JP4151520B2 - 画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに係り、特には多階調画像データを量子化して擬似中間調の出力用画像データに変換する画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
従来、多階調の原画像データを擬似中間調の出力用画像データに変換する量子化処理の手法として、組織的ディザ法、誤差拡散法等が知られている。この中でも、誤差拡散法は、比較的高い画質を得ることができるため、高画質の用途に用いられることが多く、種々の改良がなされてきた。誤差拡散法での画質的な課題は、ノイズを増幅させずにアルゴリズム特有のテクスチャをいかに低減させるかである。
例えば、複数の誤差拡散マトリクスを利用して均一性を確保しようと試みているものがある(特許文献1参照。)。具体的には、2つのマトリクスを入力値に応じて切り替え、大きいマトリクスをハイライトやシャドー部で使用し、ウォームと呼ばれる模様の発生を防ぎ、小さいマトリクスを中域部で使用し、ノイズを抑えようとするものである。
また、ハイライト及びシャドー領域でより均一な結果を生成するため、出力値に依存するしきい値を用いてしきい値を変更するものもある(特許文献2参照。)。具体的には、2値化出力が白か黒かで、入力に応じたしきい値変更を周囲画素に対して行い、それを繰り返し伝搬し用いるというものである。
その他にも、誤差拡散マトリクスのサイズ、係数を最適化する方法や、処理順序(走査方向)の変更などが行われてきた。しかし、これらの手法からは一定の効果を得ることはできたが、十分と呼べるような効果を得ることはできなかった。
一方、これらの誤差拡散法やその改良方法、ディザ法などとは異なる量子化処理の手法として、逆相関型のデジタルハーフトーニング法が提案されている(非特許文献1参照。)。この方法は、画素毎にドットの出現情報を表す配列(以下、ドット出現パターンとする)、すなわち、注目画素を構成する階調数に実質的に比例した数だけドットの有無情報を配列させたもの、を設定し、その情報に基づきハーフトーニングする方法であって、注目画素についてのドット出現パターンの内容決定においては、注目画素の周辺画素について既に決定済みのドット出現パターンを用い、これらドット出現パターンを構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にドットが出現する期待値(以下、ヒストグラムとする)を算出し、この期待値に基づき、ドット出現数の少ない要素番号にドット有り情報を優先的に設定し、ドット出現数の多い要素番号にドット無し情報を設定するよう、注目画素のドット出現パターンを決める方法である。
以下、逆相関型のデジタルハーフトーニング法について、具体的な例を挙げて説明する。なお、以下の説明においては、左から右に向かう方向に注目画素を切り換えて処理を行うこととする。
図6に示すように、逆相関型のデジタルハーフトーニング法による画像処理においては、原画像データ(多階調画像データ)が入力される前に、予め0〜(n−1)の範囲内から無作為にランダム変数r(rは整数)を決定する(ステップT1)。なお、「n」は画素値gi,jの最大値である。画素値gi,jとは、i行j列目の画素における階調値のことであり、ここでは0〜nの範囲内の何れかの値である。
原画像データが入力されたら、原画像データ中からi行j列目の画素(注目画素)に関する画素値gi,jを取得する(ステップT2)。
画素値gi,jを取得したら、その画素値gi,jに基づきi行j列目の画素のローカルフィルタPを生成する(ステップT3)。具体的には、始めに画素値gi,jを下記式(1)に代入してΔを求め、そのΔが図7中左欄のどの範囲に属するかを特定し、特定した範囲に対応するローカルフィルタPの情報を図7中右欄から特定する。なお、図中、例えば「Δ∈[0,13/255)」は、0≦Δ<13/255を示している。
Δ=|gi,j−n/2|/n … (1)
例えば、画素値gi,jが120だとしたら、上記式(1)からΔ=|120−255/2|/255=7.5/255が導き出され、このΔ(=7.5/255)が、図7中左欄の最も上の欄に記載されたΔ∈[0,13/255)に属しているのを特定することができる。そしてΔ∈[0,13/255)が記載された特定済みの欄から、その右隣に配置された欄のR(K1,6,−5)をローカルフィルタPの情報として特定することができる。
次に、特定された情報を便宜的に一般化して「R(K,lk,ε(lk))」とした場合に、まず「K」を参照することにより、図8及び図9に示した6つの基礎フィルタK1〜K6の何れかを選択する。次に、「lk」を参照することにより、基礎フィルタK中の×印の画素、即ちi行j列目の画素から、上方向、左方向及び右方向に(lk−1)画素分の広がりを有するlk行×(2lk−1)列のサイズのフィルタを生成する。そして、「lk」及び「ε(lk)」を参照し、生成されたフィルタ中の1列目から(lk−ε(lk))列目までの各画素には基礎フィルタKの画素値をそのまま割り当て、かつ(lk−ε(lk))列目より先の列の各画素には0を割り当てることにより、ローカルフィルタPを生成する。
例えば、ローカルフィルタPの情報がR(K6,4,−1)で表されるとしたら、以下のような手順でローカルフィルタPを生成する。すなわち、R(K6,4,−1)において、基礎フィルタKに対応するのが「K6」であるから、図9中の3つの基礎フィルタK4〜K6のなかから下段に図示された基礎フィルタK6を基礎フィルタKとして特定する。そしてR(K6,4,−1)において、lkに対応するのが「4」であり、ε(lk)に対応するのが「−1」であるから、まず始めに、図9中下段の基礎フィルタK6中で×印の画素から、上方向、左方向及び右方向に3(=lk−1)画素分の広がりを有する4行×7(=2×4−1)列のサイズのフィルタを生成し、その後、その生成した4行×7列のフィルタにおいて、1列目から5(=4−(−1))列目までの各画素には基礎フィルタK6の画素値をそのまま割り当て、5列目より先の列の各画素には0を割り当てる。このような手順で生成されたローカルフィルタPを図10に示す。
ローカルフィルタPを生成したら、i行j列目の画素のヒストグラムHi,j[k]を算出する(ステップT4)。「ヒストグラムHi,j[k]」というのは、ローカルフィルタP中に×印で示される注目画素の周辺の画素の配置位置を(x,y)で表したときに、注目画素周辺の各画素のドット出現パターンCx,y[k]をローカルフィルタPの(x,y)の位置の値で重み付けし、要素(要素番号)kの値毎に加算した合計値(期待値)である。ただし、「k」は0から(n−1)までの任意の整数値であって、ドット出現パターンCx,y[k]の要素(要素番号)kと同義である。また、「ドット出現パターンCi,j[k]」というのは、それぞれ0または1の値をとるCi,j[0]〜Ci,j[n−1]によって構成される数列(ドット出現情報配列)である。このドット出現パターンCi,j[k]は、要素kに0から(n−1)の何れかの値を代入したときに「1」となればi行j列目の画素にドットを形成することを示し、「0」となればドットを形成しないことを示す。
例えば、図10に示すローカルフィルタPを生成した場合に、ローカルフィルタP中の各画素の位置(x,y)、ローカルフィルタP中の各画素の画素値px,yが図11(a)、(b)のように設定されたとしたら、i行j列目の注目画素(図10,図11中×印の画素)のヒストグラムHi,j[k]を、下記の式にしたがって要素(要素番号)kの値ごとに算出する。
i,j[0]=Cx1,y1[0]×px1,y1+Cx1,y2[0]×px1,y2+Cx1,y3[0]×px1,y3+ … +Cx4,y3[0]×px4,y3
i,j[1]=Cx1,y1[1]×px1,y1+Cx1,y2[1]×px1,y2+Cx1,y3[1]×px1,y3+ … +Cx4,y3[1]×px4,y3
i,j[2]=Cx1,y1[2]×px1,y1+Cx1,y2[2]×px1,y2+Cx1,y3[2]×px1,y3+ … +Cx4,y3[2]×px4,y3


i,j[n−1]=Cx1,y1[n−1]×px1,y1+Cx1,y2[n−1]×px1,y2+Cx1,y3[n−1]×px1,y3+ … +Cx4,y3[n−1]×px4,y3
次に、各要素kについて算出されたヒストグラムHi,j[0]〜Hi,j[n−1]を値の小さい順に並べ替え、ヒストグラムHi,j[k]の要素番号列S[k]を算出する(ステップT5)。
例えば、ヒストグラムHi,j[0]〜Hi,j[n−1]が、Hi,j[8]<Hi,j[3]<Hi,j[4]<Hi,j[1]<Hi,j[5]<…<Hi,j[n−1]のように並べ替えられたら、要素番号列S[k]は{8,3,4,1,5,…,(n−1)}のように算出される。なお、この要素番号列S[k]において、「8」は0番目の要素であり、「3」は1番目の要素である。
要素番号列S[k]を算出したら、カウンタ値Countを0に設定し(ステップT6)、要素番号列S[k]の要素k’に、要素番号列S[k]中、カウンタ値Countの値に対応する順番の要素S[Count]の値を代入する(ステップT7)。すなわち、上記した要素番号列S[k](={8,3,4,1,5,…,(n−1)})を例にすると、カウンタ値Countが0であるから、k’に8(=S[0])を代入する。
続いて、カウンタ値Countと画素値(gi,j−1)との大小関係を比較する(ステップT8)。
比較の結果、カウンタ値Countが画素値(gi,j−1)以下であれば、要素k’に対応するドット出現パターンCi,j[k’]を「1」に設定し(ステップT9)、大きければ「0」に設定する(ステップT10)。例えば、画素値gi,jが3で、かつ要素番号列S[k]が{8,3,4,1,5,…,(n−1)}であれば、ドット出現パターンCi,j[k]のうち、まず要素Ci,j[8]を「1」に設定する。
ステップT9又はステップT10の処理を終えたら、カウンタ値Countに1を加算し(ステップT11)、カウンタ値Count(=1)と(n−1)との大小関係を比較し(ステップT12)、カウンタ値Countが(n−1)と同じ値になるまでステップT7からステップT11までの処理を繰り返し行うことにより、ドット出現パターンCi,j[k’]を決定する。これにより、以上のようにして要素Ci,j[8],Ci,j[3],Ci,j[4]に「1」が設定される。ドット出現パターンCi,j[k]が決定されたら、ドット出現パターンCi,j[k]のうち、上記ステップT1で決定したランダム変数rを要素番号とするCi,j[r]を、i行j列目の画素の出力値bi,jとして算出する(ステップT13)。なお、出力値bi,jは上記ステップT9又はステップT10の処理からもわかるように「0」又は「1」である。
出力値bi,jを算出したら、入力された原画像データの全ての画素について出力値bを算出したか否かを判断し(ステップT14)、全ての画素の出力値bを未だ算出していないと判定したら、未処理の各画素について上記ステップT2からステップT13までの処理を繰り返し行う。全ての画素の出力値b、つまり疑似中間調の出力用画像データを算出したと判定したら処理を終了する。
以上の逆相関型のデジタルハーフトーニング法による画像処理によれば、1つの画素に着目した場合にはドットの出現頻度がその画素の画素値gi,jに比例し、近接する複数の画素に着目した場合には各画素でのドットの出現の仕方が周辺画素との逆相関を実質的に最大とすることとなるため、画像の記録時において記録媒体に形成されるドットの分散性が向上する。そのため、逆相関型のデジタルハーフトーニング法は、誤差拡散法に見られる特有のテクスチャが少ないという特徴を有している。
なお、画像端部に関するドット出現パターンCi,j[k]の決定には、画像領域外の周辺画素に関するドット出現パターンが必要となるが、このための画像領域外の周辺画素に関してはランダム変数を用いる等してドット出現パターンを決めておく。具体的には、例えば次のように定義する。
i,j[k]= 1 ( rBR < nΔ のとき)、 0 ( それ以外のとき )
ここで、Δ=| gi,j − n/2 |/nであり、「gi,j」は注目画素の画素値である。また、「rBR」は{0,1,...(int)(n/2)}に含まれるランダムな整数であり、毎回異なる値とする。
特開平4−328957号公報 特開平8−107500号公報 ドミトリ・A・グゼフ(Dmitri A. Gusev)、"Anti-Correlation Digital Halftoning"、[online]、平成10年8月、インディアナ大学、[平成15年、7月1日検索]、インターネット<URLhttp://www.cs.indiana.edu/cgi-bin/techreports/TRNNN.cgi?trnum=TR513>
ところで、プリンタ等の出力装置が濃度の異なる複数種類のインクを備えている場合には、出力画像を印刷する際に、濃度の淡い部分は淡色インクを用い、濃度の濃い部分は濃色インクを用いて画像形成を行う。
しかしながら、従来は、記録紙等の記録媒体が吸収可能なインク量を考慮せずに、濃度の異なる複数種類のインクの吐出量を決定していたため、例えば、濃度が濃淡の中間である部分の出力を淡色インクで行おうとしてインク吐出量が増大し、記録媒体が吸収可能なインク量よりも多い量のインクを吐出してしまうオーバーインクが生じる可能性があった。その結果、印刷後の記録媒体がインクで湿潤した状態となり、形成された画像に悪影響を及ぼす問題が生じる。
そこで、本発明の課題は、逆相関型のデジタルハーフトーニング法を用いたハーフトーニング処理を行う際に、複数種類の濃度ドットの面積率を制御することにより、良好なドット分散性を得ることができると共に、印刷時に濃度の異なる複数種類のインクの吐出量を制御してオーバーインクを防止することができる画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、
入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解した後、量子化して疑似中間調の出力用画像データに変換する演算処理部を有する画像処理装置であって、
前記演算処理部は、
入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解する際、
入力された多階調画像データの階調値に基づき、それぞれの濃度の多階調画像データのドットが占める面積率を決定し、これに応じてそれぞれの濃度の多階調画像データの階調値を決定する制御を行うものであり、
前記多階調画像データの注目画素について、当該注目画素周辺の既に量子化が行われた画素についてのドット出現情報配列から、当該ドット出現情報配列を構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にそれぞれの濃度のドットが出現する期待値を算出し、
前記要素番号毎の期待値をその値の小さい順に並べた要素番号列を濃度毎に算出し、
前記それぞれの濃度の要素番号列に、前記注目画素のそれぞれの濃度の階調値分の要素番号に対してドットを付して、前記注目画素における複数濃度のドット間の面積率に応じたドット出現情報配列を決定する構成となっていることを特徴としている。
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記演算処理部は、
前記ドット出現情報配列を決定する際に、それぞれの濃度の多階調画像データのドット間で、他の濃度のドットが付された要素番号を避けてドットを付すようになっていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、
入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解した後、量子化して疑似中間調の出力用画像データに変換する画像処理方法であって、
入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解する際、
入力された多階調画像データの階調値に基づき、それぞれの濃度の多階調画像データのドットが占める面積率を決定し、これに応じてそれぞれの濃度の多階調画像データの階調値を決定するものであり、
前記多階調画像データの注目画素について、当該注目画素周辺の既に量子化が行われた画素についてのドット出現情報配列から、当該ドット出現情報配列を構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にそれぞれの濃度のドットが出現する期待値を算出し、
前記要素番号毎の期待値をその値の小さい順に並べた要素番号列を濃度毎に算出し、
前記それぞれの濃度の要素番号列に、前記注目画素のそれぞれの濃度の階調値分の要素番号に対してドットを付して、前記注目画素における複数濃度のドット間の面積率に応じたドット出現情報配列を決定することを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理方法において、
前記ドット出現情報配列を決定する際に、それぞれの濃度の多階調画像データのドット間で、他の濃度のドットが付された要素番号を避けてドットを付すようになっていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、
画像処理プログラムであって、
入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解した後、量子化して疑似中間調の出力用画像データに変換するためのコンピュータに、
入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解する際、
入力された多階調画像データの階調値に基づき、それぞれの濃度の多階調画像データのドットが占める面積率を決定し、これに応じてそれぞれの濃度の多階調画像データの階調値を決定するとともに、
多階調画像データの注目画素について、当該注目画素周辺の既に量子化が行われた画素についてのドット出現情報配列から、当該ドット出現情報配列を構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にそれぞれの濃度のドットが出現する期待値を算出し、
前記要素番号毎の期待値をその値の小さい順に並べた要素番号列を濃度毎に算出し、
前記それぞれの濃度の要素番号列に、前記注目画素のそれぞれの濃度の階調値分の要素番号に対してドットを付して、前記注目画素における複数濃度のドット間の面積率に応じたドット出現情報配列を決定する機能を実現させることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記ドット出現情報配列を決定する際に、それぞれの濃度の多階調画像データのドット間で、他の濃度のドットが付された要素番号を避けてドットを付す機能を実現させることを特徴としている。
請求項1,請求項3,及び請求項5に記載の発明によれば、入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解した後、量子化して疑似中間調の出力用画像データに変換する画像処理において、入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解する際、入力された多階調画像データの階調値に基づき、それぞれの濃度の多階調画像データのドットが占める面積率を決定し、これに応じてそれぞれの濃度の多階調画像データの階調値を決定するため、良好なドット分散性を得ることができると共に、印刷時に濃度の異なる複数種類のインクの吐出量を制御してオーバーインクを防止することができる。その結果、良好な画像形成を行うことができる。
また、多階調画像データの注目画素について、当該注目画素周辺の既に量子化が行われた画素についてのドット出現情報配列から、当該ドット出現情報配列を構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にそれぞれの濃度のドットが出現する期待値を算出し、要素番号毎の期待値をその値の小さい順に並べた要素番号列を濃度毎に算出し、それぞれの濃度の要素番号列に、注目画素のそれぞれの濃度の階調値分の要素番号に対してドットを付して、注目画素における複数濃度のドット間の面積率に応じたドット出現情報配列を決定するため、確実に、良好なドット分散性を得ることができると共に、印刷時に濃度の異なる複数種類のインクの吐出量を制御してオーバーインクを防止することができる。その結果、確実に、良好な画像形成を行うことができる。
請求項2,請求項4,及び請求項6に記載の発明によれば、ドット出現情報配列を決定する際に、それぞれの濃度の多階調画像データのドット間で、他の濃度のドットが付された要素番号を避けてドットを付すようになっているため、より確実に、良好なドット分散性を得ることができると共に、印刷時に濃度の異なる複数種類のインクの吐出量を制御してオーバーインクを防止することができる。その結果、より確実に、良好な画像形成を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置、画像処理方法及び画像処理のプログラムについて、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
まず、本実施の形態に係る画像処理装置1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像処理装置1の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、画像処理装置1は、入力される多階調画像(原画像)データを量子化して擬似中間調の出力用画像データに変換して出力するための演算処理部2を備えている。なお、この画像処理装置1は、インクジェットプリンタ等の周知の出力装置に搭載可能となっている。また、本実施の形態においては、多階調画像データを、各画素値が8bitのグレースケールを持つRGB画像に関するデータとして説明する。また、本実施の形態では、前記8bit(256階調)の多階調画像データを、1画素に関し、白(非記録)、淡い黒(淡ドット記録)、濃い黒(濃ドット記録)の3つのレベル(値)に量子化するようになっている。
演算処理部(コンピュータ)2は、互いに接続されたROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4及びCPU(Central Processing Unit)5を備えている。
ROM3には、本発明に係る画像処理プログラムが格納されている。この画像処理プログラムは、多階調画像データに対する逆相関型のデジタルハーフトーニング処理を演算処理部2に実行させるためのものである。
RAM4には、CPU5による作業領域が備えられている。
CPU5は、ROM3に格納されている画像処理プログラムをRAM4内の作業領域に展開し、多階調画像データから出力用画像を生成するようになっている。
次に、本発明に係る画像処理方法について、図2〜図5を参照しながら説明する。なお、以下においては、画像処理装置1は、左から右に向かう方向に注目画素を切り換えて処理を行うこととするが、所定数の画素からなる行を切り換えた後の処理方向については、再び左から右に向かう方向としても良いし、反転させて右から左に向かう方向としても良いし、左右方向の何れかをランダムに選択することとしても良い。好ましくは、画像処理装置1は、全体として蛇行するような順序で処理を行うべく、1行毎または複数行毎に処理方向を反転させるようになっている。
図2及び図3は、画像処理装置1の演算処理部2が前記画像処理プログラムに基づいて、出力用画像データを生成するために実行する逆相関型のデジタルハーフトーニング処理を経時的に示したフローチャートである。
この図に示すように、演算処理部2は、従来のステップT1と同様に、多階調画像データが入力される前に、予めランダム変数rを決定する(ステップS1)。
多階調画像データが入力されたら、演算処理部2は多階調画像データ中からi行j列目の画素(注目画素)に関する画素値(入力画素値)g(i,j)を取得し、当該画素値に基づき濃ドット及び淡ドットの面積率を指定し、淡ドットに相当する淡ドットレベル値(淡ドット階調値)g1(i,j)と濃ドットに相当する濃ドットレベル値(濃ドット階調値)g2(i,j)を算出する(ステップS2)。なお、画素値g(i,j)とは、i行j列目の画素における階調値のことであり、本実施形態では0〜n(n=255)の範囲内の何れかの値である。また、ここで、淡ドットレベル値g1(i,j)と濃ドットレベル値g2(i,j)の合計は255を越えないようにする。
図4の表に、本実施の形態における入力画素値と淡ドットレベル値g1(i,j)及び濃ドットレベル値g2(i,j)との対応関係を示し、図5に図4の表から作成されたグラフを示す。この対応関係は、記録媒体やインクの種類等に応じて決定され、画素値が大きくなるにつれ出力画像が淡色から濃色へ滑らかに変化し、さらにオーバーインクとならないようにされる。
淡ドットレベル値g1(i,j)及び濃ドットレベル値g2(i,j)を算出したら、演算処理部2は、淡ドットレベル値g1(i,j)に基づきi行j列目の画素の淡ドットに対するローカルフィルタP1を生成する(ステップS3)。詳細は、従来のステップT3と同様であるため、省略する。
ローカルフィルタP1を生成したら、演算処理部2はi行j列目の淡ドットレベル値g1(i,j)のヒストグラムH1(i,j)[k]を算出する(ステップS4)。詳細は、従来のステップT4と同様であるため、省略する。なお、本実施の形態では、「ドット出現パターンCi,j[k]」というのは、それぞれ0、1または2の値をとるCi,j[0]〜Ci,j[n−1]によって構成される数列(ドット出現情報配列)である。このドット出現パターンCi,j[k]は、要素kに0から(n−1)の何れかの値を代入したときに「1」となればi行j列目の画素に淡ドットを形成することを示し、「2」となればi行j列目の画素に濃ドットを形成することを示し、「0」となればドットを形成しないことを示す。
次に、演算処理部2は、各要素kについて算出された淡ドットレベル値g1(i,j)のヒストグラムH1(i,j)[0]〜H1(i,j)[n−1]を値の小さい順に並べ替え、ヒストグラムH1(i,j)[k]の大小順を示す要素番号列S1[k]を算出する(ステップS5)。
例えば、ヒストグラムH1(i,j)[0]〜H1(i,j)[n−1]が、H1(i,j)[8]<H1(i,j)[3]<H1(i,j)[4]<H1(i,j)[1]<H1(i,j)[5]<…<H1(i,j)[n−1]のように並べ替えられたら、要素番号列S1[k]は{8,3,4,1,5,…,(n−1)}のように算出される。
なお、この要素番号列S1[k]において、「8」は0番目の要素であり、「3」は1番目の要素である。
S5の後、演算処理部2は、従来のステップT6〜T12と同様に、ドット出現パターン(ドット出現情報配列)Ci,j[k’]に「1(淡ドット記録)」又は「0(非記録)」を付していき、ドット出現パターンCi,j[k]のうち、淡ドットの出現パターンを決定する(ステップS6〜S12)。
淡ドットの出現パターンが決定されたら、次に、演算処理部2は、濃ドットレベル値g2(i,j)に基づきi行j列目の画素の濃ドットに対するローカルフィルタP2を生成し(ステップS13)、ヒストグラムH2(i,j)[k]を算出する(ステップS14)。詳細については、前記ステップS3〜S4と同様である。
次に、演算処理部2は、前記ステップS5と同様の処理を行い、各要素kについて算出されたヒストグラムH2(i,j)[k]の要素番号列S2[k]を算出する(ステップS15)。
要素番号列S2[k]を算出したら、前記ステップS6と同様に、カウンタ値Countを0に設定し(ステップS16)、要素番号列S2[k]の要素k’に、要素番号列S[k]中、カウンタ値Countの値に対応する順番の要素S[Count]の値を代入する(ステップS17)。
そして、演算処理部2は、要素k’(=0)に対応する要素kの部分のドット出現パターンCi,j[k’]に「0」が設定されているかどうかの判定を行い(ステップS18)、前記S10の処理によりドット出現パターンCi,j[k’]に「0」が設定されている場合には、当該部分のドット出現パターンCi,j[k’]に設定されている「0」を変更して「2」を設定する(ステップS19)。
これに対し、要素k’(=0)に対応する要素kの部分のドット出現パターンCi,j[k’]に、前記S9の処理により「1」が設定されている場合には、当該部分のドット出現パターンCi,j[k’]に設定されている「1」は変更せずそのままにしておく。
すなわち、ドット出現パターンCi,j[k]において、淡ドットである「1」が既に設定されている部分を避けて、濃ドットである「2」を設定するようになっている。
前記処理を終えたら、演算処理部2は、カウンタ値Countに1を加算し(ステップS20)、そのカウンタ値Count(=1)と(濃ドットレベル値g2(i,j)−1)との大小関係を比較し(ステップS21)、カウンタ値Countが(濃ドットレベル値g2(i,j)−1)を超えるまでステップS17からステップS20までの処理を繰り返し行うことにより、ドット出現パターンCi,j[k]のうち、濃ドットの出現パターンを決定し、濃ドットの出現パターンが決定されると、ドット出現パターンCi,j[k]の決定となる。
なお、濃ドットの出現パターンについては、カウンタ値Countが(濃ドットレベル値g2(i,j)−1)を超えるまでステップS18からステップS20までの処理を繰り返し行えばよく、淡ドットのように(n−1)まで処理を繰り返さなくてもよい。これは、ドット出現パターンCi,j[k]に「2」を設定しなかった部分には、前記淡ドットの処理で「1」か「0」が設定されているためである。これにより、無駄な処理を行わなくても良いという利点が生じる。
ドット出現パターンCi,j[k]が決定されたら、演算処理部2はドット出現パターンCi,j[k]のうち、上記ステップS1で決定したランダム変数rをインデックスとしたCi,j[r]を、i行j列目の画素の出力値bi,jとして算出する(ステップS22)。
そして、出力値bi,jが「0」であるかどうか(ステップS23)、「1」であるかどうか(ステップS25)の判定を行い、「0」のときには当該画素は非記録(白)となり(ステップS24)、「1」のときには当該画素は淡ドット(淡色黒)を記録することを決定し(ステップS26)、「2」のときには当該画素は濃ドット(濃色黒)を記録することを決定する(ステップS27)。
その後、次の画素について同様の処理を行い、最終的に全ての画素について前記処理を行って、当該出力用画像データを算出する。これにより、1つの画素に着目した場合にはドットの出現頻度がその画素の画素値g(i,j)に比例し、近接する複数の画素に着目した場合には各画素でのドットの出現の仕方が周辺画素との逆相関を実質的に最大とすることとなるため、画像の記録時において記録媒体に形成されるドットの分散性が向上する。さらに、淡ドットと濃ドットの面積率(ドット出現パターンにおけるドット出現率)を制御しているため、オーバーインクとなって記録媒体を湿潤させることを防止でき、良好な画像を出力することができる。
以上のように、本実施の形態の画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムによれば、入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解した後、量子化して疑似中間調の出力用画像データに変換する画像処理において、入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解する際、入力された多階調画像データの階調値に基づき、それぞれの濃度の多階調画像データのドットが占める面積率を決定し、これに応じてそれぞれの濃度の多階調画像データの階調値を決定するため、良好なドット分散性を得ることができると共に、印刷時に濃度の異なる複数種類のインクの吐出量を制御してオーバーインクを防止することができる。その結果、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施の形態では、多階調画像データの注目画素について、当該注目画素周辺の既に量子化が行われた画素についてのドット出現情報配列から、当該ドット出現情報配列を構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にそれぞれの濃度のドットが出現する期待値を算出し、要素番号毎の期待値をその値の小さい順に並べた要素番号列を濃度毎に算出し、それぞれの濃度の要素番号列に、注目画素のそれぞれの濃度の階調値分の要素番号に対してドットを付して、注目画素における複数濃度のドット間の面積率に応じたドット出現情報配列を決定するため、確実に、良好なドット分散性を得ることができると共に、印刷時に濃度の異なる複数種類のインクの吐出量を制御してオーバーインクを防止することができる。その結果、確実に、良好な画像形成を行うことができる。
さらに、本実施の形態では、ドット出現情報配列を決定する際に、それぞれの濃度の多階調画像データのドット間で、他の濃度のドットが付された要素番号を避けてドットを付すようになっているため、より確実に、良好なドット分散性を得ることができると共に、印刷時に濃度の異なる複数種類のインクの吐出量を制御してオーバーインクを防止することができる。その結果、より確実に、良好な画像形成を行うことができる。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、本実施の形態では、淡ドットを決定してから濃ドットを決定したが、これに限らず、処理の多様性に対応させて、例えば濃ドットを決定してから淡ドットを決定するようにしても良い。
また、本実施の形態では、入力画像は8bitのグレースケールを持つモノクロ画像であるが、これに限るものではなく、画像の多様性に対応させて、階調、解像度、モノクロ画像かカラー画像か等適宜の画像を用いることができる。
さらに、出力画像についても、本実施の形態では、白,淡色黒,濃色黒の3値化した出力画像であるが、これに限らず、インクの多様性に対応させて、カラー画像を含めて3値以上の種々の出力値を有する出力画像にする場合にも適用可能である。例えば、黒色インクを淡色から濃色までで3種類以上使用するようにしても良い。
本発明に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。 画像処理装置の演算処理部が実行する逆相関型のデジタルハーフトーニング処理を経時的に示したフローチャートである。 画像処理装置の演算処理部が実行する逆相関型のデジタルハーフトーニング処理を経時的に示したフローチャートである。 入力画素値と淡ドットレベル値及び濃ドットレベル値との対応表である。 入力画素値と淡ドットレベル値及び濃ドットレベル値との対応関係を表すグラフである。 従来の逆相関型のデジタルハーフトーニング法による画像処理を経時的に示したフローチャートである。 画素値に基づく値ΔとローカルフィルタPの情報とを対応づけた表である。 基礎フィルタK1〜K3を示す図面である。 基礎フィルタK4〜K6を示す図面である。 ローカルフィルタP(=R(K6,4,−1))を示す図面である。 ヒストグラムHi,j[k]の生成を説明するための図面である。
符号の説明
1 画像処理装置
2 演算処理部

Claims (6)

  1. 入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解した後、量子化して疑似中間調の出力用画像データに変換する演算処理部を有する画像処理装置であって、
    前記演算処理部は、
    入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解する際、
    入力された多階調画像データの階調値に基づき、それぞれの濃度の多階調画像データのドットが占める面積率を決定し、これに応じてそれぞれの濃度の多階調画像データの階調値を決定する制御を行うものであり、
    前記多階調画像データの注目画素について、当該注目画素周辺の既に量子化が行われた画素についてのドット出現情報配列から、当該ドット出現情報配列を構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にそれぞれの濃度のドットが出現する期待値を算出し、
    前記要素番号毎の期待値をその値の小さい順に並べた要素番号列を濃度毎に算出し、
    前記それぞれの濃度の要素番号列に、前記注目画素のそれぞれの濃度の階調値分の要素番号に対してドットを付して、前記注目画素における複数濃度のドット間の面積率に応じたドット出現情報配列を決定する構成となっていることを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記演算処理部は、
    前記ドット出現情報配列を決定する際に、それぞれの濃度の多階調画像データのドット間で、他の濃度のドットが付された要素番号を避けてドットを付すようになっていることを特徴とする画像処理装置。
  3. 入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解した後、量子化して疑似中間調の出力用画像データに変換する画像処理方法であって、
    入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解する際、
    入力された多階調画像データの階調値に基づき、それぞれの濃度の多階調画像データのドットが占める面積率を決定し、これに応じてそれぞれの濃度の多階調画像データの階調値を決定するものであり、
    前記多階調画像データの注目画素について、当該注目画素周辺の既に量子化が行われた画素についてのドット出現情報配列から、当該ドット出現情報配列を構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にそれぞれの濃度のドットが出現する期待値を算出し、
    前記要素番号毎の期待値をその値の小さい順に並べた要素番号列を濃度毎に算出し、
    前記それぞれの濃度の要素番号列に、前記注目画素のそれぞれの濃度の階調値分の要素番号に対してドットを付して、前記注目画素における複数濃度のドット間の面積率に応じたドット出現情報配列を決定することを特徴とする画像処理方法。
  4. 請求項3に記載の画像処理方法において、
    前記ドット出現情報配列を決定する際に、それぞれの濃度の多階調画像データのドット間で、他の濃度のドットが付された要素番号を避けてドットを付すようになっていることを特徴とする画像処理方法。
  5. 入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解した後、量子化して疑似中間調の出力用画像データに変換するためのコンピュータに、
    入力された多階調画像データを相異なる複数濃度の多階調画像データに分解する際、
    入力された多階調画像データの階調値に基づき、それぞれの濃度の多階調画像データのドットが占める面積率を決定し、これに応じてそれぞれの濃度の多階調画像データの階調値を決定するとともに、
    多階調画像データの注目画素について、当該注目画素周辺の既に量子化が行われた画素についてのドット出現情報配列から、当該ドット出現情報配列を構成する要素の要素番号毎に、周辺画素にそれぞれの濃度のドットが出現する期待値を算出し、
    前記要素番号毎の期待値をその値の小さい順に並べた要素番号列を濃度毎に算出し、
    前記それぞれの濃度の要素番号列に、前記注目画素のそれぞれの濃度の階調値分の要素番号に対してドットを付して、前記注目画素における複数濃度のドット間の面積率に応じたドット出現情報配列を決定する機能を実現させるための画像処理プログラム。
  6. 請求項5に記載の画像処理プログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記ドット出現情報配列を決定する際に、それぞれの濃度の多階調画像データのドット間で、他の濃度のドットが付された要素番号を避けてドットを付す機能を実現させるための画像処理プログラム。
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