JP4149127B2 - 光記録媒体とそのトラッキング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、近接場光を用いた光記録媒体及びそのトラッキング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDやDVDに代表される光記録媒体は、大容量で小型化にする高密度化の方向に発展しつつある。この高密度化には、記録ビットの微小化が必要であり、入射する光の短波長化及びレンズの高NA化が計られている。しかし、このままでは光の回折限界により、記録に関しては記録ビットを微小化することはできない。また、再生に関しては、微小化した記録ビットをクロストークなしで読むことができなくなる。
【0003】
このような光の回折限界を越える微小ビットの解決策の一つとして近接場光を用いる光方式がある。この近接場とは、屈折率の異なる二つの媒質において、その媒質の一方の全反射領域から入射した光は境界面ですべて反射される。しかし、その際、一部境界面を越え非伝播の電磁場のみが染み出した領域も形成されている。この非伝播の電磁場が染み出した領域のことを近接場という。
【0004】
このような領域は、近接場光顕微鏡で用いられている光ファイバープローブでも形成することが可能である。この光ファイバープローブは、その導入される光の波長よりも微小な開口を有し、この開口近傍に発生する。この微小開口による近接場は、開口寸法とほぼ同じ位しか横方向の広がりを持たないといわれている。そのため、開口寸法を小さくすることにより、光の回折限界を超える微小ビットの形成が可能となる。しかし、その一方で、その光強度は、開口から離れるに従って指数関数的に強度が減少し、開口と同程度しか染み出さないともいわれている。そのため、この光プローブを光記録媒体表面に制御よく近接させておかなければならない。
【0005】
また、上記のように記録ビットが微小化されるに従って、光プローブの光記録媒体に対する位置制御(トラッキング)も重量な問題となる。現在、CDやDVDなどに用いられている一般的なトラッキング方法としては、ビーム法、プッシュ−プル法等、様々なトラッキング方式がある。
【0006】
このビーム法によるトラッキング方法を図4(a)〜(c)を用いて簡単に説明する。トラッキング方向に沿って中央に主ビームスポット11(13)とこのビームスポットを中心に両サイドに二つの副ビームスポット12a、12b(14a、14b)を配置する(この三つのビームスポットは、レーザ光が回折格子を通ることによる回折光として形成される)。図4(a)にあるように、主ビームスポット11が、トラック10の真上にあるとき、二つの副ビームスポット12a、12bは、僅かにトラックにかかっている程度である。この副ビームスポット12a、12bのトラックにかかっていない部分は、光記録媒体の反射層により反射され、光検出器で検知される。この検知される信号15a、15bを図4(c)に示したような回路に入れると、この回路からの出力信号16はゼロになる。
【0007】
また、図4(b)に示すように、主ビームスポット13がトラックの中心から少しずれると、図4(c)の回路からの出力16は、マイナスもしくはプラスの誤差信号16が出力される。つまり、この誤差信号16は、トラックのどちらにずれているのかと、そのずれ量の情報を与えることになる。この誤差信号を絶えずゼロになるように、主ビームスポットの位置を制御することにより、トラッキングがなされている。
【0008】
また、図5(a)〜(c)を用いて、プッシュ−プル法によるトラッキング方法を簡単に説明する。光記録媒体に作られたビット(またはランドもしくはグルーブ)に対して入射ビーム17の位置が、図5(a)に示しているように一致している場合、その反射回折光18は、左右の強度分布が等しい。しかし、図5(b)に示しているようにビットに対して入射ビームが少しずれた場合、その反射回折光18は、左右の強度分布が異なる。この反射回折光を図5(c)に示すような二分割フォトディテクター19で検知し、それぞれの信号を比較器回路に入力する。この回路からのトラッキング誤差信号出力20は、前者の入射ビームとビットの位置が一致した場合ゼロに、後者の少しずれた場合プラスもしくはマイナスの誤差信号が出力される。この誤差信号を絶えずゼロになるように、入射ビームの位置を制御することでトラッキングがなされる。
【0009】
この近接場光を用いた光記録に関しては、上記したトラッキング方法をそのまま用いることができない。この説明を図6に示す光ピックアップ部の光路図を用いて示す。上記の二つのトラッキング方法とも基本となる光路は同じである。半導体レーザ21から直線偏光を持った光が出射される。この広がりを持つ光は、カップリングレンズ22で平行光に成形され、ビームスプリッター23に入射し、さらに、λ/4板24に入射される。この際、λ/4板24により円偏光化した光は、対物レンズ25により集光され、光記録媒体26に入射する。この入射光は、光記録媒体内部に成膜されている反射層膜及び記録層により、光強度変化し反射される。この入射光は、入射光と同じ経路を逆に辿り、対物レンズ25、λ/4板24、ビームスプリッター23に入射する。この際、λ/4板24により、円偏光であった反射光は、入射光と垂直な直線偏光になり、ビームスプリッター23により、垂直方向に反射される。さらに、集光レンズ27により絞られた反射光は、光検出器28で検知される。
【0010】
上記のようにCDやDVDでは、偏光特性を利用し、同じ光路を通る半導体レーザからの出射光と光記録媒体からの反射光を分離することができる。しかし、前記のビーム法では、光プローブを用いた場合、光がファイバー内のコアとクラッドの境界で全反射を繰り返しながらフォトディテクターに向かって伝播していくため、回折した三つのビームをファイバーに同時にパターンを保ったまま、プローブ先端から、出射することは不可能である。また、同様な理由で光記録媒体からの反射光をブローブ内に入射することも不可能である。つまり、入射光と反射光を同じ光路(ファイバー内)を通し、分離することはできない。また、さらに、三つのビームスポットに対応するように三つの光プローブを配置する場合、この三つの光プローブをトラック方向だけでなく、高さ方向にも制御するのは非常に難しい問題が残る。一方、前記後者のプッシュ−プル方式では、左右の反射光強度を保ったまま、ファイバー内を伝播させることは不可能である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、近接場光を用いた光記録に関しては、現在、従来にないトラッキング方法を開発検討することが必要とされている。
特開平7−98885号公報には、先端角が異なる複数の近接場プローブを用いて(図中には二つの近接場プローブで例を示している)、各近接場プローブに見合った分解能のビット列を読むことで、トラッキングすることが提案されている。また、前者の原理を少し応用し、トラッキング専用のビット列と近接場プローブを使用するということも記載されている。しかしながら、この方式では、複数の近接場プローブのうちの高分解能のもので形成することのできる記録ビットもしくは再生できる記録ビットに関しては問題無いものの、他の近接場プローブは、前記のビットより大きな寸法にしなければない。つまり、近接場光を用いる最大のメリットである高密度化にデメリットを持つことになる。また、光記録媒体の最大の特徴であるリムーバブルを想定した場合、複数の近接場プローブの先端形状を精度よく合わせ込まなければならない等の問題が発生する。
【0012】
また、特開平8−321084号公報には、複数の記録用または再生用の近接場プローブに隣接してトラッキング専用の近接場プローブを取り付け、このトラッキング専用のプローブで検知されるトラッキング信号を用い、複数の記録または再生の近接場プローブのトラック幅方向の位置制御を行うことが提案されている。また、このトラッキング信号を発生させるためにトラッキングサーボ用のグルーブを光記録媒体の表面に形成している。しかしながら、この方式では、光記録媒体表面に形成されているランド/グルーブのいずれか一方のみの記録となるため(この発明ではランドのみの記録)、高密度化にデメリットを持つ。また、この高密度化するためのもう一つのデメリットとして、複数の近接場プローブを用いる場合、隣接する近接場プローブの間は記録できないという問題がある。さらに、この近接場記録のトラッキングの問題としては、記録ビットを形成するランド部の寸法を精度よく仕上げなければトラッキングできない。つまり、複数の近接場プローブの両サイドに取り付けられた2個のトラッキング用の近接場プローブが、記録もしくは再生するランド部の両サイド(両端)に対応するように配置しなければならない。このため、少しでもランド部の大きさが異なると全くトラッキングできないという問題がある。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、近接場光を用いた光記録媒体の高密度化を図ると共にトラッキングを精度よく行うことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は近接場を用いた光記録とトラッキングの問題に関して検討し、従来とは全く異なる光記録媒体の構造を用いることにより問題点を解決できること、すなわち、高密度化の問題に対しては上記従来のようなランド/グルーブのような凹凸を作らず、光記録媒体表面は平坦化され、面密度を高め、また、一つの光プローブで記録再生を行うことができるようにした。また、トラッキングの問題に対しては回折格子構造を光記録媒体内部に作り込み、光記録媒体表面から入射される近接場光を回折させ、この回折光を用いてトラッキングを行うことにより問題点を解決できることを知り、本発明に至った。すなわち、本発明によれば、第一に、光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体表面に近接させて記録もしくは再生を行う光記録方式に使用される光記録媒体おいて、平坦な表面を有する基板の上部に回折格子状の構造を形成し、該回折格子状構造の上に層間膜層と該層間膜層上に記録層が積層成膜されていることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0015】
第二に、上記第一に記載した光記録媒体において、基板上部の回折格子状の構造が基板の凹凸により形成されていることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0016】
第三に、上記第一に記載した光記録媒体において、基板上部の回折格子状の構造が金属膜により形成されていることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0017】
第四に、上記第一〜第三のいずれかに記載した光記録媒体において、層間膜層が高屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0018】
第五に、上記第一〜第四のいずれかに記載した光記録媒体において、基板上部の回折格子状構造の上に積層成膜されている各記録層と各層間膜層の膜厚及び屈折率を、それぞれd1,d2,d3,.....dV及びn1,n2,n3,.....nVとし、記録及び再生に用いられる光の波長をλとするとき、次式の関係が成立することを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0019】
【数2】
【0020】
第六に、上記第一〜第五のいずれかに記載した光記録媒体のトラッキング方法であって、光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体表面に近接させて光記録媒体内部に入射される光を光記録媒体の基板上部に形成されている回折格子状構造により回折させ、発生した高次の回折光を用いて光プローブもしくは固浸レンズから出る光スポットの位置制御を行うことを特徴とする光記録媒体のトラッキング方法が提供される。
【0021】
第七に、上記第六に記載した光記録媒体のトラッキング方法において、光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体に近接させる面と異なる面から高次の回折光を検知することを特徴とする光記録媒体のトラッキング方法が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
上述のように本発明は、光プローブもしくは固浸レンズ等を光記録媒体表面に近接させて記録もしくは再生を行う光記録方式に使用される光記録媒体及びその記録媒体を用いたトラッキング方法に関し、光記録媒体が光記録媒体の内部、すなわち基板表面を回折格子構造に形成したものである。そのため、光記録媒体表面から入射される光は、この回折格子構造により、0,±1,±2,....と回折光が発生し、この回折光によりトラッキングを行うことを特徴としている。
【0023】
以下に本発明の光記録媒体の形成方法の一例を説明する。
図3の断面図に示すような、表面が平坦化された円形のポリカーボネート基板1を金型成形法等により形成する。基板材質としてポリカーボネートを例に挙げたが、平坦度がさらに高いガラス等の基板でもよい(図3(a))。このポリカーボネート基板1に、半導体製造方法に使われている写真製版法により、螺旋状もしくは同心円状に凹凸のパターン0を形成する(図3(b))。次に、形成されたパターン0の上に、UV硬化樹脂2をスピンコートの後、紫外線照射により表面が平坦な膜(層間膜層)を形成する(図3(c))。次に、この成膜されたUV硬化樹脂膜の上に記録層をスパッタ等により均一に成膜する(図3(d))。
【0024】
光記録媒体の基板の凹凸により回折格子を形成するには、CDやDVD等で行われているスタンパー技術で形成することができる。また、光記録媒体基板上に金属膜により回折格子を形成する場合、ガラス基板上に上記と同じ方法によりレジストをパターニングする。このパターン上から、金属をスパッタ等を用いて成膜する。さらに、この基板に作られたレジストパターンをアセトン等の有機溶媒により取り除く、いわゆるリフトオフ法により金属膜による回折格子が形成される。
【0025】
上記回折格子上に設ける層間膜の成膜は、ガラス基板上に金属膜の回折格子が形成されている光記録媒体の基板においては、ZnS/SiO2(n=2.2)を成膜する。化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing;以下CMP法)により、表面を研磨・平坦化する。
【0026】
次に、上記した本発明の光記録媒体を用いてトラッキングする方法を、相変化型光記録材料を用いた光記録の例により、図1を用いて説明する。
シアフォースもしくは光てこ方式等により、光記録媒体表面と近接場プローブ4の間隔が制御されている。この光プローブ4は、先端部に導入される光の波長よりも小さな開口を有している。この例では光ファイバープローブを加工した近接場プローブを用いているが、平面型の近接場プローブでも問題はない。また、上記の近接場プローブと同様な形状及び作用効果を有する光プローブと総称されているものでも良い。さらに、固浸レンズ(Solid Immersion Lens)による光記録の場合、光プローブを固浸レンズに置き換えるだけで以下の例を実施することができる。
【0027】
近接場プローブ4先端からは、近接場光5が染み出し、上記したような本発明の表面記録型光記録媒体の記録層3を照射している。この際、この記録媒体に記録ビットを形成するには、この近接場プローブに導入される光量を調整することにより行われる。つまり、アモルファス相にするのであれば、近接場プローブから出射される光により、記録層を融解温度になるように、高パワーの光を近接場プローブ4に光を導入し急冷する。また、上記と同様に、クリスタル相にするのであれば、結晶化温度以上にし、徐冷することにより、相変化型光記録媒体の相を変化させることができる。また、この記録媒体に記録されているビットを再生するには、記録層が結晶化温度以下(記録時に用いた光パワーの1/10程度)の低パワーで記録された相状態の透過率もしくは反射率の違いを用いて0と1のデジタル情報を再生する。
【0028】
記録ビット再生時のトラッキングを以下に示す。なお、記録ビット記録時のトラッキングに関しては、上記の通り導入する光パワーが強いだけで、再生時と同じことである。
この近接場プローブ4で照射された光記録媒体表面の微小な記録層領域は、その相(アモルファス相もしくはクリスタル相)の透過率を反映し、伝播光成分となって透過していく。図8に相変化型光記録媒体の二つの相の違いによる透過光強度の違いを示す。用いた試料は、AgInSbTe4元系相変化材料が使われている。この相変化型光記録媒体には、様々なビット長を有するパターンが記録されている。図8中に示されている透過型光強度信号は、横軸にトラック方向の距離を、縦軸には横軸に対応した透過光強度を示している。なお、透過光強度の大きいものはアモルファス相を示している。
【0029】
この近接場光は、記録層3、高屈折率の層間膜層2及び基板部1の表面に形成された回折格子構造を透過していく。この際、回折格子構造0により、透過光は、0,±1,±2...次の回折光となり、基板1裏面から出射していく。しかし、前記したように近接場光は、その近接場プローブ先端の開口寸法と同程度にしか染み出さないことが知られている。つまり、近接場として扱うことのできる近接場プローブの最大開口寸法は、波長程度であるため、波長程度近接場として光記録媒体内部に染み込むことができる。この近接場状態では、通常の伝播光として扱うことができないので、記録媒体内部の回折格子で回折できなくなる。そのため、近接場光を回折格子で回折させるためには、回折格子に入射する時点で、近接場光を伝播光成分に変身させる必要がある。この条件を満たすには以下の関係式が成り立つように、記録層及び層間膜層を成膜する必要がある。
回折格子構造の上部に成膜されている各記録層及び層間膜層の膜厚及び屈折率を、それぞれd1,d2,d3,.....dV及びn1,n2,n3,.....nVとし、記録及び再生に用いられる光の波長をλとするとき、次式のような関係としなければならない。
【0030】
【数3】
また、金属膜で回折格子0aを形成することで(図2参照)、上記の回折格子と同じ役割を果たす以外に、相変化型光記録媒体の場合、冷却層としての役割も兼ね備えることができる。また、特に相変化材料を用いた光記録媒体に限らず、光磁気材料のファラデー効果やカー効果を用いた光磁気型光記録媒体に適用しても同様な効果を得ることができる。
【0031】
上記したように本発明の構造の光記録媒体を用いることにより光記録媒体表面上に光プローブもしくは固浸レンズを近接させて記録もしくは再生を行う光記録において、効果的に回折光を発生させることができる。この回折光は本発明のトラッキング方法に効果的に用いられる。
【0032】
次に本発明のトラッキング方法の例を示す。
本実施例では、上記のような光記録媒体の回折格子により発生する0時回折光6、±1次回折光を7と表している。この0次及び±1次の透過回折光は、本発明のトラッキング方法により、それぞれ光検出器8及び9a、9bで検知される。この光検出器8で検知された光の光量は、記録ビットの情報となる。また、光検出器9a、9bで検知された光量は、図4(c)で示したのと同様の回路に入力され、出力信号16をゼロになるようにフィードバックをかける。この操作を行うことにより、絶えず、近接場プローブ位置をランドもしくはグルーブのトラック幅中心に制御(トラッキング)することができる。しかし、透過光の回折光を用いる以外にも、図7に示すように反射層30を1層成膜することにより、その入射面側にも回折光29は形成される。しかし、この場合、0次の回折光は、反射層により反射され近接場プローブで検知できるが、高次の回折光は、反射層に反射され、隣のトラックを通り入射面側から出てくる。この時、両隣のビット情報が同じであれば、トラッキング可能であるが、両隣の記録されたビットが異なるものであれば、記録されたトラックの真上に近接場プローブが来ていても、+1次の反射回折光と−1次の反射回折光の強度が異なり、トラッキングすることができない。
なお、トラッキングが取れない場合、すなわち、凹凸構造の中心に光プローブが無い場合は、高次の回折光が非対象になるため、光検出器で差分信号を取った際、±0にならない。
【0033】
このように、上記本発明による回折格子構造を有し、上記本発明による回折格子により発生する透過回折光を、検知することで効果的にトラッキングを行うことができる。
【0034】
また、上記では主に相変化型記録材料を用いた光記録媒体について述べたが、特にこれに限ることはなく、Te系記録材料やTe−C系記録材料、Te−Se−Pb系記録材料を用いた追記型記録材料、シアニン色素やナフトキノン系色素やフタロシアニン系色素を用いた有機系記録材料、ポリマ−マトリックス/金属微粒子系記録材料、バブル型記録材料、モスアイ型記録材料のような表面の凹凸の変化により記録する記録材料などの各種記録材料を用いた光記録材料にも適用できる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明は、光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体表面に近接させて記録もしくは再生を行う光記録方式に使用される光記録媒体おいて、平坦な表面を有する基板の上部に回折格子状の構造を形成し、該回折格子状構造の上に層間膜層と該層間膜層上に記録層が積層成膜されていることから、記録層表面から入射された近接場光を効果的に回折することができ、また、発生する高次の回折光はトラッキングに効果的に用いることができる、さらに、平坦な記録層表面を有することから記録層表面全面に記録することができるため高密度化に優れている。
【0036】
請求項2の発明は、上記第光記録媒体において、基板上部の回折格子状の構造が基板の凹凸により形成されていることから、すなわち基板に回折格子状の凹凸を形成することから、上述した回折光を効果的に発生させるだけでなく、通常使用されているCDやDVDのスタンパー技術が使え、安価でスループットも高い。
【0037】
請求項3の発明は、上記光記録媒体において、基板上部の回折格子状の構造が金属膜により形成されていることから、上述した回折光を効果的に発生させるだけでなく、特に相変化型光記録媒体では、急冷のための冷却層としての効果も果たすことができる。
【0038】
請求項4の発明は、上記光記録媒体の層間膜層が高屈折率を有する材料で形成されていることから、すなわち記録層と回折格子との間に成膜されている層間膜層を高屈折率にすることにより、近接場光の伝播光としての実効的な波長を短くすることができる。この短波長化された光により回折格子間隔を縮小することができ、高密度化に効果を奏す。仮に回折格子間隔だけを入射する実効的な波長よりも縮小すると、回折限界により回折格子近傍で入射する光は、近接場光に変身し、±1次以降の高次の回折光が伝播して行かなくなる。
【0039】
請求項5の発明は、上記光記録媒体において、基板上部の回折格子状構造の上に積層成膜されている各記録層と各層間膜層の膜厚及び屈折率と記録及び再生に用いる光の波長λを上記条件にすることから、記録層表面から照射させられた近接場光を回折格子により効果的に回折させることができる。
【0040】
請求項6の発明は、上記光記録媒体のトラッキング方法であって、光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体表面に近接させて光記録媒体内部に入射される光を光記録媒体の基板上部に形成されている回折格子状構造により回折させ、この高次の回折光を用いて光プローブもしくは固浸レンズから出る光スポットの位置制御を行うことから、効果的にトラッキングすることができる。
【0041】
請求項7の発明は、上記請求項6記載のトラッキング方法において、光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体に近接させる面と異なる面から回折光を検知することから、上記回折光を検知するために、隣のトラックの影響を受けずに検知することでき、効果的にトラッキングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体を用いたトラッキング方法の説明図。
【図2】本発明の別の光記録媒体を用いたトラッキング方法の説明図。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の光記録媒体の形成プロセスの一例を示す断面図。
【図4】(a)〜(c)は、従来のビーム法の説明図。
【図5】(a)〜(c)は、従来のプッシュ−プル法の説明図。
【図6】光ピックアップ部の光路の説明図。
【図7】本発明の光記録媒体に反射層を形成した際の反射回折光の様子を示す図。
【図8】相変化型光記録媒体の二つの相の違いによる透過光強度の違いを示すグラフ。
【符号の説明】
0 旋状もしくは同心円状の凹凸のパターン
0a 金属膜による旋状もしくは同心円状の凹凸のパターン
1 光記録媒体基板
2 層間膜層
3 記録膜層
4 光プローブ
5 近接場光
6 0次回折光
7 ±1次回折光
8 光検出器
9a,9b 光検出器
10 トラック
11 主ビームスポット
12a,12b 副ビームスポット
13 主ビームスポット
14a,14b 副ビームスポット
15a,15b 光検出器で検出される信号
16 出力信号
17 入射ビーム
18 反射回折光
19 分割フォトディテクター
20 トラッキング誤差信号出力
21 半導体レーザ
22 カップリングレンズ
23 ビームスプリッター
24 λ/4板
25 対物レンズ
26 光記録媒体
27 集光レンズ
28 光検出器
29 反射回折光
30 反射層
Claims (7)
- 光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体表面に近接させて記録もしくは再生を行う光記録方式に使用される光記録媒体おいて、平坦な表面を有する基板の上部に回折格子状の構造を形成し、該回折格子状構造の上に層間膜層と該層間膜層上に記録層が積層成膜されていることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項1記載の光記録媒体において、基板上部の回折格子状の構造が基板の凹凸により形成されていることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項1記載の光記録媒体において、基板上部の回折格子状の構造が金属膜により形成されていることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載された光記録媒体において、層間膜層が高屈折率を有する材料で形成されていることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載された光記録媒体のトラッキング方法であって、光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体表面に近接させて光記録媒体内部に入射される光を光記録媒体の基板上部に形成されている回折格子構造により回折させ、発生した高次の回折光を用いて光プローブもしくは固浸レンズから出る光スポットの位置制御を行うことを特徴とする光記録媒体のトラッキング方法。
- 請求項6記載の光記録媒体のトラッキング方法において、光プローブもしくは固浸レンズを光記録媒体に近接させる面と異なる面から高次の回折光を検知することを特徴とする光記録媒体のトラッキング方法。
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