JP4146073B2 - 磁気テープカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープを巻装した単一のリールがカートリッジケース内に回転可能に収容されてなる磁気テープカートリッジに関し、特に、磁気テープの先端部に固着されたテープ引出し用リーダーピンを引出すカートリッジケースの開口部を開閉するスライドドアのロック構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータ等の外部記憶装置に用いられる記録媒体として使用されている磁気テープカートリッジとして、例えば特開平11−242870号に開示されているような、磁気テープを巻装した単一のリールが回転可能にカートリッジケース内に収容されたタイプのものが知られている。そして、このタイプの磁気テープカートリッジにおいては、その磁気テープの先端部に固着されたテープ引出し用リーダーピンが、上記ケース内に固定されたラッチスプリングにより側方から加えられる付勢力によって係止される態様で、上記ケース内に着脱可能に保持されるように構成されている。
【0003】
合成樹脂製のカートリッジケースは、互いに結合された上ハーフと下ハーフとからなり、カートリッジケース内には、ローディング用のリーダーピンが終端に固着された磁気テープを巻装した単一のリールが回動可能に収容されている。カートリッジケースの一側壁には、磁気テープを引き出すための開口部が形成され、この開口部には、カートリッジケースの側壁に平行な方向に移動可能なスライドドアが取り付けられている。スライドドアはドアスプリングにより、開口部を閉じる方向に付勢されている。
【0004】
そして、磁気テープカートリッジが外部記録装置等の記録再生装置に装填されるのに伴いスライドドアが開かれ、記録再生装置が備えているロボットアームによってリーダーピンが引き出され、磁気テープがテープ走行路の所定位置に引き込まれて、磁気テープへのデータの読み書きが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような磁気テープカートリッジにおいて、磁気テープを引き出すための開口部を開閉するスライドドアは、カートリッジの保管時又は搬送時等の不使用状態においては、落下衝撃等によって開いて開口部から内部に異物が侵入したりする可能性があることから、単にドアスプリングによって閉方向に付勢されているだけでなく、不用意に開作動しないようにロックすることが信頼性を高める点で望ましい。
【0006】
上述の事情に鑑み、本発明の目的は、閉状態にあるスライドドアをロックして信頼性を高めるようにした磁気テープカートリッジを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気テープカートリッジは、磁気テープを巻装した単一のリールがカートリッジケース内に回転可能に収容され、このカートリッジケースに上記磁気テープを引き出すための開口部と、この開口部を開閉するスライドドアとが設けられてなる磁気テープカートリッジにおいて、前記スライドドアは、記録再生装置側のドア作動部材が当接面に当接して該スライドドアを開方向に移動させる開操作部と、該スライドドアの前部の上部又は下部に前記カートリッジケースのスライドアが摺動するドアレールの底面に形成された係合部と係合して該スライドドアを閉位置にロックするロック部とを備え、前記スライドドアの後端部には、該スライドドアを閉方向に付勢するドアスプリングが配設され、該ドアスプリングの付勢方向が、前記スライドドアの閉状態において、前記ロック部と係合部との係合方向に分力が作用するように設定され、前記開操作部における当接面が、ドア作動部材の当接に連係して前記ロック部と係合部との係合を解除する方向に前記スライドドアの前部を移動させる傾斜面に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、磁気テープを引き出すための開口部を開閉するスライドドアに閉状態をロックするロック構造を設けたことにより、カートリッジの保管時および搬送時等の不使用状態において、落下衝撃等が作用してもスライドドアを閉状態に保持して内部に異物が侵入したりするのを防止して信頼性を高めることができる。
【0012】
特に、上記ロック部と係合部との係合が、スライドドア先端部の開操作部にドア作動部材が当接するのに伴って解除されるように構成したことにより、ロック解除専用部材を別途に設ける必要がなくなる利点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明が適用される磁気テープカートリッジの一例構成を示す斜視図である。図2〜図4は、本発明による磁気テープカートリッジの実施の形態を示す図で、図2はスライドドアが閉状態の開口部近傍の斜視図、図3はロック状態のスライドドア部分の断面正面図、図4はロック解除状態のスライドドア部分の断面正面図である。
【0015】
磁気テープカートリッジ1は、図1に示したように、上ハーフ2と下ハーフ3とがビス等により締結されてなる略矩形状の扁平なカートリッジケース4内に、終端にローディング用のリーダーピン5が固着された磁気テープ6を巻装した単一のリール7が回動可能に収容されている。上記カートリッジケース4(上下ハーフ2,3)の一側壁(右側壁)には、磁気テープ6を引き出すための略矩形状の開口部8が形成され、この開口部8はドアスプリング12(図3参照)で閉方向に付勢されたスライドドア20により開閉され、開口部8近傍には上記スライドドア20が摺動する溝状のドアレール11(図3参照)が形成される。
【0016】
また、上記磁気テープカートリッジ1はその不使用時に磁気テープ6が完全にリール7に巻き込まれた状態で、終端のリーダーピン5が開口部8の近傍に形成された凹部9に係止保持される。この凹部9には開口部8に向けて誘い込み構造に形成されたガイド面10が連設され、奥部の収納部9に向けてリーダーピン5の端部を案内する。また、凹部9の近傍には、上記リーダーピン5を上記凹部9に着脱可能に保持するための、不図示のラッチスプリングが取り付けられている。
【0017】
なお、この磁気テープカートリッジ1の記録再生装置への装填方向は図1の斜め右上方向であり、本明細書における前後方向は、装填方向に対応して記載してある。
【0018】
上記開口部8を開閉するスライドドア20は略矩形状であり、その上下縁は上下ハーフ2,3に設けられたドアレール11に沿って開閉摺動する。このスライドドア20の前端部には、上下縁部分を除く中央部分に外面側に突出する開操作部21が設けられている。また、カートリッジケース4の開口部8の前端部の開口縁は、上記スライドドア20の開操作部21の幅に対応する部分が切り欠かれ、図2に示すように、この切欠き部4aに閉状態のスライドドア20の開操作部21が挿入され、切欠き部4aの上下の縁部にスライドドア20の前端縁が当接して閉位置に停止し、ケース前面側に上記開操作部21の前端面21aが露出している。そして、この磁気テープカートリッジ1が記録再生装置に挿入装填されるとき、開操作部21の前端面21aに記録再生装置側のドア作動部材18(図4参照)が当接して、ドアスプリング12の付勢力に抗してライドドア20の開作動が行われるように構成されている。
【0019】
そして、図3および図4に示すように、上記スライドドア20の前端部の下面には下向きに突出するロック部22が形成され、このロック部22が下ハーフ3のドアレール11の底面に形成された凹状の係合部13に係合し、スライドドア20を閉位置にロックするようになっている。また、スライドドア20先端の開操作部21の前端面21a、すなわち上記ドア作動部材18との接触面が、ドア開閉方向Dに直交する基準面に対して上部が前方に所定角度a(例えば0.3度)だけ傾斜する傾斜面に形成されている。すなわち、上記前端面21aは、図4に示すようなドア作動部材18との当接状態において、その押圧力Aに対する傾斜前端面21aによる分力が上向きに作用し、スライドドア20が下部の上記ロック部22と係合部13との係合が解除される上方方向に、ドア作動部材18を滑り上がるように移動するようになっている。
【0020】
上記スライドドア20の後端部には後方に延びるロッド23が連接され、このロッド23の外周にコイルスプリングからなるドアスプリング12が縮装され、スライドドア20を閉方向に付勢している。また、上記ロック部22の突出量は、上下のドアレール11におけるスライドドア20の上下端との隙間より小さく形成され、該ドアレール11内におけるスライドドア20の上下方向の移動量でロックが解除されるようになっている。その場合、上記ドアスプリング12の付勢方向を、図3に示すようなスライドドア20の閉状態において、スライドドア20の前端部が下向きの付勢力を受けるように設定してロック部22と係合部13との係合を高めるようにしている。また、ロック部22を凹状に、係合部13を凸状に形成してもよい。
【0021】
本実施形態によれば、保管時等の不使用状態では、図3に示すようにスライドドア20はドアスプリング12によって閉位置に向かって付勢され、開口部8を完全に閉じた閉位置で、前端下部のロック部22が係合部13に係合して、落下衝撃等によってスライドドア20が開かないようにロックしている。磁気テープカートリッジ1を使用する際には、この磁気テープカートリッジ1が記録再生装置に装填されるのに伴い、図4に示すように開操作部21の前端面21aにドア作動部材18が当接し、スライドドア20を開方向に押圧する。その押圧力Aに応じて、所定角度aで傾斜している開操作部21の前端面21aがドア作動部材18を滑り上がるように上方に移動して、下部のロック部22と係合部13とのロックが外れ、スライドドア20の開作動が可能となる。このように、本実施の形態においては、ドア作動部材18の開作動力を利用してロック状態を解除するようにして、ロック解除専用部材を別途に設けることを不要とした構造となっている。
【0022】
次の図5〜図7は参考例のドアロック構造を示し、図5はロック状態におけるドア部分の断面背面図、図6は解除状態における同背面図、図7(A),(B)はスライドドアの先端部分の側面図および底面図である。
【0023】
本参考例におけるスライドドア70には、その背面側の内部にロック機構が組み込まれている。このスライドドア70の前端部にはドア作動部材18が当接する開操作部71が設けられ、この開操作部71から所定の幅でドア開閉方向Dに延びる凹部70aが形成されるとともに、この凹部70aの途中にドア開閉方向Dと直交する方向に延びる摺動溝70bが交差している。この溝70bには、スライドドア70の開閉方向Dに対して傾斜した係合溝72bを備えた棒状のロック部材72が摺動可能に挿入されている。
【0024】
さらに上記凹部70aには解除部材73が摺動可能に挿入されている。この解除部材73は、前端がスライドドア70の開操作部71の前端面に露出する押圧部73aを有し、後部の摺動基部73bとの間に傾斜部73cが連接され、この傾斜部73cが上記ロック部材72の傾斜した係合溝72bに係合し、解除部材73の摺動に応じてロック部72aがスライドドア70の下端から出没するように連係されている。
【0025】
解除部材73の後部には付勢バネ74が縮装されて解除部材73を前方に付勢している。また、上記ロック部材72の下端部には突起状のロック部72aが設けられ、このロック部72aがスライドドア70の下端から出没し、突出状態で下ハーフ3のドアレール11の底面の凹状係合部15に係合してスライドドア70を閉位置にロックすし、ロック部材72が上方に移動すると、係合が外れてロックが解除されるようになっている。
【0026】
なお、上記凹部70aと解除部材73との係合は、図7Aに示すように蟻ほぞ構造に形成され、凹部70aの一部に形成された切欠き部70cからロック部材72と組み付けられた解除部材73が装着され、その後、付勢バネ74が組み付けられる。一方、上記ドア作動部材18の先端部には突起部18aが設けられて段部を形成しており、この突起部18aが最初に解除部材73の押圧部73a前端に当接して、解除部材73を後退移動させ、これによって、ロック部材72が解除部材73の傾斜部73cのカム作用で上方へ摺動し、ロックが解除されるように構成されている。
【0027】
上記参考例によれば、図5に示す保管時等の不使用状態では、スライドドア70は開口部8を完全に閉じた閉位置において解除部材73が付勢バネ74によって前方に移動し、ロック部材72の先端ロック部72aをスライドドア70の下端から突出させて係合部15に係合させ、落下衝撃等によってスライドドア70が開かないようにロックしている。そして図6に示すように、ドア作動部材18の突起部18aが解除部材73の押圧部73aの前端面に当接すると、解除部材73の後退移動により傾斜部73cの作用でロック部材72が上方へ移動し、ロック部72aと係合部15とのロックが外れ、スライドドア70が開作動可能となり、続く開操作部71に対するドア作動部材18の当接により、スライドドア70が開作動される。本実施の形態においても、ドア作動部材18の開作動力を利用してロック状態を解除し、別途のロック解除専用部材の設置を不要とした構造となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される磁気テープカートリッジの磁気テープを引き出した状態の斜視図
【図2】 本発明による磁気テープカートリッジの実施の形態において、スライドドアが閉状態の開口部近傍の斜視図
【図3】 そのスライドドアのロック状態における開口部近傍の断面正面図
【図4】 図3のロック解除状態の開口部近傍の断面正面図
【図5】 参考例のスライドドアのロック状態における開口部近傍の断面背面図
【図6】 図5の解除状態における同断面背面図
【図7】 図5のスライドドアの側面図および底面図
【符号の説明】
1 磁気テープカートリッジ
2 上ハーフ
3 下ハーフ
4 カートリッジケース
5 リーダーピン
6 磁気テープ
7 リール
8 開口部
9 リーダーピン収納用凹部
11 ドアレール
12 ドアスプリング
16 係合部
18 ドア作動部材
20,60,80 スライドドア
21,61,81 ドアの開操作部
22,32,82 ロック部
72 ロック部材
73 解除部材
Claims (1)
- 磁気テープを巻装した単一のリールがカートリッジケース内に回転可能に収容され、該カートリッジケースに前記磁気テープを引き出すための開口部と、該開口部を開閉するスライドドアとが設けられてなる磁気テープカートリッジにおいて、
前記スライドドアは、記録再生装置側のドア作動部材が当接面に当接して該スライドドアを開方向に移動させる開操作部と、該スライドドアの前部の上部又は下部に前記カートリッジケースのスライドアが摺動するドアレールの底面に形成された係合部と係合して該スライドドアを閉位置にロックするロック部とを備え、
前記スライドドアの後端部には、該スライドドアを閉方向に付勢するドアスプリングが配設され、該ドアスプリングの付勢方向が、前記スライドドアの閉状態において、前記ロック部と係合部との係合方向に分力が作用するように設定され、
前記開操作部における当接面が、ドア作動部材の当接に連係して前記ロック部と係合部との係合を解除する方向に前記スライドドアの前部を移動させる傾斜面に形成されていることを特徴とする磁気テープカートリッジ。
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