JP4148897B2 - 胚性幹細胞培養用基材および培養方法 - Google Patents
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Description
本発明は、胚性幹細胞の培養用基材、それを用いる胚性幹細胞の培養方法および培養装置に関する。より詳細には、本発明は、フィーダー細胞およびフィーダー細胞由来成分の非存在下の状態において未分化状態の胚性幹細胞を培養するための基材、培養する方法および培養装置を提供するものである。本発明は、細胞培養、組織移植、創薬、および遺伝子治療の分野で応用することができる。
従来の技術
外傷や病気、さらには加齢などによって傷害を受けた臓器・組織は再生を促進し、その機能を回復させる必要がある。特に、心臓・肝臓・腎臓・膵臓などの実質臓器は生命維持に必須であるためその機能低下・廃絶は死に直結することから、臓器移植により救命を図る移植医療が盛んに行われている。しかし、恒常的なドナー不足からその解決には新たなアプローチが必要になっている。Non−heart beating donorからの組織移植、異種移植などが解決策として提案されているが、前者では組織保存、後者には異種免疫や病原体移入など、大きな問題が存在する。そこで最近新しい選択肢として再生医療という概念がクローズアップされてきている。再生という言葉の概念は、既に20世紀に本来個体が持っている再生力を増強させようとする考え方として、治療への応用が試みられていた。しかし、21世紀を迎えた現在、さらに積極的に幹細胞などの利用による組織・器官の作製を行い、欠損組織の補填を行うことが目標となり、それにより臓器移植の欠点を凌駕する治療法を目指す新しい考え方へと発展しつつある。具体的には増殖能が機能細胞より高い幹細胞を増やした後、分化させ、細胞移植に用いたり、人工支持組織の利用と併せ人工的な組織構築を行い、それを生体内へ移植したり人工臓器として利用したりすることなどが考えられている。実際に幹細胞を細胞移植治療や組織工学に利用できれば、ドナーにおける移植片摘出後の組織欠損やドナー不足など、従来の自家移植を含む移植治療が抱える問題点を解決できると期待される。
近年、実験動物やヒトからこのような治療への応用が期待される幹細胞が、血管、神経、血液、軟骨、骨、肝臓、膵臓など数々の分野で同定されている。幹細胞の中でも、ほぼ全ての細胞型に分化する能力を有し、多能性細胞と呼ばれることもある胚性幹細胞は、上述の再生医療分野のほか、創薬、および遺伝子治療に用いるための細胞ならびに組織を容易に提供し得る細胞として特に注目されている。
胚性幹細胞(Embryonic stem cell、以下、ES細胞)は、各種個体形成組織への分化能を保持しながら未分化状態のまま試験管内で培養可能な株化細胞としてマウスで初めて樹立された(Evansら、Nature,292,p154,1981年)。正常な胚とキメラ胚を形成させることにより、成体のあらゆる成熟細胞へと分化する能力を保有しながら培養維持が可能な細胞である。また、ES細胞はイン・ビトロの分化誘導条件によっても様々な細胞を生成させる能力をもっている。個体を構成する細胞は胚盤胞期の内部細胞塊(Inner Cell Mass,ICM)あるいは外胚葉(epiblast、エピブラスト)から派生した一次外胚葉に由来している。その意味ではICMおよびエピブラストは全能性を持った幹細胞群であるといえる。このICMから未分化状態を維持したまま培養分離されるのがES細胞である。
ES細胞の分化能は高く、イン・ビボでは初期胚とキメラ胚を形成させることにより、正常な胎仔発生に貢献し、成体のあらゆる臓器にES細胞由来の成熟細胞が検出されることから、全能性の幹細胞と見なされている。一方イン・ビトロでは培養系を操作することにより、ES細胞から血球系、心筋、骨格筋、神経など多数の細胞群へ分化させることが可能である。
最近になって、マウス以外でもES細胞株の樹立が報告され、マウスES細胞と同様多分化能を有していることが示されている(ウシES細胞:Schellanderら、Theriogenology,31,p15−17,1989年、豚ES細胞:Strojekら、Theriogenology,33,p901,1990年、羊ES細胞:Handyside、Roux’s Arch.Dev.Biol.,196,p185,1987年、ハムスターES細胞:Doetschmanら,Dev.Biol.,127,p224,1988年、アカゲザルES細胞:Thomsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92、p7844,1995年、マーモセットES細胞:Thomsonら、Biology of Production,55,p254,1996年、ヒトES細胞:Thomsonら、Science,282,p1145,1998年、Reubinoffら、Nature Biotech,18,p399,2000年)。
ES細胞の未分化状態を維持するには、通常胎仔由来の線維芽細胞をフィーダー細胞として用いて共培養することが必要である。霊長類のES細胞株の未分化維持においても同様の方法が用いられている(Thomsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,p7844,1995年、Thomsonら、Science,282,p1145,1998年、Reubinoffら、Nature Biotech,18,p399,2000年)。
しかし、これらフィーダー細胞を用いたES細胞培養法は、ES細胞株細胞培養のプロセスを複雑かつ遅延させる。さらに、最近になって異種動物間での内在性ウィルスの感染例が報告されており(van der Laanら、Nature,407,p90,2000年)、医療用途でのヒトES細胞の利用を目的とした培養方法においては異種動物細胞間での接触をでき得る限り回避した培養方法の開発が望まれている。
フィーダー細胞を用いないES細胞の未分化維持培養方法として、ゼラチンをコートした培養皿を用いる培養方法が既に知られているが、この場合には、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor,LIF)の培地への添加が必須であり(Smithら、Dev.Biol.,121,p1,1987年)、高コスト、品質管理の困難さなどから大量培養には適していない。加えて、LIFの効果は特定のマウス系統(129/sv系やC57BL/6系)に限定的であり、他のマウスの系統や他種動物において顕著な効果は見られない。
また、霊長類のES細胞株の培養においてもフィーダー細胞を直接用いない培養方法が報告されている(特開2001−17163号公報)が、この場合においてもマウス胎仔由来線維芽細胞の分泌成分の培地への添加が不可欠であり、上述の内在性ウィルスの問題などは解決されていない。
一方、多孔質担体を含む培養基材を用いた細胞培養方法はこれまでにも知られていた(特開2001−120267号公報、特開2000−4870号公報、特開2000−157261号公報)がこれらは特定の分化した細胞のみに有効な培養基材あるいは培養方法であり、胚性幹細胞の全能性を維持したまま培養可能な培養基材およびそれを用いた培養方法はこれまで知られていなかった。
発明の開示
本発明の目的は、大量にかつ安全に未分化状態の胚性幹細胞を維持する培養基材、胚性幹細胞を未分化の状態で維持する培養方法および培養装置を提供することにある。
マウス胚線維芽細胞をフィーダー細胞として用いた場合の、未分化な、多能性の胚性幹細胞増殖の増強は、部分的にはマウス胚線維芽細胞によって産生される成分の培地への追加によってなされると考えられるが、その一方で、線維芽細胞のフィーダー細胞層が胚性幹細胞の付着に適した形状および形質を保持した表面を形成し、胚性幹細胞がそのフィーダー細胞表面と接触することにより未分化状態を維持したままの増殖が刺激されることが示唆される。本発明者らは以上の予測に基づき、種々の材料による、未分化な、多能性の胚性幹細胞の未分化維持効果について鋭意研究を行った結果、フィーダー細胞表面と同様の状態を作成し、胚性幹細胞を接触させることによって、フィーダー細胞およびフィーダー細胞由来成分の非存在下で未分化状態を保ったまま胚性幹細胞を培養できることを見出し本発明を完成した。
本発明は、フィーダー細胞およびフィーダー細胞由来成分の非存在下で胚性幹細胞の未分化状態を維持することのできる培養基材を提供するものである。即ち本発明は、多孔質体であり、フィーダー細胞およびフィーダー細胞由来成分の非存在下で胚性幹細胞の未分化状態を維持することのできる培養基材を提供する。
また本発明は、フィーダー細胞およびフィーダー細胞由来成分の非存在下で胚性幹細胞の未分化状態を維持する培養方法を提供するものである。即ち本発明は、上記培養基材を用いるフィーダー細胞およびフィーダー細胞由来成分非存在下で胚性幹細胞の未分化状態を維持する培養方法を提供する。
さらに、本発明は、このような胚性幹細胞培養用基材を用いて、胚性幹細胞を含有する細胞溶液から、胚性幹細胞を捕捉する方法と、このような胚性幹細胞培養用基材からなり、胚性幹細胞を捕捉し得る細胞捕捉材を提供する。また、そのような細胞捕捉材を容器に充填してなる胚性幹細胞の培養装置を提供する。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、未分化状態にある胚性幹細胞をそのままの状態で維持することのできる培養基材、それを用いる培養方法および培養装置に関する。本発明によって提供される培養基材、培養方法および培養装置は、それによって得られる胚性幹細胞を利用することにより得られる多くの恩恵に加え、さらに一つもしくは多数の遺伝的な改変を有する胚性幹細胞を産生するために適用することができる。このような適用の例としては、疾患についての細胞ベースのモデルの開発ならびに遺伝病を処置するために移植について特異化された組織の開発を含むが、これらに限定されるものではない。
以下の用語は他で述べない限り、ここで提供されるように定義される。本明細書で使用される他の全ての用語は、他に述べない限り、その用語に関する特定の分野でのその語法に従って定義される。
幹細胞:幹細胞とは、特に、特異化された機能を有する他の細胞型、即ち最終的に分化した細胞、もしくは、より狭い範囲の細胞型に分化可能な他の幹細胞型に分化し得る細胞を指す。
胚性幹細胞:胚性幹細胞とは、前着床段階の胚の、桑実胚または胚盤胞段階から得られた全能性の幹細胞であり、ES細胞とも呼ばれる。また、胚性幹細胞は、精子あるいは卵子になると決まっている、胚または胎児(胎仔)の始原生殖細胞に由来する多能性の幹細胞のことをいう場合もあり、これらの細胞はEG細胞とも呼ばれる。本発明で用いる胚性幹細胞の由来は、ヒトを含む霊長類、哺乳類、鳥類のいずれであっても良い。
全能性:全能性とは、多能性の細胞および完全に分化した細胞(すなわち、種々の細胞へと、もはや分化し得ない細胞)を含む任意の細胞型へと分化し得る細胞のことを言う。
多能性:多能性とは、必ずしも全ての型にならないけれども、異なる多数の細胞型のうちの一つへと分化し得る細胞をいう。多能性細胞の一つの例は、骨髄幹細胞であり、この細胞は神経細胞以外の、リンパ球および赤血球のような種々の血液細胞型へと分化し得る。従って、全ての全能性細胞は多能性であるのに対して、全ての多能性細胞が全能性であるわけではないことが認識される。
未分化:未分化とは、任意の細胞が、一つまたは複数の、さらに分化が進んだ状態の細胞に分化し得る能力を有する状態であることをいう。
細胞培地:細胞培地とは、培養において胚性幹細胞の増殖を支持するために有効な、塩および栄養素の溶液をいう。
フィーダー細胞:フィーダー細胞とは、胚性幹細胞がその上にプレートされる非胚性幹細胞をいい、非胚性幹細胞は、プレートされた胚性幹細胞の増殖の助けとなる環境を提供する。
フィーダー細胞由来成分:フィーダー細胞から分泌される成分、細胞膜成分を含むフィーダー細胞破砕成分をいう。フィーダー細胞から分泌される成分には白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor,LIF)が挙げられる。また、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸などからなる複合体である細胞外マトリックスもこれに含まれる。
非必須アミノ酸:非必須アミノ酸とは、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、グリシン、L−プロリン、およびL−セリンのアミノ酸をいう。
本発明は、胚性幹細胞を未分化の状態で、増殖および維持するための培養基材、培養方法および培養装置を提供する。本発明で提供する培養基材、それを用いる培養方法および培養装置は、従来より簡便に、安全に、未分化状態の胚性幹細胞を増殖しそして維持する。また、本発明の培養基材を用いる胚性幹細胞の培養方法は、特定の分化誘導因子、および分化誘導因子の有用な組み合わせについてスクリーニングするために使用され得る。本発明の培養基材、および培養方法を使用して、未分化の状態の全能性胚性幹細胞を増殖させる能力は、重要な治療適用を有する胚性幹細胞系を産生する能力を含む重要な利益を提供する。
本発明は、未分化の状態での胚性幹細胞を、増殖および維持するための培養基材を提供する。具体的には、本発明の培養基材には多孔質体を使用することがでる。
多孔質体とは、微細な孔を多数有する基材のことをいい、微細な孔は人為的に製作してもよく、その材質、厚さ、形状、寸法などは特に限定はない。多孔質体の材質は、有機材料、無機材料および有機材料と無機材料からなる複合材料であっても良い。
その中でも有機材料とりわけ、有機高分子は、切断等の加工性に優れるため好ましい素材である。有機高分子としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、セルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロロビニル、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリエーテル−ポリアミドブロツクコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー等が挙げられるが、本発明の多孔質体は上記例示に限定されるものではない。
尚、無機材料としては、ガラス、シリコンウェハー等のようなシリカ系材料、アルミナ、ジルコニア等のようなセラミックス類、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン等の様な金属類、ハイドロキシアパタイト、セメント硬化体等が挙げられる。また、有機材料と無機材料からなる複合体としてはシリカと有機分子がナノサイズに分散したシリカ主体または有機分子主体の材料(Novak,M.,Adv.Mater.5,422(1993)、Chujo,Y.,Encyclp.Poly.Sci.Tech.,CRC Press,Boca Raton,6,4793(1996))等が挙げられる。
多孔質体の形状は細胞を支持できる細孔を有するものであれば特に限定はなく、平板状、球状、棒状、繊維状、中空状のいずれの形態であっても良く、例えば、フィルム、シート、膜、板、不織布、ろ紙、スポンジ、織物、編物、塊、糸、中空糸、粒子等が挙げられる。細胞を培養するにあたって、3次元的に培養できるように細胞を支持する孔の大きさを簡単に制御できることや、基材作製の容易さおよびコストなどを考慮するとフィルム、シート、膜、板、不織布、スポンジ、中空糸、粒子が好ましく、さらに好ましくは、粒子、不織布がより好ましい。多孔質体の孔の大きさについては、特に限定はないが、細胞を3次元的に支持できるようにすることを考慮すると、平均孔径が、0.1μm以上150μm以下であることが好ましく、1μm以上50μm以下がさらに好ましい。さらに好ましくは、5μm以上30μm以下である。
本発明における多孔質体の平均孔径とは、水銀ポロシメーターで測定しうる値、又は、光学顕微鏡やSEMなどで観察測定しうる値である。水銀ポロシメーターで測定する場合は、細孔径分布曲線における最大のピークを示す細孔径(直径)が本発明でいう平均孔径である。また、光学顕微鏡やSEMなどで観察測定する場合は、観察して得られた映像から、表面開孔部の輪郭を透明フィルムにトレースし、イメージスキャナーで開孔部のエッジ画像を作成後、画像解析装置を用いて、開孔部の円相当径を測定することができる。その10個以上の開孔部の円相当径(直径)の平均を取ったものが本発明でいう平均孔径である。従って、多孔質体の平均孔径よりも大きい直径を有する粒子は入り難いという径を表わすものであって、これ以上の直径の粒子は絶対に入らないというものではない。尚、本明細書において不織布の平均孔径は水銀ポロシメーターで測定した値であり、マイクロキャリアの平均孔径は観察した画像を解析して求めた値である。
上記の多孔質体は、細胞の接着性や分化維持機能、増殖能を向上させるために、多孔質体の孔を塞がない程度に、高分子物質により表面コーティング処理を施されていても良い。
高分子物質とは、1種以上の繰り返し構成単位の単量体が1次元、2次元、3次元的に連なった分子量数百以上の物質のことをいう。高分子物質は、大きく天然高分子物質、半合成高分子物質、合成高分子物質の3つに分類することができ、本発明においていずれの高分子物質も使用することができる。例えば、天然高分子物質としては、マイカ(雲母)、アスベスト(石綿)、グラファイト(石墨)、ダイアモンド、でんぷん、セルロース、アルギン酸等に代表される糖類およびゼラチン、コラーゲン、ラミニン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン等に代表されるタンパク質やペプチド等が挙げられる。半合成高分子物質としては、ガラス、硝酸セルロース、酢酸セルロース、塩酸ゴム、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。合成高分子物質としては、ポリホスホニトリルクロライド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体に代表されるような2種類以上の合成単量体からなる共重合体等が挙げられる。
コーティング処理のし易さを考慮すると、有機高分子物質が好ましく、タンパク質やペプチド並びに有機合成高分子物質がさらに好ましい。
また、多孔質体にLIFなどの生理活性物質の固定化や、グラフトおよび電子線や放射線照射等による、何らかの表面処理を施されていても良い。
本発明の多孔質体からなる培養基材を細胞捕捉材として用いることにより、複数の異なる細胞からなる集団から、胚性幹細胞を分離し、さらに、捕捉した胚性幹細胞を未分化な状態で培養する方法および装置が提供され得る。
即ち、胚性幹細胞と、除去対象細胞を含む細胞含有液を本発明の培養基材からなる細胞捕捉材が充填されている容器に導入し、細胞捕捉材に胚性幹細胞を捕捉させ、除去対象細胞を容器外に導出した後に容器ごと培養することを特徴とする胚性幹細胞培養方法であり、また本発明の培養基材からなる細胞捕捉材を容器に充填した細胞培養装置であって、前記細胞捕捉材は細胞培養用担体として使用し得るものであり、前記容器は細胞培養に使用し得るものであることを特徴とする細胞培養装置である。除去対象細胞とは、胚性幹細胞以外の全ての細胞をいう。また、胚性幹細胞から分化して、多分化能を失った細胞もこれに含まれる。細胞捕捉材に導入する細胞含有液としては、胚性幹細胞を含有する細胞液であればいかなるものでもよく、一例として、血液、骨髄、砕片組織液、或いは、幹細胞、胚性幹細胞の培養液などがあげられる。分離、培養された胚性幹細胞は、そのままで、或いは適当な処理を施された後、細胞移植、或いは組織工学など再生医療分野をはじめとした様々な分野で利用され得る。
本発明の培養基材は、以下に述べる細胞培地とともに用いて胚性幹細胞培養装置として使用することができる。さらに、栄養血清または血清代替物を加えて使用することもできる。胚性幹細胞の培地としては、任意の細胞培養基本培地が使用される。細胞基本培地の例としてはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ノックアウトMEM、グラスゴーMEM(GMEM)、RPMI1640、IMDM(以上GIBCOBRL(米国)より入手可能)などが挙げられるがこれらに限定されない。さらにこれらの基礎培地に血清または血清代替物、或いは各種増殖因子を添加して用いることもできる。血清は、胚性幹細胞の増殖および生存性の維持に効果的である栄養素を供給する任意の血清、または、血清ベースの溶液であり得る。このような血清の例には、ウシ胎仔血清(FCS)、ウシ血清(CS)、馬血清(HS)などがある。また、血清代替物としてはノックアウト血清リプレースメント:KSR(GIBCOBRL社製、米国)などが含まれるがこれらに限定されない。一つの実施態様において、血清はウシ胎仔血清であり、血清代替物はKSRである。より特定の実施態様において、ウシ胎仔血清またはKSRは約25%と約1%との間の濃度で使用される。さらにより特定の実施態様において、細胞培地でのウシ胎仔血清またはKSRの濃度は15%である。本発明の培養基材を用いて、血清代替物を含有する培地にて培養されるヒト胚性幹細胞は、異種細胞、または異種細胞由来成分との接触がないことから従来法で培養される胚性幹細胞に比べて極めて安全であり、細胞移植、組織工学等の臨床用途で利用され得る胚性幹細胞が提供される。
細胞培地は、抗酸化剤(還元剤、例えば、β−メルカプトエタノール)も含んでもよい。ある好適な実施態様において、β−メルカプトエタノールは、約0.1mMの濃度を有する。他の抗酸化剤(例えば、モノチオグリセロール、もしくは、ジチオスレイトール(「DTT」)の単独もしくは組み合わせ)が同様の効果のために利用され得る。さらに他の等価な物質は、細胞培養の分野の当業者に周知である。
本発明は未分化の胚性幹細胞を増殖するための培養基材、およびこの培養基材を含む培地においてこのような細胞を培養する方法を提供する。
培養されるべき胚性幹細胞は、以下に示す、公知の方法および材料を使用して入手し得る。マウス胚性幹細胞:Evansら、Nature,292,p154,1981年、ウシES細胞:Schellanderら、Theriogenology,31,p15−17,1989年、豚ES細胞:Strojekら、Theriogenology,33,p901,1990年、羊ES細胞:Handyside、Roux’sArch.Dev.Biol.,196,p185,1987年、ハムスターES細胞:Doetschmanら,Dev.Biol.,127,p224,1988年、サルES細胞:Thomsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,p7844,1995年、ヒトES細胞:Thomsonら、Science,282,p1145,1998年、Reubinoffら、Nature Biotech,18,p399,2000年。また、マウス胚性幹細胞(129SVおよびC57/BL6)は、大日本製薬より購入できる。
また、最近の報告によれば、マウスやヒトの骨髄、筋肉、脳に、胚性幹細胞特異的なマーカーであるOct−3/4遺伝子やRex−1遺伝子が発現する胚性幹細胞様細胞が存在することが示されている(Verfaillieら、Nature Advance online publication,20 June,2002年(doi:10.1038/nature00870)、Jiangら、Experimental Hematology,30,p896,2002)。これらの報告は、成体にも胚性幹細胞と同等の全能性の細胞が存在し得ることを示唆する。本発明の培養基材の特徴の一つとして、胚性幹細胞のOct−3/4遺伝子の発現を維持して未分化を維持することが挙げられる。即ち、Oct−3/4遺伝子を発現する成人由来胚性幹細胞様細胞は、本発明の培養基材を用いて、未分化を維持して培養され得る。
一旦単離されると、胚性幹細胞は、任意の種々の技法を用いて、上記の細胞培地ならびに培養基材を使用して培養される。例えば、胚性幹細胞を滅菌した多孔質体の上に播種し、上述の細胞培地を加えて培養する。このような多孔質体として不織布が例示される。次いで、胚性幹細胞の増殖はモニターされ、培養胚性幹細胞の分化した程度が決定される。
胚性幹細胞の未分化程度は実施例5に記載されるように、Oct−3/4遺伝子の発現量を測定することによって確認することができる。Oct−3/4遺伝子はPOUファミリーに属する転写因子で、胚性幹細胞、胚性癌細胞(EC細胞)で、未分化状態で特異的に発現し(Okamotoら、Cell,60,p461,1990年)、胚発生においても未分化細胞系譜においてのみ発現し(Scholer、Trend Genet,7,p323,1991年)、分化にともなって発現が低下することが知られている。さらに、Oct−3/4遺伝子破壊マウスのホモ個体は胚盤胞期で発生を停止することから未分化状態維持に重要な機能を有していることが明らかにされている(Nicholsら、Cell,95,p379,1998年)。従って、Oct−3/4遺伝子発現量に維持、或いは、減少を抑制する効果は、即ち胚性幹細胞の未分化状態の維持、或いは、分化の抑制に働く作用と同等であることが示唆される。
Oct−3/4遺伝子の発現量を測定する一つの手段としては定量的PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法を用いることができる。さらに、リアルタイムPCR法が用いられ、幅広いダイナミックレンジをもち、簡便で信頼性のある定量測定が可能である。リアルタイムPCR技術には、ABIPRISM7700TM(Applied Biosystems)を使用したTaqManプローブを用いる方法や、LightCyclerTM(ロシュ・ダイアグノスティック)を用いる方法がある。特に後者の場合はPCRの温度サイクルが数十分で終了する高速反応サイクルのもとで、サイクルごとに合成されるDNAの増幅量変化をリアルタイムに検出できる。リアルタイムPCR法のDNA検出法としては、DNA結合色素(インターカレーター)、ハイブリダイゼーション・プローブ(キッシングプローブ)、TaqManプローブおよびSunriseユニプライマー(モレキュラー・ビーコン)を利用する4種類の方法がある。またDNA結合色素、例えばSYBRGreenIを利用してOct−3/4遺伝子の発現量を解析することができる。SYBRGreenIはDNAの二本鎖特異的に結合色素であり、二本鎖に結合することで本来の蛍光強度が増強される。PCR反応時にSYBRGreenIを加え、伸張反応の各サイクルの終わりに蛍光強度を測定すれば、PCR産物の増加が検出できる。Oct−3/4遺伝子を検出するには通常のPCRと同様にOct−3/4遺伝子の配列をもとに、市販の遺伝子解析ソフトウェアなどを用いてプライマーを設計する。SYBRGreenIは非特異的産物も検出してしまうため最適なプライマーの設定が必要となる。設計基準としては、オリゴマーの長さ、配列の塩基組成、GC含量、およびTm値などに留意が必要である。Oct−3/4遺伝子の増幅には、センスプライマーOCT3up:5’−ggcgttctct ttggaaaggt gttc−3’(配列表配列番号1)、およびアンチセンスプライマーOct3 down:5’−ctcgaaccac atccttctct−3’(配列表配列番号2)を用いることができる。オリゴヌクレオチドは市販のDNA合成機を用いて合成可能であるが、また、当該業者に任意の配列のオリゴマーの合成を依頼することもできる。
多くの場合、定量PCRにおいて明らかにすることを目的とするのは、サンプル一定量当たりの目的DNA量である。このためには最初に反応系に加えたサンプル量の評価が必要である。この場合サンプル量を反映するような内部標準となる別のDNAを目的DNAとは別に測定し、最初に反応系に加えたサンプル量を補正することができる。サンプル量を補正する目的で用いる内部標準には、通常、組織によって発現量に差がないと考えられているハウスキーピング遺伝子を用いることができる。例えば、解糖系の主要酵素であるグリセロアルデヒドリン酸脱水素酵素(GAPDH)、細胞骨格の構成成分であるβアクチンまたはγアクチン、リボゾームの構成蛋白質であるS26などの遺伝子が挙げられる。
Oct−3/4遺伝子の発現レベルは、実施例に記載される方法を用いて、本発明の培養基材に曝露された細胞について決定する。培養基材に曝露されていない、即ち、胚性幹細胞から分化誘導されたコントロール細胞に対するOct−3/4遺伝子発現量の増加と関連付けられる基材は、胚性幹細胞の未分化状態を維持する培養基材とみなされる。
最適化された胚性幹細胞の未分化維持培養基材を決定する他の方法として、アルカリホスファターゼ(ALP)活性を検出する方法が挙げられる。未分化な胚性幹細胞ではALPの活性が維持され、分化すると減少することが知られている(Williamsら、Nature,336,pp684,1988年、Thomsonら、Science,282,p1145,1998年)。ALP活性は、ALPによって発色する不溶性基質を用いた細胞染色によって検出可能であり、また、水溶性の発色基質を用いたELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)法によっても検出できる。一つの実施態様としては、アルカリホスファターゼ染色法を用いて細胞染色によってALP活性を検出することができる。同方法を用いたALP活性検出により、多孔質体を培養基材として用いて、細胞培地中で培養した胚性幹細胞は、ゼラチンをプラスチック製の細胞培養用ディッシュにコートして培養した胚性幹細胞に比べ、未分化細胞の割合が増加していることが確認された。
また、最適化された胚性幹細胞の未分化維持培養基材をスクリーニングするさらに他の方法として、ステージ特異的胚抗原(Stage Specific Embryonic Antigen、以後SSEAと記載)−1、SSEA−3、SSEA−4などの未分化な細胞に特異的に発現する抗原を検出する方法が挙げられる(Smithら、Nature,336,p688,1988年、Solterら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,75,p5565,1978年、Kannagiら、EMBO J.2,p2355,1983年)。
一つの実施態様において、SSEA−1などの表面抗原は、同抗原を認識する特異的抗体(一次抗体)とインキュベートし、さらに蛍光標識のようなレポーターと結合した第二の抗体(二次抗体)とインキュベートすることにより、標識することができる。この操作により目的の抗原を発現する細胞が、蛍光性になる。次いで、標識された細胞を標準的な方法、例えばフローサイトメーターを用いて計数、さらには分取され得る。次いで、標識および非標識細胞の数は、目的とする培養基材の効果を決定するために比較され得る。あるいは、非標識細胞表面マーカー抗体に曝露された後、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)形式において、その細胞は、抗細胞表面抗原抗体(例えば抗SSEA−1抗体)に対して特異的な第二の抗体に曝露され得、そこから、所望の表面抗原を発現する細胞の数が、比色定量的に、または蛍光を測定することにより定量され得る。表面抗原を発現する細胞を定量するさらに他の方法も、細胞培養の当業者に周知である。
本発明によって提供される、未分化の胚性幹細胞の増殖に対する改善された培養基材および培養方法は、胚性幹細胞系が有用であるすべての技術に対して適用されることが予想される。
本発明の培養基材および培養方法を用いて産生される細胞は、分化させ、細胞移植に用いたり、人工支持組織の利用と併せ人工的な組織構築に使用され、生体内へ移植したり人工臓器として利用されうる。幹細胞の細胞移植治療や組織工学への利用は、ドナーにおける移植片摘出後の組織欠損やドナー不足など、従来の自家移植を含む移植治療が抱える問題点を解決できる。
本発明の培養基材および培養方法は、単一もしくは複数の遺伝的改変を有する胚性幹細胞を産生するために使用される。細胞の遺伝的変更は、遺伝子治療のための改変された細胞、および移植のための置換組織を提供する(例えば、宿主による細胞の拒絶を避けるため)というような、多くの理由のために望ましい。本発明によれば、胚性幹細胞は、上述した培養基材および培養方法を使用して増殖される。第一の遺伝子は、細胞培養物の少なくとも一つの細胞において、改変されるか、もしくはそれに導入され、そして、その得られる培養物から、改変された胚性幹細胞の最初のクローン集団が誘導される。第一のクローン集団は、本発明の培養基材で増殖され得、所望の遺伝的改変を有する細胞系が確立され得る。さらなる遺伝的改変が必要である場合、第二の遺伝子が、第一のクローン集団の少なくとも一つの細胞において改変されるか、またはそれに導入されて、第一および第二の遺伝的改変を有する第二のクローン集団を産生する。あるいは、第一および第二の遺伝的改変が、同じ胚性幹細胞に導入され、続いて同時に両方の改変についてスクリーニングし得る(すなわち、第一のクローン集団を単離する必要性を回避する);しかし、好ましい手順は段階的手順である。
細胞に対して遺伝的改変を行うために用いられる方法は、遺伝的形質転換体を作製する分子生物学の技術分野において公知の任意のものであり得る。限定することなく、このような方法は、以下に記載するポジティブ−ネガティブ選択的ベクターの使用を含む;Capecchiらに対する米国特許第5,464,764号;同第5,487,992号;同第5,627,059号;および同第5,631,153号。
さらに、酵母人工染色体(YAC)は以下に記載された遺伝的改変を実行するために使用し得る;米国特許第5,981,175号。なお他の方法は、調製した幹細胞の治療適用のため特定の遺伝子産物、シグナル伝達分子、細胞表面タンパク質などの発現を増大し得る幹細胞の調製について:Gersonらの、米国特許第5,591,625号に記載される方法を含む。これらの特許は、これらの全体がすべての目的のために、本明細書中で参考として援用される。
当業者に明白なように、遺伝子産物の改変された発現は、遺伝産物のコード配列の改変、もしくはコード配列の隣接領域の改変によって達成され得る。従って、本明細書中で使用される用語「遺伝的改変」は、遺伝子産物をコードしている配列に対する改変、および隣接領域、特にコード配列(プロモーターを含む)5’上流側の改変を含む。同様に、用語「遺伝子」はコード配列、およびそのコード配列に隣接して存在し得る調節配列、ならびにそのコード配列に隣接する他の配列を含む。加えて、当該分野で公知のように、遺伝的改変は、全遺伝子配列を必ずしも含まない核酸を細胞に導入することによって(例えば、組換えによってゲノムに挿入され得る核酸を導入することにより)達成され得る。
本発明によって提供される培養基材および培養方法を使用して培養および/または改変された細胞は、生物活性の物質についてスクリーニングをするために支持体表面に取り付けられる。外的刺激に応答しての細胞内の電気生理学的な変化が、例えば、生物活性物質についての高い処理量のスクリーニングとして使用されるために測定され得るように細胞が基板に結合される。その細胞は、細胞内の特定の遺伝子、もしくは遺伝子産物を標的化し、発現し、またはノックアウトするDNAで形質転換されていてもよい。このようなチップに取り付けられた細胞を測定デバイス(例えばコンピューター)と組み合わせて提供することによって、多数の化合物が迅速かつ正確にスクリーニングされ得る。バイオセンサーはまた、大規模平行スクリーニングのために、配列されて、測定デバイスと組み合わせられ得る。
また、上述した方法を用いて、レポーター遺伝子が、特定の疾患状態と関連した遺伝子のコピーと機能的に組み合わせられた胚性幹細胞のDNAに組み込まれる。レポーターは、転写事象および転写後事象の両方に感受性である。幹細胞は、分化した子孫が、それぞれ疾患遺伝子/レポーター構築物を、1コピーずつ含むように分化することが可能になる。次いで、この細胞は、推定の治療因子についてスクリーニングされる。これにより遺伝子発現、および潜在的な治療因子に対する応答性を、細胞の分化の状態と相関付けることが可能になる。レポーターの適切な選択によって、このようなスクリーニング戦略は、上記の高処理量バイオセンサーで実行され得る。やはり、本明細書に記載されたようなバイオセンサーの他の適用は、当業者に明らかである。
なお実施例5に記載された、胚性幹細胞分化についてのマーカーとしてのOct−3/4遺伝子発現レベルの決定は、本発明の培養基材、および培養方法を用いて培養された胚性幹細胞の未分化度を決定するために使用される。本発明の培養基材および培養方法を用いて培養された胚性幹細胞は、分化を誘導され、細胞移植或いは人工的な組織構築に使用されうる。この細胞は、遺伝的に改変されていないか、または上述に記載される方法を使用して遺伝的に改変されているものであり得る。Oct−3/4遺伝子を高発現するとして同定された多能性の細胞は、特異的に単離され得、そして、上記のように細胞移植またはさらなる培養および/もしくは改変のために使用され得る。
さらに、非改変および改変された胚性幹細胞の培養物を提供するために、本発明の培養基材および細胞方法を使用することが、胚性幹細胞のモニタリングまたは幹細胞収集を改良する物質についてスクリーニングするために使用される。例えば、推定の胚性幹細胞増幅物質は、上記の方法を用いて増殖した細胞培養物へ添加され得る。推定の胚性幹細胞増幅因子を欠損した対照細胞培養物と比較して、Oct−3/4遺伝子発現を一定のレベルまで増大させる物質は、胚性幹細胞増幅因子として同定される。
実施例
次に実施例を示す。これらの実施例は本発明の実施の一例を示すものであって、これにより本発明の範囲は何も制限されるものではない。
(実施例1)
ES細胞培地の作製
ES細胞を増殖させる目的で、Dulbecco’s Modified Eagle Medium(以下DMEM、GIBCO BRL社製Cat.No.11 995)に、以下に示す最終濃度で因子を添加したES細胞培地を調製した:15%ウシ胎仔血清(BIO WHITTAKER社製)、0.1mM β−メルカプトエタノール(SIGMA社製)、1×非必須アミノ酸ストック(GIBCO BRL社製Cat.No.11140−050)、1mMピルビン酸ナトリウム塩(GIBCO BRL社製Cat.No.11360−070)、2mM L−Glutamine(GIBCO BRL社製Cat.No.25030−081)、1000units/ml ESGRO(CHEMICON International Inc.社製(商品番号 ESG1107):マウスLIFを活性成分として含有する)。ES細胞分化抑制アッセイ用の培地として、上記のES細胞培地からESGROを除いたES細胞アッセイ培地を作製した。
(実施例2)
胚性幹細胞の培養
直径6cmの細胞培養用ディッシュに、蒸留水に0.1%の濃度でGelatin(SIGMA社製 TypeA:from porcine SKIN、G2500)を溶解し、滅菌した0.1%ゼラチン水溶液5mlを添加し、室温で10分以上静置する。ゼラチン水溶液を除いて、マイトマイシンC(協和発酵社製)処理したマウス胚性初代培養細胞(ライフテックオリエンタル社Cat.No.YE9284400)2×106個を播種し、10%ウシ胎児血清(GIBCO BRL社製)を含むDMEM 5mlで、37℃、5%CO2インキュベーター(タバイエスペック社製)で5時間以上培養した。マウス胚性幹細胞株D3ES細胞(Rolf Kemler、Max Planck Institut fur Immunbiologie、Stuheweg 51、D−79108 Freiburg、Germany、より入手可能)を、直径6cmの前記マウス胚性初代培養細胞(繊維芽細胞)フィーダー層上に播種し、5mlのES細胞培地で、37℃、5%CO2インキュベーターで2日間培養して増殖させた。
(実施例3)
ES細胞分化抑制アッセイ
実施例2で培養したD3ES細胞をPBSで2回洗浄する。0.25%トリプシン溶液(GIBCO BRL社製15090−046)を加え、37℃で5分間インキュベートし、未分化のD3ES細胞のコロニーをフィーダーから脱離させる。5mlのES細胞培地を添加し、小径ピペットを使用して細胞コロニーを分散させ、15mlの滅菌チューブに移し、卓上遠心機(トミー精工)で800rpm、約5分間遠心してペレット化した。上清を除き、細胞を5mlの新鮮なES細胞培地に再懸濁し、0.1%のゼラチン水溶液で予めコートした直径6cmの細胞培養用ディッシュに播種し、37℃で20分間インキュベートした。20分後、浮遊細胞を含む培地をピペットで回収し、15mlの滅菌チューブに移し、卓上遠心機で800rpm、約5分間遠心してペレット化した後、上清を除き、5mlのES細胞アッセイ培地に再懸濁した。6穴細胞培養用ディッシュ(FALCON Cat.No.3046)の底に不織布を敷き、その上に1×104個の細胞を播種し、3mlのES細胞アッセイ培地で7日間培養した。ES細胞培養用の不織布は、PET(ポリエチレンテレフタレート)を基材とした繊度0.014d、平均孔径10μm(又は繊度0.03d、平均孔径13μm)の不織布にHM−3(2−ヒドロキシエチル)メタアクリレート(以下、HEMAと略称する)とN,N−ジメチルメタアクリレート(以下、DMと略称する)からなる共重合体(HEMA:DM=97:3)の12%エタノール溶液でコートしたものを用いた。また、未コートの不織布も用いた。
(実施例4)
アルカリホスファターゼ染色
ES細胞をアルカリホスファターゼキット(SIGMA Diagnostic社製Cat.No.86−R)を用いて染色した。実施例3に記載の方法で培養したES細胞の各ウェルから培地を吸引除去し、その細胞を2mlのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で1回洗浄後、2mlの細胞固定液(25mlクエン酸溶液(SIGMA社製Cat.No.91−5)、65mlアセトン、8ml 37%ホルムアルデヒド)を各穴に加え、室温で30秒静置した。固定液を吸引除去し、2mlの脱イオン水を各穴に加えて45秒室温で静置した。脱イオン水を吸引除去し、次いでアルカリホスファターゼ染色液(1ml亜硝酸ナトリウム溶液、1mlファーストレッドバイオレットLBソルト溶液、1mlナフトールAS−BIアルカリ溶液、45ml蒸留水)を1ウェルあたり2ml加え15分間室温で静置後、染色液を吸引除去し、脱イオン水、2mlで洗浄した。各ウェルの染色像を図1に示した。対照となるゼラチンコートのウェル(A)に比べて不織布を敷いたウェル(B〜D)のアルカリホスファターゼ活性は有意に高かった。即ち、不織布は、未分化状態のES細胞の維持に効果が認められた。
(実施例5)
Oct−3/4遺伝子の発現量の定量
ES細胞のOct−3/4遺伝子の発現量を、ライトサイクラー(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いて測定した。実施例3に示す方法で培養したES細胞から、SVトータルRNAアイソレーションシステム(プロメガ社製)を用い、添付の方法に従ってトータルRNAを抽出した。得られたトータルRNAの100ngを鋳型に、Oligo(dT)12−18プライマー(GIBCO BRL社製18418−012)、オムニスクリプトリバーストランスクリプターゼ(キアゲン社製)を用い添付のプロトコールに従ってcDNAを合成した。合成したcDNA 20μlのうち2μlを鋳型として、ライトサイクラーファーストスタートDNAマスターSYBR GreenIキット(ロシュ・ダイアグノスティック社製)を用い添付のプロトコールに従ってPCRを行った。Oct−3/4遺伝子、並びに対照としてグリセロアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子の発現量を測定した。Oct−3/4遺伝子の増幅には、センスプライマーOCT3 up:5’−ggcgttctct ttggaaaggt gttc−3’(配列表配列番号1)、およびアンチセンスプライマーOct3 down:5’−ctcgaaccac atccttctct−3’(配列表配列番号2)を用い、GAPDH遺伝子の増幅には、センスプライマーGAPDH up:5’−ggtgaaggtc ggtgtgaacg ga−3’(配列表配列番号3)、およびアンチセンスプライマーGAPDH down:5’−tgttagtggg gtctcgctcc tg−3’(配列表配列番号4)を用いた。PCR反応液の組成を表1に、また反応条件を表2にそれぞれ示した。
不織布上で培養したES細胞のOct−3/4遺伝子の発現は、ゼラチン上で培養したES細胞に比べ有意に亢進しており、特に繊度が0.03デニールより小さい不織布で高い効果が認められた(図2)。またHM3ポリマーによってコーティングされた不織布においても同様のOct−3/4発現亢進作用が認められた(図3)。また、HM3コートされた不織布の表面をさらに0.1%ゼラチン水溶液で予め浸した不織布ではOct−3/4の発現が飛躍的に亢進した(図4)。以上の結果から、不織布がES細胞の未分化状態を維持することがOct−3/4の発現量からも示された。
(実施例6)
ES細胞分化抑制アッセイ2
実施例2で培養したD3ES細胞をPBSで2回洗浄する。0.25%トリプシン溶液(GIBCO BRL社製15090−046)を加え、37℃で5分間インキュベートし、未分化のD3ES細胞のコロニーをフィーダーから脱離させる。5mlのES細胞培地を添加し、小径ピペットを使用して細胞コロニーを分散させ、15mlの滅菌チューブに移し、卓上遠心機(トミー精工)で800rpm、約5分間遠心してペレット化した。上清を除き、細胞を5mlの新鮮なES細胞培地に再懸濁し、0.1%のゼラチン水溶液で予めコートした直径15cmの細胞培養用ディッシュに播種し、37℃で20分間インキュベートした。20分後、浮遊細胞を含む培地をピペットで回収し、再度、0.1%のゼラチン水溶液でコートした直径15cmの細胞培養用ディッシュに播種し、37℃で20分間インキュベートした。20分後、浮遊細胞を含む培地をピペットで回収し、15mlの滅菌チューブに移し、卓上遠心機で800rpm、約5分間遠心してペレット化した後、上清を除き、5mlのES細胞アッセイ培地に再懸濁した。12穴細胞培養用ディッシュ(FALCON Cat.No.3043)の底に直径20mmの円形に切った不織布を敷き、ESアッセイ培地を1ml添加した。その上に5×103個/mlとなるようにESアッセイ培地に調製した細胞溶液を1ml播種し、7日間培養した。12穴細胞培養用ディッシュに敷いた不織布は、予めPBSに10分間、次いでESアッセイ培地に10分間以上浸したものを用いた。不織布にゼラチンコートする場合はPBSに10分間浸した後、0.1%ゼラチン水溶液に10分間浸し、その後ESアッセイ培地に10分間以上浸したものを用いた。
ES細胞培養用の不織布は、PET(ポリエチレンテレフタレート)を基材とした、平均孔径8.6μm(繊維径1.15μm)、12.0μm(繊維径1.2μm)、13.4μm(繊維径1.7μm)の不織布(何れも旭化成社製、日本)を用いた。また、セルロースを素材とした不織布として、ベンリーゼ(登録商標)品番PS140(平均孔径47μm)、ベンリーゼ(登録商標)品番TS327(平均孔怪113.8μm)、ベンリーゼ(登録商標)品番SF184(平均孔径114.1μm)の3種類(何れも旭化成社製、日本)を用いた。
(実施例7)
Oct−3/4遺伝子の発現量の定量2
ES細胞のOct−3/4遺伝子の発現量を、ライトサイクラー(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いて測定した。実施例6に示す方法で培養したES細胞から、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン、日本)を用い、添付の方法に従ってトータルRNAを抽出した。即ち、培養後のディッシュから培地を除去し、PBS2mlで洗浄した後、ISOGENを1mlずつ各ウェルに加えた。室温で5分間静置した後、ISOGENを1.5mlのエッペンドルフチューブに回収した。クロロホルム(和光純薬)を0.2ml加え、15秒間振とうさせ、2〜3分間室温で静置した。微量遠心機(トミー精工)にて、4℃、14000回転で15分間遠心した。上清400μlを新しいエッペンドルフチューブに移し、500μlのイソプロパノール(和光純薬)を加え、室温で10分間静置後、微量遠心機にて、4℃、14000回転で10分間遠心した。上清を除去後、70%エタノールを1ml加え、振とうした後、微量遠心機にて4℃、10000回転、5分間遠心した。上澄みを除去して沈殿を乾燥させた後、30μlの蒸留水に溶解させ、トータルRNA溶液を得た。このようにして得られたトータルRNAの1μgを鋳型に、DeoxyribonucleaseI(Amplification Grade、インビトロジェン社)、Oligo(dT)12−18プライマー(GIBCO BRL社製18418−012)、オムニスクリプトリバーストランスクリプターゼ(キアゲン社製)を用い添付のプロトコールに従ってcDNAを合成した。即ち、トータルRNA1μgに1μlの10×DNaseI Reaction Buffer、1μlの10×DNaseI(以上インビトロジェン社)と蒸留水を加えて10μlとなるようにした反応液を作製し、室温で15分間インキュベートした。25mM EDTA溶液を1μl加えて、65℃で10分間加熱した。室温に戻した後、2μlの10×Buffer RT、2μlの5mM dNTP Mix、2μlのOligo(dT)12−18プライマー、0.25μlのRNaseOUT(GIBCO BRL社、Cat.No.10777−019)、1μlのOmniscript Reverse Transcriptaseを加え、Rnaseフリー精製水で全量20μlに合わせ、37℃で60分間インキュベートして、cDNA溶液を得た。このようにして得た合成cDNAの一部を蒸留水で5倍に希釈し、その2μlを鋳型として、ライトサイクラーファーストスタートDNAマスターSYBR GreenIキット(ロシュ・ダイアグノスティック社製)を用い添付のプロトコールに従ってPCRを行った。Oct−3/4遺伝子、並びに内部標準としてグリセロアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子の発現量を測定した。Oct−3/4遺伝子の増幅には、センスプライマーOCT3 up(配列表配列番号1)、およびアンチセンスプライマーOct3 down(配列表配列番号2)を用い、GAPDH遺伝子の増幅には、センスプライマーGAPDH up(配列表配列番号3)、およびアンチセンスプライマーGAPDH down(配列表配列番号4)を用いた。PCR反応液の組成を表3に、また反応条件を表4にそれぞれ示した。
PET不織布上で培養したES細胞のOct−3/4遺伝子の発現は、プラスチックディッシュ上で培養したES細胞に比べ有意に亢進しており、平均孔径12.0μmの不織布ではESGRO 1000ユニット/mlと同等のOct−3/4遺伝子発現維持効果が認められた(図5)。プラスチックディッシュおよび不織布をゼラチンで浸した場合にも同様の効果が認められた(図6)。即ち、PET不織布はES細胞の未分化を維持することがOct−3/4遺伝子の発現量から確認され、さらに、12.0μmの平均孔径を有する不織布が最も効果が高いことが確認された。また、セルロース不織布を用いた場合も、PET不織布と同様にプラスチックディッシュに比べOct−3/4発現量維持効果が高いことが確認された(図7)。以上の結果から、不織布がES細胞の未分化状態を維持することがOct−3/4遺伝子の発現量からも示された。
(実施例8)
ES細胞分化抑制アッセイ3
実施例2で培養したD3ES細胞をPBSで2回洗浄する。0.25%トリプシン溶液(GIBCO BRL社製15090−046、米国)を加え、37℃で5分間インキュベートし、未分化のD3ES細胞のコロニーをフィーダーから脱離させる。5mlのES細胞培地を添加し、小径ピペットを使用して細胞コロニーを分散させ、15mlの滅菌チューブに移し、卓上遠心機(トミー精工、日本)で800rpm、約5分間遠心してペレット化した。上清を除き、細胞を5mlの新鮮なES細胞培地に再懸濁し、0.1%のゼラチン水溶液で予めコートした直径15cmの細胞培養用ディッシュに播種し、37℃で20分間インキュベートした。20分後、浮遊細胞を含む培地をピペットで回収し、再度、0.1%のゼラチン水溶液でコートした直径15cmの細胞培養用ディッシュに播種し、37℃で20分間インキュベートした。20分後、浮遊細胞を含む培地をピペットで回収し、15mlの滅菌チューブに移し、卓上遠心機で800rpm、約5分間遠心してペレット化した後、上清を除き、5mlのES細胞アッセイ培地に再懸濁した。24穴細胞培養用ディッシュ(FALCON Cat.No.3047、米国)に旭化成マイクロキャリア(平均孔径30μm:旭化成社製、日本)を0.5ml予め添加した後、2×103cells/ml、または1×104cells/mlとなるようにES細胞培地に調製したES細胞溶液を0.5mlずつ各ウェルに播種し、7日間、37℃、5%CO2で培養した。ESGROを含有するサンプルは、最終濃度が1000 units/mlとなるようにESGROを予め細胞溶液に加えた。マイクロキャリアは、PBSに懸濁し121℃で、20分間加圧滅菌した後、ES細胞培地に置換し、ベッドボリュームの4倍量のES細胞培地に懸濁した。ゼラチンコートマイクロキャリアは、加圧滅菌後、0.1%ゼラチン水溶液に置換して30分間室温で静置後、ベッドボリュームの4倍量のES細胞培地に懸濁して調製した。
(実施例9)
アルカリホスファターゼ定量
ES細胞のアルカリホスファターゼ活性を、p−NITROPHENYL PHOSPHATE SOLUTION(MOSS Inc.社製、PRODUCT NO.NPPD−1000、米国、以下、p−NPP)を用いて定量した。実施例8に記載の方法で培養したES細胞の各ウェルから培地を吸引除去し、その細胞を1mlのリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で3回洗浄後、p−NPP 200μlを各ウェルに加え、室温で10分間静置した。各ウェルに25μlの8M水酸化ナトリウム溶液を添加し、反応を停止させた。反応液100μlを96穴マイクロテストプレート(FALCON社製Cat.No.3072、米国)に移し、溶液の405nmの吸光度(O.D.405)と690nmの吸光度(O.D.690)を吸光度計(Molecular Devices社製、型式:SPECTRA MAX190)により測定し、O.D.405−O.D.690で算出される値をアルカリホスファターゼ活性とした。定量結果をグラフしたものを図8に示した。マイクロキャリアを用いて培養したES細胞のアルカリホスファターゼ活性は、マイクロキャリアを用いない場合に加えて有意に高かった。即ち、マイクロキャリアは未分化なES細胞の培養を支持した。
産業上の利用可能性
本発明によるとフィーダー細胞およびフィーダー細胞由来成分の非存在下の状態において未分化状態の胚性幹細胞を大量にかつ安全に培養することができる。得られる胚性幹細胞は、細胞培養、組織移植、創薬、遺伝子治療等の分野で有用に利用することができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例4の不織布上で培養したES細胞のアルカリホスファターゼ染色像を示す。なお、図1において、A〜Dはそれぞれ次のウェルを示す。
A:プラスチックディッシュにゼラチンコート
B:0.03デニール不織布にHM3コート
C:0.014デニール不織布にHM3コート
D:0.014デニール不織布に非コート
図2は、実施例5の非コート不織布上で培養したES細胞のOct−3/4遺伝子発現量を示す。
図3は、実施例5のHM3コート不織布で培養したES細胞のOct−3/4遺伝子発現量を示す。
図4は、実施例5のHM3およびゼラチンコート不織布で培養したES細胞のOct−3/4遺伝子発現量を示す。
図5は、実施例7の平均孔径12.0μmのPET不織布で培養したES細胞のOct−3/4遺伝子発現量を示す。
図6は、実施例7のゼラチンでコートした平均孔径8.6μm、12.0μm、13.4μmのPET不織布で培養したES細胞のOct−3/4遺伝子の発現量を示す。
図7は、実施例7のゼラチンコートしたセルロース不織布で培養したES細胞のOct−3/4遺伝子発現量を示す。
図8は、実施例9のマイクロキャリアで培養したES細胞のアルカリホスファターゼ活性を示す。
Claims (9)
- 多孔質体である不織布又は多孔質体であるマイクロキャリアよりなる胚性幹細胞培養用基材。
- 胚性幹細胞の未分化状態を維持することを特徴とする請求項1記載の胚性幹細胞培養用基材。
- フィーダー細胞およびフィーダー細胞由来成分を含有しないことを特徴とする請求項1または2に記載の胚性幹細胞培養用基材。
- 多孔質体が高分子物質によりコートされている請求項1〜3のいずれかに記載の胚性幹細胞培養用基材。
- 多孔質体の平均孔径が0.1μmから150μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の胚性幹細胞培養用基材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の胚性幹細胞培養用基材を用いて、胚性幹細胞を培養し、その未分化状態を維持することを特徴とする胚性幹細胞の培養方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の胚性幹細胞培養用基材を用いて、胚性幹細胞を含有する細胞溶液から、胚性幹細胞を捕捉する方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の胚性幹細胞培養用基材からなり、胚性幹細胞を捕捉し得る細胞捕捉材。
- 請求項8に記載の細胞捕捉材を容器に充填してなる胚性幹細胞培養装置。
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