JP4146248B2 - 浴槽水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、装置内の濾過流路内などに繁殖しやすい雑菌を熱殺菌することのできる浴槽水処理装置に適用される浴槽水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、浴槽内の浴槽水を循環濾過させながら設定温度に保温して、長時間浴湯の入れ替えをすることなく、常時、入浴可能な状態を保つことのできる浴湯循環濾過装置が使用され、風呂準備の手間がかからず、かつ、節水効果もあることから需要を伸ばしてきた。
【0003】
この一般的な構成の浴湯循環濾過装置は、例えば、装置本体内に浴湯流路を介して連通連結する循環ポンプと濾過器と熱交換器(ヒータ)とを配設し、浴湯流路の一端に浴槽内の浴湯吸入口を連通させ、他端には同じく浴槽内に浴湯吐出口を設けて、両者を連通連結して浴湯循環流路を形成している。
【0004】
ところが、上記構成の浴湯循環濾過装置では、浴槽水の循環流路中に配設された濾過器内の濾過材などに浴湯中の塵や垢が付着して肺炎を誘発するレジオネラ属菌などが増殖しやすくなるおそれがあった。特に24時間にわたって使用される温泉や公衆浴場などにおいては、レジオネラ属菌の増殖を防止することが大きな課題となっている。
【0005】
このような浴槽水中のレジオネラ属菌などの雑菌を殺菌する方法として、次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素、二酸化塩素などの薬品類を用いて浴湯流路を殺菌するようにした化学殺菌方法が知られている。しかし、これらの化学殺菌方法はいずれも薬品コストが嵩む点や、薬剤処理の煩雑さや危険性などの取り扱いの点で問題があった。このため、循環流路などに高温水を流すことによって、流路に付着したレジオネラ属菌などの雑菌を熱殺菌する方法が提案されている。
【0006】
例えば特許文献1には、浴湯循環流路中に配設した循環ポンプと濾過器とヒータとを、浴槽の近傍に設置可能とした装置本体内に収納配設し、浴槽内の浴湯を循環しながら加温・濾過可能とした浴湯循環濾過装置において、前記循環ポンプと濾過器との間に流路切換弁を設け、同流路切換弁により流路を切り換えて濾過運転、逆洗運転、洗浄運転を行えるようにすると共に、前記浴湯循環流路の往路側と復路側との間にバイパス流路を設け、装置本体内に、バイパス流路と循環ポンプと濾過器とヒータとを含む循環閉流路を形成し、同循環閉流路内の浴湯を、一定温度以上で一定時間循環させる熱殺菌運転を行えるようにした浴湯循環濾過装置が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−292947号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されているように従来の浴湯循環濾過装置及びこれに適用される浴槽水の処理方法は、濾過運転と逆洗運転などの各運転モードに変更する際に、流路切換弁を切り換えて浴槽水を濾過器に流して内部の汚れを洗い流して外部に排出するようにしている。ところが、このときパイプ配管内に水の流れることがないデッドスペースが生じ、洗浄が不完全となるため、汚れ及び菌類の死骸等が完全に排出されないという課題があった。
【0009】
また、加熱操作により濾過器や循環流路内に溜まった高温の浴槽水が洗浄工程で耐熱性に乏しい排水管に流れ込み、排水管が変形したり接合部が外れたりして水漏れなどのトラブルが発生するという課題があった。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、各運転モードの切り換えに伴って装置流路内に発生するデッドスペース部分の汚れた高温水を排出でき、レジオネラ属菌などの繁殖を効果的に抑制して安全性に優れ、高温排水で排水管を劣化させることがない浴槽水の処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、浴槽内に貯留された浴槽水を取り込んで濾過加熱処理を行い、この処理された浴槽水を前記浴槽内に循環供給する浴槽水処理装置を用いた浴槽水の処理方法であって、(A)前記浴槽水をポンプ部を介して濾過器及び熱交換器に流して濾過加熱処理を行って所定温度に調整浄化された浴槽水を前記浴槽内に供給する濾過加熱工程と、(B)前記濾過加熱工程に続いて前記浴槽水処理装置内の循環流路に前記熱交換器で所定温度に加熱された浴槽水を前記ポンプ部を介して循環させる加熱循環洗浄工程と、(C)前記浴槽内の浴槽水を前記ポンプ部を介して吸引してその一部を前記濾過加熱工程と逆方向から前記濾過器に内蔵された濾過材に流した後、その残部と合流させて外部に排出させる調温排水逆洗工程と、(D)前記調温排水逆洗工程を所定時間実施した後、前記浴槽水処理装置内の循環流路に貯留された浴槽水を前記ポンプ部を介して循環させる非加熱循環洗浄工程と、(E)前記非加熱循環洗浄工程を所定時間実施した後、前記浴槽内の浴槽水を前記ポンプ部を介して吸引して前記濾過加熱工程と逆方向から前記濾過器に内蔵された濾過材に流して外部に排出させる非調温排水逆洗工程と、を有している。
【0012】
これによって各工程の切り換え時に生じる装置流路内のデッドスペースの汚れた高温水を排出できると共に、調温排水逆洗工程を有するので、高温排水の流れ込みによる排水管の変形や脱落などのトラブルがなくメンテナンス性にも優れている。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の浴槽水の処理方法は、(A)浴槽水をポンプ部を介して濾過器及び熱交換器に流して濾過加熱処理を行って所定温度に調整浄化された浴槽水を前記浴槽内に供給する濾過加熱工程と、(B)濾過加熱工程に続いて前記浴槽水処理装置内の循環流路に前記熱交換器で所定温度に加熱された浴槽水を前記ポンプ部を介して循環させる加熱循環洗浄工程と、(C)濾過器に内蔵された濾過材に浴槽内の浴槽水をポンプ部を介して吸引してその一部を前記濾過加熱工程と逆方向から流した後、その残部と合流させて外部に排出させる調温排水逆洗工程と、(D)調温排水逆洗工程を所定時間実施した後、浴槽水処理装置内の循環流路に貯留された浴槽水をポンプ部を介して循環させる非加熱循環洗浄工程と、(E)非加熱循環洗浄工程を所定時間実施した後、濾過器に内蔵された濾過材に浴槽内の浴槽水をポンプ部を介して吸引して濾過加熱工程と逆方向から流して外部に排出させる非調温排水逆洗工程と、を有している。このような(A)濾過加熱工程、(B)加熱循環洗浄工程、(C)調温排水逆洗工程、(D)非加熱循環洗浄工程、(E)非調温排水逆洗工程からなる一連の工程をセットとして実行することにより、各工程において生じるデッドスペース部分をカバーして熱殺菌や洗浄処理を効率的に行うことができ、これによってレジオネラ属菌などの繁殖を抑制して浴槽水の殺菌濾過処理を効率的に行えると共に、調温排水逆洗工程を有するので高温排水の流れ込みによる排水管系統の劣化を防いで低コストでメンテナンスを行うことができる。
【0018】
(A)濾過加熱工程は、浴槽に貯留された浴槽水を取り出して、これを濾過して所定温度に加熱する工程である。すなわち、浴槽内の浴槽水をポンプ部を介して吸引して、この浴槽水を、濾過材を円筒状容器内に層状に敷きつめて形成した濾過器と、熱交換器に流すことにより、所定温度に加熱された清浄な浴槽水を浴槽内に戻す工程である。
【0019】
(B)加熱循環洗浄工程は、前記浴槽と連結する浴槽水の吸引管と供給管とを閉鎖して、前記ポンプ部、濾過器、熱交換器を巡る循環回路を形成して、熱交換器を介して60〜65℃に加熱された浴槽水を循環回路に所定時間、例えば10〜30分間循環させる工程である。この加熱循環洗浄工程の実施時間が10分間より短いと殺菌が不十分となる傾向が現れ、逆に30分より長くしても30分間の処理でほとんどのレジオネラ属菌などが死滅しているため無駄時間が増えるだけなので好ましくない。
【0020】
(C)調温排水逆洗工程は、ポンプ部を介して吸引された浴槽内の比較的低温の浴槽水を所定比率、浴槽水と高温水との比率が7:3となるように分流して高温水で満たされた濾過器に供給して濾過材の逆洗を行う。一方、残部の浴槽水を排水管側で合流させる。これによって外部の配管系に排出される排水温度を調整して排水管系統を保護すると共に、濾過器内の濾過材に前記熱殺菌工程とは逆方向に浴槽水を流して濾過材に堆積付着したゴミや汚物、レジオネラ属菌の死骸などを排水管などを介して外部に排出させることができる。
【0021】
なお、調温排水逆洗工程においては、この温度調節される排水の温度を50℃以下として2〜4分間逆洗を行うことが好ましい。これは、排水系統に適用する塩化ビニルなどのプラスチック製パイプ材の種類やその接合強度にもよるが、排水の温度が50℃を超えると、配管系に熱ひずみなどが生じて水漏れなどのトラブルが発生しやすくなるからである。また、この逆洗時間が2分より短いと濾過材の逆洗が不十分となって安全性が低下する傾向が現れ、逆に4分より長く逆洗してもそれ以上洗浄効果が望めない上に無駄な時間を生じて効率が低下する傾向が現れるので好ましくない。
【0022】
(D)非加熱循環洗浄工程は、前記加熱循環洗浄工程における熱交換器を作動させることなく循環流路に溜まった浴槽水を循環させる工程であり、これによって、配管系に過度の熱負荷をかけることなく、配管中の汚れを濾過材に戻すことができる。この非加熱循環洗浄工程は、約20〜60秒間行うことが好ましい。これは各工程における実施時間や洗浄条件などにもよるが、20秒より短いと配管中の汚れを濾過材に戻す際の確実性が低下し、逆に60秒を越えて実施してもそれ以上の効果が見込まれず全体の作業時間が長くなって非効率になるからである。
【0023】
(E)非調温排水逆洗工程は、ポンプ部で汲み上げられた浴槽水の全量を濾過器の下部に供給して濾過材の上部から排出させることにより、前記非加熱循環洗浄工程で溜まったすべての汚れを系外に排出させる工程である。この非調温排水逆洗工程は約2〜4分間、好ましくは3分程度実施するのが好ましい。この逆洗工程の時間が2分より少ないと汚れの系外への排出が不十分となり、逆に4分を越えると浴槽水が不足してしまう可能性がある。
【0024】
なお、前記各工程(A)〜(E)の実施時間や設定温度などの条件は浴槽の使用履歴や、浴槽水の水質、気温などに応じて、適宜設定することができる。そして、これらの設定条件を所定のパターンで切り換える制御プログラムを浴槽水を処理する浴槽水処理装置の制御部などに組み込んでおくことも可能である。
【0025】
図1は本発明の実施の形態1に係る浴槽水の処理方法が適用される浴槽水処理装置の構成図であり、図2は浴槽水の処理方法のフロー図である。
【0026】
図1及び図2において、10は実施の形態1の浴槽水処理装置、11は浴槽水処理装置10が適用される浴槽、12はその吸引口が浴槽11内に配置された浴槽水の吸引管、13は吸引管12を介して浴槽11内の浴槽水を吸引するためのポンプ部、14はポンプ部13から浴槽水が供給され濾過材を内蔵した略円筒容器状の濾過器、15は濾過器14から供給される浴槽水を所定温度に加熱するための熱交換器、16は濾過器14及び熱交換器15で処理された浴槽水を浴槽11に戻すための浴槽水の供給管、17は吸引管12の基端側とポンプ部13の吸水側との間に設けられ浴槽11から最初に取り込まれた浴槽水から毛髪や垢などの比較的大きなゴミを除去するためのフィルタ部である。
【0027】
なお、V1は吸引管12の浴槽水排出端にその一分岐部が連結されると共に他方の二分岐部に熱交換器15の下流部と供給管16とに連結されるバイパス管20及びフィルタ部17を備えたポンプ部13の吸水管21がそれぞれ接続される第1の電動三方弁、V2は濾過材が内部に充填された濾過器14の上部にその一分岐部が連結されると共に他方の二分岐部にポンプ部13の吐水管22及び浴槽水を外部に排出する排水管23がそれぞれ連結される第2の電動三方弁、V3は濾過器14の下部にその一分岐部が連結されると共に他方の二分岐部にポンプ部13の吐水管22及び熱交換器15の上流部がそれぞれ連結される第3の電動三方弁、V4は熱交換器15の下流部側配管とバイパス管20との合流部の上部に設けられた空気抜きなどのサイフォンブレーカ、V5は排水管23とポンプ部13の吐水管22とをそれぞれの分岐部を介して連結する分流配管24に設けられた電動二方弁などからなる流量調整弁である。
【0028】
濾過器14は略円筒状に形成された容器であり、その内部に活性炭や多孔質セラミックスなどの粒子を備えている。この濾過層の下部側及び上部側にはそれぞれパイプ配管が取り付けられ、このパイプ配管の一方側から他方側に向けて浴槽水や洗浄水などを流すことで、濾過処理やその逆洗処理を行うことができる。
【0029】
熱交換器15は、高温水や蒸気などを内部に配置したパイプ配管などに流してその周囲を流れる浴槽水と熱交換させるものなどが含まれる。この熱交換器15に供給する熱媒体の供給流量や投入電力量などを調整することで浴槽水の温度を所定温度に設定できる。
【0030】
電動三方弁V1〜V3は、3方向に分岐した接続口を有して2種の流路モードに切り換えられる装置であって、例えば2つの弁体が設けられた棒状体を進退させてそれぞれの弁体を弁座に離接させて流路を切り換えるものや、流路の形成された軸部を弁部内で回転または回動させることにより流路を切り換えるロータリバルブ式のものなどが適用できる。なお、これらの電動三方弁に換えて、手動式のものが適用できる他に、空気圧アクチュエータを備えた空気圧駆動式のものにも適用できる。
【0031】
以上のように構成された浴槽水処理装置10に適用される浴槽水の処理方法を図1及び図2を参照しながらさらに具体的に説明する。
【0032】
図2(a)に示すように浴槽11に所定温度に加熱された清浄な浴槽水を供給する濾過加熱工程においては、吸引管12を介して取り込まれた浴槽水を電動三方弁V1→フィルタ部17→ポンプ部13→電動三方弁V2→濾過器14→電動三方弁V3→熱交換器15→サイフォンブレーカV4の経路に通して供給管16から浴槽11内に戻す濾過加熱処理が行われる。こうして、浴槽11内の浴槽水を濾過器14で清浄に維持すると共に、好みに応じた所定温度に保持させ、快適に使用することができる。なお、この濾過加熱処理におけるポンプ部13や各三方弁V1〜V3、流量調整弁V5などの制御は図示しない制御部を介して行うことができ、浴室内などに配置した濾過加熱モードを選択するため操作パネル上のスイッチなどを操作することによって制御できる。また、この操作パネルを用いて浴槽水の温度設定や濾過加熱モードを維持するためのタイマー設定などが容易にできるようになっている。
【0033】
こうして所定時間経過後にタイマー操作や、手動操作により加熱循環洗浄工程に移行させる。
【0034】
図2(b)に示すように、この加熱循環洗浄工程では、熱交換器15を作動させると共に吸引管12を閉鎖して、電動三方弁V1→フィルタ部17→電動三方弁V2→濾過器14→電動三方弁V3→熱交換器15→バイパス管20→電動三方弁V1からなる加熱循環流路を形成して、循環流路に貯留された浴槽水を循環させるようにしている。なお、このとき熱交換器15及び図示しない温度センサなどを用いて、循環される浴槽水の温度を60〜65℃になるように制御することができ、これによってさらに確実に循環流路内の熱殺菌を行うことができると共に、エネルギーロスの低減と、配管系が過剰に加熱されることによる耐用性の低下防止が図られる。
【0035】
図2(c)に示す次の調温排水逆洗工程では、吸水管12→電動三方弁V1→ポンプ部13→電動三方弁V3→濾過器14→電動三方弁V2→排水管23を主流路として濾過器14内の濾過材に浴槽水を加熱濾過運転時とは逆方向に流して逆洗浄すると共に、ポンプ部13→流量調整弁V5→排水管23からなる分流配管24を介してポンプ部13から吐き出される浴槽水の一部を分流させて、排水管23に供給される洗浄後の浴槽水の温度が50℃以上にならないようにしている。これによって、排水配管系が排出される高温水で熱変形するようなことがなく、配管系の耐用性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0036】
図2(d)に示す非加熱循環洗浄工程では、前記加熱循環洗浄工程と同様に吸引管12を閉鎖すると共に、電動三方弁V1→フィルタ部17→電動三方弁V2→濾過器14→電動三方弁V3→熱交換器15→サイフォンブレーカV4→バイパス管20→電動三方弁V1からなる非加熱循環流路を形成して、非加熱循環流路に貯留された浴槽水に加熱処理を施すことなく循環させて、配管系に過度の熱負荷をかけることなく、配管中の汚れを濾過材の層に戻すようにしている。
【0037】
図2(e)に示す非調温排水逆洗工程では、吸水管12→電動三方弁V1→ポンプ部13→電動三方弁V3→濾過器14→電動三方弁V2→排水管23からなる非調温排水逆洗流路を形成して、濾過器14内の濾過材に浴槽水を加熱濾過運転時とは逆方向に流して逆洗浄する。これによって、経路内のすべての汚れを排水管23から排出させることができる。
【0038】
ここで図3は実際に適用される浴槽水処理装置の一例を示す正面図、図4はその側面図、図5はその平面図である。
【0039】
図3〜図5において、30は本実施例の浴槽水処理装置、31は吸引口が浴槽内に配置された浴槽水吸引管が連接される取水口、32は浴槽水を配管系に移送するための濾過ポンプ(ポンプ部)、33は濾過ポンプ32から浴槽水が供給される略円筒容器状の濾過器、34は濾過器33から供給される浴槽水を所定温度に加熱するための熱交換器、35は濾過器33及び熱交換器34で処理された浴槽水を浴槽に戻すための浴槽水供給管が連接される排水口、36は吸引管の連接部と濾過ポンプ32の吸水側との間に設けられた毛髪などを除去するためのヘアーキャッチャー(フィルタ部)、37は必要に応じて浴槽水に殺菌剤などの薬液を注入するための薬注装置、38は浴槽水処理装置30の濾過ポンプ32や各弁部の切り換え操作を行うための操作盤、39は熱交換器34の上部のバイパス管39aと浴槽水の供給管とが合流する合流部の上部に設けられたサイフォンブレーカ、39bは図示しない供給管が接続される浴槽水の吐水口である。
【0040】
浴槽水処理装置30の濾過ポンプ32の入出部側にはそれぞれチャッキ弁40、41が、また、各配管系の所定箇所には圧力計42や温度センサ43が設けられている。
【0041】
熱交換器34には所定温度に加熱された温水が温水入口34aから供給されてその内部で浴槽水を加熱した後、温水出口34bから排出されるようになっている。
【0042】
さらに、取水口31とヘアーキャッチャー36の間には高温洗浄用などに流路を切り換えるための三方弁44が、また、濾過器33の上部及び下部にはそれぞれ工程切り換え用の三方弁45、46が設けられている。さらに濾過ポンプ32から吐出される浴槽水の一部を分流させる分流配管には高温水排水用の二方弁47と流量調節バルブ48が設けられている。
【0043】
なお、濾過器33の上部には逆止弁構造を有する自動エア抜き弁49が設けられ、濾過器33の内部圧を一定に保持して、浴槽水処理装置を安定的に作動できるようになっている。
【0044】
こうして、各三方弁44〜46や二方弁47などを操作することにより、前記各工程を順次切り換えて浴槽水の洗浄処理などを効果的に実施できる。
【0045】
以上説明したように実施の形態1においては、前記濾過加熱工程、加熱循環洗浄工程、調温排水逆洗工程、非加熱循環洗浄工程、非調温排水逆洗工程からなる一連の工程を所定のパターンで順次繰り返すことで実行され、各工程の切り換えに伴って装置流路内に発生するデッドスペースなどの部分を確実に殺菌処理でき、レジオネラ属菌などの繁殖を効果的に抑制して安全性や衛生性に優れると共に、高温排水で排水管を劣化させることがなくメンテナンス性にも優れている。
【0046】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2の浴槽水処理装置の構成図である。
【0047】
図6において、50は実施の形態2の浴槽水処理装置、51は電動三方弁V1〜V3及び流量調整弁V5のそれぞれの連通状態やポンプ部13を制御して後述する濾過加熱運転モード、高温洗浄運転モード、逆洗運転モードなどの運転モードを設定して所定パターンで切り換えることのできる制御部である。
【0048】
なお、実施の形態2の浴槽水処理装置50は、電動三方弁やポンプ部13などを制御して所定パターンで運転モードを切り換える制御部51を有する点と、ポンプ部13の吐水管22と浴槽水を排出する排水管23とを連結する分流配管を省略している点とで実施の形態1のものと異なっている。以下の説明においては、実施の形態1と同様の機能を有するものについては同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0049】
制御部51はシーケンサ回路やマイクロコンピュータなどを備えた制御装置である。この制御部51に予めロードされた制御プログムに従って作動され、浴槽内の浴槽水の温度を検知する図示しない温度センサや内蔵されたタイマーなどのデータを取得して、電動三方弁V1〜V3、ポンプ部13などを制御して、各運転モードに対応した所定の流路を所定のパターンで順次形成させるようになっている。
【0050】
図7は浴槽水処理装置50を制御部51を用いて稼働させる浴槽水の処理方法の一例を示すフロー図である。以下、図7を参照しながらこの浴槽水の処理方法について説明する。
【0051】
この浴槽水の処理法においては、図示するように(a)濾過加熱工程、(b)高温洗浄工程、(c)逆洗工程からなる以下の3種の運転モードが設定され、これらを所定パターン例えば(a)→(b)→(c)→(b)→(c)のように順次切り換えて浴槽水処理装置50を作動させるようになっている。
(a)濾過加熱工程は、吸引管12→電動三方弁V1→フィルタ部17→ポンプ部13→電動三方弁V2→濾過器14→電動三方弁V3→熱交換器15→サイフォンブレーカV4→供給管16からなる濾過流路を形成して、浴槽11から汲み上げられた浴槽水を濾過器14で濾過すると共に、熱交換器15で浴槽水を所定温度に加熱して浴槽11に循環させる運転モードである。
(b)高温洗浄工程は、電動三方弁V1→フィルタ部17→ポンプ部13→電動三方弁V2→濾過器14→電動三方弁V3→熱交換器15→バイパス管20を通って電動三方弁V1に至る循環流路を形成して、熱交換器15で加熱された浴槽水で流路内を高温殺菌する運転モードである。
(c)逆洗工程は、吸引管12→電動三方弁V1→フィルタ部17→ポンプ部13→電動三方弁V3→濾過器14→電動三方弁V2→排水管23からなる逆洗流路を形成して、浴槽11から汲み上げられた浴槽水を濾過加熱工程とは逆方向に濾過器14に流すことにより濾過材などに堆積付着した汚れを外部に洗い流して排出させる運転モードである。
【0052】
このようにこれらの各運転モードを制御部51を介して所定パターンで順次切り換えることによって、各運転モードにおける流路の淀み部分などを確実に洗浄殺菌することができる。こうして、実施の形態2の浴槽水処理装置50によれば、24時間に渡って使用される浴槽などにおけるレジオネラ属菌などによる感染を防止して安全性と衛生性に優れると共に、常時快適に浴槽11を使用することができる。
【0053】
【発明の効果】
発明によれば、各工程の切り換え時に生じる装置流路内のデッドスペース部分の汚れた高温水を排出して、濾過器などの装置流路内に増殖したレジオネラ菌等の高温殺菌を効率的に行うことができる。また、調温排水逆先工程を有するので、高温排水の流れ込みによる排水管の変形や脱落などのトラブルがなくメンテナンス性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の浴槽水処理装置の構成図である。
【図2】実施の形態1の浴槽水の処理方法のフロー図である。
【図3】実施例に係る浴槽水処理装置の正面図である。
【図4】その側面図である。
【図5】その平面図である。
【図6】実施の形態2の浴槽水処理装置の構成図である。
【図7】実施の形態2の浴槽水の処理方法のフロー図である。
【符号の説明】
10 実施の形態1の浴槽水処理装置
11 浴槽
12 吸引管
13 ポンプ部
14 濾過器
15 熱交換器
16 供給管
17 フィルタ部
20 バイパス管
21 吸水管
22 吐水管
23 排水管
24 分流配管
30 浴槽水処理装置
31 取水口
32 濾過ポンプ(ポンプ部)
33 濾過器
34 熱交換器
34a 温水入口
34b 温水出口
35 排水口
36 ヘアーキャッチャー(フィルタ部)
37 薬注装置
38 操作盤
39 サイフォンブレーカ
39a バイパス管
39b 吐水口
40、41 チャッキ弁
42 圧力計
43 温度センサ
44、45、46 三方弁
47 二方弁
48 流量調節バルブ
49 自動エア抜き弁
50 実施の形態2の浴槽水処理装置
51 制御部
V1〜V3 電動三方弁
V4 サイフォンブレーカ
V5 流量調整弁

Claims (1)

  1. 浴槽内に貯留された浴槽水を取り込んで濾過加熱処理を行い、この処理された浴槽水を前記浴槽内に循環供給する浴槽水処理装置を用いた浴槽水の処理方法であって、
    (A)前記浴槽水をポンプ部を介して濾過器及び熱交換器に流して濾過加熱処理を行って所定温度に調整浄化された浴槽水を前記浴槽内に供給する濾過加熱工程と、
    (B)前記濾過加熱工程に続いて前記浴槽水処理装置内の循環流路に前記熱交換器で所定温度に加熱された浴槽水を前記ポンプ部を介して循環させる加熱循環洗浄工程と、
    (C)前記浴槽内の浴槽水を前記ポンプ部を介して吸引してその一部を前記濾過加熱工程と逆方向から前記濾過器に内蔵された濾過材に流した後、その残部と合流させて外部に排出させる調温排水逆洗工程と、
    (D)前記調温排水逆洗工程を所定時間実施した後、前記浴槽水処理装置内の循環流路に貯留された浴槽水を前記ポンプ部を介して循環させる非加熱循環洗浄工程と、
    (E)前記非加熱循環洗浄工程を所定時間実施した後、前記浴槽内の浴槽水を前記ポンプ部を介して吸引して前記濾過加熱工程と逆方向から前記濾過器に内蔵された濾過材に流して外部に排出させる非調温排水逆洗工程と、を有することを特徴とする浴槽水の処理方法。
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