JP4150226B2 - リジェクトカード回収庫のシャッタロック機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カード発行機におけるリジェクトカード回収庫に関する。更に詳述すると、本発明はカード発行機から排出される不要なカードまたは回収すべきカード(以下、リジェクトカード)を収納するリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カード発行機は、カードを発行するカード発行機能を備えたカード発行機を本体とし、このカード発行機には、不要なリジェクトカードを収納するリジェクトカード回収庫が付設されている。カード回収時には、カード発行機からリジェクトカード回収庫を取り出し、リジェクトカード回収庫の回収ドアを鍵(キー構造)により開き、開口したカード回収口よりリジェクトカードを抜き出していた。また、リジェクトカード回収庫には、カード投入口にシャッタが設けられており、そのシャッタは、リジェクトカード回収庫がカード発行機にセットされた時、このカード発行機の機体内に設けられたキー部材により、はじめて開状態となるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したリジェクトカード回収庫においては、外部に取り出した際、カード回収口からのリジェクトカードの盗難は防止することができる。ところが、カード投入口を開閉するシャッタには、シャッタロック機構が設けられていなかった。そのため、シャッタが容易に開けられ、この回収庫内に収納されたリジェクトカードが盗まれるという問題点があった。
【0004】
本発明は、リジェクトカード回収庫のカード投入口からリジェクトカードを盗み出すことができないリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、故意にシャッタを開けた状態でリジェクトカード回収庫をカード発行機から取り出しても、シャッタの閉蓋障害が解除されると、自動的にシャッタを閉じることができるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構を提供することを目的する。
さらに、シャッタ部材のロック解除をより複雑化することで、ピッキングなどによるカード盗難を防止することができるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明にかかるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構は、カードを発行するカード発行機能を有するカード発行機に設けられたリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構において、リジェクトカード回収庫に形成されたカード投入口を開閉可能なシャッタ部材と、リジェクトカード回収庫に設けられ、シャッタ部材をロックおよびロック解除するロック部材と、リジェクトカード回収庫にスライド自在に配設され、ロック部材をロックおよびロック解除する複数のキー側操作部材と、カード発行機に設けられ、各キー側操作部材に当接することで、これらのキー側操作部材を、ロック部材のロック解除位置までそれぞれスライドさせるキー部材とを備え、キー側操作部材のロックが解除され、且つ、ロック部材のロックが解除されたリジェクトカード回収庫のセット状態において、カード発行機に設けられた回動可能なレバー操作フックがカード発行機に設けられた別のカギに連動するように構成された回動機構により、シャッタ部材が付勢に抗して移動し、カード投入口を開口するようにしている。
【0007】
したがって、リジェクトカード回収庫にカード投入口を開閉するシャッタ部材を設けたので、カード投入口からのリジェクトカードの盗難を防止することができる。
【0008】
さらに、シャッタ部材のロック機構として、シャッタ部材のロック部材と、このロック部材のロック操作用の複数のキー側操作部材と、各キー側操作部材をロック解除位置までスライドさせるキー部材とを備えたものを採用したので、シャッタ部材のロック機構が複雑化し、このリジェクトカード回収庫のセキュリティ性を高めることができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構において、キー部材には、各キー側操作部材との当接部分に、各キー側操作部材を、ロック部材のロック解除位置までそれぞれスライドさせるロック解除起伏部を設けるようにしている。
【0010】
したがって、リジェクトカード回収庫をカード発行機にセットすると、キー部材のロック解除起伏部が作用して、各キー側操作部材をロック部材のロック解除位置までそれぞれスライドさせる。これにより、簡素化された低コストな構造で、ロック部材がロック解除され、シャッタ部材のロック状態を解除することができる。
【0011】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構において、キー部材とは異なる位置に、ロック部材のロック解除後、ロック部材をシャッタ部材のロック解除位置まで移動させるロック解除体を設けるようにしている。
【0012】
したがって、キー部材とは異なる位置にロック解除体を設けたので、キー部材とロック解除体との配置を変えるだけで、カード発行機側のキーの形状を変更することができる。その結果、カード発行機の納入先に応じた仕様を提供することができる。
【0013】
また、キー部材によりロック部材をロック状態を解除した後、キー部材とは別個のロック解除体により、ロック部材をロック解除位置まで移動させなければシャッタ部材のロック状態を解除することができない。これにより、シャッタ部材のロック機構がより複雑化し、リジェクトカード回収庫のセキュリティ性を高めることができる。
【0014】
そして、請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構において、シャッタ部材とロック部材との間には、ロック部材のロック解除方向への過剰移動時に、ロック部材がシャッタ部材に掛止される過剰移動掛止構造を設けるようにした。
【0015】
したがって、例えばピッキング時など、ロック部材がシャッタ部材のロック解除位置を超えて過剰移動すると、過剰移動掛止構造によりロック部材がシャッタ部材に掛止される。これにより、シャッタ部材のロック機構がさらに複雑化し、カードの盗難防止の効果を高めることができる。
【0016】
さらにまた、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構において、ロック部材には、シャッタ部材のロック部分を有し、シャッタ部材をロック可能な通常位置と、通常位置から所定角度だけ離間した退避位置との間で回動自在な回動掛止部材が軸支され、ロック部材と回動掛止部材との間には、回動掛止部材を、常時、通常位置に向かって付勢する復帰ばねが介在されるようにしている。
【0017】
したがって、カード発行機からリジェクトカード回収庫を取り出す際に、例えばカード投入口に指などを挿入して取り出すと、シャッタ部材がロックされない状態でロック部材がロック位置に移動する。したがって、その後は指などをカード投入口から引き抜けば、シャッタ部材を簡単に開けることができる。しかしながら、ロック部材には復帰ばねにより付勢された回動掛止部材が存在する。そのため、指などをカード投入口から外すと、シャッタ部材がロック部分に押し当てられる力により、復帰ばねのばね力に抗して回動掛止部材がいったん退避位置へと退避し、シャッタ部材の被ロック部分をかわした後、さらに復帰ばねのばね力により回動掛止部材が通常位置まで復帰する。これにより、ロック部材のロック部分によりシャッタ部材の被ロック部分がロックされる。
【0018】
その結果、故意にシャッタ部材を開けた状態でリジェクトカード回収庫をカード発行機から取り出しても、シャッタ部材の閉蓋障害が解除されると、自動的にシャッタ部材を閉じることができる。
さらに、請求項6記載の発明は、請求項1記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構において、カード発行機に設けられたカギに連動してリジェクトカード回収庫の外からリジェクトカード回収庫内に挿入される部材によって移動させられシャッタ部材を移動させるシャッタ開閉レバーを備えるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、説明の都合上、カード発行機の機長方向をX方向、機幅方向をY方向、高さ方向をZ方向とする。
【0020】
図1から図9に、本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構の一実施形態を示す。
【0021】
カードを発行するカード発行機能を有するカード発行機1に設けられたリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構10は、例えば図1に示すようにリジェクトカード回収庫11に形成されたカード投入口11aを開閉可能なシャッタ(シャッタ部材)12と、そのシャッタ12をロックおよびロック解除するロックレバー(ロック部材)13と、リジェクトカード回収庫11の上板14の内面に取り付けられた複数のキースライド板(キー側操作部材)15と、カード発行機1に設けられたキー(キー部材)2と、キー2とは異なる位置に設けられ、ロックレバー13をシャッタ12のロック解除位置まで移動させるロックレバー解除ピン(ロック解除体)3により構成されている。
【0022】
図3から図5に示すように、カード発行機1の内部には、未使用カードに所定の記録を行ってカード発行口4aよりカードを発行するカードリーダー部4の他、図示しないが、例えば多数の未使用カードを積み重ねてストックする複数のカードスタッカ(ホッパーカセット)を配設したカードスタッカ部と、各カードスタッカのカード供給部から未使用カードを取り出すカード取り出し移動機構と、未使用カードに所定の文字および記号などを刻むインデント/エンボス機構と、刻まれた文字および記号などに色付けするトッパー機構と、カード発行機1の全体を制御する制御部とを備えている。
【0023】
カード発行機1は、上端部の開口部に装置蓋5が設けられたX方向に長い矩形箱状の機体6を有している。機体6のX方向の一側板には、リジェクトカード回収庫11を機体外に取り出す取り出し口7を塞ぐ蓋体8が回動自在に設けられている。機体6のX方向の他側部内には、X方向に長い矩形箱状のカードリーダー部4が設けられている。カード発行口4aは、機体6のX方向の他側板から外部に露出している。次に、図1、図2、図6から図9を参照して、リジェクトカード回収庫11を詳細に説明する。
【0024】
リジェクトカード回収庫11は、図2に示すように例えば平面視して正方形のカセット本体11Aを有し、カード発行機1から排出されたリジェクトカードを収納するボックスである。カセット本体11Aの一側板には、リジェクトカード回収庫11の把手16付きの開閉蓋17を開閉可能にキーロックする鍵18が取り付けられている(図4参照)。
【0025】
また、カセット本体11Aの上板14のX方向他端側の中間部には、X方向に細長いカード投入口11aが形成されている。上板14の内面には、カード投入口11aの周囲に、シャッタ12のスライドガイド板21が固着されている。上板14のX方向一端部には、上板14の内面に沿ってXY平面内で回動するシャッタ12の元部が回動ピン12aを介して軸支されている。このシャッタ12は、平面視してX方向に長い短冊状の板である。シャッタ12の先端部のロックレバー13側寄りには、略逆L字形状のロック突起12bを備えている。本実施形態の場合、ロック突起12bはシャッタ12と一体形成されている。ロック突起12bは、その先端部12cが開閉蓋17側に比較的長く突出しているとともに、その元部12dが若干だが側板11d側に突出している。また、先端部12cの施錠方向の縁には、斜面12eが設けられ、施錠動作時にロックレバー13の通過用孔13dをロック突起12bが通過する際に掛止小片13hと衝突する事態が起きても、斜面12eを滑ることによって許容範囲内で僅かにロックレバー13を退避させることで、ロック突起12bを通過させ得るようにしている。
【0026】
シャッタ12の元部付近には、カセット本体11Aの外から操作可能なシャッタ開閉レバー19が回転自在に連結されている。このシャッタ開閉レバー19は、例えばカセット本体11AのY方向一端の側板11bの上端部に形成されたレバー孔11cに先端部19cが露出するように位置し、元部が回動ピン22を介してシャッタ12に軸支されている。シャッタ開閉レバー19には、Y方向に延びる長孔19aが形成されている。シャッタ開閉レバー19は、長孔19aに遊挿された軸19bを介して、上板14に対してY方向にスライド自在に取り付けられている。本実施形態ではビスを軸19bとして利用しているがこれに限られない。また、シャッタ開閉レバー19のX方向のカード投入口11a側には、シャッタ12を常閉するY方向に細長いコイルばね20が設けられている。コイルばね20の一端部は、シャッタ12の略長さ方向の中間部に固定され、他端部が上板14のY方向の側板11b付近の内面に固定されている。
【0027】
ロックレバー13は、シャッタ12をカセット本体11Aの内側からロックおよびロック解除するX方向に長い短冊状の板である。ロックレバー13のX方向の両端部には、それぞれX方向に延びる短尺な長孔13aが形成されている。前後に配置された各長孔13aに遊挿された軸13bを介して、このロックレバー13は、カード投入口11aのY方向の一側縁に隣接した状態で、上板14の内面に沿ってX方向に若干幅だけ移動可能になっている。このロックレバー13は、X方向に延びる細長いコイルばね23のばね力により、常時、X方向の他端側に付勢されている。カセット本体11AのX方向の他端の側板11dの上端部には、ロックレバー13の先端の操作端13gを露出させ、外から操作し得るレバー孔11eが形成されている。
【0028】
このロックレバー13のY方向の両端には、それぞれ直角に折り曲げられた縁を有している。このうち、ロックレバー13のカード投入口11aとは反対側の端部の縁は、ロックレバー13の動きを規制する3本のキースライド板15とそれぞれ当接する3つの当接片13cを、ロックレバー13のカード投入口11a側の端からそれぞれY方向の距離を変えて、平面視して段差状に形成している。これらのY方向の距離は、一例としてシャッタ開閉レバー19側の当接片13cが最も短く、中間の当接片13cが最も長く、側板11d側の当接片13cが中間の長さとしてある。このように当接片13cのY方向距離・位置を異ならせることにより、シリンダ錠のような複雑なキー構造とすることができる。隣接する当接片13cの間には、後述するキースライド板15のロック片15cを遊挿可能な2つの溝部13eが形成されている。
【0029】
さらに、ロックレバー13のカード投入口11a側の側板11d寄りの縁には、前記シャッタ12のロック突起12bの施錠方向、解錠方向への移動を許容する通過用孔13dが形成されている。この通過用孔13dのシャッタ開閉レバー19側の縁の近傍には、シャッタ12がロック位置にある状態で、ロックレバー13を操作せずにシャッタ12を解錠方向へピン12a回りに旋回させようとする時に、ロック突起12bの先端部12cが入り込み掛止される掛止凹部(ロック部分)13hが設けられている。この掛止凹部13hは例えばロックレバー13の折り曲げられた縁に例えば切り欠きによって形成されている。また、通過用孔13dのレバー孔11e側の端部には、ロックレバー13をロック解除方向へ過剰に移動させた時に、ロック突起12bの元部12dに掛止される過剰移動掛止部(過剰移動掛止構造)13fが形成されている。この過剰移動掛止部13fは、機体6側に備えられているロック解除ピン3aが当接するロックレバー13の操作端13gのシャッタ12側の端部を直角にロック突起12b側へ折り曲げることによって構成されており、ロック解除ピン3aの押動のみでは、過剰移動掛止部13fは元部12dとは係合しないように形成されている。
【0030】
ロックレバー13より側板11b側には、上板14の内面に沿って、例えば3本のキースライド板15がY方向にスライド自在に配設されている。各キースライド板15はY方向に細長い板で、互いにX方向に所定間隔をあけて平行配置されている。各キースライド板15には、そのY方向の両側部にそれぞれY方向に長孔15aが形成されている。これらの長孔15aに遊挿された軸15bを介して、各キースライド板15が上板14にY方向に移動可能に配設されている。各キースライド板15のシャッタ開閉レバー19側の端部には、それぞれ直角に折り曲げられて成る縁を有している。リブを兼ねるこの折り曲げから成る縁のロックレバー13側の端部には、折り曲げを利用してロック片15cが一体形成されている。このロック片15cは、ロックレバー13の折り曲げ縁で構成されている当接片13cと当接することにより、ロックレバー13の動きを規制する。ロックレバー13のロック時、このロックレバー13をレバー孔11eを介して外方から押しても、各当接片13cが、それぞれ対応するロック片15cに当接するので、ロック解除できない。
【0031】
各キースライド板15には、ロック片15cと隣接させてロック解除凹部15dが形成されている。このロック解除凹部15dは、各スライド板15をロック解除位置にスライドさせたときに対応する当接片13cの延長線上に位置することにより、ロックレバー13が押し込まれるときに当接片13cが通過することを許容するものである。本実施形態の場合、ロック片15cの手前(ロックレバー13から離れる方向)側に、折り曲げられた縁の一部を切欠いて、ロック解除凹部15dが形成されている。さらに、各キースライド板15の先部の側板11d側には、突起15eが一体形成されている。また、上板14の内面のうち、各キースライド板15の元部の側板11d側の近傍には、それぞれ短尺なビスから成る軸24が固着されている。各突起15eとそれに対応する軸24との間には、常時、各キースライド板15を側板11b側(ロックレバー13のロック側)に付勢する細長いコイルばね25が掛け渡されている。
【0032】
次に、各キースライド板15の他端部には、前記カード発行機1に内設されたキー2が当接されるガイドローラ15fがそれぞれ軸支されている。このキー2は、平面視してX方向に延びるナイフ形状の板で、カード発行機1の機体6の所定部分に固定された取り付け板3の一端部に片持ち状態で支持されている。キー2の先端部のガイドローラ15f側の面には、各キースライド板15を、ロックレバー13のロック解除位置までそれぞれスライドさせるロック解除起伏部2aが一体形成されている。取り付け板3はY方向に長い板で、そのキー2とは反対側の端部に、レバー孔11eを介してロックレバー13をカセット本体11A内に押し込む短尺なロック解除ピン(ロック解除体)3aが突設されている。
【0033】
次に、一実施形態のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構10を有するカード発行機1の作動を説明する。
カード発行時には、まず図示しない指定されたホッパーカセットのいずれかのカード供給部から、カード取り出し移動機構により1枚の未使用カードが取り出され、その後、インデント/エンボス機構まで移動される。ここでは、未使用カードに所定文字および記号などが刻まれる。その後、このカード移動機構によってカードはトッパー機構に移動され、インデント/エンボス機構によって刻まれた文字および記号などの表面に、例えば銀色の色付けが施される。それから、カードはカード移動機構によりカードリーダ部に移動され、ここでカードに所定の記録を行い、カード発行口からカードが発行されることになる。
【0034】
ところで、このようなカード発行に先駆け、機体6内にリジェクトカード回収庫11がセットされる。以下、図6から図9を参照して、この一連のシャッタロック機構10の動作を具体的に説明する。すなわち、蓋体8を開き、取り出し口7からリジェクトカード回収庫11が機体内に挿入されると(図6)、まずキー2が、側板11dの上部に形成されたキー孔11fから、カセット本体11A内に侵入する(図7)。これにより、各キースライド板15が、キー2のロック解除起伏部2aの凹凸に合わせ、コイルばね25のばね力に抗してロックレバー13のロック解除位置までY方向に沿って押し込まれる。よって、3組の対応する当接片13cとロック解除凹部15dとがそれぞれ合致する。その結果、各キースライド板15のロック解除凹部15dを当接片13cが通過してロックレバー13が回収庫内へ押し込み可能となるロック解除状態とされる。
【0035】
次に、機体6内へのリジェクトカード回収庫11の挿入がさらに進むと、短尺なロック解除ピン3aが、レバー孔11e内へ挿入されてロックレバー13の操作端13gを押してロックレバー13をカセット本体11A内に押し込む(図8)。その結果、コイルばね23のばね力に抗して、ロックレバー13がシャッタ開閉レバー19側に所定量(ピン3aの高さ分)だけ移動する。これにより、ロック突起12bの先端部12cと掛止凹部13hとがシャッタ12の旋回方向と直交する方向においてずれて掛止凹部(ロック部分)13hの位置から外れ、ロック突起12bが通過用孔13dと対峙する位置まで移動する。よって、シャッタ12のロックレバー13によるロック状態が解除される。その後、機体6の内部の所定位置にXY平面内で回動可能なレバー操作フック26が、カード発行機1の筐体中に設けられた別のカギに連動するように構成されたフック回動機構により、ピン26aを中心にして回動する(図9参照)。これにより、レバー操作フック26の先端部が、レバー孔11c内へ挿入されて、シャッタ開閉レバー19の先端部19cに押し当てられ、シャッタ開閉レバー19をカセット本体11A内に押し込む(Y方向)。よってシャッタ12が回動ピン12aを中心にして、スライドガイド板21に沿って、水平面内で図8の矢印方向に回動し、カード投入口11aが開口される。
【0036】
このように、カード投入口11aをシャッタ12により開閉自在としたので、カード投入口11aからのリジェクトカードの盗難を防止することができる。しかも、シャッタ12のシャッタロック機構10として、シャッタ12のロック突起12bと、このロックレバー13のロック操作用の3本のキースライド板15と、各キースライド板15をロック解除位置までスライドさせるキー2とを備えたものを採用したので、シャッタ12のロック機構10が複雑化し、このリジェクトカード回収庫11のセキュリティ性を高めることができる。更に、所定の順序とストロークで全ての要素を動かしたときに始めてシャッタの解除を可能としているので、ロックを解除することは一層困難なものとなる。
【0037】
また、この実施形態によれば、キー2にロック解除起伏部2aを設けたので、リジェクトカード回収庫11をカード発行機1にセットすると、キー2のロック解除起伏部2aが作用して、各キースライド板15をロックレバー13のロック解除位置までそれぞれスライドさせることができる。これにより、簡素化された低コストな構造でロックレバー13をロック解除し、シャッタ12のロック状態を解除することができる。
【0038】
さらに、ここでは、キー2とは異なる位置にロック解除ピン3aを設けたので、キー2の形状とロック解除ピン3aの長さとを変えれば、カード発行機1の納入先に応じたロック仕様を提供することができる。
【0039】
また、この実施形態では、キー2によるロックレバー13のロック解除後、キー2とは別個のロック解除ピン3aにより突くことによって、ロックレバー13をロック解除位置まで移動させなければシャッタ12のロック状態を解除することができないように構成した。その結果、シャッタ12のロック機構10がより複雑化し、リジェクトカード回収庫11のセキュリティ性をより高めることができる。
【0040】
さらには、例えばリジェクトカード回収庫11のピッキング時、キー孔11fから挿入されたピッキング棒を操作して、仮にロックレバー13のロック状態を解除しても、レバー孔11eを通してのロックレバー13の押し込みが過ぎると、過剰移動掛止部13fがロック突起12bの元部12dに掛止されて、再びロックレバー13がロック状態となる。これにより、ピッキングによるシャッタ12のロック解除作業が複雑になり、リジェクトカード回収庫11のセキュリティ性が高まる。
【0041】
次に、図10および図11に基づき、本発明の他の実施形態を説明する。
【0042】
この実施形態のリジェクトカード回収庫11のシャッタロック機構30は、故意にあるいは何らかの不都合により、シャッタ12が閉じられない状態でリジェクトカード回収庫11が機体6から取り外された場合にも、シャッタ12が解放されたときにロックレバー13の位置に関係なくシャッタ12を閉じさせるようにしたものである。具体的には、ロックレバー13に、シャッタ12をロック可能な通常位置aと、通常位置aから所定角度だけ離間した退避位置bとの間で回動自在な回動掛止片(回動掛止部材)31をXY平面内で回動自在に設けたものである。ここで、キースライド板15の数は本質的なものではなく、本実施形態では2本としているが、これに限られるものではない。
【0043】
回動掛止片31は、平面視して略Sの字形状をした短尺な板片で、その元部が、回動ピン32を介して、ロックレバー13の当接片13c付近に軸支されている。回動掛止片31の先端部はロックレバー13並びにシャッタ12のロック突起12bに向かって直角に折り曲げられており、この折曲部分の内側の面に、掛止凹部13hが固着などにより設けられている。また、回動ピン32には、回動掛止片31を、常時、シャッタ12のロック可能な通常位置aに向かって付勢する巻きばね(復帰ばね)33が外挿されている。巻きばね33の一端部はロックレバー13に掛止される一方、巻きばね33の他端部は回動掛止片31の元部に掛止されている。
【0044】
上板14の中央部の裏面には、コイルばね20のばね力によりXY平面内で回動するシャッタ12を、カード投入口11aの閉口位置で停止させる回動規制片34が取り付けられている。この回動規制片34には、シャッタ12の衝突時の衝撃を緩和する緩衝ゴム35が固定されている。また、ロック突起12bの先端部12cには、シャッタ12がロック位置に復帰するときに回動掛止片31の先端の掛止凹部13hと当接して、回動掛止片31をばね33の力に抗して図上時計回転方向に回転させる斜面12eを備えている。
【0045】
次に、この他の実施形態のシャッタロック機構30の作動を説明する。
例えば、開蓋された取り出し口7からリジェクトカード回収庫11を機体6の外に取り出す際、シャッタ12が開いたカード投入口11aに、例えば指などを挿入してリジェクトカード回収庫11を取り出すと、キー2がキー孔11fから引き抜かれる。これにより、シャッタ12がロック解除されたままで、ロックレバー13がロック位置に戻る。
【0046】
よって、掛止小片13hが固定されている状態ならば、この状態のまま、指などをカード投入口11aから引き抜けば、シャッタ12のロック突起12bが、通過用孔13dを通過して掛止凹部13hの内側に入り込むことができずにロック突起12bの外側の面に当接してロック解除状態が維持される。これにより、カード投入口11aからリジェクトカードを簡単に抜き出すことができる。しかしながら、この実施形態にあっては、ロックレバー13に、巻きばね33により付勢された回動掛止片31が存在する。そのため、指などをカード投入口11aから外すと、図10の矢印に示すようにコイルばね20のばね力によりシャッタ12がカード投入口11aの閉口位置に向かって回動する。このとき、シャッタ12のロック突起12bの幅広な先端部12cの急角度の斜面12eが、回動掛止片31の先端部に当接し、そのときの押し当て力の分力により、巻きばね33のばね力に抗して回動掛止片31が回転し、いったん退避位置bへと退避する。ロック突起12bの通過をかわした後、巻きばね33のばね力により回動掛止片31が再び通常位置aまで復帰する。これにより、ロックレバー13の掛止凹部13hにロック突起12bの先端部12cが掛止され、シャッタ12がロックレバー13にロックされる。この際、シャッタ12の中間部が緩衝ゴム35に衝突し、シャッタ12の回動が規制される。
【0047】
このように、ロックレバー13に回動掛止片31を軸支し、ロックレバー13と回動掛止片31との間に巻きばね33を設けたので、故意にシャッタ12を開けた状態でリジェクトカード回収庫11をカード発行機1から取り出しても、シャッタ12の閉蓋障害が解除されると、その直後、自動的にシャッタ12を閉じることができる。
【0048】
その他の構成、作用および効果は、一実施形態から推測できる範囲であるので、説明を省略する。
【0049】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、キースライド板15の総数を増減することで、セキュリティの高さとコストのバランスを取ることができる。また、キースライド板15の総数やロック片15c、当接片13cの形状を変えることで、キー2の配置や形状を変え、仕向先に応じた仕様とすることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明にかかるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構によると、カード投入口を開閉可能なシャッタ部材を備え、かつこのシャッタ部材で常時カード投入口を閉じるように付勢し、キー側操作部材のロックが解除され且つロック部材のロックが解除されたリジェクトカード回収庫のセット状態においてカード発行機に設けられた回動可能なレバー操作フックがカード発行機に設けられた別のカギに連動するように構成された回動機構により、シャッタ部材が付勢に抗して移動させられてカード投入口が開口されるようにしているので、カード発行機にセットされた状態でもカギが開けられないとカード投入口が開口されないことから、カード投入口からのリジェクトカードの盗難を防止することができる。しかも、シャッタ部材のロック機構として、シャッタ部材のロック部材と、このロック部材のロック操作用の複数のキー側操作部材と、各キー側操作部材をロック解除位置までスライドさせるキー部材とを備えたものを採用したので、シャッタ部材のロック機構が複雑化し、このリジェクトカード回収庫のセキュリティ性を高めることができる。
【0051】
また、請求項2記載の発明にかかるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構によると、キー部材にロック解除起伏部を設けたので、リジェクトカード回収庫をカード発行機にセットすると、キー部材のロック解除起伏部が作用して、各キー側操作部材をロック部材のロック解除位置までそれぞれスライドさせることができる。これにより、ロック部材がロック解除され、シャッタ部材のロック状態を解除することができる。
【0052】
さらに、請求項3記載の発明にかかるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構によると、キー部材とは異なる位置にロック解除体を設けたので、キー部材とロック解除体との配置を変えれば、カード発行機側のキーの形状を変更することができる。これにより、カード発行機の納入先に応じた仕様を提供することができる。
【0053】
また、キー部材によるロック部材のロック解除後、キー部材とは別個のロック解除体により、ロック部材をロック解除位置まで移動させなければシャッタ部材のロック状態を解除することができない。よって、シャッタ部材のロック機構がより複雑化し、リジェクトカード回収庫のセキュリティ性を高めることができる。
【0054】
また、請求項4記載の発明にかかるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構によると、シャッタ部材とロック部材との間に、ロック部材のロック解除方向への過剰移動時に、ロック部材がシャッタ部材に掛止される過剰移動掛止構造が設けられているので、シャッタ部材のロックおよびロック解除機構がさらに複雑化し、リジェクトカード回収庫のセキュリティ性をさらに高めることができる。
【0055】
とくに、請求項5記載の発明にかかるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構によると、ロック部材に回動掛止部材を軸支し、ロック部材と回動掛止部材との間に回動掛止部材の復帰ばねを設けたので、故意にシャッタ部材を開けた状態でリジェクトカード回収庫をカード発行機から取り出しても、シャッタ部材の閉蓋障害が解除されると、自動的にシャッタ部材を閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構の一実施形態を示すリジェクトカード回収庫の一部拡大図を含むカセット本体のシャッタロック状態を下方から視た横断面図である。
【図2】リジェクトカード回収庫の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構が適用されたリジェクトカード回収庫がカード発行機にセットされた状態を示す側面図である。
【図4】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構が適用されたリジェクトカード回収庫がカード発行機にセットされた状態を示す平面図である。
【図5】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構が適用されたリジェクトカード回収庫がカード発行機にセットされた状態を背面方向から視た縦断面図である。
【図6】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構が適用されたリジェクトカード回収庫をカード発行機にセットする前の状態を示す横断面図である。
【図7】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構が適用されたリジェクトカード回収庫がカード発行機にセットされ、キースライド板が解除された状態を示す横断面図である。
【図8】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構が適用されたリジェクトカード回収庫がカード発行機にセットされ、ロックレバーがロック解除された状態を示す横断面図である。
【図9】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構が適用されたリジェクトカード回収庫がカード発行機にセットされ、シャッタがロック解除された状態を示す横断面図である。
【図10】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構の他の実施形態を示すリジェクトカード回収庫のシャッタロック状態を下方から視た横断面図である。
【図11】本発明のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構の他の実施形態を示すリジェクトカード回収庫のシャッタロックの途中状態を下方から視た横断面図である。
【符号の説明】
1 カード発行機
2 キー(キー部材)
2a ロック解除起伏部
3 ロックレバー解除ピン(ロック解除体)
10、30 リジェクトカード回収庫のシャッタロック機構
11 リジェクトカード回収庫
11a カード投入口
12 シャッタ(シャッタ部材)
13 ロックレバー(ロック部材)
13h 掛止凹部(ロック部)
13f 過剰移動掛止部
15 キースライド板(キー側操作部材)
31 回動掛止片(回動掛止部材)
33 巻きばね(復帰ばね
23 過剰移動掛止構造
a 通常位置
b 退避位置
Claims (6)
- カードを発行するカード発行機能を有するカード発行機に設けられたリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構において、
前記リジェクトカード回収庫に形成されたカード投入口を開閉可能でかつ前記カード投入口を閉じるように常時付勢されているシャッタ部材と、
前記リジェクトカード回収庫に設けられ、前記シャッタ部材をロックおよびロック解除するロック部材と、
前記リジェクトカード回収庫にスライド自在に配設され、前記ロック部材をロックおよびロック解除する複数のキー側操作部材と、
前記カード発行機に設けられ、前記各キー側操作部材に当接することで、これらのキー側操作部材を、前記ロック部材のロック解除位置までそれぞれスライドさせるキー部材とを備え、
前記キー側操作部材のロックが解除され、且つ、前記ロック部材のロックが解除された前記リジェクトカード回収庫のセット状態において、前記カード発行機に設けられた回動可能なレバー操作フックが前記カード発行機に設けられた別のカギに連動するように構成された回動機構により、前記シャッタ部材が上記付勢に抗して移動し、前記カード投入口を開口するものであるリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構。 - 前記キー部材には、前記各キー側操作部材との当接部分に、該各キー側操作部材を、前記ロック部材のロック解除位置までそれぞれスライドさせるロック解除起伏部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構。
- 前記キー部材とは異なる位置に、前記ロック部材のロック解除後、該ロック部材をシャッタ部材のロック解除位置まで移動させるロック解除体を設けたことを特徴とする請求項1または2記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構。
- 前記シャッタ部材と前記ロック部材との間には、該ロック部材のロック解除方向への過剰移動時に、該ロック部材が前記シャッタ部材に掛止される過剰移動掛止構造が設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構。
- 前記ロック部材には、前記シャッタ部材のロック部分を有し、前記シャッタ部材をロック可能な通常位置と、該通常位置から所定角度だけ離間した退避位置との間で回動自在な回動掛止部材が軸支され、
前記ロック部材と回動掛止部材との間には、該回動掛止部材を、常時、前記通常位置に向かって付勢する復帰ばねが介在されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構。 - 前記カード発行機に設けられたカギに連動して前記リジェクトカード回収庫の外から前記リジェクトカード回収庫内に挿入される部材によって移動させられ前記シャッタ部材を移動させるシャッタ開閉レバーを備えるものである請求項1記載のリジェクトカード回収庫のシャッタロック機構。
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