JP2001037477A - 座標付き繊維集合体薄片及び該薄片の製造方法 - Google Patents

座標付き繊維集合体薄片及び該薄片の製造方法

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JP2001037477A JP11215014A JP21501499A JP2001037477A JP 2001037477 A JP2001037477 A JP 2001037477A JP 11215014 A JP11215014 A JP 11215014A JP 21501499 A JP21501499 A JP 21501499A JP 2001037477 A JP2001037477 A JP 2001037477A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 座標付き繊維集合体薄片及び該薄片の製造方
法の提供。 【解決手段】 繊維単位及び該繊維単位の座標基準を含
む繊維集合体薄片。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維集合体薄片中
に含まれる各繊維単位の位置を決定する方法、薄片中に
含まれる各繊維単位の位置が決定されている座標付き繊
維集合体薄片及び該座標付き繊維集合体薄片の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、種々の生物ゲノムのDNA解析が進
められており、3000Mbの長さに約10万の遺伝子をコード
していると推定されているヒトゲノムについても、その
塩基配列が急速に明らかにされつつある。そのようにし
て決定された塩基配列は、その塩基配列がもつ意味、す
なわち遺伝子の機能が解明されて初めて有用な情報とな
る。
【0003】遺伝子の機能を解明するためには、生物個
体間における遺伝子の塩基配列の差や細胞内での発現頻
度などを、高速且つ経済的に計測する技術が重要であ
る。従来、細胞内での遺伝子発現頻度の解析は、細胞か
ら抽出したmRNAをゲル電気泳動でサイズごとに分画後、
分画されたmRNAをゲルから膜に転写し、この膜に調べた
い遺伝子の一部を含み且つ放射性物質等で標識されたプ
ローブをハイブリダイズさせ、ハイブリダイズした標識
プローブの量に基づいて細胞の目的遺伝子の量を測定す
る、いわゆるノーザン法などにより行われていた。しか
し、この方法では、適用し得る遺伝子の数に限度があ
り、細胞内で発現している多種類の遺伝子を一括して解
析することは困難であった。
【0004】そのような状況の中で、多数の遺伝子を一
括して解析することができるDNAマイクロアレイ法(DNA
チップ法)と呼ばれる新しい方法が開発され、注目を集
めている。ノーザン法とマイクロアレイ法とを比較する
と、原理的には核酸間のハイブリダイゼーション反応に
基づく点で同じであるが、マイクロアレイ法ではマイク
ロアレイ又はチップと呼ばれる平面基盤片上に、多数の
DNA断片が高密度に整列固定化されたものを用いる点で
ノーザン法とは異なる。マイクロアレイ上に核酸を固定
化する方法としては、化学的又は物理的に修飾した基盤
上に核酸をスポッティング固定化する方法[Science 27
0, 467-470(1995)]やシリコン等の基盤の上に短鎖の核
酸を直接固相合成していく方法[米国特許第5,445,934
号、米国特許第5,774,305号]などが開発されている。
しかし、スポッティング固定化法は、単位面積当たりの
スポット可能な数(スポット密度)及び1つのスポット
当たり固定できる核酸の量が直接固相合成法と比較して
少なく、一方、直接固相合成法では、固定化しうる核酸
が短鎖の核酸に限られていた。
【0005】そのような中、本発明者らは、スポット密
度が高く且つ長鎖の核酸を固定化することができる薄片
製造技術を開発した。該薄片製造技術は、複数の核酸を
それぞれ別々の繊維に固定化させて、得られた繊維を規
則的に配列した繊維集合体を接着・固定した繊維束を形
成し、これを繊維軸と交わる断面で切断して薄片を得る
方法である。該方法においては、繊維束に於ける繊維の
長さが長くなったり、繊維束に含まれる繊維の本数が大
きくなると、繊維束の全長に渡り、各繊維を完全に平行
に並べるのは難しく、繊維束内においてその長さ方向に
個々の繊維は蛇行する場合があることが明らかとなっ
た。そして、得られたある特定の薄片中の繊維(以下繊
維単位という)の座標を決めても、それが同一の繊維束
から得られる他の薄片中の繊維単位の座標と一致しない
ことが生じる場合があることが明らかとなった。前記薄
片を核酸の分析等に使用する場合、多数の薄片を高解像
度解析装置を用いて機械的に読みとるため、各薄片上の
各繊維単位の位置が予め決定されていることが望まし
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繊維集合体
薄片中に含まれる各繊維単位の位置を決定する方法、該
繊維集合体薄片中に含まれる各繊維単位の位置が決定さ
れている座標付き繊維集合体薄片、該座標付き繊維集合
体薄片の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に基づいて鋭意研究を行った結果、繊維集合体から切り
出された各薄片内に座標基準を設定し、該座標基準に基
づいて計算によって薄片中の各繊維単位の2次元座標を
決定することができることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0008】すなわち、本発明は、繊維単位及び該繊維
単位の座標基準を含む繊維集合体薄片である。ここで、
座標基準としては、繊維集合体薄片中の2以上のマーカ
ー繊維単位(例えば、染色されたもの)が挙げられる。
さらに、本発明は、繊維単位の座標が該座標基準に基づ
いて決定されている前記繊維集合体薄片である。
【0009】さらに、本発明は、繊維単位が核酸を固定
化したものである繊維集合体薄片である。さらに、本発
明は、核酸の種類が各繊維単位の全部又は一部において
異なるものである前記繊維集合体薄片である。さらに、
本発明は、薄片が1cm2あたり100以上の繊維単位を含む
ものである前記繊維集合体薄片である。
【0010】さらに、本発明は、以下の工程を包含する
座標付き繊維集合体薄片の製造方法である。 (a) 繊維単位を束ねて固定化した繊維集合体を、該繊維
単位の繊維軸と交叉する断面で順次切断し、連続する繊
維集合体薄片S(1)、S(2)、…、S(h)、…、S(m)を得
る工程、(b) m個の薄片中から任意の薄片S(h)を選択
し、該薄片S(h)中に含まれる各繊維単位の2次元座標
を、該薄片S(h)中の座標基準に基づいて決定する工
程、(c) 該S(h)薄片に近い位置にあるS(i)薄片中に含
まれる各繊維単位の2次元座標を、工程(b)において得
られた薄片S(h)の座標データ及び該薄片S(i)中の座標
基準に基づいて決定する工程、及び(d) 工程(b)及び(c)
を繰り返して、該繊維集合体薄片中の各繊維単位の2次
元座標を決定する工程
【0011】さらに、本発明は、座標基準が繊維集合体
薄片に含まれる2以上のマーカー繊維単位である、前記
座標付き繊維集合体薄片の製造方法でる。さらに、本発
明は、マーカー繊維単位が染色されたものである前記座
標付き繊維集合体薄片の製造方法である。
【0012】さらに、本発明は、繊維単位が核酸を固定
化したものである前記座標付き繊維集合体薄片の製造方
法である。さらに、本発明は、核酸の種類が、各繊維単
位の全部又は一部において異なるものである前記座標付
き繊維集合体薄片の製造方法である。さらに、本発明
は、薄片が、1cm2あたり100以上の繊維単位を含むもの
である前記座標付き繊維集合体薄片の製造方法である。
【0013】さらに、本発明は、以下の工程を包含する
繊維集合体薄片中の各繊維単位の位置を決定する方法で
ある。 (a) 繊維単位を束ねて固定化した繊維集合体を、該繊維
単位の繊維軸と交叉する断面で順次切断し、連続する繊
維集合体薄片S(1)、S(2)、…、S(h)、…、S(m)を得
る工程、(b) m個の薄片中から任意の薄片S(h)を選択
し、該薄片S(h)中に含まれる各繊維単位の2次元座標
を、該薄片S(h)中の座標基準に基づいて決定する工
程、(c) 該S(h)薄片に近い位置にあるS(i)薄片中に含
まれる各繊維単位の2次元座標を、工程(b)において得
られた薄片S(h)の座標データ及び該薄片S(i)中の座標
基準に基づいて決定する工程、及び(d) 工程(b)及び(c)
を繰り返して、該繊維集合体薄片中の各繊維単位の2次
元座標を決定する工程
【0014】さらに、本発明は、繊維単位及び座標基準
を含む繊維集合体薄片中の、各繊維単位の座標データを
記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
さらに、本発明は、繊維単位及び座標基準を含む繊維集
合体薄片中の各繊維単位の座標データを記録したコンピ
ュータ読み取り可能な記録媒体及び繊維集合体薄片を含
む核酸検出用繊維集合体薄片セットである。以下、本発
明を詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施形態】本発明の繊維集合体薄片は、該薄片
中に含まれる各繊維単位の位置が座標として決定されて
いる繊維集合体薄片である。なお、本発明においては、
用語を以下のように定義する。すなわち、繊維集合体と
は繊維の集束物をいう。繊維集合体薄片とは、繊維集合
体を切断することにより得られる薄片をいう。繊維単位
とは、切断後の繊維集合体薄片中の各繊維をいう。座標
とは、繊維集合体薄片上の位置をX座標及びY座標によ
って表す数値をいう。
【0016】1.繊維集合体薄片の製造 本発明の繊維集合体薄片は、繊維を集束し、接着・固定
化した繊維集合体を切断することにより製造することが
できる。本発明に用いられる繊維は、該繊維由来の繊維
単位を含む繊維集合体薄片が使用目的に応じて何らかの
機能(例えば、特定の物質を検出する機能)を果たすよ
うな役目を担うものであり、該目的を達成するために、
各繊維には、染料、化学的に活性な官能基、リガンド、
核酸や蛋白質(例えば抗体)のような化学物質を結合又
は担持(以下結合及び担持をまとめて、固定という)さ
せたり、また電気的、磁気的な物理的相互作用を及ぼす
電荷等を固定させることができる。以下、本発明の好ま
しい実施態様の一つとして、各繊維単位の位置が座標と
して決定されている、核酸固定化繊維集合体薄片につい
て詳しく説明する。
【0017】(1) 固定化用核酸 本発明において繊維に固定化することができる核酸とし
ては、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)が挙
げられる。該核酸は、検体と反応させたとき、検体中の
特定の塩基配列を有する核酸と、ハイブリダイゼーショ
ンが生じるように、検出すべき目的の核酸の塩基配列に
相補的な塩基配列を有するものである。本明細書中にお
いて、そのような核酸をプローブという。本発明に用い
る核酸は、市販のものでも細胞などから得たものでもよ
い。細胞からのDNA又はRNAの調製は、公知の方法、例え
ばDNAの抽出については、ブリンらの方法[Blin et a
l.,Nucleic Acids Res. 3:2303 (1976)]等により、ま
た、RNAの抽出については、ファバロロらの方法[Faval
oro et al., Methods Enzymol.65: 718 (1980)]等によ
り行うことができる。具体的には、固定化する核酸とし
ては、鎖状若しくは環状のプラスミドDNAや染色体DNA、
これらを制限酵素により若しくは化学的に切断したDNA
断片、試験管内で酵素等により合成されたDNA、又は化
学合成したオリゴヌクレオチド等が挙げられる。
【0018】本発明では、繊維に核酸を固定化する場
合、必要に応じて、核酸に化学的修飾を施した誘導体や
変成させたものを用いることもできる。核酸の化学的修
飾としては、アミノ化、ビオチン化、ディゴキシゲニン
化[Current Protocols In Molecular Biology, Ed.; F
rederick M. Ausubel et al.(1990)、脱アイソトープ実
験プロトコール(1)DIGハイブリダイゼーション(秀潤
社)]等が挙げられる。例えば、核酸にアミノ基を有す
る炭化水素鎖を導入する場合、その導入位置は特に限定
されるものではなく、核酸の5’末端または3’末端の
みならず核酸の鎖中(例えば、リン酸ジエステル結合部
位または塩基部位)であってもよい。例えば、一本鎖核
酸へのアミノ基の導入は、特公平3-74239号公報、米国
特許4,667,025号、米国特許4,789,737号等に記載の方法
に従って行うことができる。この方法以外にも、例え
ば、市販のアミノ基導入用試薬(例えば、アミノリンク
II(商標名); PEバイオシステムズジャパン社、Amino
Modifiers(商標名);クロンテック社)などを用い
て、又はDNAの5’末端のリン酸にアミノ基を有する脂
肪族炭化水素鎖を導入する周知の方法[Nucleic Acids
Res.,11(18),6513-(1983)]に従って調製することもで
きる。
【0019】(2) 核酸の固定化に用いることができる繊
維 本発明において、核酸の固定化に用いることができる繊
維としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、無機繊
維などの化学繊維、及び天然繊維等が挙げられる。
【0020】合成繊維の例としては、ナイロン6、ナイ
ロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系の各種繊
維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリエステ
ル系の各種繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系
の各種繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオ
レフィン系の各種繊維、ポリビニルアルコール系の各種
繊維、ポリ塩化ビニリデン系の各種繊維、ポリ塩化ビニ
ル系繊維、ポリウレタン系の各種繊維、フェノール系繊
維、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレ
ン等からなるフッ素系繊維、ポリアルキレンパラオキシ
ベンゾエート系の各種繊維などが挙げられる。また、衣
料用以外の繊維、例えば、ポリメチルメタクリレートや
ポリスチレンなどの透明非晶質高分子を主材料とした光
学繊維なども用いることができる。
【0021】半合成繊維の例としては、ジアセテート、
トリアセテート、キチン、キトサン等を原料としたセル
ロース系誘導体系各種繊維、プロミックスと呼称される
蛋白質系の各種繊維などが挙げられる。再生繊維の例と
しては、ビスコース法や銅−アンモニア法、あるいは有
機溶剤法により得られるセルロース系の各種再生繊維
(レーヨン、キュプラ、ポリノジック等)などが挙げら
れる。無機繊維の例としては、ガラス繊維、炭素繊維な
どが挙げられる。天然繊維の例としては、綿、亜麻、苧
麻、黄麻などの植物繊維、羊毛、絹などの動物繊維、石
綿などの鉱物繊維などが挙げられる。
【0022】本発明に用いる繊維の形態は限定されるも
のではない。また、モノフィラメントであってもよく、
マルチフィラメントであってもよい。さらに、短繊維を
紡績した紡績糸でもよい。なお、マルチフィラメントや
紡績糸の繊維を用いる場合には、核酸の固定に、単繊維
間の空隙等を利用することも可能である。さらに、本発
明で用いることのできる繊維には、さらに公知の中空繊
維や多孔質繊維、多孔質中空繊維も含まれる。本発明に
おいて、繊維は、無処理の状態のまま用いることもでき
るが、必要に応じて、反応性官能基を導入したもの、プ
ラズマ処理、γ線若しくは電子線などの放射線処理を施
したものを用いることもできる。
【0023】(3) 繊維への核酸の固定化 繊維への核酸の固定化は、繊維と核酸との間における各
種化学的又は物理的な相互作用、すなわち繊維が有して
いる官能基と、核酸のヌクレオチドを構成する成分との
間の化学的又は物理的な相互作用により達成され得る。
なお、繊維集合体中の各々の繊維単位に固定化されてい
る核酸の種類は、それぞれ異なる種類の核酸とすること
が可能であり、また、同一の核酸が固定化された繊維単
位から任意の本数の繊維単位を選択し、その選択された
繊維単位を束ねて適宜配列させることも可能である。す
なわち、本発明によれば、固定化された核酸の種類と配
列の順序に関しては、目的に応じて任意に設定すること
が可能である。
【0024】例えば、無修飾の核酸の繊維への固定は、
核酸溶液中に繊維を浸漬後、繊維を乾燥・ベーキング・
紫外線照射することによって行うことができる。また、
アミノ基で修飾された核酸の繊維への固定化は、グルタ
ルアルデヒドや1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド(EDC)等の架橋剤を用いて、前記アミ
ノ基と繊維の官能基(例えば、アミノ基、水酸基、スル
フヒドリル基など)とを架橋させることにより行うこと
ができる。核酸を繊維に固定するときの温度は、5℃〜
95℃、好ましくは15℃〜60℃である。また、処理時間
は、5分〜24時間、好ましくは1時間以上である。
【0025】上述の方法により得られた核酸固定化繊維
は、必要に応じて様々な処理が施され得る。例えば、核
酸の変性や核酸の供給源由来の不要な成分を除去するた
めに、熱処理、アルカリ処理、界面活性剤処理などが施
され得る。なお、これらの処理は別々に実施してもよ
く、同時に実施してもよい。また、核酸を含む試料を繊
維に固定化する前に適宜実施してもよい。また、核酸を
ポリアクリルアミドやアガロースなどのゲル形成高分子
の中に固定した後、そのゲルを繊維に固定しても良い。
その場合、多孔質繊維や中空繊維を用いれば微細孔や中
空部にゲルを固定することが出来る。
【0026】(4) 核酸固定化繊維集合体薄片 上記(3)において得られた核酸固定化繊維を集束した繊
維集合体を作製し、これを繊維軸と交差する方向、好ま
しくは繊維軸に対して垂直方向に切断することにより、
核酸固定化繊維集合体薄片を得ることができる。
【0027】まず、上記(3)において調製された核酸固
定化繊維を複数本集束する。次いで、この集束物を接着
・固定することにより、各繊維が空間的に分離されてな
る繊維集合体を得る。この際、各核酸固定化繊維が、規
則的に配列するように接着・固定することが重要であ
る。接着・固定は樹脂接着剤(例えば、ポリウレタン樹
脂接着剤)等を用いて行うことができる。繊維集合体の
形状は特に限定されるものではないが、通常は、各繊維
を規則的に配列させることにより正方形又は長方形或い
は円形に形成する。ここで、「規則的に」とは、一定の
大きさの枠の中に含まれる繊維単位の数が一定となるよ
うに順序よく配列させることをいう。例えば、直径1mm
の繊維を束にして断面が縦10mm、横10mmの正方形となる
ように配列させようとする場合は、その正方形の枠内
(1cm2)における1辺に含まれる繊維の数を10本と
し、この10本の繊維を1列に束ねて1層のシートとした
後、このシートが10層になるように重ねる。その結果、
縦に10本、横に10本、合計100本の繊維を配列させた核
酸固定化繊維集合体を得ることができる。次いで得られ
た核酸固定化繊維集合体を繊維軸に垂直方向に、ミクロ
トーム等で切り離すことにより、繊維断面が規則的に配
列された核酸固定化繊維集合体薄片を得ることができ
る。
【0028】なお、本発明において束にする繊維の本数
は100本以上、好ましくは1,000〜10,000,000本であり、
目的に応じて適宜設定することができる。但し、集合体
における繊維の密度が、1cm2当たり100〜1,000,000本
となるように調製することが好ましい。そして、高密度
に核酸が固定化された繊維集合体の薄片を得るべく繊維
を配列させるためには、各繊維の太さは細い方が好まし
い。本発明の好ましい実施態様においては、各繊維の太
さは1mm以下であることが好ましい。モノフィラメント
では、例えば、市販の釣糸の場合50〜900μmの太さの
糸である。さらに、最近の紡糸技術によれば1dtex(ポ
リエチレンテレフタレートの場合、直径約14μmとな
る)のモノフィラメントも製造可能であり、更に細い繊
維(極細繊維又は超極細繊維)の製造も可能である(直
径1〜10μm)。
【0029】直径50μmのモノフィラメントを用いた場
合、1cmあたり200本の繊維を配列させることができる
ため、1cm2の正方形内に配列させることのできる繊維
の本数は40,000本である。従って、この場合は1cm2
たり最高40,000種類の核酸を固定化することができる。
一方、マルチフィラメントにおいては83dtex/36フィラ
メントや82dtex/45フィラメント等をそのまま用いるこ
ともできる。
【0030】次に、上記核酸固定化繊維集合体を繊維軸
と交差する方向、好ましくは繊維軸に対して垂直方向に
切断することにより、核酸固定化繊維集合体断面を有す
る薄片を得ることができる。この際の切断方法として
は、例えば、ミクロトームを用いて集合体から薄片を切
り出す方法等が挙げられる。薄片の厚みは任意に調整す
ることができるが、通常1〜5,000μm、好ましくは10
〜2,000μmである。
【0031】得られた核酸固定化繊維集合体断面を有す
る薄片には、該集合体を構成する繊維単位の数に応じた
核酸が存在する。薄片の断面積あたりの核酸の数に関し
ては、用いる繊維単位の外径や集合体作製時の方法等を
適宜選択することにより、薄片断面積1cm2あたり100以
上、更には1000以上の核酸が固定化された薄片を作製す
ることも可能である。
【0032】2.繊維集合体薄片中の各繊維単位座標の
決定及び座標データを記録した記録媒体 繊維集合体から切り出された薄片中の各繊維単位は、繊
維集合体製造過程における各繊維基本単位の捩れや曲が
り等により、各薄片間において互いに少しずつズレを生
じ得る。該繊維集合体薄片を使用してサンプル中の核酸
の種類や量を分析する場合には、繊維集合体薄片中の各
繊維単位を機械的に認識・検出するため、薄片上におけ
る各繊維単位の位置が予め決定されていることが所望さ
れる。このような同一の繊維集合体から得られた薄片間
の繊維単位位置のズレは、繊維の連続的な蛇行により生
じ場合が殆どである。そこで、以下のように各薄片中の
2つの異なる位置に座標基準を設定し、該座標基準に基
づくことにより、各薄片上の全ての繊維単位の座標を決
定することができる。
【0033】(1) 座標基準 座標基準は、繊維集合体の繊維軸方向に連続した目印で
あり且つ該目印から設定される座標の誤差が小さいもの
であれば、限定されず、様々なタイプのものを用いるこ
とができる。具体的には、繊維集合体薄片中に存在する
任意の繊維単位、繊維集合体側面にマジックインキ等を
用いて書かれた線、繊維集合体側面に刃物等を用いて刻
み込まれた溝等を座標基準として採用することができ
る。これらの座標基準は、一枚の繊維集合体薄片上に、
1000繊維単位当たり2〜10個、最も好ましくは一枚の繊
維集合体薄片上に2個設けることができる。
【0034】例えば、座標基準として繊維集合体薄片中
に存在する繊維単位を用いる場合には、顕微鏡下で光と
良く反応しその所在が容易に解る染料(例えば蛍光染料
など)で染色した繊維(以下、マーカー繊維という)
を、繊維集合体薄片の製造時に、繊維集合体中に予め含
ませることによって、マーカー繊維単位入り繊維集合体
薄片を製造することができる。
【0035】(2) 各繊維単位座標の決定 繊維集合体薄片中の各繊維単位の座標は以下のようにし
て決定することができる。すなわち、まず上記1(4)に
おいて切り出された薄片を切り出された順番に付番して
S(1)、S(2)、…、S(h)、…、S(m)とす
る。この薄片の任意の薄片を選びそれをS(h)とす
る。まずこのS(h)に含まれるn個の繊維の薄片に於
ける座標を決定する。個々の座標の決定法は後に詳述す
るが、n個の核酸を固定化した繊維が薄片にあるとすれ
ば、個々の核酸とハイブリダイゼーション反応を起こす
複数の何らかの標識体を付加した核酸を用いて決定する
ことができる。その場合の座標は薄片内に存在する座標
基準を用いることが必要であり、薄片内に含まれるn個
の繊維の座標はこの基準座標で規定される。一旦、S
(h)の座標が決定されれば、それを基にその薄片に位
置的に近い次の薄片S(i)に於けるn個の繊維の座標
が、同様に薄片S(i)内の基準座標を基に決定され
る。決定法は後述するが既に決定されているS(h)薄
片中のn個の繊維の座標データを用いる。この場合S
(i)はS(h)に最近接、すなわちその両隣の薄片で
あることが好ましいことは上記説明から明らかであろ
う。同様にしてS(i)に近い薄片S(j)の座標が、
S(j)内に設けられた座標基準を基に、S(i)薄片
に含まれるn個の座標データを基に決められる。このよ
うにして、得られた薄片m個の全ての座標を決定するこ
とができる。
【0036】さて繊維集合体の繊維軸方向に2つの連続
した座標基準となる目印を有する繊維集合体から、説明
を簡単にするために連続して2枚の薄片を切り出した場
合について考える。また、各薄片中の繊維単位は有限の
面積を有するが、その中心部を代表して点として考え
る。最初に切り出した薄片内の座標基準を基に、最初に
切り出した薄片中の全ての繊維単位ごとの2次元座標を
決定する。座標の読み取りは、XY座標が読み取り可能
なXYステージ付き投影顕微鏡等で読み取ることができ
る。座標の決定は、最初に切り出した薄片内の2つの座
標基準をP1,P2とおき、それぞれXYステージ付き
投影顕微鏡で読み取った座標を(P1X,P1Y),
(P2X,P2Y)とし、最初に切り出した薄片中の任
意の繊維単位をA1とおき、同じようにXYステージ付
き投影顕微鏡で読み取った座標を(A1X,A1Y)と
すれば、薄片内のP1,P2を基準とした座標系におけ
る、A1繊維単位の座標(B1X,B1Y)は、次式か
ら求めることができる。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】ここで、XYステージ付き投影顕微鏡で読
み取る任意の繊維単位の座標は、繊維単位断面の重心位
置が望ましい。同じように、最初に切り出した薄片中の
全ての繊維単位の座標をXY付き投影顕微鏡で読み取れ
ば、薄片内のP1,P2を基準とした座標系における、
全ての繊維単位の座標を得ることができる。
【0040】2番目に切り出した薄片については、薄片
を薄く切り出せば、切り出された薄片内の座標基準を基
にした座標系では、最初に切り出した薄片と2番目に切
り出した薄片の薄片中の同じ繊維単位の2次元座標は近
接した値となるので、2番目に切り出した薄片中の繊維
単位の中から、容易に、最初に切り出した薄片中と同じ
繊維単位を見つけだし、2番目に切り出した薄片内の座
標基準を基にした座標系における、その繊維単位の2次
元座標を決定できる。例えば、最初に切り出した薄片中
の薄片内の座標基準を基にした任意の繊維単位A1の座
標を(B1X,B1Y)とすれば、2番目に切り出した
薄片内の2つの座標基準をP3,P4とし、それぞれX
Yステージ付き投影顕微鏡で読み取った座標を(P3
X,P3Y),(P4X,P4Y)とすれば、最初に切
り出した薄片中の任意の繊維単位A1に対応する、A1
と同じ繊維単位である2番目に切り出した薄片中の繊維
単位のXYステージ付き投影顕微鏡上での座標(C1
X,C1Y)は、もしマーカー繊維単位と繊維単位A1
が1番目の薄片と2番目の薄片で平行に移動していたと
すれば、次式のように表され、
【0041】
【数3】
【0042】
【数4】
【0043】XYステージ付き投影顕微鏡のXY座標を
(C1X,C1Y)に合わせれば、その近傍に、最初に
切り出された薄片中の繊維単位A1に対応する、2番目
に切り出された薄片中の繊維単位を容易に見つけること
ができる。このように見つけた2番目の薄片に於けるA
1繊維単位の正確な座標をXYステージ上でその座標
(A2X,A2Y)を求め、先述の1番目の薄片で求め
たと同様に、前記(1),(2)式を用いて2番目の薄
片の座標基準P3、P4の座標を基にその座標(B2
X,B2Y)が決定される。同様の操作で、2番目の薄
片に含まれる全ての繊維単位の座標が、1番目に含まれ
る繊維単位の座標データを基に決定される。また別の方
法として、2番目の薄片の任意の繊維単位の座標を2番
目の薄片内の座標基準を基に、前記(1),(2)式を
用いて決定し、この2番目の薄片の任意の繊維単位の座
標と1番目の薄片内の座標基準を基に決定された1番目
の薄片中の繊維単位の座標で最も近い物とを同じ繊維単
位として決定することもできる。
【0044】同じように、3番目に切り出した薄片内の
座標基準と2番目に切り出した薄片内の座標基準を基に
した、2番目に切り出した薄片中の繊維単位の2次元座
標から、2番目に切り出された薄片中の全ての繊維単位
に対応した、すなわち、最初に切り出された薄片中の全
ての繊維単位に対応する、3番目に切り出された薄片内
の座標基準を基にした、3番目に切り出された薄片中の
全ての繊維単位の2次元座標を決定できる。以下、同じ
ように繰り返せば、繊維集合体が捩れたり、あるいは、
繊維集合体内の繊維が曲がったり、絡まった場合でも、
繊維集合体から切り出される薄片内の座標基準を基にし
た、繊維集合体から切り出される薄片中の全ての繊維単
位の2次元座標を決定することができる。よって、最初
に切り出した薄片中の繊維単位を特定すれば、繊維集合
体から切り出された全ての薄片中の繊維単位の特定と繊
維集合体から切り出された薄片内の座標基準を基にし
た、繊維集合体から切り出された薄片中の全ての繊維単
位ごとの2次元座標が決定できる。
【0045】上述の説明は隣り合う薄片について、前の
薄片の座標データを、後の薄片の座標の決定に用いる2
つ方法を説明したが、必ずしも隣接した薄片の座標デー
タを用いる必要はない。特に繊維束中の配列が比較的良
好な場合、数個置きの薄片で座標を上記手法で決定し、
その間の薄片については、既に座標が決められた2枚の
薄片の座標データから内挿法でその座標を求めることも
可能である。
【0046】(3) 繊維集合体薄片中の各繊維単位の座標
データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 前記2において決定された各繊維集合体薄片中の繊維単
位の座標データは、コンピュータ読み取り可能な記録媒
体に記録して利用することができる。具体的には、座標
データとしては、繊維集合体薄片ごとに座標基準に基づ
いて決定した座標を表にしたものが挙げられる。また用
いることができる記録媒体としては、磁気ディスク、フ
ロッピーディスク、磁気テープ、CD-ROM、ICカード、RA
Mなどが挙げられる。これらの座標データは、繊維集合
体薄片の測定前に、検出器に連動するコンピュータに登
録しておくことにより、どの繊維単位がどの核酸プロー
ブに対応するかを自動的に認識させることができる。
【0047】3.繊維集合体薄片及び繊維単位座標デー
タ記録媒体セット 本発明においては、前記1において得られた繊維集合体
薄片及び該繊維集合体薄片中の各繊維単位の座標データ
を記録した前記2において得られた記録媒体を含む核酸
検出用繊維集合体薄片セットを作製することができる。
例えば、100枚の大腸菌遺伝子型解析用核酸繊維集合体
薄片と該繊維集合体薄片の個々の薄片中の各繊維単位の
位置の座標が表になって記録されている磁気ディスクを
1セットとする、大腸菌遺伝子型解析用繊維集合体薄片
セットを提供することができる。
【0048】4.繊維集合体薄片を用いる核酸の検出 本発明の核酸固定化繊維集合体薄片を核酸を含む検体と
反応させてハイブリダイゼーションを行い、プローブと
相補的な検体中に存在する核酸とのハイブリッドを形成
させ、このハイブリッドを検出することにより、目的と
する塩基配列を有する検体中の核酸を検出することがで
きる。以下に細胞由来の全RNAの検出を例として具体的
に説明する。
【0049】(1)細胞からの全RNAの調製 細胞からの全RNAの調製は、常法[例えばSambrook, J et
al., Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Labora
tory Press(1989)を参照のこと]に従って行うことがで
きる。また、市販のキット(例えばRNeasy Total RNA K
IT(Quiagen社製))を用いても行うことができる。
【0050】上記において得られた全RNAは、蛍光物
質、放射性物質などで検出可能なように標識する。蛍光
標識の場合、蛍光物質として例えば、フルオレセン(FIT
C)、スルホローダミン(TR)、テトラメチルローダミン(T
RITC)などを用いることができる。
【0051】(2) ハイブリダイゼーション 上記1において作製した繊維集合体薄片に、上記のよう
に調製した標識全RNAをハイブリダイズさせる。ハイブ
リダイゼーションの条件は、繊維集合体薄片上の固定化
プローブの種類等により最適化する必要がある。すなわ
ち、繊維集合体薄片上のプローブが相同性の高い塩基配
列とのみハイブリダイズする条件を設定する必要があ
る。例えば、ハイブリダーゼーションを、繊維集合体薄
片の標識全RNA溶液への浸漬により行う場合、ハイブリ
ダーゼーション及び洗浄における溶液の塩濃度(例えばN
aCl、クエン酸3ナトリウムの濃度など)、温度、時間な
どをプローブが相同性の高い塩基配列とのみハイブリダ
イズするように設定する。ここで、塩濃度が低いほどま
た温度が高いほど、相同性の高いハイブリッド形成を促
進することができる。
【0052】(3) 検出 ハイブリダーゼーションにより、繊維集合体薄片上に形
成された二重鎖は、RI又は蛍光イメージスキャナーで解
析する。このとき、繊維集合体薄片上の各繊維単位の位
置は、上記2において得られた各繊維単位の座標データ
に基づいて認識する。繊維集合体薄片上の蛍光強度は、
蛍光レーザー顕微鏡とCCDカメラ及びコンピュータを連
結した装置で自動的に測定することができる。スキャナ
ーは、各繊維単位の直径が約10〜500μmで、スポット間
の距離が約10〜1000μm程度のスポットを定量的に識別
できるものが好ましい。さらに、複数種の標識に対応で
きること、広範囲を高速でスキャンできること、基板の
ミクロな歪みに対応可能なオートフォーカス機能を有す
るものであることが好ましい。このような機能を備えた
スキャナーとしては、例えばGMS 418 Array Reader(Mic
ro Systems社(GMS社)製)などが挙げられる。また、デー
タの解析に用いるソフトは、変異や多型の解析のよう
に、部分的に重複した配列のオリゴヌクレオチドが多数
含まれる複雑な解析にも対応できるものが好ましい。
【0053】
【実施例】〔実施例1〕繊維集合体薄片の作製 繊維単位ごとの識別ができるように、繊維単位として、
橙,ピンク,薄緑,青,緑,青緑,赤,茶,白,黄に染
色された繊維の太さが約0.25(mm)の10本の繊維を用意
し、橙,ピンクの繊維を座標基準として、約10mm角、長
さ50mmのプラスチック容器の中にその10本の繊維を適当
な間隔で吊し、ポリウレタン樹脂接着剤をプラスチック
容器に充填・硬化させて、繊維集合体を作製した。この
繊維集合体をプラスチック容器から取り出し、繊維集合
体を繊維軸に直角方向にミクロトームを用いて0.25mmの
厚さに切り出し、繊維集合体薄片を得た。
【0054】〔実施例2〕繊維単位座標の決定 以下のようにして、繊維単位座標を決定した。すなわ
ち、まず、実施例1において得られた繊維集合体薄片
を、切り出した順に1,2,3,…,mと番号を付け
た。繊維集合体から切り出された薄片中の繊維単位ごと
の2次元座標を決定するために、切り出された薄片のう
ち、1番目がら5番目までをXY座標が読み取り可能な
XYステージ付き投影顕微鏡(Nikon PROFILER PROJECT
OR V-12 拡大倍率100倍)上に置き、目視にて、1番目
に切り出した薄片中の繊維単位ごとの断面の重心の位置
のXYステージ上の座標を読み取り、1番目の薄片の座
標基準の座標を基に式(1),(2)により、1番目の
薄片の座標基準を基にした、1番目の薄片中の繊維単位
ごとの2次元座標を求めた。求めた座標を表1に示し
た。
【0055】
【表1】
【0056】2番目に切り出された薄片中の繊維単位ご
との2次元座標を決定するために、2番目に切り出した
薄片をXYステージ付き投影顕微鏡上に置き、1番目に
切り出した薄片中の繊維単位ごとの1番目の薄片の座標
基準を基にした座標データから、式(3),(4)によ
り、1番目の薄片中の繊維単位と同じ、2番目の薄片中
の繊維単位のXYステージ上での座標を求め、その座標
の位置へXYステージを移動させた、この時、その座標
の位置に最も近い繊維単位が、繊維単位の色から1番目
の薄片中の繊維単位と同じであることを確認できた。そ
の座標の位置に最も近い繊維単位の断面の重心の位置の
XYステージ上の座標を読み取り、2番目の薄片の座標
基準を基に式(1),(2)により、2番目の薄片の座
標基準を基にした、1番目の薄片中の繊維単位と同じ、
2番目の薄片中の繊維単位の2次元座標を求めた。求め
た座標を表2に示した。表からも明らかなように、計算
によって求めた各繊維単位の座標と投影顕微鏡を用いて
目測により求めた各繊維単位の座標とは互いに近似して
おり、上記方法によって極めて正確に各繊維単位の座標
を推測することのできることが分かった。
【0057】
【表2】
【0058】同じようにして、2番目に切り出された薄
片中の繊維単位の座標データから、3番目に切り出され
た薄片中の繊維単位ごとの2次元座標を求めることが出
来た。同様の操作を繰り返し、m番目の薄片中に含まれ
る繊維単位の2次元座標を求めることができる。この
時、何れの薄片においても、同じ繊維単位であれば、n
−1番目に切り出した薄片中の繊維単位の、n−1番目
の薄片の座標基準を基にした座標データから、式
(3),(4)により求めたXYステージ上での座標
と、n番目の薄片中のXYステージ上での座標の位置が
最も近い繊維単位が、繊維単位の色からn−1番目の薄
片中の繊維単位と同じであることを確認できた。また、
n−1番目に切り出した薄片中の、n−1番目の座標基
準を基にした繊維単位の座標と、n番目に切り出した薄
片中の、n番目の座標基準を基にした繊維単位の座標
が、最も近い物が、同じ繊維単位であることも確認出来
た。表3、4、及び5にそれぞれ、3,4,5番目に切
り出された薄片中の繊維単位の座標を示す。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】〔実施例3〕繊維単位座標をさせたコンピ
ュータ読み取り可能な記録媒体 実施例2において決定された各繊維集合体中の個々の繊
維単位の座標データをパーソナルコンピュータ(日本電
気社製PC9821型)を用いて、テキスト形式でフロッピー
ディスクに記録した。得られた座標情報記録ディスクか
ら、上記パーソナルコンピュータを用いてデータを読み
取ったところ、入力したときの形態のまま繊維単位の座
標データを出力することができた。
【0063】
【発明の効果】本発明により、繊維集合体薄片中に含ま
れる各繊維単位の位置を決定する方法、薄片中に含まれ
る各繊維単位の位置が決定されている座標付き繊維集合
体薄片及び該座標付き繊維集合体薄片の製造方法が提供
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村瀬 圭 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA09 HA11 HA13 HA14 4B029 AA07 AA21 AA23 BB20 CC03 CC08 FA12 FA15 4B063 QA01 QA13 QA17 QA20 QQ42 QQ52 QR32 QR35 QR38 QR55 QR84 QS34 QS39 QX02 QX07

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維単位及び該繊維単位の座標基準を含
    む繊維集合体薄片。
  2. 【請求項2】 座標基準が、繊維集合体薄片中の2以上
    のマーカー繊維単位である請求項1記載の繊維集合体薄
    片。
  3. 【請求項3】 マーカー繊維単位が染色されたものであ
    る請求項2記載の繊維集合体薄片。
  4. 【請求項4】 繊維単位の座標が座標基準に基づいて決
    定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維
    集合体薄片。
  5. 【請求項5】 繊維単位が核酸を固定化したものである
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維集合体薄片。
  6. 【請求項6】 核酸の種類が、各繊維単位の全部又は一
    部において異なるものである請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の繊維集合体薄片。
  7. 【請求項7】 薄片が1cm2あたり100以上の繊維単位を
    含むものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊
    維集合体薄片。
  8. 【請求項8】 以下の工程を包含する座標付き繊維集合
    体薄片の製造方法。 (a) 繊維単位を束ねて固定化した繊維集合体を、該繊維
    単位の繊維軸と交叉する断面で順次切断し、連続する繊
    維集合体薄片S(1)、S(2)、…、S(h)、…、S(m)を得
    る工程、(b) m個の薄片中から任意の薄片S(h)を選択
    し、該薄片S(h)中に含まれる各繊維単位の2次元座標
    を、該薄片S(h)中の座標基準に基づいて決定する工
    程、(c) 該S(h)薄片に近い位置にあるS(i)薄片中に含
    まれる各繊維単位の2次元座標を、工程(b)において得
    られた薄片S(h)の座標データ及び該薄片S(i)中の座標
    基準に基づいて決定する工程、及び(d) 工程(b)及び(c)
    を繰り返して、該繊維集合体薄片中の各繊維単位の2次
    元座標を決定する工程
  9. 【請求項9】 座標基準が、繊維集合体薄片に含まれる
    2以上のマーカー繊維単位である請求項8記載の座標付
    き繊維集合体薄片の製造方法。
  10. 【請求項10】 マーカー繊維単位が染色されたもので
    ある請求項9記載の座標付き繊維集合体薄片の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 繊維単位が核酸を固定化したものであ
    る請求項8〜10のいずれか1項に記載の座標付き繊維
    集合体薄片の製造方法。
  12. 【請求項12】 核酸の種類が、各繊維単位の全部又は
    一部において異なるものである請求項8〜11のいずれ
    か1項に記載の座標付き繊維集合体薄片の製造方法。
  13. 【請求項13】 薄片が、1cm2あたり100以上の繊維単
    位を含むものである請求項8〜12のいずれか1項に記
    載の座標付き繊維集合体薄片の製造方法。
  14. 【請求項14】 以下の工程を包含する繊維集合体薄片
    中の各繊維単位の位置を決定する方法。 (a) 繊維単位を束ねて固定化した繊維集合体を、該繊維
    単位の繊維軸と交叉する断面で順次切断し、連続する繊
    維集合体薄片S(1)、S(2)、…、S(h)、…、S(m)を得
    る工程、(b) m個の薄片中から任意の薄片S(h)を選択
    し、該薄片S(h)中に含まれる各繊維単位の2次元座標
    を、該薄片S(h)中の座標基準に基づいて決定する工
    程、(c) 該S(h)薄片に近い位置にあるS(i)薄片中に含
    まれる各繊維単位の2次元座標を、工程(b)において得
    られた薄片S(h)の座標データ及び該薄片S(i)中の座標
    基準に基づいて決定する工程、及び(d) 工程(b)及び(c)
    を繰り返して、該繊維集合体薄片中の各繊維単位の2次
    元座標を決定する工程
  15. 【請求項15】 繊維単位及び座標基準を含む繊維集合
    体薄片中の、各繊維単位の座標データを記録したコンピ
    ュータ読み取り可能な記録媒体。
  16. 【請求項16】 繊維単位及び座標基準を含む繊維集合
    体薄片中の各繊維単位の座標データを記録したコンピュ
    ータ読み取り可能な記録媒体及び繊維集合体薄片を含む
    核酸検出用繊維集合体薄片セット。
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