JP2003279575A - 遺伝子変異検出装置の製造方法 - Google Patents

遺伝子変異検出装置の製造方法

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JP2003279575A
JP2003279575A JP2003007541A JP2003007541A JP2003279575A JP 2003279575 A JP2003279575 A JP 2003279575A JP 2003007541 A JP2003007541 A JP 2003007541A JP 2003007541 A JP2003007541 A JP 2003007541A JP 2003279575 A JP2003279575 A JP 2003279575A
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gel
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JP2003007541A
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Hiroko Shinada
弘子 品田
Chuhei Otsuki
宙平 大槻
Akira Yoshioka
彰 吉岡
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 核酸を損傷させない条件でのDNAマイクロ
アレイの製造方法を提供する。 【解決手段】 重合反応時、重合溶液のpHを7以上に制
御することによって、核酸を損傷させることなく、ゲル
状物に核酸を効率良く固定化できる。さらには、本発明
は、前記重合条件下で、核酸と検体中の核酸を安定に、
しかも高感度に検出できるマイクロアレイを製造するこ
とができる。すなわち、以下の工程を含むDNAマイク
ロアレイの製造方法である。 (1)所定の間隔をもって平行に配置された貫通穴を含
むブロックを形成する工程。 (2)貫通穴にキャプチャープローブ及びゲル前駆体を
導入し、pHが7以上で重合反応を行う工程。 (3)貫通穴の長手方向を交叉する方向でブロックを切
断する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNAマイクロア
レイに代表される遺伝子変異検出装置の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、各種生物におけるゲノムプロジェ
クトが急速に進められ、ヒト遺伝子をはじめとして、多
数の遺伝子とその塩基配列が明らかにされつつある。配
列が明らかにされた遺伝子の機能については、各種の方
法で調べることができる。その有力な方法の一つとし
て、明らかにされた塩基配列情報を利用した遺伝子発現
解析が知られている。例えば、ノーザンハイブリダイゼ
ーションに代表されるような、各種の核酸:核酸間ハイ
ブリダイゼーション反応や各種のPCR反応を利用した
方法が開発され、各種遺伝子とその生体機能発現との関
係が調べられてきた。
【0003】しかしながら、これらの方法では適用し得
る遺伝子の数に制限があるため、今日のゲノムプロジェ
クトを通して明らかにされつつあるような、一個体レベ
ルという極めて多数の遺伝子の総合的・系統的解析を行
うために、多数遺伝子の一括発現解析を可能とする遺伝
子変異検出装置および検出方法が開発されてきた。代表
的な例としては、DNAマイクロアレイ法(DNAチッ
プ法)と呼ばれる分析法、方法論があげられる。
【0004】DNAマイクロアレイの使用例として、発
現遺伝子等を蛍光色素等で標識したサンプルを平面基盤
片上でハイブリダイゼーションさせ、互いに相補的な核
酸(DNA又はRNA)同士を結合させた後、蛍光色素
を励起させ、高解像度解析装置で高速に読みとる方法が
挙げられる。こうして、サンプル中のそれぞれの遺伝子
発現量等を迅速に推定できる。即ち、上記の方法は、微
量の試料で、且つ再現性よく、多量・迅速・系統的に分
析、定量することが可能とする代表的なマイクロアレイ
の製造法としては、表面を化学的又は物理的に修飾した
ガラス、樹脂等の平滑な基盤上にPCR等で調製した核酸
を固定化しマイクロアレイを製造する方法(非特許文献
1)、フォトリソグラフィー技術を利用し、シリコン等
の基盤の上に短鎖の核酸を直接固相合成しマイクロアレ
イを製造する方法(特許文献1及び2)が挙げられる。
【0005】また、近年、アガロース、アクリルアミド
等のゲル状物に核酸を固定化したマイクロアレイも開発
されている(特許文献3)。さらには、核酸をゲル状物
に固定化する方法についても報告されている(非特許文
献2及び特許文献4)。その一例としては、重合性官能
基が導入された核酸と重合性モノマーとの重合反応が挙
げられる。
【0006】ゲル状物を利用したマイクロアレイは、平
面基盤に化学結合等により直接、核酸が固定されたマイ
クロアレイと比較し、ゲルが多孔構造である故、核酸の
固定される部位が増加すること、ハイブリダイゼーショ
ン等の操作が電気泳動を利用することにより速やかに実
施できること等の利点がある。しかし、核酸をゲル状物
に固定する際の重合反応により核酸が損傷を受け、検出
感度が低下する問題があった。
【0007】例えば、末端ビニル化核酸と重合性モノマ
ーの共重合反応において、核酸は固定化されているもの
の、核酸の構造変化によりキャプチャープローブとして
利用されていないという問題があった。よって、検体を
検査する際に有効なチャプチャープローブが減少し、検
出感度低下、疑似ハイブリ等を引き起こす問題があっ
た。
【0008】
【特許文献1】米国特許第 5,445,934号明細書
【0009】
【特許文献2】米国特許第 5,774,305号明細書
【0010】
【特許文献3】国際公開第2000/52208号
【0011】
【非特許文献1】Science. 270., 467-470, (1995)
【0012】
【非特許文献2】Nucleic. Acid. Res., 27. 26498 (19
99)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、キャプチャ
ープローブとして利用する核酸が損傷しない重合条件で
遺伝子検出装置、特にDNAマイクロアレイを製造する方
法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するために鋭意検討した結果、核酸とゲル前
駆体との重合反応において、pHを7以上に制御すること
によって核酸構造の損傷を抑え、キャプチャープローブ
として機能を保持したまま、効率的に高分子ゲルに固定
化できることを見出した。また、そのような条件で作成
したマイクロアレイは、従来とものと比較して感度が向
上することを見いだした。
【0015】すなわち、本発明は、重合性官能基を有す
る核酸及びゲル前駆体を含む溶液を平面基板上の所定の
位置に配置することを含む、遺伝子変異検出装置の製造
方法である。また、本発明は、中空管状体の中空部に重
合性官能基を有する核酸及びゲル前駆体を含む溶液を導
入し、pHが7以上で重合反応を行うことを含む、遺伝子
変異検出装置の製造方法、である。
【0016】さらに本発明は、以下の工程を含む遺伝子
変異検出装置の製造方法、である。
【0017】(1)所定の間隔をもって平行に配置され
た貫通穴を含むブロックを形成する工程。
【0018】(2)貫通穴にキャプチャープローブ及び
ゲル前駆体を導入し、pHが7以上で重合反応を行う工
程。
【0019】(3)貫通穴の長手方向を交叉する方向で
ブロックを切断する工程。
【0020】また、ブロックを形成する前に各貫通穴に
ゲル状物を保持しても良い。その際、貫通穴を形成する
部材は、中空管状体である。
【0021】重合反応時のpHは好ましくは7〜13、さ
らに好ましくは8〜10であり、重合開始剤としては酸
と塩を形成していないアゾ系重合開始剤、さらに好まし
くは2,2’-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane] を
用いることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明において、「遺伝子検出装
置」とは、核酸プローブがゲル状物に固定されたものを
いう。ゲル状物は例えば、中空管状体内に保持されてい
てもよいし、平面基板上に整然と配置されていてもよ
い。
【0023】中空管状体内にゲル状物を保持するには、
核酸プローブとゲル前駆体の混合液を前記管状体内に充
填し、ゲル化反応を実施すればよい。
【0024】また、ゲル状物が平面基板上に整然と配置
された遺伝子検出装置(以下、DNAマイクロアレイと称
する場合がある)を作成するには、例えばガラスプレー
ト等の平面基盤に市販のスポティング装置を使用し、核
酸プローブとゲル前駆体の混合液をスポッティングし、
基板上で重合反応を実施すればよい。
【0025】また、本発明の遺伝子変異検出装置は、以
下の工程でも製造することができる。
【0026】(1)所定の間隔をもって平行に配置され
た複数の貫通穴を含むブロックを形成する工程。
【0027】(2)各貫通穴に重合性官能基を有する核
酸及びゲル前駆体を導入し、pHが7以上で重合反応を行
う工程。
【0028】(3)貫通穴の長手方向を交叉する方向で
ブロックを切断する工程。
【0029】複数の貫通穴を含むブロックは、例えば、
樹脂ブロックにレーザー、鋸等により穴をあけることに
より形成される(特開2000-78998号公報参照)。貫通穴
は、互いに長手方向に平行に、且つ所定間隔をもって配
置される。間隔は、目的に応じて適宜設定できる。好ま
しくは、マイクロアレイ表面1cm2あたり、50〜100
0穴程度で配置する。穴の形状はいずれでも良い。好ま
しくは、円形である。
【0030】また、先に複数本の中空管状体、例えば中
空繊維を準備し、お互いに長手方向に平行に配置し、各
中空管状体を樹脂等で包埋することにより該ブロックを
形成することも可能である。その際、中空管状体の内
径、外径、厚み、長さ、使用本数は目的に応じて適宜設
定できる。最終的に製造されるマイクロアレイの検出器
としての感度・精度と検出素子密度を考慮して設定され
る。中空管状体の外径は通常2mm以下であるが、1m
m以下であることが好ましく、0.5mm以下であるこ
とがより好ましい。また厚みは0.02mm以上である
ことが好ましい。また中空管状体の数は目的に応じて適
宜設定でき、例えば50〜1000本程度である。
【0031】次に、上記方法で作成されたブロックの貫
通穴の内部に、核酸を含むゲル状物が保持される。「核
酸」とは、例えばデオキシリボ核酸(DNA)やリボ核
酸(RNA)が挙げられる。本発明に用いる核酸は、市販品
又は生細胞等から得られた核酸でもよい。更に、鎖状若
しくは環状のプラスミドDNAや染色体DNA、これら
を制限酵素により若しくは化学的に切断したDNA断
片、試験管内で酵素等により合成されたDNA、又は化
学合成したオリゴヌクレオチド等を用いることもでき
る。またその鎖長はいずれでも鎖長でも使用することが
可能である。好ましくは、4base〜1000base程度で
ある。
【0032】核酸は重合反応によりゲル状物を構成する
成分(ゲル前駆体)に固定される。その際、核酸は重合
性反応基を有する必要がある。
【0033】「重合性官能基を有する核酸」とは、アク
リルアミド等のゲル前駆体と共重合しうる官能基を有し
た核酸である。重合性官能基としては、ビニル基、アリ
ル基,エポキシ基,グリシジル基,カルボキシル基,水
酸基,アミノ基,アミド基,イソシアナト基,リン酸基
等が挙げられる。また重合性官能基は、核酸の鎖中、鎖
の末端等、いずれの位置に導入することも可能である。
【0034】核酸に重合性官能基を導入する方法は、例
えばアミダイト試薬を使用しDNA自動合成装置により適
当な鎖長の核酸を合成した後、最終ステップでアミノリ
ンク TM(PEバイオシステムズ社製)のようなアミノ化
試薬と反応させることにより合成することができる。ま
た、前記の方法で合成したアミノ化DNAをプライマー
として、PCRを行うことにより長鎖のアミノ化核酸を
得ることも可能である。
【0035】上記の核酸、例えば、鎖の末端にビニル基
を導入した核酸を使用し、ゲル前駆体と共に重合反応を
行うことにより核酸がゲル状物に固定される。
【0036】また、末端をビニル化したアガロースと末
端をビニル化した核酸とを共重合しゲル状物に核酸を固
定することもできる。
【0037】「ゲル前駆体」とは、単量体、多官能性単
量体及び重合開始剤を含む溶液を指す。単量体として
は、例えば、アクリルアミド、N、N−ジメチルアクリ
ルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アク
リロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリロイル
アミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、
N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、(メタ)アクリル酸、アリルデキストリンが挙げら
れる。これらは、少なくとも一種類以上、使用する。多
官能性単量体としては、例えば、メチレンビス(メタ)
アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート等を用いることができる。他のゲル前駆体と
しては、例えば、化学修飾されたアガロース、アルギン
酸、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレ
ングリコール等を用いることができる。
【0038】重合反応中のゲル前駆体溶液のpHは、核酸
のpH安定性により選択されるが、pH範囲を7〜13、好
ましくは、pH範囲を8〜10に制御する。
【0039】pH範囲を制御する手段としては、例えば、
緩衝液をゲル前駆体溶液中に添加する。緩衝液はpH制御
できる種類、濃度を選択すれば良い。例えばTAE緩衝液
{Tris base(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)
と酢酸とEDTAの緩衝液}、TBE緩衝液{Tris base(トリ
スヒドロキシメチルアミノメタン)とホウ酸とEDTAの緩
衝液},Tris base-酢酸緩衝液,炭酸ナトリウム−炭酸
水素ナトリウム緩衝液等が挙げられる。緩衝液の濃度
は、重合溶液のpHを制御できる十分な濃度で良い。好ま
しくは、TAE緩衝液であれば、5×TAE{0.2M Tris
base, 0.1M酢酸,5mM EDTAの緩衝液,pH8.2}程度
である。重合温度、重合時間は適宜設定することができ
る。
【0040】使用する重合開始剤は、ゲル前駆体溶液の
pH範囲を7〜13、好ましくは、pH範囲を8〜10に制
御することにより、例えば2、2’-アゾビス[2-(2-イミ
ダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩やAPS(過硫酸アン
モニウム)等の水溶性重合開始を任意に用いることが可
能であるが、酸との塩を形成していないアゾ系重合開始
剤、好ましくは2,2’-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)pr
opane]を用いることによって、緩衝液等によってゲル前
駆体溶液のpH範囲を制御することなく重合反応がおよそ
pH 8〜9の弱アルカリ性で進行することからより好ま
しい。
【0041】前記重合性官能基を有する核酸及びゲル前
駆体を含む溶液は、真空導入等により各貫通穴に導入さ
れる。
【0042】重合反応終了後、ゲル状物が各貫通穴に保
持されたブロックを、貫通穴の長手方向を交叉する方向
で切断することによりDNAマイクロアレイが製造され
る。切断器具としては、例えば、ミクロトーム、レーザ
ー等が使用できる。切断の角度は、管状体の長手方向に
対して垂直であることが好ましい。マイクロアレイの厚
みは、通常、0.1mm〜1mm程度である。
【0043】また、前記重合性官能基を有する核酸及び
ゲル前駆体を含む溶液を中空管状体、例えば中空繊維の
中空部の導入した後に、複数本、所定の間隔をもって平
行に配列することによりゲル状物が各貫通穴に保持され
たブロックを作成することも可能である。その際、配列
した複数本の中空管状体は、各中空管状体の隙間部分に
樹脂等を流し込むことにより固定される。
【0044】上記の方法で作成されたDNAマイクロア
レイは、固定化された核酸をキャプチャープローブとし
て、検体と反応させてハイブリダイゼーションを行うこ
とにより、検体中の特定の塩基配列を有する核酸の高感
度検出に用いることができる。 固定化された核酸とハ
イブリッドを形成する核酸や、固定化された核酸と特異
的に結合する各種生体成分の検出には、公知の手段を用
いることができる。例えば、検体中の核酸、タンパク質
又は低分子化合物等に、蛍光物質、発光物質、ラジオア
イソトープなどの標識体を作用させることにより、この
標識体を検出することができる。これら標識体の種類や
標識体の導入方法等に関しては、何ら制限されることは
なく、従来公知の各種手段を用いることができる。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0046】<実施例1> 1.重合溶液のpHの確認実験 表1に従って重合溶液1〜3を調製し、重合前、重合後のp
Hを測定した。
【0047】重合反応は、50mlガラス容器中で行っ
た。
【0048】表1中において開始剤Aとは、2、2’-アゾ
ビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、
開始剤Bとは、過硫酸アンモニウム、重合促進剤Cと
は、テトラメチルエチレンジアミン、開始剤Dとは、
2、2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]
を示す。
【0049】重合性化合物モノマーとしてジメチルアク
リルアミド(DMAAm)、架橋剤としてメチレンビス
アクリルアミド(BIS)を用いた。
【0050】開始剤等Aを用いた場合の重合後のpHは酸
性であり(No.1)、開始剤Bと重合促進剤Cを用いた場合
の重合後のpHは弱アルカリ性であった(No.3)。
【0051】No.2のようにTAE等の緩衝液を用いる事に
よって、重合溶液のpHを制御することができる。またN
o.4のように酸と塩を形成していない重合開始剤を用い
ることによってTAE等の緩衝液を用いることなく、重
合前後において重合溶液のpHをおよそ8〜9の弱アルカ
リ性に維持することができることを確認した。
【0052】
【表1】 2.核酸損傷の確認実験 (1)核酸含有高分子ゲルの作成 下記組成となるように、重合溶液1を作成した。重合反
応は55℃、3時間で行った。
【0053】〔重合溶液1〕 オリゴヌクレオチド(5’-ATGC-3’) 10nmol/ml ジメチルアクリルアミド 4.5% メチレンビスアクリルアミド 0.5% 2、2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]
二塩酸塩 0.1% 5×TAE緩衝液:(0.2M Tris base、 0.1M 酢酸、5mM EDT
Aの緩衝液,pH8.2) (2)核酸の抽出 (1)により得られた核酸含有高分子ゲルを凍結後、細
かく粉砕した。粉砕したゲルにTE緩衝液を加え、一晩
静置し、核酸を抽出した。得られた抽出溶液を、スピン
カラム(ミリポア社製 Ultra free-DA)を用いて、ゲ
ルから核酸を抽出した。
【0054】(3)抽出した核酸のHPLCによる分析 (2)で抽出した核酸溶液を下記分析条件でHPLC
(高速液体クロマトグラフィー)分析を行った。
【0055】 〔分析条件〕 カラム:資生堂社製 CAPCELLPAK ODS-MG カラム温度:40℃ 溶離液:A;アセトニトリル B;5mM 酢酸トリエチルアンモニウム水溶液 溶出条件:グラジエント; A=0%→10%(0→20 min) →15%(→25min) 流速:1.0 ml/min 検出:260 nm HPLC分析の結果、重合前のピーク形状及び保持時間
が一致した。よって、上記重合条件においては核酸の損
傷は生じていないことを確認した。
【0056】<実施例2>重合溶液1において、重合開
始剤として2,2’-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propan
e]を使用し、TAE緩衝液加えない以外は、実施例1と同
様に操作したHPLC分析の結果、重合前のピーク形状
及び保持時間が一致した。よって、実施例1と同様上記
重合条件においては核酸の損傷は生じていないことを確
認した。
【0057】<比較例1>重合溶液1において、TAE
緩衝液加えない以外は、実施例1と同様に操作した。H
PLC分析の結果、保持時間が異なる複数のピークが観
察された。よって、核酸が損傷していることを確認し
た。
【0058】<実施例3> スライドグラスアレイ型D
NAチップによる確認実験 (1)メタクリレート基を有する核酸の製造法 100nmol/mlになるように蒸留水に溶解した5’アミノ
化オリゴヌクレオチド〔配列番号1〕(ベックス社にて
委託合成)10μlと100mMの炭酸ナトリウム−炭酸
水素ナトリウム緩衝液(pH9)5μlの混合溶液中に
ビニル化剤として、50μmol/mlになるようにDMSO
に溶解させたメタクリル酸無水物 5μlを混合し、室温
で2時間反応させた。
【0059】 〔配列番号1〕 ttcactgact ccgaatactc ccttttggca tggaccaata tcccaagaaa ggaaggtggt ttgggcccaa tcaacattcc (2)重合溶液の調製 次に以下の組成からなる重合溶液2を調製した 〔重合溶液2〕 5’ビニル化オリゴヌクレオチド(配列番号1) 0. 5nmol/ml ジメチルアクリルアミド 4. 5% メチレンビスアクリルアミド 0. 5% 2、2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩 0. 2% 5×TAE緩衝液:(0.2M Tris base、 0.1M 酢酸、5mM EDTAの緩衝液) (3)スライドグラスアレイの作成 スライドグラス(Telechem社製)上に、上記にて調製し
た重合溶液2をスポッター装置(Cartesian Technologi
es社製、MicroSysTM SQ Series)を用いて1スポット当
たり0.1μlずつ点着した。また、コントロールとし
て、上記にて調製した重合溶液2においてオリゴヌクレ
オチドを含まないものを準備し、同様の操作によりスラ
イドグラスに点着した。点着後、直ちにデシケーターに
入れ、デシケーター内を窒素ガスで置換した後、55℃
で3時間かけて重合反応を行った。このようにして生体
関連物質がゲル状物と共に固定されたスライドグラスを
得た。重合反応において、重合前はpH 8、重合後のpH
は8であった。
【0060】(4)試料の検出下記の組成からなるハイ
ブリダイゼーション溶液をグラスアレイ上に乗せ、カバ
ーガラスをかぶせて65℃で16時間放置した。次いで
カバーガラスを外し、1×SSCと0.03%SDS混
合溶液、0.2×SSC溶液、0.05×SSC溶液で順
次各2分間洗浄した。洗浄後、蛍光検出器にて検出した
ところ、コントロールと比較したハイブリ強度のS/N比
は2.2であった。
【0061】 〔ハイブリダイゼーション溶液組成〕 10 pmol/ml検体( TSA-100base、Cy5ラベル)〔配列番号2〕 5×SSC 0.5% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム) 〔配列番号2〕 gccaacaatg gaatgttgat tgggcccaaa ccaccttcct ttcttgggat attggtcca tgccaaaagg gagtattcgg agtcagtgga ggcgaaaaga 5‘末端には、Cy5標識がされている(Genset社にて
受託合成)。
【0062】<実施例4>実施例3にて調製した重合溶
液2において、重合開始剤として2,2’-azobis[2-(2-im
idazolin-2-yl)propane]を用いた他は、実施例3と同様
の操作を行い、生体関連物質がゲル状物と共に固定され
たスライドグラスを得た。重合反応において、重合前は
pH 8、重合後のpHは8であった。得られたスライドグ
ラスアレイについて、実施例3と同様の操作にて試料D
NAとのハイブリダイゼーションを行い、洗浄後、蛍光
検出器にて検出したところ、コントロールと比較してハ
イブリ強度のS/N比は2.3であった。
【0063】<比較例2>実施例3にて調製した重合溶
液2において、TAE緩衝液を添加しない以外は同様に操
作した。重合反応において、重合前はpH 7、重合後のp
Hは6であった。洗浄後、蛍光検出器にて検出したとこ
ろ、コントロールと比較してハイブリ強度のS/N比は1.
2であった。
【0064】<比較例3>実施例9にて調製した重合溶
液2において、TAE緩衝液の変わりに5mM エチレン
ジアミン四酢酸(pH 5)を添加した以外は同様に操作し
た。重合前はpH 5、重合後のpHは4であった。洗浄
後、蛍光検出器にて検出したところ、コントロールと比
較してハイブリ強度のS/N比は1.4であった。
【0065】<実施例5> 繊維型DNAチップによる
確認実験 (1)中空繊維集束固定物の形成 直径0.32 mmの孔を有し、孔の中心間距離が0.42
mmの多孔板であって、縦横各10列に合計100個配列
された厚さ0.1 mmの多孔板2枚を重ね、これらの多孔
板の各孔に、中空繊維100本を通過させた。2枚の多
孔板の間隔を50mmとし、糸を張った状態で中空繊維
の一方の端部から50mmの位置と100mmの位置の
2ヶ所を固定した。次に、樹脂原料を2枚の多孔板の間
に流し込んだ。樹脂としては、ポリウレタン樹脂接着剤
(日本ポリウレタン工業(株)ニッポラン4276、コロネ
ート4403)を使用した。またこの接着剤の総重量に対
し、2.5質量%のカーボンブラックを添加したものを
使用した。室温で1週間静置して樹脂を硬化させた。次
いで多孔板を取り除き、中空繊維集束固定物を得た。
【0066】(2)中空部へのゲル前駆体の導入 実施例3において調製した重合溶液2と上記で得られた
中空管状体集束固定物をデシケーター中に入れ、中空繊
維集束固定物の非集束端部(自由端部)をこの混合溶液
中に浸漬した状態で、デシケーター内を減圧状態にして
中空繊維の中空部に混合液を導入した。次いでこの中空
繊維集束固定物を内部が水蒸気で飽和された密閉ガラス
容器に移し、70℃で3時間かけて重合反応を行った。
重合前のpHは8.0、重合後のpHは8.0であった。
【0067】また、コントロールとして実施例3におい
て調製した重合溶液2において、オリゴヌクレオチドを
含まないものを準備し、10本の中空繊維に導入、重合
反応を行った。
【0068】このようにして生体関連物質がゲル状物と
共に中空繊維の中空部に固定された中空繊維集束固定物
を得た。
【0069】(3)薄片化 ミクロトームを用いてこの中空繊維集束固定物を繊維の
配列方向と垂直方向に厚さ0.5mmにスライスして薄
片シート50枚を得た。
【0070】(4)試料の検出 実施例3において調製したハイブリダイゼーション溶液
と上記で得られた薄片シートを接触させ、65℃、16
時間、ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイ
ゼーション終了後、薄片シートを、2×SSC、0.1
%SDS溶液に移し、振盪しながら室温で30分間洗浄
を行った。さらに0.2×SSC、0.1%SDS溶液に移
し、振盪しながら55℃で30分間洗浄を行った。洗浄
終了後、蛍光顕微鏡で薄片シートのCy5強度を測定し
た。そのハイブリ強度のS/N比は3.0であった。
【0071】<実施例6>実施例5において、実施例3
で調製した重合溶液2の組成に関して、TAE緩衝液の
変わりに5mM エチレンジアミン四酢酸緩衝液(pH 8)を
添加した以外は同様に操作した。重合反応において、重
合前はpH 8、重合後のpHは8であった。ハイブリ強度
のS/N比は2.7であった。
【0072】<実施例7>実施例5において、実施例3
で調製した重合溶液2の組成に関して、TAE緩衝液を加
えず、重合開始剤としてAPS(過硫酸アンモニウム)、
および1%TEMED(テトラメチルエチレンジアミン)を
用い、室温で3時間の重合条件で重合を行った以外は同
様に操作した。重合反応において、重合前はpH 9.9、
重合後のpHは9.7であった。ハイブリ強度のS/N比は
3.3であった。
【0073】<実施例8>実施例5において、実施例3
で調製した重合溶液2の組成に関して、TAE緩衝液を
加えず、重合開始剤として2,2’-azobis[2-(2-imidazol
in-2-yl)propane]を用い、室温で3時間の重合条件で重
合を行った以外は同様に操作した。重合反応において、
重合前はpH 8、重合後のpHは8であった。ハイブリ強
度のS/N比は3.2であった。
【0074】<比較例4>実施例5において、実施例3
で調製した重合溶液2の組成に関して、TAE緩衝液を
添加しない以外は同様に操作した。重合反応において、
重合前はpH 7、重合後のpHは6であった。ハイブリ強
度のS/N比は1.2であった。
【0075】<比較例5>実施例5において、実施例3
で調製した重合溶液2の組成に関して、TAE緩衝液の
変わりに5mM エチレンジアミン四酢酸(pH 5)を添加し
た以外は同様に操作した。重合前はpH 5、重合後のpH
は4であった。ハイブリ強度のS/N比は1.7であった。
【0076】以上のように、重合反応中のpHを7以上
に制御しなければ、重合中に核酸の構造変化等が生じ
る。よって、ハイブリダイゼーションに寄与する核酸が
減少するため、検出感度が著しく減少する。
【0077】
【本発明の効果】本発明によれば、核酸とゲル前駆体と
の重合反応において、pHを7以上に制御することによっ
て核酸構造の損傷を抑え、キャプチャープローブとして
機能を保持したまま、効率的に高分子ゲルに固定化で
き、マイクロアレイの感度が向上する。
【0078】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Mitsubishi Rayon Co., Ltd. <120> Process of producing a gene mutation detecting apparatus <130> P150018 <140> <141> <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 80 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 1 ttcactgact ccgaatactc ccttttggca tggaccaata tcccaagaaa ggaaggtggt 60 ttgggcccaa tcaacattcc 80 <210> 2 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic DNA <400> 2 gccaacaatg gaatgttgat tgggcccaaa ccaccttcct ttcttgggat attggtcca 60 tgccaaaagg gagtattcgg agtcagtgga ggcgaaaaga 100
【0079】
【配列表フリーテキスト】 配列番号1:合成DNA 配列番号2:合成DNA

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性官能基を有する核酸及びゲル前駆
    体を含む溶液を平面基板上の所定の位置に配置すること
    を含む、遺伝子変異検出装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 中空管状体の中空部に重合性官能基を有
    する核酸及びゲル前駆体を含む溶液を導入し、pHが7以
    上で重合反応を行うことを含む、遺伝子変異検出装置の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 以下の工程を含む、遺伝子変異検出装置
    の製造方法。 (1)所定の間隔をもって平行に配置された複数の貫通
    穴を含むブロックを形成する工程。 (2)各貫通穴に重合性官能基を有する核酸及びゲル前
    駆体を含む溶液を導入し、pHが7以上で重合反応を行う
    工程。 (3)貫通穴の長手方向を交叉する方向でブロックを切
    断する工程。
  4. 【請求項4】 以下の工程を含む、遺伝子変異検出装置
    の製造方法。 (1)中空管状体の中空部に重合性官能基を有する核酸
    及びゲル前駆体を含む溶液を導入し、pHが7以上で重合
    反応を行う工程。 (2)中空管状体を所定の間隔をもって平行に配置する
    工程。 (3)各中空管状体の長手方向を交叉する方向でブロッ
    クを切断する工程。
  5. 【請求項5】 中空管状体が中空繊維である請求項2〜
    4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 pHの範囲が7〜13である請求項1〜5
    のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 pHの範囲が8〜10である請求項1〜5
    のいずれかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 重合開始剤として酸と塩を形成していな
    いアゾ系重合開始剤用いた請求項1〜7のいずれかに記
    載の製造方法。
  9. 【請求項9】 重合開始剤が、2、2’-アゾビス[2-(2-
    イミダゾリン-2-イル)プロパン](2,2’-azobis[2-(2-i
    midazolin-2-yl)propane]) である請求項8記載の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006292367A (ja) * 2005-04-05 2006-10-26 Mitsubishi Rayon Co Ltd miRNA検出用マイクロアレイ

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