JP4150330B2 - 生体関連物質検出用マイクロアレイの製造方法 - Google Patents
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Description
このようなDNAマイクロアレイの例として、複数の区画を中空繊維により形成し、各中空繊維にはキャプチャープローブをゲル状物を介して保持されている生体関連物質検出用マイクロアレイが提案されている(特許文献1及び特許文献2)。
(1) 複数本の中空繊維を、中空繊維の各繊維軸が同一方向となるように3次元に配列し、その配列をポリウレタン樹脂等の接着剤を用いて固定し、中空繊維束を製造する工程。
(2) キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を各中空繊維の中空部に導入し、重合反応を行い、キャプチャープローブが保持されたゲル状物を生成する工程。
(3) 繊維の長手方向に交叉する方向で、切断して中空繊維束を薄片化する工程。
また、製造されたマイクロアレイは、所定長の中空繊維の中空部にキャプチャープローブがゲル状物を介して保持されているため、単にシートの表面にキャプチャープローブを保持させる場合と比較すると、一区画により多くの量のキャプチャープローブを保持することができる。さらには電気泳動によるハイブリダイゼーション反応を行うことができ、検査時間の短縮が図れる。
しかし、上述のマイクロアレイを製造する際、ゲル前駆体重合性溶液中に溶解している酸素を除去するだけでは不十分であることが分かった。
具体的には中空繊維束を製造する際に使用したポリウレタン樹脂等の包埋剤に溶解している内在酸素が中空繊維の中空部へ移動し、重合反応を阻害することがわかった。
また、通常行われている窒素置換等の脱気操作では、ポリウレタン樹脂等に溶解している内在酸素を完全に除去することは非常に困難であることが分かった。
内在酸素の影響を排除する方法について検討した結果、中空繊維束の中空繊維が配置されている領域の周りを連続的または断続的に酸素遮断壁で囲うことにより、中空繊維を包埋している樹脂等に溶解している内在酸素が、ゲル前駆体重合性溶液を保持した中空繊維中空部へ浸透していくことを遮蔽でき、中空繊維内壁とその中空部に形成されているゲル状物との界面に隙間が生じないことを見出し、本発明を完成した。
(1) 複数の管状体を、管状体の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程。
(2) 配列体の最外周に連続的または断続的に酸素遮断壁を配置する工程。
(3) 前記酸素遮断壁を含む配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程。
(4) キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を該ブロック体の各管状体に導入し、重合反応を行い、キャプチャープローブを含むゲル状物を管状体内に保持する工程。
(5) 管状体の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程。
(1) 複数の管状体を、管状体の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程。
(2) 配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程。
(3) ブロック体内に配列された配列体の最外周に連続的または断続的に酸素遮断壁を配置する工程。
(4) キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を該ブロック体の各管状体に導入し、重合反応を行い、キャプチャープローブを含むゲル状物を管状体内に保持する工程。
(5) 管状体の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程。
(1) 複数の管状体を、管状体の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程(第1の工程)。
(2) 配列体の最外周に連続的または断続的に酸素遮断壁を配置する工程(第2の工程)。
(3) 前記酸素遮断壁を含む配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程(第3の工程)。
(4) キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を該ブロック体の各管状体に導入し、重合反応を行い、キャプチャープローブを含むゲル状物を管状体内に保持する工程(第4の工程)。
(5) 管状体の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程(第5の工程)。
また管状体は、後述するゲル状物との密着性向上を目的として、予め親水化等の処理を行うことが好ましい(WO03/012423号公報参照)。
酸素遮断壁は、連続的に配置させてもよく、断続的に配置させてもよい。断続的に配置させる場合には、内在酸素の遮断の程度を一様にするように、規則的に配置させることが好ましい。また、酸素遮断壁は生体関連物質を検出しうる物質が保持される管状体と平行に配置させることが好ましい。また、酸素遮断壁の数は多いほど望ましい。
また、酸素を透過しない膜等を最外周に配列されている管状体を囲むように配置させても良い。膜の材質としては、上記の有機系管状体に用いる高分子材料の他に、錫、金、アルミ等の金属膜が挙げられる。
なお、包埋する際、第4の工程でゲル前駆体重合性溶液の導入を容易とするため、管状体の全長包埋するのではなく、片端を包埋しないで自由端とすることが好ましい(図2参照)。
後述するようにキャプチャープローブは単量体、多官能性単量体等と共重合することにより、架橋構造に固定される。よって、キャプチャープローブには、ビニル基等の不飽和官能基が導入されていることが好ましい。例えばアミノ基を導入したキャプチャープローブを作成し、(メタ)アクリル酸等と反応させることにより、不飽和官能基を導入することができる(WO98/39351号公報参照)。
次にデシゲーター内を減圧状態とし、ブロック体の管状体が固定されていない自由端(酸素遮断壁として管状体を使用する場合は、その管状体は除く)を、重合性溶液中に浸す。次にデシゲーター内に不活性ガスを吹き込むことにより加圧状態し、各管状体内に溶液を導入する。
重合性溶液を導入した後、ブロック体を加温することにより重合反応を開始する。重合温度は使用する単量体等により適宜選択される。
このように重合反応を完結させることにより、樹脂等により溶存していた酸素が、管状体へ浸透することが防止でき、酸素による重合阻害をうけることなく重合反応が完結する。
よって、管状体内に保持されたゲル状物は管状体の内壁と密着し、隙間が生じない。
(1) 複数の管状体を、管状体の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程。
(2) 配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程。
(3) ブロック体内に配列された配列体の最外周に連続的または断続的に酸素遮断壁を配置する工程。
(4) キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を該ブロック体の各管状体に導入し、重合反応を行い、キャプチャープローブを含むゲル状物を管状体内に保持する工程。
(5) 管状体の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程。
<実施例1>
(1)中空繊維の製造
三菱エンジニアリング(株)製のポリカーボネートを溶融紡糸し長さ600mmの非多孔質中空繊維(内径0.18mm、外径0.30mm)を260本製造した。
図3に示す配列固定器具を利用して中空繊維束からなる配列体を製造した。x軸は繊維の長手方向と一致する。
まず、直径0.32mmの孔が、孔の中心間距離を0.12mmとして、縦横各16列で合計256個設けられた厚さ0.1mmの多孔板2枚を準備した。これらの多孔板を重ね合わせて、そのすべての孔に(1)で得られた中空繊維を1本づつ通過させた。
次いで、多孔板間の空間の周囲3面を板状物で囲った。このようにして上部のみが開口状態にある容器を得た。
DNA/RNA 合成機(PEバイオシステムズ社製:model 394)を使用し、GCATのオリゴヌクレオチドを合成した。これらは一般的手法により脱保護及び精製して使用した。
得られたオリゴヌクレオチド50μl、グリシジルメタクリレート5μl及びジメチルホルムアミド(DMF)5μlを混合し、70℃で2時間反応させた。
反応終了後、水190μlを加え、100nmol/mlのメタクリレート基を有するGCAT(MA-GCAT)を得た。
次にブロック体及びキャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を温度調節可能なデシゲーター内に設置した。
次に真空ポンプで20mmHgまで減圧した後、中空繊維束が固定されていない一方の端部(図2)を重合性溶液中に浸漬した。次いで、再度窒素ガスを吹き込んでデシゲーター内の圧力を780mmHgまで加圧することにより中空繊維の中空部にキャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を導入した。ただし、最外周の中空繊維(図3参照)は、酸素遮断壁として使用するため、前記重合性溶液は充填しなかった。
導入後、窒素ガスを3L/minの流量でデシゲーターに供給しながら、温度を55℃に昇温し、3時間重合を行った。
(4)で得られたブロック体を、ミクロトームを用いて繊維の長手方向と直交する方向でスライスし、厚さ0.5mmの薄片シートを得た。
得られた薄片シートを観察した結果、最外周に配列されている中空繊維に保持されたゲル状物は、中空繊維の内壁と密着しており、隙間は生じていなかった(図4参照)。
比較例1において、実施例1では酸素遮断壁として使用された最外周に配置されている中空繊維にも、ゲル前駆体重合性溶液を導入した以外は実施例1と同様に操作を行った。
得られた薄片シートを観察した結果、最外周に配列されている中空繊維に保持されたゲル状物は、中空繊維の内壁と密着しておらず、隙間が生じていた(図5参照)。
ゲル前駆体重合性溶液を導入する際、十分に窒素置換したにもかかわらず、ウレタン樹脂等に溶解している酸素が重合反応を阻害したものと思われる。
Claims (4)
- 以下の(1)〜(6)の工程を順次行うことを含む生体関連物質検出用マイクロアレイの製造方法。
(1)複数の管状体を、管状体の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程
(2)配列体の最外周に、連続的または断続的に酸素遮断壁として管状体を配列する工程
(3)前記酸素遮断壁及び前記配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程
(4)前記酸素遮断壁の管状体内に不活性ガスを導入するとともに、キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を、前記配列体の管状体に導入する工程
(5)前記重合性溶液の重合反応を行い、キャプチャープローブを含むゲル状物を前記配列体の管状体内に保持する工程
(6)管状体の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程 - 以下の(1)〜(6)の工程を順次行うことを含む生体関連物質検出用マイクロアレイの製造方法。
(1)複数の管状体を、管状体の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程
(2)配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程
(3)ブロック体内に配列された配列体の最外周に、連続的または断続的に酸素遮断壁として貫通孔を設ける工程
(4)前記酸素遮断壁の貫通孔内に不活性ガスを導入するとともに、キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を、前記配列体の管状体に導入する工程
(5)前記重合性溶液の重合反応を行い、キャプチャープローブを含むゲル状物を前記配列体の管状体内に保持する工程
(6)管状体の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程 - 以下の(1)〜(5)の工程を順次行うことを含む生体関連物質検出用マイクロアレイの製造方法。
(1)複数の管状体を、管状体の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程
(2)配列体の最外周に、連続的または断続的に酸素遮断壁として金属、合金、金属線または金属膜を配列する工程
(3)前記酸素遮断壁及び前記配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程
(4)キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を、前記配列体の管状体に導入して重合反応を行い、キャプチャープローブを含むゲル状物を前記配列体の管状体内に保持する工程
(5)管状体の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程 - 以下の(1)〜(5)の工程を順次行うことを含む生体関連物質検出用マイクロアレイの製造方法。
(1)複数の管状体を、管状体の長手方向が同一方向となるように3次元に配列し配列体を製造する工程
(2)配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程
(3)ブロック体内に配列された配列体の最外周に、連続的または断続的に酸素遮断壁として金属、合金、金属線または金属膜を配列する工程
(4)キャプチャープローブを含むゲル前駆体重合性溶液を、前記配列体の管状体に導入して重合反応を行い、キャプチャープローブを含むゲル状物を前記配列体の管状体内に保持する工程
(5)管状体の長手方向と交叉する方向で、切断してブロック体を薄片化する工程
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