JP4152767B2 - ポリエステルブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルブロック共重合体の製造方法及び該方法により得られるポリエステルブロック共重合体に関する。詳しくは、高分子量で且つブロック性の高いポリエステル共重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエステル樹脂はその優れた熱的及び機械的性質により、繊維、フィルム、成型体等に利用されてきた。しかし用途によってはポリエステルの物性が十分でない場合がある。通常、樹脂の物性を改良する手段として異なる2種以上のポリエステル樹脂を共重合する手段が用いられる。特にそれぞれのポリエステルの物性を併せ持たせるためにブロック共重合が有効な手段として用いられる。
【0003】
しかしながら、ポリエステル樹脂のブロック共重合の場合異なる種類のポリエステル同士をエステル化反応により共重合しようとするとエステル交換反応がおこり、従来の技術ではブロック性が失われランダム重合体となってしまうという問題があった。
また、エステル交換反応を抑制するために異なるポリエステルの末端同士を非常に反応性の高いジイソシアネート、ホスゲン及びこれらの誘導体等の試薬で結合させる方法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、これら反応性の高い試薬の毒性の為、製造時の安全性の問題及び製品にこれら試薬が不純物として混入するため精製を行う必要がありプロセス上の効率が著しく悪くなる。またエステル基以外の異種結合を導入することによる物性低下が問題となっている。
【0004】
一方、異なる種類のポリエステル同士を触媒の存在下、高温・短時間でエステル交換反
応させることにより、ブロック化率の高い共重合体が得られることが開示されている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、未反応のホモポリマーが残存しやすく共重合による物性改良の効果が得られ難いという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10-237178号公報
【非特許文献1】
「ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス(Journal of Applied Polymer Science)」、(米国)、1999年、第72巻、p.593−608
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、実質的にエステル結合で連結されたブロック性の高いポリエステルブロック共重合体を効率よく製造する方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、エステル交換反応時の温度について鋭意検討を行った結果、原料として用いるポリエステルのうち、最も高融点を有するポリエステルの融点未満の温度でエステル交換を行うことにより、ブロック性の高い共重合体を効率的に製造することができることに知見し、本発明を完成するに到った。
【0008】
即ち本発明は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を主体とするポリエステル(I)と下記一般式(2)で示される繰り返し単位を主体とするポリエステル( II )を、前記ポリエステル(I)及び( II )の中の最も低い融点を有するポリエステルの融点以上、前記ポリエステル(I)及び( II )の中の最も高い融点を有するポリエステルの融点未満の温度でエステル交換反応させることを特徴とするポリエステルブロック共重合体の製造方法を要旨とするものである。
【化4】
(一般式(1)、(2)中A 1 、B 1 、B 2 はそれぞれ2価の脂肪族基を表し、A 2 は2価の芳香族基を表す。)
また前記製造方法により得られる共重合体であって、ブロック性をあらわすPrの値が、2以上であるポリエステルブロック共重合体を要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルブロック共重合体の製造方法においては、主たる構成単位が異なる2種以上のポリエステルを原料として用い、これらをエステル交換反応させることによりブロック化を行う。原料として用いるポリエステルとしては、ジオール成分とジカルボン酸成分をエステル結合させて得られるポリエステルが挙げられる。
【0010】
原料ポリエステルとしては、前記一般式(1)及び(2)で表される構成単位を有するポリエステルそれぞれの中から選ばれる少なくとも2種以上を用いるのが好ましい。
前記一般式(1)、(2)及び後述する一般式(3)、(4)におけるA1、A3 が構成するジカルボン酸成分の原料としての具体例としてシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、へプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。これらの中で、物性の面から、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましく、特にはコハク酸、アジピン酸またはこれらの混合物が好ましい。
【0011】
A 2 が構成する芳香族ジカルボン酸成分の原料としての具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びビフェニルジカルボン酸等、が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸が好ましい。
一般式(1)、(2)及び後述する一般式(3)、(4)におけるB1、B2 が構成するジオール成分の原料としては具体的には、脂肪族ジオールとしてエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらジオール成分は2種類以上混合して用いることもできる。また、脂肪族ジオールの中でもエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが反応性の点で好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが物性の点から特に好ましい。
【0012】
これらの原料ポリエステルの数平均分子量は、下限が、通常、1,000、好ましくは、3,000、より好ましくは、5,000であり、上限が、通常、200,000、好ましくは、100,000、より好ましくは、50,000である。
【0013】
前記一般式(1)、(2)で表される構成単位を有するポリエステルは、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステル、酸無水物等のジカルボン酸誘導体とジオールまたはジオールエステル等のジオール誘導体のエステル化反応、エステル交換反応、あるいはオキシカルボン酸のエステル交換反応等一般的に知られているポリエステルの製造方法により得ることができる。これらのポリエステルは一般式(1)、(2)で表される構成単位以外に、エーテル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウレタン結合等を有する構成単位を物性を本質的に損なわない範囲で含んでも良い。これらポリエステルの一般式(1)、(2)以外の構成単位は50重量%未満、好ましくは30重量%未満、さらに好ましくは20重量%未満である。
【0014】
本発明のポリエステルブロック共重合体製造方法のエステル交換反応に用いられる2種類以上のポリエステルの仕込みモル比は任意に選ぶことができる。各ポリエステルの有する物性、構造にもよるが一般にそれぞれの良好な物性を有するブロック共重合体を得るためには、各ポリエステル原料が、ポリエステルブロック共重合体中、下限が通常、1モル%、好ましくは5モル%、さらに好ましくは10モル%であり、上限が、通常99モル%、好ましくは95モル%、さらに好ましくは90モル%である。各ポリエステルが1モル%より少ないと一般にこの成分の物性を共重合体に持たせることは難しい。
【0015】
またこれらの重合方法は、溶融重縮合反応、溶液重縮合反応、界面重縮合反応等公知の重合方法を用いることができるが、本発明は、反応溶媒を使用することなく原料ポリエステルのいずれか1種が溶解した状態でエステル交換反応を行うことが好ましい。
本発明の製造方法において、2種以上のポリエステルのエステル交換反応温度は、原料ポリエステルのうち、最も融点が高いものの融点未満の温度とする必要がある。エステル交換反応温度の上限は、好ましくは最も高いものの融点より20℃低い温度、さらに好ましくは最も高いものの融点より30℃低い温度、最も好ましくは最も高いものの融点より50℃低い温度である。下限は、最も融点が低いものの融点、好ましくは最も低いものの融点より10℃高い温度、さらに好ましくは30℃高い温度である。反応温度が最も低いものの融点より低いと反応が進行しないか非常に反応時間が長くなる。また最も高いものの融点より高い温度で反応するとエステル交換が進行しすぎてランダム共重合体になり本発明の目的を達成することができない。
【0016】
本発明のポリエステルブロック共重合体製造方法のエステル交換反応の圧力は、常圧でも減圧でもよく特に限定されない。減圧で反応を行うか、又は常圧で窒素等を流通させながら副生する水やアルコール等を除去しながら反応を進行させるかのいずれかの方法が好ましいが、常圧で窒素を流通させながら反応を行う方法が最も好ましい。
【0017】
本発明のポリエステルブロック共重合体製造方法のエステル交換反応の際に触媒を用いることもできる。触媒は公知のエステル化触媒、エステル交換触媒、ポリエステル重合触媒を用いることができる。具体的にはチタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、硫酸、リン酸、ポリリン酸、p−トルエンスルホン酸等があげられ、好ましくはチタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、さらに好ましくはチタン化合物、スズ化合物、最も好ましくはスズ化合物である。特に有機スズ化合物が好ましく、その中でもオクチル酸スズが最も好ましい。
【0018】
本発明のポリエステルブロック共重合体製造方法のエステル交換反応は、攪拌翼を備えたガラス製反応容器または金属製反応容器を用いても良いし、横型反応装置、或いは押し出し機、混練機を用いても良く特に制限されない。反応時間を任意に制御しやすい点から攪拌翼を備えた金属製反応容器または横型反応装置が好ましい。
【0019】
本発明のポリエステルブロック共重合体の製造方法においては、原料ポリエステルのエステル交換反応時に、低分子のエステル化合物を共存させると共重合体のブロック性が向上し好ましい。中でも脂肪族ジカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化合物であるジカルボン酸ジエステルが好適に用いられ、ジカルボン酸はエステル交換反応を行うポリエステルのジカルボン酸成分と同一の構造でも良く、異なるジカルボン酸でも良い。ジカルボン酸は具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、へプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸等が挙げられる。これらの中で、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましく、特にはコハク酸、アジピン酸が好ましい。
【0020】
また上記エステル化合物のアルコール成分はメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール等の脂肪族アルコールが好適に用いられる。これらアルコール成分はエステル交換反応の温度で反応圧力より低い蒸気圧を有することが好ましい。上記エステル化合物のカルボン酸との組み合わせにより好適なアルコールは決定されるが、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコールが好ましく、特にエチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコールが好ましい。反応温度において反応圧力より高い蒸気圧を有するアルコールであると系外にアルコールが留出せず、アルコールが反応系内に残留しアルコリシスによりポリエステルの分子量を低下させる傾向がある。
【0021】
このジカルボン酸ジエステルはエステル交換反応の温度条件で反応圧力より高い蒸気圧を持つことが好ましい。反応圧力より低い蒸気圧であると反応の際に系外に留出してしまい共存させる効果が少なくなる。
ジカルボン酸ジエステルは、系外への留出を考慮して、実際に反応に使用される量よりも過剰に添加するのが好ましい。この添加量は前記したポリエステル原料の合計100重量部に対し、上限が通常、100重量部、好ましくは50重量部であり、下限が通常0.1重量部、好ましくは1重量部である。
【0022】
本発明の製造方法により得られるポリエステルブロック共重合体は数平均分子量が3,000以上300,000であるが、数平均分子量の下限は好ましくは5,000さらに好ましくは10,000、最も好ましくは20,000である。また数平均分子量の上限は、好ましくは250,00、さらに好ましくは200,000、最も好ましくは100,000である。数平均分子量が3,000未満であると機械物性、熱的性質が低下し好ましくない。また数平均分子量が300,000より大きいと溶融粘度が高く成形性が悪くなる傾向がある。
【0023】
Pr(Persistence Ratio)はブロック性を表し、ブロック性が高いほどPrの値は大きくなる。前記一般式(1)の共重合体のPrは以下の式により求められる。(高分子学会“共重合”第一版、培風館(東京)1975年、37頁、H.J.Kang,S.S.Park,J.Appl.Polym.Sci.1999年、72巻、593−608頁 参照)
【0024】
【式1】
Pr=2×[PA1]×[PA2]/[PA1BA2] (式1)
[PA1]は前記一般式(1)で表される共重合体中の全ジカルボン酸成分に対するA1成分の組成比(モル分率)、[PA2]は一般式(2)で表される共重合体中の全ジカルボン酸成分に対するA2成分の組成比(モル分率)を示す。[PA1BA2]は全ダイアッド(下記式(A)〜(C))中のヘテロダイアッド(下記式(B))の組成比(モル分率)。ダイアッドとは共重合体中のジオールの両方に結合している2つのジカルボン酸組み合わせを示し下記のように3種類のダイアッドが存在する。
【0025】
【化5】
【0026】
(式中、A 1 、A 2 は一般式(1)におけるのと同一の意義を表し、Bは一般式(1)、(2)におけるB1又はB2を示す。)
Prは1H−NMR、13C−NMR、マススペクトル等の分析手段を用いて算出することができる。
本発明の製造方法において得られるポリエステルブロック共重合体のPrは好ましくは1より大、より好ましくは2以上さらに好ましくは8以上、最も好ましくは10以上である。Prが1以下であるとブロック性が低くランダム重合体に近くなり2種類のポリエステル成分のそれぞれの良好な特性を維持することが困難となる。
【0027】
本発明のポリエステルブロック共重合体は、下記一般式(3)で表される構成単位を主成分とすることが好ましい。この成分の量は、ブロック共重合体中、通常50重量%以上である。
【0028】
【化6】
【0029】
(一般式(3)中A1、B1、A2、B2は前記一般式(1)、(2)におけるのと同一の意義を表す。m、nはそれぞれ2以上の整数を表す。)
また、上述したエステル化合物を使用することにより、共重合体中に、下記一般式(6)で表される構成単位を含有させることができる。
【0030】
【化7】
【0031】
(一般式(4)中A1、B1、A2、B2は前記一般式(1)、(2)におけるのと同じ意義を表し、A3は2価の脂肪族基を表す。m、nはそれぞれ2以上の整数を表す。)
共重合体中に上記一般式(4)で表される構成単位を含有させることにより、高分子量で且つ高いブロック性を有する共重合体とすることができる。この一般式(4)で表される構成単位の割合は、下限が好ましくは0.01モル%、より好ましくは0.1モル%であり、上限が好ましくは10モル%、より好ましくは5モル%以下である。
【0032】
本発明のポリエステルブロック共重合体は2種以上の異なる構造のポリエステルが実質的にエステル結合により結合されてなるブロック共重合体であるが、本発明の本質を損なわない範囲で異なる構造のポリエステル同士の連結基としてエステル結合以外少量の異種結合を含んでいても良い。
一般式(3)及び(4)中のm、nはブロック連鎖長(共重合体中のブロック連鎖長は分布があるが、ブロック連鎖長の平均値)を表す。本発明のブロック共重合体の平均ブロック連鎖長は2以上の整数を示すが、m、nの下限は、好ましくは3、さらに好ましくは5、最も好ましくは10である。またm、nの上限は好ましくは2000、さらに好ましくは1000、最も好ましくは100である。2未満はブロック性が低くランダム共重合体に近くなり、2種類のポリエステル成分のそれぞれの良好な特性を維持することが困難となる。
【0033】
本発明の製造方法により得られるポリエステルブロック共重合体は、射出成形法、中空成形法および押出成形法などの汎用プラスチック成形法などにより、フィルム、ラミネートフィルム、農業用フィルム、ショッピングバッグ、ゴミ袋、シート、板、延伸シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、合成紙、化粧品容器、食品容器、洗剤容器、保冷箱、クッション材、緩衝材、釣り糸、魚網、手術糸、医用材料、医薬品、電気機器筐体、自動車部品及び発泡体などの成形品、塗料などのエマルジョン、トナー、レジスト材料等に利用可能である。その際、結晶核剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、離型剤、フィラー、他のポリマーなど、必要に応じ添加することができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1
数平均分子量24,400のポリブチレンサクシネート(PBS)(式1)0.083g、及び数平均分子量6,100のポリブチレンテレフタレート(PBT)(式2)0.017gをガラス反応容器に混合して仕込み、窒素雰囲気下240℃で3分間加熱してブレンドした。続けてオクチル酸スズSn(Oct)2を2.0×10-6mol(0.1g/mlトルエン溶液:8μl)及びジイソプロピルサクシネート(DIS)9.9×10-6mol(0.1g/mlトルエン溶液:20μl)を反応容器内に添加し、窒素流通下150℃に加熱してエステル交換反応を8時間行った。冷却後得られた反応生成物の分子量をGPCで測定した。GPCの測定溶媒はヘキサフルオロイソプロピルアルコールを用い、流速0.6ml/min、カラム温度35℃でPMMA換算の分子量を測定した。その結果、数平均分子量は10,100であった。またこの反応生成物を重クロロホルム/重トリフルオロ酢酸(5:1)を溶媒に用いて、500MHzの1H−NMRを測定した。この積分値からブロック性の指標であるPrを求めた。その結果Pr=8.6であり、非常にブロック性の高いポリエステルブロック共重合体であることが判った。(注。なお、オクチル酸スズ、ジイソプロピルサクシネートはトルエンで希釈し、濃度0.1g/mlに調整したものを用いた。)
【0035】
【化8】
【0036】
実施例2〜3
実施例1のジイソプロピルサクシネートの添加量9.9×10-6molを表1に記載の量に変えた以外は実施例1と同様にPBSとPBTのエステル交換反応を行いポリエステルブロック共重合体を得た。実施例1と同様に分子量及びブロック性の分析を行った。結果を表1に示す。
【0037】
実施例4〜5
実施例1のオクチル酸スズの添加量2.0×10-6molを表1に記載の量に変え、ジイソプロピルサクシネートを添加しなかった以外は実施例1と同様にPBSとPBTのエステル交換反応を行いポリエステルブロック共重合体を得た。実施例1と同様に分子量及びブロック性の分析を行った。結果を表1に示す。
【0038】
実施例6
実施例4のオクチル酸スズの添加量を表1に記載の量に変え、反応温度を190℃で行った以外は実施例4と同様にPBSとPBTのエステル交換反応を行いポリエステルブロック共重合体を得た。実施例1と同様に分子量及びブロック性の分析を行った。結果を表1に示す。
【0039】
実施例7
実施例1のエステル化反応の反応温度を190℃に変えてエステル化反応を行った以外は実施例1と同様にPBSとPBTのエステル交換反応を行いポリエステルブロック共重合体を得た。実施例1と同様に分子量及びブロック性の分析を行った。結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
実施例4のエステル化反応の反応温度を190℃に変えてエステル化反応を行った以外は実施例4と同様にPBSとPBTのエステル交換反応を行いポリエステルブロック共重合体を得た。実施例1と同様に分子量及びブロック性の分析を行った。結果を表1に示す。
【0041】
比較例2
実施例5のエステル化反応の反応温度を190℃に変えてエステル化反応を行った以外は実施例5と同様にPBSとPBTのエステル交換反応を行いポリエステルブロック共重合体を得た。実施例1と同様に分子量及びブロック性の分析を行った。結果を表1に示す。
【0042】
比較例3
実施例2のエステル化反応の反応温度を190℃に変えてエステル化反応を行った以外は実施例2と同様にPBSとPBTのエステル交換反応を行いポリエステルブロック共重合体を得た。実施例1と同様に分子量及びブロック性の分析を行った。結果を表1に示す。
【0043】
比較例4
実施例3のエステル化反応の反応温度を190℃に変えてエステル化反応を行った以外は実施例3と同様にPBSとPBTのエステル交換反応を行いポリエステルブロック共重合体を得た。実施例1と同様に分子量及びブロック性の分析を行った。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
実施例4〜7、比較例1〜4で得られた共重合体の熱的性質をDSCにより分析した。共重合体には融点に由来する吸熱ピークが観測された。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】
本発明のポリエステルブロック共重合体はエステル交換反応により結合されたブロック性の高いポリエステルブロック共重合体であり、優れた熱的性質を示すことが判った。また、本発明の製造方法によれば、有害な結合剤を用いることなく十分に高い分子量を有するのブロック性の高いポリエステルブロック共重合体を製造することができる。
Claims (6)
- エステル交換反応時に、反応溶媒を使用しない請求項1に記載のポリエステルブロック共重合体の製造方法。
- エステル交換反応時に、脂肪族モノアルコールと脂肪族ジカルボン酸のエステル化合物を存在させる請求項1または2に記載のポリエステルブロック共重合体の製造方法。
- 請求項3に記載の方法により得られるポリエステルブロック共重合体であって、共重合体のブロック性をあらわすPrの値が、2以上であり、かつ下記一般式(4)で表される構成単位を下記一般式(3)と一般式(4)で表される構成単位の合計に対し0.001モル%以上50モル%以下の割合で有するポリエステルブロック共重合体。
- 数平均分子量が3,000以上300,000以下である請求項4に記載のポリエステルブロック共重合体。
- 一般式(3)で表される構成単位を全構成単位中50モル%以上有する請求項4または5に記載のポリエステルブロック共重合体。
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