JP4146932B2 - インクジェットヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体をオリフィスから吐出して液滴を形成するインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に適用されるインクジェットヘッドは、一般に微細なインク吐出口(オリフィス)、液流路およびこの液流路の一部に設けられるインク吐出圧発生部を備えている。
【0003】
従来、このようなインクジェットヘッドを作成する方法として、種々の方法が提案されている。例えば、特開昭56―123869号公報に提案されているように、インク吐出圧発生素子が設けられている基板上に、感光性樹脂によってノズル流路(液流路)壁を形成し、その上に覆う板を貼り合わせノズル流路を形成し切断によって吐出口を形成する方法がある。
【0004】
また、特開昭62―253457号公報に提案されているように、ノズル流路が形成される場所に型材として樹脂を形成しておき、その上に型材に不溶な樹脂を塗布し硬化させ、切断によって吐出口を形成し、最後に型材の樹脂を溶解除去しノズル流路を形成する方法がある。
【0005】
また、ノズル流路壁を樹脂で形成し、吐出口を形成したノズル板(オリフィスプレーと)を貼り合わせ、ノズル流路を形成する方法が提案されている。上記3つの製法ともノズル流路を形成する材料はその形成容易性から樹脂が使用されている。ところで、インクジェットヘッドは、通常その使用環境下にあってはインクと常時接触している。それゆえインクジェットヘッドを形成する構造材料はインクからの影響を受けて強度低下を起こすことなく、また逆にインク中に、記録特性を低下させるような有害成分を与えることのないものである事が望まれるが、上記従来の樹脂においては必ずしもこれら目的に適った材料、形成条件を選択することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来、ノズル構成材料に用いられる有機材料は特開昭56―123869号公報に開示されているようにビニールモノマー樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、環化ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、などがある。
【0007】
また、特開昭62―253457号公報に開示されているようにエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ジグリコールジアルキルカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂などがある。
【0008】
ところで、最近インクジェット記録法の特徴である紙選択性向上(普通紙対応)が要求されている。そのため、従来とは異なった設計のインクが提案されている。インクのにじみ率の異なる紙の選択性の向上のために特に普通紙はコート紙に比較してにじみやすく印字濃度が低くなる。従って、印字濃度が上がるようにインク中の染料濃度を上げなければならなかった。しかしながら、染料濃度を上げるとノズル先端部で染料が析出するいわゆる固着現象が発生する虞が増大し、信頼性の低下を招いてしまう。そこで、従来インク中に保湿剤である尿素を添加することで、染料濃度を上げても固着現象が発生しないようにインク設計をしている。
【0009】
図9に示すようなヘッドに前記のような思想で設計されたインク(尿素入りインク)を詰め長期信頼試験を行った結果、ヘッドが故障する問題が発生した。故障を解析すると、天板100の液流路200を形成している樹脂壁300部分が基板400と剥がれ、液流路200を形成している樹脂壁300が溶けてなくなってしまっていることがあった。従って、従来の有機樹脂では尿素入りインクに対しての信頼性が不十分であり、よって被膜形成が容易であり、尿素入りインクに対する信頼性が十分である樹脂材料が必要となった。
【0010】
更に普通紙対応ではなく、種々の媒体に記録可能なインクの開発が行われている。従って、今後インクの要求性能が高まるにつれ、従来の中性インクからアルカリ性インクなどにも変わる可能性があり、その面でもインク選択性の幅が重要となってきた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであって、耐アルカリ性および被覆性に優れたノズル構成材料を有するインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【0012】
該目的を達成する本発明は、液体吐出用のオリフィスに連通する液路に内包され前記オリフィスから液体を吐出するために液体に熱エネルギーを与えて液体中に気泡を形成させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体と電気的に接続された一対の電極と、を備える基板と、前記オリフィスが設けられ、前記基板と接合されることで前記液路を形成するオリフィスプレートと、を有し、アルカリ性インクを吐出可能なインクジェットヘッドであって、前記基板は表面にTaおよびSiO2のいずれかからなる層を有し、前記オリフィスプレートは溶剤残存量が4%以下のポリエーテルアミドの膜を介して前記層と接合されていることを特徴とするインクジェットヘッドである。
【0013】
更に本発明は、液体吐出用のオリフィスに連通する液路に内包され前記オリフィスから液体を吐出するために液体に熱エネルギーを与えて液体中に気泡を形成させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体と電気的に接続された一対の電極と、を備える基板と、該基板と接合されることで前記液路を形成する膜と、を有し、アルカリ性インクを吐出可能なインクジェットヘッドであって、前記基板は表面にTaおよびSiO2のいずれかからなる層を有し、前記膜は溶剤残存量が4%以下のポリエーテルアミドからなり、前記層と接合されていることを特徴とするインクジェットヘッドである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0015】
まず、ポリエーテルアミド膜の耐インク性を調べるために以下の実験を行った。
【0016】
(実験1)
Siウエファーに熱酸化により2.5μm厚のSiO2膜を形成し基板とした。基板に2.5μm厚のポリエーテルアミド HIMAL HL−1200(商標名:日立化成工業社製)層を以下の工程にしたがって作成した。即ち、基板を洗浄、乾燥後、前述の熱酸化SiO2膜上にポリエーテルアミド溶液(500cps)をスピンナーでコーティングした。次ぎに、70℃で30分間溶剤を予備乾燥させた後、表1に示す条件で本ベークを行い、複数の試料を作成した。これら各試料の膜中の残存溶剤(n−メチル−2−ピロリドン)量をガスクロマトグラフィーによって測定した。また、各試料を、エチレングリコール:5wt%、尿素5wt%、水:balance の組成を持つ溶液を試験インクとし、60℃保存試験及びPCTを行い、膜の状態を観察するとともに膜厚変化を測定した。その結果を表1に示す。
【0017】
表1の結果から明らかなように、いずれのポリエーテルアミド膜も60℃3か月保存試験及びPCTにおいて消滅してしまうものはなかった。これに対して、ポリイミド膜 フォトニースUR−3100(商標名:(株)東レ製)を、400℃でベークし、2.5μm厚の膜としたものに、表1と同様の試験を行ったところ、60℃3か月保存試験及びPCTにおいて、フォトニース膜は消滅していた。また、ポリエーテルアミド膜の膜中残存溶剤量4.0%以下の場合、ポリエーテルアミド膜の膜厚が試験インク中の水分によって膨潤している現象は観察されるが、部分的な溶解も認められなかった。
【0018】
このように上記実験から本発明のポリエーテルアミド膜が優れた耐アルカリ性を有することが理解されよう。また、特にポリエーテルアミド膜の膜中残存溶剤量4.0%以下の場合が優れていることがわかる。
【0019】
(実施例1)
次ぎに、以下に示す方法によってインクジェットヘッドを作成し、吐出試験を行った。
【0020】
まず、5インチSiウエファーに熱酸化により2.5μm厚のSiO2膜を形成しこれを蓄熱層とした。基板(Siウエハー)にスパッタにより発熱抵抗層としてHfB2を0.15μmの厚みに形成し、続いて電子ビーム蒸着によりTi層0.005μm、Al層0.5μmを連続的に堆積し電極層を形成した。フォトリソ工程により、図1のようなパターンを形成し、図中ヒーター270のサイズは30μm幅、150μm長でAl電極の抵抗も含めて150オームであった。
【0021】
次に基板上の全面にSiO2をスパッタにより2.2μmの厚さで堆積した(第1保護層の形成)。続いてこの上部全面にスパッタにより0.5μmのTaからなる第2の保護層を積層し、パターニングした。
【0022】
次いで、この基板上に図2に示すような溝付天板を接着した。この溝付天板はガラスよりなる天板500上にポリエーテルアミド(HIMAL)溶液(900cP)をスピンコーティングによって2重塗りした後、70℃で30分の乾燥後、表2(a)〜(c)に示す条件でベークを行った。出来上がったポリエーテルアミド膜600の膜厚は50μmであった。
【0023】
そしてポリエーテルアミドをベークしたガラス板の、ポリエーテルアミドを塗布したのと反対側の面にレジストを塗布し、インク供給口を形成するためのパターンを形成し、ふっ酸と弗化アンモニウム水溶液の混合液によって天板500をパターニングした後、レジストを剥離し、天板500の分離をダイサーによって行った。その後このポリエーテルアミド膜600に、切削加工によって、溝サイズ、幅50μm×深さ40μm×長さ2mmの液流路210を形成した。図2に外観を示す。
【0024】
従来はガラス板500を直接切削加工することによって液流路210を形成していたが、本例のようにガラス板500上にポリエーテルアミド600を塗布し、このポリエーテルアミド膜600を切削加工する場合、ガラス板500を直接切削加工する場合に見られた割れ、かけなどはまったく起こらなかった。
【0025】
次いで、ウエハーを個々のヘッド用基板に分割した後、この図2に示した溝付天板500を図3に示すように、基板410に押えばね650の付勢力によって貼り合わせ、圧着固定した。
【0026】
このようにして作成したインクジェットヘッドの電気熱変換体に10μsの30Vの矩形電圧を3kHzで印加すると印加信号に応じて液体がオリフィスから吐出されて、飛翔的液滴が安定的に形成された。
【0027】
このような液滴の形成を繰り返すと製造不良のヘッドにおいてはAl電極の電食やTa保護層とAl電極間の絶縁破壊などにより断線が生じインクを吐出しなくなる。この時点での繰り返し数を本願においては耐久回数と定義する。
【0028】
ポリエーテルアミドのベーク条件を変えた3種類のサンプルと、ポリエーテルアミドの代わりにフォトニース(ポリイミド)を用いたサンプル1種類、計4種類のサンプルについて、耐久回数を比較した結果を表2に示す。
【0029】
表2の結果から明らかなように、本発明のヘッド、即ちポリエーテルアミド膜中の残存溶剤が4.0wt%以下のサンプル(b)及び(c)ならば、耐久回数109回を安定して達成できる。109回の吐出を終えた後の印字品位も良好である。当然ながら、溝付天板とノズルを構成するポリエーテルアミドの剥がれ等の問題も発生しなかった。従ってマルチヘッドとしての使用に適している。
【0030】
なお、サンプル(a)及びフォトニースは、ノズルの形状変化が見受けられ印字品位は劣化していた。特にフォトニースを用いたサンプルは、ノズル構成部材が消失しており、印字品位の劣化も著しいものであった。
【0031】
(実施例2)
実施例1と同様の基板420上に、電子ビーム蒸着によりアルミを5μm堆積した。その後このアルミ膜上にレジストパターンを形成し、液流路220のパターン状にAl膜をパターニングした。この基板420上に所定の間隙を介して液流路の覆いとなる部材520を載せ、基板の周囲をテフロンテープで覆った状態で、ポリエーテルアミド620を基板420と液流路の覆いとなる部材520の間の間隙に流し込み、これをベークした。ベーク条件は表3(A)〜(C)の通りである。ベークの後、テフロンテープおよび液流路のパターン状に形成されたアルミを除去し、基板420を切断分離し、図4に示すようなインクジェット記録ヘッドとした。
【0032】
このようにして作成したインクジェットヘッドの電気熱変換体に10μsの30Vの矩形電圧を3kHzで印加すると印加信号に応じて液体がオリフィスから吐出されて、飛翔的液滴が安定的に形成された。
【0033】
ポリエーテルアミドのベーク条件を変えた3種類のサンプルと、ポリエーテルアミドの代わりにフォトニース(ポリイミド)を用いたサンプル1種類、計4種類のサンプルについて、耐久回数を比較した結果を表2に示す。
【0034】
表2の結果から明らかなように、本発明のヘッド、即ちポリエーテルアミド膜中の残存溶剤が4.0wt%以下のサンプル(B)及び(C)ならば、耐久回数109回を安定して達成できる。109回の吐出を終えた後の印字品位も良好である。当然ながら、溝付天板とノズルを構成するポリエーテルアミドの剥がれ等の問題も発生しなかった。従ってマルチヘッドとしての使用に適している。
【0035】
なお、サンプル(A)及びフォトニースは、ノズルの形状変化が見受けられ印字品位は劣化していた。特にフォトニースを用いたサンプルは、ノズル構成部材が消失しており、印字品位の劣化も著しいものであった。
【0036】
(実施例3)
実施例1と同様の方法によって第2の保護層であるTa層を形成した後、3μm厚のポリエーテルアミド層を図1の斜線部分、すなわち保護層260部分に以下の工程にしたがって作成した。
【0037】
すなわち、第2の保護層の形成された基板を洗浄、乾燥後、第2の保護層上にポリエーテルアミド(HIMAL)溶液(500cp)をスピンナーでコーティングした。70℃で30分の乾燥後、120℃で3時間ベークを行った。
【0038】
ベークを行った後、ポリエーテルアミド膜上にノボラック系ポジレジストOFPR800(商標名:東京応化工業社製)を12μm厚にスピンナーで塗布し、プリベーク後マスクアライナーを用いて露光し、現像処理を行った。次に酸素プラズマアッシャー中に投入し、ポリエーテルアミドのアッシングを行いヒーター270上部のポリエーテルアミドを取り除き、液流路となる部分は残した。ポリエーテルアミドのアッシングレートはベーク条件に影響を受けず、0.2μm/分であった。15分間酸素プラズマ中に放置し、2.5μmのポリエーテルアミドをアッシングした。その後リムーバー(シプレイ1112A)に浸漬し超音波を加え、OFPR800を剥離した。また熱作用面周辺部の除去部分の形状は図1に示す通りでサイズは50μm×250μmの大きさである。
【0039】
この基板上に図5に示すような溝付天板を接着した。この溝付天板はガラスよりなる天板500上にポリエーテルアミド(HIMAL)溶液(900cP)をスピンコーティングによって2重塗りした後、70℃で30分の乾燥後、表2(a)(c)に示す条件でベークを行った。出来上がったポリエーテルアミド膜600の膜厚は50μmであった。
【0040】
そしてポリエーテルアミド膜600をベークしたガラス板500の、ポリエーテルアミド膜600を塗布したのと反対側の面にレジストを塗布し、インク供給口を形成するためのパターンを形成し、ふっ酸と弗化アンモニウム水溶液の混合液によって天板500をパターニングした後、レジストを剥離し、天板500の分離をダイサーによって行った。その後このポリエーテルアミド膜600に、切削加工によって、溝サイズ、幅50μm×深さ40μm×長さ2mmの液流路230を形成した。
【0041】
従来はガラス板500を直接切削加工することによって液流路230を形成していたが、本例のようにガラス板500上にポリエーテルアミド600を塗布し、このポリエーテルアミド600を切削加工する場合、ガラス板500を直接切削加工する場合に見られた割れ、かけなどはまったく起こらなかった。
【0042】
この溝付天板を図5に示すように、基板430に貼り合わせた。すなわち、基板430を300℃のホットプレート上におき、溝付天板500を重ね合わせて位置合わせした後、300℃に加熱したヒーターで溝付天板500に10秒間圧力を加え、基板430に熱溶着した。
【0043】
本実施例においては、基板430のノズル壁下部に相当する部分にもポリエーテルアミドを設けたが、これはポリエーテルアミドでノズルを形成した天板500の、基板への溶着を容易にするためである。基板430にポリエーテルアミドを塗布していなくとも、天板500にポリエーテルアミドが塗布してあれば溶着は可能であるが、基板430上に設けられた配線の段差が大きい場合には、基板430上にポリエーテルアミドを塗布することによって配線の段差が吸収されるので、溝付天板500の溶着が容易になる。
【0044】
このようにして作成したインクジェットヘッドの電気熱変換体に10μsの30Vの矩形電圧を3kHzで印加すると印加信号に応じて液体がオリフィスから吐出されて、実施例1と同様に飛翔的液滴が安定的に形成され、印字品位も良好であった。また、溝付天板とノズルを構成するポリエーテルアミドの剥がれ等の問題も発生しなかった。
【0045】
(実施例4)
実施例1と同じ要領で基板410を形成した。この基板410上にポリエーテルアミド(HIMAL)溶液(900cP)をスピンコーティングにより2重塗りした後、70℃で30分の乾燥後、120℃ 3時間加熱しベークを行った。出来上がったポリエーテルアミド膜の膜厚は30μmであった。このポリエーテルアミド膜にレジストパターンを形成し、酸素プラズマにより液流路形状を形成した後、レジストパターンを剥離した。
【0046】
また、オリフィスプレート700は、金属板(Cu)にエッチング用レジストを塗布し、液流路800をパターニングしエッチング用レジスト剥離した後、YAGレーザーを用いて吐出口250の穴開けをし、最後に表面へ金めっき処理を施した(図6参照)。なお、本例においてエッチング用レジストにはPMERP-RF30S(商品名:東京応化社製)を用いた。
【0047】
これら基板410とオリフィスプレート700を位置合わせして貼り合わせた後、300℃に加熱されたホットプレート上に置き、さらに300℃に加熱したヒーターでオリフィスプレート700に10秒間圧力を加え、基板410に熱溶着した。外観を図7に示す。
【0048】
このようにして作成したインクジェットヘッドの電気熱変換体に10μsの30Vの矩形電圧を3kHzで印加すると印加信号に応じて液体がオリフィスから吐出されて、実施例1と同様に飛翔的液滴が安定的に形成され、印字品位も良好であった。また、基板とノズルを構成するポリエーテルアミドの剥がれ等の問題も発生しなかった。
【0049】
(実施例5)
実施例1と同じ要領で基板を形成した。この基板上にポリエーテルアミド(HIMAL)溶液(900cP)をスピンコーティングにより2重塗りした後、70℃で30分の乾燥を行った。
【0050】
この基板に、液流路および吐出口を形成するために図8に示す樹脂製のオリフィスプレート710を接着した。このオリフィスプレート710は、成形によって液流路810を一体に形成し、エキシマレーザーにて吐出口255を形成したものである。
【0051】
次いで、基板にオリフィスプレート710を位置合わせ、接合し、室温で荷重を加えた状態で、真空チャンバー中に放置し、ポリエーテルアミドを溶解している溶剤(NMP、ブチルセロソルブアセテート)を蒸発させた。
樹脂からなるオリフィスプレートを高温で熱圧着すると、液流路、吐出口が形状的に悪影響を受ける虞があるが、本実施例によれば、オリフィスプレートの接合に加熱する必要がないため、基板及び極めて安価に作成可能な樹脂製のオリフィスプレートを、上述の悪影響を受けることなく接着することが可能となる。
【0052】
このようにして作成したインクジェットヘッドの電気熱変換体に10μsの30Vの矩形電圧を3kHzで印加すると印加信号に応じて液体がオリフィスから吐出されて、実施例1と同様に飛翔的液滴が安定的に形成され、印字品位も良好であった。また、基板とノズルを構成するポリエーテルアミドの剥がれ等の問題も発生しなかった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば以下のような効果を奏することができる。
・ポリエーテルアミドによって液流路、オリフィス、液流路の覆いの少なくとも、いずれかの一つのインクに接する部分を形成することにより尿素入りアルカリインクに対して安定な有機膜を具備する、信頼性の極めて高いインクジェットヘッドを形成することが可能となる。
・液流路、オリフィス、液流路覆いの、少なくとも、いずれか一つの接合部分をポリエーテルアミドとして、ポリエーテルアミドを溶解していた溶剤を、加熱圧着、真空中放置などの方法により乾燥させることにより、これらを良好に接着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒーターボードの模式的平面図である。
【図2】本発明の実施例1の溝付天板を示す外観摸式図である。
【図3】本発明の実施例1のインクジェットヘッドを示す外観摸式図である。
【図4】本発明の実施例2のインクジェットヘッドを示す外観摸式図である。
【図5】本発明の実施例3のインクジェットヘッドを示す外観摸式図である。
【図6】本発明の実施例4のオリフィスプレートを示す外観摸式図である。
【図7】本発明の実施例4のインクジェットヘッドを示す外観摸式図である。
【図8】本発明の実施例5のオリフィスプレートを示す外観摸式図である。
【図9】従来のインクジェットヘッドの外観摸式図である。
【符号の説明】
210、220、230、800、810 液路
250、255 吐出口
270 発熱抵抗体(ヒーター)
410、420、430 基板
500、520 溝付天板
600、620、900 ポリエーテルアミド膜
700、710 オリフィスプレート
Claims (5)
- 液体吐出用のオリフィスに連通する液路に内包され前記オリフィスから液体を吐出するために液体に熱エネルギーを与えて液体中に気泡を形成させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体と電気的に接続された一対の電極と、を備える基板と、
前記オリフィスが設けられ、前記基板と接合されることで前記液路を形成するオリフィスプレートと、
を有し、アルカリ性インクを吐出可能なインクジェットヘッドであって、
前記基板は表面にTaおよびSiO2のいずれかからなる層を有し、
前記オリフィスプレートは溶剤残存量が4%以下のポリエーテルアミドの膜を介して前記層と接合されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記オリフィスプレートは、樹脂の一体成形で形成されたものである請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記オリフィスプレートと前記層とは、前記膜を介しての加熱圧着によって接合されている請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記オリフィスプレートと前記層とは、前記膜を介しての真空乾燥によって接合されている請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 液体吐出用のオリフィスに連通する液路に内包され前記オリフィスから液体を吐出するために液体に熱エネルギーを与えて液体中に気泡を形成させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体と電気的に接続された一対の電極と、を備える基板と、
該基板と接合されることで前記液路を形成する膜と、
を有し、アルカリ性インクを吐出可能なインクジェットヘッドであって、
前記基板は表面にTaおよびSiO2のいずれかからなる層を有し、
前記膜は溶剤残存量が4%以下のポリエーテルアミドからなり、前記層と接合されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
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