JP2004066829A - 繊維配列体の製造方法 - Google Patents

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Osamu Maehara
前原 修
Toshinori Sumi
隅 敏則
Tadanobu Ikeda
池田 忠信
Kei Murase
村瀬 圭
Takashi Akita
秋田 隆
Chiho Ito
伊藤 千穂
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Abstract

【課題】 繊維配列体の製造方法の提供。
【解決手段】 目的の配列パターンに従って配列させた繊維束に張力を与え、該繊維束の繊維間に樹脂を充填して該繊維束を固定し繊維配列体とすることを特徴とする繊維配列体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、繊維配列体の製造方法に関する。この方法は、核酸、蛋白質、ポリペプチド、多糖類などの生体高分子が固定化された繊維配列体の製造方法に好適であり、該繊維配列体は、これを繊維軸に交差する方向にスライスして薄片とし、特定の生体高分子の検査、検出に使用することができる。
 近年、各種生物におけるゲノムプロジェクトが進められており、ヒト遺伝子をはじめとして、多数の遺伝子とその塩基配列が急速に明らかにされつつある。配列の明らかにされた遺伝子の機能については、各種の方法で調べることができるが、その有力な方法の一つとして、明らかにされた塩基配列情報を利用した遺伝子発現解析が知られている。例えば、ノーザンハイブリダイゼーションに代表されるような、各種の核酸:核酸間ハイブリダイゼーション反応や各種のPCR反応を利用した方法が開発され、当該方法により各種遺伝子とその生体機能発現との関係を調べることができる。しかしながら、これらの方法では適用し得る遺伝子の数に制限がある。したがって、今日のゲノムプロジェクトを通して明らかにされつつあるような、一個体レベルという極めて多数の遺伝子から構成される複雑な反応系全体からみると、上記方法により遺伝子の総合的・系統的解析を行うことは困難である。
 最近になって、多数遺伝子の一括発現解析を可能とするDNAマイクロアレイ法(DNAチップ法)と呼ばれる新しい分析法、ないし方法論が開発され、注目を集めている。これらの方法は、いずれも核酸:核酸間ハイブリダイゼーション反応に基づく核酸検出・定量法である点で原理的には従来の方法と同じであるが、マイクロアレイ又はチップと呼ばれる平面基板片上に、多数のDNA断片が高密度に整列固定化されたものが用いられている点に大きな特徴がある。マイクロアレイ法の具体的使用法としては、例えば、研究対象細胞の発現遺伝子等を蛍光色素等で標識したサンプルを平面基板片上でハイブリダイゼーションさせ、互いに相補的な核酸(DNAあるいはRNA)同士を結合させ、その箇所を蛍光色素等でラベル後、高解像度解析装置で高速に読みとる方法が挙げられる。こうして、サンプル中のそれぞれの遺伝子量を迅速に推定できる。即ち、この新しい方法の本質は、基本的には反応試料の微量化と、その反応試料を再現性よく多量・迅速・系統的に分析、定量しうる形に配列・整列する技術との統合であると理解される。
 核酸を基板上に固定化するための技術としては、上記ノーザン法同様、ナイロンシート等の上に高密度に固定化する方法の他、更に密度を高めるため、ガラス等の基板の上にポリリジン等をコーティングして固定化する方法、あるいはシリコン等の基板の上に短鎖の核酸を直接固相合成していく方法などが開発されている。
 しかし、例えば、ガラス等の固体表面を化学的又は物理的に修飾した基板上に核酸をスポッティング固定化する方法[Science 270, 467-470(1995)]は、スポット密度でシート法より優れるものの、スポット密度及びスポット当たり固定できる核酸量がシリコン基板上における直接合成法(U.S.Patent 5,445,934、U.S.Patent 5,774,305)と比較して少量であり、再現が困難である点が指摘されている。他方、シリコン等の基板の上にフォトリソグラフィー技術を用い、多種の短鎖核酸をその場で規則正しく固相合成していく方法に関しては、単位面積当たりに合成しうる核酸種数(スポット密度)及びスポット当たりの固定化量(合成量)、並びに再現性等において、スポッティング法より優れるとされるものの、固定化しうる化合物種は、フォトリソグラフィーにより制御可能な比較的短鎖の核酸に限られる。さらに、高価な製造装置と多段の製造プロセスにより、チップ当たりの大きなコストダウンが困難とされる。その他、微小な担体上に核酸を固相合成しライブラリー化する手法として、微小なビーズを利用する方法が知られている。この方法は、チップ法より長鎖の核酸を多種・安価に合成することが可能であり、またcDNA等より長鎖の核酸も固定可能と考えられる。しかしながら、チップ法と異なり、指定の化合物を指定の配列基準で再現性よく整列させたものを作製することは困難である。
U.S.Patent 5,445,934 U.S.Patent 5,774,305
 このような状況下、本発明者らの一部は、先に、分子の大きさによらず、核酸、蛋白質、多糖類などの生体高分子を所定の濃度に固定化でき、測定可能な形に高密度に再現よく整列化することが可能で、安価な大量製造に適応しうる新たな体系的方法論の確立を意図し、生体高分子整列化プロセスと固定化プロセスとを同一の二次元担体上で行う従来法の発想を改め、生体高分子の固定化プロセスを一次元構造体としての繊維上(1本の繊維上)に行い、次いで、生体高分子を固定化した複数本の繊維が整然と配列された三次元構造体とした後、その三次元構造の繊維配列体を切断薄片化することにより、生体高分子固定化繊維二次元高密度配列体薄片を作製し得ることを見いだした。
 この方法は、生体高分子を固定化した繊維を如何に効率よく高密度に整然と配列するかが、さらに解決すべき重要な課題であり、その解決は、特に工業的生産において裨益するところが大きい。
 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、三次元構造の繊維配列体の整列化プロセスとして治具を用いた高精度配列技術を導入することにより、上記課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、目的の配列パターンに従って配列させた繊維束に張力を与え、該繊維束の繊維間に樹脂を充填して該繊維束を固定し繊維配列体とすることを特徴とする繊維配列体の製造方法である。
 ここで、繊維束の配列は、例えば以下の工程:
(a) 繊維を、目的の配列パターンと同一パターンの孔を有する複数個の治具の孔に通し、
(b) 該治具同士の間隔を拡げること、
により形成される。また、治具としては多孔板、又は縦線及び横線を交差させて得られる網目を構成する支持線群が挙げられる。かかる支持線群は、配列パターンと同一形又は相似形となるように拡大又は縮小することができるものである。複数個の治具としては、孔位置を揃えて相接するように配置したものが挙げられる。
 さらに、繊維としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、無機繊維及び天然繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。これらの繊維は、生体高分子を固定化したものとすることができる。
 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明は、治具を用いた高精度配列技術の導入により、各繊維が高密度に整然と配列された繊維束からなる繊維配列体を極めて効率的に製造することを可能にした。この方法を核酸、蛋白質、多糖類などの生体高分子を固定化した繊維の配列体の作製に応用することにより、該配列体から該配列体の繊維軸に交差する切断面を有する薄片を得ることができる。この薄片、すなわち生体高分子固定化チップを用いて、検体中の特定の生体高分子をの種類および量を検出することができる。
 本発明を従来法と比較した利点、有用性としては、例えば、生体高分子整列化プロセスと固定化プロセスとを同一の二次元担体上で行わず、繊維の配列を補助する治具を用いることで、生体高分子が整然と配列された三次元配列体を得、その配列体に対して、従来法にはない切断薄片化プロセスを経ることで、生体高分子固定化二次元高密度配列体を作製することが可能となり、従来のスポッティング法のような誤差の多い微量分注操作が不要となるとともに、連続切片化を通した多量生産が可能となったこと等があげられる。
 本発明は、繊維が3次元配列された構造を有する繊維配列体の製造方法である。
本発明の繊維配列体は、繊維を1本ずつ通すことができる小孔を有する道具であって配列パターンが多数の小孔で形成されたもの(「治具」と呼ばれる)に繊維を通して繊維束を作成し、その繊維束に張力を与えた状態で繊維の間隙に樹脂を充填して固定化することにより作製することができる。
 本発明において用いられる治具を貫く小孔は、所定のパターンに配列させたものが挙げられる。例えば、円形の孔を縦及び横に整列させたもの(図1)、あるいは縦線と横線とからなる支持線群で仕切り、網目を構成する空間を有するものが挙げられる(図2)。
 図1に示すように、所定のパターンを形成し、くり貫かれた小孔を有する治具を用いる場合は、繊維12を治具11の孔に通した後、該治具同士の間隔を拡げる。但し、治具11の孔位置を、隣の治具の孔位置と合わせるため揃えて相接するよう配置させることが好ましい。あるいは、図2に示すように、縦線と横線から構成される支持線群21の一つの区画に繊維を通し繊維束とし、治具同士の間隔を広げることもできる。そして、繊維に張力を与え、張力を与えた状態で繊維間に樹脂を充填して該繊維束を固定し、繊維配列体を得る。
 本発明において、三次元配列体とする繊維の本数は100本以上、好ましくは1,000〜10,000,000本であり、目的に応じて適宜設定することができる。但し、配列体における繊維の密度が、1cm2当たり100〜1,000,000本となるように調製することが好ましい。そして、高密度に繊維を配列させるためには、繊維の外径は細い方が好ましい。本発明の好ましい実施態様においては、繊維1本の外径は1mm以下、好ましくは300〜10μmである。例えば、外径50μmのモノフィラメントを用いた場合、1cmあたり200本の繊維を配列させることができるため、1cm2の正方形内に配列させることのできる繊維の本数は40,000本である。したがって、この場合は1cm2あたり最高40,000種類の生体高分子を固定化することができる。一方、マルチフィラメントにおいては83dtex/36フィラメントや82dtex/45フィラメント等をそのまま用いることもできる。また、外径が300μm程度の多孔質繊維、中空繊維又は多孔質中空繊維のモノフィラメントを用いれば、固定化配列体断面1cm2 あたり1,000本以上の繊維が配列された三次元配列体を得ることができる。
 繊維の配列を規制する治具として繊維配列パターンと同一パターンの孔を有する多孔板を用いる場合、繊維配列体中の繊維同士の距離は、該治具の孔ピッチ(孔の中心とその隣の孔の中心との距離)と同じとなる。
また、治具の各孔径は用いる繊維外径の100%以上125%以下が好ましく、配列規制力と配列作業難易度とを考慮すると、105%が最も好ましい。
このような多孔板の製造法としては、フォトエッチング加工が最も安価且つ大量に精度良く製造できる点で好ましい。この場合、加工に適した板厚は、各孔間のすきま寸法の200%以下、好ましくは100%以下である。板の材質は通常ステンレス、銅又は銅合金が用いられるが、本発明においては材料強度と加工コスト及び材料費の面からステンレス鋼板(SUS304材)が最も適している。
 治具として縦横に張られた支持線群を用いると、繊維の配列パターンと同一形又は相似形で拡大又は縮小が可能な網目を構成することができる。また、多孔板を用いる場合に比して、配列規制力を向上し、配列作業難易度を易しくすることができる。
具体的には、支持線を、繊維軸に対して直交する2方向に、1方向当たりの生体高分子固定化繊維配列数プラス1本ずつ配置し、生体高分子固定化繊維配列数分の網目を構成する(図2)。支持線の両端は、直線運動機構を有する支持端とする。支持線群で構成された網目は、各支持線が相隣り合う支持線に対して平行移動することで、拡大、縮小させることができる。網目を拡大させると、繊維の配列作業は非常に簡単になり、全ての繊維を配列した後、網目を縮小することで、治具と繊維の間に隙間を生じない状態となり、非常に精密な配列規制が可能である。すなわち、繊維配列体中の繊維同士の距離は、最大、支持線の直径または幅にまで縮小可能である。
 このような治具を直列に2個、又は必要により2個以上、孔または網目の位置を揃えて、相接するよう配置し、治具の孔または網目を縫うように繊維を通して配列作業を行う。治具として支持線群を用いる場合は、全てあるいは一部の配列作業終了後に網目を縮小し所定の網目の大きさに調節する。
 その後、該治具同士の間隔を拡げる。この作業は、上記網目調節作業前又は網目調節作業と同時に行うこともできる。間隔は特に規定されるものではなく、適宜設定すればよい。間隔を広く採れば、三次元配列体の長尺品を成型することができ、薄片に切断するなどの後工程におけるロスを少なくすることによって製造コストを小さくすることができる。但し、間隔を過度に大きく採った場合、スパン中央付近で繊維の拘束力が低下して配列が乱れる恐れがあるため、そのような乱れを生じない程度に適宜調節する。また、スパン中央付近の配列規制を強化する目的で、治具の個数を適宜追加してもよい。
次いで、治具を通した全ての繊維に張力をかけ、 その状態で繊維の間隙に樹脂を充填して固定化する。張力は、繊維の断面形状や材質、すなわち弾性係数や伸張率等によって異なるが、繊維が弛まず且つ破断しない程度とする。そして、繊維を弛み無く張った状態を維持するため、張力を維持する。その方法としては、全ての繊維をバネで引っ張る方法、エアーサッカーで非接触吸引する方法、繊維を適宜粘着テープで纏めて治具に貼付する方法、重力を利用する方法などが挙げられる。
 本発明において用いることのできる支持線としては、張力により容易に破断しない材質であれば特に限定されず、SUS304ワイヤーや釣糸等が挙げられる。
 また、本発明において繊維束を固定化する樹脂は、各繊維間の空隙への充填が容易となるよう低粘度液状を呈し、充填及び硬化が常温で行えるもの、例えば、ウレタン樹脂等の2液反応硬化性樹脂が好ましい。
 本発明において用いることができる繊維としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、無機繊維のごとき化学繊維、及び天然繊維等が挙げられる。
 これら繊維として生体高分子が固定化されたものを用いることにより、生体高分子固定化繊維配列体となし、これを繊維軸に交差する方向にスライスして薄片とし、特定の生体高分子の検査、検出に使用することができる。
 合成繊維の代表例としては、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系の各種繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリエステル系の各種繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系の各種繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の各種繊維、ポリビニルアルコール系の各種繊維、ポリ塩化ビニリデン系の各種繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン系の各種繊維、フェノール系繊維、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂を用いた繊維等が挙げられる。
 半合成繊維の代表例としては、ジアセテート、トリアセテート、キチン、キトサン等を原料としたセルロース系誘導体系各種繊維、プロミックスと呼称される蛋白質系の各種繊維などが挙げられる。
 再生繊維の代表例としては、ビスコース法や銅−アンモニア法、あるいは有機溶剤法により得られるセルロース系の各種再生繊維(レーヨン、キュプラ、ポリノジック等)などが挙げられる。
 無機繊維の代表例としては、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
天然繊維の代表例としては、綿、亜麻、苧麻、黄麻などの植物繊維、羊毛、絹などの動物繊維、石綿などの鉱物繊維などが挙げられる。
 本発明では、前述のように繊維に張力を付与する工程が含まれるので、用いられる繊維としては弾性率の高い繊維が好ましく、例えばメチルメタクリレート系繊維、芳香族ポリアミド繊維などが好ましく用いられる。
 天然繊維以外の中空繊維は、特殊なノズルを用いて公知の方法で製造することができる。ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等は溶融紡糸法が好ましく、ノズルとしては馬蹄型やC型ノズル、2重管ノズルなどを使用することができる。
 溶融紡糸ができない合成高分子、半合成繊維又は再生繊維に用いられる高分子の紡糸は溶剤紡糸が好ましく用いられる。この場合も、溶融紡糸と同じく2重管ノズルを用いて、中空部に芯材として適切な液体を充填しながら紡糸することにより連続した中空部を有する中空繊維を得ることができる。これら中空部は生体高分子を固定化するのに好適である。
 本発明に用いる繊維は、特にその形態が規定されるものではない。また、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。さらに、短繊維を紡績した紡績糸でもよい。尚、マルチフィラメントや紡績糸の繊維を用いる場合には、生体高分子の固定に、単繊維間の空隙等を利用することも可能である。
 本発明に用いる多孔質繊維は、溶融紡糸法又は溶液紡糸法に延伸法、ミクロ相分離法、抽出法などの公知の多孔化技術を組み合わせることにより得ることができる。
 多孔質繊維材料の多孔度は特に限定されるものではないが、繊維材料単位長さ辺りに固定化される生体高分子の密度を高めるという観点からは、比表面積が大きくなるように、かつ繊維の強度を犠牲にしない程度に高い多孔度であることが望ましい。例えば、空隙率20〜80%のものが好ましく、30〜60%のものがさらに好ましい。
 市販されている精密ろ過、限外濾過を目的とした多孔質中空糸膜、多孔質な中空糸膜の外表面に無孔性の均質膜を被覆した逆浸透膜、ガス分離膜、多孔質層の中間に無孔性の均質層を挟んだ膜などを多孔質繊維材料として用いることができる。
 本発明に用いる繊維は、無処理の状態でそのまま用いてもよいが、必要に応じて、反応性官能基を導入した繊維であってもよく、また、プラズマ処理やγ線、電子線などの放射線処理を施した繊維であってもよい。
 本発明において、繊維に固定化する対象となる生体高分子としては、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)、ペプチド核酸(PNA)、オキシペプチド核酸(OPNA)などの核酸、あるいは、蛋白質、多糖類などが挙げられる。本発明に用いる生体高分子は、市販のものでもよく、また、生細胞などから得られたものでもよい。
 例えば、生体高分子として核酸を用いる場合には、生細胞からのDNA又はRNAの調製は、公知の方法、例えばDNAの抽出についてはBlinらの方法( Blin et al., Nucleic Acids Res. 3: 2303 (1976) )等により、また、RNAの抽出についてはFavaloroらの方法( Favaloro et al., Methods Enzymol.65: 718 (1980))等により行うことができる。更に、鎖状若しくは環状のプラスミドDNAや染色体DNA、これらを制限酵素により若しくは化学的に切断したDNA断片、試験管内で酵素等により合成されたDNA、又は化学合成したオリゴヌクレオチド等を用いることもできる。
 本発明では、生体高分子をそのまま繊維に固定化してもよく、また、生体高分子に化学的修飾を施した誘導体や、必要に応じて変成させた生体高分子を固定化してもよい。
 例えば、生体高分子として核酸を用いる場合には、核酸の化学的修飾には、アミノ化、ビオチン化、ディゴキシゲニン化等が知られており[Current Protocols In Molecular Biology, Ed.; Frederick M. Ausubel et al.(1990)、脱アイソトープ実験プロトコール(1)DIGハイブリダイゼーション(秀潤社)]、本発明ではこれらの修飾法を採用することができる。
 これら繊維に生体高分子を固定化する場合には、繊維と生体高分子との間における各種化学的又は物理的な相互作用、すなわち繊維が有している官能基と、生体高分子を構成する成分との間の化学的又は物理的な相互作用を利用することができる。また、多孔質繊維、中空繊維又は多孔質中空繊維については、配列体を構成する繊維の中空部又は多孔質部に生体高分子を含む液を導入した後、繊維の中空部又は多孔質部の内壁面等に存在する官能基と生体高分子を構成する成分との間の相互作用を利用してこれらの繊維に生体高分子を導入することができる。
無修飾の核酸を繊維に固定化する場合には、核酸と繊維とを作用させた後、ベーキングや紫外線照射により固定できる。また、アミノ基で修飾された核酸を繊維に固定化する場合には、グルタルアルデヒドや1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等の架橋剤を用いて繊維の官能基と結合させることができる。さらに、例えば熱処理、アルカリ処理、界面活性剤処理などを行うことにより、固定化された生体高分子を変成させる、あるいは、細胞、菌体などの生材料から得られた生体高分子を使用する場合は、不要な細胞成分などを除去するといった処理を行うこともできる。なお、これらの処理は別々に実施してもよく、同時に実施してもよい。また、生体高分子を含む試料を繊維に固定化する前に適宜実施してもよい。
 本発明においては、多孔質繊維、中空繊維又は多孔質中空繊維を用いる場合、図3に示すように、樹脂で固定した繊維配列体31と、樹脂で固定しない繊維部分32とを設け、この先端部分32を、生体高分子を含む容器33に浸漬することにより、該液を各繊維の中空部又は多孔質部に導入することができる。
すなわち、樹脂で固定しない繊維部分32が樹脂で固定した繊維配列体31から伸びているので、当該繊維部分32を、生体高分子を含む容器33に浸漬した後、浸漬部とは反対側(樹脂で固定した繊維側)から吸引すると、繊維配列体31内の繊維の中空部に生体高分子が吸い上げられ、生体高分子を導入することができる。
三次元配列体中の各繊維に固定化される生体高分子の種類は、それぞれ異なる種類とすることが可能である。
 上記の三次元配列体を、繊維軸と交差する方向、好ましくは繊維軸に対して垂直方向に切断することにより、生体高分子固定化繊維配列体断面(図4)を有する薄片(図5)を得ることができる。
 繊維に固定化された生体高分子が、例えば、核酸である場合、該薄片を、検体と反応させてハイブリダイゼーションを行うことにより、前記核酸をプローブとして検体中に存在する特定のポリヌクレオチドを検出することができる。
 本発明を以下の実施例により具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。
 中空繊維配列体の作製(1):
 直径0.32mmの孔が、10mm2四方の枠内に0.5mmピッチで縦横各20個、合計400個配列された、厚さ0.1mmの多孔板2枚を用い、その多孔板の全ての孔に、ナイロン製中空繊維(外径0.3mm、長さ500mm)400本を通過させることにより中空繊維配列体を得た。
 2枚の繊維ガイド板の間隔を50mmとし、その間をポリウレタン樹脂により固定化することにより、両端に樹脂で固定化されない部分を有する中空繊維配列体を得た。
 中空繊維配列体の作製(2):
 ナイロン製中空繊維の代わりに、ポリエチレン−ビニルアルコール共重合体で内表面を親水化処理したポリエチレン製中空繊維(外径0.3mm、長さ500mm)を用いて、実施例1と同様の方法により、両端に樹脂で固定化されない部分を有する中空繊維配列体を得た。
中空繊維配列体の作製(3):
 ナイロン製中空繊維の代わりに、ポリメチルメタクリレート製中空繊維(外径0.3mm、長さ500mm)を用いて、実施例1と同様の方法により、両端に樹脂で固定化されない部分を有する中空繊維配列体を得た。
 多孔質中空繊維配列体の作製:
 ナイロン製中空繊維の代わりに、無孔質な中間層を有するポリエチレン製多孔質中空糸膜MHF200TL(三菱レイヨン株式会社製,外径0.29mm,内径0.2mm、長さ500mm)を用いた以外は、実施例1と同様に実施し、両端に樹脂で固定化されない部分を有する多孔質中空繊維配列体を得た。
治具として多孔板を用いた場合の製造方法の模式図である。 治具として網目を構成する支持線群を用いた場合の製造方法の模式図である。 中空繊維配列体の内部に生体高分子を導入する工程の模式図である。 中空繊維配列体の断面図である。 中空繊維配列体を繊維軸に対して垂直方向にスライスして得られる薄片である。
符号の説明
11・・・・・多孔板
12・・・・・中空繊維
21・・・・・支持線群
22・・・・・中空繊維
31・・・・・中空繊維配列体(樹脂で固定)
32・・・・・樹脂で固定されていない中空繊維
33・・・・・生体高分子入り容器
34・・・・・連続面

Claims (5)

  1.  繊維束の配列が、以下の工程:
    (a) 繊維を、目的の配列パターンと同一パターンの孔を有する複数個の治具の孔に通し、
    (b) 該治具同士の間隔を拡げること、
    により形成され、
     目的の配列パターンに従って配列させた繊維束に張力を与え、該繊維束の繊維間に樹脂を充填して該繊維束を固定し繊維配列体とする繊維配列体の製造方法。
  2.  複数個の治具が、孔位置を揃えて相接するように配置したものである請求項1記載の製造方法。
  3.  治具が多孔板である請求項1又は2記載の製造方法。
  4.  繊維が、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、無機繊維及び天然繊維からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5.  繊維が、生体高分子が固定化されたものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
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JP2007137993A (ja) * 2005-11-17 2007-06-07 Nippon Felt Co Ltd 耐熱性搬送ベルト及びその製造方法
JP2008068591A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Tokai Univ 炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法および炭素繊維強化樹脂成形体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007137993A (ja) * 2005-11-17 2007-06-07 Nippon Felt Co Ltd 耐熱性搬送ベルト及びその製造方法
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