラグ部11は、履帯1の回転方向A1後方側に凸となる湾曲状(円弧状)に形成されている。
【0014】
すなわち、山形状の履帯中央側ラグ部10は、履帯回転方向A1の先端側部分である頂部12と、この頂部12の左右両側から、左右方向外方に向かうに従って回転方向A1後方に移行する傾斜方向に延びる傾斜状の斜部13とを備えており、この履帯中央側ラグ部10の左右斜部13のいずれか一方から履帯側部側ラグ部11が履帯1の回転方向A1後方側に凸となる湾曲状となるように一体的に延出されている(ラグ9A,9Bの履帯幅方向B一端側は、履帯本体2の幅方向B端部(又はその近傍)にまで延び、ラグ9A,9Bの履帯幅方向B他端側は、
履帯本体2の幅方向B中央部をわずかに越えて、後述する転輪通過面15に対応する位置(転輪通過面15の投影域)で終る形状とされている)。
【0015】
前記構成のラグ9A,9Bにあっては、履帯本体2の幅方向B中央側に位置する履帯中央側ラグ部10は、履帯1の回転方向A1前方側に凸となる山形状に形成されていることにより、走行時の排土性が良好となり、履帯本体2の幅方向B側部に位置する履帯側部側ラグ11は、履帯1の回転方向A1後方側に凸となる湾曲状となるように履帯中央側ラグ部10の左右斜部13の一方から一体的に延出されているので、良好な牽引性能が得られる。
また、履帯中央側ラグ部10及び履帯側部側ラグ部11の履帯回転方向A1前後の面は、履帯本体2から接地面14に至るに従って、履帯回転方向A1の前後間隔が漸次狭くなる傾斜面に形成され(したがって、履帯中央側ラグ部10及び履帯側部側ラグ部11の履帯回転方向A1の前側の面10a,11aは、履帯外周側に向かうに従って履帯回転方向A1後方に移行する傾斜面とされており)、図5に示すように、履帯側部側ラグ部11の履帯回転方向A1前側の面11aの、履帯厚さ方向の線分Nに対する傾斜角eは、履帯中央側ラグ部10の履帯回転方向A1前側の面10aの、履帯厚さ方向の線分Mに対する傾斜角dよりも大となるように形成されていて、履帯中央側ラグ部10の履帯回転方向A1前側の面10aの履帯周方向Aに対する傾斜よりも、履帯側部側ラグ部11の履帯回転方向A1前側の面11aの履帯周方向Aに対する傾斜が緩やかとされており、これによって、履帯側部側ラグ部11の排土性を向上させている。
【0016】
また、本実施の形態にあっては、ラグ9A,9Bは、履帯中央側ラグ部10の履帯幅方向B一側にのみ履帯側部側ラグ部11を連続状に備えたラグ9Aと、履帯中央側ラグ部10の履帯幅方向B他側にのみ履帯側部側ラグ部11を連続状に備えたラグ9Bとが履帯周方向Aに交互に配置されている。
したがって、履帯側部側ラグ部11の履帯周方向AのピッチP2は、履帯中央側ラグ部10の履帯周方向AのピッチP1の2倍とされており、これにより履帯周方向Aで隣り合う履帯側部側ラグ部11間の排土性を良好にして、牽引力の増加が図られている。
【0017】
なお、履帯周方向Aで隣り合う一方のラグ9Aと、他方のラグ9Bとの間に、履帯中央側ラグ部10のみを有するラグを、1又は複数設けることにより、履帯側部側ラグ部11の履帯周方向AのピッチP2が、履帯中央側ラグ部10の履帯周方向AのピッチP1の3倍以上となるように構成してもよく、これにより、牽引性能が増加する。
また、本実施の形態にあっては、図3に示すように、履帯本体2の厚みは、幅方向B側部において、幅方向B外方に向かうに従って漸次肉厚が減少するように構成されていて、履帯側部側ラグ部11のラグ高さH(履帯本体2の外周面からラグ9A,9Bの接地面までの距離)が高くなるように構成されており、これによって、牽引力を増加させている。
【0018】
また、駆動突起7の左右両側の、履帯本体2の内周面は外つばタイプの転輪16が転動する転輪通過面15(レール面)とされており、この転輪通過面15に対応する位置に履帯中央側ラグ部10が設けられており、転輪16の左右両輪体16aが、履帯中央側ラグ部10上を通過する為、転輪16の落ち込みが左右かたよらず、これによって左右揺れの原因とならないという効果を奏する。
また、履帯中央側ラグ部10は排土性がよいので、履帯中央側ラグ部10の履帯周方向Aのピッチ長P1を短くすることができ、それにより、走行時の振動低減を図ることができる。
【0019】
なお、図例では、履帯中央側ラグ部10の左右の両斜部13(側部)が転輪通過面15に対応する位置に配置されているが、履帯中央側ラグ部10の左右斜部13の少なくとも一方が、転輪通過面15に対応する位置に配置されるように構成されていてもよい。
また、本実施の形態では、履帯中央側ラグ部10は、回転方向A1に向けて凸となる湾曲状(円弧状)に形成されており、この履帯中央側ラグ部10の曲率半径は、履帯側部側ラグ部11の曲率半径よりも小さくなっていて、履帯中央側ラグ部10の斜部13の履帯幅方向Bに対する傾斜角Cに対して、該斜部13に連続する履帯側部側ラグ部11の部分の傾斜角Dが小さくなっている。
【0020】
これによって、履帯側部側ラグ部11の回転方向A1前方側の排土性を良くして、泥詰まりを防止している。
また、履帯側部側ラグ部11は回転方向A1後方に凸となる湾曲状に形成されていることから、もし、履帯側部側ラグ部11の左右方向外端側の回転方向A1先端側が、履帯中央側ラグ部10の回転方向A1先端部と、履帯周方向Aに関して略同じような位置にあると、履帯側部側ラグ部11の回転方向A1前側に、泥、雪等が残ってしまい、さらには、履帯周方向Aで隣り合う履帯側部側ラグ部11間の泥詰まりが増加し、牽引力低下につながるが、本実施の形態では、履帯側部側ラグ部11の、左右方向外端側の回転方向A1先端部が、履帯中央側ラグ部10の回転方向A1先端部よりも、寸法Lだけ回転方向A1後方側に位置しており、これにより、履帯側部側ラグ部11によって良好な牽引力を得ながらも、履帯側部側ラグ部11の排土性を良好なものにしている。
【0021】
また、本実施の形態では、履帯中央側ラグ部10の先端に接する履帯幅方向Bの線分Fと、この線分Fと履帯1の幅方向BのセンターJとの交点を通り履帯側部側ラグ部11の接地面14の縁部に接する線分Gとの成す角度Eは、3°〜70°に形成するのが好ましい(3°未満であると、排土性が低下し、70°を超えると牽引力が低下する)。
前記履帯1は、周方向A全周に亘って連続一体的に形成されたものであってもよいし、また、履帯本体2が周方向Aに複数に分割状とされると共に、各履帯構成体が相互に連結されて無端帯状とされた、分割式の履帯1であってもよい。
【0022】
また、履帯1の幅やラグピッチ等の変更により、履帯中央側ラグ部10の履帯回転方向A1先端と、履帯側部側ラグ部11の履帯回転方向A1前側の底部との距離a関係を変えることができる。
なお、履帯側部側ラグ部11の履帯回転方向A1前側の湾曲深さbを深くすることにより、牽引力は増すが、排土性は悪くなるので、これを考慮して、履帯中央側ラグ部10の接地面14の履帯回転方向A1先端と、履帯側部側ラグ部11の接地面14の、履帯幅方向B外端側の履帯回転方向A1先端との、履帯周方向Aに関する距離a関係を適当な寸法にするのがよい。
【0023】
図6〜図9は他の実施の形態を開示したものである。
図6に示す履帯1は、外周部全周にわたって歯を有する駆動スプロケットによって駆動されるタイプの履帯1を示しており、18は、履帯本体2内に、履帯周方向Aに間隔をおいて埋設された芯金であり、19は、クローラ式走行装置の駆動スプロケットの歯が挿入される駆動用穴を示している。
図7及び図8に示す履帯1は、履帯本体2の幅方向B両側が、履帯幅方向B外方に向かうに従って履帯内周側に移行する傾斜状となるように形成されたものであって、履帯本体2の肉厚を減少させずに、履帯側部側ラグ部11のラグ高さHを履帯中央側ラグ部10のラグ高さHよりも高く採ることができるように構成されたものである。
【0024】
また、図7及び図8に示す履帯1にあっては、履帯中央側ラグ部10の、履帯側部側ラグ部11が接続されている側とは反対側の端部が、転輪通過面15の左右方向B外端部位置まで延びている。
図9に示す履帯1は、この履帯1が装着される機械の本機の左右幅を広く採るために、駆動突起7が、履帯本体2の幅方向BのセンターJから履帯幅方向B外方側に所定量g、オフセットされていて、転輪通過面15が、履帯本体2の幅方向B中央部から幅方向B外方側にオフセットされたものを示している。
【0025】
なお、図9は、本機に装着される左右一対の履帯1の一部の平面図を示している。
なお、図例では、履帯中央側ラグ部10の左右斜部13のいずれか一方から履帯側部側ラグ部11が一体的に延出されているラグ9A,9Bを例示したが、これに限定されることはなく、ラグは、履帯中央側ラグ部10の左右両側から、履帯側部側ラグ部11が一体的に延出されたものであってもよい。
この場合、履帯側部側ラグ部11のピッチ長P2を履帯中央側ラグ部10のピッチ長P1よりも大きくするために、履帯中央側ラグ部10の左右両側に履帯側部側ラグ部11を備えたラグ間に、履帯中央側ラグ部10のみで構成されたラグを1又は複数介在させるようにするのがよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、ゴム様弾性体によって無端帯状に形成され、周方向に回転駆動される履帯本体の外周側に、履帯本体の幅方向中央側に位置する履帯中央側ラグ部と、履帯本体の幅方向側部に位置する履帯側部側ラグ部とを備え、履帯中央側ラグ部は、履帯の回転方向前方側に凸となる山形状に形成され、履帯側部側ラグ部は、履帯1の回転方向A1後方側に凸となる湾曲状に形成されているので、良好な排土性と良好な牽引性能とを備えたラグパターンを有する弾性履帯を提供することができる。
【0027】
また、履帯中央側ラグ部及び履帯側部側ラグ部は、履帯本体の周方向に亘って間隔をおいて設けられ、履帯側部側ラグ部の履帯周方向のピッチが、履帯中央側ラグ部の履帯周方向Aのピッチの2倍以上とされていることにより、牽引力が向上する。
履帯側部側ラグ部11が、履帯中央側ラグ部10の履帯幅方向B両端部の内、いずれか一方から連続状に延出されて形成されているラグ9A,9Bを有することにより、良好な排土性と良好な牽引性能とを備えたラグパターンを有する弾性履帯を提供することができる。
【0028】
また、履帯側部側ラグ部が履帯中央側ラグ部に連続状に設けられており、履帯側部側ラグ部の履帯幅方向の外端側の履帯回転方向先端側が、履帯中央側ラグ部の履帯回転方向先端よりも、履帯回転方向後方側に位置していることにより、履帯側部側ラグ部の履帯回転方向前方側の排土性がよい。
また、履帯中央側ラグ部が、転輪通過面に対応して位置していることにより、振動低下を図ることができる。
また、履帯中央側ラグ部及び履帯側部側ラグ部の履帯回転方向の前側の面は、履帯外周側に向かうに従って履帯回転方向後方に移行する傾斜面とされており、履帯側部側ラグ部の履帯回転方向の前側の面の履帯周方向に対する傾斜が、履帯中央側ラグ部の履帯回転方向の前側の面の履帯周方向に対する傾斜よりも、緩やかに形成されていることにより、履帯側部側ラグ部の履帯回転方向前方側の排土性がよい。
【0029】
中央側ラグ部10は履帯回転方向A1前方側に凸となる円弧状に形成され、側部側ラグ部11は履帯回転方向A1後方側凸となる円弧状に形成されていて、中央側ラグ部10の曲率半径は、側部側ラグ部11の曲率半径よりも小であることにより、履帯側部側ラグ部の履帯回転方向前方側の排土性がよい。
また、履帯側部側ラグ部のラグ高さを、履帯中央側ラグ部のラグ高さよりも高くすることにより、牽引力が増加する。
また、履帯中央側ラグ部の履帯幅方向一側に履帯側部側ラグ部を連続状に備えたラグと、履帯中央側ラグ部の履帯幅方向他側に履帯側部側ラグ部を連続状に備えたラグとが履帯周方向に交互に配置されていることにより、良好な排土性と良好な牽引性能とを備えたラグパターンを有する弾性履帯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る弾性履帯を示す図であって、上側部分は履帯の外周面を示しており、下側部分は履帯の内周側を示している図である。
【図2】 ラグパターンの一部の拡大図である。
【図3】 図1のK−K線矢示断面図である。
【図4】 履帯の一部の側面図である。
【図5】 (a)は図2のX−X線矢示断面図であり、(b)は図2のY−Y線矢示断面図である。
【図6】 他の実施の形態に係る弾性履帯の外周側からみた図である。
【図7】 他の実施の形態に係る弾性履帯を示す図であって、上側部分は履帯の外周面を示しており、下側部分は履帯の内周側を示している図である。
【図8】 図7に示す履帯の幅方向の断面図である。
【図9】 他の実施の形態に係る弾性履帯を示す図であって、上側部分は履帯の外周面を示しており、下側部分は履帯の内周側を示している図である。
【符号の説明】
1 弾性履帯
2 履帯本体
9A ラグ
9B ラグ
10 履帯中央側ラグ部
11 履帯側部側ラグ部
12 頂部
13 斜部
15 転輪通過面
A 履帯周方向
B 履帯幅方向
A1 履帯回転方向(前進回転方向)
H ラグ高さ
P1 履帯中央側ラグ部の履帯周方向のピッチ
P2 履帯側部側ラグ部の履帯周方向のピッチ
Claims (8)
- ゴム様弾性体によって無端帯状に形成され、周方向(A)に回転駆動される履帯本体(2)を備え、この履帯本体(2)の外周側に、履帯本体(2)の幅方向(B)中央側に位置する履帯中央側ラグ部(10)と、履帯本体(2)の幅方向(B)側部に位置する履帯側部側ラグ部(11)とを備え、履帯中央側ラグ部(10)は、履帯(1)の回転方向(A1)前方側に凸となる山形状に形成され、履帯側部側ラグ部(11)は、履帯(1)の回転方向(A1)後方側に凸となる湾曲状に形成されており、
履帯中央側ラグ部(10)及び履帯側部側ラグ部(11)は、履帯本体(2)の周方向(A)に亘って間隔をおいて設けられ、履帯側部側ラグ部(11)の履帯周方向(A)のピッチ(P2)は、履帯中央側ラグ部(10)の履帯周方向(A)のピッチ(P1)の2倍以上とされていることを特徴とする弾性履帯。 - 履帯側部側ラグ部(11)が、履帯中央側ラグ部(10)の履帯幅方向(B)両端部の内、いずれか一方からのみ延出されて形成されているラグ(9A,9B)を有することを特徴とする請求項1に記載の弾性履帯。
- 履帯側部側ラグ部(11)が履帯中央側ラグ部(10)に連続状に設けられており、履帯側部側ラグ部(11)の履帯幅方向(B)の外端側の履帯回転方向(A1)先端側が、履帯中央側ラグ部(10)の履帯回転方向(A1)先端よりも、履帯回転方向(A1)後方側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性履帯。
- 履帯中央側ラグ部(10)が、転輪通過面(15)に対応して位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弾性履帯。
- 履帯中央側ラグ部(10)及び履帯側部側ラグ部(11)の履帯回転方向(A1)の前側の面(10a,11a)は、履帯外周側に向かうに従って履帯回転方向A1後方に移行する傾斜面とされており、履帯側部側ラグ部(11)の履帯回転方向(A1)の前側の面(11a)の履帯周方向(A)に対する傾斜が、履帯中央側ラグ部(10)の履帯回転方向(A1)の前側の面(10a)の履帯周方向(A)に対する傾斜よりも、緩やかに形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の弾性履帯。
- 中央側ラグ部(10)は履帯回転方向(A1)前方側に凸となる円弧状に形成され、側部側ラグ部(11)は履帯回転方向(A1)後方側に凸となる円弧状に形成されていて、中央側ラグ部(10)の曲率半径は、側部側ラグ部(11)の曲率半径よりも小であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の弾性履帯。
- 履帯側部側ラグ部(11)のラグ高さ(H)が、履帯中央側ラグ部(10)のラグ高さ(H)よりも高いことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の弾性履帯。
- 履帯中央側ラグ部(10)の履帯幅方向(B)一側にのみ履帯側部側ラグ部(11)を連続状に備えたラグ(9A)と、履帯中央側ラグ部(10)の履帯幅方向(B)他側にのみ履帯側部側ラグ部(11)を連続状に備えたラグ(9B)とが履帯周方向(A)に交互に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の弾性履帯。
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