JP4145494B2 - 治療剤 - Google Patents
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Description
本発明は、治療剤、さらに詳しくは、医薬の分野で有用な生理活性物質および該物質の用途に関する。
背景技術
近年、細胞組織の死に関し、アポトーシス(apoptosis;アポプトーシスともいう。自爆死あるいは細胞自滅)という様式が注目されている。
このアポトーシスは、病理的細胞死である壊死と異なり、細胞自身の遺伝子に最初から組込まれている死である。すなわち、何らかの外部的または内部的要因が引き金となってアポトーシスをプログラムする遺伝子が活性化されることにより、プログラム死タンパク質が生合成され、また、ある場合には不活性型として細胞内に存在するプログラム死タンパク質が活性化される。こうして生成した活性型プログラム死タンパク質により細胞自体が分解され、死に至ると考えられている。
このようなアポトーシスを所望の組織、細胞で発現せしめることができれば、不要もしくは有害な細胞を自然の形で生体から排除することが可能となり、極めて意義深いものである。
発明の目的
本発明の目的は、アポトーシス誘発作用等の生理機能を有し、医薬の分野で有用な物質およびその用途を提供することにある。
発明の要旨
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、一般式I:
(式中、XはOHまたはOSO3Hであり、RはOH以外の置換基で、当該置換基はそれが離脱することにより、3,6−アンヒドロガラクトースまたはその硫酸化体の3位と4位に不飽和結合を導入できる置換基および/または組織特異的親和性を示す置換基である)
で表される化合物に関する。
本発明の第2の発明は、一般式Iで表される化合物を有効成分として含有する一般式Iで表される化合物に感受性を示す疾患の治療用または予防用の医薬に関する。
本発明の第3の発明は、一般式Iで表される化合物を含有、希釈および/または添加してなる食品または飲料に関する。
発明の詳細な説明
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において一般式Iで表される化合物の製造方法は、特に限定するものではないが、当該化合物は、例えば、自体公知の方法による化学合成法によって、得ることができる。例えば、以下の実施例に示すごとく、3,6−アンヒドロガラクトースまたはその硫酸化体の4位の水酸基に目的の置換基(R)を導入することにより得ることができる。
本明細書において、以下、一般式Iで表される化合物とは、一般式Iで表される化合物、一般式IIで表されるそのアルデヒド体、また一般式IIIで表されるその抱水体を意味する。一般式I〜IIIで表される化合物の構造は、他の表現で表すことも可能であるが、それらも含め、また、可能なそれらの互換異性体も含め、一般式I〜IIIで表すこととする。また一般式I〜IIIにおける立体配置は、所望の活性が得られる限り、特に限定するものではなくD−型、L−型またはそれらの混合物であってもよい。
本発明の代表的な化合物である3,6−アンヒドロガラクトースまたはその硫酸化体を還元末端に有し、その3,6−アンヒドロガラクトースまたはその硫酸化体の4位にRが結合した一般式Iで表される化合物は、例えば、還元末端の3,6−アンヒドロガラクトースまたはその硫酸化体が、生理条件下で一般式IV:
(Y、ZはHまたはCH2OH、ただし、ZがCH2OHのとき、YはH、ZがHのとき、Yは−CH2OHである)
で表される化合物に変化する。
変化した一般式IVで表される化合物は、生理的環境下においてアポトーシス誘発能、抗癌作用、活性酸素産生抑制作用、一酸化窒素産生抑制作用、α−グリコシダーゼ阻害活性、インターロイキン産生抑制活性、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導活性または免疫調節作用等の生理作用を示す。
本発明においてRはOH以外の置換基であって、例えば、一般式IVで表される化合物を生成する反応において、脱離基として作用し、3,6−アンヒドロガラクトースまたはその硫酸化体の3位と4位の間に不飽和結合を導入できるものおよび/または組織特異的親和性を示すものであればよい。Rの例としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素、糖、糖鎖、核酸、脂質、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、リン脂質等をあげることができる。
Rと3,6−アンヒドロガラクトースまたはその硫酸化体の4位の結合様式としては、特に限定はなく、例えば、一般式IVで表される化合物を生成する反応において結合が切れるものであればよいが、エステル結合、エーテル結合等が例示される。
Rとして、組織親和性を示す特定の置換基を用いることにより、特定の臓器、細胞、器官等の特定の場所に一般式Iで表される化合物を特異的に局在させ、その位置で該置換基が外れることにより、一般式IVで表される化合物が生成し、目的の特定の部位でその生理活性を発現させることができる。また、さらに発現する時間、強さをコントロールすることができる。
さらに、Rとして特定の置換基を用いることにより、一般式Iで表される化合物の生体への吸収性を上げることもできる。すなわち、Rとして特定の置換基を用いることにより、投与後において直ぐには活性を発現せず、効率よく体内に吸収され、任意の局所に濃縮された後、その部位でのみ一般式IVで表される化合物の生理活性を発現させることができる。
すなわち、本発明により一般式Iで表される化合物を有効成分とする一般式IVで表される化合物の生体内での生成用のプロドラグが提供される。
当該プロドラグとしては、一般式Iで表される化合物を有効成分とし、これを公知の医薬用担体と組合せ、自体公知の方法により製剤化すればよい。一般的には、当該組成物を薬学的に許容できる液状または固体状の担体と配合し、かつ必要に応じて溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることができる。また、これを使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品とすることができる。
当該プロドラグは、経口剤や、注射剤、点滴用剤等の非経口剤のいずれによっても投与することができる。
医薬用担体は、上記投与形態および剤型に応じて選択することができ、経口剤の場合は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等が利用される。また、経口剤の調製に当っては、さらに、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を配合することもできる。
一方、非経口剤の場合は、自体公知の方法に従い、プロドラグの有効成分である一般式Iで表される化合物を希釈剤としての注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等に溶解ないし懸濁させ、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤等を加えることにより調製される。
本発明のプロドラグは、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与することができ、外用剤には座剤等も包含される。
プロドラグとしての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的およびこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが一般には、製剤中に含有される有効成分の量が成人1日当り10μg〜200mg/kgである。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
本発明の一般式Iで表される化合物はアポトーシス誘発活性、制がん活性、活性酸素産生抑制活性、過酸化脂質ラジカル産生抑制活性、一酸化窒素産生抑制活性等の抗酸化活性、抗病原微生物活性、抗変異原活性、免疫調節作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、サイトカイン産生調節作用、抗リウマチ作用、抗糖尿病作用、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導活性等の生理活性を有し、一般式Iで表される化合物を有効成分とし、アポトーシス誘発を要する疾患、がん性疾患、活性酸素産生抑制を要する疾患、過酸化脂質ラジカル産生抑制を要する疾患、一酸化窒素産生抑制、または免疫調節、炎症抑制、アレルギー抑制、サイトカイン産生調節を要する疾患、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導を要する疾患等の治療剤または予防剤、すなわち、アポトーシス誘発剤、制がん剤、活性酸素産生抑制剤、過酸化脂質ラジカル産生抑制剤、一酸化窒素産生抑制剤等の抗酸化剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗変異原剤、血糖上昇抑制剤、抗高脂質剤、免疫調節剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、サイトカイン産生調節剤、抗リウマチ剤、抗糖尿病剤、ヘムオキシゲナーゼ産生誘導剤等の当該化合物に感受性を示す疾患の治療用または予防用医薬を製造することができる。
すなわち、一般式Iで表される化合物を有効成分として含有する本発明のアポトーシス誘発剤は、自己免疫疾患患者の自己反応性リンパ球、がん細胞、ウイルス感染細胞等を排除するのに有効であり、アポトーシスを所望の組織、細胞で発現させることにより、不要もしくは有害な細胞を自然の形で生体から排除することができる。本発明のアポトーシス誘発剤が有効な疾患としては、例えば、全身性エリテマトーデス、免疫介在性糸球体腎炎、多発性硬化症、膠原病等の自己免疫疾患、リウマチ等である。
本発明のアポトーシス誘発剤はアポトーシス誘発方法に使用することができ、該方法はアポトーシス誘発機構の解明、アポトーシス誘発剤、アポトーシス誘発阻害剤のスクリーニング等に有用である。
本発明に使用する一般式Iで表される化合物は酸化物質、例えば、活性酸素の産生抑制に有用であり、該化合物を有効成分とする活性酸素産生抑制剤等の抗酸化剤は活性酸素の産生および/または過剰が起因となる疾病の治療または予防に有用である。
活性酸素は、大きくラジカルと非ラジカルの活性酸素に分類することができる。ラジカル系活性酸素には、ヒドロキシラジカル、ヒドロキシペルオキシラジカル、ペルオキシラジカル、アルコキシラジカル、二酸化窒素、一酸化窒素(以下、NOと略す)、チイルラジカル、スーパーオキシドがある。一方、非ラジカル系活性酸素には、一重項酸素、過酸化水素、脂質ヒドロペルオキシド、次亜塩素酸、オゾン、ペルオキシ亜硝酸がある。いずれも多くの病態、すなわち、各種の炎症性疾患、糖尿病、がん、動脈硬化、神経疾患、虚血再潅流障害などと関わりがある。
生体内では絶えずいくつかの経路で低濃度の活性酸素が生成している。これは生理的にミトコンドリアなどの電子伝達系から漏出するスーパーオキシドや過酸化水素、銅や鉄などの遷移金属が触媒することによるヒドロキシラジカル、好中球や単球などによって生成される感染防御のための次亜塩素酸、アルギニンの分解により生成するNOなど、いずれも避けることのできないものである。これらの活性酸素生成に対して、生体は活性酸素消去系としての酵素、低分子化合物をもち、生成と消去のバランスを保っている。しかし、これらの経路がなんらかの原因で活性化されたり、逆に消去系が不活性化されて、活性酸素生成系が消去系に対して優位に立った場合、生体は酸化的障害を受けることになる。このような状態は酸化ストレスといわれる。
さらに、生体内のバランスがずれた場合だけでなく、大気や食品などの生体外のものからも、生体は常に酸化ストレスにさらされており、日常生活を送る上で酸化ストレスは避けることができない。
すなわち、酸化ストレスは上記のように、様々な疾患と関わりがあり、生体は、常に酸化ストレスによる疾患、あるいは、疾病の悪化につながる状況にさらされている。したがって、このような酸化ストレスが引き起こす疾病の予防、治療あるいは悪化防止にも、本発明の抗酸化剤、例えば活性酸素産生抑制剤は有用である。
また、酸化ストレスに必ずつきまとうのが脂質過酸化反応であり、この反応は過酸化脂質ラジカルができると一挙に進む反応である。そこで生成される4−ヒドロキシ−2−ノネナール(HNE)はグルタチオンやタンパク質を特異的な標的とする毒性アルデヒドである。そのHNEとタンパク質との反応生成物が、様々な病態組織において検出されており、酸化ストレスの関わる疾患病態の誘発因子ではないかと考えられている。そのため、過酸化脂質ラジカルの生成を抑えることのできる本発明に使用される抗酸化物質、すなわち一般式Iで表される化合物を有効成分として含有する抗酸化剤は酸化ストレスによる生活習慣病疾患の予防および治療に有用である。
NOは内皮細胞由来血管平滑筋弛緩因子(EDRF)の本体である[ネーチャー(Nature)、第327巻、第524〜526頁(1987)]。本発明によりNO産生の抑制を必要とする疾病治療剤または予防剤が提供される。
本発明において、NO産生の抑制を必要とする疾病とは、特に限定はないが、例えば、毒性ショックやある種のサイトカインによる治療等による全身性血圧低下、血圧応答低下、糖尿病、血管機能不全、病因性血管拡張、組織損傷、心臓血管系虚血、痛感過敏症、脳虚血、血管新生を伴う疾病、がん等の疾病を含むものである。
固形がんの増大に血管新生は必須であるが、血管内皮増殖因子/血管透過性亢進因子(VEGF)はこの過程に重要な役割を演じている。様々ながん細胞においてVEGFがNOによって誘導される。本発明のNO産生抑制剤はNO産生を抑制することによってがん細胞のVEGF産生も抑制し、その結果、がん組織周辺での血管新生が阻害される。がん細胞を皮下に移植して固形腫瘍を形成させたマウスに本発明のNO産生抑制剤を投与すると、がん組織の周辺の血管の形成が不十分となり、がんは脱落する。
ニトロソアミンは2級アミンにニトロソ基が付加した一群の化合物で数百種類が知られており、その多くがDNAに損傷を加えることにより動物に対して発がん性を示す。ニトロソアミンはヒトの発がんにも深く関わっているとされており、通常、胃の中で亜硝酸塩とアミンとが反応することによって生成する。NOはpH中性の生理的条件下でもアミンと反応してニトロソアミンを生成する。また、疫学的にがんとの関係が高い肝吸虫感染患者や肝硬変患者においてNO産生は亢進している。したがって、本発明のNO産生抑制剤を投与してNO産生の亢進を防ぐことによって特にハイリスクグループの発がんを予防することができる。以上のように、本発明のNO産生抑制剤は発がんの抑制とがん組織における血管新生阻害という2段階で制がん作用を示す。
NOはまた、炎症性病変に特徴的に認められる浮腫、すなわち血管透過性亢進作用を誘発し[マエダ(Maeda)ら、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・カンサー・リサーチ(Japanese Journal of Cancer Research)、第85巻、第331〜334頁(1994)]、また、炎症性メディエーターであるプロスタグランジン類の生合成を亢進させる[サルベミニ(Salvemini)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・USA(Proceedings of National Academy of Sciences,USA)、第90巻、第7240〜7244頁(1993)]。一方、NOはスーパーオキシドラジカルと速やかに反応してペルオキシ亜硝酸イオンを生じ、ペルオキシ亜硝酸イオンが炎症性の細胞、組織障害を引き起こすとも考えられている。
活性化された免疫細胞が臓器に入り込みサイトカインを放出すると、NOの産生が誘導される。インスリン依存型糖尿病は膵島β細胞が特異的に破壊されることによって引き起こされる疾患であり、NOによる破壊であるとされている。また、慢性関節性リウマチ、変形性関節リウマチ、痛風性関節炎、ベーチェット病に伴う関節炎の患者の病変部の関節液には同患者の正常な関節や健常人の関節の関節液に比べて高濃度のNOが含まれている。これらの患者に本発明のNO産生抑制剤を投与すると病変部におけるNO産生を抑制し、症状が改善する。
脳虚血中および再潅流後にはNO産生が増大し、それに伴って脳組織が損傷を受ける。脳虚血時に患者に本発明のNO産生抑制剤を投与することにより脳組織の損傷が軽減され、予後が改善される。
組織の炎症および疼痛の惹起にはアラキドン酸代謝が大きく関与している。細胞膜リン脂質由来のアラキドン酸は、体内でシクロオキシゲナーゼの作用によりプロスタグランジン、プロスタサイクリン、トロンボキサンチンの三者に代謝される。このうちプロスタグランジンは血管拡張作用とそれに伴う臓器への血流増加作用を有するが、特に炎症部位においてはプロスタグランジンE2とI2がその血流増加作用により、浮腫と白血球浸潤を増加させる。本発明の一般式Iで表される化合物は、プロスタグランジンE2合成抑制活性を有する。従って、本発明の一般式Iで表される化合物を有効成分として含有する医薬は、プロスタグランジンE2合成抑制を要する疾患の治療または予防に有用である。すなわち、本発明のプロスタグランジンE2合成抑制剤を投与することにより、プロスタグランジンの生合成を抑制すると、鎮痛、抗炎症作用を発現させることができる。さらに、炎症部分に浸潤した白血球は活性酸素を生産し、酸化ストレス状態を引き起こすため、プロスタグランジンの生合成を抑制する本発明のプロスタグランジンE2合成抑制剤は、酸化ストレスによる先に述べたような様々な疾患、疾病の予防、治療あるいは悪化防止にも有用である。
また、先にも述べたように、NOは、炎症性病変に特徴的に認められる浮腫、すなわち血管透過性亢進作用を誘発し、炎症性メディエーターであるプロスタグランジン類の生合成を亢進させることより、本発明のNO産生抑制効果とプロスタグランジンE2合成抑制効果は相乗的に作用し、鎮痛、抗炎症作用と酸化ストレスによる様々な疾患、疾病の予防、治療あるいは悪化防止に相乗効果を発現する。
本発明におけるサイトカインとしては、例えばインターロイキンが挙げられる。インターロイキンは、リンパ球、単球などが生産するタンパク質性生物活性物質の総称である。現在ではインターロイキン1〜18の存在が知られている。インターロイキンとしては、例えばIL−6、IL−10が挙げられる。
IL−6は、B細胞の最終分化を誘導する分化因子としてそのcDNAがクローニングされた。IL−6は、免疫応答だけでなく、造血系、神経系の細胞分化や急性反応に関与しており、さらに、種々の免疫異常や炎症性疾患、リンパ系腫瘍の発症とも密接に関係している。また、IL−6は、B細胞に対し抗体産生を誘導し、IgM、IgG、IgAの各クラスの免疫グロブリンを産生するが、IL−4とは異なりクラススイッチには関与しない。また、IL−6は、B細胞やプラズマサイトの増殖因子としても働いている。一方、T細胞系にも関与しており、T細胞を増殖させたり、分化させたりする。IL−6は、造血系にも関与しており、IL−3と協調して、G0期を短縮させることにより造血幹細胞を増殖させる。また、巨核球の成熟を促し血小板の増加を誘導する。IL−6は、細菌やウイルス感染、悪性腫瘍など生体が即座に反応する急性期反応にも関与している。IL−6は、神経系にも関与しており、グリオブラストーマやアストロサイトーマなどの神経系細胞から分泌され、神経系の分化誘導にも働く。慢性関節リウマチや全身性エリトマトーデスでは、B細胞の活性化がみられ、患者の関節液中に高濃度のIL−6が存在する。全身性リンパ節腫脹を特徴とするCastleman症候群では、血中IL−6濃度が非常に高い。自己免疫疾患様症状をしめす心房粘液腫の患者では、腫瘍細胞から大量のIL−6が産生されている。また、多発性骨髄腫患者由来のミエローマ細胞の増殖が抗IL−6抗体で抑制されることより、IL−6は、ミエローマ細胞の自己増殖因子である可能性が高い。さらに、原発性糸球体腎炎患者の尿中にもIL−6が含まれており、IL−6が腎メサンギウム細胞の増殖因子として働いている(宮園浩平および菅村和夫編、「BioScience用語ライブラリー:サイトカイン・増殖因子」、28−29頁、羊土社(1995))。このようなIL−6の異常産生が病体の原因と考えられる疾患には、本発明に使用する化合物を投与することで、IL−6の産生を抑制し、症状を治療または予防することができる。
また、IL−10産生抑制を要する疾患としては、例えば免疫の低下を伴う疾患が挙げられ、このような疾患に対して本発明の化合物は有用である。
ヘムオキシゲナーゼ(HO)には、33kDaのHO−1と36kDaのHO−2の2つのアイソザイムが存在する。HO−2は、HO−1のN末端側に20アミノ酸残基からなるアミノ酸配列が余分についた構造を持っている。残りの部分の相同性は40〜50%であるが、高次構造は良く類似している。両者ともにC末端部に疎水性領域があり、この部分でミクロソーム膜に結合している。ミクロソームをトリプシン処理するとヘム分解活性を有する可溶性画分が得られることから、活性中心を含む大きなドメインは細胞質側に突き出ていると思われる。
HO−1は、誘導酵素であり、基質であるヘム、重金属イオン、ある種の有機化合物、過酸化水素、あるいは、熱ショックUV照射、虚血というような化学的、物理的要因によって種々の細胞で顕著に誘導される。HO−2は構成酵素で、各組織で発現しているが、特に脳や精巣で活性が高い。HOは、ヘムをビリベルジン、CO、鉄に分解し、ビリベルジンは、さらに還元酵素により、ビリルビンとなる。このビリルビンには、脂肪酸の抗酸化作用、脂質ラジカルのスカベンジ作用、好中球の貪食などに伴い大量に発生する酸素ラジカルによるリン脂質、中性脂肪、コレステロールのヒドロペリオキシドの産生抑制作用、動脈硬化発症と深く関与するLDL(Low density lipoprotein)の産生抑制作用、一重項酸素のスカベンジ作用等の抗酸化物質としての活性があり、内因性抗酸化物質として生体内で重要な役割を担っている。各種ラジカルは、脂質だけでなく、タンパク質、核酸など様々な生体物質に作用して、慢性疾患、癌を引き起こす要因となっているが、ビリルビンは、このような各種ラジカルを減少させる(ポルフィリン研究会編「ポルフィリン・ヘムの生命科学:遺伝病・がん・工学応用などへの展開」、東京化学同人(1995))。つまり、HOを誘導することにより、抗酸化活性を有するビリルビンの産生が誘導され、各種ラジカルによる疾患を治療または予防することができる。本発明に使用する化合物はHOの産生を誘導し、上記のようなHO産生誘導を要する疾患の治療または予防に対して有用である。
一般式Iで表される化合物を有効成分とする免疫調節剤はリンパ球幼若化反応抑制作用、混合リンパ球反応抑制等の免疫調節作用を有し、当該免疫調節剤はこれらの免疫系、免疫因子の異常が起因となる疾病の治療剤または予防剤として有用である。
なお、リンパ球幼若化反応とは、マイトジェンがリンパ球表面の受容体に結合し、リンパ球を活性化させ、その分裂、増殖を促す反応である。混合リンパ球反応とは、同種異系の動物より得られたリンパ球を混合培養することにより、主要組織適合抗原の不一致によるリンパ球の活性化が誘導され、リンパ球の分裂、増殖が促進される反応である。本発明の免疫調節剤はこれらの反応を抑制し、リンパ球の異常亢進が起因となる自己免疫性疾患、例えば慢性腎炎、慢性大腸炎、I型糖尿病、慢性関節リウマチ等の慢性の疾患の治療または予防に特に有用であり、また移植片拒絶反応の抑制においても有用である。
本発明のアポトーシス誘発剤としては、一般式Iで表される化合物を有効成分とし、これを公知の医薬用担体と組合せ製剤化すればよい。当該アポトーシス誘発剤の製造は上記のプロドラグの製造方法に準じ行うことができる。
当該アポトーシス誘発剤は、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与することができ、外用剤には座剤等も包含される。
アポトーシス誘発剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的およびこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが、一般には製剤中に含有される有効成分の量が成人1日当り10μg〜200mg/kgである。もちろん、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
本発明の制がん剤としては、一般式Iで表される化合物を有効成分とし、これを公知の医薬用担体と組合せ製剤化すればよい。当該制がん剤の製造は上記のプロドラグの製造方法に準じ行うことができる。
当該制がん剤としては、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与することができ、外用剤には座剤等も包含される。
制がん剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的およびこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが、一般には製剤中に含有される有効成分の量が成人1日当り10μg〜200mg/kgである。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
また、一般式Iで表される化合物を有効成分とする抗酸化剤、活性酸素産生抑制剤、過酸化脂質ラジカル産生抑制剤、NO産生抑制剤は上記アポトーシス誘発剤に準じ製造することができ、用量、用法はその症状に応じ、上記アポトーシス誘発剤に準じて、使用すればよい。
抗酸化剤、活性酸素産生抑制剤、過酸化脂質ラジカル産生抑制剤、NO産生抑制剤剤としては、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与される。投与方法も特に限定はなく、内用、外用および注射によることができる。注射剤は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与することができ、外用剤には座剤等も包含される。
抗酸化剤、活性酸素産生抑制剤、過酸化脂質ラジカル産生抑制剤、NO産生抑制剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的およびこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され、一定ではないが、一般には製剤中に含有される有効成分の量が成人1日当り10μg〜200mg/kgである。もちろん投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の薬剤はそのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。
さらに、一般式Iで表される化合物は生体内で一般式IVで表される化合物に変化することによりα−グリコシダーゼ、例えば、シュークラーゼに阻害活性を示し、一般式Iで表される化合物を有効成分とする血糖上昇抑制剤、抗高脂血症剤、抗肥満剤、抗糖尿病剤等を製造することができる。これらの医薬は上記アポトーシス誘発剤に準じ製造することができ、用量、用法は治療、予防目的の疾病の症状に応じ、上記アポトーシス誘発剤に準じて、使用すればよい。
つぎに、一般式Iで表される化合物を含有、希釈および/または添加してなる食品または飲料(以下、本発明の食品または飲料と称す)は、そのアポトーシス誘発作用、制がん作用、抗酸化作用、抗病原微生物活性、抗変異原活性等により、一般式Iで表される化合物に感受性を示す疾患、例えば、アポトーシス誘発を要する疾患、がん性疾患、活性酸素産生抑制を要する疾患、NO産生抑制を要する疾患、病原微生物による疾患、変異原により惹起される疾患等の症状改善、予防に極めて有用である。
本発明の食品または飲料の製造法は、特に限定はないが、調理、加工および一般に用いられている食品または飲料の製造法による製造を挙げることができ、製造された食品または飲料に一般式Iで表される化合物が有効成分として含有、添加および/または希釈されていれば良い。
本発明の食品または飲料としては、一般式Iで表される化合物が含有、希釈および/または添加されており、その生理機能を発現するための必要量が含有されていれば特にその形状に限定は無く、タブレット状、顆粒状、カプセル状等の形状の経口的に摂取可能な形状物も包含する。
本発明の食品または飲料は生理活性を有する一般式Iで表される化合物を含有し、これらのアポトーシス誘発作用、制がん作用等の生理機能によって、これらを摂取することにより発がん予防、がん抑制効果等の一般式Iで表される化合物に感受性を示す疾患の症状改善作用または予防作用を示す健康食品または飲料であり、特に胃腸健康保持に有用な食品または飲料である。
また、一般式Iで表される化合物は、活性酸素産生抑制作用、過酸化脂質ラジカル産生抑制作用等の抗酸化活性を有し、抗酸化用食品用の抗酸化剤または抗酸化用飲料用の抗酸化剤、例えば、活性酸素産生抑制剤、過酸化脂質ラジカル産生抑制剤、NO産生抑制剤等として抗酸化用食品または抗酸化用飲料の製造に使用することができる。
さらに、本発明により、一般式Iで表される化合物を含有する甘味料が提供される。すなわち、一般式Iで表される化合物は、甘味を有し、砂糖に代わる低カロリー甘味料の有効成分として有用である。
一般式Iで表される化合物は、その生理活性の有効量をマウスに経口投与しても急性毒性は認められない。
実施例
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)1,2−O−イソプロピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(1,2−O−isopropylidene−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(3)]
3,6−アンヒドロガラクトースの4位の水酸基に特異的に様々な置換基を導入するために、反応式I:
に示す方法を用いた。
すなわち、化合物(3)の4位の水酸基に目的の置換基(R)を導入した後、酸性条件下で1,2−O−イソプロピリデン基のみを除去した。
ここで必要とされる化合物(3)は、下記の反応式IIに示した様にハウオース(Haworth)らの方法[Imperial Collection of Science and Technology、第620〜631頁(1940)]により、α−O−メチル−D−ガラクトピラノース[化合物(1)]を3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース[化合物(2)]にまで導いた後、これをヒラセ(Hirase)らの方法[Bulletin of the Chemical Society of Japan、第41巻、第626〜628頁(1968)]により、1,2−O−イソプロピリデン化することにより合成した。
(2)糖供与体の合成
本実施例における化合物(3)への糖の導入は全て、シュミット(Schmidt)らが開発したトリクロロアセトイミデート法[Liebigs ann.Chem.,第1249〜1256頁(1983)]により行った。
糖のトリクロロイミデート体はコバヤシ(Kobayashi)らの方法[Carbohydrate Research,第201巻,第51〜67頁(1990)]等に従い、下記反応式IIIに示すような方法により合成した。
この方法により、下記式V〜VIIでそれぞれ表される化合物(4)、(5)、(6)の合成を行った。
(3)4−O−ベンゾイル−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−benzoyl−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(7)]
(i)4−O−ベンゾイル−1,2−O−イソプロピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−benzoyl−1,2−O−isopropylidene−3,6−anhydro−D−galactose[化合物(8)]
化合物(3)100mg(0.5mmol)、無水安息香酸(ナカライテスク:Code.042−24)170mg(0.75mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(ナカライテスク:Code.129−22)12.2mg(0.1mmol)をジクロロメタン5mlに溶解し、氷冷後、トリエチルアミン(ナカライテスク:Code.348−05)104ml(0.75mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。
反応液を濃縮後、ヘキサン:酢酸エチル=11:2を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより化合物(8)146mgを得た。化合物(8)の構造解析を、核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))により行った。
1H−NMR
δ1.37(3H,s,Me)、1.64(3H,s,Me)、4.09(1H,dd,J=3.5,16.5Hz,H−6)、4.17(1H,d,J=10.5Hz,H−6)、4.35(1H,dd,J=2.5,5Hz,H−2)、4.56(1H,m,H−5)、4.68(1H,d,J=5Hz,H−3)、5.48(1H,d,J=2.5Hz,H−1)、5.71(1H,d,J=1.5Hz,H−4)、7.43(2H,t,J=8.5Hz,Bzl)、7.59(1H,td,J=1,8.5,Bzl)、8.00(2H,dd,J=1,8.5,Bzl)
ただし、サンプルは重クロロホルムに溶解し、クロロホルムのプロトンの化学シフト値を7.24ppmとして表した。
図1は化合物(8)の1H−NMRスペクトルを示す図である。図1において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(ii)化合物(7)
化合物(8)80mgをジクロロメタン30mlに溶解し、トリフルオロ酢酸/水(2.85ml/0.15ml)を添加し、室温で3時間攪拌した。反応液を酢酸エチル300mlで希釈し、飽和重曹水で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、クロロホルム:メタノール=25:1を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより下記式VIIIで表される化合物(7)52mgを得た。化合物(7)を核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))、質量スペクトル(MS)(DX302)質量分析計(日本電子社製))により構造解析した。
1H−NMR
化合物(7)を重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴による構造解析を行った。図2は化合物(7)の1H−NMRスペクトルを示す図である。図2において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
その結果、この物質は3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースが重クロロホルム中で1位アルデヒドがヘミアセータール結合(α,β)との平衡関係を持つために、シグナルの帰属は不可能であった。ただし、化合物(8)の1,2−O−イソプロピリデン由来のシグナル(図1中、δ1.37ppm、1.64ppmのシグナル)の消失および、アルデヒド由来のシグナル(図2中、δ9.75ppmのシグナル)の生成は確認された。
FAB−MS
m/z 267(M+H)+ グリセロールをマトリックスに用いた。
(4)4−O−(β−D−2,3,4,6−テトラ−O−アセチルガラクトピラノシル)−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−(β−D−2,3,4,6−tetra−O−acetylgalactopyranosyl)−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(9)]
(i)4−O−(β−D−2,3,4,6−テトラ−O−アセチルガラクトピラノシル)−1,2−O−イソプロピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−(β−D−2,3,4,6−tetra−O−acetylgalactopyranosyl)−1,2−O−isopropylidene−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(10)]
化合物(4)355mg(0.72mmol)、化合物(3)146mg(0.72mmol)にアルゴン雰囲気下、ジクロロメタン2mlを添加し、氷/食塩で−20℃に氷冷した。ここに、CF3SO3Si(CH3)3(東京化成:T0871)32ml(0.14mmol)/2mlジクロロメタンを徐々に添加し、−20℃で1.5時間撹拌した。反応液に飽和重曹水、酢酸エチルを添加した後、有機層を回収した。この有機層をヘキサン:酢酸エチル=1:1を展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーに供じると、Rf値0.45付近に目的の生成物を検出した。さらに、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮しヘキサン:酢酸エチル=5:4を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより、化合物(10)101mgを得た。化合物(10)の構造解析を、核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))により行った。
1H−NMR
δ1.29(3H,s,Me)、1.51(3H,s,Me)、1.94(3H,s,Ac)、1.97(3H,s,Ac)、1.98(3H,s,Ac)、2.08(3H,s,Ac)、3.90(2H,m)、3.96(1H,d,J=10Hz,H−6a)、4.06(1H,dd,J=6,11Hz,H−6b)、4.11(1H,dd,J=7,11Hz,H−6b)、4.23(1H,dd,J=3,5Hz,H−2a)、4.36(1H,d,J=5Hz,H−3a)、4.42(1H,m,H−5a)、4.47(1H,d,J=1.5Hz,H−4a)、4.52(1H,d,J=8Hz,H−1b)、4.95(1H,dd,J=3.5,10Hz,H−3b)、5.11(1H,dd,J=8,10Hz,H−2b)、5.33(1H,d,J=3.5Hz,H−4b)、5.35(1H,d,J=3.0Hz,H−1a)
ただし、サンプルは重クロロホルムに溶解し、クロロホルムのプロトンの化学シフト値を7.24ppmとして表した。
図3は化合物(10)の1H−NMRスペクトルを示す図である。図3において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(ii)化合物(9)
化合物(10)44mgをジクロロメタン10mlに溶解し、トリフルオロ酢酸/水(1.14ml/60ml)を添加し、室温で3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、クロロホルム:メタノール=19:1を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより化合物(9)9mgを得た。化合物(9)の構造解析を、核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))により行った。
1H−NMR
δ1.91(3H,s,Ac)、1.99(3H,s,Ac)、2.02(3H,s,Ac)、2.11(3H,s,Ac)、3.45(1H,dd,J=3.5,6.5Hz,H−2a)、3.81(1H,dd,J=3,10Hz,H−6a)、3.87(1H,dd,J=4.5,10Hz,H−6a)、3.91(1H,t,J=3.5Hz,H−3a)、4.23(4H,m)、4.37(1H,dt,J=3,4.5Hz,H−5a)、4.89(1H,d,J=8Hz,H−1b)、4.93(1H,d,J=6.5Hz,H−1a)、5.05(1H,dd,J=8,10Hz,H−2b)、5.22(1H,dd,J=3,10Hz,H−3b)、5.35(1H,d,J=3.0Hz,H−4b) ただし、サンプルは重水に溶解し、HODの化学シフト値を4.65ppmとして表した。
図4は化合物(9)の1H−NMRスペクトルを示す図である。図4において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
なお、1H−NMRにおけるピークの帰属の番号は下記式IXのとおりである。
(5)4−O−β−D−グルコピラノシル−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−β−D−glucopyranosyl−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(11)]
(i)4−O−(β−D−2,3,4,6−テトラ−O−アセチルグルコピラノシル)−1,2−O−イソプロピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−(β−D−2,3,4,6−tetra−O−acetylglucopyranosyl)−1,2−O−isopropylidene−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(12)]
化合物(5)1.22g(2.47mmol)、化合物(3)354mg(1.75mmol)にアルゴン雰囲気下、ジクロロメタン10mlを添加し、氷/食塩で−20℃に氷冷した。ここに、CF3SO3Si(CH3)3100ml(0.4mmol)/2mlジクロロメタンを徐々に添加し、−20℃で2.5時間撹拌した。反応液に飽和重曹水、酢酸エチルを添加した後、有機層を回収した。この有機層をヘキサン:酢酸エチル=1:1を展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーに供じると、Rf値0.45付近に目的の生成物を検出した。さらに、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮しヘキサン:酢酸エチル=5:4を展開溶媒とたシリカゲルクロマトグラフィーにより、化合物(12)230mgを得た。化合物(12)の構造解析を、核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A4500(日本電子社製))により行った。
1H−NMR
δ1.29(3H,s,Me)、1.51(3H,s,Me)、1.94(3H,s,Ac)、1.97(3H,s,Ac)、1.98(3H,s,Ac)、2.02(3H,s,Ac)、3.69(1H,ddd,J=2.5,5,10Hz,H−5b)、3.89(1H,dd,J=3,10Hz,H−6a)、3.96(1H,d,J=10Hz,H−6a)、4.09(1H,dd,J=2.5,12.5Hz,H−6b)、4.17(1H,dd,J=5,12.5Hz,H−6b)、4.22(1H,dd,J=3.5,4.5Hz,H−2a)、4.36(1H,d,J=4.5Hz,H−3a)、4.43(1H,m,H−5a)、4.45(1H,d,J=1.5Hz,H−4a)、4.57(1H,d,J=7.5Hz,H−1b)、4.90(1H,dd,J=7.5,10Hz,H−2b)、4.99(1H,t,J=10Hz,H−3b)、5.14(1H,t,J=10Hz,H−4b)、5.34(1H,d,J=3.5Hz,H−1a)
ただし、サンプルは重クロロホルムに溶解し、クロロホルムのプロトンの化学シフト値を7.24ppmとして表した。図5は化合物(12)の1H−NMRスペクトルを示す図である。図5において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(ii)4−O−β−D−グルコピラノシル−1,2−O−イソプロピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−β−D−glucopyranosyl−1,2−O−isopropylidene−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(13)]
化合物(12)230mgをメタノール5mlに溶解し、0.1Nナトリウムメトキシド/メタノール溶液1.5mlを添加し、室温で30分間撹拌した。この反応液をクロロホルム:メタノール=5:1を展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーに供じると、Rf値0.3付近に目的の生成物を検出した。反応液を炭酸ガスで中和し、減圧濃縮後、クロロホルム:メタノール=5:1を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより化合物(13)90mgを得た。
(iii)化合物(11)
水4mlに化合物(13)90mgを溶解し、0.1N硫酸溶液2mlを添加し、95℃にて2時間攪拌した。この反応液をブタノール:エタノール:水=5:5:1を展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーに供じると、Rf値0.5付近に目的の生成物を検出した。反応液を炭酸バリウムで中和し、沈殿を除去後、水溶液を凍結乾燥し、化合物(11)64mgを得た。化合物(11)を核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))、質量スペクトル(MS)((DX302)質量分析計(日本電子社製))により構造解析した。
1H−NMR
δ3.18(1H,dd,J=8,9Hz,H−2b)、3.27(1H,t,J=9Hz,H−3b)、3.39(2H,m)、3.52(1H,dd,J=3.5,6Hz,H−2a)、3.60(1H,dd,J=6.5,12.5Hz,H−6b)、3.73(1H,dd,J=2.5,10Hz,H−6a)、3.82(1H,dd,J=2.5,12.5Hz,H−6b)、3.88(1H,dd,J=4.5,10Hz,H−6a)、3.95(1H,dd,J=3.5,5Hz,H−3a)、4.16(1H,dd,J=2.5,5Hz,H−4a)、4.35(1H,dt,J=2.5,4.5Hz,H−5a)、4.45(1H,d,J=8Hz,H−1b)、4.89(1H,d,J=6Hz,H−1a)
ただし、サンプルは重水に溶解し、HODの化学シフト値を4.65ppmとして表した。図6は化合物(11)の1H−NMRスペクトルを示す図である。図6において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
なお、1H−NMRにおけるピークの帰属は下記式Xのとおりである。
FAB−MS
m/z 325(M+H)+ グリセロールをマトリックスに用いた。
(6)4−O−β−マルトトリオシル−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−β−maltotoriosyl−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(14)]
(i)4−O−(ドデカ−O−アセチルマルトトリオシル)−1,2−O−イソプロピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−(dodeca−O−acetylmaltotoriosyl)−1,2−O−isopropylidene−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(15)]
化合物(6)5.1g(4.75mmol)、化合物(3)960mg(4.75mmol)にアルゴン雰囲気下、ジクロロメタン30mlを添加し、氷/食塩で−20℃に氷冷した。ここに、CF3SO3Si(CH3)3200ml(0.95mmol)/2mlジクロロメタンを徐々に添加し、−20℃で1.5時間撹拌した。反応液に飽和重曹水、酢酸エチルを添加した後、有機層を回収した。この有機層をヘキサン:酢酸エチル=1:2を展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーに供じると、Rf値0.4付近に目的の生成物を検出した。さらに、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し、ヘキサン:酢酸エチル=2:1を展開溶媒としたシリカクロマトにより、化合物(15)936mgを得た。
(ii)1,2−O−イソプロピリデン−4−O−マルトトリオシル−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(1,2−O−isopropylidene−4−O−maltotoriosyl−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(16)]
化合物(15)936mgをメタノール45mlに溶解し、0.1Nナトリウムメトキシド/メタノール溶液4.5mlを添加し、室温で1時間撹拌した。この反応液をクロロホルム:メタノール=1:1を展開溶媒とした薄層クロマトに供じると、Rf値0.5付近に目的の生成物を検出した。反応液を炭酸ガスで中和し、減圧濃縮後、クロロホルム:メタノール=1:1を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーにより化合物(16)457mgを得た。
(iii)化合物(14)
0.02N硫酸溶液15mlに化合物(16)457mgを溶解し、95℃にて2時間攪拌した。この反応液をブタノール:エタノール:水=5:5:1を展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーに供じると、Rf値0.5付近に目的の生成物を検出した。反応液を炭酸バリウムで中和し、沈殿を除去後、水溶液を凍結乾燥し、化合物(14)390mgを得た。
化合物(14)を核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))、質量スペクトル(MS)(DX302)質量分析計(日本電子社製))により構造解析した。
1H−NMR
δ3.22(1H,dd,J=8,9.5Hz,H−2b)、3.30(1H,t,J=9.5Hz,H−3b)、3.46(1H,dd,J=4,10Hz,H−2c)、3.50(1H,dd,J=4,10Hz,H−2d)、3.5〜3.75(14H,m)、3.83(3H,m)、3.88(1H,dd,J=5,10.5Hz,H−6a)、3.94(1H,dd,J=2.5,5Hz,H−4a)、4.16(1H,dd,J=2.5,5Hz,H−5a)、4.46(1H,d,J=8Hz,H−1b)、4.46(1H,d,J=6.5Hz,H−1a)、5.27(2H,d,J=4Hz,H−1d,1c)
ただし、サンプルは重水に溶解し、HODの化学シフト値を4.65ppmとして表した。図7は化合物(14)の1H−NMRスペクトルを示す図である。図7において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
なお、1H−NMRにおけるピークの帰属は下記式XIのとおりである。
FAB−MS
m/z 649(M+H)+ グリセロールをマトリックスに用いた。
(7)4−O−ベンジル−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−benzyl−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(17)]
(i)4−O−ベンジル−1,2−O−イソプロピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−benzyl−1,2−O−isopropylidene−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(18)]
化合物(3)200mg(1mmol)にアルゴン雰囲気下、ジクロロメタン10mlを添加し氷/食塩で−20℃に氷冷した。ここに、ベンジル−2,2,2−トリクロロアセトイミデート(東京化成:B1483)280ml(1.5mmol)、CF3SO3Si(CH3)336ml(0.2mmol)/2mlジクロロメタンを徐々に添加し、−20℃で1.5時間撹拌した。反応液に飽和重曹水、酢酸エチルを添加した後、有機層を回収した。この有機層をヘキサン:酢酸エチル=6:1を展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーに供じると、Rf値0.2付近に目的の生成物を検出した。さらに、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮しヘキサン:酢酸エチル=6:1を展開溶媒とたシリカゲルクロマトグラフィーにより、化合物(18)87mgを得た。化合物(18)を核磁気共鳴(NMR)スペクトルにより構造解析した。
1H−NMR
δ1.34(3H,s,Me)、1.52(3H,s,Me)、4.1(2H,m,H−6)、4.33(1H,dd,J=3,4.5Hz,H−2)、4.35(1H,d,J=3Hz,H−4)、4.38(1H,m,H−5)、4.54(1H,d,J=4.5Hz,H−3)、4.57(1H,d,J=12Hz,−CH2−)、4.65(1H,d,J=12Hz,−CH2−)、5.43(1H,d,J=3Hz,,H−1)、7.32(5H,m,Ph)
ただし、サンプルは重クロロホルムに溶解し、クロロホルムのプロトンの化学シフト値を7.24ppmとして表した。
図8は化合物(18)の1H−NMRスペクトルを示す図である。図8において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(ii)化合物(17)
化合物(18)80mgをジクロロメタン30mlに溶解し、トリフルオロ酢酸/水(3.8ml/0.2ml)を添加し、室温で3時間攪拌した。反応液を酢酸エチル300mlで希釈し重曹水で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、クロロホルム:メタノール=25:1を展開溶媒とたシリカゲルクロマトグラフィーにより下記式XIIで表される化合物(17)52mgを得た。化合物(17)を核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))、質量スペクトル(MS)((DX302)質量分析計(日本電子社製))により構造解析した。
1H−NMR
化合物(17)を重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴による構造解析を行った。図9は、化合物(17)の1H−NMRを示す図である。図9において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
その結果、この物質は3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースが重クロロホルム中で、1位アルデヒドがヘミアセータール結合(α,β)との平衡関係にあるために、シグナルの帰属は不可能であった。しかし、化合物(18)の1,2−O−イソプロピリデン由来のシグナル(図8中、δ1.34ppm、1.52ppmのシグナル)の消失および、アルデヒド由来のシグナル(図9中、δ9.65ppmのシグナル)の生成は確認された。
FAB−MS
m/z 253(M+H)+ グリセロールをマトリックスに用いた。
(8)4−O−アセチル−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−acetyl−3,6−anhydro−D−galactose[化合物(19)]
(i)4−O−アセチル−1,2−O−イソピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−acetyl−1,2−O−isopylidene−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物20]
化合物(3)200mg(1mmol)、無水酢酸(ナカライテスク:Code.042−24)113ml(1.2mmol)および4−Dimethylaminopyridine(ナカライテスク:Code.129−22)24mg(0.2mmol)をジクロロメタン10mlに溶解し、氷冷後、トリエチルアミン(ナカライテク:Code.348−05)166ml(1.2mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。
反応液を濃縮後、ヘキサン:酢酸エチル=2:1を展開溶媒とたシリカクロマトにより化合物(20)210mgを得た。化合物(20)の構造解析を、核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))により行った。
1H−NMR
d1.30(3H,s,Me)、1.54(3H,s,Me)、2.02(3H,s,Ac)、3.93(1H,dd,J=3.5,10Hz,H−6)、4.05(1H,d,J=10Hz,H−6)、4.24(1H,dd,J=3,5Hz,H−2)、4.37(1H,m,H−5)、4.48(1H,d,J=5Hz,H−3)、5.38(1H,d,J=3Hz,H−1)、5.40(1H,d,J=1.5Hz,H−4)
但、サンプルは重クロロホルムに溶解し、残留クロロホルムのプロトンの化学シフト値を7.24ppmとして表した。
図10に、化合物(20)の1H−NMRスペクトルを示す。図10において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(ii)化合物(19)
化合物(8)200mgを70%酢酸水溶液15mlに溶解し、95℃、2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、クロロホルム:メタノール=17:1を展開溶媒としたシリカクロマトにより化合物(7)100mgを得た。化合物(20)を核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))、質量スペクトル(MS)((DX302)質量分析計(日本電子社製))により構造解析した。
1H−NMR
d2.03(3H,s,Ac)、3.59(1H,dd,J=4,6.5Hz,H−2)、3.82(1H,dd,J=1.5,10Hz,H−6)、3.87(1H,dd,J=4,10Hz)、3.99(1H,dt,J=4Hz,H−3)、4.27(1H,ddt,J=1.5,4Hz)、4.89(1H,d,J=6.5Hz,H−1)、5.01(1H,d,J=4Hz,H−4)
但し、サンプルは重水に溶解し、HODの化学シフト値を4.65ppmとして表した。
図11に、化合物(19)の1H−NMRスペクトルを示す。図11において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
なお、1H−NMRにおけるピークの帰属は下記式XIIIのとおりである。
FAB−MS
m/z 205(M+H)+ グリセロールをマトリックスに用いた。
(9)4−O−ペンチル−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−hexyl−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(21)]
(i)4−O−ペンチル−1,2−O−イソピリデン−3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース(4−O−pentyl−1,2−O−isopylidene−3,6−anhydro−D−galactose)[化合物(22)]
化合物(3)200mg(1mmol)をジメチルホルムアミド4mlに溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(ナカライテスク:Code.042−24)30mg(1.2mmol)を加え室温で30分攪拌した。氷冷下、ヨウ化ペンタン(東京化成:I0066)260ml(2mmol)を1時間攪拌した。
反応液を洗浄、濃縮した後、ヘキサン:酢酸エチル=8:1を展開溶媒とたシリカクロマトにより化合物(22)270mgを得た。化合物(22)の構造解析を、核磁気共鳴(NMR)スペクトル(JNM−A500(日本電子社製))により行った。
1H−NMR
d0.87(3H,m,H−11)、1.29(4H,m,H−9,10)、1.33(3H,s,Me)、1.56(2H,m,H−8)、1.56(3H,s,Me)、3.50(2H,m,H−7)、3.98(1H,dd,J=3,10Hz,H−6)、4.02(1H,d,J=10Hz,H−6)、4.28(1H,dd,J=3,5Hz,H−2)、4.36(1H,m,H−5)、4.46(1H,d,J=5Hz,H−3)、5.41(1H,d,J=3Hz,H−1)
但し、サンプルは重クロロホルムに溶解し、残留クロロホルムのプロトンの化学シフト値を7.24ppmとして表した。
図12に、化合物(22)の1H−NMRスペクトルを示す。図12において、横軸は化学シフト値(ppm)、縦軸はシグナルの強度を示す。
(ii)化合物(21)
化合物(22)270mgをジクロロメタン30mlに溶解し、トリフルオロ酢酸/水(2.85ml/0.15ml)を添加し、室温3時間攪拌した。反応液を酢酸エチル300mlで希釈し重曹水で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、クロロホルム:メタノール=25:1を展開溶媒としたシリカクロマトにより化合物(21)100mgを得た。化合物(21)を質量スペクトル(MS)((DX302)質量分析計(日本電子社製))により構造解析した。化合物(21)の化学式を下記式XIVに示す。
FAB−MS
m/z 233(M+H)+ グリセロールをマトリックスに用いた。
実施例2
実施例1で合成した化合物(7)、化合物(9)をそれぞれ最終濃度10mMとなるように、10%子ウシ血清入りRPMI1640培地に溶解した。これらのサンプルを37℃、4時間静置後、1mlをクロロホルム:メタノール=5:1を展開溶媒とした薄層クロマトグラフィーに供し、オルシノール硫酸で検出した。
その結果、いずれのサンプルからも一般式IVで表される化合物のZがCH2OHであって、YがHである化合物(L−グリセロ−1,5−エポキシ−1αβ,6−ジヒドロキシ−シス−ヘキサ−3−エン−2−オン:以下、DGEと称す)と同一のRf値(=0.5)にスポットが検出された。
また、実施例1で合成した化合物(2)、化合物(11)、化合物(14)、化合物(17)についてもDGEへの変換が見られた。
実施例3
56℃、30分間処理した牛胎児血清(JRHバイオサイエンス社製)を10%含むRPMI1640培地(ギブコ社製)にて37℃で培養したヒト前骨髄性白血病細胞HL−60(ATCC CCL−240)を同培地で5000個/90μlとなるように懸濁した。この懸濁液を96穴プレート(ファルコン社製)に90μlずつ分注し、それぞれの懸濁液に対して、実施例1で得た化合物(2)の200mM水溶液、化合物(7)の50mM水溶液、化合物(9)の50mM水溶液、化合物(11)の100mM水溶液、化合物(14)の100mM水溶液、化合物(17)の20mM水溶液、化合物(19)の12.5mM水溶液、化合物(21)の12.5mM水溶液をろ過滅菌し、滅菌水で2倍、4倍、8倍、16倍、32倍、64倍及び128倍希釈した希釈液及び水をそれぞれ10μlずつ添加し、37℃、5%炭酸ガス存在下で培養し、培養開始後48時間後に「アポトーシス実験プロトコール」〔秀潤社、田沼靖一監修、第156頁(1994)〕に従ってMTT法により測定した吸光度から生細胞数を比較した。
この結果、化合物(2)、(7)、(9)、(11)、(14)、(17)、(19)および(21)はヒト前骨髄性白血病細胞HL−60細胞に対して増殖抑制活性を示した。さらに、この結果をもとに、50%の増殖抑制を示す濃度(IC50)を算出し表1に表した。
実施例4
56℃、30分間処理したウシ胎児血清(JRH社製)を10%含むRPMI1640培地(バイオウイッタカー社製)にて37℃で培養したHL−60(ATCC CCL−240)をRPMI1640培地にて2.5×105個/4.5mlとなるように懸濁した。
この懸濁液4.5mlに対し、10、50、100mMの化合物(2)、500、1000、1500μMの化合物(7)、750、1500、3000μMの化合物(9)、750、1500、3000μMの化合物(11)、750、1500、3000μMの化合物(14)水溶液を500ml添加し、37℃、5%二酸化炭素存在下で、24時間培養した。
培養細胞を光学顕微鏡下で観察し、化合物(2)は、最終濃度5mM、化合物(7)は、最終濃度100μM、化合物(9)は、最終濃度150μM、化合物(11)は、最終濃度150μM、化合物(14)は、最終濃度150μM以上の添加培養細胞に核の凝縮、細胞の縮小、アポトーシス小体の形成をそれぞれ確認した。なお、対照の生理食塩水500ml添加培養細胞においてはこれらの現象は認められなかった。
ついで、上記と同様の方法で24時間と48時間培養した細胞を用い、細胞工学別冊実験プロトコールシリーズアポトーシス実験プロトコール(秀潤社)129−130ページ記載の方法でFACScanを用いたアポトーシス細胞の測定、バイオマニュアルUPシリーズ 最新アポトーシス実験法(羊土社)61−63ページ記載の方法でDNAの断片化の解析を行った。その結果、化合物(2)は、最終濃度5mM、24時間で、化合物(7)は、最終濃度100μM、化合物(9)は、最終濃度150μM、化合物(11)は、最終濃度150μM、化合物(14)は、最終濃度150μM以上の添加培養細胞にアポトーシス細胞を、化合物(2)は、最終濃度5mM、24時間、最終濃度1mM、48時間、化合物(7)は、最終濃度100μM、化合物(9)は、最終濃度150μM、24時間、化合物(11)は、最終濃度150μM、化合物(14)は、最終濃度75μM以上の添加培養細胞にDNAの断片化を確認した。なお、対照の生理食塩水500ml添加培養細胞においてはこれらの現象は認められなかった。
実施例5
実施例4と同様の方法で24、48時間培養した細胞を一部サンプリングし、0.4%トリパンブルーで染色後、光学顕微鏡で観察し、染色されていない生細胞と青く染色された死細胞の細胞数の測定を行い、生残率が50%になる化合物(2)、(7)、(9)、(11)および(14)の濃度(生残率50(mM))をもとめた。その結果を表2に示す。
以上のように、24時間と48時間で生残率50に大きく差が出る化合物と差がでない化合物があるが、これはR基が脱離しアンヒドロガラクトースの3位と4位の間に不飽和結合を導入する速度あるいは吸収速度など活性発現までの時間を反映しており、結果が示すようにRを変化させることにより生理活性の発現時期もコントロールすることができる。さらに、48時間での生残率50は、最終的な生理活性の強さを示していると考えられ、同様にRを変化させることにより生理活性の発現強さもコントロールすることができる。
実施例6
10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン(ライフテックオリエンタル社製、Code.25030−149)含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12−917F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×105個/mlになるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートのウェルに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で12時間培養した。
各ウェルに10μlの25μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、Code.L−2012)あるいは10μlの2.5μg/mlLPSと10μlの500U/mインターフェロンγ(IFN−γ、コスモバイオ社販売、Code.MG−IFN,Genzyme社製)を添加し、さらに試料として、10μlの1.25、2.5、5.0mMの化合物(2)、1.25、2.5、5.0mMの化合物(7)、1.25、2.5、5.0mMの化合物(9)、0.625,1.25.2.5mMの化合物(11)、1.25、2.5,5.0mMの化合物(14)、1.25、2.5、5.0mMの化合物(17)、1.25、2.5、5.0mMの化合物(19)、1.25、2.5、5.0mMの化合物(21)の水溶液を添加して、さらに12時間培養した後、NOが培地中で酸化されることによって生ずるNO2 −濃度の測定を行った。なお、対照としてLPSとIFN−γを加えない区分および試料を加えない区分を設定した。
上記培養後、100μlの培地に100μlの4%グリース試薬(シグマ社製、Code.G4410)を加え、室温で15分間放置した後、490nmにおける吸光度を測定した。
上記培地に溶解した既知の濃度のNaNO2で作製した検量線から培地中のNO2 −濃度を計算した。測定はすべて3連で行った。
この結果、化合物(2)は最終濃度25μM、化合物(7)は最終濃度25μM、化合物(9)は最終濃度50μM、化合物(11)は最終濃度25μM、化合物(14)は最終濃度25μM、化合物(17)は最終濃度50μM、化合物(19)は最終濃度25μM、化合物(21)は最終濃度25μMで、LPSあるいはLPSとIFN−γによるNO産生誘導を抑制した。
その結果を図13〜20に示す。すなわち、図13は化合物(2)、図14は化合物(7)、図15は化合物(9)、図16は化合物(11)、図17は化合物(14)、図18は化合物(17)、図19は化合物(19)、図20は化合物(21)をそれぞれ添加して培養した時の培地中のNO2 −濃度を示す図である。図13〜20において、横軸は培養条件を、縦軸はNO2 −濃度(μM)を示す。
実施例7
10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、Code.12−604F)にRAW264.7細胞を3×105個/mlになるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートのウェルに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で6時間培養した。実施例1で調製した化合物(7)、(14)、(17)をそれぞれ最終濃度が50、100、100 μMとなるように添加し、さらに、5時間培養した。その後、各ウェルに50μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、Code.L−2012)水溶液10μlを添加して、12時間培養した後プロスタグランジンE2の量を測定した。なお、対照としてLPSを加えない区分及び化合物(7)、(14)、(17)を加えない区分を設定した。
上記培養後、培養上清中のプロスタグランジンE2量をプロスタグランジンE2ELISA KIT(ネオジェン社製、Code.404110)を用い測定した。測定は全て3連で行った。
この結果、化合物(7)、(14)、(17)はいずれもLPSによるプロスタグランジンE2産生誘導を抑制した。その結果を、図21に示す。すなわち、図21は各培養条件下で培養した時の培地中のプロスタグランジンE2濃度を示す図である。図21において横軸は培養条件を、縦軸はプロスタグランジンE2濃度(ng/ml)を示す。
実施例8
実施例1記載の化合物(7)をオリーブオイル(ナカライテスク社製)に1%になるように懸濁して化合物(7)1%懸濁液を調製した。
ddyマウス(日本SLC;メス、7週齢)に上記調製の化合物(7)1%懸濁液を1日1回、15日間で12回、10または、30ml/kgの投与量で、強制経口投与した。なお、対照として水道水を同様に強制経口投与した。また、各群3匹ずつで行った。この後、腹腔内に10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、Code.12−702F)を4ml注入し、よくマッサージした後ぬきとり3匹分をまとめて腹腔細胞を得た。10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に腹腔細胞を106個/mlとなるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で2時間培養し、その後、培養上清を除去して接着性細胞を得て腹腔マクロファージとして用いた。各ウェルに新たに10%ウシ胎児血清含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、Code.12−917F)を500μlずつ加え、10μlの5μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、Code.L−2012)、2000U/mlインターフェロンγ(IFNγ、コスモバイオ社販売、Code.GZM−MG−IFN)水溶液を添加して更に12時間培養した後、NOが培地中で酸化されることによって生ずるNO2 −濃度の測定を実施例6記載の方法で行った。なお、対照としてLPS、IFNγ水溶液を加えない区分を設定した。また、測定は全て3連で行った。
この結果、10または、30ml/kgの化合物(7)を経口投与したマウスより調製した腹腔マクロファージにおいて顕著なNO産生抑制が認められ、寒天オリゴ糖は自由飲水において、強いNO産生抑制作用を示した。
その結果を図22に示す。すなわち、図22は各培養条件で培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図であり、横軸は培養条件を、縦軸はNO2 −濃度(μM)を示す。
実施例9
実施例1記載の化合物(7)をオリーブオイル(ナカライテスク社製)に1%になるように懸濁して化合物(7)1%懸濁液を調製した。
ddyマウス(日本SLC;メス、7週齢)に上記調製の化合物(7)1%懸濁液を1日1回、15日間で12回、10または、30ml/kgの投与量で、強制経口投与した。なお、対照として水道水を同様に強制経口投与した。また、各群3匹ずつで行った。この後、腹腔内に10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、Code.12−702F)を4ml注入し、よくマッサージした後ぬきとり3匹分をまとめて腹腔細胞を得た。10%ウシ胎児血清含有RPMI1640培地に腹腔細胞を106個/mlとなるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で2時間培養し、その後、培養上清を除去して接着性細胞を得て腹腔マクロファージとして用いた。各ウェルに新たに10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、Code.12−604F)を500μlずつ加え、10μlの50μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、Code.L−2012)水溶液を添加して更に12時間培養した後プロスタグランジンE2(PGE2)の量を測定した。なお、対照としてLPSを加えない区分を設定した。
上記培養後、培養上清中のプロスタグランジンE2量をプロスタグランジンE2ELISA KIT(ネオジェン社製、Code.404110)を用い測定した。また、測定は全て3連で行った。
この結果、10または、30ml/kgの化合物(7)を経口投与したマウスより調製した腹腔マクロファージにおいて顕著なPGE2産生抑制が認められ、寒天オリゴ糖は自由飲水において、強いPGE2産生抑制作用を示した。
その結果を図23に示す。すなわち、図23は各培養条件で培養したときの培地中のPGE2濃度を示す図であり、横軸は培養条件を、縦軸はPGE2濃度(ng/ml)を示す。
実施例10
100μMヒドロキシウレアを含む10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有RPMI1640培地(バイオウィタカー社製、12−702F)にHL−60細胞(ATCC CCL−240)を5×105個/mlとなるように懸濁し、10cmシャーレに20ml加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養し、細胞をG1期に停止させた。この細胞を遠心分離により回収し、再度100μMヒドロキシウレアを含む10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有RPMI1640培地に5×105個/mlとなるように懸濁し、6穴マイクロタイタープレートの各ウェルに5mlずつ加えた。一方、ヒドロキシウレア未処理細胞として、HL−60細胞を10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有RPMI1640培地に1×105個/mlとなるように懸濁し、6穴マイクロタイタープレートの各ウェルに5mlずつ加えた。ヒドロキシウレア処理細胞区分のそれぞれのシェルに30、22.5、15、7.5mMのDGE水溶液50μl、あるいは、60、45、30、15mMの化合物(7)ジメチルスルホキシド溶液25μl、100、75、50、25mMの化合物(17)ジメチルスルホキシド溶液25μlを添加し、また、ヒドロキシウレア未処理細胞区分のそれぞれのウェルに8、6、4、2mMのDGE水溶液50μl、30、22.5、15、7.5mMの化合物(7)ジメチルスルホキシド溶液25μl、80、60、40、20mMの化合物(17)ジメチルスルホキシド溶液25μlを添加して、さらに48時間培養した。その後、培養液を回収し遠心分離により細胞を集め、5mlの新しい10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有RPMI1640培地に懸濁し、そのうち100μlを用いてプレミックスWST−1セルプロリファレーションアッセイシステム(宝酒造社製、MK400)により生細胞数を測定した。
この結果、ヒドロキシウレア処理した細胞に対する50%増殖阻害濃度(IC50)はどのサンプルにおいても未処理の細胞と比較して高くなっていた。その結果を表3に示す。すなわち、表3は各サンプルとそのIC50(μM)をまとめた表である。このことより、DGE及びその前駆体である化合物(7)および化合物(17)のような化合物(R−AhGal化合物と称する)は、G1期にアレストしている細胞に対しては毒性が低いことが明らかになった。つまり、生体においては、ほとんどの細胞がG1期にアレストした状態であると考えられることから、DGE及びその前駆体であるR−AhGal化合物は、生体に対して毒性の少ない薬剤であると考えられる。
実施例11
(1)ガスクロマトグラフィーによるDGE検出条件の確立
DGE(2mg)及び内部標品である2−Deoxy−glucose(ナカライテスク:Code.107−22)(2mg)を200μlの水に溶解し、3当量のNaBH4を添加して、室温にて4時間還元した。反応液を無水酢酸で中和、濃縮乾固した後、ピリジン(1ml)、無水酢酸(1ml)と4−ジメチルアミノピリジンを加えて、超音波をかけながら1時間アセチル化反応を行った。反応液をクロロホルム(2ml)で希釈し、氷冷しながら飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応を止めた。有機層を冷水で数回洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥してから、濃縮乾固した。得られた反応物(アルジトールアセテート体)をアセトンに溶解してガスクロマトグラフィーにより以下の条件で分析した。
機種 :shimadzu−17A(島津製作所)
カラム:Ultra 2 Capillary Column(0.32mm× 25m)(Hewlett−Packard)
温度 :160→220℃、3℃/分
検出 :FID
その結果、DGEは15.443分に、2−Deoxy−glucoseは20.456分に検出された。その結果を図24に示す。すなわち図24はガスクロマトグラフィーの結果を示す図であり、縦軸は検出強度(mV)横軸は保持時間(分)を示す。
(2)検量線の作成
DGEの高純度精製品(0.5,2.5,12.5,62.5,312.5μg)に内部標品である2−Deoxy−glucose(それぞれ20,20,200,200,200μg)を混合し、培地(100μl)に溶かしたのち、4.0当量のNaBH4(予備実験では3.0〜10当量には差異がないことを確認)を用いて、室温にて4時間還元した。以降、各サンプルについて上記と同様の操作を行い、アルジトールアセテート体化した後、ガスクロマトにより上記と同様の条件で分析した。得られたガスクロマトグラフィーの結果から、DGEと内部標品の面積比、及び対応するDGEと内部標品の重量比により検量線を作成した。その結果を図25に示す。すなわち、図25はDGEと内部標品の面積比と、対応するDGEと内部標品の重量比の検量線を示す図であり、縦軸はDGEと内部標品の面積比、横軸はDGEと内部標品の重量比を示す。
(3)各化合物から培地中に生じるDGEの定量
化合物(2)(◇)、(7)(×)、(11)(▲)、(14)(■)、(17)(●)、(19)(*)、(21)(|)、およびアガロビオース(◆)1〜3mgをそれぞれ1mlの培地に溶解したのち、37℃にインキュベートして、経時的に(4、8、12、24、48時間)培地を200μlずつ採取した。採取した直後に上記と同様の操作を行い、得られたアルジトールアセテート体をガスクロマトグラフィーにより上記と同様の条件で分析した。得られた結果からDGEと内部標品の面積比により検量線からDGEの量を算出した。
この結果より得られた各化合物からのDGEへの変換率の時間経過を図26に示す。すなわち、図26は各化合物からDGEへの変換率の時間経過を示す図であり、縦軸はDGEの生成率(%)、横軸はインキュベーション時間(時間)を示す。
実施例12
10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12−604F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×105個/mlになるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートのウェルに0.5mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。各ウェルに5μlの10mM 化合物(14)水溶液あるいは1μlの25mM 化合物(7)、50mM 化合物(17)ジメチルスルホキシド溶液を添加して、さらに5時間培養したのち、5μlの100μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、L−2012)水溶液を添加して18時間培養し、培養上清を回収した。培養上清中のインターロイキン10(IL−10)の含量はエンザイムイムノサンドイッチアッセイ(ELISA;Mouse IL−10 ELISA Kit、エンドジェン社製)で測定した。なお、対照として試料、LPS水溶液を加えない区分を設定した。また、測定は全て2連で行った。
この結果、化合物(14)、化合物(7)、化合物(17)添加のいずれの区分においても、LPS誘導IL−10産生の抑制が認められた。その結果を図27に示す。すなわち、図27は各培養条件で培養したときの培養上清中のIL−10の濃度を示す図であり、横軸は培養条件を、縦軸はIL−10濃度(pg/ml)を示す。
また、これらの化合物について、12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテート(TPA)誘導インターロイキン6に与える影響について実験を行なったところ、TPA誘導IL−6産生の抑制が認められた。
実施例13
10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12−604F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×105個/mlになるように懸濁し、6穴マイクロタイタープレートのウェルに5mlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。各ウェルに50μlの10mMあるいは5mM 化合物(11)、化合物(14)水溶液または5μlの50mMあるいは25mM 化合物(7)または5μlの100mMあるいは50mM 化合物(17)ジメチルスルホキシド溶液を添加して12時間培養した。なお、ヘムオキシゲナーゼ1誘導の陽性対照として5μlの3mM 15−デオキシ−Δ12,14プロスタグランジンJ2(ケイマンケミカル社製、18570)ジメチルスルホキシド溶液添加の区分を、また陰性対照として水添加の区分を設定した。細胞をスクレイパーによりプレートより剥がして回収し、0.05mMペプスタチンA(シグマ社製、P5318)、0.2mMロイペプチン(シグマ社製、L2884)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(ナカライテスク社製、273−27)、10mMエチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム、0.1%Triton X−100含有0.1M Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に懸濁して1回凍結融解したのち遠心分離により上清をタンパク画分とした。タンパク画分中のタンパク含量はMicro BCA Protein Assay Reagent(宝酒造社販売ピアス社製、P7411)により測定した。この調製した各タンパク画分サンプルと等量の4%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、2%2−メルカプトエタノール、0.001%ブロムフェノールブルー、20%グリセロール含有0.125M トリス−塩酸緩衝液(pH6.8)を混合し100℃で5分間処理した後、タンパク量として10μgを12.5%SDS−ポリアクリルアミドゲルに負荷し、20mAの定電流で電気泳動した。泳動後のゲルは、48mMトリス、39mMグリシン、20%メタノール、0.0375%SDS含有ブロッティング緩衝液により、トランスブロットSDセルセミドライブロッティング装置(バイオラッド社製)を用いて付属のプロトコールによりPVDF膜(ミリポア社製、IPVH000 10)に15Vの定電圧で25分間転写した。転写後のPVDF膜はブロックエース(大日本製薬社製、UK−B25)溶液中で一晩4℃でブロックした。ブロック後の膜は0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間3回緩やかな振とう下で洗浄した。次に200ng/ml 抗ヘムオキシゲナーゼ1抗体(N−19;サンタクルーズ社製、sc−7696)を含む10%ブロックエース、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水中で1時間室温で緩やかな振とう下で反応し、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間3回緩やかな振とう下で洗浄した。次に0.1%パーオキシダーゼ標識ウサギ抗ヤギIgG(H+L)抗体(ザイメッド社製、61−1620)を含む10%ブロックエース、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水中で1時間室温で緩やかな振とう下で反応し、0.1%Tween20含有りん酸緩衝食塩水により15分間5回緩やかな振とう下で洗浄した。続いて、PVDF膜をウェスタンブロットケミルミネッセンスリージェントプラス(第一化学社販売NENライフサイエンスプロダクツ社製、NEL103)を用いて付属のプロトコールにより染色し、X線フィルム(コダック社製、CAT165 1454)に感光した。感光後のフィルムはFPM800(富士フィルム社製)により現像した。
その結果いずれの試料の添加区分においてもヘムオキシゲナーゼ1タンパク由来のバンドが確認できた。また、バンドの強さは各試料の濃度依存的であった。この結果を表4に示す。表中においてヘムオキシゲナーゼ1タンパクのバンドの強度に応じて、+の記号を記した。すなわち、全くバンドが見られないものは−であり、+−、+、++の順にバンドの強度が強くなるものとした。
産業上の利用の可能性
本発明によりアポトーシス誘発剤、制がん剤、活性酸素産生抑制剤、過酸化脂質ラジカル産生抑制剤、NO産生抑制剤等の抗酸化剤、抗病原微生物剤、鮮度保持剤、抗変異原剤、血糖上昇抑制剤、抗高脂血症剤の有効成分として有用な、一般式Iで表される化合物、および当該化合物を有効成分とする当該化合物に感受性を示す疾患の治療用または予防用医薬が提供される。
当該化合物は、アポトーシス誘発用医薬、制がん用医薬、活性酸素産生抑制用医薬、NO産生抑制用医薬等の抗酸化用医薬、抗病原微生物用医薬、血糖上昇抑制用医薬、抗高脂血症用医薬等の有効成分として有用であり、また当該化合物を含有、希釈および/または添加してなる食品または飲料はアポトーシス誘発作用、制がん作用、活性酸素産生抑制作用、NO産生抑制作用等の抗酸化作用、抗病原微生物抑制作用、抗変異原作用、血糖上昇抑制作用、抗肥満作用等を有する機能性食品または飲料として有用であり、がん患者やウイルス性疾患患者の病変細胞にアポトーシスを誘発し、これらの疾患の予防、症状改善に有効な食品または飲料が提供される。とりわけ大腸がん、胃がん等消化器系のがんの場合、本発明の上記化合物を食品、飲料として経口的に摂取することによりがん細胞にアポトーシスを起こすことができるため、本発明の食品または飲料は消化器系がんの予防、症状改善に優れた効果を有している。さらに、その活性酸素産生抑制作用等の抗酸化作用により上記の食品または飲料は抗酸化ストレス用食品または飲料としても優れている。また本発明により、一般式Iで表される化合物を含有する甘味料が提供され、低カロリー甘味料として食品、飲料の分野において有用である。
また、一般式Iで表される化合物は生体内において一般式IVで表される化合物に変換し、一般式IVで表される化合物の組織特異的ドラグデリバリーシステムの構築に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
図1:化合物(8)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図2:化合物(7)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図3:化合物(10)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図4:化合物(9)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図5:化合物(12)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図6:化合物(11)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図7:化合物(14)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図8:化合物(18)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図9:化合物(17)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図10:化合物(20)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図11:化合物(19)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図12:化合物(22)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
図13:化合物(2)を添加して培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図14:化合物(7)を添加して培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図15:化合物(9)を添加して培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図16:化合物(11)を添加して培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図17:化合物(14)を添加して培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図18:化合物(17)を添加して培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図19:化合物(19)を添加して培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図20:化合物(21)を添加して培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図21:各種培養条件下で培養したときの培地中のPGE2濃度を示す図である。
図22:各種培養条件下で培養したときの培地中のNO2 −濃度を示す図である。
図23:各種培養条件下で培養したときの培地中のPGE2濃度を示す図である。
図24:ガスクロマトグラフィーの結果を示す図である。
図25:DGEと内部標品の面積比と、対応するDGEと内部標品の重量比の検量線を示す図である。
図26:各種化合物からDGEへの変換率の時間経過を示す図である。
図27:各培養条件で培養したときの培養上清中のIL−10の濃度を示す図である。
Claims (4)
- 請求項1記載の一般式Iで表される化合物を有効成分として含有する、疾患の治療用または予防用の医薬。
- 疾患が全身性エリテマトーデス、免疫介在性糸球体腎炎、多発性硬化症、膠原病、自己免疫疾患、リウマチ、がん、炎症性疾患、細菌やウイルス感染、悪性腫瘍、慢性関節リウマチ、Castleman症候群、心房粘液腫、多発性骨髄腫、原発性糸球体腎炎、免疫の低下を伴う疾患、動脈硬化、各種ラジカルによる疾患、糖尿病、神経疾患、または虚血再潅流障害である請求項2記載の医薬。
- 請求項1記載の一般式Iで表される化合物を含有、希釈および/または添加してなる食品または飲料。
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