JP4152757B2 - 容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動方法並びにそれを用いた装置 - Google Patents

容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動方法並びにそれを用いた装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容量性負荷を駆動するための容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動方法、並びにそれを用いた装置に関するものである。より詳細には、本発明は、容量性負荷である圧電素子または静電駆動電極などをインクの吐出に用いる画像形成装置、プラズマディスプレイの放電電極、または液晶ディスプレイの駆動回路等に備えられる、容量性負荷を駆動するための容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動方法、並びに、それを用いた画像形成装置、表示装置、電圧パルス発生装置、直流(DC)−交流(AC)変換器(コンバータ)等の装置に関するものであり、特に、消費電力を低減することが可能な容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動方法、並びに、それを用いた画像形成装置、表示装置、電圧パルス発生装置、直流−交流変換器等の装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧電素子をインク吐出に用いるインクジェットプリンタ(例えば特許文献1や特許文献2参照)や、静電方式のインクジェットプリンタ、熱式のインクジェットプリンタ(例えば特許文献3参照)等のインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
圧電素子をインク吐出に用いるインクジェットプリンタにおいては、インクジェットヘッドのノズル開口につながった圧力発生室に圧電素子が備えられている。容量性負荷である圧電素子に電圧を印加して駆動信号とし、圧電素子に充電と放電とを繰り返させることによって、インクをノズル開口より吐出させている。ここでは、このような容量性負荷を駆動する容量性負荷駆動回路について考える。
【0004】
上記のような従来の容量性負荷駆動回路の一例であるプッシュプル方式を、図25に示す。容量性負荷駆動回路は、図25(a)の回路図に示すように、容量性負荷であるコンデンサCLに接続されている。容量性負荷駆動回路に印加される主電圧Vに対して、コンデンサCLは、コンデンサCLにエネルギーを供給するための充電経路に備えられたトランジスタVupdおよび、コンデンサCLよりエネルギーを除去するための放電経路に備えられたトランジスタVdwndで制御されることにより駆動される。
【0005】
トランジスタVupdおよびVdwndの動作を制御する制御信号の波形を示したものが、図25(b)および(c)の波形図である。2つのトランジスタVupdおよびVdwndが図25(b)および(c)の制御信号により動作すると、コンデンサCLの端子電圧V0は図25(d)で示されるように時間変化し、抵抗Rに流れる電流Icは図25(e)で示されるように時間変化する。
【0006】
したがって、図25(a)に示すようなプッシュプル方式では、トランジスタVupdをONにして充電経路を介して容量性負荷に充電電流を流した後、トランジスタVdwndをONにして放電経路を介して電荷を全部グラウンドに放電していた。
【0007】
従来の容量性負荷駆動回路では、コンデンサCLに蓄積された電荷を全てグランドに放電してしまうので、コンデンサCLに蓄積されていた静電エネルギーを全て捨てることになり、消費電力が大きいという問題があった。例えば、Vupdの周波数fを126kHz、コンデンサCLのキャパシタンスCLを0.1μF、主電圧Vを20Vとすると、平均電源電流は、
f×CL×V=0.2520A
であり、消費電力は5.04Wである。
【0008】
このため、容量性負荷から放電される電荷を回収し、容量性負荷の充電に再利用することで、消費電力の低減を図る容量性負荷駆動回路が提案されている。例えば、特許文献4には、印刷動作中、圧電素子(圧電振動素子)から放電される放電電流を用いて磁気回路による相互誘導作用で二次電源(二次電池、あるいは大容量キャパシタ)を充電し、二次電源に蓄えた電荷を再度、圧電素子の充電に用いる記録ヘッド駆動回路が開示されている。
【0009】
また、プラズマディスプレイパネルの放電セルの駆動を行う駆動回路において、LC共振による電力回収を行う技術が知られている(特許文献5参照)。このような放電セルからLC共振による電力回収を行う駆動回路の一例を図28に基づいて説明する。なお、図28において、Cdは容量性負荷であるプラズマディスプレイパネルの容量成分(容量性負荷)、Cssはコンデンサ、S1〜S4はスイッチ、Lはインダクタ、D1・D2は整流ダイオード、2V0は電源電圧2V0を供給する電源端子をそれぞれ示す。
【0010】
まず、初期状態で、コンデンサCssに初期電位V0を与えておく。この初期状態でのCdの電位は0であるものとする。また、コンデンサCssのキャパシタンスCssは、容量性負荷CdのキャパシタンスCdに比べて十分大きいものとする。
【0011】
次に、上記構成における容量性負荷Cdの充放電動作を、容量性負荷Cdの端子電圧Vの変化とスイッチS1〜S4の状態を示す図29を参照しながら説明する。なお、スイッチS1〜S4は、図29に「On」と示す期間以外はOFF状態である。
【0012】
まず、充電時には、スイッチS1〜S4のうちスイッチS1のみをONにする。すると、コンデンサCssからインダクタLを通して容量性負荷Cdに電流が流れ、容量性負荷Cdが充電される(図29の▲1▼)。LC共振により容量性負荷Cdは端子電圧VがV0以上になるまで充電される(図29の▲2▼)。電流が反転しようとすると、整流ダイオードD1により阻止され、容量性負荷Cdの端子電圧Vはクランプされる(図29の▲3▼)。その後、スイッチS1をOFFにし、次いでスイッチS3をONにする。すると、容量性負荷Cdは端子電圧Vが2V0まで充電される(図29の▲4▼)。
【0013】
放電時には、スイッチS3をOFFにし、次いでスイッチS2をONにする。これにより、容量性負荷CdからインダクタLを通してコンデンサCssに電流が流れ、容量性負荷Cdが放電される一方、コンデンサCssが充電される(図29の▲5▼)。LC共振により容量性負荷Cdは端子電圧VがV0以上になるまで充電される(図29の▲6▼)。電流が反転しようとすると、整流ダイオードD2により阻止され、容量性負荷Cdの端子電圧Vはクランプされる(図29の▲7▼)。その後、スイッチS2をOFFにし、次いでスイッチS4をONにする。すると、容量性負荷Cdは端子電圧Vが0になるまで放電される(図29の▲8▼)。以上のようにして、上記構成では、LC共振を用いて容量性負荷CdからコンデンサCssへ電力を回収することができる。
【0014】
また、上述したようなLC共振による電力回収を行う回路において、複数のインダクタLを切り替えて使用する先行例もある(特許文献6参照)。
【0015】
また、特許文献7・8には、エネルギ回収の為にインダクタを挿入した物が記載されている。
【0016】
また、容量性負荷からの放電時に電荷をコンデンサに蓄えておき、蓄えきれない電荷のみグランドに放電し、充電の際にはコンデンサに蓄えた電荷を再度、圧電素子の充電に用い、充電しきれなかった電荷のみ電源から供給する方式が知られている。例えば、特許文献9には、EL(エレクトロルミネセンス)素子等の容量性負荷の駆動回路において、コンデンサを設け、容量性負荷を放電させる際に充電電荷の一部をコンデンサに移した後、残りの充電電荷を放電し、コンデンサに移された電荷を容量性負荷に返した後に充電を開始させることにより、容量性負荷に充電された電荷の一部を再利用する技術が開示されている。特許文献9には、静電エネルギーの回収・再利用の一手法として、図26に示すように、1個のコンデンサ263で容量性負荷(EL素子)261から静電エネルギーを回収し、再利用することが開示されている。
【0017】
次に、特許文献9に開示されている容量性負荷の駆動回路の具体的な動作について図27に基づいて説明する。なお、図26および図27では、動作原理が理解しやすいように、特許文献9に記載されている駆動電圧発生回路を電源電圧VHの電源端子VHで、特許文献9に記載されている駆動電圧発生回路のON/OFF制御を、スイッチ262で模式的に示している。
【0018】
まず、初期状態として図26(a)に示すように、容量性負荷261および回生用のコンデンサ263を、ON状態のスイッチ264・265を介して接地しておく。このとき、スイッチ262をOFF状態とし、電源端子VH(図示しない駆動電圧発生回路)から容量性負荷261への駆動電圧の供給を停止していることとする。
【0019】
次に、図27(b)に示すように、スイッチ264・265をOFF状態にしてスイッチ262をON状態にする。これにより、電源端子VHからON状態のスイッチ262を介して容量性負荷261へ電源電圧VHが出力され、容量性負荷261は、電源端子VHからの電源電圧VHにより充電される。これにより、容量性負荷261の端子電位が、電源電圧VHと等しくなるまで上昇する。
【0020】
次に、図27(c)に示すように、スイッチ262をOFF状態にすると共にスイッチ265をON状態にする。これにより、電源端子VHから容量性負荷261への駆動電圧の供給が停止され、容量性負荷261の一端がコンデンサ263に接続される。この結果、容量性負荷261に充電された電荷の一部がコンデンサ263へ移動していき、容量性負荷261が放電されると共に、容量性負荷261に蓄積された静電エネルギーの一部が容量性負荷261からコンデンサ263に回収される。
【0021】
次に、図27(d)に示すように、スイッチ265をOFF状態にしてスイッチ264をON状態にする。これにより、容量性負荷261の残りの電荷が、スイッチ263を介してグランド(図示しない電源端子)に放電される。すなわち、容量性負荷261に残ったエネルギーは、スイッチ263を通じて消費される。したがって、このステップにより、容量性負荷261の電圧は、接地電位になる。
【0022】
さらにコンデンサ263に回収した静電エネルギーを初期電荷”0”の容量性負荷261に再利用するために、図27(e)に示すように、スイッチ264をOFF状態にして、スイッチ265をON状態にする。これにより、コンデンサ263の充電電荷が容量性負荷261に移動し、コンデンサ263から容量性負荷261へ電力が回生されることとなる。
【0023】
その後、図27(b)〜図27(e)までの動作を繰り返すことにより容量性負荷261が駆動される。以上のようにして、容量性負荷261から放出(放電)された電荷の一部をコンデンサ263に回収して容量性負荷261に戻すことで、容量性負荷261に電力が回生される。
【0024】
なお、液晶表示パネルに蓄えられた電荷を回収、再利用することによって消費電力を低減する技術も知られている(特許文献10〜12参照)。
【0025】
また、特許文献13には、モータ制御回路が開示されている。
【0026】
【特許文献1】
特開昭63−247051号公報(公開日:昭和63年(1988)10月13日)
【0027】
【特許文献2】
特開2001−10043号公報(公開日:平成13年(2001)1月16日)
【0028】
【特許文献3】
特開2000−238245号公報(公開日:平成12年(2000)9月5日)
【0029】
【特許文献4】
特開平11−314364号公報(公開日:平成11年(1999)11月16日)
【0030】
【特許文献5】
米国特許第4866349号(公開日:1989年9月12日)
【0031】
【特許文献6】
特開平2−87189号公報(公開日:平成2年(1990)3月28日)
(特許第2771523号)
【0032】
【特許文献7】
特開平11−170529号公報(公開日:平成11年(1999)6月29日)
【0033】
【特許文献8】
特開2000−218782号公報(公開日:平成12年(2000)8月2日)
【0034】
【特許文献9】
特開平9−322560号公報(公開日:平成9年(1997)12月12日)
(特許第3120210号)
【0035】
【特許文献10】
特開平11−326863号公報(公開日:平成11年(1999)11月26日)
【0036】
【特許文献11】
特開平11−352459号公報(公開日:平成11年(1999)12月24日)
【0037】
【特許文献12】
特開平2001−22329号公報(公開日:平成13年(2001)1月26日)
【0038】
【特許文献13】
特開平11−206191号公報(公開日:平成11年(1999)7月26日)
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献4に記載されている磁気回路による相互誘導作用を用いた電力回生回路では、相互誘導作用の変換効率、並びに充電回路の効率により、容量性負荷に蓄積された静電エネルギーを効率良く回収・再利用することができない。
【0040】
特許文献4の記録ヘッド駆動回路では、圧電素子の放電電流からインダクタンス間の相互誘導により誘導起電力を発生させ、発生した誘導起電力により二次電池または大容量コンデンサを充電している。この構成では、静電エネルギーの回収・再利用を繰り返し行うことができるが、インダクタンスが必要であるため、構成が複雑になると共に、インダクタンスの直流抵抗成分による静電エネルギーの損失、並びにインダクタンス間の相互誘導効率による損失が生じ、電荷の回収効率が低下するという問題がある。さらに誘導起電力により二次電池または大容量コンデンサを充電するための充電回路による損失が加わり、系全体の回収効率は50%を超えない。
【0041】
特許文献5・6の構成は、以下の問題点を有している。
【0042】
まず、特許文献5の構成は、駆動対象となる容量性負荷の静電容量値が固定あるいは変動の少ない用途にしか適用できない。すなわち、例えばインクジェットヘッドにおける多数の圧電素子を駆動する場合、インクの吐出を行わせる圧電素子の数によって、容量性負荷の静電容量値が大きく変化する。また、プラズマディスプレイにおいても、1つの駆動回路で多数の発光素子を駆動する場合、発光させる発光素子の数によって容量性負荷の静電容量値が大きく変化する。特許文献5の構成では、容量性負荷の静電容量が変化すると、LC共振周波数が変化し、回路の動作特性が変化する。特に容量性負荷の静電容量値が大きくなった場合、波形の立ち上がりが遅くなり、スイッチS1がONになっている期間内に容量性負荷の端子電圧が所定の電圧まで立ち上がらなくなる可能性があり、回生率の低下をもたらす可能性がある。そのため、特許文献5の構成は、静電容量値が大きく変化する容量性負荷、例えば圧電素子を用いたインクジェットヘッドの容量成分の駆動には適用することは難しい。特許文献5の回路をインクジェットヘッドの個々の圧電素子毎に設けることも考えられるが、そうした場合、多数のインダクタLを設けることになり、回路規模が非常に大きくなってしまう。
【0043】
容量性負荷の静電容量の変化に合わせてインダクタLのインダクタンスLを連続的に変化させれば、上記の問題は解決できるが、インダクタLのインダクタンスLを連続的に変化させることは困難である。
【0044】
また、複数のインダクタLを切り替えて使用する特許文献6の構成は、上記の問題をある程度まで解決できるものの、インダクタLを複数設ける分、回路の規模が大きくなる。そのため、この構成は、限られた用途にしか使用できない。
【0045】
また、インダクタL(コイル)を用いた構成に共通する問題として、回路規模が大きくなる、磁束の漏洩があるために回路の配置が難しい、コストが高くつつくといった問題もある。
【0046】
また、特許文献7・8には、静電エネルギーを回収・再利用する技術は記載されていない。
【0047】
特許文献9の容量性負荷駆動回路は、コンデンサへの電荷の回収効率が低く、容量性負荷の電力回生率(初期電力に対する回生電力の割合)が低いという問題点を有している。
【0048】
すなわち、まず、図27(b)のステップでは、容量性負荷261の端子電位V(Cd)は、
V(Cd)=VH
となる。
【0049】
図27(c)のステップで容量性負荷261のエネルギーの一部がコンデンサ263により回収されたとき、容量性負荷261の端子電位V(Cd)およびコンデンサ263の端子電位V(Cs)は、容量性負荷261の静電容量をCd、コンデンサ263の静電容量をCsとすれば、
V(Cd)=V(Cs)={Cd/(Cd+Cs)}VH
となる。例えば、容量性負荷261の静電容量とコンデンサ263の静電容量とが等しい場合には、コンデンサ263に電圧VH/2が供給される。
【0050】
図27(e)のステップにより容量性負荷261に供給される電圧V(Cd)は、
V(Cd)=[Cd・Cs/(Cd+Cs)2 ]VH
となる。例えば、容量性負荷261の静電容量とコンデンサ263の静電容量とが等しい場合には、電圧VH/4が容量性負荷261に供給できる。この電力回生後の容量性負荷261の端子電位V(Cd)が最も大きいときに最大の電力回生率が得られる。このときの初期電圧VHからの電圧の回生率をReとすると、
Re=Cd・Cs/(Cd+Cs)2
となる。これを容量性負荷261とコンデンサ263との静電容量比X=Cd/Csで表すと、
Re=X/(1+X)2
となる。したがって、電力回生率は、X=1の場合、すなわち容量性負荷261の静電容量とコンデンサ263の静電容量とが等しい場合に最大となり、
Re=1/(1+1)2=1/4
となる。そのため、特許文献7の構成では、理論上の最大回生率は25%である。すなわち、特許文献7の構成では、原理上、再利用効率は最大でも25%である。また、繰り返し充放電を行うと、残留電荷により再利用効率は25%よりずっと低くなる。
【0051】
なお、特許文献8〜10の構成においても、液晶表示パネルに蓄えられた電荷を効率的に回収、再利用することはできない。また、特許文献13には、静電エネルギーを回収・再利用する技術は記載されていない。
【0052】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡素な回路構成を持ち、かつ、容量性負荷に蓄積されたエネルギーを効率良く回収・再利用することができる容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動方法、並びに、消費電力が低減された画像形成装置等の装置を提供することにある。
【0053】
【課題を解決するための手段】
本発明の容量性負荷駆動回路は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、電源から供給された静電エネルギーを分割して蓄積するための複数のエネルギー蓄積素子と、上記容量性負荷と上記複数のエネルギー蓄積素子との接続を切り替えるための切り替え手段とを備え、上記切り替え手段は、容量性負荷の充電時に、上記複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーが供給されるように上記接続を切り替える一方、容量性負荷の放電時に、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーが回収されるように上記接続を切り替えるようになっていることを特徴としている。
【0054】
上記構成によれば、複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーが供給され、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーが回収されるので、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となる。また、エネルギー蓄積素子に蓄積された静電エネルギーをそのまま回収するので、簡素な回路構成で実現できる。上記構成によれば、容量性負荷への充電・放電サイクルにおけるエネルギー消費を軽減することができ、静電エネルギー蓄積素子の個数に応じた電力回収効率を簡単な回路で得ることができる。
【0055】
また、上記構成では、スイッチング時間を変えることで波形の整形が可能であり、容量性負荷の静電容量の変動が起こっても、波形全体としての立ち上がり速度(スルーレート)に影響せず、安定した動作が可能である。
【0056】
本発明の容量性負荷駆動回路は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、基準電源からの基準電源電位あるいは接地電位が基準電位が付与された基準電位端子と、上記エネルギー蓄積素子および基準電位端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記複数のエネルギー蓄積素子は、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を持つ第2のエネルギー蓄積素子とを含み、上記基準電位は、接地電位、基準電源から供給された第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、または基準電源から供給された第1の初期電位と逆極性の電位であり、上記切り替え手段は、容量性負荷を基準電位端子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっていることを特徴としている。また、容量性負荷駆動回路は、上記基準電位端子が接地電位を有する接地端子であり、上記切り替え手段が、接地端子および複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するために、接地端子および複数のエネルギー蓄積素子と容量性負荷との間にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子であり、複数のエネルギー蓄積素子のうち、少なくとも、最も絶対値の大きい初期電位を持つエネルギー蓄積素子は、直接または間接的に(何らかの回路を介して)電源に接続されている構成とすることができる。
【0057】
本発明の容量性負荷駆動回路は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、電源から電源電位が付与された電源端子と、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、上記エネルギー蓄積素子および電源端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記複数のエネルギー蓄積素子は、電源電位と同極性でかつ電源電位より絶対値の小さい第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を持つ第3のエネルギー蓄積素子とを含み、上記切り替え手段は、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっていることを特徴としている。
【0058】
本発明の容量性負荷駆動回路は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、上記複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記複数のエネルギー蓄積素子は、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を持つ第2のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を持つ第3のエネルギー蓄積素子とを含み、上記切り替え手段は、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっていることを特徴としている。上記容量性負荷駆動回路は、接地電位を有する接地端子をさらに備え、上記切り替え手段は、接地端子および複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するために、接地端子および複数のエネルギー蓄積素子と容量性負荷との間にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子であり、複数のエネルギー蓄積素子のうち、少なくとも、最も絶対値の大きい初期電位を持つエネルギー蓄積素子は、直接または間接的に電源に接続されている構成とすることができる。また、上記容量性負荷駆動回路は、上記切り替え手段が、複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するために、複数のエネルギー蓄積素子と容量性負荷との間にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子であり、複数のエネルギー蓄積素子のうち、少なくとも、最も絶対値の大きい初期電位を持つエネルギー蓄積素子が、直接または間接的に電源に接続されている構成とすることができる。
【0059】
本発明の容量性負荷駆動回路は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、電源から電源電位が付与された電源端子と、基準電源から供給された電源電位と異なる基準電源電位、または接地電位が基準電位として付与された基準電位端子と、基準電位と電源電位との間で、かつ互いに異なる初期電位が付与された複数の第1のエネルギー蓄積素子と、基準電位端子、複数の第1のエネルギー蓄積素子、および電源端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記切り替え手段は、基準電位端子を容量性負荷に接続した後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が基準電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧を電源電位に近づくように変化させる第1のステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2のステップと、その後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が電源電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1のステップの前とほぼ等しくなるように回生する第3のステップとを実行するようになっていることを特徴としている。
【0060】
上記各構成によれば、容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させて容量性負荷を放電させたときに、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを、容量性負荷へのエネルギー供給前とほぼ等しくなるように回生することができる。したがって、第1のエネルギー蓄積素子が見かけ上エネルギーを消費しなくなり、高い効率で電力回生を行うことができる。
【0061】
上記各構成においては、容量性負荷への充放電による第1のエネルギー蓄積素子の電圧のドリフトを防止するために第1のエネルギー蓄積素子にエネルギーを注入する直流電源が、抵抗回路を介して第1のエネルギー蓄積素子に接続されていてもよい。
【0062】
これにより、電圧のドリフトを抑制でき、電力回生効率を向上させることができる。
【0063】
上記ドリフト防止用の直流電源を備える構成においては、上記容量性負荷には所定周期の駆動パルスが印加されるようになっており、上記抵抗回路の抵抗値と第1のエネルギー蓄積素子の静電容量成分とで決まる時定数が、上記容量性負荷に印加される駆動パルスの周期の50倍以上であることが好ましい。また、上記ドリフト防止用の直流電源を備える構成においては、上記容量性負荷には所定周期の駆動パルスが印加されるようになっており、上記切り替え手段は、駆動パルスの1周期の間に、容量性負荷の接続先を切り替えて容量性負荷に静電エネルギーを供給する充電ステップを複数回実行するようになっており、第1のエネルギー蓄積素子の静電容量成分をCs、上記容量性負荷に印加される駆動パルスの周期をTp、各直流電源から第1のエネルギー蓄積素子に至るエネルギー注入経路の抵抗値をRs、駆動パルスの1周期の間における充電ステップの実行回数をNとしたとき、以下の関係
N=2の場合 3×Tp≦Rs・Cs≦6×Tp
N=3の場合 3×Tp≦Rs・Cs≦7×Tp
N=4の場合 3×Tp≦Rs・Cs≦8×Tp
N≧5の場合 3×Tp≦Rs・Cs≦10×Tp
を満たすことが好ましい。
【0064】
上記各構成の容量性負荷駆動回路において各エネルギー蓄積素子が正極性の初期電位を持つ正極性パルス発生用の容量性負荷駆動回路と、上記各構成の容量性負荷駆動回路において各エネルギー蓄積素子が負極性の初期電位を持つ負極性パルス発生用の容量性負荷駆動回路とを並列接続してもよい。
【0065】
この場合、(正極性のパルスを発生する)正極性の最も高い初期電位を持つ静電エネルギー蓄積素子から供給されたエネルギーと、(負極性のパルスを発生する)負極性の最も高い初期電位を持つ静電エネルギー蓄積素子から供給されたエネルギーと(−)のパルスを発生側の最も電位の低い静電エネルギー蓄積素子から供給されたエネルギーとが、最も接地電位に近い端子で消費される。
【0066】
上記各構成の容量性負荷駆動回路と、この容量性負荷駆動回路によって充放電される容量性負荷とを備える装置は、上記エネルギー蓄積素子の静電容量成分が、容量性負荷の静電容量の100倍以上であることが好ましい。
【0067】
本願発明に用いるコンデンサ等のエネルギー蓄積素子は、発生させるパルスの波形に依存するが、立ち上がりの急峻な波形のパルスを得るためには、周波数特性(充放電特性)の良いもの(等価抵抗Rが小さいもの)が好ましい。これにより、容量性負荷の電圧がある程度飽和した状態で次の段へ移れるので、立ち上がりの急峻な波形のパルスを得ることができる。等価抵抗Rを小さくしてエネルギー蓄積素子の充放電特性を向上させるためには、例えばエネルギー蓄積素子に接続されたスイッチング素子のON抵抗を小さくすればよい。
【0068】
上記エネルギー蓄積素子の静電容量成分が、容量性負荷の静電容量の100倍以上である場合、駆動系を安定動作させることができる。また、上記エネルギー蓄積素子の静電容量成分が、容量性負荷の静電容量の100倍未満である場合、容量性負荷へのエネルギー注入による、上記エネルギー蓄積素子の電位変化が大きくなり、電力回生率の低下が大きくなる。
【0069】
なお、本願明細書において「容量性負荷」とは、静電容量が主成分である負荷を指すものとする。容量性負荷としては、画像形成装置等に備えられる圧電素子(圧電体)、静電方式のインクジェットヘッドに備えられる静電駆動電極(静電アクチュエータ)、画像形成装置プラズマディスプレイの放電電極、液晶ディスプレイの電圧印加電極、圧電アクチュエータ(圧電素子)、コンデンサ、静電モータ、静電画像形成装置等が挙げられる。さらに消費電流が比較的小さい場合において直流−交流変換装置や電圧波形発生装置などへの応用も考えられる。
【0070】
エネルギー蓄積素子としては、二次電池やコンデンサなどを用いることができる。
【0071】
コンデンサは、二次電池などより内部抵抗が小さいことにより、それ自体における損失は二次電池より小さく、高効率で静電エネルギーを回収して再利用することができる。
【0072】
また、コンデンサは、充放電を多数回繰り返しても劣化が小さく寿命が長いので、長期間使用することができる。
【0073】
さらに、コンデンサは、一般に二次電池より周波数特性に優れているので、10μs程度のパルス駆動においても、効率良く静電エネルギーの回収を行うことができる。
【0074】
コンデンサとしては、上記の特性(充放電による劣化特性、内部インピーダンス、および周波数特性)に優れているフィルムコンデンサ、タンタルコンデンサ、電気二重層コンデンサ、機能性高分子コンデンサ、およびセラミックコンデンサーが特に望ましい。
【0075】
一方、二次電池は、静電エネルギーの蓄積(充電)に時間がかかる一方、比較的大きなエネルギーを蓄積することができるため、電圧を長時間維持することができる。そのため、電源から電圧を供給しない状態で長時間にわたって容量性負荷駆動回路を動作させることができるという利点がある。
【0076】
二次電池としては、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・水素電池、酸化銀・カドミウム電池などのアルカリ蓄電器の他、マンガン・リチウム電池、カーボン・リチウム電池、リチウム・ポリマー電池、リチウムイオン電池などのリチウム二次電池を用いることができる。二次電池の中では、リチウムイオン電池が、ニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池のようなメモリ効果がなく、充電・放電を繰り返し行うのに適しているので、好ましい。
【0077】
また、エネルギー蓄積素子の一部には、上記容量性負荷からエネルギー蓄積素子に回収した静電エネルギーを、上記容量性負荷とは異なる外部の素子に供給するためのエネルギー出力経路が接続されていてもよい。
【0078】
上記構成によれば、エネルギー蓄積素子に回収した静電エネルギーを回収先の容量性負荷とは異なる外部の素子で利用できるので、エネルギー蓄積素子に回収した静電エネルギーを効率良く再利用することができる。
【0079】
上記複数のエネルギー蓄積素子は、互いに異なる端子電圧を持ち、上記切り替え手段は、容量性負荷の充電時には、各エネルギー蓄積素子を端子電圧の絶対値が小さい方から順に容量性負荷に接続する一方、容量性負荷の放電時には、各エネルギー蓄積素子を端子電圧の絶対値が大きい方から順に容量性負荷に接続するようになっていることが好ましい。
【0080】
上記の構成によれば、エネルギー蓄積素子からの接続を端子電圧の大きさの順に順次切り替えることにより、エネルギー蓄積素子からの容量性負荷への充電時のエネルギーの流れと、容量性負荷からの放電時のエネルギー蓄積素子へのエネルギーの流れを最も効率よく相殺でき、かつ、エネルギー蓄積素子および容量性負荷の突入電流を小さく抑えることができ、エネルギー損失を低減できる。その結果、消費電力をさらに低減できる。
【0081】
上記切り替え手段は、容量性負荷の放電時に容量性負荷を最も端子電圧の小さいエネルギー蓄積素子に接続した後、容量性負荷を接地するようになっていてもよい。
【0082】
上記構成によれば、容量性負荷の電力消費は最も端子電圧の絶対値が小さいエネルギー蓄積素子と接地電位の電位差で定まる値であるから、エネルギー消費を最も小さくできる。さらに、エネルギー蓄積素子の充電前に容量性負荷に蓄積された電荷を0にすることができるので、エネルギー蓄積素子に安定した繰り返し動作をさせることができる。
【0083】
上記切り替え手段は、容量性負荷の放電時に容量性負荷を最も端子電圧の小さいエネルギー蓄積素子に接続した後、容量性負荷の充電を開始するまでの間、容量性負荷と端子電圧の絶対値が最も小さいエネルギー蓄積素子との接続を維持するようになっていてもよい。
【0084】
上記構成によれば、容量性負荷に蓄えたエネルギーを捨てることなく保持できるので、容量性負荷に蓄えた静電エネルギーをほぼ全部回収して再利用することができる。その結果、容量性負荷に蓄えた静電エネルギーをより一層効率良く回収・再利用することができる。この場合、最も端子電圧の絶対値が小さいエネルギー蓄積素子から別の回路へ電力を供給することで、最も端子電圧の絶対値が小さいエネルギー蓄積素子の電圧ドリフトを防止しつつ効率良く回収・再利用することができる。
【0085】
また、本発明の容量性負荷駆動回路では、電源から供給された電圧を互いに異なる複数の電圧に分圧し、これら電圧を各エネルギー蓄積素子に端子電圧として供給するための分圧手段がさらに設けられていてもよい。分圧手段は、それぞれのエネルギー蓄積素子への初期エネルギー蓄積手段として設けられる。
【0086】
上記構成によれば、容量性負荷への充電、放電による電圧パルス発生同時電力回生サイクルにおいて、容量性負荷での損失やエネルギー放出などにより、容量性負荷から静電エネルギーを回収した後でエネルギー蓄積素子の電荷量が初期値(静電エネルギー供給前の値)に復元しない場合であっても、分圧手段によりエネルギー蓄積素子の端子電圧を所定の電圧に強制的に調節することができる。特に分圧手段の電圧補正能力を適当に選択することで容量性負荷への充電、放電による電圧パルス発生同時電力回生サイクル中はほとんど感応しないが、電圧パルス発生同時電力回生サイクルを繰り返す中でのドリフトを防止できる。その結果、極めて安定した電圧を容量性負荷に供給することができ、安定した繰り返し動作が可能となる。
【0087】
また、上記構成によれば、容量性負荷の充電時に、複数のエネルギー蓄積素子から容量性負荷に順次、異なる電圧を供給して、容量性負荷の駆動電圧を順次昇圧する一方、容量性負荷の放電時に、複数のエネルギー蓄積素子から容量性負荷に順次、異なる電圧を供給して、容量性負荷の駆動電圧を順次降圧することができる。したがって、切り替え手段の切り替えタイミングを調整することにより種々の駆動電圧波形を得ることが可能である。
【0088】
上記分圧手段は、電源から供給された電圧をn等分(nは2以上)に分圧するものであることがより好ましい。これにより、容量性負荷への充電時のエネルギーの流れと、容量性負荷からの放電時のエネルギー蓄積素子へのエネルギーの流れを最も効率よく相殺でき、かつエネルギー蓄積素子および容量性負荷の突入電流をより一層小さく抑えることができ、エネルギー損失をより一層低減できる。
【0089】
上記分圧手段は、電源に対して直列に接続された複数の抵抗を含んでいてもよい。上記構成によれば、簡素な構成で分圧手段を実現できる。
【0090】
上記複数の抵抗を含む分圧手段を備える構成においては、上記抵抗とエネルギー蓄積素子との間に介在し、上記抵抗に流れる電流を増幅すると共に、各エネルギー蓄積素子の端子電圧が所定の電圧に調整されるように入力電圧と異なる電圧を出力する緩衝増幅手段をさらに備えることが好ましい。
【0091】
上記構成によれば、上記抵抗によって分圧された電圧が所定の電圧からずれた場合、例えば、容量性負荷での静電エネルギー損失や静電エネルギー放出などにより、容量性負荷から静電エネルギーを回収した後にエネルギー蓄積素子の端子電圧が初期値(静電エネルギー供給前の値)に復元しない場合であっても、緩衝増幅手段によってエネルギー蓄積素子の端子電圧を所定の電圧に調整することができる。
【0092】
また、上記構成によれば、上記抵抗に流れる電流を低減できるので、上記抵抗によって消費される消費電力を低減できる。
【0093】
なお、上記緩衝増幅手段は、エミッタフォロアによって実現できる。
【0094】
上記分圧手段は、分圧された電圧を安定化させるためのツェナーダイオード等の定電圧手段を含んでいてもよい。
【0095】
上記構成によれば、容量性負荷での損失やエネルギー放出などにより、容量性負荷から静電エネルギーを回収した後でエネルギー蓄積素子の電荷量が初期値(静電エネルギー供給前の値)に復元しない場合であっても、ツェナーダイオード等の定電圧手段によりエネルギー蓄積素子の端子電圧を所定の電圧に正確に調節することができる。その結果、極めて安定した電圧を容量性負荷に供給することができ、安定した繰り返し動作が可能となる。
【0096】
上記ツェナーダイオード等の定電圧手段を含む分圧手段は、電源と接地線との間に直列接続された複数個のツェナーダイオード等の定電圧素子を含み、これらツェナーダイオード等の定電圧素子と電源または接地線との間に抵抗が挿入されていることが好ましい。
【0097】
上記構成によれば、ツェナーダイオード等の定電圧素子の両端電圧(ツェナーダイオードの場合、ツェナー電圧)の総和が電源電圧と一致しない場合においても、抵抗により電圧の不一致を吸収でき、任意の電圧で安定した繰り返し動作が可能となる。
【0098】
上記ツェナーダイオード等の定電圧素子を含む分圧手段は、電源と接地線との間に並列接続された第1の分圧器および第2の分圧器を備え、第1の分圧器および第2の分圧器はそれぞれ、ツェナーダイオード等の定電圧素子を含み、第1の分圧器では、ツェナーダイオード等の定電圧素子と電源との間にプルアップ抵抗が挿入されている一方、第2の分圧器では、ツェナーダイオード等の定電圧素子と接地線との間にプルダウン抵抗が挿入されている構成であってもよい。
【0099】
上記構成によれば、ツェナーダイオード等の定電圧素子の両端電圧(ツェナーダイオードの場合、ツェナー電圧)の総和が電源電圧と一致しない場合においても、プルアップ抵抗およびプルダウン抵抗により電圧の不一致を吸収でき、任意の電圧で安定した繰り返し動作が可能となる。
【0100】
上記第1の分圧器および第2の分圧器を備える分圧手段では、第1の分圧器に含まれるツェナーダイオード等の定電圧素子の数と、第2の分圧器に含まれるツェナーダイオード等の定電圧素子の数との差が、1個以下であることが好ましい。
【0101】
上記構成によれば、エネルギー蓄積素子の端子電圧の安定性をさらに向上させることができ、安定した繰り返し動作が可能となる。
【0102】
上記ツェナーダイオード等の定電圧素子を含む分圧手段を備える構成では、ツェナーダイオード等の定電圧素子とエネルギー蓄積素子との間に、電流制限用抵抗が挿入されていることが好ましい。
【0103】
上記構成によれば、電流制限用抵抗により、分圧手段の電圧補正能力を適当に選択することで容量性負荷への充電、放電による電圧パルス発生同時電力回生サイクル中はほとんど感応しないが、電圧パルス発生同時電力回生サイクルを繰り返す中でのドリフトを防止することが可能になり、かつ急峻な容量性負荷からの電流の流出入を吸収すると共に、ツェナーダイオード等の定電圧素子ヘ流入する電流を制限し、ツェナーダイオード等の定電圧素子の負担を低減できる。
【0104】
また、全てのエネルギー蓄積素子の一端が、電源または接地線に接続されていることが好ましい。
【0105】
上記構成によれば、エネルギー蓄積素子を個々に分離し、干渉を防止することができるので、特定のエネルギー蓄積素子へ容量性負荷からの電流の流出入があった時に、そのエネルギー蓄積素子の電圧変化が他のエネルギー蓄積素子に影響を及ぼさない。それゆえ、エネルギー蓄積素子の端子電圧の安定性をさらに向上させることができ、安定した繰り返し動作が可能となる。
【0106】
また、本発明の容量性負荷駆動回路は、上記電源からエネルギー蓄積素子への静電エネルギーの供給を制御するスイッチング部をさらに備え、上記スイッチング部は、容量性負荷の充電前の所定期間のみ、上記電源からエネルギー蓄積素子へ静電エネルギーを供給するようになっていることが好ましい。
【0107】
上記構成によれば、所定期間のみ電源からエネルギー蓄積素子へ静電エネルギーを供給するので、常時電源からエネルギー蓄積素子へ静電エネルギーを供給する場合と比べて、容量性負荷駆動回路での消費電力を低減でき、特に、電源に対して直列に接続された複数の抵抗を含む分圧手段を備える場合における、抵抗での消費電力を低減できる。
【0108】
また、本発明の容量性負荷駆動回路は、内部の接続状態を切り替えることにより一部の容量性負荷に対して選択的に充電または放電を行わせる選択手段をさらに備えていてもよい。
【0109】
上記構成によれば、選択手段が一部の容量性負荷に対して選択的に充電または放電を行わせるので、複数の容量性負荷を異なるタイミングで駆動することができる。
【0110】
また、上記選択手段をさらに備える構成においては、複数のエネルギー蓄積素子に分配された静電エネルギーを容量性負荷へ供給するためのエネルギー供給経路と、複数のエネルギー蓄積素子から静電エネルギーを回収するためのエネルギー回収経路とが独立して設けられ、上記選択手段は、エネルギー供給経路およびエネルギー回収経路のそれぞれに設けられていることが好ましい。
【0111】
上記構成によれば、エネルギー供給経路(充電経路)とエネルギー回収経路とを独立して設けたことにより、一部の容量性負荷に対する充電と、他の容量性負荷に対する放電とを同時に行うことが可能となる。これにより、多数の容量性負荷を異なるタイミングで駆動する場合に、単位時間当たりにおける容量性負荷の動作回数を増やすことができる。それゆえ、容量性負荷を高速で動作させることができる。
【0112】
また、上記構成によれば、エネルギー供給経路とエネルギー回収経路とを独立して設けたことにより、充電特性と放電特性とを別途、最適化できる。
【0113】
また、上記エネルギー供給経路とエネルギー回収経路とを独立して設けた構成では、エネルギー供給経路およびエネルギー回収経路の電流を整流するための整流手段をさらに備えることが好ましい。
【0114】
上記構成によれば、切り替え手段のON/OFF動作の遅延などにより、短絡電流が流れ、回路を破損することを防止できる。
【0115】
上記容量性負荷駆動回路を用いて、インクを液滴状に吐出させるインクジェットヘッドに備えられた、インクを加圧するための圧電素子を容量性負荷として駆動することが好ましい。
【0116】
上記の構成によれば、一般に、消費電力が大きく、誘電率が高く(例えば、expε≒4300程度)、キャパシタンスが大きく(例えば、80pF×320ch=0.0256μF)、負荷への充放電において高い繰り返し周波数(10kpps〜150kpps)で駆動されるインクジェットヘッドの圧電素子に対して、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となるので、特に大きな消費電力低減効果が得られる。
【0117】
本発明のインクジェットプリンタは、上記の課題を解決するために、圧電素子によってインクを加圧することによりインクを液滴状に吐出させるインクジェットヘッドと、上記インクジェットヘッドの圧電素子を駆動する駆動回路とを備えるインクジェットプリンタにおいて、上記駆動回路が、前記のいずれかの構成の容量性負荷駆動回路であることを特徴としている。
【0118】
上記構成によれば、複数のエネルギー蓄積素子から順次、圧電素子へ静電エネルギーが供給され、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、圧電素子から静電エネルギーが回収されるので、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となる。したがって、消費電力が低減されたインクジェットプリンタを提供できる。
【0119】
本発明による電圧パルス発生同時電力回生サイクルを用いた容量性負荷駆動回路を備える画像形成装置は、電圧パルスを発生しつつ、同パルス発生サイクル中に電力の回生を行うため、圧電素子または静電駆動電極(静電アクチュエータ)駆動時の消費電力が少ないという特徴がある。したがって、消費電力が低減された画像形成装置を提供できる。
【0120】
本発明の容量性負荷駆動方法は、容量性負荷を充放電させる容量性負荷駆動方法において、静電エネルギーを複数のエネルギー蓄積素子に分割して蓄積する蓄積ステップと、上記複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーを供給することにより容量性負荷を充電する充電ステップと、容量性負荷を放電させ、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーを回収する回収ステップとを含むことを特徴としている。
【0121】
上記方法によれば、容量性負荷へ充電時には複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーが供給され、逆に容量性負荷から放電時には上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーが回収されるので、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となる。
【0122】
本発明の容量性負荷駆動方法は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第2のエネルギー蓄積素子と、接地電位、基準電源から供給された第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、または基準電源から供給された第1の初期電位と逆極性の電位が基準電位として付与された基準電位端子とを用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位を付与すると共に、第2のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を基準電位端子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含むことを特徴としている。
【0123】
本発明の容量性負荷駆動方法は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、電源から電源電位が付与された電源端子と、第1のエネルギー蓄積素子および第3のエネルギー蓄積素子とを用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して電源電位と同極性でかつ電源電位より絶対値の小さい第1の初期電位を付与すると共に、第3のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含むことを特徴としている。
【0124】
本発明の容量性負荷駆動方法は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、第1のエネルギー蓄積素子、第2のエネルギー蓄積素子、および第3のエネルギー蓄積素子を用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して0でない第1の初期電位を付与し、第2のエネルギー蓄積素子に対して第1のエネルギー蓄積素子の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を付与し、第3のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含むことを特徴としている。
【0125】
本発明の容量性負荷駆動方法は、上記の課題を解決するために、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、電源から電源電位が付与された電源端子と、基準電源から供給された電源電位と異なる基準電源電位、または接地電位が基準電位として付与された基準電位端子と、複数の第1のエネルギー蓄積素子とを用意する配設ステップと、上記複数の第1のエネルギー蓄積素子に対して、基準電位と電源電位との間で、かつ互いに異なる初期電位を付与する初期電位付与ステップと、基準電位端子を容量性負荷に接続した後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が基準電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧を電源電位に近づくように変化させる第1のステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2のステップと、その後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が電源電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1のステップの前とほぼ等しくなるように回生する第3のステップとを含むことを特徴としている。
【0126】
上記各方法によれば、エネルギー蓄積素子からの容量性負荷への充電時のエネルギーの流れと、容量性負荷からの放電時のエネルギー蓄積素子へのエネルギーの流れとを相殺でき、エネルギー損失を低減できる。その結果、消費電力を低減できる。
【0127】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態を、図1ないし図3に基づいて以下に説明する。
【0128】
図1に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路1は、9個のコンデンサ(エネルギー蓄積素子)2からなる蓄電器3、10個の抵抗4からなる分圧器(分圧手段)5、トランジスタ(スイッチング部)6、スイッチ(切り替え手段)7、抵抗8、および電源端子9を備えている。本実施形態の容量性負荷駆動回路1は、容量性負荷であるコンデンサ11に対して電圧Vを印加してコンデンサ11を充放電させるものである。
【0129】
容量性負荷駆動回路1には、容量性負荷駆動回路1の外部に設けられた図示しない主電源より電源端子9を介して電源電圧VHが供給されている。そして、電源電圧VHは、電源端子9からトランジスタ6を介して分圧器5に印加されている。
【0130】
トランジスタ6は、制御電圧Qに応じて、電源端子9と分圧器5との接続をON/OFFするスイッチの役割を持つものである。本実施形態では、トランジスタ6は、PNP型トランジスタであり、エミッタに電源端子9が接続され、コレクタに分圧器5が接続され、ベースに制御電圧Qが印加されている。トランジスタ6は、駆動時には常に導通状態(ON)である。したがって、トランジスタ6を省き、電源端子9を直接、分圧器5に接続してもかまわない。
【0131】
分圧器5は、外部の主電源から供給された電源電圧VHを10個の抵抗4で分圧するものである。分圧器5は、電源端子9とグラウンド(電源電圧の基準となる電位の点;典型的には電位が0の点)との間に10個の抵抗4を直接に接続した構成であり、これら抵抗4により外部の主電源からの電源電圧VHを互いに異なる電圧V1〜V9に分圧するようになっている。すなわち、トランジスタ6が導通状態であり、分圧器5に正の電源電圧VHが供給されている時(以下、「電力供給時」と称する)には、抵抗4間を接続する9つの接続点a・b・c・d・e・f・g・h・iに、電圧V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7,V8,V9(ただし0<V1<V2<V3<V4<V5<V6<V7<V8<V9<VHを満たす)が発生する。より詳細には、電圧V1〜V9は、接続点から電源端子9までの間に存在する抵抗4の抵抗値の総和をR1、接続点からグラウンドまでの間に存在する抵抗4の抵抗値の総和をR2とすると、VH・R2/(R1+R2)で表される。本実施形態では、個々の抵抗4として、同一の抵抗値を持つ抵抗素子を用いている。したがって、本実施形態において、電圧V1〜V9は、V1=VH/10,V2=2VH/10,V3=3VH/10,V4=4VH/10,V5=5VH/10,V6=6VH/10,V7=7VH/10,V8=8VH/10,V9=9VH/10となる。
【0132】
蓄電器3は、グラウンドと分圧器5との間に並列に接続された9個のコンデンサ2a〜2iからなっている。また、コンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iはそれぞれ、前記の接続点a・b・c・d・e・f・g・h・iに接続されている。したがって、電力供給時には、コンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iに対して、分圧器5で分圧された電圧V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7,V8,V9が端子電圧(スイッチ7と接続されている端子の電圧)として印加される。
【0133】
このようにして、分圧器5によって、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧が所定の電圧V1〜V9に調整され、各コンデンサ2a〜2iに異なる端子電圧V1〜V9が分配される。これにより、電力供給時に、コンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iにそれぞれ、電圧V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7,V8,V9に対応する電荷(静電エネルギー)が蓄積される。
【0134】
本実施形態では、コンデンサ2a〜2iとして、コンデンサ11のキャパシタンスCLより遥かに大きい同一のキャパシタンス(静電容量)Cを持つコンデンサを用いている。したがって、コンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iに蓄積される電荷はそれぞれ、C・V1,C・V2,C・V3,C・V4,C・V5,C・V6,C・V7,C・V8,C・V9となる。
【0135】
なお、コンデンサ2a〜2iのキャパシタンスCは、コンデンサ11のキャパシタンスCLの100倍以上であることが好ましい。これにより、静電エネルギーの回収効率を向上させることができる。
【0136】
蓄電器3および分圧器5は、スイッチ7および抵抗8を介してコンデンサ11と接続されている。スイッチ7は、11個の接点T0〜T10を持ち、これら接点T0〜T10のうちの1つを選択的に出力端(抵抗8と接続されている端)に接続するものである。11個の接点T0〜T10のうち、接点T0は接地されており、接点T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9は、コンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iにそれぞれ接続されており、T10は電源端子9に接続されている。したがって、コンデンサ11の駆動時には、接点T0,T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9,T10にそれぞれ、電圧0、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、VHが印加されている。
【0137】
スイッチ7は、初期状態(駆動動作開始前の状態)では接点T0に接続されており、駆動動作を開始すると、接点T0から接点T10へ順に接点を切り替えた後、接点T10から接点T0へ順に接点を切り替える動作を繰り返し行う。また、スイッチ7には、コンデンサ11をパルス駆動するための同期信号SYNCが図示しない同期信号源から入力されており、同期信号SYNCに応じて接点T0〜T10の切り替え動作を行う。なお、同期信号SYNCおよび接点T0〜T10の切り替えタイミングの詳細については後述する。
【0138】
抵抗8は、コンデンサ(容量性負荷)11に対して流れる電流を制限するためのものである。スイッチ7に半導体スイッチを用いる場合、半導体スイッチのON抵抗として抵抗8は等価的に挿入される。
【0139】
次に、容量性負荷駆動回路1の動作について、図2および図3に基づいて説明する。なお、ここでは、VHが正の電圧であるものとして説明する。
【0140】
図2は、容量性負荷駆動回路1の動作を示すタイミングチャートである。図2(a)は、スイッチ7に入力される同期信号SYNCの波形を示す波形図である。図2(b)は、トランジスタ6の動作を制御するトランジスタ6の制御電圧Qの波形を示す波形図である。図2(c)は、コンデンサ11に印加されている電圧Vの波形を示す波形図である。
【0141】
図3は、図2に示すタイミングチャートの一部を拡大して示すと共に、スイッチ7の動作状態を示すものである。図3(a)は、図2(a)に示す同期信号SYNCの波形の一部を拡大して示す波形図である。図3(b)は、図1のスイッチ7の動作状態、すなわち接点T0〜T10のうちのいずれが接続されているかを示すタイミングチャートである。図3(c)は、図2(b)に示す制御電圧Qの波形の一部を拡大して示す波形図である。図3(d)は、図2(c)に示す電圧Vの波形の一部を拡大して示す波形図である。
【0142】
まず、コンデンサ11の駆動動作を開始する前の準備動作として、図2(b)に示すように制御電圧Qが高レベルとなり、トランジスタ6が導通状態(ON)にされる。これにより、外部からの電源電圧VHを分圧器5で分圧することによって得られた、互いに異なる所定の電圧V1〜V9が、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iに端子電圧として印加され、コンデンサ2a〜2iが充電される。本実施形態では、トランジスタ6は、その後、コンデンサ11の駆動動作を終了するまで常に導通状態となっている。また、このとき、スイッチ7が接点T0に接続されており、コンデンサ11は接地されている。
【0143】
このコンデンサ2a〜2iの端子電圧を所定の電圧V1〜V9に調整する準備の後、図2(a)に示すように同期信号SYNCがアクティブとなり、駆動動作が開始される。このとき、トランジスタ6が導通状態となる時点(準備動作開始時点)から同期信号SYNCがアクティブとなる時点(駆動動作開始時点)までの時間t0は、コンデンサ2a〜2iが十分に充電できるように充電の時定数の2.5倍以上に設定することが好ましい。
【0144】
そして、同期信号SYNCに応じてスイッチ7を接点T0から接点T10に順に切り替えることによって、異なる複数の電圧V1〜V9、およびVHが、コンデンサ11に電圧Vとして印加されることになる。これにより、図2(c)および図3(c)に示すように、コンデンサ11に、電圧Vとしてほぼ台形の階段状パルス電圧が印加される。
【0145】
次に、コンデンサ11の駆動動作について、詳細に説明する。ここで、同期信号SYNCは、図3(a)に示すように、一定の周期Tを持ち、かつ、パルス幅がtのパルス信号である。例えば、周期Tは8μs、パルス幅tは0.32μsに設定される。
【0146】
コンデンサ11の駆動時には、まず、同期信号SYNCの立ち上がりに同期して、スイッチ7が接点T0から接点T1へと切り替えられる。スイッチ7が接点T1へ切り替えられると、蓄電器3のコンデンサ2aとコンデンサ11とが接続される。このとき、コンデンサ2aの端子電圧はV1であり、コンデンサ11の端子電圧は接地電位であるので、コンデンサ2aからコンデンサ11に静電エネルギー(電荷)が供給され、コンデンサ11が充電される。
【0147】
このときにコンデンサ2aに蓄積されている電荷はC・V1であるので、コンデンサ11のキャパシタンスをCLとし、コンデンサ2aのみからコンデンサ11に電荷が供給されるとすれば、コンデンサ11に印加される電圧Vは、
V=C・V1/(C+CL)
である。そして、コンデンサ2aのキャパシタンスCはコンデンサ11のキャパシタンスCLより充分に大きいので、電圧Vは、分圧器5によって生成された所定の電圧V1にほぼ等しいとみなすことができる。したがって、スイッチ7の接点T0から接点T1への切り替えにより、電圧V1がコンデンサ2aからコンデンサ11に印加される。
【0148】
その後、同期信号SYNCのパルス幅tに等しい時間が経過する度に、スイッチ7の接続が、接点T1から接点T2、接点T2から接点T3、接点T3から接点T4、接点T4から接点T5、接点T5から接点T6、接点T6から接点T7、接点T7から接点T8、接点T8から接点T9へと切り替えられる。これらのスイッチ7の切り替えにより、コンデンサ11はコンデンサ2b〜2iに対して端子電圧の低い順に接続される。これにしたがって、接点T0から接点T1への切り替えと同様にして、コンデンサ2b〜2iより順次、コンデンサ11に静電エネルギーが供給され、コンデンサ11に電圧V2〜V9が低い順で印加される。その結果、コンデンサ11の電圧Vは電圧V9まで上昇する。
【0149】
次に、スイッチ7の接続が、接点T9から接点T10へと切り替えられると、コンデンサ11が電源端子9に接続され、コンデンサ11に印加される電圧Vは、外部からの電源電圧VHと等しくなる。
【0150】
以上のようにして、コンデンサ11の電圧Vは、図3(d)に示すように、ほぼ階段状に0から電源電圧VHまで上昇してゆく。
【0151】
次に、同期信号SYNCのパルス幅tより長い期間、スイッチ7の接点が接点T10に保持され、コンデンサ11の電圧Vが電源電圧VHに維持された後、スイッチ7の接点が接点T10から接点T9に切り替えられる。これにより、蓄電器3のコンデンサ2iとコンデンサ11とが接続される。
【0152】
このときにコンデンサ2iに蓄積されている電荷はC・V9であるので、コンデンサ2iにコンデンサ11のみから電荷が供給されるとすれば、コンデンサ11に印加される電圧Vは、
V=(CL・VH+C・V9)/(C+CL)
である。そして、コンデンサ2iのキャパシタンスCはコンデンサ11のキャパシタンスCLより充分に大きいので、電圧Vは、電圧V9にほぼ等しくなる。したがって、スイッチ7の接点T10から接点T9への切り替えにより、コンデンサ11がコンデンサ2iに接続され、コンデンサ11の電圧Vは、図3(d)に示すように、分圧器5によって調整された所定の電圧V9に減少する。
【0153】
このとき、コンデンサ2hにコンデンサ11を接続した後にコンデンサ2iに接続するステップにおいてコンデンサ2iからコンデンサ11にエネルギーが注入されるため、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間にコンデンサ11以外の回路から蓄電器3へのエネルギー供給が行われないとすれば、コンデンサ11を電源端子9に接続した後にコンデンサ2iに接続する直前におけるコンデンサ2iの端子電圧は、厳密には、V9ではなくV9よりも若干小さい値になる。
【0154】
しかしながら、次にV9よりも若干小さい端子電圧となったコンデンサ2iに対して電源電圧VHに充電されたコンデンサ11を接続すると、コンデンサ11の端子電圧が電源電圧VHでありコンデンサ2iの端子電圧より大きいので、コンデンサ11からコンデンサ2iに静電エネルギー(電荷)が回収され、コンデンサ11が放電される。このとき、コンデンサ2iの電圧は、コンデンサ11からエネルギーを回収することでほぼV9に等しい値(V9と見なせる値)まで復帰する(回生される)。
【0155】
その後、同期信号SYNCのパルス幅tに等しい時間が経過する度に、スイッチ7の接続が、接点T9から接点T8、接点T8から接点T7、接点T7から接点T6、接点T6から接点T5、接点T5から接点T4、接点T4から接点T3、接点T3から接点T2、接点T2から接点T1へと切り替えられる。これらのスイッチ7の切り替えにより、コンデンサ11はコンデンサ2a〜2hに対して端子電圧の高い順に接続される。これにしたがって、接点T10から接点T9への切り替えと同様にして、コンデンサ11よりコンデンサ2a〜2hに順次エネルギーが回収され、コンデンサ11に電圧V1〜V8が高い順で印加される。
【0156】
最後に、スイッチ7の接続が、接点T1から接点T0へと切り替えられると、コンデンサ11が接地され、コンデンサ11に印加される電圧Vはグラウンドと同じ0となる。ここで電圧Vを0にするのは、コンデンサ11にたまる電荷を0にして、安定した繰り返し動作をさせるためである。
【0157】
以上のようにして、コンデンサ11の電圧Vは、図3(d)に示すように、ほぼ階段状に電源電圧VHから0まで減少してゆく。
【0158】
なお、スイッチ7のステップダウンの最後(接点T1から接点T0への切り替え)においては、コンデンサ11に蓄えた電荷をコンデンサ2a〜2iに戻さずに全てグラウンドに落とすので、コンデンサ11に蓄えていた静電エネルギーの一部を捨てることになる。本実施形態では、コンデンサ11に印加される電圧Vは、最大VHであり、スイッチ7のステップダウンの最後におけるコンデンサ11の電圧Vは、V1、すなわちVH/10に等しい。したがって、コンデンサ11に蓄えられる電荷はCL・VH、スイッチ7のステップダウンの最後にコンデンサ11から放電される電荷はCL・VH/10である。したがって、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間にコンデンサ11以外の回路から蓄電器3へのエネルギー供給が行われることがなく、スイッチ7のステップダウンの最後以外は、コンデンサ11から放電された電荷が全てコンデンサ2a〜2iに回収されるとすれば、コンデンサ11からコンデンサ2a〜2iに回収される電荷は9CL・VH/10である。それゆえ、静電エネルギーの回収効率は9/10=90%となる。
【0159】
このようにして、スイッチ7を接点T0から接点T10へ順次切り替えてコンデンサ11の印加電圧Vをステップアップし、その後、逆にスイッチ7を接点T10から接点T0へ順次切り替えてコンデンサ11の印加電圧Vをステップダウンすることにより、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iからコンデンサ11に静電エネルギーを供給し、かつ、コンデンサ11に蓄えた静電エネルギーをほぼ蓄電器3のコンデンサ2a〜2iに回収することができる。
【0160】
以上のように、本実施形態の容量性負荷駆動回路1は、主電源の電圧をn分割に分配して蓄電器3に蓄え、蓄電器3とコンデンサ11との接続の切り替えを行うことで、蓄電器3からコンデンサ11ヘ静電エネルギーを供給し、コンデンサ11から放電された静電エネルギーを蓄電器3へ回収する構成であるので、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となる。
【0161】
なお、本実施形態の容量性負荷駆動回路1では、トランジスタ6が駆動時に常に導通状態(ON)となるようにしていたが、後述する実施の形態4のように、駆動期間と駆動期間の間の所定期間のみ、トランジスタ6を導通状態にして分圧器5に電源電圧を供給し、分圧器5への電力の供給が不要であるときには、トランジスタ6をOFF状態とし、分圧器5への主電源の接続を切断するようにしてもよい。これにより、分圧器5に常時電流が流れることによる消費電力の無駄を省くことができる。
【0162】
また、本実施形態の容量性負荷駆動回路1では、スイッチ7の接点T10に対して電源端子9を直接的に接続していたが、スイッチ7の接点T10に対してトランジスタ6を介して電源端子9を接続してもよい。
【0163】
〔実施の形態1A〕
本発明の他の実施の形態について図69ないし図71に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0164】
本実施形態の容量性負荷駆動回路は、以下の相違点以外は、実施の形態1の容量性負荷駆動回路1と同様の構成を備えている。
【0165】
第1の相違点は、実施の形態1の容量性負荷駆動回路1では、分圧器5の9つの接続点(分圧点)a〜iと、接点T1〜T9に接続されたラインとを直接的に接続していたのに対し、図69に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路1Aは、分圧器5の9つの接続点(分圧点)a〜iと、接点T1〜T9に接続されたラインとの間にそれぞれ、スイッチSW1〜SW9が設けられている点である。スイッチSW1〜SW9は、分圧器5から蓄電器3のコンデンサ2a〜2iへの電圧の供給を制御するスイッチング部として設けられているものであり、コンデンサ11の充電前の所定期間のみ接続状態となるように制御されている。
【0166】
第2の相違点は、実施の形態1の容量性負荷駆動回路1が、トランジスタ6を備え、図2および図3に示すタイミングチャートに従って動作するのに対し、容量性負荷駆動回路1Aは、トランジスタ6に代えて、図70または図71のタイミングチャートに示す制御電圧Qによって動作が制御されるスイッチ16Aを備える点である。
【0167】
すなわち、スイッチ16Aは、実施の形態1のトランジスタ6とは異なり、図70に示すように、コンデンサ11の充電が開始される前の期間(このとき、コンデンサ11はスイッチ7の接点T0に接続され接地されている)に、所定時間t0、導通状態(ON)となるように制御されている。なお、前記のスイッチSW1〜SW9も、スイッチ16Aの制御電圧Qと同様の制御電圧によって動作が制御される。
【0168】
実施の形態1では、蓄電器3と分圧器5とが常時接続され、また、駆動時には分圧器5に対して電源電圧が常に供給されるようになっているので、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間に他の回路から蓄電器3にエネルギー供給が行われる。このようなエネルギー供給が行われると、コンデンサ11から蓄電器3へのエネルギー回収効率が悪くなる恐れがある。
【0169】
これに対し、本実施形態では、前記の第1および第2の相違点により、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間に他の回路から蓄電器3にエネルギー供給が行われないようになっている。これにより、他の回路からのエネルギー供給によってコンデンサ11から蓄電器3へのエネルギー回収効率が悪くなることを回避できる。
【0170】
次に、容量性負荷駆動回路1Aによるコンデンサ11の駆動動作について、図70および図71に基づいて説明する。ここで、同期信号SYNCは、図70(a)に示すように、一定の周期Tを持ち、かつ、パルス幅がtのパルス信号である。例えば、周期Tは8μs、パルス幅tは0.32μsに設定される。なお、VHは正の電圧として説明を行う。
【0171】
図70は、容量性負荷駆動回路1Aの動作例を示すタイミングチャートである。図70(a)は、スイッチ7に入力される同期信号SYNCの波形を示す波形図である。図70(b)は、スイッチ16Aの動作を制御する制御電圧Qの波形を示す波形図である。図70(c)は、コンデンサ11に印加されている電圧Vの波形を示す波形図である。
【0172】
図71は、容量性負荷駆動回路1Aの他の動作例を示すものである。図71(a)は、図70(a)に示す同期信号SYNCの波形の一部を拡大して示す波形図である。図71(b)は、図1のスイッチ7の動作状態、すなわち接点T0〜T10のうちのいずれが接続されているかを示すタイミングチャートである。図71(c)は、スイッチ16Aの動作を制御する制御電圧Qの波形の一部を拡大して示す波形図である。図71(d)は、図70(c)に示す電圧Vの波形の一部を拡大して示す波形図である。
【0173】
図70の動作例と図71の動作例とは、コンデンサ11にパルスが印加される合間に制御電圧QがONされる点では共通しているが、制御電圧QがONされる周期が異なり、前者は数パルス周期毎、後者は1パルス周期毎である。電圧ドリフトの量が小さいときは、図70に示すように数パルスに1回の割合でスイッチ16AをON(接続状態)として正規化(コンデンサ2a〜2iの端子電圧の是正)を行えばよい。電圧ドリフトの量が大きい場合には、安定動作を確保するために、図71に示すように、1パルス毎にスイッチ16AをON(接続状態)として正規化を行えばよい。
【0174】
コンデンサ11の駆動時には、まず、実施の形態1と同様に、スイッチ7の接続が、接点T0から接点T1、接点T1から接点T2、接点T2から接点T3、接点T3から接点T4、接点T4から接点T5、接点T5から接点T6、接点T6から接点T7、接点T7から接点T8、接点T8から接点T9へと切り替えられ、コンデンサ2a〜2iからコンデンサ11へ静電エネルギーが供給される。次に、スイッチ7の接続が接点T9から接点T10へと切り替えられ、コンデンサ11に印加される電圧Vは電源電圧VHと等しくなる。以上のようにして、コンデンサ11の電圧Vは、図71(d)に示すように、ほぼ階段状に0から電源電圧VHまで上昇してゆく。
【0175】
次に、スイッチ7の接点が接点T10から接点T9に切り替えられる。これにより、蓄電器3のコンデンサ2iとコンデンサ11とが接続される。
【0176】
このときにコンデンサ2iに蓄積されている電荷はC・V9であり、コンデンサ2iには、ほぼコンデンサ11のみから電荷が供給されるので、コンデンサ11に印加される電圧Vは、
V=(CL・VH+C・V9)/(C+CL)
である。そして、コンデンサ2iのキャパシタンスCはコンデンサ11のキャパシタンスCLより充分に大きいので、電圧Vは、ほぼ電圧V9に等しくなる。
【0177】
このとき、このとき、コンデンサ2hにコンデンサ11を接続した後にコンデンサ2iに接続するステップにおいてコンデンサ2iからコンデンサ11にエネルギーが注入され、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間にコンデンサ11以外の回路から蓄電器3へのエネルギー供給が行われないので、コンデンサ11を電源端子9に接続した後にコンデンサ2iに接続する直前におけるコンデンサ2iの端子電圧は、厳密には、V9ではなくV9よりも若干小さい値になる。
【0178】
コンデンサ11接続前のコンデンサ2iの端子電圧はほぼV9であるが、厳密にはコンデンサ2hにコンデンサ11を接続した後にコンデンサ2iに接続するステップにおいてコンデンサ2iからコンデンサ11にエネルギーが注入されており、コンデンサ2iの電圧はV9よりも若干小さい値になっている。
【0179】
しかしながら、次にV9よりも若干小さい端子電圧となったコンデンサ2iに対して電源電圧VHに充電されたコンデンサ11を接続すると、コンデンサ11の端子電圧が電源電圧VHでありコンデンサ2iの端子電圧より大きいので、コンデンサ11からコンデンサ2iに静電エネルギー(電荷)が回収され、コンデンサ11が放電される。このとき、コンデンサ2iの電圧は、コンデンサ11からエネルギーを回収することでほぼV9に等しい値(V9と見なせる値)まで復帰する(回生される)。
【0180】
その後、スイッチ7の接続が、接点T9から接点T8、接点T8から接点T7、接点T7から接点T6、接点T6から接点T5、接点T5から接点T4、接点T4から接点T3、接点T3から接点T2、接点T2から接点T1へと切り替えられ、コンデンサ11からコンデンサ2a〜2hにエネルギーが回収される。最後に、スイッチ7の接続が、接点T1から接点T0へと切り替えられると、コンデンサ11が接地され、コンデンサ11に印加される電圧Vはグラウンドと同じ0となる。
【0181】
以上のようにして、コンデンサ11の電圧Vは、図71(d)に示すように、ほぼ階段状に電源電圧VHから0まで減少してゆく。
【0182】
なお、スイッチ7のステップダウンの最後(接点T1から接点T0への切り替え)においては、コンデンサ11に蓄えた電荷をコンデンサ2a〜2iに戻さずに全てグラウンドに落とすので、コンデンサ11に蓄えていた静電エネルギーの一部を捨てることになる。本実施形態では、コンデンサ11に印加される電圧Vは、最大VHであり、スイッチ7のステップダウンの最後におけるコンデンサ11の電圧Vは、V1、すなわちVH/10に等しい。本実施形態では電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間にコンデンサ11以外の回路から蓄電器3へのエネルギー供給が行われることがないので、スイッチ7のステップダウンの最後以外は、コンデンサ11から放電された電荷がほぼコンデンサ2a〜2iに回収される。したがって、コンデンサ11に蓄えられる電荷はCL・VH、スイッチ7のステップダウンの最後にコンデンサ11から放電される電荷はCL・VH/10である。したがって、コンデンサ11からコンデンサ2a〜2iに回収される電荷は9CL・VH/10である。それゆえ、静電エネルギーの回収効率は9/10=90%となる。
【0183】
このようにして、スイッチ7を接点T0から接点T10へ順次切り替えてコンデンサ11の印加電圧Vをステップアップし、その後、逆にスイッチ7を接点T10から接点T0へ順次切り替えてコンデンサ11の印加電圧Vをステップダウンすることにより、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iからコンデンサ11に静電エネルギーを供給し、かつ、コンデンサ11に蓄えた静電エネルギーをほぼ蓄電器3のコンデンサ2a〜2iに回収することができる。
【0184】
以上のように、本実施形態の容量性負荷駆動回路1Aは、主電源の電圧をn分割に分配して蓄電器3に蓄え、蓄電器3とコンデンサ11との接続の切り替えを行うことで、蓄電器3からコンデンサ11ヘ静電エネルギーを供給し、コンデンサ11から放電された静電エネルギーを蓄電器3へ回収する構成であるので、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となる。
【0185】
また、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iを端子電圧の大きさの順に切り替えるので、コンデンサ2a〜2iおよびコンデンサ11の突入電流を小さく抑えることができ、エネルギー損失を低減できる。また、コンデンサ11をパルス駆動することができる。また、スイッチ7の切り替え段数nを大きく取ることにより、消費電力をより一層低減できる。
【0186】
さらに、実施の形態1および1Aの容量性負荷駆動回路1および1Aは、直列接続された抵抗4による分圧器5を有する構成であるので、コンデンサ2a〜2iの端子電圧が所定の電圧V1〜V9に調整され、安定した繰り返し動作ができる。
【0187】
なお、実施の形態1および1Aでは、出力電圧Vがとり得る電圧値(0,V1〜V9,VH)の間隔、すなわちV1−0,V2−V1,V3−V2,V4−V3,V5−V4,V6−V5,V7−V6,V8−V7,V9−V8,VH−V9が、等しい値VH/10になるようにしていた。しかしながら、必ずしもこの間隔を等しくする必要はない。ただし、この間隔を等しくする方がエネルギー回収効率が高くなるという利点がある。また、この間隔を等しくする方がコンデンサ2a〜2iおよびコンデンサ11の突入電流をより一層小さく抑えることができる。
【0188】
また、本実施形態1および1Aでは、蓄電器3のコンデンサ数を10個にしていたが、この数は2個以上であれば、特に限定されるものではない。なお、蓄電器3のコンデンサ数をn個(nは2以上の整数)とした場合、静電エネルギーの回収効率はn/(n+1)となる。
【0189】
また、本実施形態1および1Aの容量性負荷駆動回路1および1Aでは、スイッチ7に、電源電圧VHが供給される接点T10を設けていたが、この接点T10を省くことも可能である。この場合、コンデンサ11の電圧Vは、9VH/10までしか上昇しないが、必要とするパルス波高値が9VH/10であれば、十分な駆動動作が可能である。
【0190】
また、本実施形態1および1Aの容量性負荷駆動回路1および1Aでは、一連のパルス発生の際にスイッチ7をT0からT10まで使用したが、必要とするパルス波高値がVHより低い場合、スイッチ7の一部の接点を使用せず、コンデンサ11の電圧Vの上昇を任意の電圧m・VH/10(mは2以上9以下の整数)で止めても、十分な駆動動作が可能である。例えば、必要とするパルス波高値が9VH/10の場合、スイッチ7の接点T0からT9までを使用するような形式であってもかまわない。同様に、コンデンサ11の電圧Vの上昇を任意の電圧m・VH/10(mは2以上9以下の整数)で止めても、十分な駆動動作が可能である。コンデンサ11の電圧Vの上昇を任意の電圧m・VH/10(mは2以上9以下の整数)で止めた場合、静電エネルギーの回収効率は(m−1)/mとなる。
【0191】
これらスイッチ7の一部の接点を使用しない方式においては、蓄電器3について一部にコンデンサ11へのエネルギーの供給とコンデンサ11からのエネルギー回収とのアンバランスが生じるコンデンサ(2a〜iのいずれか)が存在するため、分圧器5からのエネルギー供給などにより生じたアンバランスを是正する必要がある。
【0192】
実施の形態1Aは、容量性負荷であるコンデンサ11への電圧パルス印加において、電圧波形の立上げの際に蓄電器3からコンデンサ11にエネルギーを逐次供給し、逆に電圧波形立ち下げの際にコンデンサ11から蓄電器3にエネルギーを回収することにより系としての消費電力を削減する手法であり、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間に他の回路から蓄電器3にエネルギー供給が行われると、コンデンサ11から蓄電器3へのエネルギー回収効率が悪くなる。
【0193】
したがって、蓄電器3に生じたエネルギー供給とエネルギー回収とのアンバランスの是正はコンデンサ11への波形発生が行われていない期間に行うか、あるいはコンデンサ11への印加波形の時間に比べてゆっくりと行われる必要がある。
【0194】
また、本実施形態1および1Aの容量性負荷駆動回路1および1Aでは、ロータリー型のスイッチ7を用いていたが、切り替え手段として、並列に設けた11個の1接点スイッチを用いてもよい。あるいは、切り替え手段として、半導体スイッチを用いても良い。
【0195】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図4ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0196】
図4に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路20は、実施の形態1におけるスイッチ7に代えて、スイッチ(切り替え手段)17を用いている点以外は、実施の形態1の容量性負荷駆動回路1と同様の構成を備えている。
【0197】
スイッチ17は、接地された接点T0を省いた以外は、実施の形態1のロータリー型のスイッチ7と同様の構成を備えている。
【0198】
すなわち、実施の形態1のスイッチ7は、コンデンサ11の電圧Vを降下させる時(放電時)に、接点T1に接続してコンデンサ11の電圧Vを電圧V1にした後、接点T0に接続してコンデンサ11の電圧Vをグラウンドと同じ電位(0まで落としていた。
【0199】
これに対し、本実施形態のスイッチ17は、コンデンサ11の電圧Vを降下させる時(放電時)に、接点T1に接続してコンデンサ11の電圧Vを電圧V1にした後、次にコンデンサ11の充電を開始するまでの間、この接続状態を維持し、最も端子電圧の小さいコンデンサ2aとコンデンサ11との接続を維持するようになっている。
【0200】
次に、容量性負荷駆動回路20の動作について図5および図6に基づいて説明する。
【0201】
図5は、容量性負荷駆動回路20の動作を示すタイミングチャートである。図5(a)は、スイッチ17に入力される同期信号SYNCの波形を示す波形図である。図5(b)は、トランジスタ6の動作を制御するトランジスタ6の制御電圧Qの波形を示す波形図である。図5(c)は、コンデンサ11に印加されている電圧Vの波形を示す波形図である。
【0202】
図6は、図5に示すタイミングチャートの一部を拡大して示すと共に、スイッチ17の動作状態を示すものである。図6(a)は、図5(a)に示す同期信号SYNCの波形の一部を拡大して示す波形図である。図6(b)は、図4のスイッチ17の動作状態、すなわち接点T1〜T10のうちのいずれが接続されているかを示すタイミングチャートである。図6(c)は、図5(b)に示す制御電圧Qの波形の一部を拡大して示す波形図である。図6(d)は、図5(c)に示す電圧Vの波形の一部を拡大して示す波形図である。
【0203】
図3と図6との比較から分かるように、本実施形態の容量性負荷駆動回路20は、実施の形態1の容量性負荷駆動回路1においてスイッチ7が接点T0に接続されていた期間に、スイッチ17を接点T1に接続し、コンデンサ11の電圧VをV1とした点以外は、実施の形態1の容量性負荷駆動回路1と同様に動作する。
【0204】
すなわち、まず、コンデンサ11の駆動動作を開始する前の準備動作として、図5(b)に示すように制御電圧Qが高レベルとなり、トランジスタ6が導通状態(ON)にされる。これにより、所定の電圧V1〜V9が、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iに端子電圧として印加され、コンデンサ2a〜2iが充電される。このとき、スイッチ17は接点T1に接続されているので、コンデンサ11の電圧Vが電圧V1まで上昇する。
【0205】
次に、図5(a)に示すように同期信号SYNCがアクティブとなり、駆動動作が開始される。そして、スイッチ17が接点T1から接点T9へと順に切り替えられることによって、コンデンサ2b〜2iより順次、コンデンサ11に静電エネルギーが供給され、コンデンサ11の電圧Vが電圧V1から電圧V9まで上昇する。次に、スイッチ17の接続が、接点T9から接点T10へと切り替えられると、コンデンサ11が電源端子9に接続され、コンデンサ11に印加される電圧Vは、外部からの電源電圧VHと等しくなる。
【0206】
次に、スイッチ17の接点が接点T10に保持され、コンデンサ11の電圧Vが電源電圧VHに維持された後、スイッチ17が接点T10から接点T1へと順に切り替えられることによって、コンデンサ11よりコンデンサ2a〜2iに順次エネルギーが回収され、コンデンサ11の電圧Vが電圧VHから電圧V1まで下降する。
【0207】
そして、上述したように、その後、次にコンデンサ11の電圧Vを上昇させるまでは0でない電圧V1をコンデンサ11に印加し続ける。これにより、コンデンサ11に蓄えた静電エネルギーを捨てることなく保持することができる。
【0208】
上述のように、順次スイッチ17を切り替えて出力電圧Vをステップアップし、その後に逆にスイッチ17を切り替えて出力電圧Vを0でない電圧V1までステップダウンし、その後、次のステップアップまでこの電圧を維持すると、コンデンサ11に蓄えた静電エネルギーを捨てることなく保持することができる。その結果、コンデンサ11に蓄えた静電エネルギーをほぼ全て蓄電器3のコンデンサ2a〜2iに回収することができる。したがって、静電エネルギーの回収効率をさらに向上させることができる。
【0209】
本実施形態の容量性負荷駆動回路20では、ステップダウンの最後、すなわち、スイッチ17を接点T1に接続している時には、コンデンサ11に、電圧V1に対する静電エネルギーが蓄積されたまま残ることになる。そのため、スイッチ17を接点T1に接続している時に、コンデンサ11に蓄積された静電エネルギーを他の容量性負荷や回路に供給することができる。すなわち、図4に示すように、最も端子電圧の低いコンデンサ2aに接続されたエネルギー出力経路15を介して、コンデンサ11からコンデンサ2aに回収した静電エネルギーを、コンデンサ11とは異なる外部の素子に供給することができる。これによって、容量性負荷駆動回路20と外部の素子とを含む装置全体としてのエネルギー消費を削減できる。また、コンデンサ2aにおけるエネルギー供給とエネルギー回収とのアンバランスの是正を行うことができる。
【0210】
その結果、コンデンサ11に蓄積された静電エネルギーをほぼ全部再利用することができる。したがって、静電エネルギーの再利用効率をさらに向上させることができる。なお、コンデンサ11と異なる外部の素子としては、例えば電力を消費するメモリ回路などがある。
【0211】
〔実施の形態2A〕
本発明のさらに他の実施の形態について図72ないし図74に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1、1A、または2にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0212】
本実施形態の容量性負荷駆動回路20Aは、以下の相違点以外は、実施の形態2の容量性負荷駆動回路20と同様の構成を備えている。
【0213】
第1の相違点は、実施の形態2の容量性負荷駆動回路20では、分圧器5の9つの接続点(分圧点)a〜iと、接点T1〜T9に接続されたラインとを直接的に接続していたのに対し、本実施形態の容量性負荷駆動回路20Aは、図72に示すように、分圧器5の9つの接続点(分圧点)a〜iと、接点T1〜T9に接続されたラインとの間にそれぞれ、実施の形態1Aと同様のスイッチSW1〜SW9が設けられている点である。
【0214】
第2の相違点は、実施の形態2の容量性負荷駆動回路20が、トランジスタ6を備え、図5および図6に示すタイミングチャートに従って動作するのに対し、容量性負荷駆動回路20Aは、トランジスタ6に代えて実施の形態1Aと同様のスイッチ16Aを備え、図73または図74に示すタイミングチャートに従って動作する点である。
【0215】
図73は、容量性負荷駆動回路20Aの動作を示すタイミングチャートである。図73(a)は、スイッチ7に入力される同期信号SYNCの波形を示す波形図である。図73(b)は、スイッチ16Aの動作を制御する制御電圧Qの波形を示す波形図である。図73(c)は、コンデンサ11に印加されている電圧Vの波形を示す波形図である。
【0216】
図74は、容量性負荷駆動回路20Aの他の動作例を示すものである。図74(a)は、図73(a)に示す同期信号SYNCの波形の一部を拡大して示す波形図である。図74(b)は、図1のスイッチ7の動作状態、すなわち接点T0〜T10のうちのいずれが接続されているかを示すタイミングチャートである。図74(c)は、スイッチ16Aの動作を制御する制御電圧Qの波形の一部を拡大して示す波形図である。図74(d)は、図73(c)に示す電圧Vの波形の一部を拡大して示す波形図である。
【0217】
なお、図73の動作例と図74の動作例との違いは、前述した図70の動作例と図71の動作例との違いと同様である。
【0218】
本実施形態の容量性負荷駆動回路20Aでは、ステップダウンの最後、すなわち、スイッチ17を接点T1に接続している時には、コンデンサ11に、電圧V1に対する静電エネルギーが蓄積されたまま残ることになる。そのため、スイッチ17を接点T1に接続している時に、コンデンサ11に蓄積された静電エネルギーを他の容量性負荷や回路に供給することができる。すなわち、図72に示すように、最も端子電圧の低いコンデンサ2aに接続されたエネルギー出力経路15を介して、コンデンサ11からコンデンサ2aに回収した静電エネルギーを、コンデンサ11とは異なる外部の素子に供給することができる。これによって、容量性負荷駆動回路20と外部の素子とを含む装置全体としてのエネルギー消費を削減できる。また、コンデンサ2aにおけるエネルギー供給とエネルギー回収とのアンバランスの是正を行うことができる。
【0219】
その結果、コンデンサ11に蓄積された静電エネルギーをほぼ全部再利用することができる。したがって、静電エネルギーの再利用効率をさらに向上させることができる。なお、コンデンサ11と異なる外部の素子としては、例えば電力を消費するメモリ回路などがある。
【0220】
また、本実施形態では、前記の第1および第2の相違点により、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間に他の回路から蓄電器3にエネルギー供給が行われないようになっている。これにより、他の回路からのエネルギー供給によってコンデンサ11から蓄電器3へのエネルギー回収効率が悪くなることを回避できる。
【0221】
〔実施の形態3〕
次に、本発明のさらに他の実施形態を図7に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0222】
本実施形態の容量性負荷駆動回路は、図7に示すように、実施の形態1と同一の容量性負荷駆動回路1、あるいは図75に示す実施の形態1Aと同一の容量性負荷駆動回路1Aである。
【0223】
本実施形態では、容量性負荷駆動回路1または1Aの駆動対象となる容量性負荷の構成のみが実施の形態1および1Aと異なる。言い換えると、本実施形態は、容量性負荷駆動回路1または1Aの使用方法のみが実施の形態1および1Aと異なる。
【0224】
実施の形態1または1Aでは、駆動対象の容量性負荷がコンデンサ11であったのに対し、本実施形態では、駆動対象である容量性負荷を、図7および図75に示すように、インクジェットヘッド23に備えられた複数個の圧電素子21としたものである。また、インクジェットヘッド23には、圧電素子21に加えて、容量性負荷駆動回路1または1Aと圧電素子21との接続をON/OFFするアナログスイッチ22が備えられている。
【0225】
上記の使用方法によれば、誘電率が高く、かつ、キャパシタンスが大きい圧電素子21への充放電により、高い繰り返し周波数で駆動され、かつ、消費電力が大きいインクジェットヘッド23の駆動において、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となる。
【0226】
本実施形態の容量性負荷駆動回路1Aと、静電エネルギー回収を行わない従来の容量性負荷駆動回路とにおいて、インクジェットヘッド23を駆動したときの消費電力を見積もってみる。
【0227】
まず、インクジェットヘッド23が、YMCKの4色のヘッドを持ち、各色のヘッド毎に64個の圧電素子21およびインク吐出ノズルが設けられ、各色のヘッドのうち最大3色のヘッドが同時にONされるものと仮定する。すると、容量性負荷駆動回路に接続される圧電素子21の数は、最高で64×3個となる。したがって、個々の圧電素子21のキャパシタンスが80pFである場合、容量性負荷駆動回路に接続される圧電素子21のキャパシタンスの合計は、最大で、
80×64×3=0.0153μF
となる。
【0228】
そして、従来の容量性負荷駆動回路において、駆動電圧として、波高値20V、パルス幅が8μsの矩形波を圧電素子21に印加した場合、容量性負荷駆動回路から圧電素子21に流れる電流Iは、
I=0.0153μF×20V÷8μs=0.0384A
となる。したがって、従来の容量性負荷駆動回路は、1パルスあたりの消費電力Eが、
E=0.0384A×20V=0.768W
となる。
【0229】
これに対し、本実施形態の容量性負荷駆動回路1Aを用い、V1=2(V)、V2=4(V)、V3=6(V)、V4=8(V)、V5=10(V)、V6=12(V)、V7=14(V)、V8=16(V)、V9=18(V)、VH=20(V)とし、インクジェットヘッド23に従来の容量性負荷駆動回路を用いた場合と同様の動作を行わせた場合、1パルスあたりの消費電力が、0.077Wとなる。
【0230】
したがって、本実施形態の容量性負荷駆動回路1Aでは、消費電力が、従来の容量性負荷駆動回路の1/10でよい。この1/10は、最後にエネルギーを蓄電器3のコンデンサに戻さずにグランドに放出する分によるものであり、それ以外はコンデンサに戻されるために消費されない。
【0231】
本実施例の場合、十分な電力回収を行うためには、蓄電器3を構成するコンデンサ2のそれぞれの静電容量はインクジェットヘッド23の圧電素子21を最大数駆動したときの負荷容量(上記例では80×64×3=0.0153μF)よりも大きい必要がある。
【0232】
なお、本実施形態の装置では、コンデンサを用いて電力を回収しているため、LC共振を用いて電力を回収する回路と異なり、多数の容量性負荷(圧電素子21)を同時に駆動しても、1つの容量性負荷を駆動する場合と同等の動作特性(回生効率等)を得ることができる。
【0233】
〔実施の形態4〕
次に、本発明のさらに他の実施の形態を図8ないし図12に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0234】
図8に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路30は、蓄電器3と分圧器5との間にバッファ回路(緩衝増幅手段)31が介在している点、およびトランジスタ6に代えてトランジスタ16を備えている点以外は、上述の実施の形態1の容量性負荷駆動回路1と同様である。
【0235】
また、容量性負荷駆動回路30によって駆動される容量性負荷は、上記の実施の形態3と同様に、インクジェットヘッド23に備えられた圧電素子21である。また、インクジェットヘッド23には、上記の実施の形態3と同様に、圧電素子21に加えてアナログスイッチ22が備えられている。
【0236】
分圧器5は、10個の抵抗により抵抗4外部からの電源電圧VHを電圧V1〜V9に分配し、電圧V1〜V9を抵抗4間の接続点a〜iから出力する。
【0237】
バッファ回路31は、9個のエミッタフォロア32で構成されており、各エミッタフォロア32は、分圧器5の抵抗4間の接続点a〜iとコンデンサ2a〜2iとの間のそれぞれに挿入されている。
【0238】
バッファ回路31は、分圧器5の電圧V1〜V9を調整し、調整した電圧V1’〜V9を端子電圧としてコンデンサ2a〜2iに与えるものである。エミッタフォロア32は、NPN型のトランジスタ32aを用いて出力電圧V1〜V9を入力電圧V1’〜V9’より上昇させるNPN型のエミッタフォロアである。これにより、電圧V1〜V9、VHが正の電圧であり、圧電素子21を駆動し圧電素子21から電荷を回収した後における蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの電荷量が初期の電荷量より少なくなってしまう場合に、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧が所定の電圧V1’〜V9’より低くなることを回避でき、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧を所定の電圧V1’〜V9’に正確に調整することができる。
【0239】
また、バッファ回路31は、分圧器5内に流れる電流を増幅してコンデンサ2a〜2iに出力するようになっている。これにより、分圧器5の抵抗4に流れる電流量を低減でき、分圧器5で消費される電力を低減できる。その結果、消費電力をより一層低減できる。
【0240】
また、トランジスタ16は、蓄電器3および分圧器5への電力供給をON/OFFするためのスイッチとして用いられているものであり、実施の形態1〜3のトランジスタ6とは異なり、一定の期間(静電エネルギーの補給期間)のみ導通されている。
【0241】
次に、容量性負荷駆動回路30の動作について図9および図10に基づいて説明する。
【0242】
図9は、容量性負荷駆動回路30の動作を示すタイミングチャートである。図9(a)は、スイッチ17に入力される同期信号SYNCの波形を示す波形図である。図9(b)は、トランジスタ16の動作を制御するトランジスタ16の制御電圧Qの波形を示す波形図である。図9(c)は、コンデンサ11に印加されている電圧Vの波形を示す波形図である。
【0243】
図10は、図9に示すタイミングチャートの一部を拡大して示すと共に、スイッチ7の動作状態を示すものである。図10(a)は、図9(a)に示す同期信号SYNCの波形の一部を拡大して示す波形図である。図10(b)は、図8のスイッチ7の動作状態、すなわち接点T1〜T10のうちのいずれが接続されているかを示すタイミングチャートである。図10(c)は、図9(b)に示す制御電圧Qの波形の一部を拡大して示す波形図である。図10(d)は、図9(c)に示す電圧Vの波形の一部を拡大して示す波形図である。
【0244】
まず、コンデンサ11の駆動動作を開始する前の準備動作として、図9(b)に示すように制御電圧Qが高レベルとなり、トランジスタ16が導通状態(ON)にされる。これにより、バッファ回路31の出力電圧V1’〜V9’が、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iに端子電圧として印加される。その後、所定時間が経過すると、制御電圧Qが図9(b)に示すように低レベルとなり、トランジスタ16が切断状態(OFF)にされる。この所定期間は、コンデンサ2a〜2iの充電が十分に行える時間に設定される。
【0245】
トランジスタ16が切断状態(OFF)にされた後、図9(a)に示すように同期信号SYNCがアクティブとなり、駆動動作が開始される。
【0246】
駆動動作は、実施の形態1と同様である。すなわち、まず、スイッチ17が接点T0から接点T9へと順に切り替えられることによって、コンデンサ2a〜2iより順次、コンデンサ11に静電エネルギーが供給され、コンデンサ11の電圧Vが0から電圧V9’まで上昇する。次に、スイッチ17の接続が、接点T9から接点T10へと切り替えられると、コンデンサ11が電源端子9に接続され、コンデンサ11に印加される電圧Vは、外部からの電源電圧VHと等しくなる。
【0247】
次に、同期信号SYNCのパルス幅tより長い期間、スイッチ17の接点が接点T10に保持され、コンデンサ11の電圧Vが電源電圧VHに維持された後、スイッチ17が接点T10から接点T1へと順に切り替えられることによって、コンデンサ11よりコンデンサ2a〜2iに順次エネルギーが回収され、コンデンサ11の電圧Vが電源電圧VHから電圧V1’まで下降する。
【0248】
その後、スイッチ7の接続が接点T1から接点T0へと切り替えられることにより、コンデンサ11が接地され、コンデンサ11に印加される電圧Vはグラウンドと同じ0となる。
【0249】
その後、トランジスタ16が所定期間のみ導通状態(ON)にされた後、次のコンデンサ11の駆動動作に移行する。
【0250】
以上のようにして、トランジスタ16は、コンデンサ11に駆動電圧が印加されていない期間、すなわちコンデンサ11が接地されている期間に、所定の時間だけ導通状態(ON)となる。これにより、所定の時間だけ電源電圧VHを分圧器5に印加することになるので、消費電力をさらに低減できる。
【0251】
なお、上述の実施形態における容量性負荷駆動回路30では、正の電圧の降下に対応すべく、NPN型のトランジスタ32aを用いて入力電圧V1〜V9より出力電圧V1’〜V9’を上昇させるNPN型のエミッタフォロア32を備えていた。
【0252】
しかしながら、負の電圧の降下(絶対値の減少)が起こる場合、NPN型のエミッタフォロア32に代えて、図11に示すように、PNP型のトランジスタ33aを用いて出力電圧を入力電圧より下降させるPNP型のエミッタフォロア33を用いることが好ましい。これにより、電圧V1〜V9、VHが負の電圧であり、圧電素子21を駆動し圧電素子21から電荷を回収した後における蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの電荷量が初期の電荷量より少なくなってしまう場合に、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧の大きさが所定の電圧V1’〜V9’の大きさより小さくなることを回避でき、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧を所定の電圧V1’〜V9’に正確に調整することができる。
【0253】
また、正の電圧Vを圧電素子21に出力する場合であっても、機械の振動による圧電効果や、負荷の誘導成分の影響等によってコンデンサ2a〜2iの電荷量が初期の電荷量より多くなってしまう場合にも、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧が所定の電圧V1’〜V9’より高くなることを回避するために、NPN型のエミッタフォロア32に代えて、図11に示すPNP型のエミッタフォロア33を用いるとよい。
【0254】
また、回路を動作させたときに、コンデンサ2a〜2iの端子電圧が所定の電圧V1’〜V9’より高めになるか低めになるか分からないときには、NPN型のエミッタフォロア32に代えて、図12に示すトーテムポール型のエミッタフォロア34を用いることが好ましい。この構成では、各チャンネルの入力側にスイッチ16Bを設けることにより、予期しない迷路が構成され、ベース電流が流れ回路が誤動作すること確実に防止することができる。
【0255】
本実施形態の容量性負荷駆動回路30は、上述のように、電圧調整機能を有する緩衝増幅手段(バッファ手段)であるエミッタフォロア32を備えているので、分圧器5において調整される端子電圧(V1’〜V9’)をより正確に得ることができるとともに、分圧器5において消費される消費電力を低減できる。
【0256】
また、本実施形態の容量性負荷駆動回路30は、スイッチング部であるトランジスタ16が所定の期間のみ電源電圧VHを分圧器5に印加するようになっているので、消費電力をさらに低減できる。
【0257】
〔実施の形態4A〕
次に、本発明のさらに他の実施の形態を図76に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1、1Aまたは3にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0258】
図76(a)に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路30Aは、蓄電器3と分圧器5との間にバッファ回路(緩衝増幅手段)31が介在している点以外は、上述の実施の形態1Aの容量性負荷駆動回路1Aと同様である。
【0259】
また、容量性負荷駆動回路30Aによって駆動される容量性負荷は、上記の実施の形態3・4と同様に、インクジェットヘッド23に備えられた圧電素子21である。また、インクジェットヘッド23には、上記の実施の形態3・4と同様に、圧電素子21に加えてアナログスイッチ22が備えられている。
【0260】
分圧器5は、10個の抵抗により抵抗4外部からの電源電圧VHを電圧V1〜V9に分配し、電圧V1〜V9を抵抗4間の接続点a〜iから出力する。
【0261】
バッファ回路31は、9個のプッシュプル35で構成されており、各プッシュプル35は、分圧器5の抵抗4間の接続点a〜iとコンデンサ2a〜2iとの間のそれぞれに挿入されている。
【0262】
バッファ回路31は、分圧器5の電圧V1〜V9を調整し、調整した電圧V1’〜V9を端子電圧としてコンデンサ2a〜2iに与えるものである。プッシュプル35は、図76(b)に示すように、NPN型のトランジスタ35a、PNP型のトランジスタ35bを用いて出力電圧V1〜V9を入力電圧V1’〜V9’に合せるエミッタフォロアである。これにより、電圧V1〜V9、VHが正の電圧であり、圧電素子21を駆動し圧電素子21から電荷を回収した後における蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの電荷量が初期の電荷量より少なくなってしまう場合に、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧が所定の電圧V1’〜V9’より低くなることを回避でき、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧を所定の電圧V1’〜V9’に正確に調整することができる。逆に圧電素子21を駆動し圧電素子21から電荷を回収した後における蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの電荷量が初期の電荷量より多くなってしまう場合に、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧が所定の電圧V1’〜V9’より高くなることを回避でき、蓄電器3のコンデンサ2a〜2iの端子電圧を所定の電圧V1’〜V9’に正確に調整することができる。
【0263】
また、バッファ回路31は、分圧器5内に流れる電流を増幅してコンデンサ2a〜2iに出力するようになっている。これにより、分圧器5の抵抗4に流れる電流量を低減でき、分圧器5で消費される電力を低減できる。その結果、消費電力をより一層低減できる。
【0264】
スイッチ16Aは、図9(b)および図10(b)に波形を示す制御電圧Qによって動作が制御される。
【0265】
駆動動作は、実施の形態1Aと同様である。すなわち、まず、スイッチ17が接点T0から接点T9へと順に切り替えられることによって、コンデンサ2a〜2iより順次、コンデンサ11に静電エネルギーが供給され、コンデンサ11の電圧Vが0から電圧V9’まで上昇する。次に、スイッチ17の接続が、接点T9から接点T10へと切り替えられると、コンデンサ11が電源端子9に接続され、コンデンサ11に印加される電圧Vは、外部からの電源電圧VHと等しくなる。
【0266】
次に、同期信号SYNCのパルス幅tより長い期間、スイッチ17の接点が接点T10に保持され、コンデンサ11の電圧Vが電源電圧VHに維持された後、スイッチ17が接点T10から接点T1へと順に切り替えられることによって、コンデンサ11よりコンデンサ2a〜2iに順次エネルギーが回収され、コンデンサ11の電圧Vが電源電圧VHから電圧V1’まで下降する。
【0267】
その後、スイッチ7の接続が接点T1から接点T0へと切り替えられることにより、コンデンサ11が接地され、コンデンサ11に印加される電圧Vはグラウンドと同じ0となる。
【0268】
本実施形態の容量性負荷駆動回路30Aは、上述のように、電圧調整機能を有する緩衝増幅手段(バッファ手段)であるプッシュプル35を備えているので、分圧器5において調整される端子電圧(V1’〜V9’)をより正確に得ることができるとともに、分圧器5において消費される消費電力を低減できる。
【0269】
〔実施の形態5〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図13および図14に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0270】
図13に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路40には、実施の形態1の容量性負荷駆動回路1と同様に、コンデンサ2a〜2iからなる蓄電器3と、例えば1kΩの抵抗4からなる分圧器5とが備えられている。
【0271】
本実施形態の容量性負荷駆動回路40は、容量性負荷であるコンデンサ11A・11B・11Cに対して互いに異なる位相の電圧VA・VB・VCをそれぞれ印加してコンデンサ11A・11B・11Cを充放電させるものである。すなわち、駆動対象の容量性負荷は、3つの相に分けられており、A相の電圧VAが印加されるコンデンサ11Aと、B相の電圧VBが印加されるコンデンサ11Bと、C相の電圧VCが印加されるコンデンサ11Cとからなっている。
【0272】
本実施形態においては、上述の実施形態とは異なり、蓄電器3および分圧器5からコンデンサ11A・11B・11Cに電圧VA・VB・VCをそれぞれ出力する出力線37・38・39は、その途中で、互いに異なる2種類の経路、すなわち、蓄電器3よりコンデンサ11A・11B・11Cヘ静電エネルギーを供給する経路である充電経路(エネルギー供給経路)37a・38a・39aと、コンデンサ11A・11B・11Cより蓄電器3ヘ静電エネルギーを回収する経路である放電経路(エネルギー回収経路)37b・38b・39bとに分離されている。
【0273】
充電経路37a・38a・39aには、蓄電器3からコンデンサ11A・11B・11Cヘ向かう方向に電流の方向を規制する整流ダイオード(整流手段)65が設けられ、放電経路37b・38b・39bには、コンデンサ11A・11B・11Cから蓄電器3ヘ向かう方向に電流の方向を規制する整流ダイオード(整流手段)66が設けられている。これらにより、蓄電器3からの電圧は、充電経路37a・38a・39aを介して容量性負荷に印加され、コンデンサ11A・11B・11Cから放電された静電エネルギーは放電経路37b・38b・39bを介して蓄電器3へと戻される。
【0274】
そして、本実施形態の容量性負荷駆動回路40には、実施の形態1におけるロータリー型のスイッチ7の代わりに、スイッチとして用いるトランジスタ67A・67B・67C・68A・68B・68Cと、それぞれ9個のトランジスタ41〜49および9個のトランジスタ51〜59からなるスイッチング回路(切り替え手段)50・60と、トランジスタ61A・61B・61Cからなる選択回路(選択手段)62と、トランジスタ63A・63B・63Cからなる選択回路(選択手段)64とが備えられている。
【0275】
トランジスタ67A・67B・67Cは、実施の形態1におけるスイッチ7の接点T10に相当するものである。トランジスタ67A・67B・67Cは、電源端子9からの電源電圧VHを出力線37・38・39を介してコンデンサ11A・11B・11Cに供給するものであり、実施の形態1におけるスイッチ7の接点T10が接続されている期間に相当する期間のみ導通状態となる。なお、トランジスタ67A・67B・67Cには、トランジスタ67A・67B・67Cを保護するのためのダイオード69が設けられている。
【0276】
トランジスタ68A・68B・68Cは、実施の形態1におけるスイッチ7の接点T0に相当する。トランジスタ68A・68B・68Cは、出力線37・38・39を介してコンデンサ11A・11B・11Cを接地するものであり、実施の形態1におけるスイッチ7の接点T0が接続されている期間に相当する期間のみ導通状態となる。なお、トランジスタ68A・68B・68Cには、トランジスタ68A・68B・68Cを保護するためのダイオード73が設けられている。
【0277】
スイッチング回路50の9個のトランジスタ41・42・43・44・45・46・47・48・49およびスイッチング回路60の9個のトランジスタ51・52・53・54・55・56・57・58・59はそれぞれ、実施の形態1におけるスイッチ7の接点T1・T2・T3・T4・T5・T6・T7・T8・T9に相当するものである。
【0278】
スイッチング回路50は、充電経路37a・38a・39aに設けられている。また、トランジスタ41・42・43・44・45・46・47・48・49は、一端が分圧器5を介してコンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iにそれぞれ接続されている一方、他端が後述するトランジスタ61A・61B・61Cに共通に接続されている。トランジスタ41・42・43・44・45・46・47・48・49はそれぞれ、実施の形態1におけるスイッチ7の接点T1・T2・T3・T4・T5・T6・T7・T8・T9が接続されている期間のうちの昇圧期間(充電期間)に相当する期間のみ導通状態となる。
【0279】
スイッチング回路60は、放電経路37b・38b・39bに設けられている。また、トランジスタ51・52・53・54・55・56・57・58・59は、一端が分圧器5を介してコンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iにそれぞれ接続されている一方、他端が後述するトランジスタ63A・63B・63Cに共通に接続されている。トランジスタ51・52・53・54・55・56・57・58・59はそれぞれ、実施の形態1におけるスイッチ7の接点T1・T2・T3・T4・T5・T6・T7・T8・T9が接続されている期間のうちの降圧期間(放電期間)に相当する期間のみ導通状態となる。
【0280】
したがって、トランジスタ68A(または68Bまたは68C)、トランジスタ67A(または67Bまたは67C)、トランジスタ41・42・43・44・45・46・47・48・49、およびトランジスタ51・52・53・54・55・56・57・58・59は、1つのみが選択的に導通状態となる。そして、これらは、トランジスタ68A(または68Bまたは68C)、41、42、43、44、45、46、47、48、49、67A(または67Bまたは67C)、59、58、57、56、55、54、53、52、51、68A(または68Bまたは68C)という順序で選択される。これにより、実施の形態1と同様にして、図14(a)〜(c)に示すようなほぼ台形の階段状パルス電圧が電圧VA・VB・VCとしてコンデンサ11A・11B・11Cに印加される。また、実施の形態1と同様にして、電圧VA・VB・VCの上昇時には、コンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iからコンデンサ11A・11B・11Cへ静電エネルギーが供給され、電圧VA・VB・VCの降下時には、コンデンサ11A・11B・11Cからコンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iへ静電エネルギーが回収される。
【0281】
選択回路62は、内部のトランジスタ61A・61B・61Cの接続状態を切り替えることによりコンデンサ11A〜11Cのうちの1つに対して選択的に充電を行うためのものであり、充電経路37a・38a・39aに備えられている。充電経路37a・38a・39aに備えられたトランジスタ61A・61B・61Cをスイッチとして用いることによって、スイッチング回路50の出力電圧をコンデンサ11A〜11Cのいずれに印加するか選択することができ、そのことにより、各コンデンサ11A〜11Cを異なるタイミングで充電することができる。
【0282】
選択回路64は、内部のトランジスタ63A・63B・63Cの接続状態を切り替えることによりコンデンサ11A〜11Cのうちの1つに対して選択的に充電を行わせるためのものであり、放電経路37b・38b・39bに備えられている。放電経路37b・38b・39bに備えられたトランジスタ63A・63B・63Cをスイッチとして用いることによって、スイッチング回路60の出力電圧をコンデンサ11A〜11Cのいずれに印加するか選択することができ、そのことにより、各コンデンサ11A〜11Cを異なるタイミングで放電させることができる。
【0283】
このような動作の例を示したのが図14(a)(b)(c)のタイミングチャートである。それぞれの図は、それぞれのコンデンサ11A・11B・11Cに印加される電圧VA・VB・VCの時間変化を表している。充電経路37a・38a・39aに備えられたトランジスタ61A・61B・61Cと、放電経路37b・38b・39bに備えられたトランジスタ63A・63B・63Cとをスイッチとして用いてON−OFFタイミングを調整することにより、図14に示されているようなタイミングでコンデンサ11A〜11Cを駆動することができる。
【0284】
本実施形態の容量性負荷駆動回路40は、以上のように、実施の形態1と同様にして、コンデンサ11A・11B・11Cに蓄積した静電エネルギーの大部分をコンデンサ2a・2b・2c・2d・2e・2f・2g・2h・2iに回収・再利用できる。
【0285】
また、本実施形態の容量性負荷駆動回路40は、複数のコンデンサ11A〜11Cを選択する選択回路62・64を有しているので、複数のコンデンサ11A〜11Cに異なるタイミングで電圧を印加することができる。
【0286】
また、本実施形態の容量性負荷駆動回路40は、さらに充電経路37a・38a・39aと放電経路37b・38b・39bとが分離された構成である。
【0287】
これにより、充電とのタイミングと放電のタイミングとを独立して制御でき、図14に示すように、あるコンデンサ11Aの放電期間中に他のコンデンサ11Bの充電を行うことが可能となる。また、充電経路37a・38a・39aと放電経路37b・38b・39bとを分離することにより、充電特性と放電特性とを個別に最適化することができる。
【0288】
〔実施の形態5A〕
本発明のさらに他の実施の形態について図77に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1、1A、または5にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0289】
本実施形態の容量性負荷駆動回路40Aは、以下の相違点以外は、実施の形態2の容量性負荷駆動回路40と同様の構成を備えている。
【0290】
第1の相違点は、実施の形態5の容量性負荷駆動回路40では、分圧器5の9つの接続点(分圧点)a〜iと、接点T1〜T9に接続されたラインとを直接的に接続していたのに対し、本実施形態の容量性負荷駆動回路40Aは、図77に示すように、分圧器5の9つの接続点(分圧点)a〜iと、接点T1〜T9に接続されたラインとの間にそれぞれ、実施の形態1Aと同様のスイッチSW1〜SW9が設けられている点である。
【0291】
第2の相違点は、容量性負荷駆動回路40Aは、実施の形態1Aと同様のスイッチ16Aを備える点である。
【0292】
本実施形態では、これら第1および第2の相違点により、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間に他の回路から蓄電器3にエネルギー供給が行われないようになっている。これにより、他の回路からのエネルギー供給によってコンデンサ11から蓄電器3へのエネルギー回収効率が悪くなることを回避できる。
【0293】
〔実施の形態6〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図15および図16に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1または5にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0294】
本実施形態の容量性負荷駆動回路70は、実施の形態5の容量性負荷駆動回路40に対し、スイッチング回路50・60における選択回路62・64側に、整流ダイオード(整流手段)71・72を設けた点のみが実施の形態5の容量性負荷駆動回路40と異なっている。
【0295】
整流ダイオード71は、スイッチング回路50のトランジスタ41〜49の各々における選択回路62側に設けられている。また、整流ダイオード72は、スイッチング回路60のトランジスタ51〜59の各々における選択回路64側に設けられている。
【0296】
このように整流ダイオード71・72を設けたことで、スイッチング回路50・60のON/OFF動作の遅延などにより、スイッチング回路50またはスイッチング回路60において複数のトランジスタ(41〜49、51〜59)が導通状態になってしまった場合でも、短絡電流が流れることがなく、回路を破損することを防止できる。
【0297】
本実施形態においても、上述の実施の形態5と同様に、駆動対象の容量性負荷は、3つの相に分けられており、A相の電圧VAが印加されるコンデンサ11Aと、B相の電圧VBが印加されるコンデンサ11Bと、C相の電圧VCが印加されるコンデンサ11Cとからなっている。
【0298】
また、本実施形態においても、上述の実施の形態5と同様に、充電経路37a・38a・39aに備えられたトランジスタ61A・61B・61Cと、放電経路37b・38b・39bに備えられたトランジスタ63A・63B・63Cとをスイッチとして用いることによって、スイッチング回路60の出力電圧をコンデンサ11A〜11Cのいずれに印加するか選択することができる。そのことにより、各コンデンサ11A〜11Cを異なるタイミングで充電および放電させることができる。
【0299】
このような動作の例を示したのが図16(a)(b)(c)のタイミングチャートである。それぞれの図は、それぞれのコンデンサ11A・11B・11Cに印加される電圧VA・VB・VCの時間変化を表している。充電経路37a・38a・39aに備えられたトランジスタ61A・61B・61Cと、放電経路37b・38b・39bに備えられたトランジスタ63A・63B・63Cとをスイッチとして用いてON−OFFタイミングを調整することにより、図16に示されているようなタイミングでコンデンサ11A〜11Cを駆動することができる。
【0300】
〔実施の形態6A〕
本発明のさらに他の実施の形態について図78に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1、1A、または6にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0301】
本実施形態の容量性負荷駆動回路70Aは、以下の相違点以外は、実施の形態2の容量性負荷駆動回路70と同様の構成を備えている。
【0302】
第1の相違点は、実施の形態6の容量性負荷駆動回路70では、分圧器5の9つの接続点(分圧点)a〜iと、接点T1〜T9に接続されたラインとを直接的に接続していたのに対し、本実施形態の容量性負荷駆動回路70Aは、図78に示すように、分圧器5の9つの接続点(分圧点)a〜iと、接点T1〜T9に接続されたラインとの間にそれぞれ、実施の形態1Aと同様のスイッチSW1〜SW9が設けられている点である。
【0303】
第2の相違点は、容量性負荷駆動回路70Aは、実施の形態1Aと同様のスイッチ16Aを備える点である。
【0304】
本実施形態では、これら第1および第2の相違点により、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間に他の回路から蓄電器3にエネルギー供給が行われないようになっている。これにより、他の回路からのエネルギー供給によってコンデンサ11から蓄電器3へのエネルギー回収効率が悪くなることを回避できる。
【0305】
〔実施の形態7〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図17ないし図19に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0306】
実施の形態1の容量性負荷駆動回路1が、抵抗4を用いて電圧を分割して設定する分圧器5を備える構成であったのに対して、図17に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路81は、分圧された電圧を安定化させるための定電圧手段(定電圧素子)としてのツェナーダイオード84A〜84Eを用いて電圧を分割して設定する分圧器85を備えている点が実施の形態1の容量性負荷駆動回路1と異なっている。
【0307】
また、本実施形態の容量性負荷駆動回路81は、コンデンサ2a〜2iを並列接続した構成の蓄電器3に代えて、コンデンサ(エネルギー蓄積素子)82A〜82Eを直列接続した構成の蓄電器83を備えている点も、実施の形態1の容量性負荷駆動回路1と異なる。
【0308】
また、本実施形態の容量性負荷駆動回路81は、ロータリー型のスイッチ7に代えて、複数のスイッチ91〜96からなるスイッチング回路(切り替え手段)87を備えている点も実施の形態1の容量性負荷駆動回路1と異なっている。
【0309】
分圧器85は、電源端子9とグラウンドの間に直列接続された複数の定電圧素子としてのツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eにより、電源電圧VHを所定の電圧V1〜V4に分圧し、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84E間の接続点から蓄電器83に出力するものである。
【0310】
蓄電器83は、グラウンドと電源端子9との間にコンデンサ82A・82B・82C・82D・82Eをグラウンド側からこの順で直列接続した構成となっている。そして、コンデンサ82Aの一端は接地され、コンデンサ82Aの他端には分圧器85から電圧V1が印加されている。また、コンデンサ82Bの両端には電圧V1および電圧V2が、コンデンサ82Cの両端には電圧V2および電圧V3が、コンデンサ82Dの両端には電圧V3および電圧V4がそれぞれ印加されている。また、コンデンサ82Eの一端には電源端子9から電源電圧VHが供給され、コンデンサ82Eの他端には分圧器85から電圧V4が印加されている。
【0311】
スイッチング回路87の6個のスイッチ91〜96は、基本的には、スイッチ7の接点T0〜T10に相当するものである。すなわち、スイッチング回路87は、接地されたスイッチ91、蓄電器83および分圧器85から電圧V1・V2・V3・V4がそれぞれ印加されるスイッチ92〜95、および電源端子9に接続されたスイッチ96のうちの1つを選択してON状態にするものである。そして、初期状態ではスイッチ91が選択されている。そして、次に、スイッチ92・9S(4)・95がこの順で選択されることによって、コンデンサ82A〜82Eより順次、コンデンサ11に静電エネルギーが供給され、コンデンサ11の電圧Vが0から電圧V4まで上昇する。次に、スイッチ96が選択されると、コンデンサ11が電源端子9に接続され、コンデンサ11に印加される電圧Vは、外部からの電源電圧VHと等しくなる。
【0312】
次に、所定期間、スイッチ96のON状態が維持され、コンデンサ11の電圧Vが電源電圧VHに維持された後、スイッチ95・94・9S(2)がこの順で選択されることによって、コンデンサ11よりコンデンサ82A〜82Eに順次エネルギーが回収され、コンデンサ11の電圧Vが電源電圧VHから電圧V1まで下降する。
【0313】
その後、スイッチ91が選択されることにより、コンデンサ11が接地され、コンデンサ11に印加される電圧Vはグラウンドと同じ0となる。
【0314】
次に、分圧器85の動作原理を、図18を用いて説明する。
【0315】
図18(a)に示すように、ツェナーダイオード84Bのカソード側の端子電圧V2に対して出力端子電圧(スイッチ93の電位)P2を上昇させる方向に、コンデンサ11からの電流の流入が起きると、コンデンサ11からの電流の流出入に応じてコンデンサ82A・82Bへ負荷電流が流入し吸収を図る。それと並行して、ツェナーダイオード84A・84Bの動作点が深くなり、インピーダンスが低下し、コンデンサ11よりツェナーダイオード84A・84Bを介して接地線ヘ電流が流入し出力端子電圧P2はツェナー電圧V2を維持する。
【0316】
また、図18(b)に示すように、ツェナーダイオード84Cのアノード側の端子電圧V2に対して出力端子電圧P2を降下させる方向のコンデンサ11からの電流の流出入が起きると、コンデンサ11からの電流の流出入に応じてコンデンサ82C・82D・82Eからコンデンサ11へ電流が流れ、吸収を図る。それと並行して、ツェナーダイオード84C・84D・84Eの動作点が深くなり、インピーダンスが低下し、電源線よりツェナーダイオード84C・84D・84Eを介してコンデンサ11へ電流が流入し、出力端子電圧P2はツェナー電圧V2を維持する。
【0317】
このように出力端子電圧P2を上昇もしくは降下させようとするコンデンサ11からの電流の流出入をツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eが吸収する。厳密に言えば動作点の移動に伴いツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eのツェナー電圧は変化する。しかしながら、その変化量は僅かであり、実用上無視できる。したがって、出力端子電圧P1〜P4、すなわちコンデンサ82A〜82Eの端子電圧を一定に維持することができる。
【0318】
なお、本実施形態の容量性負荷駆動回路81に対し、図19に示す容量性負荷駆動回路100のように、グラウンドと電源端子9との間にコンデンサ101A・101B・101C・101D・101Eをグラウンド側からこの順で直列接続した構成の緩衝回路102を設けてもよい。これにより、コンデンサ11から分圧器85への流入電流、あるいは分圧器85からコンデンサ11への流出電流をバッファして吸収することができる。その結果、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eの負担を低減できる。
【0319】
さらに、図19に示す容量性負荷駆動回路100のように、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84E間の接続点とコンデンサ82A・82B・82C・82D・82E間の接続点との間に、電流制限用抵抗103・104・105・106を挿入し、変動調整部107を構成してもよい。これにより、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eに作用する負荷をさらに低減できる。
【0320】
〔実施の形態6A〕
本発明のさらに他の実施の形態について図79および図80に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1または7にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0321】
本実施形態の容量性負荷駆動回路81Aは、以下の相違点以外は、実施の形態2の容量性負荷駆動回路81と同様の構成を備えている。
【0322】
相違点は、実施の形態6の容量性負荷駆動回路70では、分圧器5の6つの接続点とスイッチ91〜96とを直接的に接続していたのに対し、本実施形態の容量性負荷駆動回路70Aは、図79および図80に示すように、分圧器5の6つの接続点のうち接地されているものを除く5つの接続点とスイッチ92〜96との間にそれぞれ、実施の形態1AのスイッチSW1〜SW9と同様のスイッチSW12〜SW16が設けられている点である。
【0323】
本実施形態では、これら第1および第2の相違点により、電圧パルスの立上げから立ち下げまでの間に他の回路から蓄電器3にエネルギー供給が行われないようになっている。これにより、他の回路からのエネルギー供給によってコンデンサ11から蓄電器3へのエネルギー回収効率が悪くなることを回避できる。
【0324】
〔実施の形態8〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図20に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1または7にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0325】
上述の実施の形態7の構成では、電源電圧やツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eのツェナー電圧のバラツキ、経時変化、温度変動などにより、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eのツェナー電圧の合計に対して電源電圧VHが大きくなると、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eを焼損する恐れがある。また、上述の実施の形態7の構成では、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eのツェナー電圧の合計に対して電源電圧VHが小さくなると各コンデンサ82A・82B・82C・82D・82Eの端子電圧が不確定となる恐れがある。
【0326】
本実施形態では、このような問題を解決する容量性負荷駆動回路について説明する。
【0327】
図20に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路110は、実施の形態7の容量性負荷駆動回路81におけるツェナーダイオード84Eに代えて、プルアップ抵抗108を用い、ツェナーダイオード84Dの端子をプルアップ抵抗108で電源線97にプルアップしたものである。すなわち、容量性負荷駆動回路110は、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eのツェナー電圧の合計と電源電圧VHとの差を、最も電源線97に近い段(最上段)で吸収させたものである。この構成では、電源線97よりプルアップ抵抗108を介してツェナーダイオード84A・84B・84C・84Dにバイアス電流が与えられ、コンデンサ82A・82B・82C・82D・82Eの端子電圧が安定化する。ツェナーダイオード84A・84B・84C・84Dのツェナー電圧の合計は、電源電圧VHより小さくなるように設定されている。
【0328】
また、本実施形態の容量性負荷駆動回路110においても、図19の容量性負荷駆動回路100と同様に、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D、プルアップ抵抗108間の接続点と、コンデンサ82A・82B・82C・82D・82E間の接続点との間に、電流制限用抵抗103・104・105・106を挿入し、変動調整部107を構成している。これにより、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84Dに作用する負荷をさらに低減できる。
【0329】
なお、プルアップ抵抗108を設ける代わりに、実施の形態7の容量性負荷駆動回路81におけるツェナーダイオード84Aに代えて、プルダウン抵抗を用い、ツェナーダイオード84Dの端子をプルダウン抵抗で接地線98にプルダウンしてもよい。これによっても、プルアップした場合と同様の効果が得られ、コンデンサ82A・82B・82C・82D・82Eの端子電圧が安定化する。
【0330】
〔実施の形態9〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図21に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1または7にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0331】
本実施形態では、実施の形態8で述べたツェナーダイオード84A・84B・84C・84D・84Eのツェナー電圧の合計と電源電圧VHとの差に関わる問題を解決する容量性負荷駆動回路について説明する。
【0332】
本実施形態の容量性負荷駆動回路120は、図21に示すように、電源電圧VHとツェナーダイオード84A・84B・84C・84Dのツェナー電圧の合計との差を中間段で吸収するように、ツェナーダイオード(84A・84B・84D・84E)を電源線97側(84D・84E)と接地線98側(84A・84B)とに分割し、電源線97側のツェナーダイオード84D・84Eをプルアップ抵抗111で電源線97にプルアップし、接地線98側のツェナーダイオード84A・84Bをプルダウン抵抗112で接地線98にプルダウンし、バイアス電流を与えている。ツェナーダイオード84A・84B・84D・84Eのツェナー電圧の合計は、電源電圧VHより小さくなるように設定されている。
【0333】
容量性負荷駆動回路120は、電源線97と接地線98との間に並列接続された第1の分圧器113Aおよび第2の分圧器113Bからなる分圧器113を備えている。第1の分圧器113Aは、電源線97と接地線98との間に直列接続されたツェナーダイオード84A・84Bを含んでおり、電源線97との間にプルアップ抵抗111が挿入されている。第2の分圧器113Bは、電源線97と接地線98との間に直列接続されたツェナーダイオード84D・84Eを含んでおり、ツェナーダイオード84D・84Eと接地線98との間にプルダウン抵抗112が挿入されている。
【0334】
このようにして、電源電圧VHとツェナーダイオード84A・84B・84C・84Dのツェナー電圧の合計との差を中間段で吸収することにより、電源線97近傍及び接地線98近傍の端子の電圧の安定性を保つことができる。
【0335】
また、本実施形態の容量性負荷駆動回路120においても、図19の容量性負荷駆動回路100と同様に、ツェナーダイオード84A・84B・84C・84D、プルアップ抵抗111、プルダウン抵抗112間の接続点と、コンデンサ82A・82B・82C・82D・82E間の接続点との間に、電流制限用抵抗103・104・105・106を挿入し、変動調整部107を構成している。これにより、ツェナーダイオード84A・84B・84D・84Eに作用する負荷をさらに低減できる。
【0336】
〔実施の形態10〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図22に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1、7、または9にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0337】
実施の形態7〜9のように、コンデンサ82A〜82Eを直列接続した構成の蓄電器83では、スイッチ91〜96のいずれが導通されたときにも、コンデンサ11からの電流の流出入は全てのコンデンサ82A〜82Eに影響してしまうという問題がある。
【0338】
そこで、本実施形態では、この問題を解決する容量性負荷駆動回路について図22に基づいて説明する。
【0339】
図22に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路130は、蓄電器83に代えて蓄電器125を備えている点以外は、実施の形態9の容量性負荷駆動回路120と同様の構成を備えている。
【0340】
蓄電器125では、コンデンサ(エネルギー蓄積素子)121〜124の一方の端子を電源線97または接地線98に接続し、コンデンサ121〜124の他方の端子を、電源電圧VHを分圧した電圧V1〜V4が印加されるスイッチ92〜95に接続している。より詳細には、コンデンサ121は、接地線98とスイッチ92との間に介在しており、コンデンサ122は、接地線98とスイッチ93との間に介在しており、コンデンサ123は、電源線97とスイッチ94との間に介在しており、コンデンサ124は、電源線97とスイッチ95との間に介在している。
【0341】
これにより、スイッチ92〜95の1つが選択されると、コンデンサ121〜124のうちの1つのコンデンサのみがコンデンサ11に接続される。これにより、コンデンサ121〜124を個々に分離し、コンデンサ121〜124同士の干渉を防止できる。すなわち、スイッチ92〜95のいずれが導通されたときにも、コンデンサ11からの電流の流出入はコンデンサ121〜124のうちの1つにしか影響しない。
【0342】
実施の形態9および実施の形態10のように、電源電圧VHとツェナー電圧との差を中間段で吸収させる構成とした場合、吸収させる段数、すなわちプルアップされたラインとプルダウンされたラインとの間に介在するコンデンサ82A・82B・82C・82D・82Eの数は、任意であるが、1段とすることが好ましい。
【0343】
また、実施の形態9および実施の形態10のように、電源電圧VHとツェナー電圧との差を中間段で吸収させる構成とした場合、接地線98側のツェナーダイオードの数、すなわち第1の分圧器113Aに含まれるツェナーダイオードの数と、電源線97側のツェナーダイオードの数、すなわち第2の分圧器113Bに含まれるツェナーダイオードの数との差を1個以内とすることが、電圧の安定性の点で望ましい。
【0344】
なお、実施の形態7〜10においては、分圧された電圧を安定化させるための定電圧手段(定電圧素子)としてツェナーダイオードを用いた場合について説明したが、ツェナーダイオードに代えて他の定電圧手段(定電圧素子)、例えばシャントレギュレータを用いてもよい。
【0345】
〔実施の形態11〕
本発明を適用したインクジェットプリンタ(画像形成装置)の実施の一形態を、図7、図23、および図24に基づいて説明する。
【0346】
図23は、インクジェットプリンタ(画像形成装置)の要部を示す斜視図である。
【0347】
図23に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ(画像形成装置)210では、キャリッジ211がタイミングベルト212を介してパルスモータ213に接続され、ガイド部材214に案内されて記録用紙215の紙幅方向に往復動するように構成されている。
【0348】
インクジェットヘッド23は、キャリッジ211の上部に載置されているインクカートリッジ217からインクの補給を受けてキャリッジ211の移動に合わせて記録用紙215にインク滴を吐出してドットを形成し、記録用紙215に画像や文字を印刷する。
【0349】
図24は、インクジェットヘッド23の構成を示す断面図である。
【0350】
図24に示すように、インクジェットヘッド23では、ノズルプレート220にノズル開口221が形成され、流路形成板222には、圧力発生室223を区画する通孔、圧力発生室223に両側で連通する2つのインク供給口224を区画する通孔または溝、およびこれらのインク供給口224にそれぞれ連通する2つの共通のインク室225を区画する通孔が形成されている。振動板226は、弾性変形可能な薄板から構成され、ピエゾ素子などの圧電素子21の先端に当接し、流路形成板222を挟んでノズルプレート220と液密に一体に固定され、流路ユニット228を構成している。圧電素子21は、固定基板232に固定されている。
【0351】
このような構成により、圧電素子21が収縮して圧力発生室223が膨張すると、共通のインク室225のインクがインク供給口224を経由して圧力発生室223に流れ込む。所定時間の経過後に圧電素子21が伸長して圧力発生室223が収縮すると、圧力発生室223のインクが圧縮されてノズル開口221からインク滴が吐出する。
【0352】
インクジェットヘッド23の圧電素子21には、図7に示すように、容量性負荷駆動回路1がアナログスイッチ22を介して接続されている。容量性負荷駆動回路1は、ノズル開口221からインク滴を吐出させるのに必要な電圧値の台形波を発生させるように構成されている。また、アナログスイッチ22は、容量性負荷駆動回路1の出力電圧Vを、印刷データに対応する圧電素子21に対して選択的に印加する。
【0353】
以上のようにして、本発明にかかる容量性負荷駆動回路1をインクジェットプリンタ(画像形成装置)210の圧電素子の駆動に用いることで、インクジェットプリンタ(画像形成装置)210の消費電力を低く抑えることができる。
【0354】
なお、以上、インクを加圧することによりインクを液滴状に吐出させるインク吐出手段として圧電素子を用いたインクジェットプリンタ(画像形成装置)210において、本発明にかかる容量性負荷駆動回路を圧電素子(容量性負荷)の駆動に用いた例について説明した。しかしながら、本発明にかかる容量性負荷駆動回路は、インク吐出手段として静電駆動電極を用いた静電方式(2つの電極(静電駆動電極)間に電圧を印加することによる電極間の静電吸引力を用いてインクを吐出する方式など)のインクジェットプリンタにおける静電駆動電極の駆動にも用いることができ、その場合にも同様の消費電力抑制効果を得ることができる。
【0355】
また、本発明にかかるインクジェットプリンタあるいは画像形成装置は、当然ながら、印刷専用の装置でなくともよく、複写機やファクシミリ装置等の機能を兼ね備える複合機であってもよい。
【0356】
〔実施の形態12〕
ここで、本発明の原理について説明する。
【0357】
図50の回路において、図50(a)に示すように、エネルギー蓄積素子Cs1の初期電位をV0、容量性負荷Cdの初期電位を0とする。t=0でスイッチSW1をONにすると、図50(b)に示すように、エネルギー蓄積素子Cs1と容量性負荷Cdとの電位差により、エネルギー蓄積素子Cs1から容量性負荷Cdへ電流Iが流れ、容量性負荷Cdが充電される。この時の容量性負荷Cdの両端電圧は、以下の式で表される。
【0358】
【数1】
Figure 0004152757
【0359】
スイッチSW1のON後、十分に時間が経過すると、エネルギー蓄積素子Cs1の電圧Vsと容量性負荷Cdの電圧Vdとの差(エネルギー蓄積素子Cs1と容量性負荷Cdとの電位差)がなくなり、電流Iは0になる。この電圧Vs・Vdおよび電流Iの時間変化を図51(a)(b)に示す。この飽和電圧を、V1とする。
【0360】
【数2】
Figure 0004152757
【0361】
次に、スイッチSW1をOFFとし、初期電位V0+ΔVのエネルギー蓄積素子Cs2に容量性負荷Cdを接続する(図52参照)。容量性負荷Cdは、容量性負荷Cdとエネルギー蓄積素子Cs2との電位差によって充電される。このときの容量性負荷Cdの両端電圧は、以下の式で表される。
【0362】
【数3】
Figure 0004152757
【0363】
スイッチSW2のON後、十分に時間が経過すると、エネルギー蓄積素子Cs1と容量性負荷Cdとの電位差がなくなり、電流Iは0になる(図52参照)。この飽和電圧をV2とする。
【0364】
【数4】
Figure 0004152757
【0365】
さらに、スイッチSW2をOFFにし、スイッチSW1をONにする(図53参照)。容量性負荷Cdとエネルギー蓄積素子Cs2との電位差によって、容量性負荷Cdが放電される。この時の容量性負荷Cdの両端電圧は、以下の式で表される。
【0366】
【数5】
Figure 0004152757
【0367】
スイッチSW1のON後、十分に時間が経過すると、エネルギー蓄積素子Cs1と容量性負荷Cdとの電位差がなくなり、電流Iは0になる。この飽和電圧をV3とする。
【0368】
【数6】
Figure 0004152757
【0369】
いま容量性負荷Cdの静電容量Cdに比べてエネルギー蓄積素子Cs1の静電容量Cs1およびエネルギー蓄積素子Cs2の静電容量Cs2が十分に大きい場合を考えると、以下の式が成立する。
【0370】
【数7】
Figure 0004152757
【0371】
従って、エネルギー蓄積素子Cs1については、初期電位V0と、容量性負荷Cdを充電した後の電位V1と、容量性負荷Cdから回生を受けた後の電位V3とがほぼ等しくなり、エネルギー蓄積素子Cs1と容量性負荷Cdとの間ではエネルギーロスが見かけ上0になる。
【0372】
次に、動作原理説明のための実施形態として、図30に示す4段の容量性負荷駆動回路301を例に挙げて説明する。
【0373】
容量性負荷駆動回路301は、圧電素子等の容量性負荷311を充放電することで容量性負荷311を駆動するものであり、容量性負荷311とグラウンドとの間に並列に接続されたエネルギー蓄積素子としてのコンデンサC(1)、C(2)、およびC(3)を備えている。また、電源電圧VHを供給するための直流電源(電源)である電力源309が設けられている。
【0374】
図示しないが、これらコンデンサC(1)〜C(3)に初期電位(初期電荷)を付与する初期電位付与手段が設けられている。この初期電位付与手段は、電力源309から供給されている電源電圧VHと接地電位(=0)との間の電位差(電圧)を4等分に分割(分圧)し、分圧によって生成された3つの電位V1(=1/4・VH)、V2(=2/4・VH)、およびV3(=3/4・VH)をそれぞれコンデンサC(1)〜C(3)に初期電位として付与するものである。この初期電位付与手段は、例えば、グラウンド(接地点)と電力源309との間に接続され、接地電位と電源電圧VHとの間の電位差を分圧し、分圧された電圧をコンデンサC(1)〜C(3)が接続されている分圧点に供給する分圧手段である。上記分圧手段としては、例えば、前述した分圧器5と同様、電源電圧Vが供給されている電力供給点VH(電源端子)とグラウンド(接地端子)との間に直列に接続された4つの抵抗を備える抵抗分圧回路を用いることができる。
【0375】
さらに、容量性負荷311とコンデンサC(1)、C(2)、およびC(3)との間にはそれぞれ、スイッチング素子S(1)、S(2)、およびS(3)が接続され、電力源309と容量性負荷311との間にはスイッチング素子S(4)が接続され、接地電位Gと容量性負荷311との間にはスイッチング素子S(0)が接続されている。この形態では、スイッチング素子S(0)〜S(4)によって切り替え手段が構成されている。一方、容量性負荷311の他端はグラウンドに接続されている。また、コンデンサC(1)、C(2)、C(3)の他端は接地点(基準電位端子、接地端子)C(0)を介してグラウンドに接続されている。
【0376】
以上の構成を備える容量性負荷駆動回路301の動作について、以下、図31〜図33に基づいて説明する。なお、以下、説明の都合上、電源電圧VHが正電位である場合について説明する。電源電圧VHが負電位である場合の動作も、電位の極性および電荷移動方向が逆になる以外は同様である。
【0377】
初期的に、図31(a)に示すように、スイッチング素子S(0)〜S(4)のうちスイッチング素子S(0)のみを接続状態(ON状態)とし、容量性負荷311には電荷が蓄積されていない状態(初期状態)とする(図81のS0)。
【0378】
第1のステップとして、図31(b)に示すように、スイッチング素子S(0)を切断状態(OFF状態)とし、次いで、スイッチング素子S(1)を接続状態とする。このとき、コンデンサC(1)には電位V1(=1/4・VH)のエネルギーが蓄積されており、容量性負荷311には電荷が蓄積されていないため、コンデンサC(1)と容量性負荷311との間には、VH/4の電位差がある。この電位差VH/4により、コンデンサC(1)の静電容量C1と容量性負荷311の静電容量Cdとの比率に応じた電荷がコンデンサC(1)から容量性負荷311へ移動する。すなわち、コンデンサC(1)から容量性負荷311への静電エネルギー(以下、適宜、単に「エネルギー」と呼ぶ)の注入が行われ、容量性負荷311が充電される(図81のS1)。コンデンサC(1)の電位は容量性負荷311に流れ込んだ電荷分低くなり、逆に容量性負荷311の電位はコンデンサC(1)から流れ込んだ電荷分高くなる。コンデンサC(1)の静電容量C1が容量性負荷311の静電容量Cdより十分に大きい(C1>Cd)場合、コンデンサC(1)の電位変化は小さい。スイッチング素子S(1)が接続状態とされている時間が十分に長い場合、エネルギーの移動によりコンデンサC(1)と容量性負荷311の電位はほぼ等しくなる。したがって、充電後のコンデンサC(1)および容量性負荷311のの電位は、コンデンサC(1)の初期電位VH/4(=V1)より若干低い電位となる(図33参照)。この電位をV1’とする。
【0379】
第2のステップとして、図31(c)に示すように、スイッチング素子S(1)を切断状態とし、次いでスイッチング素子S(2)を接続状態とする。このときコンデンサC(2)には電位V1’よりも高い電位である電位V2のエネルギーが蓄積されているため、コンデンサC(2)の静電容量C2と容量性負荷311の静電容量Cdとの比率に応じた電荷がコンデンサC(2)から容量性負荷311へ移動する。すなわち、電位差V2‐V1’(=VH/4+α;αはVHと比較して非常に小さい正の値)によって、コンデンサC(2)から容量性負荷311にエネルギーの注入が行われ、容量性負荷311がさらに充電される(図81のS2)。コンデンサC(2)の電位は容量性負荷311に流れ込んだ電荷分低くなり、逆に容量性負荷311の電位はコンデンサC(2)から流れ込んだ電荷分高くなる。コンデンサC(2)の静電容量C2が容量性負荷311の静電容量Cdより十分に大きい(C2>Cd)場合、コンデンサC(2)の電位変化は小さい。スイッチング素子S(2)が接続されている時間が十分に長い場合、エネルギーの移動によりコンデンサC(2)と容量性負荷311の電位はほぼ等しくなる。したがって、充電後のコンデンサC(2)および容量性負荷311の電位は、コンデンサC(2)の初期電位2VH/4(=V2)より若干低い電位となる(図33参照)。この電位をV2’とする。
【0380】
第3のステップとして、図31(d)に示すように、スイッチング素子S(2)を切断状態とし、次いでスイッチング素子S(3)を接続状態とする。このときコンデンサC(3)には電位V2’よりも高い電位である電位V3のエネルギーが蓄積されているため、コンデンサC(3)の静電容量C3と容量性負荷311の静電容量Cdとの比率に応じた電荷がコンデンサC(3)から容量性負荷311へ移動する。すなわち、電位差V3‐V2’(=VH/4+α)によって、コンデンサC(3)から容量性負荷311にエネルギーの注入が行われ、容量性負荷311がさらに充電される(図81のS3)。コンデンサC(3)の電位は容量性負荷311に流れ込んだ電荷分低くなり、逆に容量性負荷311の電位はコンデンサC(3)から流れ込んだ電荷分高くなる。コンデンサC(3)の静電容量C3が容量性負荷311の静電容量Cdより十分に大きい(C3>Cd)場合、コンデンサC(3)の電位変化は小さい。スイッチング素子S(3)が接続されている時間が十分に長い場合、エネルギーの移動によりコンデンサC(3)と容量性負荷311の電位はほぼ等しくなる。したがって、充電後のコンデンサC(3)および容量性負荷311の電位は、コンデンサC(3)の初期電位3VH/4(=V3)より若干低い電位となる(図33参照)。この電位をV3’とする。
【0381】
第4のステップとして、図31(e)に示すように、スイッチング素子S(3)を切断状態とし、次いでスイッチング素子S(4)を接続状態とする。このとき、電源電圧(電源電位)VHは電位V3’よりも高いため、これらの電位差VH−V3’(=VH/4+α)によって電力源309から容量性負荷311にエネルギーの注入が行われ、容量性負荷311がさらに充電される(図81のS4)。スイッチング素子S(4)が接続されている時間が十分に長い場合、充電後の容量性負荷311の電位は、電源電圧VHまで吊上げられる。
【0382】
第5のステップとして、図32(a)に示すように、スイッチング素子S(4)を切断状態とし、次いでスイッチング素子S(3)を接続状態とする(図81のS5)。このとき容量性負荷311には、コンデンサC(3)の電位V3’よりも高い電位である電位VHのエネルギーが蓄積されているため、VH/4+αである電位差VH−V3’によって、コンデンサC(3)の静電容量C3と容量性負荷の静電容量Cdとの比率に応じた電荷がコンデンサC(3)に移動し、容量性負荷311からコンデンサC(3)へ充電される。これにより、コンデンサC(3)の電位は容量性負荷311から流れ込んだ電荷分高くなり、逆に容量性負荷311の電位はコンデンサC(3)へ流れ込んだ電荷分低くなる。スイッチング素子S(3)が接続されている時間が十分に長い場合、エネルギーの移動によりコンデンサC(3)と容量性負荷311の電位は等しくなる。充電の結果としてコンデンサC(3)の電位はほぼ元のV3=3VH/4に戻り、容量性負荷311からコンデンサC(3)へエネルギーの回生が行われたことになる(図81のS5)。
【0383】
第6のステップとして、図32(b)に示すように、スイッチング素子S(3)を切断状態とし、次いでスイッチング素子S(2)を接続状態とする(図81のS6)。このとき容量性負荷311には電位V2’よりも高い電位である電位V3のエネルギーが蓄積されているため、VH/4+αである電位差V3−V2’によって、コンデンサC(2)の静電容量C2と容量性負荷の静電容量Cdとの比率に応じた電荷がコンデンサC(2)に移動し、容量性負荷311からコンデンサC(2)へ充電される。これにより、コンデンサC(2)の電位は容量性負荷311から流れ込んだ電荷分高くなり、逆に容量性負荷311の電位はコンデンサC(2)へ流れ込んだ電荷分低くなる。スイッチング素子S(2)が接続されている時間が十分に長い場合、エネルギーの移動によりコンデンサC(2)と容量性負荷311の電位は等しくなる。充電の結果としてコンデンサC(2)の電位はほぼ元のV2=2VH/4に戻り、容量性負荷311からコンデンサC(2)にエネルギーの回生が行われたことになる(図81のS6)。
【0384】
第7のステップとして、図32(c)に示すように、スイッチング素子S(2)を切断状態とし、次いでスイッチング素子S(1)を接続状態とする(図81のS7)。このとき容量性負荷311には、電位V1’よりも高い電位である電位V2のエネルギーが蓄積されているため、VH/4+αである電位差V2−V1’によって、コンデンサC(1)の静電容量C1と容量性負荷の静電容量Cdとの比率に応じた電荷がコンデンサC(1)に移動し、容量性負荷311からコンデンサC(1)へ充電される。これにより、コンデンサC(1)の電位は容量性負荷311から流れ込んだ電荷分高くなり、逆に容量性負荷311の電位はコンデンサC(1)へ流れ込んだ電荷分低くなる。スイッチング素子S(1)が接続されている時間が十分に長い場合、エネルギーの移動によりコンデンサC(1)と容量性負荷311の電位は等しくなる。充電の結果としてコンデンサC(1)の電位はほぼ元のV1=VH/4に戻り、容量性負荷311からコンデンサC(1)にエネルギーの回生が行われたことになる(図81のS7)。
【0385】
第8のステップとして、図32(d)に示すように、スイッチング素子S(1)を切断状態とし、次いでスイッチング素子S(0)を接続状態とする。このとき容量性負荷311には接地電位’よりも高い電位である電位V1’のエネルギーが蓄積されているため、電位差VH/4+αである電位差V1’によって容量性負荷311の電荷が接地電位に流出(放電)、つまり消費(破棄)される(図81のS8)。その後、S1に戻る。
【0386】
以上、第1〜第8のステップS1〜S8において、エネルギー的に見ると、第1のステップS1で容量性負荷311に注入されたコンデンサC(1)の蓄積エネルギーは、第7のステップS7で容量性負荷311からコンデンサC(1)に戻されるエネルギーによって回生される。第2のステップS2で容量性負荷311に注入されたエネルギーは、第6のステップS6で容量性負荷311からコンデンサC(1)に戻されるエネルギーによって回生される。第3のステップS3で容量性負荷311に注入されたエネルギーは、第5のステップS5で容量性負荷311からコンデンサC(1)に戻されるエネルギーによって回生される。つまり、第1〜第8のステップS1〜S8を総合すると、第1〜第8のステップS1〜S8において、容量性負荷311へのエネルギー注入は第4のステップS4で行われ、エネルギー消費は第8のステップS8で行われ、その他のステップにおけるエネルギーの輸送は、相対するステップによりキャンセルされる(図33参照)ため、エネルギー注入・消費は見かけ上行われないことになる。結果的に、同じ1/4・VHに相当するエネルギーだけが消費されることになる。つまり電圧VHを充電し、そのまま放電するPush−Pullなどの方式に比べ25%のエネルギー消費で充放電ができる。
【0387】
さらに具体的な例として、上記4段の容量性負荷駆動回路301を用いて波高値10Vppのパルスを作成する際に場合の電圧変化について記述する。10Vを4分割すると1段当りの電位差は2.5Vになり、コンデンサC(1)〜C(3)のそれぞれの電位2.5V、5.0V、7.5Vと、接地電位0Vおよび電源電位10Vとの5つの電位に分割される。また、コンデンサC(1)〜C(3)の静電容量は、容量性負荷311の静電容量に比べて大きい方が好ましいが、動作を判りやすくするために、容量性負荷311の4倍とする。また、系に用いるスイッチング素子S(0)〜S(4)には、通常半FET(電界効果トランジスタ)やGTOサイリスタなどの半導体スイッチを用いるが、半導体スイッチの場合、ON抵抗が無視できないため、容量性負荷311への充放電は特定の時定数を持つ指数関数的に行われる。従って、波形形成の場合はスイッチング素子S(0)〜S(4)のON時間と容量性負荷311への充放電時定数との関係が重要になるが、簡単化のためにスイッチング素子のON抵抗は非常に小さく、スイッチング素子S(0)〜S(4)のON抵抗による系の影響は無視できる程度の十分長いスイッチング時間で次段へ切り替えるとの前提で計算を行う。計算結果を表1に示す。表1において、Vdは容量性負荷311の電位、Vs_0は接地電位、Vs_n(nは1〜3)は各段のコンデンサC(n)の電位、Vs_4は電源電位を表す。
【0388】
【表1】
Figure 0004152757
【0389】
この結果から明らかなように、各コンデンサから容量性負荷へエネルギーが注入されると、それに伴い各コンデンサの電位も減少する。しかし、逆に容量性負荷から各コンデンサへエネルギーが注入されると各コンデンサの電位は元に戻り、結果として電力が回生される。
【0390】
以上のように、本実施形態に係る容量性負荷駆動回路301は、電力源309から電源電位VHが付与された電源端子309aと、接地電位(基準電位)が付与された接地端子C(0)(基準電位端子)と、接地電位と電源電位VHとの間で、かつ互いに異なる初期電位V(1)〜V(3)が付与された3個のコンデンサC(1)〜C(3)と、接地端子C(0)、コンデンサC(1)〜C(3)、および電源端子309aを選択的に容量性負荷311と接続するためのスイッチング素子S(0)〜S(4)とを備え、上記スイッチング素子S(0)〜S(4)は、接地端子C(0)を容量性負荷311に接続した後に各コンデンサC(1)〜C(3)をその初期電位が接地電位に近い方から順に容量性負荷311に接続することで容量性負荷311の端子電圧を電源電位VHに近づくように変化させる第1のステップ(S1〜S3)と、その後に容量性負荷311を電源端子309aと選択的に接続することで容量性負荷311の端子電圧の絶対値を増大させる第2のステップ(S4)と、その後に各コンデンサC(1)〜C(3)をその初期電位が電源電位VHに近い方から順に容量性負荷311に接続することで容量性負荷311の端子電圧の絶対値を減少させると共に、コンデンサC(1)〜C(3)の蓄積静電エネルギーを第1のステップの前とほぼ等しくなるように回生する第3のステップ(S5〜S7)とを実行するようになっている構成である。
【0391】
なお、ここでは、接地電位と電源電位VHとの間で、かつ互いに異なる初期電位が付与されたコンデンサの数が3個であり、容量性負荷311を充電(または放電)するステップの数(スイッチング素子S(0)〜S(4)の電位の種類の数より1つ小さく、コンデンサの数より1つ多い;以下、「段数」と呼ぶ)が4段である場合について説明した。
【0392】
しかしながら、段数は2段以上であれば特に限定されるものではない。理想的には、2段の場合には回生効率50%、3段には回生効率66.7%、4段の場合には回生効率75%、5段の場合には回生効率80%、と段数を増加させるほど回生効率は高くなる。しかしながら、段数を増加させるほど電圧立上げに必要な時間は長くなり、かつ必要な回路数も増加する。従って、段数は、必要な駆動波形や回路のサイズ、コストなどにより決定すればよい。一般には、高速立上げが必要な場合には3〜4段の回路構成が好ましく、電力消費を抑制したい場合には4〜5段の回路構成が好ましい。
【0393】
また、上記の説明では、電源電圧VHを4段で均等分割した場合を用いて説明したが、必ずしも均等に分割する必要は無い。しかしながら、本実施形態の容量性負荷駆動回路301は、コンデンサC(I)(I=1,2,3)からV(I−1)(ただしV(0)=0)の電位を持つ容量性負荷311へのエネルギー注入(S1〜S3)によるコンデンサC(I)のエネルギー減少分を、V(I)(ただしV(4)=VH)の電位を持つ容量性負荷311からC(I)へエネルギー注入することにより回生する(S5〜S8)原理で電力回生を行うことから、理想的な電力回生を行うためには均等分割が最も好ましい。
【0394】
ここで、容量性負荷311の時定数とコンデンサC(I)のスイッチング時間について考察する。
【0395】
図54に示す回路において、コンデンサCsに初期電位が付与され、容量性負荷Cdが放電されている状態を考えると、スイッチSWのOn後、容量性負荷Cdの電圧は、図55に示すように時間の経過に従って上昇する。十分に時間が経過すると、容量性負荷Cdは、コンデンサCsと電位差がなくなり、電流Iは0になる。本願明細書では、この飽和電圧を「到達電圧」と呼ぶ。
【0396】
図54に示す回路において、ある時間(スイッチング時間(Ts))が経過した時点でスイッチを切るとすると、スイッチング時間(Ts)が時定数(τo=R・Cd;Rはエネルギー蓄積素子と容量性負荷とを含む充電経路もしくは放電経路の直流抵抗成分、Cdは容量性負荷の静電容量)より短い場合、容量性負荷Cdの電圧は、図56(a)に示すように変化する。したがって、本発明に係る3段の容量性負荷駆動回路においては、容量性負荷Cdの電圧は、図56(b)に示すように変化する。
【0397】
スイッチング時間(Ts)が時定数(τo=R・Cd)と等しい場合、容量性負荷Cdの電圧は、図57(a)に示すように変化する。したがって、本発明に係る3段の容量性負荷駆動回路においては、容量性負荷Cdの電圧は、図57(b)に示すように変化する。
【0398】
スイッチング時間(Ts)が時定数(τo=R・Cd)より長い場合、容量性負荷Cdの電圧は、図58(a)に示すように変化する。したがって、本発明に係る3段の容量性負荷駆動回路においては、容量性負荷Cdの電圧は、図58(b)に示すように変化する。
【0399】
本発明の容量性負荷駆動回路において、エネルギー蓄積素子の静電容量成分をCs、容量性負荷の静電容量をCd、エネルギー蓄積素子と容量性負荷とを含む充電経路もしくは放電経路の直流抵抗成分をR、エネルギー蓄積素子のスイッチング時間(切り替え時間;容量性負荷への接続が継続される時間)をTsとすると、
τo≦Ts≦2.5・τo
(但し、τo=R・Cd)
であることが好ましい。Ts<τoであると、得られるパルスの波高値が到達電圧の63%以下になり、容量性負荷へのエネルギー供給効率が低下する。また、Ts>2.5・τoとすると、スイッチング時間が極端に長くなってしまう。
【0400】
〔実施の形態13〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図34ないし図37に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態12にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0401】
本実施形態に係る容量性負荷駆動回路302は、実施の形態12の容量性負荷駆動回路301における電力源309とそれに接続されたスイッチング素子S(4)との間にエネルギー蓄積素子としてのコンデンサC(N)を追加し、段数(コンデンサ数)を一般化したものである。
【0402】
本実施形態に係る容量性負荷駆動回路302は、図34および図35に示すように、接地電位(基準電位)V(0)(=0)を有する接地端子C(0)と、0でない初期電位V(1)…V(N)(Nは2以上の自然数)を持つN個のコンデンサC(1)…C(N)(エネルギー蓄積素子)と、接地端子C(0)(基準電位端子)と容量性負荷311とを接続するスイッチング素子S(0)(切り替え手段)と、コンデンサC(1)…C(N)(切り替え手段)と容量性負荷311を選択的に接続するN個のスイッチング素子S(1)…S(N)とを有し、コンデンサC(N)が電力発生源に(直接、若しくは何らかの回路を介して)接続されているパルス発生回路であって、上記N個のコンデンサC(1)…C(N)は、0でない第1の初期電位V(I)を持つコンデンサC(I)(第1のエネルギー蓄積素子)と、初期電位V(I)と同極性でかつ初期電位V(I)より絶対値の大きい第2の初期電位V(I+1)を持つコンデンサC(I+1)(第2のエネルギー蓄積素子)とを含み、スイッチング素子S(0)〜S(N)(切り替え手段)が、容量性負荷311を接地端子またはコンデンサC(I−1)(接地端子または第3のエネルギー蓄積素子)と選択的に接続した後に容量性負荷311をコンデンサC(I)と選択的に接続することで容量性負荷311の電位(端子電圧)をコンデンサC(I)の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷311をコンデンサC(I+1)と選択的に接続することで容量性負荷311の電位(端子電圧)の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷311をコンデンサC(I)と選択的に接続することで容量性負荷311の電位(端子電圧)の絶対値を減少させると共にコンデンサC(I)の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっている。なお、図34においても、初期電荷を与える回路は省略している。
【0403】
上記構成の動作を図35に基づいて説明する。
【0404】
パルス発生のエネルギー消費は、コンデンサC(N)からコンデンサC(N−1)への電荷移動分が接地電位に向かって輸送され、接地端子C(0)で消費される。図35(a)から図35(f)のサイクルは、実施の形態12におけるステップS1〜S8のサイクルと同様の効果を奏する。すなわち、図35(a)から図35(b)への移行の際にコンデンサC(I)から流出した電荷と、図35(d)から図35(e)への移行の際にコンデンサC(I)へ流入する電荷とをほぼ等しくすることで、図35(a)から図35(f)のサイクルにおいてコンデンサC(I)は見かけ上エネルギー消費をしなくなる。
【0405】
したがって、少なくとも図35(a)から図35(f)のサイクルを実行するようになっていればよく、N個のコンデンサC(1)…C(N)の全てを使用しても一部を使用してもよい。使用するコンデンサは、発生しようとするパルスに応じて適宜設定すればよい。例えば、ベース電位が接地電位で、パルス振幅の大きいパルスを発生したい場合には、全てのコンデンサC(1)…C(N)を使用すればよい。また、発生しようとするパルスの波高値が電源電圧VHより低い場合や、ベース電位が接地電位でないパルスを発生したい場合には、一部のコンデンサのみを使用すればよい。
【0406】
したがって、本実施形態に係る容量性負荷駆動回路302は、異なる複数の初期電位V(1)…V(N)(Nは2以上の自然数)が付与された複数のコンデンサC(1)…C(N)と、上記コンデンサC(1)…C(N)を選択的に容量性負荷311と接続するためのスイッチング素子S(1)…S(N)とを備え、上記複数のコンデンサC(1)…C(N)は、0でない第1の初期電位V(I)を持つコンデンサC(I)と、第1の初期電位V(I)より絶対値の大きい第2の初期電位V(I+1)を持つコンデンサC(I+1)と、第1の初期電位V(I)と同極性でかつ第1の初期電位V(I)より絶対値の小さい電位である第3の初期電位V(I−1)を持つコンデンサC(I−1)とを含み、スイッチング素子S(1)…S(N)は、容量性負荷311をコンデンサC(I−1)と選択的に接続した後にコンデンサC(I)と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧311を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷311を第2の初期電位V(I+1)とエネルギー蓄積素子に選択的に接続することで容量性負荷311の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷311をコンデンサC(I)と選択的に接続することで容量性負荷311の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のコンデンサC(I)の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっている構成であってもよい。
【0407】
また、初期電位V(1)…V(N)は、正であってもよく、負であってもよいが、初期電位V(1)…V(N)が正の場合、例えば図36に示すパルスを発生できる。また、初期電位V(1)…V(N)が負の場合、例えば図37に示すパルスを発生できる。
【0408】
なお、本実施形態において、電力源309に接続されているコンデンサC(N)は無くても動作する(通常は電力源309に内蔵される)。
【0409】
それゆえ、本実施形態に係る容量性負荷駆動回路302は、電力源309から電源電位VHが付与された電源端子(VH)と、異なる複数の初期電位V(1)…V(N)(Nは2以上の自然数)が付与されたN個のコンデンサC(1)…C(N)と、上記コンデンサC(1)…C(N)および電源端子(VH)を選択的に容量性負荷311と接続するためのスイッチング素子S(1)…S(N)とを備え、上記コンデンサC(1)…C(N)は、電源電位VHと同極性でかつ電源電位VHより絶対値の小さい第1の初期電位V(I)を持つコンデンサC(I)と、第1の初期電位V(I)と同極性でかつ第1の初期電位V(I)より絶対値の小さい電位である第3の初期電位V(I−1)を持つコンデンサC(I−1)とを含み、上記スイッチング素子S(1)…S(N)が、容量性負荷311をコンデンサC(I−1)と選択的に接続した後にコンデンサC(I)と選択的に接続することで容量性負荷311の端子電圧を第1の初期電位V(I)に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷311を電源端子(VH)と選択的に接続することで容量性負荷311の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷311をコンデンサC(I)と選択的に接続することで容量性負荷311の端子電圧の絶対値を減少させると共に、コンデンサC(I)の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっている構成であってもよい。
【0410】
〔実施の形態14〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図38および図39に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記各実施の形態のいずれかにて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0411】
図38に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路303は、接地端子C(0)に代えて、電力源309と同極性の第2の電力源(基準電源、基準電位端子、直流電源)319およびコンデンサC(0)を備える以外は、実施の形態13の容量性負荷駆動回路302と同様の構成を備えている。すなわち、本実施形態の容量性負荷駆動回路303は、同極性の電源である第1の電力源309および第2の電力源319を備え、第1の電力源の電位VH1と第2の電力源の電位VH2との間の電圧のパルスを発生するものである。ここで、第1の電力源309の電位VH1の絶対値は、第2の電力源319の電位VH2の絶対値に比べて大きい。ここでも、初期電荷を与える回路は省略している。
【0412】
上記構成も、実施の形態13と同様に、図35に示す動作を行う。それゆえ、図35(a)から図35(b)への移行の際にコンデンサC(I)から流出した電荷と、図35(d)から図35(e)への移行の際にコンデンサC(I)へ流入する電荷とをほぼ等しくすることで、図35(a)から図35(f)のサイクルにおいてコンデンサC(I)は見かけ上エネルギー消費をしなくなる。
【0413】
パルス発生のエネルギー消費は、コンデンサC(N)からコンデンサC(N−1)への電荷移動分が第2の電力源319に向かって輸送され、第2の電力源319で消費される。
【0414】
なお、第1の電力源309の電位VH1の絶対値が第2の電力源319の電位VH2の絶対値に比べて小さくてもよい。この場合、前記構成とは逆に、パルス発生のエネルギー消費はコンデンサC(0)からコンデンサC(1)への電荷移動分が第1の電力源309に向かって輸送され、第1の電力源309で消費される。
【0415】
また、第1の電力源309に接続されているコンデンサC(N)、第2の電力源319に接続されているコンデンサC(0)は無くても動作する(通常は電力源に内蔵される)。
【0416】
この場合、第1の電力源309および第2の電力源319が正極性の電源であれば、例えば図39に示す正極性のパルスを発生できる。また、第1の電力源309および第2の電力源319が正極性の電源であれば、例えば図39に示す正極性のパルスの極性を反転させた負極性のパルスを発生できる。
【0417】
〔実施の形態15〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図40および図41に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記各実施の形態のいずれかにて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0418】
図40に示すように、本実施形態の容量性負荷駆動回路304は、接地端子C(0)に代えて、電力源309と逆極性の第2の電力源(基準電源、基準電位端子)319およびコンデンサC(0)を備える以外は、実施の形態13の容量性負荷駆動回路302と同様の構成を備えている。すなわち、本実施形態の容量性負荷駆動回路304は、相対する極性の電源である第1の電力源(電源または基準電源)309および第2の電力源(基準電源または電源)329を備え、第1の電力源の電位VH1と第2の電力源の電位VH2との間の電圧のパルスを発生するものである。この場合、第1の電力源309の電位が正(+)極性、第2の電力源329の電位が負(−)極性である。ここでも、初期電荷を与える回路は省略している。
【0419】
本実施形態の容量性負荷駆動回路304も、実施の形態13と同様に、図35に示す動作を行う。それゆえ、図35(a)から図35(b)への移行の際にコンデンサC(I)から流出した電荷と、図35(d)から図35(e)への移行の際にコンデンサC(I)へ流入する電荷とをほぼ等しくすることで、図35(a)から図35(f)のサイクルにおいてコンデンサC(I)は見かけ上エネルギー消費をしなくなる。
【0420】
正方向パルス発生時にはパルス発生のエネルギー消費はコンデンサC(N)からコンデンサC(N−1)への電荷移動分が第2の電力源329に向かって輸送され、最も接地電位に近い正のコンデンサで消費される。逆に負方向パルス発生時にはパルス発生のエネルギー消費はコンデンサC(0)からコンデンサC(1)への電荷移動分が第1の電力源309に向かって輸送され、最も接地電位に近い負のコンデンサで消費される。特に第1の電力源309と第2の電力源329の絶対値が等しい場合、正側からのエネルギーの接地電位に最も近いコンデンサでの電力消費と負側からのエネルギーの接地電位に最も近いコンデンサでの電力消費が相殺されるため、電力消費のための外部回路は不必要になる。
【0421】
本実施形態の容量性負荷駆動回路304では、例えば図41に示す正弦波に近いパルスを発生できる。
【0422】
〔実施の形態16〕
本実施形態の容量性負荷駆動回路は、図42に示すように、正極性の電力源309P(電源電位VH1)を含む、正のパルスを発生する実施の形態13の容量性負荷駆動回路302と、負極性の第2の電力源319(電源電位VH2)および第1の電力源309M(電源電位VH3)を含む、負のパルスを発生する実施の形態14の容量性負荷駆動回路303とを並列接続してなる。ここでも、初期電荷を与える回路は省略している。
【0423】
ここで、容量性負荷駆動回路303のコンデンサC(I−1)-の初期電位をV(I−1)-、容量性負荷駆動回路303のコンデンサC(I)-の初期電位をV(I)-、容量性負荷駆動回路303のコンデンサC(I+1)-の初期電位をV(I+1)-とし、容量性負荷駆動回路302のコンデンサC(I−1)+の初期電位をV(I−1)+、容量性負荷駆動回路302のコンデンサC(I)+の初期電位をV(I)+、容量性負荷駆動回路302のコンデンサC(I+1)+の初期電位をV(I+1)+とすると、
VH3<…<V(I−1)-<V(I)-<V(I+1)-…<VH2<0
0<…<V(I−1)+<V(I)+<V(I−1)+<…<VH1
である。
【0424】
この場合、例えば図43に示すパルスを発生できる。
【0425】
〔実施の形態17〕
本実施形態の容量性負荷駆動回路は、図44に示すように、正極性の第1の電力源309P(電源電位VH1)および第2の電力源319(電源電位VH2)を含む、正のパルスを発生する実施の形態14の容量性負荷駆動回路303と、負極性の第1の電力源309M(電源電位VH3)を含む、負のパルスを発生する実施の形態15の容量性負荷駆動回路304とを並列接続してなる。電力源319(電源電位VH2)は、容量性負荷駆動回路304における第2の電力源329としても使用される。ここでも、各コンデンサに初期電荷を与える回路は省略している。
【0426】
ここで、容量性負荷駆動回路303のコンデンサC(I−1)-の初期電位をV(I−1)-、容量性負荷駆動回路303のコンデンサC(I)-の初期電位をV(I)-、容量性負荷駆動回路303のコンデンサC(I+1)-の初期電位をV(I+1)-とし、容量性負荷駆動回路304のコンデンサC(I−1)+の初期電位をV(I−1)+、容量性負荷駆動回路304のコンデンサC(I)+の初期電位をV(I)+、容量性負荷駆動回路304のコンデンサC(I+1)+の初期電位をV(I+1)+とすると、
VH3<…<V(I−1)−<V(I)−<V(I+1)−…<0
0<VH2<V(0)+<…<V(I−1)+<V(I)+<V(I−1)+<…<VH1
である。
【0427】
電力源319は、接地電位に一番近いところに設けられており、電力を吸い込むことによって電圧のドリフトを防止する機能を有する。電力源319の電源電位VH2は、コンデンサの初期電位の設定に応じて決定すればよい。この場合、例えば図45に示すパルスを発生できる。
【0428】
〔実施の形態18〕
本発明の容量性負荷駆動回路は、複数のエネルギー蓄積素子に蓄積した静電エネルギーを容量性負荷に供給することによって容量性負荷を充電した後、容量性負荷の放電によるエネルギーをエネルギー蓄積素子に回収することによってエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを容量性負荷への供給前とほぼ同し電位まで回生するようになっているが、この回生は限られた時間の間に行われるため、完全に元の電位に戻るわけではない。そのため、初期電位を付与した後、エネルギーを注入することなく繰り返し充放電を行った場合、図68に示すように、各エネルギー蓄積素子の電圧のドリフト(最高電位と最低電位との中間値に近づく現象)が起こる。すなわち、最高電位と最低電位との中間値より低い初期電位を持つエネルギー蓄積素子は、容量性負荷からのエネルギーの回収が不足し、電位が上昇していく。一方、最高電位と最低電位との中間値より高い初期電位を持つエネルギー蓄積素子は、容量性負荷からのエネルギーの回収が過剰になり、電位が上昇していく。
【0429】
なお、図68は、図30の容量性負荷駆動回路301の段数を6段に変更した構成の、コンデンサC(1)〜C(5)を備える容量性負荷駆動回路において、電源電圧を6等分に分割した初期電位をコンデンサC(1)〜C(5)に付与した後にエネルギーを注入することなく繰り返し容量性負荷311の充放電を行ったときのコンデンサC(1)〜C(5)の電圧変化を示す図である。
【0430】
そこで、実施の形態13の容量性負荷駆動回路302に対して、接地端子C(0)と、電力源309に接続されたコンデンサC(N)とを除くコンデンサC(1)〜C(N−1)に対応する電力源339(1)〜339(N−1)(直流電源)を有し、電力源339(1)〜339(N−1)とコンデンサC(1)〜C(N−1)とを抵抗回路R(1)〜R(N−1)で接続し、電力源339(1)〜339(N−1)からエネルギーを注入することによって、上述した電圧のドリフトを防止するようにしている。
【0431】
図47に示すように、実施の形態13の容量性負荷駆動回路302に対して、コンデンサC(1)〜C(N−1)にそれぞれ接続された電力源339(1)〜339(N−1)およびそれに付随する抵抗R(1)〜R(N−1)を追加した構成でもよく、図46に示すように、実施の形態2の容量性負荷駆動回路303に対して、それぞれコンデンサC(1)〜C(N−1)に接続された電力源339(1)〜339(N−1)およびそれに付随する抵抗R(1)〜R(N−1)を追加した構成でもよい。図47に示す構成の場合、例えば図48に示すパルスを発生できる。
【0432】
ここで、電力源339(1)〜339(N−1)とコンデンサC(1)〜C(N−1)との間に設けられる抵抗R(1)…R(N−1)について、抵抗R(1)…R(N−1)とコンデンサC(1)〜C(N−1)の容量成分と定まる時定数が、容量性負荷311に印加される駆動パルスの周期の50倍以上あることが好ましい。
【0433】
すなわち、容量性負荷311に印加される駆動パルスの周期(図48参照)を発生パルス周期Tp、コンデンサC(i)(i=1、…、I−1、I、I+1、…、N−1)の静電容量をC(i)、電力源339(I)とコンデンサC(I)との間に設けられる抵抗R(i)の抵抗値をR(i)とすると、コンデンサC(i)の時定数τ(i)は、
τ(i)=C(i)×R(i)
となる。ここで、
Tp*10≦τ(i)=C(i)×R(i)
であることが好ましく、
Tp×50≦τ(i)=C(i)×R(i)
であることがより好ましい。
【0434】
その理由を以下に説明する。
【0435】
電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給速度が速すぎると、本発明回路による回生が行われる前に電力源339(1)〜339(N−1)から電力供給が行われてしまい、系全体の電力回生効率の悪化を招く。
【0436】
容量性負荷311へのエネルギー注入と回生の時間間隔中の電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給を5%以内に抑えるために、電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給の時定数は311へのエネルギー注入から回生までの時間間隔の20倍以上あればよい。また、容量性負荷311へのエネルギー注入と回生の時間間隔中の電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給を1%以内に抑えるために、電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給の時定数は容量性負荷311へのエネルギー注入から回生までの時間間隔の100倍以上あればよい。
【0437】
一方、エネルギーの注入から回生までの時間間隔の最大は、発生パルス周期Tpの1/2と考えられる。従って、電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給の時定数τ(i)は、発生パルス周期Tpの10倍以上あれば、容量性負荷311へのエネルギー注入と回生の時間間隔中の電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給を5%以内に抑えることができる。電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給の時定数τ(i)は、発生パルス周期Tpの50倍以上あれば、311へのエネルギー注入と回生の時間間隔中の電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給を1%以内に抑えることができ、電力回生への影響はほぼ無視できる。
【0438】
τ(i)/Tpの上限についての明確な制限は存在しないが、τ(i)/Tpが大きすぎると電力源339(1)〜339(N−1)からの供給が行われないことになり、なんらかの理由でエネルギーの供給と回生の間にアンバランスが生じた場合、系の安定化が図れなくなる。つまり電力源339(1)〜339(N−1)からの電力供給の時定数τ(i)はエネルギー回生率への影響が少ない範囲でできる限り小さい値が好ましい。
【0439】
この点について、さらに説明する。
【0440】
本実施形態の容量性負荷駆動回路は、前述した通り、複数のコンデンサC(1)〜C(N−1)を選択的に接続することにより容量性負荷311に印加する電圧を制御する容量性負荷駆動回路において、コンデンサC(1)〜C(N−1)の容量性負荷311への充放電による電圧のドリフトを防止するため、コンデンサC(1)〜C(N−1)に対し電力源339(1)〜339(N−1)からのエネルギー注入を行う容量性負荷駆動回路である。
【0441】
ここで、容量性負荷駆動回路から容量性負荷311に所定周期の駆動パルスが印加されるようになっており、また、駆動パルスの1周期の間に、容量性負荷311の接続先を切り替えてコンデンサC(1)〜C(N)から容量性負荷311に静電エネルギーを供給する充電ステップを複数回実行するようになっており、コンデンサC(1)〜C(N)の静電容量成分をCs(単位F)、容量性負荷311に印加される駆動パルスの周期をTp(単位Sec)、電力源339(1)〜339(N−1)からコンデンサC(1)〜C(N−1)(第1のエネルギー蓄積素子)に至るエネルギー注入経路の抵抗値をRs、駆動パルスの1周期の間における充電ステップの実行回数(段数)をNとしたとき、以下の関係
N=2の場合 3×Tp≦Rs・Cs≦6×Tp
N=3の場合 3×Tp≦Rs・Cs≦7×Tp
N=4の場合 3×Tp≦Rs・Cs≦8×Tp
N≧5の場合 3×Tp≦Rs・Cs≦10×Tp
を満たすことが好ましい。
【0442】
上記関係式を満たすことにより、次の効果が得られる。すなわち、上の関係を満たすとき本発明の特徴である容量性負荷311に対する充放電時の電力回収に影響を及ぼさずにコンデンサ(1)〜C(N−1)の電圧を保つことができる。逆にRs・Csが上記下限値未満である場合、電力回生が十分に行われないうちに電力源339(1)〜339(N−1)からエネルギーが注入され、電力回生効率が低下する。逆にRs・Csが上記下限よりも大幅に大きい場合、コンデンサ(1)〜C(N−1)の電圧ドリフトが大きくなってしまうため、電力回生効率が低下する。Rs・Csの上限は容量性負荷311側でのエネルギー消費によって異なる。設計上Rs・Csは、上記関係が成り立つ可能な限り小さい値が好ましい。
【0443】
次に、本実施形態に係る容量性負荷駆動回路において、上記関係を満たすように設計した例を図49に示す。この例は、図46に示す容量性負荷駆動回路において、電圧ドリフト防止用の電力源339(1)〜C(N−1)に接続されたコンデンサC(1)〜C(N−1)の段数(=N−1)を3段(N=4)としたものである。また、ここでは、スイッチング素子S(N)の等価ON抵抗をRとして図示している。
【0444】
また、ここでは、容量性負荷311の静電容量(インクジェットプリンタのインク吐出素子(PZT)の等価容量)Cdを1nF、コンデンサC(1)〜C(3)の静電容量C(1)〜C(3)を10nF(Cdの10倍に設定)、スイッチング素子S(N)の等価On抵抗Rを10Ω、電力源309の電源電圧VHを10V、電力源339(3)の電源電圧V(3)を7.5V、電力源339(2)の電源電圧V(2)を5.0V、電力源339(1)の電源電圧V(1)を2.5V、パルス発生周期Tpを1msec
R(1)=R(2)=R(3)=2MΩとする。そうすると、
容量性負荷311の充放電の時定数は、
R×Cd=10nSec
と、パルス発生周期Tpに比べて十分に短くなる。この場合、前記4段の場合の関係式Rs・Cs≦8×Tpの右辺は、
8×Tp=8mSec
前記4段の場合の関係式Rs・Cs≦8×Tpの左辺は、
Cs×Rs=400kΩ×10nF=4mSec
である。したがって、前記4段の場合の関係式Rs・Cs≦8×Tpは、
4mSec≦8mSec
となり、満たされる。したがって、この場合、容量性負荷311への電圧パルス印加によるエネルギー蓄積素子Csの電圧ドリフトが、電力源からのエネルギー注入により防止できる。一方、前記の関係式3×Tp≦Rs・Csについて考察した結果、この関係式を満たす、すなわち時定数がパルス周期の3倍以上にすることによって、指数的な電圧のドリフトを5%以内に抑えることが可能となる。よって、回路の安定性および回生効率を十分に高くする点で上記関係式を満たすことが必要である。
【0445】
〔実施の形態19〕
マトリクス型表示装置は、表示素子アレイ(表示素子)340、列選択ドライブ回路341、行選択ドライブ回路342、および行選択ドライブ回路342に電力を供給するための電力源349を備える。表示素子アレー340は、行選択ドライブ回路(駆動回路)342と列選択ドライブ回路(駆動回路)341とより選択され、特定パルスが印加される。ここで言う表示素子アレイとは、液晶表示素子アレイ、放電ディスプレイ(プラズマディスプレイ)、EL素子アレイなどを示す。このとき、列選択ドライブ回路341に列パルスを供給するための列パルス発生回路として本発明の容量性負荷駆動回路を用いることで列パルスの発生と表示素子アレイからの電力の回収を行う。図59では、前記実施の形態18の容量性負荷駆動回路305を列パルス発生回路(電力回生回路を含む)として用いた場合を示しているが、容量性負荷駆動回路の構成は特に限定されるものではない。
【0446】
なお、行選択ドライブ回路342側にパルス発生装置が必要な場合、電力源349の代わりに本発明の容量性負荷駆動回路を用いてもよい。
【0447】
〔実施の形態20〕
直流電源から供給された単一電圧から交流電圧を発生する直流−交流変換器に本発明にかかる容量性負荷駆動回路を使用した応用例を図60に示す。
【0448】
直流−交流変換器は、図60に示すように、本発明にかかる容量性負荷駆動回路601と、図示しない直流電源からの電圧と逆極性の電圧を発生する逆電圧発生回路602と、複数電圧を生成する電圧倍増回路(倍電圧発生回路)603と備えている。容量性負荷駆動回路601は、電力回収を行いつつ交流を発生する機能を有する。この直流−交流変換器は、通常の逆電圧発生回路602と電圧倍増回路倍603とを組み合わせたものである。
【0449】
図60に示す直流−交流変換器の動作について、図60に記載の符号に基づいて説明する。
【0450】
▲1▼常時、端子Aには、電圧Vが印加されている。また、コンデンサC2には、Vの電圧が印加されている。
【0451】
▲2▼次に、スイッチング素子S1,S3,S4,S5,S9,S10を接続し、コンデンサC1,C4,C5,C6を電圧Vまで充電する。
【0452】
▲3▼スイッチング素子S1,S3,S4,S5,S9,S10の接続を切り、次にスイッチング素子S2,S6,S7,S8,S11,S12を接続し、コンデンサC3,C7,C8,C9を電圧Vまで充電する。
【0453】
▲4▼スイッチング素子S2,S6,S7,S8,S11,S12の接続を切り、スイッチング素子S14,S16,S17,S19を接続する。これにより、コンデンサC4,C5,C6,C7,C8,C9が全て直列接続になり、接地端子GNDを中心に3V,2V,V,−V,−2V,−3Vの電圧を発生することができる。
【0454】
▲5▼2V,3V,−2V,−3Vの電圧をC10,C12,C11,C13に蓄えるべく各電圧が発生された箇所にスイッチング素子S15,S13,S18,S20を接続し、各電圧を外部に取り出す。
【0455】
要するに、直流−交流変換器は、コンデンサC4,C5,C6,C7,C8,C9を、電圧Vの端子Aに対して並列に接続して電圧Vまで充電した後、直列に接続しなおすことで電圧を発生するようになっている。
【0456】
〔実施の形態21〕
インクジェットプリンタにおいては、公知であるセラミック等の圧電材料を利用した剪断モード型の記録ヘッド(例えば特開昭63−247051号公報)を使用できる。剪断モード型のインクジェットプリンタに用いられる記録ヘッドの構成及び機能について、以下に説明する。
【0457】
図61は、記録ヘッドにおける一部分を、記録媒体側から見た状態で示した平面図である。一方、図62は、記録ヘッドの縦断面図である。
【0458】
図61に示すように、記録ヘッド1100は、圧電材料200と、天板300と、複数のインク室400とを備えている。
【0459】
圧電材料200は櫛歯状に形成されており、各櫛歯の隙間にインク室400…が嵌め込まれるように形成されている。
【0460】
インク室400は、両側面に形成された駆動電極500と、吐出ノズル600とを備えている。このインクジェットプリンタでは、隣接するインク室400の駆動電極500同士の間に電界を発生させることにより吐出ノズル600からインクを吐出する。詳細は後述する。
【0461】
天板300は、複数のインク室400を圧電材料200中に嵌合させるためのものであり、導電性樹脂からなる接続電極を備えている。
【0462】
また、図62に示すように、インクは、記録ヘッド1100内のインクタンク700内に蓄えられており、複数のインク室400における吐出ノズル600に接続された共通インクパス800を介して、後述する手順により吐出ノズルから吐出される。
【0463】
次に、剪断モード型のインクジェットプリンタがインクを吐出する状態について説明する。なお、以下の説明では、隣り合う3つのインク室をそれぞれAチャンネル・Bチャンネル・Cチャンネルとして区別する。また、以下の説明では、Bチャンネルのインク室からインクを吐出する場合について説明するが、Aチャンネル・Cチャンネルのインク室からのインク吐出についても同様である。
【0464】
この記録ヘッド1100は、Aチャンネル・Bチャンネル・Cチャンネルのインク室の駆動電極500(容量性負荷)を、前記実施の形態5・5A・6・6Aの容量性負荷駆動回路で駆動する構成となっている。
【0465】
図63(a)に示すように、インクの吐出を行わない通常状態において、Aチャンネル・Bチャンネル・Cチャンネルのインク室のうち、いずれのインク室の駆動電極にも電界が付与されていない。また、圧電材料は、駆動電極の表面と平行な方向即ち駆動電界に直交する方向に分極している。
【0466】
その後、図64に示すように、Bチャンネルのインク室の駆動電極500に対して吐出パルスを与える。一方、Aチャンネル・Bチャンネルのインク室については、吐出パルスは与えない。
【0467】
そうすると、Bチャンネルのインク室の駆動電極500から、AチャンネルおよびCチャンネルのインク室の駆動電極500に向かって電界が発生する。この電界の向きにしたがって、圧電材料は移動しようとする。その結果、図63(b)に示すように、Bチャネルのインク室の側壁が拡張する。
【0468】
その後、図64に示すように、共通パルスを、AチャンネルおよびCチャンネルのインク室の駆動電極500について与える。そうすると、AチャンネルおよびCチャンネルのインク室の駆動電極500から、Bチャンネルのインク室の駆動電極500に向かって電界が生じる。その結果、図63(c)に示すように、Bチャンネルのインク室の側壁が収縮し、Bチャンネルのインク室内の体積が減少する。これによって、Bチャンネルのインク室の吐出ノズルからインクが吐出する。
【0469】
なお、いずれのチャンネルからもインクを吐出しない場合は、AチャンネルおよびCチャンネルのインク室の駆動電極500に共通パルスを与えると同時に、Bチャンネルのインク室の駆動電極500に、共通パルスと同じ電位の非吐出パルスを与える。これにより、A〜Cチャンネルのインク室の駆動電極500は同じ電位となるので、各駆動電極間500に電界は発生しなくなる。したがって、いずれのチャンネルのインク室も、側壁が拡張したり収縮したりすることがないので、インク吐出は行われない。
【0470】
このように、記録ヘッド1100は、順次に行われる吐出のA〜Cチャンネルの切替えを繰り返して吐出すること、即ち3相駆動することによりにより印字動作を成し遂げるものである。
【0471】
また、吐出パルスを与える時間AL、共通パルスを与える時間AL’は、以下の式▲1▼によって決定される。
【0472】
AL( or AL’)=インク室長さ/インク中における音速 …▲1▼
したがって、3つのチャンネルのインク室長さがすべて同じであれば、
AL’=2AL
となる。なお、一般的なインクジェットプリンタであれば、AL=2μs程度である。
【0473】
〔実施の形態22〕
次に、インクを記録媒体へ吐出して印刷を行うインクジェットプリンタの回復動作時の吐出動作を改良し、実施の形態21よりも高精度かつ高速度に印刷を行うことが可能なインクジェットプリンタの実施の一形態について説明する。
【0474】
図65に示すように、インクジェットプリンタ1001は、給紙部(給紙装置)1002、分離部1003、搬送部1004、印刷部(印字部)1005および排出部1006から構成される。
【0475】
給紙部1002とは、印刷を行う際にシートPを供給するものであり、給紙トレイ1007および図示されないピックアップローラよりなる。印刷を行わない際には、シートPを保管する機能を果たす。
【0476】
分離部1003は、給紙部1002より供給されるシートPを、印刷部1005へ一枚ずつ供給するためのものであり、給紙ローラ1008および分離装置1009よりなる。分離装置1009では、パッド部分(シートとの接触部分)とシートとの摩擦が、シート間の摩擦より大きくなるように設定されている。また、給紙ローラ1008では、給紙ローラ1008とシートとの摩擦が、パッドとシートとの摩擦や、シート間の摩擦よりも大きくなるように設定されている。そのため、2枚のシートが分離部1003まで送られてきたとしても、給紙ローラ1008によって、これらのシートを分離し、上側のシートのみを搬送部1004に送ることができる。
【0477】
搬送部1004は、分離部1003より一枚ずつ供給されるシートPを、印刷部1005へと搬送するためのものであり、ガイド板1010およびローラ対1011(搬送機構)よりなる。ローラ対1011は、シートPを記録ヘッド1100とプラテン1013の間に送り込む際に、記録ヘッド1100からのインクがシートPの適切な位置に吹き付けられるように、シートPの搬送を調整する部材である。
【0478】
印刷部1005は、搬送部4のローラ対1011より供給されるシートPへ印刷を行うためのものであり、記録ヘッド1100(印字ヘッド)、記録ヘッド1100を搭載したキャリッジ1014、キャリッジ1014を案内するための部材であるガイドシャフト1015(図66参照)、および印刷時にシートPの台となるプラテン1013より構成される。
【0479】
排出部1006は、印刷が行われたシートPをインクジェットプリンタ1001の外へ排出するためのものであり、インク乾燥部(図示されない)、排出ローラ1016および排出トレイ1017よりなる。
【0480】
上記の構成において、インクジェットプリンタ1001は、次のような動作によって印刷を行う。
【0481】
まず、図示しないコンピュータ等から、画像情報に基づく印刷要求が、インクジェットプリンタ1001に対してなされる。印刷要求を受信したインクジェットプリンタ1001は、給紙トレイ1007上のシートPを、ピックアップローラによって給紙部1002より搬出する。
【0482】
次に、搬出されたシートPは、給紙ローラ1008によって分離部1003を通過し、搬送部1004へと送られる。搬送部1004では、ローラ対1011によって、シートPを記録ヘッド1012とプラテン1013の間へと送る。
【0483】
そして、印刷部1005では、記録ヘッド1012の吐出ノズルよりプラテン1013上のシートPへ、画像情報に対応してインクが吹き付けられる。この時、シートPはプラテン1013上で一端停止されている。インクを吹き付けつつ、キャリッジ1014は、ガイドシャフト1015に案内されて、主走査方向D2に渡って一ライン分走査される。それが終了すると、シートPは、プラテン1013上で副走査方向D1に一定の幅だけ移動させられる。印刷部1005において、上記処理が画像情報に対応し継続して実施されることにより、シートP全面に印刷がなされる。
【0484】
印刷が行われたシートPは、インク乾燥部を経て、排出ローラ1016によって排出トレイ1017に排出される。その後、シートPは印刷物としてユーザに提供される。
【0485】
次に、本実施の形態のインクジェットプリンタ1001の制御系について説明する。
【0486】
図67に示すように、インクジェットプリンタ1001の制御部1018は、インターフェース部1019と、メモリ1020と、画像処理部1021と、駆動系制御部1022とを備えている。
【0487】
インターフェース部1019は、外部機器と画像処理部1021および駆動系制御部1022との信号のやりとりを行う回路である。
【0488】
画像処理部1021は、インターフェース部1019からの画像情報に基づいて画像処理を行う。また、画像処理部1021は、記録ヘッド1100の駆動を制御するヘッド駆動回路1023に接続されている。
【0489】
駆動系制御部1022は、キャリッジ1014の駆動、およびシートPの搬送を制御する。具体的には、駆動系制御部1022は、キャリッジモータの駆動を制御するキャリッジ駆動回路1024、および用紙搬送モータの駆動を制御する用紙搬送駆動回路1025とに接続されている。
【0490】
以上の構成により、インクジェットプリンタは記録ヘッド1100、キャリッジ1014、用紙搬送モータ等を駆動し、印刷作業を行う。
【0491】
次に、本実施の形態の特徴点である記録ヘッド1100のインク吐出動作について説明する。
【0492】
記録ヘッド1100は、図61に示す圧電材料200と、天板300と、複数のインク室400と、駆動電極500とを備える、剪断モード型のインクジェットプリンタに用いられるものである。
【0493】
印字のための吐出動作においては、複数のインク室400は、隣り合う3つのインク室をAチャンネル、Bチャンネル、およびCチャンネルに分け3相駆動を行う。この記録ヘッド1100は、Aチャンネル・Bチャンネル・Cチャンネルのインク室の駆動電極500(容量性負荷)を、前記実施の形態5・5A・6・6Aの容量性負荷駆動回路で駆動する構成となっている。この駆動は、図63および図64を用いて詳細説明した3相駆動であり、ここでは説明を省略する。
【0494】
【発明の効果】
本発明の容量性負荷駆動回路は、以上のように、電源から供給された静電エネルギーを分割して蓄積するための複数のエネルギー蓄積素子と、上記容量性負荷と上記複数のエネルギー蓄積素子との接続を切り替えるための切り替え手段とを備え、上記切り替え手段は、容量性負荷の充電時に、上記複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーが供給されるように上記接続を切り替える一方、容量性負荷の放電時に、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーが回収されるように上記接続を切り替えるようになっている構成である。
【0495】
上記構成によれば、充電時には複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーが供給され、逆に放電時には上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーが回収されるので、回収できなかった分だけが系のエネルギー消費になり、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となる。また、エネルギー蓄積素子に蓄積された静電エネルギーをそのまま回収するので、簡素な回路構成で実現できる。したがって、上記構成は、簡素な回路構成を持ち、かつ、容量性負荷に蓄積されたエネルギーを効率良く回収・再利用することができ、消費電力を低減できるという効果を奏する。
【0496】
本発明の容量性負荷駆動回路は、以上のように、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、基準電源からの基準電源電位あるいは接地電位が基準電位が付与された基準電位端子と、上記エネルギー蓄積素子および基準電位端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記複数のエネルギー蓄積素子は、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を持つ第2のエネルギー蓄積素子とを含み、上記基準電位は、接地電位、基準電源から供給された第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、または基準電源から供給された第1の初期電位と逆極性の電位であり、上記切り替え手段は、容量性負荷を基準電位端子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっている。
【0497】
本発明の容量性負荷駆動回路は、以上のように、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、電源から電源電位が付与された電源端子と、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、上記エネルギー蓄積素子および電源端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記複数のエネルギー蓄積素子は、電源電位と同極性でかつ電源電位より絶対値の小さい第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を持つ第3のエネルギー蓄積素子とを含み、上記切り替え手段は、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっている。
【0498】
本発明の容量性負荷駆動回路は、以上のように、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、上記複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記複数のエネルギー蓄積素子は、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を持つ第2のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を持つ第3のエネルギー蓄積素子とを含み、上記切り替え手段は、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっている。
【0499】
本発明の容量性負荷駆動回路は、以上のように、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、電源から電源電位が付与された電源端子と、基準電源から供給された電源電位と異なる基準電源電位、または接地電位が基準電位として付与された基準電位端子と、基準電位と電源電位との間で、かつ互いに異なる初期電位が付与された複数の第1のエネルギー蓄積素子と、基準電位端子、複数の第1のエネルギー蓄積素子、および電源端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記切り替え手段は、基準電位端子を容量性負荷に接続した後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が基準電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧を電源電位に近づくように変化させる第1のステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2のステップと、その後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が電源電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1のステップの前とほぼ等しくなるように回生する第3のステップとを実行するようになっている。
【0500】
上記各構成によれば、容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させて容量性負荷を放電させたときに、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを、容量性負荷へのエネルギー供給前とほぼ等しくなるように回生することができる。したがって、第1のエネルギー蓄積素子が見かけ上エネルギーを消費しなくなり、高い効率で電力回生を行うことができる。
【0501】
また、上記エネルギー蓄積素子は、コンデンサであることが好ましい。
【0502】
上記の構成によれば、二次電池などより内部抵抗が小さいコンデンサを用いたことで、高効率で静電エネルギーを回収して再利用することができる。また、充放電を多数回繰り返しても劣化が小さく寿命が長いコンデンサを用いたので、長期間使用することができる。さらに、周波数特性に優れたコンデンサを用いることで、10μs程度のパルス駆動においても、効率良く静電エネルギーの回収を行うことができる。
【0503】
また、エネルギー蓄積素子の一部には、上記容量性負荷からエネルギー蓄積素子に回収した静電エネルギーを、上記容量性負荷とは異なる外部の素子に供給するためのエネルギー出力経路が接続されていてもよい。
【0504】
上記構成によれば、エネルギー蓄積素子に回収した静電エネルギーを回収先の容量性負荷とは異なる外部の素子で利用できるので、エネルギー蓄積素子に回収した静電エネルギーを効率良く再利用することができる。
【0505】
上記複数のエネルギー蓄積素子は、互いに異なる端子電圧を持ち、上記切り替え手段は、容量性負荷の充電時には、各エネルギー蓄積素子を端子電圧の絶対値の小さい方から順に容量性負荷に接続する一方、容量性負荷の放電時には、各エネルギー蓄積素子を端子電圧の絶対値の大きい方から順に容量性負荷に接続するようになっていることが好ましい。
【0506】
上記の構成によれば、エネルギー蓄積素子からの接続を端子電圧の大きさの順に順次切り替えることにより、エネルギー蓄積素子および容量性負荷の突入電流を小さく抑えることができ、エネルギー損失を低減できる。その結果、消費電力をさらに低減できる。
【0507】
上記切り替え手段は、容量性負荷の放電時に容量性負荷を端子電圧の絶対値の最も小さいエネルギー蓄積素子に接続した後、容量性負荷を接地するようになっていてもよい。
【0508】
上記構成によれば、エネルギー蓄積素子の充電前にエネルギー蓄積素子に蓄積された電荷を0にすることができるので、エネルギー蓄積素子に安定した繰り返し動作をさせることができる。
【0509】
上記切り替え手段は、容量性負荷の放電時に容量性負荷を端子電圧の絶対値の最も小さいエネルギー蓄積素子に接続した後、容量性負荷の充電を開始するまでの間、容量性負荷と最も端子電圧の小さいエネルギー蓄積素子との接続を維持するようになっていてもよい。
【0510】
上記構成によれば、容量性負荷に蓄えたエネルギーを捨てることなく保持できるので、容量性負荷に蓄えた静電エネルギーをほぼ全部回収して再利用することができる。
【0511】
また、本発明の容量性負荷駆動回路では、電源から供給された電圧を互いに異なる複数の電圧に分圧し、これら電圧を各エネルギー蓄積素子に端子電圧として供給するための分圧手段がさらに設けられていてもよい。
【0512】
上記構成によれば、容量性負荷での損失やエネルギー放出などにより、容量性負荷から静電エネルギーを回収した後でエネルギー蓄積素子の電荷量が初期値(静電エネルギー供給前の値)に復元しない場合であっても、分圧手段によりエネルギー蓄積素子の端子電圧を所定の電圧に強制的に調節することができる。その結果、極めて安定した電圧を容量性負荷に供給することができ、安定した繰り返し動作が可能となる。
【0513】
また、上記構成によれば、容量性負荷の充電時に、複数のエネルギー蓄積素子から容量性負荷に順次、異なる電圧を供給して、容量性負荷の駆動電圧を順次昇圧する一方、容量性負荷の放電時に、複数のエネルギー蓄積素子から容量性負荷に順次、異なる電圧を供給して、容量性負荷の駆動電圧を順次降圧することができる。したがって、切り替え手段の切り替えタイミングを調整することにより種々の駆動電圧波形を得ることが可能である。
【0514】
上記分圧手段は、電源から供給された電圧をn等分(nは2以上)に分圧するものであることがより好ましい。これにより、エネルギー蓄積素子および容量性負荷の突入電流をより一層小さく抑えることができ、エネルギー損失をより一層低減できる。
【0515】
上記分圧手段は、電源に対して直列に接続された複数の抵抗を含んでいてもよい。上記構成によれば、簡素な構成で分圧手段を実現できる。
【0516】
上記複数の抵抗を含む分圧手段を備える構成においては、上記抵抗とエネルギー蓄積素子との間に介在し、上記抵抗に流れる電流を増幅すると共に、各エネルギー蓄積素子の端子電圧が所定の電圧に調整されるように入力電圧と異なる電圧を出力する緩衝増幅手段をさらに備えることが好ましい。
【0517】
上記構成によれば、上記抵抗によって分圧された電圧が所定の電圧からずれた場合、例えば、容量性負荷での静電エネルギー損失や静電エネルギー放出などにより、容量性負荷から静電エネルギーを回収した後にエネルギー蓄積素子の端子電圧が初期値(静電エネルギー供給前の値)に復元しない場合であっても、緩衝増幅手段によってエネルギー蓄積素子の端子電圧を所定の電圧に正確に調整することができる。また、上記構成によれば、上記抵抗に流れる電流を低減できるので、上記抵抗によって消費される消費電力を低減できる。
【0518】
上記分圧手段は、ツェナーダイオード等の定電圧素子を含んでいてもよい。
【0519】
上記構成によれば、容量性負荷での損失やエネルギー放出などにより、容量性負荷から静電エネルギーを回収した後でエネルギー蓄積素子の電荷量が初期値(静電エネルギー供給前の値)に復元しない場合であっても、定電圧素子によりエネルギー蓄積素子の端子電圧を所定の電圧に正確に調節することができる。その結果、極めて安定した電圧を容量性負荷に供給することができ、安定した繰り返し動作が可能となる。
【0520】
上記定電圧素子を含む分圧手段は、電源と接地線との間に直列接続された複数個の定電圧素子を含み、これら定電圧素子と電源または接地線との間に抵抗が挿入されていることが好ましい。
【0521】
上記構成によれば、定電圧素子の設定電圧の総和が電源電圧と一致しない場合においても、抵抗により電圧の不一致を吸収でき、任意の電圧で安定した繰り返し動作が可能となる。
【0522】
上記定電圧素子を含む分圧手段は、電源と接地線との間に並列接続された第1の分圧器および第2の分圧器を備え、第1の分圧器および第2の分圧器はそれぞれ、定電圧素子を含み、第1の分圧器では、定電圧素子と電源との間にプルアップ抵抗が挿入されている一方、第2の分圧器では、定電圧素子と接地線との間にプルダウン抵抗が挿入されている構成であってもよい。
【0523】
上記構成によれば、定電圧素子の設定電圧の総和が電源電圧と一致しない場合においても、プルアップ抵抗およびプルダウン抵抗により電圧の不一致を吸収でき、任意の電圧で安定した繰り返し動作が可能となる。
【0524】
上記第1の分圧器および第2の分圧器を備える分圧手段では、第1の分圧器に含まれる定電圧素子の数と、第2の分圧器に含まれる定電圧素子の数との差が、1個以下であることが好ましい。
【0525】
上記構成によれば、エネルギー蓄積素子の端子電圧の安定性をさらに向上させることができ、安定した繰り返し動作が可能となる。
【0526】
上記定電圧素子を含む分圧手段を備える構成では、定電圧素子とエネルギー蓄積素子との間に、電流制限用抵抗が挿入されていることが好ましい。
【0527】
上記構成によれば、電流制限用抵抗により、急峻な容量性負荷からの電流の流出入を吸収すると共に、定電圧素子ヘ流入する電流を制限し、定電圧素子の負担を低減できる。
【0528】
また、全てのエネルギー蓄積素子の一端が、電源または接地線に接続されていることが好ましい。
【0529】
上記構成によれば、エネルギー蓄積素子を個々に分離し、干渉を防止することができるので、特定のエネルギー蓄積素子へ容量性負荷からの電流の流出入があった時に、そのエネルギー蓄積素子の電圧変化が他のエネルギー蓄積素子に影響を及ぼさない。それゆえ、エネルギー蓄積素子の端子電圧の安定性をさらに向上させることができ、安定した繰り返し動作が可能となる。
【0530】
また、本発明の容量性負荷駆動回路は、上記電源からエネルギー蓄積素子への静電エネルギーの供給を制御するスイッチング部をさらに備え、上記スイッチング部は、容量性負荷の充電前の所定期間のみ、上記電源からエネルギー蓄積素子へ静電エネルギーを供給するようになっていることが好ましい。
【0531】
上記構成によれば、所定期間のみ電源からエネルギー蓄積素子へ静電エネルギーを供給するので、常時電源からエネルギー蓄積素子へ静電エネルギーを供給する場合と比べて、容量性負荷駆動回路での消費電力を低減でき、特に、電源に対して直列に接続された複数の抵抗を含む分圧手段を備える場合における、抵抗での消費電力を低減できる。
【0532】
また、本発明の容量性負荷駆動回路は、内部の接続状態を切り替えることにより一部の容量性負荷に対して選択的に充電または放電を行わせる選択手段をさらに備えていてもよい。
【0533】
上記構成によれば、選択手段が一部の容量性負荷に対して選択的に充電または放電を行わせるので、複数の容量性負荷を異なるタイミングで駆動することができる。
【0534】
また、上記選択手段をさらに備える構成においては、複数のエネルギー蓄積素子に分配された静電エネルギーを容量性負荷へ供給するためのエネルギー供給経路と、複数のエネルギー蓄積素子から静電エネルギーを回収するためのエネルギー回収経路とが独立して設けられ、上記選択手段は、エネルギー供給経路およびエネルギー回収経路のそれぞれに設けられていることが好ましい。
【0535】
上記構成によれば、エネルギー供給経路(充電経路)とエネルギー回収経路とを独立して設けたことにより、一部の容量性負荷に対する充電と、他の容量性負荷に対する放電とを同時に行うことが可能となる。これにより、多数の容量性負荷を異なるタイミングで駆動する場合に、単位時間当たりにおける容量性負荷の動作回数を増やすことができる。それゆえ、容量性負荷を高速で動作させることができる。
【0536】
また、上記エネルギー供給経路とエネルギー回収経路とを独立して設けた構成では、エネルギー供給経路およびエネルギー回収経路の電流を整流するための整流手段をさらに備えることが好ましい。
【0537】
上記構成によれば、切り替え手段のON/OFF動作の遅延などにより、短絡電流が流れ、回路を破損することを防止できる。
【0538】
上記容量性負荷駆動回路は、インクを液滴状に吐出させるインクジェットヘッドに備えられた、インクを加圧するための圧電素子にも応用できる。
【0539】
上記の構成によれば、一般に、消費電力が大きく、誘電率が高く、キャパシタンスが大きく、負荷への充放電において高い繰り返し周波数で駆動されるインクジェットヘッドの圧電素子に対して、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となるので、特に大きな消費電力低減効果が得られる。
【0540】
本発明のインクジェットプリンタ(画像形成装置)は、以上のように、圧電素子によってインクを加圧することによりインクを液滴状に吐出させるインクジェットヘッドと、上記インクジェットヘッドの圧電素子を駆動する駆動回路とを備えるインクジェットプリンタ(画像形成装置)であって、上記駆動回路が、前記のいずれかの構成の容量性負荷駆動回路である。
【0541】
上記構成によれば、複数のエネルギー蓄積素子から順次、圧電素子へ静電エネルギーが供給され、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、圧電素子から静電エネルギーが回収されるので、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となる。したがって、上記構成は、消費電力が低減されたインクジェットプリンタ(画像形成装置)を提供できるという効果を奏する。
【0542】
本発明の容量性負荷駆動方法は、以上のように、静電エネルギーを複数のエネルギー蓄積素子に分割して蓄積する蓄積ステップと、上記複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーを供給することにより容量性負荷を充電する充電ステップと、容量性負荷を放電させ、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーを回収する回収ステップとを含む方法である。
【0543】
上記方法によれば、複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーが供給され、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーが回収されるので、高効率なエネルギー回収・再利用が可能となるという効果を奏する。
【0544】
本発明の容量性負荷駆動方法は、以上のように、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第2のエネルギー蓄積素子と、接地電位、基準電源から供給された第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、または基準電源から供給された第1の初期電位と逆極性の電位が基準電位として付与された基準電位端子とを用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位を付与すると共に、第2のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を基準電位端子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含む方法である。
【0545】
本発明の容量性負荷駆動方法は、以上のように、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、電源から電源電位が付与された電源端子と、第1のエネルギー蓄積素子および第3のエネルギー蓄積素子とを用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して電源電位と同極性でかつ電源電位より絶対値の小さい第1の初期電位を付与すると共に、第3のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含む方法である。
【0546】
本発明の容量性負荷駆動方法は、以上のように、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、第1のエネルギー蓄積素子、第2のエネルギー蓄積素子、および第3のエネルギー蓄積素子を用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して0でない第1の初期電位を付与し、第2のエネルギー蓄積素子に対して第1のエネルギー蓄積素子の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を付与し、第3のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含む方法である。
【0547】
本発明の容量性負荷駆動方法は、以上のように、容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、電源から電源電位が付与された電源端子と、基準電源から供給された電源電位と異なる基準電源電位、または接地電位が基準電位として付与された基準電位端子と、複数の第1のエネルギー蓄積素子とを用意する配設ステップと、上記複数の第1のエネルギー蓄積素子に対して、基準電位と電源電位との間で、かつ互いに異なる初期電位を付与する初期電位付与ステップと、基準電位端子を容量性負荷に接続した後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が基準電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧を電源電位に近づくように変化させる第1のステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2のステップと、その後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が電源電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1のステップの前とほぼ等しくなるように回生する第3のステップとを含む方法である。
【0548】
上記各方法によれば、エネルギー蓄積素子からの容量性負荷への充電時のエネルギーの流れと、容量性負荷からの放電時のエネルギー蓄積素子へのエネルギーの流れとを相殺でき、エネルギー損失を低減できる。その結果、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図2】図1の容量性負荷駆動回路の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はトランジスタの制御電圧の波形図、(c)はコンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図3】図2に示すタイミングチャートの一部を拡大して示すと共にスイッチの動作状態を示すものであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はスイッチの動作状態を示すタイミングチャート、(c)はトランジスタの制御電圧の波形図、(d)は、コンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図5】図4の容量性負荷駆動回路の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はトランジスタの制御電圧の波形図、(c)はコンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図6】図5に示すタイミングチャートの一部を拡大して示すと共にスイッチの動作状態を示すものであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はスイッチの動作状態を示すタイミングチャート、(c)はトランジスタの制御電圧の波形図、(d)は、コンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図8】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図9】図8の容量性負荷駆動回路の動作を示すタイミングチャートであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はトランジスタの制御電圧の波形図、(c)はコンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図10】図9に示すタイミングチャートの一部を拡大して示すと共にスイッチの動作状態を示すものであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はスイッチの動作状態を示すタイミングチャート、(c)はトランジスタの制御電圧の波形図、(d)は、コンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図11】図8の容量性負荷駆動回路の変形例に用いるエミッタフォロアの構成を示す回路図である。
【図12】図8の容量性負荷駆動回路の他の変形例に用いるエミッタフォロアの構成を示す回路図である。
【図13】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図14】図13の容量性負荷駆動回路によってコンデンサに印加される電圧の波形を示す波形図であり、(a)はA相の電圧の波形図、(b)はB相の電圧の波形図、(c)はC相の電圧の波形図である。
【図15】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図16】図15の容量性負荷駆動回路によってコンデンサに印加される電圧の波形を示す波形図であり、(a)はA相の電圧の波形図、(b)はB相の電圧の波形図、(c)はC相の電圧の波形図である。
【図17】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図18】(a)(b)共に、図17の容量性負荷駆動回路に設けられている分圧器の動作を説明するための回路図である。
【図19】図17の容量性負荷駆動回路の変形例を示す回路図である。
【図20】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図21】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図22】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図23】本発明の実施の一形態に係るインクジェットプリンタ(画像形成装置)の要部を示す斜視図である。
【図24】図3のインクジェットプリンタ(画像形成装置)が備えるインクジェットヘッドの構成を示す断面図である。
【図25】従来の容量性負荷駆動回路の一例を示す図であり、(a)は容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図、(b)(c)は容量性負荷駆動回路が備える2つのトランジスタの動作を制御する制御電圧の波形図、(d)は駆動されるコンデンサの端子電圧の波形図、(e)は容量性負荷駆動回路の抵抗に流れる電流の波形図である。
【図26】従来の容量性負荷駆動回路の一例を示す回路図である。
【図27】(a)〜(e)は図26に示す従来の容量性負荷駆動回路の動作を説明するための回路図である。
【図28】従来の容量性負荷駆動回路の他の一例を示す回路図である。
【図29】図28に示す従来の容量性負荷駆動回路の動作を説明するための波形図であり、容量性負荷の端子電圧およびスイッチの状態を示している。
【図30】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図31】(a)〜(e)は、図30に示す容量性負荷駆動回路の動作を説明するための回路図である。
【図32】(a)〜(d)は、図30に示す容量性負荷駆動回路の動作を説明するための回路図である。
【図33】図30に示す容量性負荷駆動回路の動作を説明するための波形図である。
【図34】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図35】(a)〜(f)は、図34に示す容量性負荷駆動回路の動作を説明するための回路図である。
【図36】図34に示す容量性負荷駆動回路によって発生されるパルスの一例の波形を示す波形図である。
【図37】図34に示す容量性負荷駆動回路によって発生されるパルスの他の一例の波形を示す波形図である。
【図38】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図39】図38に示す容量性負荷駆動回路によって発生されるパルスの一例の波形を示す波形図である。
【図40】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図41】図40に示す容量性負荷駆動回路によって発生されるパルスの一例の波形を示す波形図である。
【図42】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図43】図42に示す容量性負荷駆動回路によって発生されるパルスの一例の波形を示す波形図である。
【図44】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図45】図44に示す容量性負荷駆動回路によって発生されるパルスの一例の波形を示す波形図である。
【図46】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図47】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図48】図47に示す容量性負荷駆動回路によって発生されるパルスの一例の波形を示す波形図である。
【図49】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図50】本発明の原理を説明するための回路図の1つである。
【図51】本発明の原理を説明するための図の1つであり、(a)は電圧変化を示すグラフ、(b)は電流変化を示すグラフである。
【図52】本発明の原理を説明するための他の回路図である。
【図53】本発明の原理を説明するための他の回路図である。
【図54】本発明にかかる容量性負荷駆動回路における1つのコンデンサから容量性負荷へのエネルギー供給を模式的に表した図である。
【図55】コンデンサからのエネルギー供給による容量性負荷の電圧変化を示すグラフである。
【図56】(a)は1つのコンデンサからのエネルギー供給による容量性負荷の電圧変化を示すグラフであり、(b)は本発明にかかる容量性負荷駆動回路における複数のコンデンサからのエネルギー供給による容量性負荷の電圧変化を示すグラフであり、いずれも、コンデンサからのスイッチング時間(Ts)が時定数(R・Cd)より短い場合を示す。
【図57】(a)は1つのコンデンサからのエネルギー供給による容量性負荷の電圧変化を示すグラフであり、(b)は本発明にかかる容量性負荷駆動回路における複数のコンデンサからのエネルギー供給による容量性負荷の電圧変化を示すグラフであり、いずれも、スイッチング時間(Ts)が時定数と等しい場合を示す。
【図58】(a)は1つのコンデンサからのエネルギー供給による容量性負荷の電圧変化を示すグラフであり、(b)は本発明にかかる容量性負荷駆動回路における複数のコンデンサからのエネルギー供給による容量性負荷の電圧変化を示すグラフであり、いずれも、、スイッチング時間(Ts)が時定数より長い場合を示す。
【図59】本発明の実施の一形態にかかる容量性負荷駆動回路を用いた表示装置を示す図である。
【図60】本発明の実施の一形態にかかる容量性負荷駆動回路を用いた直流−交流変換器を示す図である。
【図61】記録ヘッドにおける一部分を記録媒体側から見た状態で示した平面図である。
【図62】記録ヘッドの縦断面図である。
【図63】(a)〜(c)は、図62の記録ヘッドの動作を説明するための断面図である。
【図64】図62の記録ヘッドの動作を説明するためのパルス波形図である。
【図65】本発明の他の実施の形態にかかる容量性負荷駆動回路を用いたインクジェットプリンタ(画像形成装置)を示す断面図である。
【図66】本発明の他の実施の形態にかかる容量性負荷駆動回路を用いたインクジェットプリンタ(画像形成装置)を示す斜視図である。
【図67】図65のインクジェットプリンタ(画像形成装置)の制御系を示すブロック図である。
【図68】本発明の実施の一形態にかかる容量性負荷駆動回路において繰り返し容量性負荷の充放電を行ったときのエネルギー蓄積素子の電圧変化を示す図である。
【図69】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図70】図69の容量性負荷駆動回路の動作例を示すタイミングチャートであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はスイッチの制御電圧の波形図、(c)はコンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図71】図69の容量性負荷駆動回路の他の動作例を示すタイミングチャートであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はスイッチの動作状態を示すタイミングチャート、(c)はスイッチ(切り替え手段)の制御電圧の波形図、(d)は、コンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図72】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図73】図72の容量性負荷駆動回路の動作例を示すタイミングチャートであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はスイッチの制御電圧の波形図、(c)はコンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図74】図72の容量性負荷駆動回路の他の動作例を示すタイミングチャートであり、(a)は同期信号の波形図、(b)はスイッチ(切り替え手段)の動作状態を示すタイミングチャート、(c)はスイッチの制御電圧の波形図、(d)は、コンデンサへの印加電圧の波形図である。
【図75】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図76】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図77】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図78】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図79】本発明のさらに他の実施の形態に係る容量性負荷駆動回路の構成を示す回路図である。
【図80】(a)(b)共に、図79の容量性負荷駆動回路に設けられている分圧器の動作を説明するための回路図である。
【図81】本発明の実施の一形態に係る容量性負荷駆動方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 容量性負荷駆動回路
2a〜2i コンデンサ(エネルギー蓄積素子)
3 蓄電器
4 抵抗
5 分圧器(分圧手段)
6 トランジスタ(スイッチング部)
7 スイッチ(切り替え手段)
9 電源端子
11 コンデンサ(容量性負荷)
11A・11B・11C コンデンサ(容量性負荷)
15 エネルギー出力経路
16 トランジスタ(スイッチング部)
16A スイッチ(スイッチング部)
17 スイッチ(切り替え手段)
20 容量性負荷駆動回路
21 圧電素子(容量性負荷)
23 インクジェットヘッド
30 容量性負荷駆動回路
31,31A バッファ回路(緩衝増幅手段)
32 エミッタフォロア
33 エミッタフォロア
34 エミッタフォロア
35 プッシュプル
37a・38a・39a 充電経路(エネルギー供給経路)
37b・38b・39b 放電経路(エネルギー回収経路)
40 容量性負荷駆動回路
50 スイッチング回路(切り替え手段)
60 スイッチング回路(切り替え手段)
62 選択回路(選択手段)
64 選択回路(選択手段)
65 整流ダイオード(整流手段)
66 整流ダイオード(整流手段)
67A・67B・67C トランジスタ
68A・68B・68C トランジスタ
70 容量性負荷駆動回路
71 整流ダイオード(整流手段)
72 整流ダイオード(整流手段)
81 容量性負荷駆動回路
82A〜82E コンデンサ(エネルギー蓄積素子)
83 蓄電器
84A〜84E ツェナーダイオード(定電圧手段、定電圧素子)
85 分圧器(分圧手段)
87 スイッチング回路(切り替え手段)
91〜96 スイッチ
97 電源線
98 接地線
100 容量性負荷駆動回路
101A〜101E コンデンサ
102 緩衝回路
103・104・105・106 電流制限用抵抗
107 変動調整部
108 プルアップ抵抗(抵抗)
110 容量性負荷駆動回路
111 プルアップ抵抗
112 プルダウン抵抗
113 分圧器
113A 第1の分圧器
113B 第2の分圧器
120 容量性負荷駆動回路
121〜124 コンデンサ(エネルギー蓄積素子)
130 容量性負荷駆動回路
210 インクジェットプリンタ(画像形成装置)
301,302,303,304,305,601 容量性負荷駆動回路
309,319,329,339 電力源(電源、直流電源)
311 容量性負荷
C(0) 接地端子(基準電位端子)
C(1)〜C(3),C(0)〜C(N) コンデンサ(エネルギー蓄積素子)
S(0)〜S(4),S(0)〜S(N) スイッチング素子(切り替え手段)
R(1)〜R(N−1) 抵抗回路
SW1〜SW9,SW12〜SW16 スイッチ(スイッチング部)

Claims (34)

  1. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、電源から供給された静電エネルギーを分割して蓄積するための複数のエネルギー蓄積素子と、上記容量性負荷と上記複数のエネルギー蓄積素子との接続を切り替えるための切り替え手段とを備え、上記切り替え手段は、容量性負荷の充電時に、上記複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーが供給されるように上記接続を切り替え、容量性負荷の放電時に、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーが回収されるように上記接続を切り替えるようになっていることを特徴とする容量性負荷駆動回路。
  2. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、基準電源からの基準電源電位あるいは接地電位が付与された基準電位端子と、上記エネルギー蓄積素子および基準電位端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、
    上記複数のエネルギー蓄積素子は、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を持つ第2のエネルギー蓄積素子とを含み、
    上記基準電位は、接地電位、基準電源から供給された第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、または基準電源から供給された第1の初期電位と逆極性の電位であり、
    上記切り替え手段は、容量性負荷を基準電位端子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、
    その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、
    その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを
    実行するようになっていることを特徴とする容量性負荷駆動回路。
  3. 上記基準電位端子は、接地電位を有する接地端子であり、上記切り替え手段は、接地端子および複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するために、接地端子および複数のエネルギー蓄積素子と容量性負荷との間にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子であり、複数のエネルギー蓄積素子のうち、少なくとも、最も絶対値の大きい初期電位を持つエネルギー蓄積素子は、直接または間接的に電源に接続されていることを特徴とする請求項2記載の容量性負荷駆動回路。
  4. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、電源から電源電位が付与された電源端子と、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、上記エネルギー蓄積素子および電源端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記複数のエネルギー蓄積素子は、電源電位と同極性でかつ電源電位より絶対値の小さい第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を持つ第3のエネルギー蓄積素子とを含み、上記切り替え手段は、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっていることを特徴とする容量性負荷駆動回路。
  5. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、異なる複数の初期電位が付与された複数のエネルギー蓄積素子と、上記複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記複数のエネルギー蓄積素子は、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を持つ第2のエネルギー蓄積素子と、第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を持つ第3のエネルギー蓄積素子とを含み、上記切り替え手段は、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを実行するようになっていることを特徴とする容量性負荷駆動回路。
  6. 接地電位を有する接地端子をさらに備え、上記切り替え手段は、接地端子および複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するために、接地端子および複数のエネルギー蓄積素子と容量性負荷との間にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子であり、複数のエネルギー蓄積素子のうち、少なくとも、最も絶対値の大きい初期電位を持つエネルギー蓄積素子は、直接または間接的に電源に接続されていることを特徴とする請求項5記載の容量性負荷駆動回路。
  7. 上記切り替え手段は、複数のエネルギー蓄積素子を選択的に容量性負荷と接続するために、複数のエネルギー蓄積素子と容量性負荷との間にそれぞれ設けられた複数のスイッチング素子であり、複数のエネルギー蓄積素子のうち、少なくとも、最も絶対値の大きい初期電位を持つエネルギー蓄積素子は、直接または間接的に電源に接続されていることを特徴とする請求項5記載の容量性負荷駆動回路。
  8. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動回路において、電源から電源電位が付与された電源端子と、基準電源から供給された電源電位と異なる基準電源電位、または接地電位が基準電位として付与された基準電位端子と、基準電位と電源電位との間で、かつ互いに異なる初期電位が付与された複数の第1のエネルギー蓄積素子と、基準電位端子、複数の第1のエネルギー蓄積素子、および電源端子を選択的に容量性負荷と接続するための切り替え手段とを備え、上記切り替え手段は、基準電位端子を容量性負荷に接続した後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が基準電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧を電源電位に近づくように変化させる第1のステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2のステップと、その後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が電源電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1のステップの前とほぼ等しくなるように回生する第3のステップとを実行するようになっていることを特徴とする容量性負荷駆動回路。
  9. 容量性負荷への充放電による第1のエネルギー蓄積素子の電圧のドリフトを防止するために第1のエネルギー蓄積素子にエネルギーを注入する直流電源が、抵抗回路を介して第1のエネルギー蓄積素子に接続されていることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  10. 上記各エネルギー蓄積素子が、正極性の初期電位を持つことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  11. 上記各エネルギー蓄積素子が、負極性の初期電位を持つことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  12. 請求項10に記載の容量性負荷駆動回路と、請求項11に記載の容量性負荷駆動回路とを並列接続してなることを特徴とする容量性負荷駆動回路。
  13. 上記複数のエネルギー蓄積素子は、互いに異なる端子電圧を持ち、上記切り替え手段は、容量性負荷の充電時には、各エネルギー蓄積素子を端子電圧の絶対値が小さい方から順に容量性負荷に接続する一方、容量性負荷の放電時には、各エネルギー蓄積素子を端子電圧の絶対値が大きい方から順に容量性負荷に接続するようになっていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  14. 上記エネルギー蓄積素子は、コンデンサであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  15. エネルギー蓄積素子の一部には、上記容量性負荷からエネルギー蓄積素子に回収した静電エネルギーを、上記容量性負荷とは異なる外部の素子に供給するためのエネルギー出力経路が接続されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  16. 上記切り替え手段は、容量性負荷の放電時に容量性負荷を端子電圧の絶対値が最も小さいエネルギー蓄積素子に接続した後、容量性負荷を接地するようになっていることを特徴とする請求項15記載の容量性負荷駆動回路。
  17. 上記切り替え手段は、容量性負荷の放電時に容量性負荷を端子電圧の絶対値が最も小さいエネルギー蓄積素子に接続した後、容量性負荷の充電を開始するまでの間、容量性負荷と端子電圧の絶対値が最も小さいエネルギー蓄積素子との接続を維持するようになっていることを特徴とする請求項14記載の容量性負荷駆動回路。
  18. 電源から供給された電圧を互いに異なる複数の電圧に分圧し、これら電圧を各エネルギー蓄積素子に端子電圧として供給するための分圧手段がさらに設けられていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  19. 上記分圧手段からエネルギー蓄積素子への電圧の供給を制御するスイッチング部をさらに備え、上記スイッチング部は、容量性負荷の充電前の所定期間のみ接続状態となるように構成されていることを特徴とする請求項18記載の容量性負荷駆動回路。
  20. 上記分圧手段は、電源に対して直列に接続された複数の抵抗を含んでいることを特徴とする請求項18記載の容量性負荷駆動回路。
  21. 上記抵抗とエネルギー蓄積素子との間に介在し、上記抵抗に流れる電流を増幅すると共に、各エネルギー蓄積素子の端子電圧が所定の電圧に調整されるように入力電圧と異なる電圧を出力する緩衝増幅手段をさらに備えることを特徴とする請求項20記載の容量性負荷駆動回路。
  22. 上記分圧手段は、分圧された電圧を安定化させるための定電圧手段を含むことを特徴とする請求項18記載の容量性負荷駆動回路。
  23. 定電圧手段とエネルギー蓄積素子との間に、電流制限用抵抗が挿入されていることを特徴とする請求項22に記載の容量性負荷駆動回路。
  24. 全てのエネルギー蓄積素子の一端が電源または接地線に接続されていることを特徴とする請求項1から23のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  25. 上記容量性負荷は、インクを液滴状に吐出させるインクジェットヘッドに備えられた、インクを加圧するための圧電素子であることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  26. 上記容量性負荷は、静電的吸引力を利用してインクを液滴状に吐出させる静電方式のインクジェットヘッドに備えられた静電駆動電極であることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路。
  27. 請求項1から26のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路と、この容量性負荷駆動回路によって充放電される容量性負荷とを備える装置であって、上記エネルギー蓄積素子の静電容量成分が、容量性負荷の静電容量の100倍以上であることを特徴とする装置。
  28. 容量性負荷としての静電駆動電極または圧電素子によってインクを加圧することによりインクを液滴状に吐出させるインクジェットヘッドと、上記インクジェットヘッドの静電駆動電極または圧電素子を駆動する駆動回路とを備える画像形成装置において、上記駆動回路が、請求項1から24のいずれか1項に記載の容量性負荷駆動回路であることを特徴とする画像形成装置。
  29. 上記インクジェットヘッドは、圧電素子によってインクを加圧することによりインクを液滴状に吐出させるものであり、上記駆動回路は、インクジェットヘッドの圧電素子を駆動するものであることを特徴とする請求項28記載の画像形成装置
  30. 容量性負荷を充放電させる容量性負荷駆動方法において、静電エネルギーを複数のエネルギー蓄積素子に分割して蓄積する蓄積ステップと、上記複数のエネルギー蓄積素子から順次、容量性負荷へ静電エネルギーを供給することにより容量性負荷を充電する充電ステップと、容量性負荷を放電させ、上記複数のエネルギー蓄積素子に順次、容量性負荷から静電エネルギーを回収する回収ステップとを含むことを特徴とする容量性負荷駆動方法。
  31. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、0でない第1の初期電位を持つ第1のエネルギー蓄積素子と、第2のエネルギー蓄積素子と、接地電位、基準電源から供給された第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、または基準電源から供給された第1の初期電位と逆極性の電位が基準電位として付与された基準電位端子とを用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位を付与すると共に、第2のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を基準電位端子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含むことを特徴とする容量性負荷駆動方法。
  32. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、電源から電源電位が付与された電源端子と、第1のエネルギー蓄積素子および第3のエネルギー蓄積素子とを用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して電源電位と同極性でかつ電源電位より絶対値の小さい第1の初期電位を付与すると共に、第3のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含むことを特徴とする容量性負荷駆動方法。
  33. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、第1のエネルギー蓄積素子、第2のエネルギー蓄積素子、および第3のエネルギー蓄積素子を用意するステップと、第1のエネルギー蓄積素子に対して0でない第1の初期電位を付与し、第2のエネルギー蓄積素子に対して第1のエネルギー蓄積素子の初期電位より絶対値の大きい第2の初期電位を付与し、第3のエネルギー蓄積素子に対して第1の初期電位と同極性でかつ第1の初期電位より絶対値の小さい電位、接地電位、または第1の初期電位と逆極性の電位である第3の初期電位を付与する初期電位付与ステップと、容量性負荷を第3のエネルギー蓄積素子と選択的に接続した後に第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧を第1の初期電位に近づくように変化させる第1の充電ステップと、その後に容量性負荷を第2のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2の充電ステップと、その後に容量性負荷を第1のエネルギー蓄積素子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1の充電ステップの前とほぼ等しくなるように回生する放電ステップとを含むことを特徴とする容量性負荷駆動方法。
  34. 容量性負荷を充放電させるための容量性負荷駆動方法において、電源から電源電位が付与された電源端子と、基準電源から供給された電源電位と異なる基準電源電位、または接地電位が基準電位として付与された基準電位端子と、複数の第1のエネルギー蓄積素子とを用意する配設ステップと、上記複数の第1のエネルギー蓄積素子に対して、基準電位と電源電位との間で、かつ互いに異なる初期電位を付与する初期電位付与ステップと、基準電位端子を容量性負荷に接続した後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が基準電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧を電源電位に近づくように変化させる第1のステップと、その後に容量性負荷を電源端子と選択的に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を増大させる第2のステップと、その後に各第1のエネルギー蓄積素子をその初期電位が電源電位に近い方から順に容量性負荷に接続することで容量性負荷の端子電圧の絶対値を減少させると共に、第1のエネルギー蓄積素子の蓄積静電エネルギーを第1のステップの前とほぼ等しくなるように回生する第3のステップとを含むことを特徴とする容量性負荷駆動方法。
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