JP2003073266A - 癌細胞増殖阻害剤 - Google Patents
癌細胞増殖阻害剤Info
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Abstract
を有し、人体に安全で癌の治療に有効な癌細胞増殖阻害
剤を提供する。 【解決手段】一般式(I): 【化1】 (式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立して水素原子又は
イソプロピル基を示す。但し、R1 又はR2 のいずれか
1つは水素原子である)で表されるトロポロン系化合物
又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分とする癌細
胞増殖阻害剤。
Description
物を有効成分とする癌細胞増殖阻害剤に関する。
などの合成系やアントラサイクル、マイトマイシン、ク
ロモマイシン、ブレオマイシンなどの抗生物質、ビンカ
アルカロイド等の天然由来物質、あるいはインターフェ
ロン、インターロイキン、TNF(腫瘍壊死因子)等の
バイオテクノロジー製品が開発されているが、これらは
癌細胞に作用して、その増殖を阻害したり、壊死をおこ
させて疾病を治療するものである。しかしながら、癌細
胞のみならず、正常細胞にも新たな疾患を起こすという
重大な欠陥があった。したがって、周囲の正常細胞にも
影響を及ぼさず、病態細胞のみに作用し、その増殖を阻
害または壊死させる人体に安全な治療薬が望まれる。
キチオールは、天然物質では強くて広い抗菌活性を有す
る。この抗菌活性を利用して、例えば育毛・養毛などの
頭髪化粧品や歯磨組成物に配合されている。
細胞傷害作用を有することも報告され(Biol. Pharm. B
ull., 16,521-523 (1993))、様々な生物活性を有し、ま
た、天然物指向の高まりから新規な用途が開発されてい
る。
の増殖を効果的に阻害する薬理作用を有し、人体に安全
で癌の治療に有効な癌細胞増殖阻害剤を提供することを
目的とする。
一般式(I):
水素原子又はイソプロピル基を示す。但し、R1 又はR
2 のいずれか1つは水素原子である)で表されるトロポ
ロン系化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成
分とする癌細胞増殖阻害剤に関する。
て、有効成分として用いるトロポロン系化合物は、一般
式(I):
水素原子又はイソプロピル基を示す。但し、R1 又はR
2 のいずれか1つは水素原子である)で表される化合物
である。具体的には、式(II):
る。これらの化合物は、低濃度においてヒノキチオール
等の他のトロポロン系化合物と比較して、癌細胞増殖阻
害作用が優れており、γ−ツヤプリシンの作用は特に顕
著である。本発明においては、これらのトロポロン系化
合物は、天然品であっても合成品であってもよい。天然
品の場合は、ヒノキ科アスナロ、ヒノキアスナロ(青森
ヒバ)、台湾ヒノキ、ウエスタンレッドシダー、クロベ
属のクロベなどの心材から抽出したものを用いることが
できる。
に関してはAsao,A.ら、Chem.Commu
n.,1970,89−90等に記載の方法によりα−
ドラブリンを合成し、水素還元を行うことにより得るこ
とができる。また、γ−ツヤプリシンに関してはNoz
oe,T.ら、Chem.lnd(London),1
957,1070等に記載の方法により得ることができ
る。
系化合物の薬理学的に許容しうる塩としては、ナトリウ
ム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜
鉛塩、塩酸塩等が挙げられる。
た急性毒性試験(腹腔内)では、例えば、α−ツヤプリ
シンは256mg/kg及びγ−ツヤプリシンは277
mg/kgであり、いずれのトロポロン系化合物も人体
に安全な抗腫瘍治療剤として用いることが出来る。な
お、これらのトロポロン系化合物の薬理学的に許容しう
る塩も同程度のLD50値を示す。また、LD50値は、後
述の実施例に記載の方法により得られたものをいう。
ト胃癌細胞、腹水癌細胞、白血病細胞、肝臓癌細胞等の
各種の癌細胞の増殖の阻害効果に優れ、中でも、ヒト胃
癌細胞及び腹水癌細胞の増殖の阻害が特に顕著である。
有効成分の投与量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体
重等により適宜決定される。
の病状に応じて、連日投与又は間欠投与のいずれでもよ
く、適宜調節することができる。
その製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の
程度等に応じて決定され、経口投与及び非経口投与のい
ずれでもよい。
阻害剤を例えば、粉末、顆粒剤、錠剤、ピル、カプセル
剤、液剤及びシロップ剤の単位投与形態として用いるこ
とができる。
細胞増殖阻害剤を例えば、注射剤、坐剤等の単位投与形
態として用いることができる。前記注射剤は、単独で又
はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補助剤と混合して静脈
内投与され、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮
下若しくは腹腔内投与されうる。坐剤は、直腸内投与さ
れうる。
腹腔内投与のためには、本発明の癌細胞増殖阻害剤を、
水性担体(慣用の注射用水等)又は非水性担体(慣用の
油性溶剤、親水性溶剤等)の中に溶解又は懸濁させた形
態として用いることができる。
ラーゲン等の生体親和性の材料を用いて、徐放性製剤と
して投与されうる。
阻害剤は、薬理学的に許容されうる担体、好ましくは水
性担体の中に溶解又は懸濁させた形態として用いること
ができる。前記水性担体としては、例えば、水、緩衝化
水、生理的食塩水等を使用することができる。このよう
にして作製された水溶液は、そのまま包装するか、ある
いは凍結乾燥することができ、凍結乾燥した調製物は、
投与前に無菌の水溶液に溶解させて使用することができ
る。
許容されうる補助剤をさらに含有してもよい。前記補助
剤としては、例えば、経口投与前の場合は賦形剤、張度
調節剤、湿潤剤、結合剤、充填剤、安定剤、希釈剤、潤
滑剤等が挙げられる。一方、注射の場合は、生理食塩水
等に溶解させた溶解補助剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、
無痛化剤等が挙げられる。
は、血管等の局所における投与を可能にする薬物送達用
素材も適宜用いてもよい。
例えば、後述の実施例に記載のように、ラットやマウス
を用いて、適宜、本発明の癌細胞増殖阻害剤の投与量を
設定して、延命効果試験等により評価することができ
る。
評価は、無処理群の生存日数に対する投与群の生存日数
とを比較することにより行うことができる。
により発生する障害の予防剤及び/又は治療剤としての
使用にも有利である。
〔3.2.0〕−ヘプト−2−エン−6−オン(以下、
クロロ付加物という)の合成 新たに蒸留した6,6−ジメチルフィルベン(70.0
g、74.9%、0.49モル)及びジクロロアセチル
クロリド(106.6g、0.72モル)をヘキサン
(500ml)中で攪拌した溶液に、Et3 N(72.
8g、0.72モル)を1時間かけて滴下した。得られ
た混合物をさらに6時間攪拌し、次いで一晩静置した。
得られた反応混合物を水(3×300g)で洗浄した
後、溶媒を除去して、残留物を吸引濾過し、クロロ付加
物53.6gを得た。
g)に、クロロ付加物(50.0g、0.23モル)を
添加した。得られた混合物を18.5時間還流した。室
温まで冷却した後、トルエン(150g)を添加した。
得られた混合溶液を水(50g)で洗浄し、硫酸ナトリ
ウムで乾燥した。溶媒の除去後、残留物を減圧下で蒸留
し、3−イソプロペニルトロポロン18.7gを得た。
ン溶液(18.7g、0.115モル)を11時間、5
%Pd−C(4.0g)の存在下、水素雰囲気中で攪拌
した。触媒の濾過後、濾過物のエバポレーションから得
られた残留物を吸引下で蒸留し、イソ−ヘキサンから再
結晶させ、α−ツヤプリシン(2.0g)を得た。
は、 1H−NMRスペクトル及びHR−MSスペクトル
を用いて確認した。なお、 1H−NMRスペクトルは、
インターナルスタンダードとしてテトラメチルシランを
用いるJEOL GSX−270スペクトロメーターで
測定した。また、HR−MSスペクトルはJEOLJM
S−HX−100で測定した。以下に 1H−NMRスペ
クトル及びHR−MSスペクトルのデータを示す。1 H−NMR(300MHz,CDCl3 )1.26
〔d,J=4.3Hz、6H、3−CH(C
H3 )2 〕,3.74〔seven lines,J=
4.3Hz、1H、3−CH(CH3 )2 〕,7.00
−7.51(m,4H,4,5,6,7−CH),9.
81(br s,1H,OH)。 HR−MS m/z:164.0840(C10H12O2
に対するM+ Calcd:164.0837)。
リシンは、ノゾエ(Nozoe T.)ら、Chem. Ind.(London),
1957, 1070の方法に基づいて、アスナロ(Thujopsis do
labrata SIEB. et Zucc. var. hondai Makino)の木材の
蒸留により得られた酸油から単離した。以下に 1H−N
MRスペクトル及びHR−MSスペクトルのデータを示
す。1H−NMR(300MHz,CDCl3 ):1.
26〔d,6H、J=6.9 Hz、4−CH(CH3 )2 〕,2.89〔seven
lines,1H、J=6.9Hz、4−CH(CH
3 )2 〕,7.26−7.35(m,4H,H−3,
4,6,7)。 HR−MS m/z:164.0841(C10H12O2
に対するM+ Calcd:164.0837)。
ATO− III、エールリッヒ腹水癌)〕 トロポロン系化合物の細胞毒性試験を以下のようにして
行った。対数増殖相(exponential growth phase) にあ
る2種類の癌細胞、ヒト胃癌細胞KATO−III と腹水
癌細胞とを96ウェル平底マイクロプレート中に各ウェ
ル中100μlあたり3×103 細胞の密度で入れ、培
地中で24時間生育させた。培地の除去後、種々の濃度
の試験化合物〔α−ツヤプリシン、γ−ツヤプリシン、
ヒノキチオール、β−ドラブリン、4−アセチルトロポ
ロン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ポドフィロト
キシン〕を含有する100μlの新しい培地を添加し
た。培養72時間後、細胞増殖を3−(4,5−ジメチ
ルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラ
ゾリウムブロミド(MTT)法により測定した。なお、
試験化合物はDMSO中に溶解させ、0.32〜20μ
g/mlで完全培地中に希釈した。これらの結果を図
1、2及び表1、2に示す。なお、DMSOは、単独で
細胞増殖に何ら影響を与えなかった。
DMEM〔50μg/mlカナマイシン硫酸塩と4mM
L−グルタミンを含有したダルベッコ改変イーグル培
地、ニッスイ製薬(株)製〕とRPMI−1640〔1
00μg/mlストレプトマイシン及び0.0035μ
l/ml 2−メルカプトエタノールを含有した完全R
PMI−1640培地、ニッスイ化学(株)製〕とを
1:1(容量比)にし、10%熱不活性化ウシ胎子血清
(FBS、Gibco社製)を補足した培地を用いた。
エールリッヒ腹水癌には、10%FBSを補足したDM
EMを用いた。また、各細胞株は37℃、5%CO2 及
び95%空気の加湿雰囲気下、チャンバー中で培養し
た。
2μg/mlの薬剤濃度で、ヒト胃癌細胞KATO−II
I の増殖に対して、α−ツヤプリシン47.7%、γ−
ツヤプリシン68.9%、ヒノキチオール0.7%、β
−ドラブリン12.0%の阻害を示した(図1、表
1)。また、エールリッヒ腹水癌の増殖に対して、α−
ツヤプリシン65.7%、γ−ツヤプリシン74.7
%、ヒノキチオール0%、β−ドラブリン22.5%の
阻害を示した(図2、表2)。なお、いずれの値も、コ
ントロールの増殖値を100%とした場合の%である。
シンは、ヒト胃癌細胞KATO− III及びエールヒッヒ
腹水癌の細胞増殖を、化学構造が類似しているヒノキチ
オール及びβ−ドラブリンに比べ、0.32μg/ml
という極めて低い濃度でも、有意に阻害しうることがわ
かる。
リシンは、公知の癌治療薬であるビンカアルカロイド
(ビンブラスチン、ビンクリスチン及びポドフィロトキ
シン)に比べ、エールリッヒ腹水癌の細胞増殖を0.3
2μg/mlという極めて低い濃度でも、有意に阻害し
うることがわかる。
シンは、高濃度で投与される場合、ビンブラスチン、ビ
ンクリスチン及びポドフィロトキシンに比べ、ヒト胃癌
細胞KATO− III及びエールヒッヒ腹水癌の細胞増殖
を極めて低く抑えることができることがわかる。
て測定した。マウスを各5個体の群に分け、トロポロン
系化合物を5%アラビアゴム生理食塩水溶液に懸濁し、
腹膜内に注射した。注射から8時間後、マウスの死亡率
を測定し、バン・デル・ヴェールデン法(Van der Waer
den B. L., Mathematisch Statistik, Springer-Verla
g, Berlin, Gottingen, and Heidelberg, 1957 年) に
基づいてLD50を計算した。その結果、この急性毒性試
験(腹腔内)のLD50値について、ヒノキチオール19
1mg/kg、β−ドラブリン232mg/kg、ビン
ブラスチン2.7±0.5mg/kg、ビンクリスチン
3.0±0.44mg/kg及びポドフィロトキシン5
〜30mg/kgに対して、α−ツヤプリシン256m
g/kg、γ−ツヤプリシン277mg/kgである。
従って、本発明のトロポロン系化合物は、人体により安
全な抗腫瘍治療剤として使用しうることがわかる。
ン系化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分
として含有するものであって、各種癌細胞、特にヒト胃
癌細胞や腹水癌細胞の増殖を効果的に阻害し、抗腫瘍治
療剤として有効である。
する4−アセチルトロポロン、ポドフィロトキシン、ビ
ンブラスチン、ビンクリスチン、α−ツヤプリシン、γ
−ツヤプリシン、ヒノキチオール又はβ−ドラブリンの
細胞毒性試験の結果を示す図である。
4−アセチルトロポロン、ポドフィロトキシン、ビンブ
ラスチン、ビンクリスチン、α−ツヤプリシン、γ−ツ
ヤプリシン、ヒノキチオール又はβ−ドラブリンの細胞
毒性試験の結果を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立して水素原子又は
イソプロピル基を示す。但し、R1 又はR2 のいずれか
1つは水素原子である)で表されるトロポロン系化合物
又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分とする癌細
胞増殖阻害剤。 - 【請求項2】 トロポロン系化合物がα−ツヤプリシン
又はγ−ツヤプリシンである請求項1記載の癌細胞増殖
阻害剤。 - 【請求項3】 癌細胞がヒト胃癌細胞又は腹水癌細胞で
ある請求項1又は2記載の癌細胞増殖阻害剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001261972A JP2003073266A (ja) | 2001-08-30 | 2001-08-30 | 癌細胞増殖阻害剤 |
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Publications (1)
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---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2001
- 2001-08-30 JP JP2001261972A patent/JP2003073266A/ja active Pending
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