JP4145420B2 - クローラ軌道リンク部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は請求項1の前段部分に記載のクローラ軌道(クローラ・トラック)リンク部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドイツ公開明細書(DE−AS)第16 05 509号は、走行パッドの形のプレート状滑り部分を有するキャタピラー又はクローラ軌道リンク部材を開示している。走行パッドに連接されたベース・プレートは型打ち加工された凸部を有し、この凸部は走行パッドが押し込まれる時、当接突起を越えてクローラ軌道リンク部材の中に滑り込み、走行パッドが当接状態まで移動した後に、この走行パッドは突起の背後に落ちて、クローラ軌道リンク部材上に保持された状態となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような走行パッドの固定原理はDE 33 35 937 2Cおよび195 44 458 A1によっても公知である。軌道付設車が移動する際に、この種の走行パッドは高い接触圧、推力荷重および高い動的衝撃荷重による応力を受ける。特に高度に移動性の車両の場合、過荷重の故に、ベース・プレートは一般に初期亀裂又は破断を受け、これらの亀裂又は破断は一般に凸部保持部分の切込の底部から始まる。このような初期亀裂又は破断が十分早期に発見されず、又は初期亀裂又は破断を受けたベース・プレートを有する走行パッドがゴム摩耗の故に除去されなければ、ベース・プレートは完全に破断するにいたる。完全に破断したベース・プレートを有する走行パッドは、車両が軌道にそって走行する際にこれらの走行パッドが軌道から飛び出す潜在的危険性を有する。
【0004】
種々の亀裂又は破断のリスクを避け又は低減させる種々の試みが成されている。例えばそのために、可撓性引張側面における応力ピークを避けるように、凸部の切込区域に大きな半径を備えまた切断操作における型抜き方向を固定する事によって、切欠型ファクタが導入されている。金属板材料の厚さの増大も試みられた。しかしこれらの方法は亀裂問題に対する決定的解決を与えない。
【0005】
本発明の目的は、クローラ軌道のベース・プレートの滑り部分の初期亀裂および破断が生じないようにベース・プレートのこの滑り部分を設計するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項1の特徴部によってこの目的を達成する。本発明の望ましい実施態様は従属形式の請求項に記載されている。
【0007】
この目的を達成する方法は、ベース・プレートの固定凸部(固定タング)は切込まれて押出されるのではなく、予め押出されたベース・プレートの凸部(タング)区域の中にインプレッション部分を形成し、このインプレッション部分が凸部(タング)保持部分の機能を果たすにある。
【0008】
この場合、ベース・プレートはもはや切込によって弱化されない。部品に対する荷重を著しく増大するような切欠型ファクタも導入されない。ベース・プレートの厚さを増大する必要はない。これは、金属板の重量も増大されない事を意味する。滑り部分の着脱は車上の工具によって簡単に実施する事ができる。
【0009】
実施されたテスト結果は、滑り部分の使用期間全体においてベース・プレート上の初期亀裂および破断の生じない事を示した。ベース・プレート上の切込の除去はコストの低減を伴なう。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施例(及び参考例)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
図1(本発明の参考例)について述べれば、ベース・プレート4を備えた走行パッド3が、本体部分2の案内溝1の中に押し込まれた状態を示す。
【0012】
ベース・プレート4が2つの接合部5,6の間に保持された状態又は締められた状態に配置され、この点については保持区域10を参照。走行パッド3がベース・プレート4と共に案内溝1の中に押し込まれる時に、ベース・プレート4が接合部6を越えて滑る。その際にベース・プレート4は弾性的に変形する。走行パッド3が摩耗した時、工具11(図示されていない)によってベース・プレート4を破線で示された開口7を通して接合部6の上に持ち上げ、また矢印8で示されるように挿入された他の工具(図示されていない)によってレバー作用で走行パッド3を除去しなければならない。ベース・プレート4は主面9の中に配置されている。このベース・プレート4は切り込みがなく、言い換えれば無凸部型ベース・プレートの形を成す。
【0013】
図2(本発明の参考例)について述べれば、図1と相違し、ベース・プレート14は非切断成形によって成形された凸部15を備える。主面9と凸部面16は相互に角度17を成す。その結果、走行パッド13が本体部分2の中に押し込まれ又は押出される際に、凸部15と接合部16との間においてのみ摩擦接触が生じる。凸部15を形成する保持区域10の成形区域は図7を参照して詳細に説明される。
【0014】
図3と図4(本発明の参考例)について述べれば、走行パッド23の場合、ベース・プレート24は、図2および図7と同様に非切断成形によって成形された凸部25を保持区域10の中に備えている。ベース・プレート24は走行パッド23の表面区域としてその大部分が走行パッド23上に延在する。エラストマー層26がベース・プレート24と摩耗性鋼体27との間に配置され、この鋼体27は破線で示された本体部分22中の案内溝1の中に係合する。図1および図2に示された接合部5,6と同様に、ベース・プレート24も接合部28,29の間に配置されている。
凸部25を本体部分22から持ち上げるための開口が参照番号30で示されている。
【0015】
図5乃至図7(本発明の実施例)に図示のように、本体部分32の中に固定された走行パッド33は図2と図4に対応するベース・プレート34を有する。ベース・プレート34は保持区域10において2つの成形区域又は変形区域36を有する。これらの成形区域36は、図2の主面9に対する角度17に対応する角度で凸部35を形成する。ベース・プレート34は走行パッド33のキャリヤを成し、同時にこのベース・プレート34は本体部分32の案内溝31の中に係合する事により本体部分32に対する確実な締付け連結を成すのに役立つ。開口40は接合部39において凸部35を離脱させるのに役立つ。
【0016】
図8(本発明の実施例)に図示のキャタピラー又はクローラ軌道(クローラ・トラック)50の場合、本体部分51の中に配置されたゴム取付けピン53とこれらのピン51上に固着されたコネクタ54とによって、本体部分51が案内歯52と相互にヒンジ連結されている。
【0017】
本体部分51は走行パッド63を固定するために案内溝55と接合部56,57とを有する。挿入サイドにおける接合部が参照番号56で示され、後側サイドの接合部が参照番号57によって示されている。
【0018】
図9(本発明の実施例)について述べれば、案内溝55に対する案内バー65を備えた中間プレート64と、凸部75を備えたベース・プレート74とが走行パッド63に対して加硫によって接合されている。凸部75は保持区域の中において下方に配置されたゴムを備えている。
【0019】
図8に図示のように、ベース・プレート74の凸部75は二重波形を有する。
この波形は図10に図示の3成形区域76および77によって与えられる。
【0020】
さらにベース・プレート74は末端接合部78を有する。これは、本体部分51の接合部57を有する後側壁体79に対応する。
【0021】
本体部分51の接合部56は中心凹部80を備え、この凹部80は走行パッド63の対向配置された凹部81に対応する。
【0022】
最後にベース・プレート74は図10(本発明の実施例)に図示のように、クローラ50の走行方向80に配置された補強ビード又は波形81を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例のクローラ軌道リンク部材の走行パッドの断面図。
【図2】 本発明の参考例のクローラ軌道リンク部材の走行パッドの断面図。
【図3】 本発明の参考例のクローラ軌道リンク部材の走行パッドの斜視図。
【図4】 図3のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】 本発明の実施例によるクローラ軌道リンク部材の他の走行パッドの断面図。
【図6】 図5のVI−VI線に沿った断面図。
【図7】 図5の走行パッドのベース・プレートの図。
【図8】 本発明の実施例による走行パッドのクローラ軌道の一部を示す図。
【図9】 図8の走行パッドの一部の断面図。
【図10】 図8と図9の走行パッドのベース・プレートの一部の図。
【図11】 図10のXI−XI線に沿った断面図。
【符号の説明】
1 案内溝
2 クローラ軌道リンク部材
3 走行パッド
4 弾性ベース・プレート
5,6 接合部
7 開口
9 ベース・プレートの主面
10 保持区域
11 レバー
14 ベース・プレート
15 凸部
17 角度
51 本体部分
64 中間プレート
65 案内バー
74 ベース・プレート
76,77 成形区域

Claims (6)

  1. 案内溝(31)が形成された本体部分(32)を備えたクローラ軌道リンク部材であって、
    走行パッド、スタッド、雪グリッパ又は泥グリッパ又は浮力支援手段などのスライド・オン部分(33)を保持するための保持手段(38,39)が本体部分(32)に設けられ、
    スライド・オン部分(33)は弾性ベース・プレート(34)を有し、この弾性ベース・プレート(34)は、スライド・オン部分(33)をクローラ軌道リンク部材の本体部分(32)に固定するために、本体部分(32)に設けられた保持手段である接合部(39)に係合させられ、
    接合部(39)には開口(40)が設けられ、
    ベース・プレート(34)の端部が本体部分(32)の案内溝(31)に係合し
    ベース・プレート(34)は、押し込まれ又は押出される際に弾性的に変形しながら接合部(39)上を滑動し、且つ、押出される際にベース・プレート(34)は、開口(40)の中に嵌合されるレバー(11)によって接合部(39)の上に持ち上げられる事ができるように成されたクローラ軌道リンク部材において、
    ベース・プレート(34)は、保持区域(10)に切込みが形成されておらず、且つ、非切込み成形により形成された変形区域(36)を保持区域(10)内に有している事を特徴とするクローラ軌道リンク部材。
  2. ベース・プレート(34)は、保持区域(10)において、ベース・プレート(34)の主面(9)と所定角度(17)を形成している事を特徴とする請求項1に記載のクローラ軌道リンク部材。
  3. 保持区域(10)において、ベース・プレート(34)がインプレッションなどの非切込み成形によって所定角度を形成している事を特徴とする請求項2に記載のクローラ軌道リンク部材。
  4. 案内溝(55)が形成された本体部分(51)を備えたクローラ軌道リンク部材であって、
    走行パッド、スタッド、雪グリッパ又は泥グリッパ又は浮力支援手段などのスライド・オン部分(63)を保持するための保持手段(56,57)が本体部分(51)に設けられ、
    スライド・オン部分(63)は弾性ベース・プレート(74)を有し、この弾性ベース・プレート(74)は、スライド・オン部分(63)をクローラ軌道リンク部材の本体部分(51)に固定するために、本体部分(51)に設けられた保持手段である接合部(56)に係合させられ、
    接合部(56)には開口(80)が設けられ、
    ベース・プレート(74)は、押し込まれ又は押出される際に弾性的に変形しながら接合部(56)上を滑動し、且つ、押出される際にベース・プレート(74)は、開口(80)の中に嵌合されるレバー(11)によって接合部(56)の上に持ち上げられる事ができるように成されたクローラ軌道リンク部材において、
    ベース・プレート(74)は、保持区域(10)に切込みが形成されておらず、且つ、非切込み成形により形成された変形区域(76,77)を保持区域(10)内に有しており、
    ベース・プレート(74)から離間配置された中間プレート(64)が走行パッド(63)に設けられ、中間プレート(64)の案内バー(65)が、本体部分(51)の案内溝(55)内に係合する事を特徴とするクローラ軌道リンク部材。
  5. ベース・プレート(34)の保持区域(10)に切込みを形成しないことにより、ベース・プレート(34)の、本体部分(32)の接合部(39)に面する端面が、連続的で且つ中断のないものとなる事を特徴とする請求項1に記載のクローラ軌道リンク部材。
  6. ベース・プレート(74)は、ベース・プレート(74)の保持区域(10)に二重波形形状を提供する3つの変形区域(76,77)を含む事を特徴とする請求項に記載のクローラ軌道リンク部材。
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