JP2003170587A - 駆動パルス生成回路と駆動パルス生成回路を用いたインクジェット記録装置 - Google Patents

駆動パルス生成回路と駆動パルス生成回路を用いたインクジェット記録装置

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JP2003170587A
JP2003170587A JP2001371732A JP2001371732A JP2003170587A JP 2003170587 A JP2003170587 A JP 2003170587A JP 2001371732 A JP2001371732 A JP 2001371732A JP 2001371732 A JP2001371732 A JP 2001371732A JP 2003170587 A JP2003170587 A JP 2003170587A
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drive pulse
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cockcroft
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JP2001371732A
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Koichi Fujita
浩一 藤田
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成により連続的に安定した複数の電
圧を生成することを可能にするインクジェット記録装置
の駆動パルス生成回路を提供することにある。 【解決手段】 圧電体32における電気機械変換の効果
を利用して用紙に印刷を行うインクジェットプリンタに
用いられる駆動パルス生成回路40において、上記圧電
体32へ印加される駆動パルス電圧の供給源としてコッ
ククロフト・ウォルトン型電源回路41を用い、上記コ
ッククロフト・ウォルトン型電源回路41の各段から電
圧を取り出し可能とすると共に、上記各段からの出力電
圧を選択的に出力することで駆動パルスを生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動パルスを印加
することにより体積が変化する圧電体を用いたインクジ
ェット記録装置に用いられる駆動パルス生成回路に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】記録媒体に印刷を行うインクジェットヘ
ッドのインクを吐出する手法は、基本的には、インクジ
ェットヘッドに設けられたノズルの先端からインクを吐
出するものである。上記ノズルは、インクジェットヘッ
ドに並べた複数のチャンネルのそれぞれの底部に設けら
れている。具体的には、極めて短時間、上記チャンネル
を加圧し、加圧されたチャンネル内のインクが、チャン
ネルの底部にある細いノズルから、1個のインク滴とな
って吐出されるというものである。
【0003】上記チャンネルの加圧方法として、駆動パ
ルスを印加することにより体積が変化する電歪素子であ
る圧電体を用いて圧力を発生する方法が知られている。
すなわち、上記圧電体により隔てられた複数のチャンネ
ルを有し、そのチャンネルの両壁面上に形成された駆動
電極に吐出駆動パルスあるいは非吐出駆動パルスを選択
的に印加することによりチャンネルを拡張/収縮させイ
ンク吐出動作を行うという方法である。
【0004】ところで、上記駆動パルスの波形を図5
(a)に示すような方形型クロックパルスではなくて、
図5(b)に示す、段階的に電圧の立ち上げおよび立ち
下げを行ったパルス(以下、疑似的台形型パルスとす
る)にすることが好ましい。これは、方形型パルスで
は、急峻に立ち上がる時および急峻に立ち下がる時に集
中して駆動電極および周辺回路に電流が流れるため、共
通電極および周辺回路の抵抗成分によって余分な熱が発
生するためである。ここで、疑似的台形型パルスを印加
すれば、パルスの立ち上がりと立ち下がりは一定の勾配
をもって印加される。したがって、疑似的台形型パルス
は方形型パルスと比べて集中して電流が流れるようなこ
とはなく、駆動電極およびその周辺回路の発熱ロスを少
なくすることができる。
【0005】上記疑似的台形型パルスを生成する方法と
しては、複数種類の電圧をそれぞれ準備し、パルスを印
加する際にパルス電圧を段階的に立ち上げ、印加を停止
する際も段階的に立ち下げるという方法がある。なお、
直流電源を使用するインクジェット記録装置の場合は、
電圧を高圧にするためにDC−DCコンバータが使用さ
れるのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、1種類の電
圧を発生させる毎に、1つの電源回路が必要となる。す
なわち、上記従来の方法では、複数種類の電圧を発生さ
せるために複数の電源が必要となり、その方法を実施す
るための電源回路が複雑なものとなるという問題が生じ
ていた。一方直流電源を使用するインクジェット記録装
置の場合、高圧電源を発生させるためのDC−DCコン
バータが必要となるが、DC−DCコンバータの回路自
体がコンデンサ、抵抗、コイル、スイッチングトランジ
スタなどから構成されているので、この場合も電源回路
が複雑なものとなるという問題が生じていた。このよう
に、回路が複雑な構成となれば、電源回路に供給される
電力に大幅なロスが生じるという問題も生じる。
【0007】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、その目的は、圧電体における電気機械
変換の効果を利用して記録媒体に印刷を行うインクジェ
ット記録装置に用いられる駆動パルス生成回路におい
て、簡単な構成により連続的に安定した複数の電圧を生
成することを可能にする駆動パルス生成回路とこれを用
いたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る駆動パルス
生成回路は、上記の課題を解決するために、圧電体にお
ける電気機械変換の効果を利用して記録媒体に印刷を行
うインクジェット記録装置に用いられる駆動パルス生成
回路において、上記圧電体へ印加される駆動パルス電圧
の供給源としてコッククロフト・ウォルトン型電源回路
を用い、上記コッククロフト・ウォルトン型電源回路の
各段から電圧を取り出し可能とすると共に、上記各段か
らの出力電圧を選択的に出力することで駆動パルスを生
成することを特徴とする。
【0009】上記コッククロフト・ウォルトン型電源回
路とは、交流電流が与えられた際に、該交流電流の1サ
イクル毎にその電圧を段階的に昇圧させることができる
回路である。そして、上記駆動パルス生成回路は、上記
コッククロフト・ウォルトン型電源回路の上記昇圧され
る各段からその昇圧電圧を出力可能(マルチタップ)な
構成となっている。
【0010】上記の構成によれば、上記コッククロフト
・ウォルトン型電源回路は複数の出力タップを含んでい
るので、電源から出力した電圧を、上記電圧の整数倍の
電圧、すなわち異なる複数の電圧として出力することが
できる。
【0011】そして、各段階毎に昇圧させた順序に電圧
を上記圧電体に印加した後、昇圧させた順序と逆の順序
で印加した電圧を降圧させる駆動パルスを生成する。つ
まり、駆動パルスを急峻に立ち上げたり、立ち下げたり
することがないので、圧電体の周辺回路における発熱ロ
スを抑制することができる。
【0012】すなわち、コッククロフト・ウォルトン型
電源回路とマルチタップとの組み合わせにより複数の異
なる電圧を発生させることができるので、電源回路を複
数設ける必要がなく、駆動パルス生成回路の構成を簡単
にし、コストダウンを図ることができる。これにより、
簡単な構成で連続的に安定した複数の電圧を生成するこ
とを可能にする駆動パルス生成回路を提供することがで
きる。
【0013】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、コック
クロフト・ウォルトン型電源回路は、正負両極性の電圧
を取り出し可能であることを特徴とする。
【0014】上記の構成によれば、正負両極性の電圧を
取り出すことができるので、圧電体の駆動パルスに限ら
ず、例えば、特定の圧電体に駆動パルスを印加するため
の圧電体を選択するスイッチ(半導体素子としてのアナ
ログスイッチ)を制御するための供給電圧も取り出すこ
とができる。よって、上記供給電圧を生成するための電
源回路を別途設ける必要がなく、回路構造を単純にする
ことが可能となる。
【0015】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、コック
クロフト・ウォルトン型電源回路は、複数の圧電体から
駆動パルスが印加させる圧電体を選択するスイッチを制
御するための供給電圧を出力し、上記供給電圧は正負両
極性の電圧からなり、駆動パルスを生成するための電圧
と同極性の供給電圧は、駆動パルスを生成するための電
圧よりも昇圧させる段階が多いことを特徴とする。
【0016】上記スイッチを制御するための供給電圧に
は、正負両極性の電圧(ハイレベルとローレベル)が必
要である。また、上記供給電圧は、圧電体を駆動するた
めの駆動パルスの供給状態を制御する機能をもつため、
圧電体を駆動するための駆動パルスに用いられる電圧と
同極性の供給電圧は、圧電体を駆動するための駆動パル
スに用いられる電圧よりも高電圧にする必要がある。こ
のようにしなければ、上記スイッチが誤動作するかある
いは破壊してしまうことがあり得るからである。
【0017】ここで、上記構成によれば、電圧を段階的
に昇圧させることができるため、圧電体を駆動する駆動
パルスを生成するための電圧よりも、駆動パルスを生成
するための電圧と同極性の供給電圧の方を高電圧とする
構成をとることができ、上記した危険性を回避すること
が可能となる。
【0018】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、コック
クロフト・ウォルトン型電源回路から接地電位を直接的
に取り出す段が備えられていることを特徴とする。
【0019】従来、例えば、駆動電圧が正電圧の場合、
上記スイッチには単一の正電圧が供給されていた。とこ
ろがこの場合、圧電体への外部からの衝撃や配線への誘
導ノイズなどにより接地電位よりも駆動パルスの電圧の
電位が低くなった場合、上記スイッチがラッチアップ
し、誤動作するかあるいは破壊される可能性がある。
【0020】ここで、上記の構成によれば、コッククロ
フト・ウォルトン型電源回路から接地電位を取り出すこ
とができるので、コッククロフト・ウォルトン型電源回
路にて各段階毎に昇圧される電圧を接地電位と異なる電
位にすることができる。これにより、各段階毎に昇圧さ
れる電圧を接地電位に切りかえる場合において電位の逆
転が発生しないので、上記スイッチにおいて、ラッチア
ップを未然に防止できる。なお、ラッチアップとは、端
子電圧がある値を越えると回路動作が阻害されたり破壊
されたりする現象をいう。
【0021】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、圧電体
を駆動するための駆動パルスを生成するために用いられ
る電圧を出力する段の容量よりも、供給電圧を出力する
段の容量の方が大きいことを特徴とする。
【0022】上記構成によれば、圧電体を駆動するため
の駆動パルスを生成するために用いられる電圧を出力す
る出力段の容量よりも、スイッチを制御するための供給
電圧を出力する出力段の容量の方が大きい。これによ
り、圧電体を駆動することによって生じる駆動パルスの
変動が、スイッチを制御するための電圧を出力する出力
段に伝わりにくくなる。したがって、安定したスイッチ
ングを行うことができる。
【0023】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、コック
クロフト・ウォルトン型電源回路へ供給される電圧の振
幅値を変化する振幅値変化手段が備えられていることを
特徴とする。
【0024】上記構成によれば、上記コッククロフト・
ウォルトン型回路は、供給された交流電圧を、上記交流
電圧の整数倍の電圧、すなわち異なる複数の電圧として
出力することができる。
【0025】したがって、電源から出力する交流電圧の
振幅値を変化する振幅値変化手段を備えることにより、
駆動パルス生成に用いられる異なる複数の電圧を均等倍
率で調整することが可能となる。
【0026】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、直流電
源から疑似的な交流波形を作成するスイッチング手段を
備え、上記スイッチング手段を制御することにより、上
記コッククロフト・ウォルトン型電源回路へ供給される
電圧を制御することを特徴とする。
【0027】上記の構成によれば、直流電源をスイッチ
ングすることで上記駆動パルス生成回路をモバイルプリ
ンタなどの直流電源に適用することができる。そして、
スイッチングの点弧角を制御するという簡単な構成で広
い電圧範囲を確保できる。
【0028】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、複数の
出力タップから出力される段階状の切替電圧出力を平滑
化した後に圧電体の駆動パルスを出力する台形波形生成
部を備えることを特徴とする。
【0029】ステップ状の電圧波形の駆動パルスを圧電
体に印加すると、圧電体への充電電流および放電電流が
スパイク状となり、充放電経路の抵抗成分による電力消
費並びに発熱が大きなものとなる。それを防止するため
に、従来から上記台形波形生成部により、台形波状の駆
動パルスを作成していた。
【0030】ところが、従来は、固定電源電圧より台形
波状の駆動パルスを直接作っており台形波形生成部での
電力ロスが大きかった。これに対して、本発明では、台
形波形生成部としては同じものを用いたとしても、段階
的に昇圧および降圧させた駆動パルスの入力波形がすで
にほぼ台形波状となっており、従来と比べて台形波形生
成部での発熱、すなわちエネルギーロスが抑えられる。
【0031】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記記
載の駆動パルス生成回路と、電気エネルギーの作用によ
り形状を変化させる圧電体からなるインク吐出ノズルと
を備え、上記駆動パルス生成回路が出力する駆動パルス
を上記圧電体に印加することで、上記ノズル内に発生す
る圧力の作用によりインクを吐出することを特徴とす
る。
【0032】電気エネルギーの作用により形状を変化さ
せる圧電体に駆動パルスを印加する際、周辺回路の発熱
を防ぐために、駆動パルスの立ち上げおよび立ち下げを
滑らかに行う必要がある。
【0033】ここで、上記構成によれば、上記駆動パル
ス生成回路を適用することにより、単一の電源で、駆動
パルスの立ち上げおよび立ち下げを滑らかに行うことが
できるので、簡単な構成かつ低コストで、圧電体の周辺
回路における発熱ロスを抑制することができるインクジ
ェット記録装置を提供することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の
一形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば以
下の通りである。
【0035】本発明の実施の一形態であるインクジェッ
トプリンタ(インクジェット記録装置)1は、画像印刷
を行うための用紙(記録媒体)に対し、画像データに応
じてインクを吹き付けることにより印刷を行う装置であ
る。
【0036】まず、インクジェットプリンタ1の要部の
構成を透視斜視図として図2に、透視側面図として図3
に示す。インクジェットプリンタ1は、給紙部2、分離
部3、搬送部4、印刷部5および排出部6から構成され
る。
【0037】給紙部2とは、印刷を行う際に用紙Pを供
給するものであり、給紙トレイ7および図示されないピ
ックアップローラよりなる。印刷を行わない際には、用
紙Pを保管する機能を果たす。
【0038】分離部3は、給紙部2より供給される用紙
Pを、印刷部5へ一枚ずつ供給するためのものであり、
給紙ローラ8および分離装置9よりなる。分離装置9で
は、パッド部分(シートとの接触部分)とシートとの摩
擦が、用紙間の摩擦より大きくなるように設定されてい
る。また、給紙ローラ8では、給紙ローラ8と用紙Pと
の摩擦が、パッドと用紙Pとの摩擦や、用紙P間の摩擦
よりも大きくなるように設定されている。そのため、2
枚の用紙Pが分離部3まで送られてきたとしても、給紙
ローラ8によって、これらの用紙Pを分離し、上側の用
紙Pのみを搬送部4に送ることができる。
【0039】搬送部4は、分離部3より一枚ずつ供給さ
れる用紙Pを、印刷部5へと搬送するためのものであ
り、ガイド板10およびローラ対11よりなる。ローラ
対11は、用紙Pを印刷部5に送り込む際に、インクが
用紙Pの適切な位置に吹き付けられるように、用紙Pの
搬送を調整する部材である。
【0040】印刷部5は、搬送部4のローラ対11より
供給される用紙Pへ印刷を行うためのものであり、イン
クジェットヘッド(インク吐出ノズル)12とインクタ
ンク13とを搭載したキャリッジ14、キャリッジ14
を摺動可能に支持するシャフト15、キャリッジを用紙
Pの搬送方向(副走査方向,図2、図3のZ方向)に直
交する方向(主走査方向,図2のXY方向))に移動さ
せるためのタイミングベルト16、および印刷時に用紙
Pの台となるプラテン17より構成される。ここで、イ
ンクジェットヘッド12(以下、ヘッド12とする。)
の構造について説明する。ヘッド12は、ヘッド12に
設けられたノズルの先端からインクを吐出するものであ
る。上記ノズルは、ヘッド12に並べた複数のチャンネ
ルのそれぞれの底部に設けられている。具体的には、極
めて短時間、上記チャンネルを加圧し、加圧されたチャ
ンネル内のインクが、チャンネルの底部にある細いノズ
ルから、インク滴となって吐出されるというものであ
る。つぎに、インク吐出動作を詳細に説明する。上記チ
ャンネルには圧電体が用いられているので、上記チャン
ネルに駆動パルスを印加することで、上記チャンネルの
体積を変化させることができ、これにより圧力を発生さ
せるものである。すなわち、上記チャンネルの両壁面上
に形成された駆動電極に吐出駆動パルスあるいは非吐出
駆動パルスを選択的に印加することにより、上記圧電体
により隔てられた複数のチャンネルを拡張/収縮させイ
ンク吐出動作を行う。
【0041】排出部6は、印刷が行われた用紙Pをイン
クジェットプリンタ1の外へ排出するためのものであ
り、図示しないインク乾燥部、排出ローラ18および排
出トレイ19よりなる。
【0042】つぎに、インクジェットプリンタ1の電気
回路を、図4に示すブロック図に基づいて説明する。図
4に示すようにインクジェットプリンタ1の電気回路
は、制御部20、ヘッド駆動回路21、キャリッジ駆動
回路22、用紙搬送駆動回路23から構成される。
【0043】制御部20は、図示しないCPU(Centra
l Processing Unit )により演算を行うことで、インク
ジェットプリンタ1の動作を制御するブロックであり、
メモリ24、インターフェース部25、画像処理部2
6、駆動系制御部27より構成される。
【0044】メモリ24は、RAM(Random Access Me
mory)およびROM(Read Only Memory)で構成された
記憶部である。RAMは主に印字データDを一時格納す
る記憶手段であり、ROMはインクジェットプリンタ1
の制御プログラムや各種テーブル類を予め格納する記憶
手段である。
【0045】インターフェース部25は、外部からの印
字コマンドおよび印字データDを受信し、画像処理部2
6および駆動系制御部27へ送信するためのブロックで
ある。画像処理部26は、インターフェース部25から
入力した印字データDに種々の処理を施し、ヘッド駆動
回路21へ出力するためのブロックである。一方、駆動
系制御部27は、インターフェース部25から入力した
印字コマンドおよび印字データDに基づいて、キャリッ
ジモータ28および用紙搬送モータ29などの駆動系の
制御を行うために、キャリッジ駆動回路22および用紙
搬送駆動回路23に出力信号を導出する。
【0046】なお、ヘッド駆動回路21はヘッド12を
駆動させるための回路であり、キャリッジ駆動回路22
はタイミングベルト10に駆動力を供給するキャリッジ
モータ28を駆動するための回路であり、用紙搬送駆動
回路23は用紙Pを搬送するための給紙ローラ8および
排出ローラ16に駆動力を供給する用紙搬送モータ29
を駆動する回路である。
【0047】上記の構成において、インクジェットプリ
ンタ1は、以下に示す動作によって印刷を行う。まず、
制御部20は、外部からの印字コマンドおよび印字デー
タDに基づきインクジェットプリンタ1に印刷要求を行
う。印刷要求を受信したインクジェットプリンタ1は、
給紙トレイ7上のシートPを、図示しないピックアップ
ローラによって給紙部2から分離部3へ搬出する。
【0048】つぎに、搬出された用紙Pは、給紙ローラ
8によって分離部3を通過し、搬送部4へと送られる。
搬送部4では、ローラ対11によって、シートPをヘッ
ド1とプラテン17との間へ送る。
【0049】そして、印刷部5では、ヘッド12のイン
クノズルよりプラテン13上の用紙Pへ、画像情報に対
応してインクが吹き付けられる。具体的に説明すると、
まず、キャリッジ14が主走査方向に移動する。これに
伴い、ヘッド12が印字データに対応して、インクタン
ク13のインクをプラテン17上で一端停止されている
用紙Pに吐出する。このようにして、ヘッド12による
主走査が行われる。そして、制御部20は、ヘッド12
による1ラインの主走査が終了する毎に、用紙Pを所定
のピッチずつ副走査方向に搬送させることによって、用
紙Pに画像が形成される。
【0050】印刷が行われた用紙Pは、排出ローラ18
によって排出トレイ19に排出される。その後、用紙P
は印刷物としてユーザに提供される。
【0051】ここで、ヘッド駆動回路21とヘッド駆動
回路21に電源を供給するための駆動パルス生成回路4
0との構成について図1、図5に基づいて説明する。図
1に示すように駆動パルス生成回路40は、電源部35
とコッククロフト・ウォルトン型電源回路41とを備
え、電源部35から出力する電圧がコッククロフト・ウ
ォルトン型電源回路41を介して、ヘッド駆動回路21
に入力するように構成されている。
【0052】ヘッド駆動回路21は、アナログスイッチ
としての圧電体選択スイッチ(スイッチ)31…、圧電
体32…、および駆動電極33…を備えている。圧電体
選択スイッチ31…は、後述するコッククロフト・ウォ
ルトン型電源回路41より出力する駆動パルスを印加す
る圧電体32…を選択するためのアナログスイッチであ
る。圧電体32…は、インクを吐出する各チャンネルを
形成し、各チャンネルを隔てている。駆動電極33…
は、それぞれの圧電体32…に設けられており、それぞ
れの圧電体32…に駆動パルスを印加するための電極で
ある。つまり、駆動パルスは、圧電体選択スイッチ31
…によって選択的に駆動電極33…を介して圧電体32
…に印加され、選択された圧電体32…によって形成さ
れているチャンネルよりインクが吐出される。
【0053】また、電源部35は、直流電源Vccと抵抗
91・94、バッファ92、コンデンサ93・95より
構成される。本実施の形態では、図1に示すように、直
流電源Vccから生じる電圧をスイッチングすることで交
流波形90を作成し、この交流波形90を制御すること
で入力電圧Vco調整を行っている。
【0054】ここで、交流波形90は、バッファ92に
よって作成され、抵抗91、コンデンサ93によって波
形90aが作成される。具体的には、交流波形90はバ
ッファ92におけるコンプリメンタリ構成のエミッタフ
ロアにより作成される。さらに、抵抗91を調整するこ
とで、波形90aの波高値の調節が行われる。そして、
直流成分はコンデンサ93によりカットされる。このよ
うにして、入力電圧V coの調整が行われる。このよう
に、入力する交流波形の波高値を調整できる構成を備え
るので、非常に簡単な回路で広い電圧調整範囲が取れ
る。なお、コンデンサ93の出力を充電動作に影響のな
い値の抵抗94でプルダウンすることにより上記スイッ
チングは安定に動作する。また、図示していないが、交
流波形90a(入力波形)のデューティを変えることに
よっても入力電圧Vcoの調整ができる。
【0055】一方、コッククロフト・ウォルトン型電源
回路(以下、コッククロフト回路とする)41は、上記
駆動パルスを発生させるための電源となるものであり、
本実施の形態の特徴部分である。本実施の形態におい
て、コッククロフト回路41が生成する駆動パルスの波
形は、上記駆動電極33…およびその周辺回路の発熱ロ
スを少なくするため、図5(a)に示す方形型パルスで
はなくて、図5(b)に示す、段階的に電圧の立ち上げ
および立ち下げを行ったパルス(以下、疑似的台形型パ
ルスとする)とする。
【0056】コッククロフト回路41とは、例えば、図
6に示すように整流器(ダイオード)とコンデンサとの
組み合わせを数段重ねることにより、安定した高電圧を
発生することのできる回路をいう。そして、図1に示す
コッククロフト回路41では、複数の電圧選択スイッチ
42…と複数の出力端子(出力タップ)45…とを備え
る。このコッククロフト回路41は、電源の電気的切り
換え毎に、コンデンサに充電される電圧を段階的に昇圧
させることにより、安定した高電圧を発生することがで
きる。
【0057】ここで、コッククロフト回路41の動作に
ついて、図6に示す基本回路(コッククロフト回路6
0)を用いて説明する。なお、図1に示す本実施の形態
のコッククロフト回路41は、2個ずつの整流器43と
コンデンサ44との組み合わせを6段重ねる構成である
が、図6においては説明の簡略化のため、2個ずつの整
流器とコンデンサとの組み合わせを3段重ねる構成と
し、入力電源として振幅V op-pの交流電源61を用い
る。
【0058】コッククロフト回路60は、2個ずつの整
流器とコンデンサとの組み合わせを3段に重ねた構成で
あり、ここでは、1つの交流電源61から1サイクル毎
に±Vo /2の電圧を入力するものとする。
【0059】まず、振幅Vop-pの交流入力において、最
初の負の半サイクルにより、交流電源61が−Vo /2
を入力すると、コンデンサC1は整流器D1を介してV
o /2に充電される。続く正の半サイクルにより、交流
電源61が+Vo /2を入力すると、入力電圧はコンデ
ンサC1に充電されている電荷と重畳する。すなわち、
コンデンサC1のマイナス端子は+Vo /2に充電さ
れ、プラス端子は+Voに充電される。これに伴って、
コンデンサC4は、整流器D2を介して+Vo に収束す
るように充電される。
【0060】さらに、2周期目の負の半サイクルによ
り、交流電源61が−Vo /2を入力すると、入力電圧
はコンデンサC4に充電されている電荷と重畳する。す
なわち、コンデンサC4のマイナス端子は+Vo /2に
充電され、プラス端子は+Voに充電される。ここで、
コンデンサC1のプラス端子が基準電位となるため、コ
ンデンサC2は、整流器D3を介して+Vo に収束する
ように充電される。よって、コンデンサC2には、Vo
の電荷が充電されることとなる。さらに、2周目の正の
半サイクルにより、交流電源61が+Vo /2を入力す
ると、入力電圧はコンデンサC2に充電されている電荷
o と重畳する。すなわち、コンデンサC2のマイナス
端子は+Vo /2に充電され、プラス端子は+Vo に充
電される。これに伴って、コンデンサC5は、整流器D
4を介して+Vo に収束するように充電される。
【0061】つづいて、3周期目の負の半サイクルによ
り、交流電源61が−Vo /2を入力すると、入力電圧
はコンデンサC5に充電されている電荷と重畳する。す
なわち、コンデンサC5のマイナス端子は+Vo /2に
充電され、プラス端子は+3Vo /2に充電される。こ
こで、コンデンサC2のプラス端子が基準電位となるた
め、コンデンサC3は、整流器D3を介して+3Vo
2に収束するように充電される。このようにして、コッ
ククロフト回路60では、1サイクルで±Vo/2の電
圧を入力することにより、n回目の正のサイクル時に、
コンデンサCnにおいてn・(Vo /2)の電荷を収束
させることができる。
【0062】ここで、本実施の形態では、図1に示すよ
うに、2個ずつの整流器43とコンデンサ44との組み
合わせを数段に重ねた構成のコッククロフト回路41を
適用して、コッククロフト回路41における2個ずつの
整流器43とコンデンサ44との組み合わせの各段か
ら、各段毎に異なる複数種類の電圧を出力させることに
する。したがって、駆動パルス生成回路40において、
各出力端子(出力タップ)45a〜45fから出力され
る電圧は、電源Vccから遠ざかるにつれ高電圧になる。
具体的には、コッククロフト回路41に±Vco/2の交
流電圧を入力すると、出力端子45aはVcc/2の電圧
を出力し、出力端子45bはVCOの電圧を出力し、出力
端子45cは3Vco/2の電圧を出力する。このよう
に、各出力端子45a〜45fから出力する電圧は、電
源から遠ざかるにつれVco/2づつ高くなる。よって、
出力端子45fから出力する電圧は3Vcoとなる。
【0063】電圧選択スイッチ42…は、圧電体83に
印加する駆動パルスの電圧値を選択するためのアナログ
スイッチである。具体的に、電圧選択スイッチ42は、
整流器とコンデンサとの組み合わせの各段毎に取り付け
られており、各段より異なる電圧を取り出せるようにな
っている。
【0064】ここで、図5(b)に示すような疑似的台
形型パルスを発生させるには、まず最初に、圧電体32
に印加される駆動電圧Vswを出力する特定段のうち、最
下段(電源Vccに最も直近する段)に位置する電圧選択
スイッチ42aのみが閉になり、図5(b)に示す電圧
Vaが出力される。次に、電圧選択スイッチ42aの直
近の上段に位置する電圧選択スイッチ42bのみが閉に
なり、電圧Vbが出力される。その後、電圧選択スイッ
チは42c、42d、42eの順番で択一的に閉にな
り、電圧はVc、Vd、Veと段階的に立ち上がり出力
される。逆に、疑似的台形型パルスの印加を停止する際
は、逆の順番で電圧選択スイッチ42…が択一的に閉に
なり、段階的に立ち下がり停止する。
【0065】以上のように、本実施の形態では、コック
クロフト回路41および電圧選択スイッチ42…によ
り、疑似的台形型パルスを発生させるので、電力ロスを
極力抑えることができる。これは、コッククロフト回路
41が、基本的にコンデンサ44および整流器43から
成る単純な構成であるので、従来の直流高電圧を発生す
るのに使用されていたDC−DCコンバータと比較し
て、電力ロスを抑えることができる。さらに、複数種類
の電圧を必要とする駆動パルス生成回路40において、
複数種類の電圧を1個のコッククロフト回路41から取
り出すことができるので、駆動パルス生成回路40が非
常に単純な回路構成となる。
【0066】ところで、圧電体選択スイッチ31を制御
するための信号電圧として、正負両極性の信号電圧Vdd
とVss(ハイ出力とロー出力)からなる供給電圧が必要
である。ここで本実施の形態では、単一のコッククロフ
ト回路41から正負両極性の出力がなされる構成とす
る。すなわち、駆動電圧Vswに対して、負極性の信号電
圧Vss(ロー出力)が出力される。したがって、駆動パ
ルス生成回路40は、圧電体32の駆動電源Vswに限ら
ず、圧電体選択スイッチ31の制御するための信号電圧
ss(ロー出力)も取り出すことができる。さらに、正
負両極性の電圧を単一のコッククロフト回路41から取
り出しているので、負極性の電圧を出力するための電源
回路を別途設ける必要がなく、駆動パルス生成回路40
の構成を単純にすることができる。
【0067】なお、本実施の形態においては、駆動電圧
swが正の電位であることを前提として説明したが、駆
動電圧Vswが負の電位であっても構わない。
【0068】また、駆動電圧Vswが正電位の場合、信号
電圧Vdd(ハイ出力)の電位は該駆動電圧Vswと同じ
か、あるいは高くする必要がある。一方、駆動電圧Vsw
が負電位の場合、信号電圧Vdd(ハイ出力)の電位は駆
動電圧Vswと同じか、あるいは低くする必要がある。こ
れは、駆動電圧Vswと信号電圧Vdd(ハイ出力)との上
記の関係が逆転してしまうと、アナログスイッチである
圧電体選択スイッチ82が誤動作するか、あるいは破壊
される可能性が生じるからである。
【0069】そこで、本実施の形態では、図1に示すよ
うに、圧電体32…を駆動するための駆動電圧Vswは、
駆動パルス生成回路40の出力端子45a〜45eより
取り出し、圧電体選択スイッチ31…の供給電圧のうち
信号電圧Vdd(ハイ出力)は、出力端子45fより取り
出すことにする。これにより、駆動電圧Vswと信号電圧
dd(ハイ出力)との、電圧値の逆転が生じることがな
く、電圧切り替えを安定に行うことができる。これは、
駆動電圧VswがVco/2〜(3Vco)/2のいずれかの
電圧であっても、上記信号電圧Vdd(ハイ出力)の3V
ccよりも確実に低くなるからである。
【0070】つまり、駆動パルス生成回路40には、コ
ッククロフト回路41が使用されているので、電源Vcc
から最も離れている最後位の段の出力端子45fから出
力する電圧が最も大きく、電源Vccに近い出力端子45
ほど、出力する電圧が低くなるからである。言い換える
と、コッククロフト回路41において、最後位の段が最
も電圧値が大きく、それよりも前段になるにつれて、各
段ごとに確実に電圧値が小さくなる。したがって、単一
の駆動パルス生成回路40で確実に、駆動電圧Vswと信
号電圧Vddとの逆転を防止することができる。
【0071】また、駆動電圧Vswを接地電位に切り替え
る場合において、何らかの異常により接地電位よりも駆
動電圧Vswの電位が低くなった場合、圧電体選択スイッ
チ31…が誤動作するか、あるいは破壊される可能性が
ある。
【0072】そこで、本実施の形態では、駆動電圧Vsw
を取り出す特定段の一つとして接地電位を直接的に取り
出す出力端子45gを設ける。ここで、本実施の形態で
はコッククロフト回路41が用いられているので、駆動
電圧Vswを取り出す出力端子45の一つとして接地電位
を直接的に取り出す出力端子45gが含まれていれば、
それ以外の出力端子45a〜45fから取り出す電圧
は、常に接地電位とは異なる電位となる。これにより、
圧電体32…を駆動するための駆動電圧Vswを接地電位
に切り替える場合において、電圧の逆転が生じることは
ないので、電圧の切り替えを安定に行うことができる。
【0073】また、本実施の形態では、駆動電圧Vsw
出力する各段の容量よりも、信号電圧Vddを出力する段
の容量の方を大きくする。
【0074】これにより、圧電体32…が駆動すること
によって生ずる駆動電圧Vswの変動が、信号電圧Vdd
出力する段に伝わりにくくなる。これにより、安定した
スイッチングを行うことができる。
【0075】最後に、上述した実施の形態は、本発明の
範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の
変更が可能である。
【0076】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の一形
態について図6〜図8に基づいて説明すれば以下の通り
である。基本的には、実施の形態1と同じなので、図4
には、その特徴部分について記載し、残余の部分の説明
は省略する。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用い
た部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を
付記し、その説明を省略する。
【0077】本実施の形態では、図6に示すように、交
流電源61から発生する交流波形について、図示しない
半導体素子(振幅値変化手段)などを用いて交流波形を
点弧角制御する。このように、上記交流波形の波高値を
制御することにより、コッククロフト回路60へ入力す
る電圧を変化させることができるので、各出力端子から
出力する駆動電圧Vswを変化させることができる。な
お、本実施の形態では交流電源61の交流波形が直接コ
ッククロフト回路60へ入力されているが、トランスな
どの電圧変換素子(振幅値変化手段)を用いて電圧変換
を行ったのちの交流波形を交流電源61からコッククロ
フト回路60へ入力してもよい。
【0078】従って、コッククロフト回路60におい
て、各出力端子から出力する電圧を均等な倍率で調整す
る場合、交流電源61の電圧を調整するだけでよい。例
えば、インクジェットプリンタ1のインクを吐出させる
際に、インクの温度が低くなるとインクの粘性が上がる
ので、インクが吐出しにくくなる。このような場合に
は、駆動電圧Vswを上げる必要がある。つまり、インク
の温度に応じて駆動電圧V sw、すなわち各出力端子から
出力する各駆動電圧Vswを均等に調整する必要がある。
本実施の形態では、コッククロフト回路60の入力側に
印加する入力交流電圧を調整するだけで、各出力端子か
ら出力する電圧を均等な倍率で変化させることができ
る。
【0079】このとき、上記入力交流電圧は必ずしもサ
イン波など特定の波形である必要はなく、たとえ交流に
オフセット電圧がかかっていても、あくまでも交流波形
の振幅巾(上限と下限の差)が基準電圧となる。したが
って、図7に示す、上記点弧角制御によってサイン波を
途中で切った波形51〜54であってもよい。また、上
記サイン波を切るタイミングにより、波形51〜54の
波高値を変更できる。その結果として、コッククロフト
回路41より出力する駆動電圧Vswを、図8の51〜5
4に示すように変更できる。
【0080】なお、サイン波を途中できるスイッチング
素子(半導体素子)としては、例えばトライアックが用
いられる。このトライアックの挿入場所としては、交流
電源61とコッククロフト回路41との間、すなわち、
図6の参照付Aの位置が好ましい。
【0081】最後に、上述した実施の形態は、本発明の
範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の
変更が可能である。
【0082】〔実施の形態3〕本発明の他の実施の一形
態について図5、図9、図10に基づいて説明すれば以
下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1で
用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番
号を付記し、その説明を省略する。
【0083】本実施の形態と、実施の形態1(図1参
照)との相違点は、図9に示すように、駆動パルス生成
回路40とヘッド駆動回路21との間に台形波生成回路
(台形波生成部)96を挿入している点である。これ
は、台形波生成回路96によって、駆動パルス生成回路
40で発生させた図5(b)に示す疑似的台形型パルス
から、図5(c)に示すような平滑な台形型パルスを生
成するためである。
【0084】ここで、台形波生成回路96の回路構成を
図10に示す。台形波生成回路95は、入力部111よ
り擬似的台形型パルスを入力し、同時に入力部112か
らクロックパルスCkを入力する。これにより滑らかな
台形型パルスが生成され、出力部113より出力され
る。なお、滑らかな台形型パルスとは、擬似的台形型パ
ルスにおける電圧の立ち上げおよび立ち下げの各段に勾
配を設け、滑らかな台形形状にしたパルスをいう。以
下、台形波生成回路96の動作を図10に基づいて説明
する。
【0085】入力部112より入力するクロックパルス
Ckは、オープンコレコタ型のインバータIC1および
抵抗R1を介して、PNP型のトランジスタQ1のベー
スに与えられると共に、もう一つのインバータIC2を
介して、NPN型のトランジスタQ3のベースに与えら
れる。
【0086】トランジスタQ1のエミッタはエミッタ抵
抗R2を介して疑似的台形型パルスが入力する入力部1
11(ハイレベル)に接続される。トランジスタQ1の
ベースと入力部111との間には、PNP型のトランジ
スタQ2が介在されており、このトランジスタQ2のベ
ースはトランジスタQ1のエミッタに接続される。一
方、トランジスタQ3のエミッタはエミッタ抵抗R4を
介して接地電位(ローレベル)の電源に接続される。ト
ランジスタQ3のベースと接地電位(ローレベル)の電
源との間にはNPN型のトランジスタQ4が介在されて
おり、このトランジスタQ4のベースはトランジスタQ
3のエミッタに接続される。トランジスタQ3のベース
はまた、プルアップ抵抗R3を介して入力部111に接
続される。
【0087】トランジスタQ1、Q3のコレクタにはコ
ンデンサC11の一方の端子が接続され、このコンデン
サC11の他方の端子は抵抗を介して接地電位の電源に
接続され、 接地電位を中心としたパルス出力を得てい
る。コンデンサC11の一方の端子からの出力電圧は、
出力段のトランジスタQ5、Q6のベースに共通に与え
られる。NPN型のトランジスタQ5のコレクタは入力
部111に接続され、PNP型のトランジスタQ6のコ
レクタは接地電位の電源に接続される。これらのトラン
ジスタQ5、Q6のエミッタからは電圧Vo が出力され
る。すなわち、台形波生成回路96は、擬似的台形波パ
ルスとしての駆動電圧Vswを入力し、これを平滑な台形
波パルスとして電圧V0 を出力する。そして、出力した
電圧Vo は、圧電体選択スイッチ33…によって選択的
に圧電体32…に与えられる。
【0088】したがって、入力部111から入力する疑
似的台形型パルスがハイレベルになると、インバータI
C1の出力がローレベルとなり、トランジスタQ1を介
してコンデンサC11に充電が行われる。このときトラ
ンジスタQ3はオフし、トランジスタQ1のエミッタ電
流E1が抵抗R2およびトランジスタQ2によって一定
の電流とされ、コンデンサC11の出力電圧に応じたト
ランジスタQ5の出力電圧Vo も、図5(c)に示すよ
うに立ち上がっていく。なお、コンデンサC11の電圧
上昇に先立って、容量性負荷に蓄えられた電荷を入力部
111へ回収することができるので、トランジスタQ5
におけるエミッタ・コレクタ間の電圧降下が減少され、
発熱が少なく効率のよい波形整形を行うことができる。
【0089】また、疑似的台形型パルスがローレベルと
なると、インバータIC2の出力がハイレベルとなり、
トランジスタQ3を介してコンデンサC11から放電が
行われる。このとき、トランジスタQ1はOFFし、ト
ランジスタQ3のエミッタ電流E2が抵抗R4およびト
ランジスタQ3によって一定の電流とされ、コンデンサ
C11の出力電圧に応じたトランジスタQ6の出力電圧
0 も、図5(c)で示すように立ち下がっていく。な
お、コンデンサC11の電圧降下に先立って、容量性負
荷に蓄えられた電荷を入力部111へ回収することがで
きるので、トランジスタQ6におけるエミッタ・コレク
タ間の電圧降下が減少され、発熱が少なく効率のよい波
形整形を行うことができる。
【0090】すなわち、本実施の形態の台形波生成回路
96は、方形型の固定電源電圧からではなく、疑似的台
形型パルスから滑らかな台形波パルスを生成するので、
台形波生成回路96での電力ロスを大幅に削減すること
ができる。また、圧電体32の駆動パルスとしては、滑
らかな台形型パルスが入力されるので、実施の形態1と
比べて、駆動電極33およびその周辺回路の発熱ロスを
より少なくできる。
【0091】なお、電圧を高圧にする技術として、コッ
ククロフト・ウォルトン型電源回路は公知であるが、こ
のコッククロフト・ウォルトン型電源回路をインクジェ
ットヘッドの高圧電源に用いた例として、特開2000
−127409号公報に電気感応作動媒体を用いた記録
装置が開示されている。上記の公報は、電気感応作動媒
体を用いたインクジェット記録装置の高圧電源回路にコ
ッククロフト・ウォルトン型電源回路を用いたものであ
り、1回路のコッククロフト・ウォルトン型電源回路よ
り1個の高圧電圧を出力させている。
【0092】つまり、本発明に係るインクジェット記録
装置の電源回路がコッククロフト・ウォルトン型電源回
路を用いる点においては、上記の公報と重複したもので
あるが、以下の2点において、上記の公報に開示されて
いる技術とは異なる。第1点としては、本発明は、駆動
パルスを印加することにより体積が変化する圧電体を用
いたインクジェット記録装置の電源回路に使用されるも
のである。第2点としては、1個のコッククロフト・ウ
ォルトン型電源回路より、複数の電圧出力を行うもので
ある。つまり、本発明は、1個のコッククロフト・ウォ
ルトン型電源回路を用いて、単に1種類の高圧電源を取
り出すというのではなくて、コッククロフト・ウォルト
ン型電源回路の各段より種々の電圧を積極的に取り出し
て、それを圧電体の駆動に使用するものである。
【0093】また、本発明は、圧電体(強誘電体)にお
ける電気機械変換の効果を利用して記録媒体に印刷を行
うインクジェット記録装置の電源回路において、上記電
気機械変換のためのコッククロフト・ウォルトン型電源
回路を用い、その回路の各段より電圧を取り出すことを
特徴とすることにしてもよい。
【0094】上記の構成によれば、駆動パルスを印加す
ることにより体積が変化する圧電体を用いたインクジェ
ット記録装置の電源回路にコッククロフト・ウォルトン
型電源回路を用いているので、特定電圧のN倍(N:整
数)の電圧を効率よく取り出すことができる。
【0095】すなわち、従来は、特定電圧よりも高い電
圧を取り出すのに、DC−DCコンバータが用いられて
いた。DC−DCコンバータはコンデンサ、抵抗、コイ
ル、およびスイッチングトランジスタから構成され、回
路が複雑であるので、電力ロスが大きくなる傾向にあっ
た。一方、本発明で用いられるコッククロフト・ウォル
トン型電源回路は、基本的には、コンデンサおよび整流
器から成る非常に単純な構成であるので、DC−DCコ
ンバータと比較して、電力ロスを抑えることができる。
【0096】さらに、上記の構成によれば、複数の電圧
を必要とするインクジェット記録装置の電源回路におい
て、電源回路が非常に単純な回路構成となる。
【0097】すなわち、従来は、複数の特定電圧を発生
させるためには、それぞれ固有の電源回路を複数、用意
する必要があった。この結果、インクジェット記録装置
の電源回路は大変複雑なものとなっていた。これに対し
て、上記の構成であれば、複数の電圧を単一の電源回路
から取り出すことができるので、電源回路が非常に単純
な回路構成となる。
【0098】また、負荷容量の少ない液晶の駆動などに
用いられるチャージポンプに比べ、能動素子であるアナ
ログスイッチを用いずにシンプルなダイオードで構成す
ることによりインクジェットヘッドの駆動など大容量負
荷である圧電体を高速放充電駆動に際してパルス状の大
負荷電流及びチャージポンプにおける並直切替えによる
出力タップの回避などに特に適したものである。
【0099】また、本発明は、正負両極性のコッククロ
フト・ウォルトン型電源回路を用いることを特徴として
もよい。
【0100】上記の構成によれば、正負両極性の電圧を
単一の電源回路から取り出すことができるので、電源回
路がより単純になる。
【0101】すなわち、従来は、正負の特定電圧を発生
させるために、それぞれ固有の電源回路を必要とした。
この結果、インクジェット記録装置の電源回路は複雑な
ものとなっていた。これに対して、上記の構成であれ
ば、正負両極性の電圧を単一の電源回路から取り出すこ
とができるので、電源回路が単純になる。この結果、圧
電体の駆動電源に限らず、例えば、特定の圧電体に駆動
電圧を印加するために圧電体を選択する半導体素子(ア
ナログスイッチ)の制御電源も、単一の電源回路から取
り出すことができる。
【0102】また、本発明においては、圧電体を駆動す
るための駆動電圧は、コッククロフト・ウォルトン型電
源回路の特定段より取り出され、特定の圧電体を選択す
るアナログスイッチの制御電圧は、上記特定段よりも後
位の段より取り出されることを特徴としてもよい。
【0103】上記の構成によれば、圧電体を駆動するた
めの駆動電圧と、特定の圧電体を選択するアナログスイ
ッチ(半導体素子)の制御電圧との、電圧の逆転が生じ
ることがなく、電圧切り替えを安定に行うことができる
とともに、上記アナログスイッチの破壊を防ぐこともで
きる。
【0104】すなわち、駆動電圧が正電圧の場合、制御
電圧は駆動電圧と同じか、あるいは高くする必要があ
る。一方、駆動電圧が負電圧の場合、制御電圧は駆動電
圧と同じか、あるいは低くする必要がある。もし、駆動
電圧と制御電圧との上記の関係が逆転してしまうと、ア
ナログスイッチが誤動作するか、あるいは破壊される可
能性がある。
【0105】そこで、従来は、駆動電圧と制御電圧との
関係が逆転しないように、以下の方法がとられていた。 (1)駆動電圧を発生する電源と、制御電圧を発生する
電源とを独立に持ち、駆動電圧と制御電圧との関係が逆
転しないように常に調整する。 (2)供給電圧の上にオフセット電圧として電圧を印加
できるように供給電圧を発生する電源の接地端子を駆動
電圧に接続する。 (3)駆動電圧を発生する電源としても供給電圧の電源
を用いるとともに、常に駆動電圧が供給電圧よりも低く
なるように調整を行う。 (4)高速のダイオードなどで電圧をクランプする。
【0106】以上の従来方式において、(1)、(2)
では独立に電源を必要とし、コストダウン阻害要因とな
っていた。一方、(3)は単一電源でよいが、駆動電圧
を発生、すなわち供給電圧から駆動電圧に電圧値を縮小
するためには、常に電力損失を伴うため、低消費電力化
には不向きの方法である。また、(4)ではダイオード
のバイアス電圧と応答性が問題になり、完全にはクラン
プできない。
【0107】これに対して、本発明の電源回路は、コッ
ククロフト・ウォルトン型回路を適用しているので、最
後位の段が最も上記電圧値が大きく、それよりも前段に
なるにつれて、各段ごとに確実に電圧値が小さくなる。
すなわち、特定段に対して後位の段は、正電圧出力の場
合には高電圧であり、負電圧出力の場合には低電圧であ
る。したがって、上記の構成によれば、単一の電源回路
で確実に、駆動電圧と供給電圧との逆転を防止すること
ができる。つまり、駆動電圧を取り出す特定段よりも常
に後段から供給電圧を取り出すようにすればよい。
【0108】また、本発明においては、圧電体を駆動す
るための駆動電圧を取り出す特定段の一つとして接地電
位を直接的に取り出す段が含まれていることを特徴とし
てもよい。
【0109】上記の構成によれば、圧電体を駆動するた
めの駆動電圧を接地電位に切り替える場合において、電
圧の逆転が生じることはないので、電圧の切り替えを安
定に行うことができる。
【0110】従来は、例えば、駆動電圧が正電圧の場
合、アナログスイッチには正電圧の単一電源で供給され
ていた。これは、圧電体への外部からの衝撃や配線への
誘導ノイズなどにより接地電位よりも駆動電圧の電位が
低くなった場合、アナログスイッチがラッチアップし誤
動作するか、あるいは破壊される可能性がある。
【0111】そこで、従来は上記駆動電圧の電位を接地
電位に維持するために、以下の方法がとられていた。 (5)負電圧の供給電圧(アナログスイッチのVss)を
発生する電源を独立に持つ。 (6)駆動電圧を接地電位よりも常に高い電圧に設定す
る。 (7)供給電圧と駆動電圧とが逆転しないように高速の
ダイオードなどで電圧をクランプする。
【0112】以上の従来方式において、(5)では独立
に電源を必要とし、コストダウン阻害要因となってい
た。一方、(6)では電圧に対するマージン巾を削り最
適化設計の阻害要因となる。また、(7)ではダイオー
ドのバイアス電圧と応答性とが問題になり、完全にはク
ランプできない。
【0113】これに対して、本発明の電源回路には、コ
ッククロフト・ウォルトン型電源回路が用いられ、圧電
体を駆動するための駆動電圧を取り出す特定段の一つと
して接地電位を直接的に取り出す段が含まれているの
で、それ以外の段から取り出す電圧は、常に接地電位と
は異なる電位となる。これにより、駆動電圧を接地電位
に切り替える場合において、電圧の逆転が生じることは
ないので、電圧の切り替えを安定に行うことができる。
【0114】また、本発明においては、上記駆動電圧を
取り出す特定段の容量よりも、上記アナログスイッチの
制御電圧を取り出す上記特定段よりも後位の段の容量の
方が大きいことを特徴としてもよい。
【0115】上記の構成によれば、アナログスイッチの
制御電圧を取り出す段の容量が駆動電圧を出力する段の
容量よりも大きいので、圧電を駆動することによって生
ずる駆動電圧の変動が制御電圧を取り出す段に伝わりに
くくなる。これにより、安定したスイッチングを行うこ
とができる。
【0116】また、本発明においては、入力交流電圧の
振幅値を変化する電圧変化手段を備えることを特徴とし
てもよい。
【0117】上記の構成によれば、コッククロフト・ウ
ォルトン型電源回路において全ての段の電圧を均等な倍
率で調整する場合、交流電源、もしくはトランスなどの
電圧変換素子を用いて交流電源から電圧変換を行ったの
ちの交流波形について、例えば半導体素子などを用いて
点弧角を制御するなどして、入力交流電圧を調整するこ
とにより任意のn段目の電圧は交流波形のn倍の電圧に
収束するように作動することがコッククロフト・ウォル
トン型電源回路の特徴である。
【0118】すなわち、従来は、圧電体を駆動する駆動
電圧などの調整はスイッチングイレギュレータなどに代
表される安定化電源など複数の電圧発生回路において、
それぞれの回路定数を変更する、もしくは基準となる電
源電圧を発生させ調整を行っていた。あるいは1つの基
準電圧を分圧することにより複数の基準電圧を得た場合
においても、複数の誤差増幅回路、出力回路を必要とす
るものであった。
【0119】具体的には、例えば、インクジェット記録
装置のインクを吐出させる際に、インクの温度が低くな
るとインクの粘性が上がるので、インクが吐出しにくく
なる。このような場合には、駆動電圧を上げる必要があ
る。つまり、インクの温度に応じて駆動電圧を調整する
必要がある。本発明の場合は、駆動電圧の調整は、コッ
ククロフト・ウォルトン型電源回路の入力側に印加する
交流電圧を調整することで容易に実現できる。
【0120】このとき、入力される交流電圧は必ずしも
サイン波など特定の波形である必要はなく、たとえ交流
にオフセット電圧がかかっていても、あくまでも交流波
形の振幅巾(上限と下限の差)が基準となる。したがっ
てサイン波を途中で切った波形であってもよく、どのタ
イミングで波形をきるかの点弧角制御などによって波高
値を変更し、その結果として、コッククロフト・ウォル
トン型電源回路より出力される電圧を変更できる。
【0121】また、本発明においては、直流電源をスイ
ッチングすることで入力交流波形を作成し、前記のスイ
ッチングを制御することで作成電圧の調整を行うことを
特徴としてもよい。
【0122】上記の構成によれば、直流電源をスイッチ
ングすることでコッククロフト・ウォルトン型電源回路
をモバイルプリンタなどの直流電源に適用することがで
きる。そして、そのスイッチングの点弧角やデューティ
を制御するという非常に簡単な構成で、広い電圧調整範
囲を確保できる。
【0123】すなわち、従来は、特定電圧よりも高い電
圧を取り出すのに、DC−DCコンバータが用いられて
いたので、発生電圧の調整を行うのに以下の方法がとら
れていた。 (8)チャージポンプで昇圧し、安定化する。 (9)パルストランスで昇圧し、安定化する。 (10)インダクタで電流・電圧変換を行い安定化す
る。 これらの電圧調整範囲は比較的狭く、回路も複雑であっ
た。
【0124】これに対して、本発明では、直流電源をス
イッチングすることで交流波形を作成し、スイッチング
の波形を制御することで発生電圧の調整が行われている
ので、非常に簡単な回路で広い電圧調整範囲が取れる。
【0125】また、本発明においては、上記アナログス
イッチから出力される段階状の切替電圧出力を平滑化し
た後に圧電体の駆動電圧を出力する台形波形生成部を備
えることを特徴としてもよい。
【0126】上記の構成によれば、段階状の切替電圧出
力を台形波形生成部の電源とすることにより、台形波形
生成部での消費電力を大幅に削減できる。
【0127】すなわち、ステップ状の電圧波形で圧電体
を駆動すると、圧電体への充電電流および放電電流はス
パイク状となり、充放電経路の抵抗成分による電力消費
並びに発熱が大きなものとなる。それを防止するため
に、上記台形波形生成部は台形波状の駆動電圧を作成す
るものである。
【0128】従来は、固定電源電圧より台形波形を直接
作っており台形波形生成部でのロスが大きかった。これ
に対して、本発明では、台形波形生成部としては同じも
のを用いたとしても、その入力波形がほぼ台形波状とな
っており、従来と比べて台形波形生成部での発熱、すな
わちエネルギーロスが抑えられる。
【0129】最後に、上述した実施の形態は、本発明の
範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の
変更が可能である。
【0130】
【発明の効果】本発明に係る駆動パルス生成回路は、以
上のように、上記圧電体へ印加される駆動パルス電圧の
供給源としてコッククロフト・ウォルトン型電源回路を
用い、上記コッククロフト・ウォルトン型電源回路の各
段から電圧を取り出し可能とすると共に、上記各段から
の出力電圧を選択的に出力することで駆動パルスを生成
することを特徴とする。
【0131】それゆえ、コッククロフト・ウォルトン型
電源回路とマルチタップとの組み合わせにより複数の異
なる電圧を発生させることができるので、電源回路を複
数設ける必要がなく、駆動パルス生成回路の構成を簡単
にし、コストダウンを図ることができる。これにより、
簡単な構成で連続的に安定した複数の電圧を生成するこ
とを可能にする駆動パルス生成回路を提供することがで
きるという効果を奏する。
【0132】本発明に係る駆動パルス生成回路は、以上
のように、上記の構成に加えて、コッククロフト・ウォ
ルトン型電源回路は、正負両極性の電圧を取り出し可能
であることを特徴とする。
【0133】これにより、正負両極性の電圧を取り出す
ことができるので、圧電体の駆動パルスに限らず、例え
ば、特定の圧電体に駆動パルスを印加するための圧電体
を選択するスイッチ(半導体素子としてのアナログスイ
ッチ)を制御するための供給電圧も取り出すことができ
る。よって、上記供給電圧を生成するための電源回路を
別途設ける必要がなく、回路構造を単純にすることが可
能となるという効果を奏する。
【0134】本発明に係る駆動パルス生成回路は、上記
の課題を解決するために、上記の構成に加えて、コック
クロフト・ウォルトン型電源回路は、複数の圧電体から
駆動パルスが印加させる圧電体を選択するスイッチを制
御するための供給電圧を出力し、上記供給電圧は正負両
極性の電圧からなり、駆動パルスを生成するための電圧
と同極性の供給電圧は、駆動パルスを生成するための電
圧よりも昇圧させる段階が多いことを特徴とする。
【0135】これにより、電圧を段階的に昇圧させるこ
とができるため、圧電体を駆動する駆動パルスを生成す
るための電圧よりも、駆動パルスを生成するための電圧
と同極性の供給電圧の方を高電圧とする構成をとること
ができ、スイッチが誤動作または破壊するという危険性
を回避することが可能となるという効果を奏する。
【0136】本発明に係る駆動パルス生成回路は、以上
のように、上記の構成に加えて、コッククロフト・ウォ
ルトン型電源回路から接地電位を直接的に取り出す段が
備えられていることを特徴とする。
【0137】それゆえ、コッククロフト・ウォルトン型
電源回路から接地電位を取り出すことができるので、コ
ッククロフト・ウォルトン型電源回路にて各段階毎に昇
圧される電圧を接地電位と異なる電位にすることができ
る。これにより、各段階毎に昇圧される電圧を接地電位
に切りかえる場合において電位の逆転が発生しないの
で、上記スイッチにおいて、ラッチアップを未然に防止
できるという効果を奏する。
【0138】本発明に係る駆動パルス生成回路は、以上
のように、上記の構成に加えて、圧電体を駆動するため
の駆動パルスを生成するために用いられる電圧を出力す
る段の容量よりも、スイッチを制御するための供給電圧
を出力する段の容量の方が大きいことを特徴とする。
【0139】それゆえ、圧電体を駆動することによって
生じる駆動パルスの変動が、スイッチを制御するための
電圧を出力する出力段に伝わりにくくなる。したがっ
て、安定したスイッチングを行うことができるという効
果を奏する。
【0140】本発明に係る駆動パルス生成回路は、以上
のように、上記の構成に加えて、コッククロフト・ウォ
ルトン型電源回路へ供給される電圧の振幅値を変化する
振幅値変化手段が備えられていることを特徴とする。
【0141】それゆえ、コッククロフト・ウォルトン型
電源回路へ供給される電圧交流電圧の振幅値を変化する
振幅値変化手段を備えることにより、駆動パルス生成に
用いられる異なる複数の電圧を均等に調整することが可
能となる。
【0142】本発明に係る駆動パルス生成回路は、以上
のように、上記の構成に加えて、直流電源から疑似的な
交流波形を作成するスイッチング手段を備え、上記スイ
ッチング手段を制御することにより、上記コッククロフ
ト・ウォルトン型電源回路へ供給される電圧を制御する
ことを特徴とする。
【0143】それゆえ、直流電源をスイッチングするこ
とで上記駆動パルス生成回路をモバイルプリンタなどの
直流電源に適用することができる。そして、スイッチン
グの点弧角デューティを制御するという簡単な構成で広
い電圧範囲を確保できるという効果を奏する。
【0144】本発明に係る駆動パルス生成回路は、以上
のように、上記の構成に加えて、複数の出力タップから
出力される段階状の切替電圧出力を平滑化した後に圧電
体の駆動パルスを出力する台形波形生成部を備えること
を特徴とする。
【0145】それゆえ、台形波形生成部としては同じも
のを用いたとしても、段階的に昇圧および降圧させた駆
動パルスの入力波形がすでにほぼ台形波状となってお
り、従来と比べて台形波形生成部での発熱、すなわちエ
ネルギーロスが抑えられるという効果を奏する。
【0146】本発明に係る駆動パルス生成回路は、以上
のように、上記の構成に加えて、上記記載の駆動パルス
生成回路と、電気エネルギーの作用により形状を変化さ
せる圧電体からなるインク吐出ノズルとを備え、上記駆
動パルス生成回路が出力する駆動パルスを上記圧電体に
印加することで、上記ノズル内に発生する圧力の作用に
よりインクを吐出することを特徴とする。
【0147】それゆえ、上記駆動パルス生成回路を適用
することにより、単一の電源で、駆動パルスの立ち上げ
および立ち下げを滑らかに行うことができるので、簡単
な構成かつ低コストで、圧電体の周辺回路における発熱
ロスを抑制することができるインクジェット記録装置を
提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の電源回路と
ヘッド駆動回路とを示す回路図である。
【図2】上記電源回路が内蔵されているインクジェット
記録装置を示す透視斜視図である。
【図3】上記電源回路が内蔵されているインクジェット
記録装置を示す透視側面図である。
【図4】上記インクジェット記録装置における回路構成
を示すブロック図である。
【図5】(a)は、上記インクジェット記録装置に内蔵
される台形波生成回路に入力するクロックパルスを示し
たタイミングチャートであり、(b)は、上記台形波生
成回路に入力する台形型パルスを示したタイミングチャ
ートであり、(c)は、上記台形波生成回路から出力さ
れる台形型パルスを示したタイミングチャートである。
【図6】上記電源回路に構成される商用交流電源とコッ
ククロフト・ウォルタン型電源回路を示した回路図であ
る。
【図7】上記商用交流電源から出力する交流波形を示し
た説明図である。
【図8】上記交流波形に対応する電圧値を示した説明図
である。
【図9】上記インクジェット記録装置の電源回路と上記
ヘッド駆動回路と台形波生成回路とをを示す回路図であ
る。
【図10】上記台形波生成回路の詳細な構成を示した回
路図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ(インクジェット記録装
置) 12 インクジェットヘッド(インク吐出ノズル) 21 ヘッド駆動回路 31 圧電体選択スイッチ(スイッチ) 32 圧電体 33 駆動電極 40 駆動パルス生成回路 41 コッククロフト・ウォルトン型電源回路(コック
クロフト回路) 42 電圧選択スイッチ 43 整流器(ダイオード) 44 コンデンサ 60 コッククロフト・ウォルトン型電源回路 61 交流電源 92 バッファ(スイッチング手段) 93 コンデンサ(スイッチング手段) 94 抵抗(スイッチング手段) 96 台形波生成回路(台形波形生成部) 111 入力部 112 入力部 113 出力部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電体における電気機械変換の効果を利用
    して記録媒体に印刷を行うインクジェット記録装置に用
    いられる駆動パルス生成回路において、 上記圧電体へ印加される駆動パルス電圧の供給源として
    コッククロフト・ウォルトン型電源回路を用い、 上記コッククロフト・ウォルトン型電源回路の各段から
    電圧を取り出し可能とすると共に、上記各段からの出力
    電圧を選択的に出力することで駆動パルスを生成するこ
    とを特徴とする駆動パルス生成回路。
  2. 【請求項2】コッククロフト・ウォルトン型電源回路
    は、正負両極性の電圧を取り出し可能であることを特徴
    とする請求項1に記載の駆動パルス生成回路。
  3. 【請求項3】コッククロフト・ウォルトン型電源回路
    は、複数の圧電体から駆動パルスが印加させる圧電体を
    選択するスイッチを制御するための供給電圧を出力し、 上記供給電圧は正負両極性の電圧からなり、 駆動パルスを生成するための電圧と同極性の供給電圧
    は、駆動パルスを生成するための電圧よりも昇圧させる
    段階が多いことを特徴とする請求項2に記載の駆動パル
    ス生成回路。
  4. 【請求項4】コッククロフト・ウォルトン型電源回路か
    ら接地電位を直接的に取り出す段が備えられていること
    を特徴とする請求項2または3に記載の駆動パルス生成
    回路。
  5. 【請求項5】圧電体を駆動するための駆動パルスを生成
    するために用いられる電圧を出力する段の容量よりも、
    供給電圧を出力する段の容量の方が大きいことを特徴と
    する請求項3または4に記載の駆動パルス生成回路。
  6. 【請求項6】コッククロフト・ウォルトン型電源回路へ
    供給される電圧の振幅値を変化する振幅値変化手段が備
    えられていることを特徴とする請求項1ないし5のいず
    れか1項に記載の駆動パルス生成回路。
  7. 【請求項7】直流電源から疑似的な交流波形を作成する
    スイッチング手段を備え、上記スイッチング手段を制御
    することにより、上記コッククロフト・ウォルトン型電
    源回路へ供給される電圧を制御することを特徴とする請
    求項1ないし6のいずれか1項に記載の駆動パルス生成
    回路。
  8. 【請求項8】各段から取り出される段階状の切替電圧出
    力を平滑化した後に圧電体の駆動パルスを出力する台形
    波形生成部を備えることを特徴とする請求項1ないし7
    のいずれか1項に記載の駆動パルス生成回路。
  9. 【請求項9】請求項1ないし8のいずれか1項に記載の
    駆動パルス生成回路と、 電気エネルギーの作用により形状を変化させる圧電体か
    らなるインク吐出ノズルとを備え、 上記駆動パルス生成回路が出力する駆動パルスを上記圧
    電体に印加することで、上記ノズル内に発生する圧力の
    作用によりインクを吐出することを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
JP2001371732A 2001-12-05 2001-12-05 駆動パルス生成回路と駆動パルス生成回路を用いたインクジェット記録装置 Pending JP2003170587A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6759766B2 (en) * 2001-12-18 2004-07-06 Fuji Xerox Co., Ltd. Power supply apparatus and image forming apparatus using the same
JP2009507460A (ja) * 2005-09-02 2009-02-19 エヌエックスピー ビー ヴィ Rfid集積回路用電荷ポンプ回路
JP2011061395A (ja) * 2009-09-09 2011-03-24 Rohm Co Ltd ミュート回路およびそれを用いたオーディオ処理回路

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