JP2582001B2 - 電子回折パターンの解析方法 - Google Patents

電子回折パターンの解析方法

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JP2582001B2 JP3100300A JP10030091A JP2582001B2 JP 2582001 B2 JP2582001 B2 JP 2582001B2 JP 3100300 A JP3100300 A JP 3100300A JP 10030091 A JP10030091 A JP 10030091A JP 2582001 B2 JP2582001 B2 JP 2582001B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、材料開発の重要な手法
の一つである電子顕微鏡を用いた材料解析を行う上で、
電子回折パターンによる物質同定を簡単且つ迅速に行う
ための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特性の良い材料を作り出すためには、母
相の結晶構造、集合組織、元素の分配等を適正に制御す
るのみでなく、母相中に析出する第2相等の析出物又は
介在物の種類、大きさ、形状並びにそれらの存在位置
(結晶粒界或いは結晶粒内など)、その分布及び母相と
の方位関係等も含めて制御する必要がある。そのために
は、それらの析出物又は介在物を的確に分析する必要が
ある。
【0003】電子顕微鏡による方法は、3nm〜10μ
mサイズの比較的広範囲にわたって、大きさ、形状、分
布、並びに、それら領域の元素、組成、結晶構造、結晶
方位に関する情報が得られ、これらの情報と各種材料特
性との関連を明確化することによって材料開発に大きく
貢献している。
【0004】電子顕微鏡による解析方法のなかでも重要
な手法の一つである物質を同定するための電子回折によ
る方法は、次のような手順で行われる。
【0005】1.カメラ常数の演算
【0006】測定物質と同一条件で測定した標準となる
既知物質(一般に既知物質としてはデバイシェラーリン
グパターンを与える多結晶が利用され、多くは面心立方
格子である金の蒸着膜が用いられている。)の格子面間
隔(dsi(Au))に対応する原点からの距離(半径)R
si(Au)を計測し、カメラ常数Lλ(dsi×Rsi)を算
出する(カメラ常数は同一測定条件において定数とな
る。)。
【0007】2.未知物質より得られた電子回折パター
ン(測定パターン)による物質同定
【0008】a.電子回折パターンの中でネットを組む
3つの斑点を選択し、各斑点と原点間の距離RXiを測定
して、先に求めてあるLλとの間で除算(di =Lλ/
Xi)を行うことにより格子面間隔di を算出する。ま
た、各斑点間の角度も測定する。
【0009】b.上述の格子面間隔di 及び構成元素等
の情報から物質を推定する。
【0010】c.測定された各斑点(格子面間隔及び斑
点間の角度)が推定物質の特定の結晶面(面指数)に対
応する結晶面間隔及び面間の角度にいずれも誤差の範囲
内で合致していること、及び、3点の面指数がベクトル
和を満足していることを夫々条件として、ネットパター
ンの推定物質による回折斑点の指数づけ(結晶構造解析
による物質同定)を行う。
【0011】d.もし合致しない場合は、逐次推定物質
を変更し、合致するまで繰り返す。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のプロセスを効率
的にしかも精度良く機能させるためには、物質同定のた
めの入力データである格子面間隔及び相互の角度は正確
でなければならず、そのためには、測定パターンの各斑
点の座標を正確に測定する必要がある。
【0013】しかしながら、各回折斑点の座標を正確に
測定するためには、透過波である原点の座標を正確に測
定する必要があるが、一般に、透過波に対応した点(回
折パターンの中心点即ち原点)は、回折波に対応した回
折斑点に比べて輝度が高く、斑点自身が極めて大きいの
で、その正確な位置を特定することは困難であった。こ
のため、従来は、測定パターンの撮影された写真やフィ
ルムを用いて回折斑点のネットパターンを組み、そのネ
ットパターンの交差点を原点として、その原点座標を基
に各回折斑点の座標をディジタイザーなどを使用して測
定していた。しかし、この方法では、原点座標の誤差
が、物質同定の入力データである格子面間隔及び角度に
対する大きな誤差として直接的に作用し、正確な物質同
定を困難にしていた。
【0014】そこで、本発明は、ディジタイザー等を用
いて各斑点の座標測定を正確且つ簡便に行うことができ
る電子回折パターンの解析方法を提供することをその課
題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、電子回折パターンを構成する各斑点の
座標から実測ネットパターンを作成し、この実測ネット
パターンから格子面間隔と各斑点間の角度を測定し、一
方、元素分析結果等に基づいて推定した物質の結晶構造
から、測定時の許容誤差を考慮して、上記格子面間隔、
上記格子面間隔の比及び上記各斑点間の角度に合致した
指数づけを行うことによって物質同定を行う電子回折パ
ターンの解析方法において、入力された各斑点の座標か
ら、原点対称をなす斑点の対を複数組選択し、これらの
複数組の斑点対から原点の座標を演算により求め、求め
られた原点座標によって上記各斑点の座標を補正し、し
かる後、上記実測ネットパターンを作成する。
【0016】具体的には、測定した全ての回折斑点の中
から原点対称をなすn対の斑点を選択し、例えば、選択
したn対の全斑点のx座標の総和をそのn対の全斑点の
数(2×n)で除算したものを原点のx座標とする。y
座標についても同様である。そして、このようにして求
めた原点の座標を(0,0)として、測定した全ての回
折斑点の座標を補正する。
【0017】本発明の好ましい態様においては、上述の
ようにして演算した原点座標を基にして、選択したn対
の斑点と原点との距離(半径r)を夫々算出し、対をな
す斑点間で半径rが所定値より大きく異なっている場
合、その対を、最初に選択したn対から除去し、残った
対の斑点を用いて再度原点座標の演算を行う。これによ
り、原点座標の誤差を小さくすることができる。
【0018】
【作用】図1は、写真のフィルムに記録された電子回折
パターンの一例である。以下、この図1の電子回折パタ
ーンを例として、本発明における実測ネットパターンの
作成及び指数づけによるモデル回折パターンの作成の方
法を説明する。
【0019】まず、指数づけについて説明する。
【0020】図1の電子回折パターンを基に実測ネット
パターンを組むと、図2に示すように、規則正しい周期
性を持っていることが分かる。但し、今の場合、説明を
簡単にするため、実測ネットパターンは、比較的明瞭な
周囲の回折斑点を用いて作成し、中央の不明瞭な原点の
座標は用いない。即ち、周囲の回折斑点から作成したネ
ットパターンの中央の交差点を原点として採用する(従
来法)。この実測ネットパターンの最小単位である斑点
1、2、3よりなる平行四辺形を基に指数づけを行う。
【0021】まず、各斑点1〜3の原点からの距離Rと
カメラ常数Lλとの間で除算を行うことにより、格子面
間隔(d1 =Lλ/R1 、d2 =Lλ/R2 、d3 =L
λ/R3 )を夫々求める。また、各斑点間の角度φ12
φ13を夫々計測する。
【0022】次に、例えば元素分析等により求められた
元素の組み合わせから推定物質(物質名、結晶構造、格
子定数等)を選択する。そして、選択された推定物質の
面指数のデータから、所定の許容誤差Δの範囲内で下記
式(1)〜(3)を満足する面指数を選択する。
【0023】 (1+Δ)d1 ≧d1 ≧(1−Δ)d1 → h1 1 1 を選択 …(1) (1+Δ)d2 ≧d2 ≧(1−Δ)d2 → h2 2 2 を選択 …(2) (1+Δ)d3 ≧d3 ≧(1−Δ)d3 → h3 3 3 を選択 …(3)
【0024】更に、選択された面指数(hkl)の組み
合わせの中から、下記式(4)〜(6)を満足する組み
合わせを選択する。
【0025】 (1+Δ)dj /d1 ≧d(hj j j )/d(h1 1 1 ) ≧(1−Δ)dj /d1 …(4) |φ1j+Δφ|≧|φ(h1 1 1 ;hj j j )|≧|φ1j−Δφ| …(5) (h3 3 3 )=(h1 1 1 )+(h2 2 2 ) …(6) 但し、j=2,3である。また、Δ及びΔφは許容誤差
である。
【0026】この時、面指数を選択する上で上記式
(1)〜(3)において、単に格子面間隔の絶対値のみ
で選択した場合には、カメラ常数の誤差によって多くの
候補が選択される結果、候補数が増大し、更には、計算
時間も増大した。そこで、本方法においては、上記式
(4)にて示すように、各3点の面間隔の比を面指数選
択の基準として導入した結果、飛躍的に精度が向上する
とともに、計算時間も短縮した。面間隔の比は同一フィ
ルム上の相対的な測定結果であるため、角度の測定値と
ともに信頼性が高い。
【0027】なお、上記式(6)において求める面間の
角度φ1j(j=2,3)は、下記数1により計算して求
める。
【0028】
【数1】
【0029】以上のプロセスを指数づけと称する。
【0030】もし、選択した結晶面を含め、条件が合致
しない場合には、推定物質の変更により、合致するもの
を試行錯誤的に求めていく。
【0031】条件の合致した面指数(hkl)の組み合
わせを基にして、下記式(7)〜(9)より晶帯軸(u
vw)を計算する。
【0032】 uh1 +vk1 +wl1 =0 …(7) uh2 +vk2 +wl2 =0 …(8) uh3 +vk3 +wl3 =0 …(9)
【0033】そして、計算して求めた(uvw)及び推
定物質の格子定数を用いてモデル回折パターン作図のた
めの各面指数に対応する座標を計算する。
【0034】そして、必要な場合には、CRT等の表示
画面にこのモデル回折パターンを作図するとともに実測
ネットパターンも作図し、両者を同時に表示して比較
し、これらを照合することによって、マッチングするモ
デル回折パターンを決定する。もし、両者のパターンが
マッチングしない場合には、推定物質の変更により、改
めて指数づけから実行し、合致するパターンを選択す
る。
【0035】上述した従来の指数づけによるモデル回折
パターンの作成においては、図1に示す電子回折パター
ンの原点の座標を正確に求めることなく、周囲の回折斑
点の座標のみから実測ネットパターンを作成し、そのネ
ットパターンの中央の交差点を原点として採用してい
た。即ち、図1から明らかなように、電子回折パターン
の原点に対応する斑点はその輪郭が不明瞭で大きく、そ
の正確な座標を測定することが不可能であった。このた
め、実測ネットパターンを組んだ時に、この原点の座標
の誤差が大きく、その結果、後の指数づけの計算の際の
許容誤差が大きくなって、一推定物質に対しても多数の
指数づけが可能となり、従って、正確な物質同定を行え
なかった。
【0036】そこで、本発明においては、実測ネットパ
ターンを作成する際に、ネットパターンを構成する各回
折斑点座標からその原点座標を正確に求め、この原点座
標を基にして正確な実測ネットパターンを作成する。即
ち、図1に示すような電子回折パターン像から、原点対
称をなす数ペアーの回折斑点を選択し、これらの数ペア
ーの回折斑点の座標から原点座標を計算により求める。
そして、このようにして求めた原点座標を基準として、
測定した全ての回折斑点の座標を補正し、しかる後、実
測ネットパターンを作成する。
【0037】このように、原点座標を正確に求めた後、
その原点座標を基にして実測ネットパターンを組むと、
後の指数づけの計算の際の許容誤差が大幅に小さくな
り、信頼性の高い指数づけによって正確なモデル回折パ
ターンを得ることができ、その結果として、精度の高い
物質同定ができる。
【0038】以上に説明した動作を図3のフローチャー
トに示す。
【0039】図4に、上述した本発明の動作を実行する
ための解析装置の構成例を示す。
【0040】写真やイメージングプレート等に記録され
た電子回折パターンの各斑点の座標は、例えば画像処理
による座標検出或いは直接的にマイクロメーター付の拡
大鏡又はディジタイザー等からなる座標入力手段1によ
り読み取られて演算手段2に入力される。演算手段2に
は、例えば、入力された各斑点の座標を記憶するための
外部記憶装置であるディスクメモリ等のメモリ3が接続
されている。推定物質のデータ等もこのメモリ3に記憶
されている。演算手段2は、入力された各斑点の座標か
ら原点対称をなす数ペアーの斑点を選択して原点座標を
演算し、求められた原点座標により各斑点の座標を補正
して、実測ネットパターンを作成する。そして、得られ
た実測ネットパターンから、格子面間隔と各斑点間の角
度を測定する。また、演算手段2は、元素分析等により
推定された推定物質のデータをメモリ3から読み出し、
上述した指数づけによるモデル回折パターンの演算を行
う。得られたモデル回折パターンと実測ネットパターン
は、必要に応じて、CRT等からなる表示手段4に重ね
て表示される。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0042】鉄鋼中の析出物の電子顕微鏡像を図5に示
す。また、その電子回折パターン、実測ネットパターン
及び元素分析結果を図6のA〜Cに夫々示す。
【0043】図6Aに示すように、電子回折パターンの
原点は、輝度が高いために、斑点の径が大きくなり、そ
の正確な原点座標を特定することができない。従って、
これまでは、数個の回折斑点を用いてネットを組み、そ
のネットの交差する点を原点として各回折斑点の座標を
算出していた。下記表1は、この方法により、図6Aの
回折パターンを10枚用意して、夫々について原点及び
各回折斑点の座標をディジタイザーを用いて測定し、斑
点1〜3の格子面間隔及び斑点2、3の角度を求めた結
果である。
【0044】 表1 スポット1 格子面間隔d1 3.75±0.15Å スポット2 格子面間隔d2 3.17±0.13Å スポット3 格子面間隔d3 2.02±0.04Å スポット1と2の角度φ12 64.1±2.3度 スポット1と3の角度φ13 35.0±1.3度
【0045】一方、下記表2は、上述した本発明の方法
を適用した測定結果である。即ち、上記と同一の回折パ
ターンを10枚用意し、夫々について原点対称をなす4
対の回折斑点をディジタイザーを用いて測定し、各斑点
対の誤差判定を実施した上で、原点座標を算出し、それ
を基に各回折斑点の座標を計算し、その結果として、斑
点1〜3の格子面間隔及び斑点2、3の角度を夫々求め
たものである。
【0046】 表2 スポット1 格子面間隔d1 3.74±0.03Å スポット2 格子面間隔d2 3.17±0.04Å スポット3 格子面間隔d3 2.03±0.01Å スポット1と2の角度φ12 63.7±1.2度 スポット1と3の角度φ13 34.8±0.9度
【0047】これらの表1及び表2から明らかなよう
に、本発明の方法を適用した場合には、その測定誤差が
極めて小さくなる。
【0048】そこで、これらのデータを使って実際に指
数づけを行い、物質同定した場合を説明する。
【0049】電子顕微鏡付属の元素分析装置によれば、
この析出物はクロム、鉄より構成されており、この物質
はCr236 (面心立方晶系 a=10.638)或いは
Cr7 3 (六方晶系 a=13.98、c=4.52
3)が予想された(なお、同試料の抽出残査を用いたX
線回折による測定結果では、Cr236 が主成分であるこ
とが確認されている。)。
【0050】そこで、表1及び表2の測定結果を使って
指数づけによる物質同定を実施した。
【0051】表1のデータの場合には、その測定誤差か
ら、格子面間隔の許容誤差を5%、角度の許容誤差を
2.3度として計算した。図7に、Cr7 3 を仮定した
場合の計算結果を示すが、(uvw)=(4 3 5)
が候補のモデル回折パターンとして良く測定パターンと
合致する。また、図9に、Cr236 を仮定した場合の計
算結果を示すが、(uvw)=(1 −1 −4)が候
補のモデル回折パターンとして良く測定パターンと合致
する。図8及び図10に示すように、夫々の候補のモデ
ル回折パターン(小さい丸)と表1の測定結果に基づく
実測ネットパターン(大きい丸)とをCRT画面上に重
ねて表示すると、両者とも良く合致していることが分か
る。従って、この表1のデータからは、Cr236 とCr7
3 とを区別することができない。
【0052】一方、表2のデータの場合には、その測定
誤差から、格子面間隔の許容誤差を5%、角度の許容誤
差を1.2度として計算した。図11に、Cr7 3 を仮
定した場合の計算結果を示すが、候補のモデル回折パタ
ーンは得られなかった。一方、図12に、Cr236 を仮
定した場合の計算結果を示すが、(uvw)=(1−1
−4)が候補のモデル回折パターンとして得られた。
図13に、Cr236の候補のモデル回折パターンと表2
の測定結果に基づく実測ネットパターンとをCRT画面
上に重ねて表示した場合を示すが、良く合致しているこ
とが分かる。このことより、本回折パターンはCr7 3
ではなく、Cr236 であることが、測定精度を良くする
ことによって、計算のみでも同定できた。この事例の場
合においては、本発明の方法を適用することによって、
特に角度の許容誤差を小さくすることができたことによ
る。なお、原点座標の演算及び各斑点座標の補正を含む
本発明の方法の全体に要した時間は約1〜2分であり、
表1の従来法の場合と大差がなかった。
【0053】なお、表1の方法においても、ネットを組
んだ点1と5、2と7、3と6は、夫々相対する点であ
り、1と2及び5と7そして1と3及び5と6は夫々同
じ格子面間隔であり、且つ、同じ角度であるので、それ
らのデータを全て用い、測定終了後にそれらのデータを
平均して格子面間隔及び夫々の角度を算出すれば誤差を
小さくすることは可能であるが、そのためには再計算の
必要があり、簡便性の点で問題がある(勿論、表2の方
法においても、同様の演算処理を行えば、誤差はより小
さくなる。)。
【0054】なお、実施例においては、座標読み取り装
置としてディジタイザーを使用したが、例えば、拡大投
影機などの高精度の座標読み取り装置を使用すれば、よ
り精度の高い測定が実施できる。
【0055】
【発明の効果】鉄鋼中の第2相である各種析出物の材料
中の挙動は大きく材料特性を支配し、従って、これらの
物質を特定することは材料開発において重要な意義を持
つ。実施例で述べたように、電子顕微鏡による元素分析
結果のみではこれらの物質の同定は困難であるが、電子
回折を併用することにより正確な同定ができる。従来、
これらの物質の同定に当たって、より信頼性を高めるた
めには、正確な測定データが必要とされていた。
【0056】本発明はこれら従来の問題点を解決したも
ので、本発明によって、回折パターンの測定を簡便、迅
速、且つ、特に経験を有さずとも、正確に処理できるよ
うになった。
【0057】以上のように、本発明は、電子顕微鏡を活
用した材料の開発に大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子回折パターンの一例を示す図である。
【図2】図1の電子回折パターンの実測ネットパターン
を示す図である。
【図3】本発明の処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図4】本発明の方法を実施するための解析装置の構成
を示すブロック図である。
【図5】鉄鋼中の析出物を説明するための金属組織を示
す写真である。
【図6】A〜Cは、図5の析出物の電子回折パターン、
実測ネットパターン及び元素分析結果を夫々示す図であ
る。
【図7】原点座標を計算しないで求めたデータを用い、
Cr7 3 に関して指数づけを行った結果を示す図であ
る。
【図8】図7の指数づけの結果をCRT画面上に表示し
た場合を示す図である。
【図9】原点座標を計算しないで求めたデータを用い、
Cr236 に関して指数づけを行った結果を示す図であ
る。
【図10】図9の指数づけの結果をCRT画面上に表示
した場合を示す図である。
【図11】本発明の方法を適用して原点座標を計算した
結果得られたデータを用い、Cr7 3 に関して指数づけ
を行った結果を示す図である。
【図12】本発明の方法を適用して原点座標を計算した
結果得られたデータを用い、Cr236 に関して指数づけ
を行った結果を示す図である。
【図13】図12の指数づけの結果をCRT画面上に表
示した場合を示す図である。
【符号の説明】
1 座標入力手段 2 演算手段 3 メモリ 4 表示手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子回折パターンを構成する各斑点の座
    標から実測ネットパターンを作成し、この実測ネットパ
    ターンから格子面間隔と各斑点間の角度を測定し、一
    方、元素分析結果等に基づいて推定した物質の結晶構造
    から、測定時の許容誤差を考慮して、上記格子面間隔、
    上記格子面間隔の比及び上記各斑点間の角度に合致した
    指数づけを行うことによって物質同定を行う電子回折パ
    ターンの解析方法において、 入力された各斑点の座標から、原点対称をなす斑点の対
    を複数組選択し、これらの複数組の斑点対から原点の座
    標を演算により求め、求められた原点座標によって上記
    各斑点の座標を補正し、しかる後、上記実測ネットパタ
    ーンを作成することを特徴とする電子回折パターンの解
    析方法。
  2. 【請求項2】 一旦斑点対を選択して原点座標を演算し
    た後、得られた原点座標に対して対称性の悪い斑点対を
    最初に選択した斑点対から除き、残りの斑点対によって
    再度原点座標を演算することを特徴とする請求項1に記
    載の電子回折パターンの解析方法。
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