JP4148799B2 - 電子回折パターンの解析方法及び解析装置 - Google Patents

電子回折パターンの解析方法及び解析装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回折パターンの解析方法及び解析装置に関し、特に、透過型電子顕微鏡によって得られる試料の電子回折像から、格子面間隔、格子面間角度などのパラメータを演算し、その演算結果により、試料の物質同定を行える電子回折パターンの解析方法及び解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子顕微鏡を用いて解析対象の結晶試料の電子回折像を撮影し、得られた電子回折像を解析することによって、結晶試料の物質同定を行う方法が知られている。
電子回折像から物質を同定するための電子回折パターンの解析方法として、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この電子回折パターンの解析手順は以下のとおりである。
図11は電子回折パターンの一例を示す概略図である。中央に散乱している点群が透過点、その透過点の周囲にほぼ規則的に配列したのが回折点である。
図12は図11の電子回折パターンの実測ネットパターンを示す概略図である。中心の透過点(原点0)を含め3箇所の点1,2,3により平行四辺形が形成されている。
【0004】
ここで、R1、R2、R3は回折点1、2、3への回折点間距離、φ12、φ13は回折点間の角度、d1(h1、k1、l1)、d2(h2、k2、l2)、d3(h3、k3、l3)はそれぞれ面指数h1、k1、l1;h2、k2、l2;h3、k3、l3を持った格子面の面間隔である。
図13に、電子回折パターンの解析手順を示すフローチャートを示す。まず、回折斑点の座標を測定し(ステップU1)、原点対称の回折斑点のペアーを選択し(ステップU2)、原点座標を計算し(ステップU3)、回折斑点の座標を補正して(ステップU4)、実測ネットパターンを作成する(ステップU5)。各回折点の原点(0)からの距離をR1、R2、R3とする。これらの距離をカメラ定数Lλとの間で除算を行うことにより、格子面間隔d1(h1、k1、l1)、d2(h2、k2、l2)、d3(h3、k3、l3)をそれぞれ求める。さらに前記3点の回折点から各回折点間の角度φ12、φ13をそれぞれ計測する(ステップU6)。次に、許容誤差Δを設定し、所定の許容誤差の範囲を定めておく(ステップU7)。
【0005】
一方で、元素分析等から求めた元素の組み合わせから推定物質(物質名、結晶構造、格子定数等)を選択する(ステップU8)。選択した推定物質の面指数のデータから、前記許容誤差の範囲内で下記式(1)〜(3)を満足する面指数を選択する(ステップU9)。
(1+Δ)d1≧d≧(1−Δ)d1
→h1 k1 l1を選択 ……(1)
(1+Δ)d2≧d≧(1−Δ)d2
→h2 k2 l2を選択 ……(2)
(1+Δ)d3≧d≧(1−Δ)d3
→h3 k3 l3を選択 ……(3)
選択された面指数(h k l)の組み合わせの中から、下記式(4)〜(6)を満足する組み合わせを選択する(ステップU10)。
(1+Δ)dj/d1≧d(hj kj lj)/
d(h1 k1 l1)≧(1−Δ)dj/d1 ……(4)
(h3 k3 l3)=(h1 k1 l1)+
(h2 k2 l2) ……(5)
|φ1j+Δφ|≧|φ(h1 k1 l1;
hj kj lj)≧|φ1j−Δφ| ……(6)
但し、j=2,3である。また、Δ及びΔφは許容誤差である。
【0006】
面指数を選択する上で、上記式(1)〜(3)において従来のように単に格子面間隔の絶対値のみで選択した場合には、カメラ定数等の誤差によって多くの候補が選択される結果、候補数が増大し、更には計算時間も増大したことから、この方法においては、上記式(4)にて示すように、各3点の面間隔の比を面指数選択の基準として導入している。
この解析方法は、選択した結晶面を含め、条件が合致しない場合には、まず許容誤差の変更により、更には推定物質の変更により、合致するものを試行錯誤的に求めていく、というものである。
【0007】
次に、条件に合致した面指数(h k l)の組み合わせを基にして、下記式(8)〜(10)より晶帯軸(u v w)を計算する(ステップU11)。
uh1+vk1+wl1=0 ……(8)
uh2+vk2+wl2=0 ……(9)
uh3+vk3+wl3=0 ……(10)
さらに、計算して求めたu,v,w及び推定物質の格子定数を用いてモデル回折パターン作図のための各面指数に対応する座標を計算する。
【0008】
そして、表示画面上にて目視の比較を行う(ステップU12)。
CRTにこのモデル回折パターンを作図するとともに実測ネットパターンも作図し、両者を同時に表示して比較し、これらを照合することによって、マッチングするモデル回折パターンを決定する(ステップU13)。
つまり、上述のような従来の解析方法によって物質同定を行う方法では、まず、実測パターンの最小単位である3箇所の回折点よりなる平行四辺形を基に指数付けを行い、次に、上記の回折点から回折点間距離、面間角度及び格子面間隔を求め、さらに実測パターンと計算パターンとを表示装置上に表示させて、最終的には、人間の目で実測した結晶構造とモデルとの整合性を判断していた。
【0009】
【特許文献1】
特開平4−73849号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような評価方法は、予め、定めた許容誤差の範囲から対象となる結晶相を絞り込んでいく方法であり、最終的には、実測と計算のパターンが合う、合わないを人の目で判断するという定性的な評価方法である。
つまり、実測したパターンと候補となる結晶相の結晶構造から計算されたパターンが完全に一致した場合には結晶相を同定できるものの、少しでも合わない場合には結晶相の同定が正確にできないことから、実測と計算のパターンの整合性について定量的に評価できないという問題があった。
【0011】
したがって、本発明は、電子回折像から得られた回折点の座標情報や電子回折像の撮影条件を基に結晶相の同定を定量的にしかも正確に行うための電子回折パターンの解析方法及び解析装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子回折パターンの解析方法は、結晶に電子線を照射して得られる電子回折実測パターンと、種々の物質の格子定数を含む結晶構造データベースを用いて計算された各電子回折計算パターンとに対して、パターンの一致度を評価することにより、結晶相の同定を行う電子回折パターンの解析方法において、前記計算パターンと前記実測パターンの一致度を、下記[数3]の因子[1]〜[5]のうち、少なくとも2つ以上の因子に対して、それぞれ重み付けを行った後、下記[数4]の式を用いて前記計算パターンと前記実測パターンとの総合的な一致度を示す総合因子を計算して定量的に評価することを特徴とする。
【数3】
Figure 0004148799
ここで、
は電子回折パターンの一致度を示す因子、
は禁制反射を含む計算パターン中の回折点と基本反射(実測)パターン中の回折点との共通点の点数、
min は禁制反射を含まない計算パターン中の回折点数と基本反射(実測)パターン中の回折点との総数(重複する点は1つに数える)、
は面間隔比の一致度を示す因子、
は計算パターンを示す面間隔比、
は実測値から計算される面間隔比、
Err は面間隔比の許容誤差、
は面間角度の一致度を示す因子、
は計算パターンを示す面間角度、
は実測された面間角度、
Err は面間角度の許容誤差、
はカメラ定数の一致度を示す因子、
は計算パターンから計算されるカメラ定数、
はカメラ定数の理論値、
Err はカメラ定数の許容誤差、
は写真間の角度の一致度、
は各計算パターンの結晶方位から計算される方位間角度、
は各電子回折像の写真撮影時の試料傾斜角度から計算される写真間の角度、
Err は写真間の角度の許容誤差である。
【数4】
Figure 0004148799
ここで、
は計算パターンと実測パターンの総合的な一致度を示す総合因子、
は各因子[1]〜[5]の重み係数(但し、Wiのうち少なくとも2つ以上は0より大きい)を表す。
【0014】
の解析方法によれば、測定誤差を想定し、電子回折像から求めた解析結果を基にして、計算パターンと実測のパターンとの一致度を、前記総合因子によって定量的に評価する方法であることから、予め定めた許容誤差の範囲から対象となる結晶相を絞り込んでいく従来の方法に比較して次のような利点がある。
【0015】
すなわち、従来のように、最終的に、計算と実測のパターンとが合う、合わないという、言うならばゼロイチの判定のような定性的な評価ではなく、実測したパターンと計算パターンとの一致の程度を、アナログ的な数値で評価して、結晶相を定量的に、同定することができる
【0019】
さらに、上記した因子[1]〜[5]の重要度に応じて、おのおの重み付けを行うことにより、定量的な精度がさらに高まり、実測パターンと計算パターンとの一致度の確度をさらに向上できる
【0020】
本発明の電子回折パターンの解析装置は、電子回折像を構成する各回折点の座標を入力するための入力手段と、表示装置と、上記入力手段により入力された各回折点の座標に基づいて、推定物質によるモデルパターンである計算パターンを演算して作成し、該計算パターンと前記電子回折像の実測パターンとを上記表示装置上に重ねて表示させ、パターンの一致度を定量的に評価する演算制御手段とを具備し、上記本発明の電子回折パターンの解析方法にて結晶相の同定を行うことを特徴とする。
このように、計算パターンと電子回折像の実測パターンとを表示装置上に重ねて表示し、一致度を定量的に評価するための演算制御手段を備えることにより、実測パターンと計算パターンとが完全に一致しない結晶についても、簡単に正確に同定できる。
この電子回折パターンの解析装置によって上記本発明の電子回折パターンの解析方法を好適に実施することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお以下に説明する[発明の実施の形態]においては、各因子を表記する[1][2]・・・などの括弧付き番号に代えて、○で囲んだ番号で表わすこととする。
本発明の実施の形態に係る電子回折パターンの解析方法は、以下のとおりである。
1.一方位の解析
図1及び図2は、本発明の一方位の解析についての処理手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しながら説明する。
【0022】
1.1 電子回折パターンの測定
結晶に電子線を照射して電子回折像を観測する。図3は観測された電子回折像の一例である。中央の点が透過点、その透過点の周囲にほぼ規則的に配列した点が回折点である。
次に、得られた電子回折像から2つの回折点の、透過点からの距離(R1、R2)と、その間の角度(θm)を計測し、それを基にして実測ネットパターンを作成する(ステップS1)。
【0023】
図4は、図3の電子回折像から作成した実測ネットパターンの概略図である。中心の透過点(0)を含め3箇所の点を基に平行四辺形が形成されている。ここで、R1、R2は中心から回折点1、2への回折点間距離、θmは回折点間の角度である。この実測ネットパターンに基づいて、R・D=Lλ(一般式)(Lλはカメラ定数)により、格子面間隔D1、D2が求められる。
1.2 計算パターン
(1)候補となる結晶相を絞り込むための幾何学的条件として、格子面間隔(D1、D2)と面間角度(回折点間の角度:θm)について、誤差を考慮した許容誤差範囲、D1±erD1、D2±erD2、及びθm±erθを以下のようにして各々定める(ステップS2,S3)。
▲1▼回折点の透過点からの距離の測定誤差をerRとする。
▲2▼カメラ定数をLλ、その許容誤差をerLλとする。
▲3▼R・D=Lλより、格子面間隔(D1、D2)の許容誤差範囲を求める。
【0024】
D1±erD1=(Lλ±erLλ)/(R1±erR)、
D2±erD2=(Lλ±erLλ)/(R2±erR)
▲4▼回折点間の角度の測定誤差をerθとし、面間角度(θm)の許容誤差範囲を
θm±erθ
で求める。
▲5▼さらに格子面間隔の比(D1/D2)の許容誤差範囲er(D1/D2)を求める。
【0025】
(2)候補となる結晶相をデータベースから検索する(ステップS4〜S6)。
▲1▼JCPDSカードなどの結晶構造データから、格子定数、空間群などを有する結晶構造データベースを予め作成する。
▲2▼元素分析等から求めた元素の組み合わせから、候補となる結晶相(化学組成、鉱物名、結晶系、格子定数、空間群等)を選択する。
(3)選択した候補となる結晶相の任意の2つの面指数(h1,k1,l1;h2,k2,l2)を選び、格子定数を用いて、各々の格子面間隔(d1、d2)、面間隔比(d1/d2)、及び面間角度(θc)を計算する(ステップS7)。
【0026】
(4)格子面間隔(d1、d2)、その比(d1/d2)、及び面間角度(θc)が上記の幾何学的条件である許容誤差範囲に入るかどうか比較する(ステップS8)。
D1−erD<d1<D1+erD1
D2−erD<d2<D2+erD2
[(D1/D2)−er(D1/D2)]<(d1/d2)
<[(D1/D2)+er(D1/D2)]
θm−erθ<θc<θm+erθ
(5)上記の許容誤差範囲に入る全ての候補となる結晶相の結晶方位(例えば、結晶A:u1,v1,w1; u2,v2,w2,・・・、結晶B:u3,v3,w3; u4,v4,w4,・・・)を求める(ステップS9,S10)。ここで、u1,v1,w1などは、
h1*u1+k1*v1+l1*w1=0
h2*u1+k2*v1+l2*w1=0
を満足するように選ぶ。“*”は掛け算を示す。すなわち、結晶方位u1,v1,w1は、面指数h1,k1,l1、及びh2,k2,l2面の法線ベクトルに直交する。
【0027】
(6)計算パターンがどのように観測されるかシミュレーションを行う。
まず、上記の許容誤差範囲に入るd1、d2、θcを基にした結晶相の基本パターン(測定される実測パターンに対応する)のシミュレーションを行う(ステップS11〜S13)。
シミュレーションには結晶学的条件として、消滅則(ステップS14)及び禁制反射(ステップS15)を考慮する。そしてシミュレーションの結果として、透過点、回折点、消滅点及び禁制点を表示する(ステップS16〜S18)。図5は、消滅則及び禁制反射の取扱いを示した概略図である。
【0028】
「消滅則」とは、原子の並び方により、回折した電子の波の振幅が打ち消し合う条件を言う。つまり、結晶構造によって、かつ電子線から見た結晶方位によって、回折点が消える条件を言う。以下、消滅した回折点を消滅点、消滅しなかった点を出現点という。
「禁制反射」とは、結晶の厚みを考慮して、ある回折点からの多重回折によって、透過波を出現点及び禁制点に平行移動して、元の消滅点に回折点が現われる現象をいう。この元の消滅点を禁制点という。計算では、測定された回折点で囲まれた領域の2倍(面積で4倍)の領域内にある回折点からの多重回折による禁制反射を考慮することにする。これ以上、透過波から離れた回折点からの多重回折の影響は無視できる程度に小さいと考えられる。
【0029】
例えば、図5(a)の○は、上記の許容誤差範囲に入るd1、d2、θcを基にした結晶相の基本パターン(測定された実測パターンに対応する)を示す。
この基本パターンに対し、解析結果から考えられる回折点の位置を計算し、回折点の面指数が消滅則により出現するか消滅するかを判定する。消滅則には一般条件と特別条件がある。一般条件は結晶構造データベース中の空間群番号から一義的に決定される。特別条件は空間群番号により異なり、結晶構造データベース中でチェックされた内容に従う。図5(b)は解析結果に消滅則を適用した結果現われた消滅点(×)を示す。消滅しないで出現する点を○で、消滅する点を×で表示している。
【0030】
次に、消滅する点が禁制反射となる可能性があるかどうかを判定する。透過波を、出現する各回折点に平行移動することで、元の消滅点に回折点が重なる場合、この点を禁制点という。図5(c)に、元の消滅点の上に、禁制点として○×を重ねて表示している。
1.3 総合評価
本発明において、前記計算パターンと前記実測パターンの一致度を、次式▲1▼〜▲4▼の因子から選ばれた、少なくとも一つの因子を用いて定量的に計算する(ステップS19)。
【0031】
本発明の電子回折パターンの解析方法では、解析結果の評価を結晶学的条件と幾何学的条件により行い、一致度をランク分け表示する(ステップS20)。
その際の評価項目は、結晶学的条件として▲1▼回折点数があり、幾何学的条件として▲2▼面間隔比、▲3▼面間角度、▲4▼カメラ定数がある。
▲1▼‘回折点数’の評価点:E1(%)
【0032】
【数5】
Figure 0004148799
【0033】
とする。上式の分母の「出現する回折点(禁制反射を含まない)」とは、消滅則により消滅しなかった出現点をいう。上式の分子の「出現する回折点(禁制反射を含む)」とは、出現点とともに、禁制反射によって禁制点として加えられた点を合わせた点をいう。
図5の例でいえば、「基本反射の点」は、図5(a)の○の8点のことである。「出現する回折点(禁制反射を含まない)」は、図5(b)の○で示される6点のことである。「出現する回折点(禁制反射を含む)」は、図5(c)の○と、○×で示される8点のことである。
【0034】
上式の分母の「又は」とは、論理和ORをとることを意味する。図5の例でいえば、図5(a)と図5(b)とを合わせた8点となる。上式の分子の「及び」は論理積ANDをとることを意味する。図5の例でいえば、図5(a)と図5(c)とに共通な8点となる。したがって、前記式の値は、8/8=100%となる。
図6は、評価点E1の低い例を示す。「基本反射の点」は、図6(a)の○の8点のことである。「出現する回折点(禁制反射を含まない)」は、図6(b)の○で示される10点のことである。「出現する回折点(禁制反射を含む)」は、図6(c)の○と、○×で示される14点のことである。
【0035】
上式の分母の「又は」とは、論理和ORをとることを意味する。図6の例でいえば、図6(a)と図6(b)とを合わせた12点となる。上式の分子の「及び」は論理積ANDをとることを意味する。図6の例でいえば、図6(a)と図6(c)とに共通な8点となる。したがって、前記式の値は、8/12=67%となる。
▲2▼‘面間隔比’の評価点(:E2(%))
【0036】
【数6】
Figure 0004148799
【0037】
とする。実測ネットパターンから求められた面間隔をD1,D2とし、候補となる結晶相の面間隔をd1,d2とする。上の式の「計算値」は、d1/d2で表され、「実測値」は、D1/D2で表される。許容誤差は、er(D1/D2)で表される。面間隔比が互いに数値的に一致すれば、E2 =100となり、面間隔比が許容誤差と同じ値になると、E2 =0となる。
▲3▼‘面間角度’の評価点:E3(%)
【0038】
【数7】
Figure 0004148799
【0039】
とする。実測ネットパターンから求められた面間角度をθm、候補となる結晶相の面間角度をθcとする。上の式の「計算値」は、θcとなり、「実測値」は、θmとなる。許容誤差は、erθである。面間角度が互いに数値的に一致すれば、E3 =100となり、面間角度が許容誤差と同じ値になると、E3 =0となる。
▲4▼‘カメラ定数’の評価点:E4(%)
【0040】
【数8】
Figure 0004148799
【0041】
とする。上の式の「計算値」は、回折パターンから計算されるカメラ定数であり、「理論値」は、回折像の撮像条件から計算されるカメラ定数であり、解析装置固有の理論値である。その許容誤差をerLλとする。カメラ定数が互いに数値的に一致すれば、E3 =100となり、カメラ定数が許容誤差と同じ値になると、E3 =0となる。
本発明では、これらの評価点数に項目別の重み係数を乗じた総和を総合評価の点数(Et)とし、その点数によりランク分けを行う。前記因子▲1▼〜▲4▼に対する重み付けをそれぞれW1〜W4とする。W1〜W4の範囲は、それぞれ
0≦W1≦10,0≦W2≦10,0≦W3≦10,0≦W4≦10,
とする。但し、Wiのうち一つ以上は0より大きいものとする。それぞれの重み付けを行った後、次式を用いて前記計算パターンと前記実測パターンとの総合的な一致度を計算する。
総合評価の点数:Et
【0042】
【数9】
Figure 0004148799
【0043】
となる。
各因子の重み係数は重要性が高い因子ほど相対的に重くするが、その際の要点を以下に述べる。
候補となる結晶相の結晶構造が明らかであれば因子▲1▼は通常は大変重要であるため、重みW1を重くする(ただし、候補となる結晶相の結晶構造が明らかでない場合は重みW1を軽くする)。次に、電子回折像の撮影や測定が適切であれば因子▲4▼も通常は大変重要な因子である。因子▲2▼と▲3▼は測定誤差に直接関係するため、通常は因子▲1▼や▲4▼より重みを軽くした方がよい。以上のような理由により、通常の条件の例としてW1:W2:W3:W4=10:2:1:10とする。
【0044】
ただし、上記の通常の条件では高い一致度が得られない場合がある。それは実際に測定した結晶の結晶構造が候補となる結晶の結晶構造と完全には一致しない場合である。すなわち、実際に測定した結晶が、候補となる結晶に他元素が固溶したこと等により格子定数や規則性の変化が生じた結晶の場合である(最先端の材料開発ではこのようなことは頻繁に生じる)。その場合に、因子▲4▼の重みを軽くすることで一致度が上がれば、候補となる結晶相の固溶体である可能性が強くなる。このような固溶体の例としてW1:W2:W3:W4=10:2:1:1とする。
【0045】
また、候補となる結晶相の結晶構造が明らかな場合で因子▲1▼の重みを軽くすることで一致度が上がれば、候補となる結晶相の規則性が変化したものである可能性が強くなる。このような規則性変化の例としてW1:W2:W3:W4=1:2:1:10とする。
ランクと総合評価点数の関係の例を以下に示す。ランクS:総合評価点数95以上、A:90以上95未満、B:80以上90未満、C:70以上80未満、D:50以上70未満、E:50未満。
【0046】
なお、前記因子▲1▼〜▲4▼のうち、いずれか2つ又は3つを任意に選んで、それぞれ重み付けを行って総合評価の点数を出すことにより、計算パターンと実測パターンとの総合的な一致度を計算することも可能である。
このように、本発明では、実測パターンと計算パターンとの一致度を定量的に評価することができ、従来はあいまいであった実測パターンと計算パターンとが完全に一致しない結晶についても同定できる。また、重み付けを変化させることによって、新しい結晶相であっても同定ができる。
【0047】
2.複数方位の解析
図7は、本発明の複数方位の解析についての処理手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しながら説明する。
2.1 写真間の角度設定
本発明の電子回折パターンの解析方法は、結晶方位の異なる複数の電子回折像についても適用することができる。すなわち、結晶を異なる角度に傾斜させて結晶方位の異なる複数の電子回折像を得、各結晶方位の間の結晶学的な角度と各電子回折像の写真撮影時の試料傾斜条件から計算される写真間の幾何学的な角度を比較し、結晶相を同定する。以下その手順を説明する(ステップT1〜T3)。
【0048】
(1)写真間の角度の許容誤差erφを設定する。
(2)各電子回折像を写真撮影した時の試料傾斜角度(xi、yi)から、その写真間の角度φを幾何学的に計算する。
(3)写真間の角度の許容誤差範囲:φ±erφを求める。
写真間の角度の求め方は試料ホルダーの動き方により異なる。図8は、JEOL製EM−31041をモデルとした試料傾斜角度を示す概略図である。図8(a)は傾斜時の試料の動き方を示す。x軸傾斜とy軸傾斜は独立せず、x軸が傾斜すればy軸座標系が傾斜するという関係である。E0,E1はそれぞれ結晶方位を表す。2枚の写真の傾斜角度を各々(x1,y1)、(x2,y2)としたときの写真間の角度φは
【0049】
【数10】
Figure 0004148799
【0050】
で表される。図8(b)は互いにφ傾いた試料面と、それらに対応する結晶方位E0,E1を示す。
2.2 写真間の角度による結晶相の絞り込み
複数の傾斜角度に傾斜させた結晶にそれぞれ電子線を照射して複数の電子回折像を作成し、各方位ごとの解析結果(上記〔1.1〕〜〔1.2〕)を得る(ステップT4)。
【0051】
絞り込み条件として、全ての写真を解析できる結晶相だけに絞り込む(ステップT5,T6)。
2つの写真において、同一結晶相にて解析された結晶方位を任意に選択する(ステップT7)。
結晶相の結晶構造データを用いて、結晶方位の間の角度(ρ)を求める(ステップT8)。
【0052】
実測の写真間角度の許容誤差範囲(φ±erφ)と結晶方位間角度ρを比較する(ステップT9)。
φ−erφ<ρ<φ+erφ
上記の範囲に入る全ての候補となる結晶相の結晶方位を求める(ステップT10)。(例えば、写真1では、結晶A:u1v1w1、u2v2w2・・・、結晶B:u3v3w3、u4v4w4・・・、写真2では、結晶A:u5V5w5、u6v6w6・・・、結晶B:u7V7w7、u8v8w8・・・を求める。)
2.3 総合評価
次に、前記計算パターンと前記実測パターンの一致度を、次式▲1▼〜▲5▼の因子のうち、少なくとも一つの因子を用いて定量的に計算する。
【0053】
すなわち、本発明の電子回折パターンの解析方法では、解析結果の評価を結晶学的条件と幾何学的条件により行い、一致度をランク分け表示する。その際の評価項目は、結晶学的条件として▲1▼回折点数、幾何学的条件として▲2▼面間隔比、▲3▼面間角度、▲4▼カメラ定数、▲5▼写真間角度の誤差(3つ以上の写真があれば平均誤差)とする。
▲1▼‘回折点数’の評価点:E1(%)は
【0054】
【数11】
Figure 0004148799
【0055】
とする。
▲2▼‘面間隔比’、▲3▼‘面間角度’の評価点(:E2(%)、E3(%))は
【0056】
【数12】
Figure 0004148799
【0057】
とする。
▲4▼‘カメラ定数’の評価点:E4(%)は
【0058】
【数13】
Figure 0004148799
【0059】
とする。
▲5▼‘写真間角度の平均誤差’の評価点(:E5%)
【0060】
【数14】
Figure 0004148799
【0061】
結晶相の結晶構造データを用いて求めた結晶方位の間の角度をρとし、実測の写真間角度をφとする。上の式の「計算値」は、ρであり、「実測値」は、φである。許容誤差は、erφである。方位間角度が互いに数値的に一致すれば、E5 =100となり、方位間角度が許容誤差と同じ値になると、E5 =0となる。本発明では、これらの評価点数に項目別の重み付けを乗じた総和を総合評価の点数(Et)とし、その点数によりランク分けを行う。
【0062】
各因子の重み係数は重要性が高い因子ほど相対的に重くするが、その際の要点を以下に述べる。前記因子▲1▼〜▲5▼に対する重み係数をそれぞれW1〜W5とする。W1〜W5の値は、それぞれ
0≦W1≦10,0≦W2≦10,0≦W3≦10,0≦W4≦10,0≦W5≦10
とする。但し、Wiのうち一つ以上は0より大きいものとする。それぞれの重み付けを行った後、次式を用いて計算パターンと実測パターンとの総合的な一致度を計算する。Wiの比率は、例えば
1:W2:W3:W4:W5=10:2:1:10:2
とする。総合評価の点数:Et
【0063】
【数15】
Figure 0004148799
【0064】
とする。
なお、前記因子▲1▼〜▲5▼のうち、いずれか2つ、3つ又は4つを任意に選んで、それぞれ重み付けを行って総合評価の点数を出すことにより、計算パターンと実測パターンとの総合的な一致度を計算することも可能である。
このようにして、本発明では、実測パターンと計算パターンとの一致度を定量的に評価することができ、従来はあいまいであった実測パターンと計算パターンとが完全に一致しない結晶についても同定できる。また、重み付けを変化させることによって、新しい結晶相であっても同定ができる。
【0065】
3.解析装置
図9は、本発明の電子回折パターンの解析装置の構成を示す概略ブロック図である。
本発明の電子回折パターンの解析装置は、電子回折像を構成する各回折点の座標を入力するための座標に有力装置(デジタイザー)1と、表示装置4と、上記各回折点の座標に基づいて推定物質によるモデルパターンである計算パターンを演算で作成し、該計算パターンと前記電子回折像の実測パターンとを上記表示装置4上に重ねて表示し、一致度を定量的に評価するための演算装置2とを具備する。
【0066】
演算装置2の機能は、いままで説明した「1.一方位の解析」及び「2.複数方位の解析」の各手順を、解析装置のコンピュータ上で実現することである。特に、本発明では、実測パターンと計算パターンとの一致度を定量的に評価するための演算装置2に、上述した因子▲1▼〜▲5▼のうち少なくともいずれか1つの因子を組み込んでいることが重要である。この機能の全部又は一部は、CD−ROMやハードディスクなど所定のメモリ3に記録されたプログラムを、処理装置のコンピュータが実行することにより実現される。
【0067】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、前記の数式[数6]〜[数8]、[数12]〜[数14]では、評価点関数は、[1−(計算値と実測値との差の絶対値)/(許容誤差)]という形であった。(計算値と実測値との差の絶対値)/(許容誤差)をxで表し、評価点をE(x)(%)で表すと、前記評価点関数E(x)は、図10(a)のような1≦xで値0をとり、0<x<1の間では一次の関数E(x)=(1−x)になる。しかし、本発明はこのような一次関数に限られるものではなく、0<x<1の間で単調に変化する関数であれば、どのような形の関数を採用してもよい。例えば図10(b)に示すようにE(x)=(1−x)2といった2次関数で表してもよい。また一般にn次関数(nは0より大きな実数)で表してもよい。さらに、図10(c)に示すようにE(x)=cos(πx/2)のような三角関数で表してもよい。
【0068】
【実施例】
実施例として、上述した本発明の因子▲1▼〜▲4▼を用いた解析方法を用いて、表1、表4、表7に示す既知結晶の解析を行った。また、上述した本発明の因子▲1▼〜▲5▼を用いた解析方法を用いて、表2、表5、表8に示す既知結晶の解析を行った。さらに、比較例として、因子▲1▼〜▲5▼を用いないで表3、表6、表9に示す従来方法の解析を行った。
【0069】
【表1】
Figure 0004148799
【0070】
【表2】
Figure 0004148799
【0071】
【表3】
Figure 0004148799
【0072】
【表4】
Figure 0004148799
【0073】
【表5】
Figure 0004148799
【0074】
【表6】
Figure 0004148799
【0075】
【表7】
Figure 0004148799
【0076】
【表8】
Figure 0004148799
【0077】
【表9】
Figure 0004148799
【0078】
表1、表4、表7の結果から明らかなように、既知試料No.1〜3を本発明の方法で同定した結果、ランク分けによる定量的な評価ができた。特に、複数方位については、表2、表5、表8に示すように、さらに信頼性の高い解析結果が得られた。
また、因子の重み付けを変更させることにより、新しい結晶であっても近い構造を持つ結晶相から同定できることを示唆する解析結果を得た。例えば表4のForsteriteの場合、仮に34−0189 Mg2SiO4(Forsterite)の結晶構造データが無かったと仮定したとき、通常条件(例えば▲1▼:▲2▼:▲3▼:▲4▼=10:2:1:10)では複数の結晶で解析され、しかもランクの差が小さいことになる。そこで、重み付けを固溶体条件(例えば▲1▼:▲2▼:▲3▼:▲4▼=10:2:1:1)にすると35−0590 CaMgSiO4が最も高い評価のため、35−0590 CaMgSiO4の固溶体と同定される。ところでCaMgSiO4はMg2SiO4(Forsterite)のMgの半分がCaに置き換わったものすなわち固溶体である。
【0079】
例えば、表7のCordieriteの場合、仮に12−0303 Mg2Al4Si518(Cordierite)の結晶構造データが無かったと仮定したとき、通常条件(例えば▲1▼:▲2▼:▲3▼:▲4▼=10:2:1:10)では13−0293 Mg2Al4Si518(Indialite)と同定されるが、ランクが低いため信頼性が低いことになる。そこで、重み付けを規則性変化条件(例えば▲1▼:▲2▼:▲3▼:▲4▼=1:2:1:10)にするとランクがSと高くなる。このような場合は、13−0293 Mg2Al4Si518(Indialite)の規則性が変化したものと同定できる。ところで、CordieriteとIndialiteは同じ組成であり、構造も酷似しているがSiとAlの並び方に差があり、前者が規則配列、後者が不規則配列である。すなわち両者は規則性だけが異なる結晶である。以上のことから測定する結晶が新規なもののために、完全に一致する結晶が無くとも、重み付けを変化させることにより同定ができる。
【0080】
一方、本発明のような因子▲1▼〜▲5▼を用いずに従来方法で解析した表3、表6、表9の場合、複数の結晶相で解析できるが、定量的な評価ができないため、結晶相の同定はできなかった。
【0081】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、計算パターンと実測パターンの一致度を、式[1]〜[5]の因子のうち、少なくとも2つ以上の因子に対しておのおの重み付けを行なった後、前記計算パターンと前記実測パターンとの総合的な一致度を示す総合因子を計算して定量的に評価することにより、電子回折像から求めた実測のパターンとその解析結果を基にした計算パターンとの一致度をランク分けして表すことができる。したがって、予め定めた許容誤差の範囲から対象となる結晶相を絞り込んでいき、最終的に、計算と実測のパターンとが合う、合わないという定性的な評価方法ではなく、実測のパターンと計算パターンとが完全に合致しない場合であっても結晶相を近似的にかつ定量的に同定することができる。このため、従来材料に利用されてもこれまでより正確な同定結果が簡単に得られるが、偶発的に新しい結晶相が発生しやすい最先端の材料開発に利用されることで特に高い効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一方位の解析についての処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一方位の解析についての処理手順を示すフローチャート(図1の続き)である。
【図3】電子回折パターンの一例を示す写真図である。
【図4】図3の電子回折像から求めた実測パターンを示す概略図である。
【図5】禁制反射等の取扱いを示した概略図である。(a)は基本パターン、(b)は解析結果に消滅則を適用した例、(c)多重反射による禁制点を適用した例を示す。
【図6】禁制反射等の取扱いを示した概略図である。(a)は基本パターン、(b)は解析結果に消滅則を適用した例、(c)多重反射による禁制点を適用した例を示す。
【図7】本発明の複数方位の解析についての処理手順を示すフローチャートである。
【図8】JEOL製EM−31041をモデルとした試料傾斜角度を示す概略図である。(a)は傾斜時の試料の動き方、(b)は2つの写真間の角度関係を示す。
【図9】本発明の電子回折パターンの解析装置を示す概略ブロック図である。
【図10】評価点関数の例を示すグラフである。
【図11】電子回折パターンの一例を示す概略図である。
【図12】電子回折パターンの実測ネットパターンを示す概略図である。
【図13】従来の電子回折パターンの解析方法の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1……座標入力装置(デジタイザー)
2……演算制御装置
3……メモリ
4……CRT表示装置

Claims (2)

  1. 結晶に電子線を照射して得られる電子回折実測パターンと、種々の物質の格子定数を含む結晶構造データベースを用いて計算された各電子回折計算パターンとに対して、パターンの一致度を評価することにより、結晶相の同定を行う電子回折パターンの解析方法において、
    前記計算パターンと前記実測パターンの一致度を、下記[数1]の因子[1]〜[5]のうち、少なくとも2つ以上の因子に対して、それぞれ重み付けを行った後、下記[数2]の式を用いて前記計算パターンと前記実測パターンとの総合的な一致度を示す総合因子を計算して定量的に評価することを特徴とする電子回折パターンの解析方法。
    Figure 0004148799
    ここで、
    は電子回折パターンの一致度を示す因子、
    は禁制反射を含む計算パターン中の回折点と基本反射(実測)パターン中の回折点との共通点の点数、
    min は禁制反射を含まない計算パターン中の回折点数と基本反射(実測)パターン中の回折点との総数(重複する点は1つに数える)、
    は面間隔比の一致度を示す因子、
    は計算パターンを示す面間隔比、
    は実測値から計算される面間隔比、
    Err は面間隔比の許容誤差、
    は面間角度の一致度を示す因子、
    は計算パターンを示す面間角度、
    は実測された面間角度、
    Err は面間角度の許容誤差、
    はカメラ定数の一致度を示す因子、
    は計算パターンから計算されるカメラ定数、
    はカメラ定数の理論値、
    Err はカメラ定数の許容誤差、
    は写真間の角度の一致度、
    は各計算パターンの結晶方位から計算される方位間角度、
    は各電子回折像の写真撮影時の試料傾斜角度から計算される写真間の角度、
    Err は写真間の角度の許容誤差である。
    Figure 0004148799
    ここで、
    は計算パターンと実測パターンの総合的な一致度を示す総合因子、
    は各因子[1]〜[5]の重み係数(但し、Wiのうち少なくとも2つ以上は0より大きい)を表す。
  2. 子回折像を構成する各回折点の座標を入力するための入力手段と、表示装置と、上記入力手段により入力された各回折点の座標に基づいて、推定物質によるモデルパターンである計算パターンを演算して作成し、該計算パターンと前記電子回折像の実測パターンとを上記表示装置上に重ねて表示させ、パターンの一致度を定量的に評価する演算制御手段とを具備し、請求項1に記載の電子回折パターンの解析方法にて結晶相の同定を行うことを特徴とする電子回折パターンの解析装置。
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