JP4149855B2 - 魚釣用スピニングリール - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はオシレート機構を装着した魚釣用スピニングリールの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般の魚釣用スピニングリールは、ロータに設けた一対の支持アームの先端に半環状のベールがベール支持部材を介して釣糸巻取り位置と釣糸放出位置とに反転自在に取り付けられており、ベールを釣糸放出位置へ倒して仕掛けを投擲すると、スプールに巻回された釣糸がスパイラル状に繰り出され、又、ベールを釣糸巻取り位置へ反転させてハンドル操作でロータを釣糸巻取り方向へ回転させると、ロータの回転に連動して前後方向へ往復動するスプールに釣糸が巻き取られるようになっています。
【0003】
ところで、ハンドル操作によるロータの回転に連動してスプールを前後方向へ往復動させる機構としては、図6に示すようなオシレート機構が知られています。
【0004】
この種のオシレート機構1は、一般に図6に示すようにハンドル軸3に取り付く歯車5に噛合するオシレートギヤ(連動歯車)7の一側面の周縁部に突起9を設けると共に、当該突起9が係合するオシレート溝11を設けたオシレートスライダー(摺動子)13をスプール軸15の後端側に固着したもので、図示するように、オシレート溝11は先端にスプール17が固着されているスプール軸15に直交して上下方向に設けられています。
【0005】
また、図中19は、ロータ21の後部に突設されたピニオンで、該ピニオン19には、スプール軸15がリール本体23の前後方向へ往復動可能に挿入されています。
【0006】
そして、該ピニオン19には、ハンドル軸3に固着したドライブギヤ25が噛合しており、釣糸の巻取時に、図示しないハンドルの操作で前記ドライブギヤ25,ピニオン19を介してロータ21を回転させると、上記オシレートギヤ7が共に回転して突起9が円軌道を描き、これに伴いオシレートスライダー13がオシレート溝11に沿ってスプール軸15を前後方向へ移動させて先端に固着されたスプール17を前後方向の往復動させるようになっています。
【0007】
しかし、このような構成のオシレート機構1では、突起9の円軌道運動をスプール軸15の前後方向への往復運動に変換する構造上、オシレートギヤ7の所定回転角度に対するオシレートスライダー13の前後方向への移動量がスプール軸15と直交する上下方向では最大になり、スプール軸15の前後方向両端部で最小になるため、スプール17の釣糸巻回面の前端部と後端部に釣糸が多く巻き取られ、逆にスプール17の往復動の略中間部で最速となるため、スプール17の中央部に巻き取られる釣糸の量が少なくなって糸巻面の形状が中央で凹み、両端部側で盛り上がってしまうことになります。
【0008】
そして、このスプール17の両端部側に盛り上がって巻き取られた釣糸が糸崩れを起こして釣糸放出時の抵抗となり、仕掛けの飛距離に悪影響を及ぼしてしまう虞があった。又、上記オシレート機構1に於て、オシレート幅を広げて糸巻容量を確保するには、オシレートギヤ7を大径化して突起9をその周縁部に設けると共に、オシレート溝11を上下方向へ長尺に成形しなければならないが、斯様にオシレートギヤ7を大径化するとリール本体23が大型化して、リール全体の重量が重くなってしまう不具合があります。
【0009】
そこで、上記スプール17への糸巻き状態の不具合を解決するため、米国特許第5350131号明細書及び大韓民国実用新案公告第92−8122号公報には、前記オシレート機構におけるオシレート溝11を図7aに示すように略逆S字状に成形することによってオシレートギヤ7の所定回転角度に対するオシレートスライダー13の前後方向への移動量をスプール軸15と直交する上下方向で減小させると共に、スプール軸15の前後方向両端部で拡大ことによってオシレートスライダー13の等速度運動を具現化することが提案されています。
【0010】
しかし、このオシレート溝11は、中央部及び上下端部をスプール軸15と直交する上下直線上に位置させた略逆S字状、換言すれば上端部と中央部との間を後方に歪曲し、下端部と中央部との間を前方に湾曲させることによって略逆S字状に形成したものであるため、当該オシレート機構にあっても、図7aに示す当たり図及び図7b及び図7cに示すグラフにて説明しますが、前記図6の従来例における見た目でのスプール17への糸巻面での凹みの問題は解消できますが、釣糸放出時の抵抗や仕掛けの飛距離の低下等の不具合は解消されていないのが実情です。
【0011】
即ち、図7aは、オシレートギヤ7が矢印X’方向に回転しての回転角30度毎の突起9とオシレート溝11との関係を示す当たり図であり、図7bは、オシレートギヤ7の回転角10度毎のオシレートスライダー13の摺動量を示すグラフであり、図7cは、図7bのグラフにおける往復の移動量を重ね合せた合成グラフであり、図7中、A′点がスプール軸15の摺動最後端であり、G′点がスプール軸15の摺動最前端を示しております。
【0012】
図7aの当たり図にて明らかなように、前述のような略逆S字状のオシレート溝11では、D′点からG′点に到る間とJ′点からA′点に到る間の90°の回転角では、スプール軸15は等速運動を行いますが、F′点からH′点に到る間とL′点からB′点に到る間に於けるスプールの往復動の切換時における突起9の回転角当たりのスプール軸15の摺動量が依然として他の区間に比べて少ないために、スプール17への糸巻面の前,後端部(図中、a′点,g′点)近傍で釣糸が多く巻かれてしまうことになります。
【0013】
また、A′点からC′点に到る間とG′点からI′点に到る間では、スプール軸15の移動量が徐々に加速されて、スプール17への糸巻面の中央部でスプール軸15の移動量が最大になるために、C′点からD′点に到る間とI′点からJ′点に到る間におけるスプール軸15の移動量は、最も大きくなって、スプール軸15の往復動に於ける最速点N′点、及びP′点が従来と同様に一致するので、スプール17への糸巻面の中央部に於ける糸巻量は従来と同様に減少することになります。
【0014】
従って、オシレートギヤ7回転角10度毎のオシレートスライダー13の摺動量を縦軸にオシレートギヤ7回転角を、横軸にオシレートスライダー13の摺動量をとって示す図7bにて明らかなように図6に示す従来例に比べての糸巻状態は、例えば、G’点からA’点へのオシレートギヤ7の180度回転によるスプール17の後退時におけるスプール軸15の摺動最前端のG’点から50度回転させたイ点(前記H’点とI’点間)では、スプール17の移動速度が速くて釣糸の巻回状況は荒いのに対し、A’点からG’点へのオシレートギヤ7の180度回転によるスプール17の前進時において前記スプール17の糸巻面上で前記イ点上にほぼ位置するスプール軸15の摺動最後端のA’点から110度回転させたロ点、(前記B’点とC’点間)では、スプール17の移動速度が遅くて釣糸の巻回状況は密となります。
【0015】
つまり、G’点からA’点へのオシレートギヤ7の180度回転によるスプール17の後退時における中間部の減少・増加分がA’点からG’点へのオシレートギヤ7の180度回転によるスプール17の前進時における中間部の増加・減少分によって相殺されて平坦状態に改善されたものの、この往復移動量を重畳した図7cに示すグラフにて明らかなようにスプール17の往復動時における中間部における糸巻量の相殺量が大きいためにスプール17の後退時における中間部の糸巻状態とスプール17の前進時における中間部の糸巻状態とが大きく相違してしまうので従来における釣糸放出時の抵抗による仕掛けの飛距離への悪影響の問題は残るものでした。
【0016】
また、このオシレート溝11は、スプール軸15と直交する上下直線上に上下端部が位置されているために、G’点の摺動最前端ではオシレートギヤ7の前上部にあるハンドル軸への衝突を回避せねばならないためにオシレートギヤ7とハンドル軸との間を離さなければならず、A’点の摺動最後端ではオシレートギヤ7の後下部のリール本体後部への衝突を回避せねばならないためにリール本体後部をオシレートギヤ7から離れるように突出させなければならないので、リール本体、しいてはリール全体の大型化、重量化を招くものでした。
【0017】
また、上記スプール17への糸巻き状態の不具合を解決する他の手段として特許第3292366号公報には、オシレート溝11を図8aに示すようにスプール軸15の前後方向へ傾斜する傾斜部を設け、この傾斜部の両端側からスプール軸15と略直交する上下方向へストレート部を延設した形状に形成することが提案されています。
【0018】
しかし、このオシレート溝11は、両端部が中央の傾斜部両端側からスプール軸15と直交する上下方向に直線的に形成したものであるため、当該オシレート機構にあっても、図8b及び図8cに示すグラフにて説明しますが、前記図6の従来例における糸巻面中央部での凹みは解消できて図7の従来例と同様に平坦な糸巻状態を具現化することができますが、この往復移動量を重畳した図8cに示すグラフにて明らかなようにスプール17の往復動時における糸巻面中央部と前・後端部との間において糸巻量の相殺が生じるためにスプール17の後退時と前進時における糸巻面中央部と前・後端部との間で糸巻状態が幅広く相違することになるので、従来における釣糸放出時の抵抗による仕掛けの飛距離への悪影響の問題は残るものでした。
【0019】
即ち、図8bは、図8aにおけるオシレートギヤ7が矢印X方向に回転しての回転角10度毎のオシレートスライダー13の摺動量を前述の図7bと同様にしてを示すグラフであり、図8cは、図8bのグラフにおける往復の移動量を重ね合せた合成グラフであり、図8中、A′点がスプール軸15の摺動最後端であり、G′点がスプール軸15の摺動最前端を示しております。
【0020】
このオシレート溝11では、図8cにて明らかなように、傾斜部両端側からスプール軸15と直交する上下方向に形成した直線状のストレート部において図7のものよりは小さいとはいえ往復動の長い範囲において糸巻量の相殺範囲が生じます。
【0021】
また、オシレート溝11は、中央に傾斜部を備えているために前述の従来のものに比べればオシレートギヤ7に対してハンドル軸やリール本体後部を近接して設けることができますが、中央の傾斜部両端側からスプール軸15と直交する上下方向に直線状のストレート部が形成されているためにオシレートギヤ7へのハンドル軸やリール本体後部の近接、つまり、リール本体の小型・軽量化に限界があるものでした。
【0022】
また、特開平7−313025号公報及び特許第3073138号公報には、オシレートギヤ7を大径化すること無しにオシレートスライダー13の摺動量を大きくしてスプール17への糸巻容量を確保するため、図9に示すようにオシレート溝11をスプール軸15の前後方向に傾斜させて形成することが提案されています。
【0023】
そして、図示のようにオシレート溝11を後方が上に来るように前後方向に傾斜させて形成するとオシレートギヤ7にハンドル軸やリール本体後部を近接させて設けることができるので、リール本体の小型・軽量化が可能になります。
【0024】
しかし、このようにオシレート溝11を後方が上に来るように前後方向に傾斜させて直線的に設けたのみでは、前述の従来例の説明にて明らかなようにオシレートスライダー13の等速運動が不可能なために糸巻面の前・後端部での膨らみ、中央部での凹みといった不具合が依然として残り、糸巻状態の改善は何ら図られていません。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、オシレート溝の形状に改良を施すことにより、スプールへの釣糸の糸巻状態を改善して釣糸放出性の向上を図ると共に、リール本体の小型・軽量化を維持しつつオシレート幅を広げて糸巻容量の増加を図った魚釣用スピニングリールを提供することを目的とします。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る魚釣用スピニングリールは、斯かる目的を達成するため、
ハンドルの回転に連動回転するオシレートギヤの一側面の周縁部に突起を形成すると共に、当該突起を、先端にスプールを有するスプール軸の後端側に取り付けられたオシレートスライダーのオシレート溝に係合させて、ハンドルの回転をスプールの前後方向への往復動に変換させるオシレート機構を備えた魚釣用スピニングリールにおいて、上記オシレート溝をスプール軸に対して後方が上に来るように前後方向に傾斜させて設けると共に、該オシレート溝の上端近傍は前方に歪曲するように形成し、下端近傍は後方に歪曲形成し、前記上端近傍部と中央部との間は後方に歪曲し、前記下端近傍部と中央部との間は前方に歪曲するように形成したものです。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を示す図1乃至図5に基づき詳細に説明しますと、図1は、本発明の一実施形態に係る要部切り欠き側面図、図2は、図1のA−A断面図、図3は、図1のB−B断面図、図4は、要部拡大側面図をそれぞれ示し、図5a乃至cは、オシレートギヤの回転角に対するオシレートスライダーの摺動量の関係説明図及びグラフを示します。なお、本発明の一実施形態に係る説明にあたっては、図6乃至図9に示す従来例と同様の部材については同一符号を付してそれらの説明は省略します。
【0028】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールは、図1乃至図3に示すように、ロータ21に設けた一対の支持アーム57の先端に半環状のベール61がベール支持部材59を介して釣糸巻取り位置と釣糸放出位置とに反転自在に取り付けられており、ベール61を釣糸放出位置へ倒して仕掛けを投擲すると、スプール17に巻回された釣糸がスパイラル状に繰り出され、又、ベール61を釣糸巻取り位置へ反転させてハンドル49操作でロータ21を釣糸巻取り方向へ回転させると、ロータ21の回転に連動して前後方向へ往復動するスプール17に釣糸が巻き取られるようになっています。
【0029】
スプール17を前後方向へ往復動するオシレート機構1は、従来と同様にスプール軸15の後端に固着されたオシレートスライダー13に形成したオシレート溝11にオシレートギヤ7の一側面の周縁部に設けた突起9が係合してオシレート機構1が構成されています。
【0030】
従って、従来例と同様に釣糸の巻取時にリール本体23に装着したハンドル49(図2及び図3参照)の操作でロータ21を回転させると、オシレートギヤ7が矢印X方向へ回転して突起9が円軌道を描き、これに伴いオシレートスライダー13がオシレート溝11に沿ってスプール軸15を前後方向へ移動させてスプール17を同方向へ往復動させるように構成されています。
【0031】
本実施形態におけるオシレート溝11は、図4にて拡大して示すように
スプール軸15に対して後方が上に来るように前後方向に傾斜させて設けると共に、該オシレート溝11の上端近傍11aは前方に歪曲するように形成し、下端近傍11a’は後方に歪曲形成し、前記上端近傍部11aと中央部Oとの間11bは後方に歪曲し、前記下端近傍部11a’と中央部Oとの間11b’は前方に歪曲するように形成し、オシレート溝11は、傾斜直線11cに対して蛇行するように設けられています。
【0032】
本実施形態におけるオシレート溝11の歪曲形状を図4にて具体的に説明しますと、前述のようにスプール軸15に対して後方が上に来るように前後方向に傾斜させて形成されたオシレート溝11を長さ方向にほぼ4等分し、図中に実線で示す中心直線を基準にして両端近傍部領域11a、11a’を一点鎖線にて示すように上端近傍11aは前方に、下端近傍11a’は後方にそれぞれ歪曲するように形成し、前記両端近傍部領域11a、11a’と中央部0との間の領域11b、11b’を上端近傍部11aとの間11bは後方に、下端近傍部11a’との間11b’は前方にそれぞれ歪曲するように形成して蛇行させています。
【0033】
次に、図5にてハンドル49の操作で回転するオシレートギヤ7の回転角に於ける突起9とこれが係合するオシレート溝11にて移動されるオシレートスライダー13の移動量について前述と同様にして説明しますと、図5aに示すスプール軸15の摺動最前端G’点にある突起9が、ハンドル49の操作にて糸巻時の回転方向Xに回転されますと、突起9がスプール軸15の軸芯から上方に離れる方向に移動し、回転角あたりのオシレートスライダー13の移動方向への移動量は漸次増大しますが、突起9は、オシレート溝11の上端近傍部領域11aの前方に歪曲させた前側摺動面にて案内されるために突起9がスプール軸15から最も遠のくI’点までは漸次減速されて、オシレートスライダー13はほぼ等速にて移動します。
【0034】
突起9が、I’点からスプール軸15に平行なL’点まで更に回転されますと、突起9がスプール軸15の軸芯に近づく方向に移動し、回転角あたりのオシレートスライダー13の移動方向への移動量は漸次減少しますが、突起9は、オシレート溝11の上端近傍部領域11aと中央部Oとの間の領域11bの後方に歪曲させた後側摺動面にて案内されるために漸次増速されて、オシレートスライダー13はほぼ等速にて移動します。
【0035】
突起9が、L’点からスプール軸15の摺動最後端A’点まで更に回転されますと、突起9がスプール軸15の軸芯から下方に離れる方向に移動し、回転角あたりのオシレートスライダー13の移動方向への移動量は最小の状況にありますが、突起9は、オシレート溝11の下端近傍部領域11a’と中央部Oとの間の領域11b’の前側に歪曲させた後側摺動面にて案内されるために増速されて、オシレートスライダー13はほぼ等速にて移動します。
【0036】
突起9が、摺動最後端A’点からスプール軸15の軸芯から下方に最も離れるC’点まで更に回転されますと、突起9がスプール軸15の軸芯から下方に離れる方向に移動し、回転角あたりのオシレートスライダー13の移動方向への移動量は漸次増速しますが、突起9は、オシレート溝11の下端近傍部領域11a’の後側に歪曲させた後側摺動面にて案内されるために漸次減速されて、オシレートスライダー13はほぼ等速にて移動します。
【0037】
突起9が、C’点からスプール軸15に平行なF’点まで更に回転されますと、突起9がスプール軸15の軸芯に近づく方向に移動し、回転角あたりのオシレートスライダー13の移動方向への移動量は漸次減少しますが、突起9は、オシレート溝11の下端近傍部領域11a’と中央部Oとの間の領域11b’の前側に歪曲させた前側摺動面にて案内されるために漸次増速されて、オシレートスライダー13はほぼ等速にて移動します。
【0038】
突起9が、F’点からスプール軸15の摺動最前端G’点まで更に回転されますと、突起9がスプール軸15の軸芯から上方に離れる方向に移動し、回転角あたりのオシレートスライダー13の移動方向への移動量は最小の状況にありますが、突起9は、オシレート溝11の上端近傍部領域11aと中央部Oとの間の領域11bの後側に歪曲させた前側摺動面にて案内されるために増速されて、オシレートスライダー13はほぼ等速にて移動します。
【0039】
以上のように、オシレートギヤ7の360度回転に伴うオシレ−トスライダー13の往復移動量をオシレートギヤ7の回転角10度毎に確認しますと、図5b及び図5cにて明らかなように本実施形態に係るオシレート機構1は、スプール17の糸巻面中央部で若干の増減速差は生じるものの従来のオシレート機構と比べれば各段にスプール17の等速運動を可能にしていますので、スプール17に釣糸をほぼ均一な糸巻面にてほぼ同一なピッチにて巻き取ることができ、釣糸放出時の抵抗を低減させ、仕掛けの飛距離を各段に向上することができます。
【0040】
また、本実施形態に係る魚釣用スピニングリールは、オシレートスライダー13に設けるオシレート溝11をスプール軸15に対して後方が上に来るように前後方向に傾斜させて設けると共に、該オシレート溝11の両端近傍11a,11a’をハンドル軸3及びリール本体23の後部から離れる方向に歪曲するように形成しておりますので、オシレートスライダー13の両端部をオシレート溝11の両端を歪曲させただけ除肉することができ、除肉しただけオシレートスライダー13をハンドル軸3に近接可能とし、リール本体後部をオシレートスライダー13に近づけて形成するようにしてもオシレートスライダー13が衝突せず、しいては、オシレートギヤ7とハンドル軸3及びリール本体後部との近接設計を可能として、リール本体の小型・軽量化をすることができます。
【0041】
また、本実施形態に係る魚釣用スピニングリールは、オシレートスライダー13に設けるオシレート溝11をスプール軸15に対して後方が上に来るように前後方向に傾斜させて設けておりますので、オシレートギヤ7を大径化すること無しにオシレートスライダー13の移動量を広げることができるので、同一糸巻容量の魚釣用スピニングリールを設計するのであれば、この点からリール本体23の小型・軽量化を図ることができ、逆に、同一径のオシレートギヤ7やリール本体23を使用するのであれば、大型化すること無しに糸巻容量の増大を図ることができます。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、オシレート溝の形状に改良を施すことにより、スプールへの釣糸の糸巻状態を改善して釣糸放出性の向上を図ると共に、リール本体の小型・軽量化を図ることができ、また、リール本体の小型・軽量化を維持しつつオシレート幅を広げて糸巻容量の増加を図った魚釣用スピニングリールを提供することができます。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る要部切り欠き側面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】本発明の一実施形態に係る要部拡大側面図。
【図5】本発明の一実施形態に係るオシレートギヤの回転角に対するオシレートスライダーの摺動量の関係説明図及びグラフ。
【図6】従来のオシレート機構の要部切り欠き側面図。
【図7】従来のオシレート機構のオシレートギヤの回転角に対するオシレートスライダーの摺動量の関係説明図及びグラフ。
【図8】従来のオシレート機構のオシレートギヤの回転角に対するオシレートスライダーの摺動量の関係説明図及びグラフ。
【図9】従来のオシレート機構の要部切り欠き側面図。
【符号の説明】
1・・・オシレート機構
3・・・ハンドル軸
5・・・歯車
7・・・オシレートギヤ
9・・・突起
11・・・オシレート溝
13・・・オシレートスライダー
17・・・スプール
21・・・ロータ
23・・・リール本体
25・・・ドライブギヤ
49・・・ハンドル
Claims (1)
- ハンドルの回転に連動回転するオシレートギヤの一側面の周縁部に突起を形成すると共に、当該突起を、先端にスプールを有するスプール軸の後端側に取り付けられたオシレートスライダーのオシレート溝に係合させて、ハンドルの回転をスプールの前後方向への往復動に変換させるオシレート機構を備えた魚釣用スピニングリールにおいて、上記オシレート溝をスプール軸に対して後方が上に来るように前後方向に傾斜させて設けると共に、該オシレート溝の上端近傍は前方に歪曲するように形成し、下端近傍は後方に歪曲形成し、前記上端近傍部と中央部との間は後方に歪曲し、前記下端近傍部と中央部との間は前方に歪曲するように形成したことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
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