JP4072608B2 - 金庫の構造 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は自動販売機、自動両替機、金銭払出し装置等の金銭取扱装置内に装着されて投入された金銭を受入れたり、払出し用の金銭を収容するために用いられる金庫に関し、特に装置本体内に収容された状態では解錠による不正行為を行うことができない一方で、装置本体外に取り出した際には容易に解錠することができる金庫の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動販売機、自動両替機、金銭払出し装置等の各種の金銭取扱装置にあっては、投入された金銭を収容したり、払出し用の金銭を収容する為の金庫が装備されており、この金庫は装置本体に設けた収容空所内に着脱可能に装備されている。図4(a) は従来の金銭取扱装置の概略図であり、(b) は金庫の斜視図である。この金銭取扱装置1は、(a) に示すようにその収容空所2内に金庫3を矢印方向へ着脱可能に構成されており、金銭投入口4から投入された金銭は金庫3に設けたスリット5から金庫内に収容され、また金庫3内に収容された金銭はスリット5或は図示しない他のスリットから払出し口6へ払出される。
金庫3は(b) に示すように箱形の本体10の先端面に設けた開口を開閉自在に閉止する為の扉11を有し、扉11は例えば上側に設けたヒンジ12によって開閉可能に支持されている。また、符号13は鍵穴であり、この鍵穴13内に図示しない鍵を差し込み解錠することによって扉11を開放し、金庫内部に収容した金銭を出し入れすることができる。鍵穴13を有する錠は、図示しないロック機構と連動しており、施錠することによりロック機構が作動して扉11を金庫本体10の開口に閉止状態でロックし、解錠することによりロック機構が解除状態となって扉11の開放を許容する。
金庫内の金銭を出入れする作業は、装置本体から取り出した金庫に対して、鍵を有した特定の者のみが実施可能な作業である。しかし、部外者が装置本体から金庫を取り出すことに一旦成功すれば、鍵を壊して金庫内から金銭を取り出すことは容易である。このため、金銭取扱装置に装着された金庫を不正に取り出すことを防止する為に、金銭取扱装置に、金庫の不正取り出しを検知する検知手段を設け、正規の手続を経ずに金庫が取り出された場合には警報を鳴動させる等の防止措置を講じている。しかし、最近では部外者のみならず、鍵を持たないメンテナンス担当者等が装着状態にあるままの金庫の鍵穴を操作して扉を開放し、内部の金銭を取り出すという不正行為が後を絶たず、金庫の不正取り出しを防止するだけでは片手落ちであった。特に、鍵を持たないメンテナンス担当者にとって、装置本体に装着されたままの金庫の鍵穴を操作して解錠することは比較的容易なことであるため、装着状態にある金庫の解錠を阻止する対策が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、金銭取扱装置本体内に収容された状態にある金庫に対して解錠による不正行為を行うことができない一方で、装置本体外に取り出した際には容易に解錠することができる金庫を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明は、金銭取扱装置の装置本体内部に着脱されることにより、装置本体内に投入された金銭や、払出し用の金銭を収容する金庫であって、金庫の一面に設けた開口を開閉する扉と、該扉を閉止状態で施錠するために扉に設けた錠と、を備えたものにおいて、上記扉には、扉前面に設けた錠の鍵穴を開閉する為のスライド片をスライド自在に支持すると共に、該スライド片を鍵穴を閉止する閉止位置にロックしたり、鍵穴を開放する開放位置に移動させる為の作動部材を備え、上記装置本体内の収容空所内に、上記金庫を扉が横向きになる状態で収容した時に上記作動部材が上記スライド片を閉止位置にロックし、上記収容空所から取り出した金庫を、扉を上向きにして縦置きしたときに、上記作動部材が上記スライド片のロックを解除して開放位置に移動可能にすることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した形態例により詳細に説明する。
図1は(a) 及び(b) は本発明の金庫の一形態例の斜視図、及びその分解斜視図、(c) は金庫を起立させた状態を示す斜視図である。また、図2(a) (b) (c) は解錠防止機構の解錠防止状態を示す正面図、A−A断面図及びB−B断面図、図3(a) (b) (c) は解錠防止機構の解錠状態を示す正面図、C−C断面図及びD−D断面図である。
この金庫20は、図示しない金銭取扱装置本体に設けた装着空所内に図示の横置き状態で着脱されるものであり、矢印で示す装着方向に向けて装着され、逆方向に向けて取り出される。従って、金庫20が装置本体内に装着された状態では扉22は金庫内部を向いている。
この金庫20は、金庫本体21の先端面の開口21aを開閉する為の扉21をヒンジ23によって開閉可能に枢支している。扉22には、錠24と、解錠防止機構25が設けられている。符号26aは、金銭取扱装置本体から投入された金銭を金庫内部に受入れるためのスリットであり、26bは金庫内部から払出す為のスリットである。鍵穴24aを有する錠24は、図示しないロック機構と連動しており、施錠することによりロック機構が作動して扉22を金庫本体21の開口に閉止状態でロックし、解錠することによりロック機構が解除状態となって扉22の開放を許容する。
【0006】
解錠防止機構25は、扉22の前面に設けられ錠24の鍵穴24aを開閉する為に矢印方向にスライド自在に支持されたスライド片30と、スライド片30をスライド自在に支持するために扉前面に固定されたスライドガイド31と、扉22の内部に回動自在に支持されて該スライド片30を閉止位置にロックしたり、開放位置に移動させる為の作動部材40とを備える。
スライド片30は、例えば細幅帯状の薄板の適所に貫通穴32を設けると共に、貫通穴32から所定距離ずれた位置において前後へ突出した状態で固定されたピン33a,33bとを有し、貫通穴32はスライド片30があるスライド位置にある時に鍵穴24a上に位置して鍵穴24aを露出させ得るようにその寸法、位置を設定する。また、スライド片の裏側から突出したピン33bは、扉22の適所に形成したスリット状の貫通長穴27内に嵌入する。
スライドガイド31は、その凹所31a内にスライド片30を嵌合してスライド方向へ進退可能に支持する部材であり、その上下両端の張り出し部を扉22の前面に固定される。スライドガイド31の前面には鍵穴24を露出させるための貫通穴35と、貫通長穴27と対応した長さ寸法、及び位置関係の貫通長穴36を有する。この貫通長穴36内には、スライド片30の前面から突設されたピン33aが嵌合している。
【0007】
作動部材40は、軸41を中心として回動可能に支持されており、図1(a) (b) の如く金庫が装置本体内において横置き状態にある時には図2(a) (b) (c) のように自重により軸41を中心として回転し、扉裏面に向けて係止部材42が移動する。この時、係止部材42はスライド片30の内側のピン33bの直右側位置にあるため、スライド片30は右方向へスライドすることが禁止される。逆に、図1(c) に示すように装置本体から取り出した金庫を扉22が上向きになるように縦置き状態にした場合には、図3(a) (b) (c) に示すように作動部材40は自重により軸41を中心として約90度回動して係止部材42がピン33bの移動経路から退避するため、ピン33bは長穴27内を自由にスライドすることができ、その結果スライド片30は貫通穴32が鍵穴24及び貫通穴35と連通する位置に移動することができる。この連通状態において初めて鍵穴24aが露出するので、鍵50を用いて解錠することができる。
即ち、作動部材40は、扉22の裏側に設けられた軸41により一端を枢支され他端から係止部材42を突設させた構成を有し、係止部材42は金庫が横置き状態にある時には係止部材42をピン33bの移動経路に突出させてスライド片30の開放方向への移動を阻止し、逆に金庫が縦置き状態にある時には係止部材42をピン33bの移動経路から退避させてスライド片の開放方向への移動を許容するように構成されている。長穴36から突出したピン33aは操作者が指で把持してスライド片30を開閉方向に操作するための操作ノブとなる。
【0008】
以下、本発明の操作を図面に基づいて詳細に説明する。
金庫を図示しない金銭取扱装置本体内の収容空所内に収容する際には、図1(a) (b) の如く横置きの水平姿勢にして矢印方向に装着する。この時、作動部材42は自重により軸41を中心として扉22の裏面に向けて回動しているので、係止部材42が図2(a) に示すピン33bの右側に位置し、スライド片30の右方向(開放方向)への移動を禁止する。この状態では、スライド片30は左寄り、即ち閉止位置にあるため、スライド片30の貫通穴32は、スライドガイド31の貫通穴35からずれた位置にあり、貫通穴35と鍵穴24aとの間にはスライド片30の板面が位置している為、鍵穴24aに錠50を差し込むことができない。また、鍵50以外の道具を用いて鍵穴24aを介して錠24を操作しようとしても、スライド片の板面が障害となって解錠することは不可能である。
このように装置本体内に横置き状態で装着された金庫の扉22を開放して内部の金銭を取り出す為に、錠24を解錠しようとしても、鍵穴24aに道具を差し入れることは不可能であり、その結果として不正行為を防止することができる。
【0009】
次に、鍵を保持した正規の作業者が、正規の手順を経て金銭取扱装置本体の収容空所内から金庫を取り出した後で、錠24を解錠して金庫内部の金銭を取り出したり、金庫内に金銭を補充する作業を行う場合には、まず図1(c) に示すように扉22を上向きにして金庫を縦置きにする。この際、図3(a) (b) 及び(c) に示すように作動部材42は自重により軸41を中心として回動し、係止部材42はピン33bの移動経路から退避する。このため、操作者はピン33aを把持してスライド片30を矢印アで示す開放方向へ移動させることが可能となる。ピン33aを、長穴36の端部に達するまで移動させると、スライド片30の貫通穴32はスライドガイドの貫通穴35及び鍵穴24aと連通する位置に移動するので、この時点で貫通穴35から鍵穴24aが露出した状態となり、鍵50を用いた解錠が可能となる。
このように本発明の金庫によれば、横置き状態で装置本体内に収納された時には、解錠防止機構の作動により鍵穴がスライド片により閉止されているので不正に解錠することが不可能であり、また正規の資格者が正規の手順で装置本体から金庫を取り出した場合には、扉を上向きにして金庫を縦置きするだけで、解錠防止機構が解除状態となり、簡単な操作によって鍵穴を露出させ、鍵を用いた解錠が可能となる。
【0010】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、金銭取扱装置本体内に横置きで収容された状態にある金庫に対して解錠による不正行為を行うことができない一方で、装置本体外に取り出した際には縦置きにすることにより容易に解錠することができる金庫の構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) 及び(b) は本発明の金庫の一形態例の斜視図、及びその分解斜視図、(c) は金庫を起立させた状態を示す斜視図。
【図2】 (a) (b) 及び(c) は解錠防止機構の解錠防止状態を示す正面図、A−A断面図及びB−B断面図。
【図3】 (a) (b) (c) は解錠防止機構の解錠状態を示す正面図、C−C断面図及びD−D断面図。
【図4】 (a) 及び(b) は従来例の説明図。
【符号の説明】
20 金庫、21 金庫本体、21a 開口,23 ヒンジ,24 錠,24a
鍵穴、25 解錠防止機構,26a,26b スリット、
30 スライド片、31 スライドガイド、32 貫通穴、33a,33b ピン、27 貫通長穴、35 貫通穴、36 貫通長穴、40 作動部材、
41 軸、42 係止部材。
Claims (1)
- 金銭取扱装置の装置本体内部に着脱されることにより、装置本体内に投入された金銭や、払出し用の金銭を収容する金庫であって、金庫の一面に設けた開口を開閉する扉と、該扉を閉止状態で施錠するために扉に設けた錠と、を備えたものにおいて、
上記扉には、扉前面に設けた錠の鍵穴を開閉する為のスライド片をスライド自在に支持すると共に、該スライド片を鍵穴を閉止する閉止位置にロックしたり、鍵穴を開放する開放位置に移動させる為の作動部材を備え、
上記装置本体内の収容空所内に、上記金庫を扉が横向きになる状態で収容した時に上記作動部材が上記スライド片を閉止位置にロックし、
上記収容空所から取り出した金庫を、扉を上向きにして縦置きしたときに、上記作動部材が上記スライド片のロックを解除して開放位置に移動可能にすることを特徴とする金庫の構造。
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