JP4144409B2 - コンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体中に含まれる重金属等の不純物を吸着するためのコンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、資源のリサイクルの観点から、解体に伴って廃棄されるコンクリートからセメントや骨材を再生することが行われている。骨材を再生するために、通常、コンクリート廃材を所定の大きさのコンクリート塊に破砕した後、このコンクリート塊を回転式のチューブミルに供給してすりもみ処理を行う。このすりもみ処理により、各コンクリート塊が破砕、摩砕されることから、セメントペーストが取り除かれた粗骨材や細骨材の骨材を得ることができる。また、同時に、セメントペーストが粉砕されたものや骨材の一部が削り取られたものが副産微粉として回収されることになる。
【0003】
上記再生骨材は、構造用コンクリートの優良な骨材として再利用することができる。
一方、副産微粉については、その主たる用途がいまだ確立しておらず、その用途の開発が強く望まれていた。
【0004】
そこで、本発明者等は、副産微粉の用途の開発について、鋭意研究を重ねたところ、流体中に含まれる重金属やリン酸等の不純物を吸着する上で有効であることを見出し、本発明に至ったものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、流体中に含まれる重金属等の不純物を吸着することのできるコンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材の製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、流体中に不純物として含まれる重金属類もしくは重金属化合物またはリン酸を吸着除去するための不純物吸着材の製造方法であって、コンクリート廃材を破砕して得られたコンクリート塊を、100〜500℃に加熱処理した後にすりもみ処理して骨材を回収する際に生じた、セメント水和物50重量%および骨材微粉50重量%からなる粒径が150μm以下の副産微粉を捕集し、次いで上記副産微粉に水を加えて混練することによって得られたスラリーを型に注入して成形した後に、常温で養生することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記コンクリート塊を、軸線回りに回転する円筒状のミル内に供給して上記すりもみ処理を行い、かつ上記ミル内の空気を吸引して上記副産微粉を捕集するとともに、当該空気の流速を上記粒径150μm以下の副産微粉の移送が可能となるように設定したことを特徴とするものである。
【0007】
上記のように構成された請求項1または2に記載の発明においては、コンクリート塊を100〜500℃の温度に加熱することにより、セメントペーストが均一に脱水脆弱化するので、この加熱後のすりもみ処理により、粗骨材や細骨材からセメントペーストを効率よくきれいに落とすことができるとともに、セメントペーストを主成分とする微細な副産微粉を回収することができる。
【0008】
なお、コンクリート塊の加熱温度を上記のように100℃以上に設定したのは、100℃未満では特にセメントペーストの脆弱化の面で効果が低くなるとともに、脱水に多くの時間がかかるようになるからである。また、500℃以下に設定したのは、500℃超の温度ではコンクリート塊中の粗骨材や細骨材が変質や劣化を生じるおそれがあるからである。
【0009】
そして、この副産微粉は、加熱後のすりもみ処理によって、多孔質のものとなるので、その粉体の状態のまま、例えば重金属等の不純物を含んだ液体(流体)に投入して撹拌することにより、当該不純物を吸着することができる。
【0010】
また、副産微粉は、表2に示すように、例えば150μm以下のものでも、CaO(生石灰)を27.4重量%、SiO2 (二酸化珪素)を46.0重量%程度含んでいることから、セメント水和物が加熱されて生じたカルシウムシリケート脱水物の再水和反応により、
3CaO・2SiO2 ・3H2 O
となって、硬化することになる。したがって、この硬化によって塊状となった多孔質状の不純物吸着材に流体を接触させることによっても、流体中の不純物を吸着することができる。
【0011】
この場合、流体としては、気体であっても、液体であってもよい。例えばゴミ焼却設備において発生する重金属やダイオキシン等の不純物を含む飛灰を空気とともに上記塊状の不純物吸着材に接触させることにより、その不純物を不純物吸着材に吸着させることができる。また、飛灰等の不純物を洗浄した後の廃水を上記塊状の不純物吸着材に接触させることにより、当該不純物を不純物吸着材に吸着させることができる。
【0014】
また、原料を常温養生により硬化させているので、略球形状のものや、筒状のものを、簡単に形成することができる。そして、常温においても、上述のようにCaOを27.4重量%、SiO2を46.0重量%程度含んでいることから、セメント水和物が加熱されて生じたカルシウムシリケート脱水物の再水和反応により、
3CaO・2SiO2・3H2O
を生成させて、充分に硬化させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材の製造方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、コンクリート廃材から骨材を回収するための骨材再生設備を示す図であり、図2は、骨材再生設備で発生した副産微粉を分級する微粉分級処理設備を示す図である。
【0021】
図1において、1はコンクリート塊Aを加熱するための充填型加熱炉である。この充填型加熱炉1は、円筒炉壁1aの上部に連続的に供給されるコンクリート塊Aを一定の温度で所定時間加熱した後、円筒炉壁1aの下部からテーブルフィーダ(図示せず)を介して連続的に排出するようになっている。加熱は、灯油等を燃焼させることによって生じた熱風を円筒炉壁1aの下方位置の周囲および中央から供給し、円筒炉壁1a内を上昇させることにより行うようになっている。
【0022】
上記コンクリート塊Aは、コンクリート建造物の解体に伴って生じたコンクリート廃材を破砕機によって20〜40mmに破砕したものである。この破砕機としては、例えば固定歯と可動歯との間にコンクリート廃材を挟んで破砕するジョークラッシャや、高速で回転するハンマーの衝撃力を利用してコンクリート廃材を破砕するハンマークラッシャや、コンクリート廃材を遠心力によって高速で飛散させることにより、すでに周囲に存在するコンクリート塊Aに衝突させ、その際の衝撃力で破砕する遠心破砕機等の乾式のものが用いられる。
【0023】
また、コンクリート塊Aは、最大寸法で5mm未満のものを篩で排除したものを充填型加熱炉1に投入することが好ましい。すなわち、このように5mm未満のコンクリート塊Aを排除することによって、充填型加熱炉1における垂直方向の上方への熱風の通りが良くなり、コンクリート塊Aが均一の温度に加熱されることになる。なお、必ずしも5mm未満のコンクリート塊Bを廃材Cとして排除しなくてもよい。すなわち、5mmとは異なる大きさ未満のコンクリート塊Bを排除してもよく、全く排除しなくてもよい。また、コンクリート塊Aの加熱温度としては、100〜500℃に設定することが好ましい。
【0024】
コンクリート塊Aの加熱温度を100〜500℃に設定したのは、100℃未満では、コンクリート塊A中のセメントペーストを脆弱化する上で効果が薄いとともに、セメントペースト等の脱水に多くの時間がかかるからである。また、500℃超の温度ではコンクリート塊中の粗骨材や細骨材に変質や劣化が生じるおそれがあるからである。そして、この点を考慮すると、実際に加熱する温度は、300〜350℃とすることが好ましい。ちなみに、この実施形態では300〜350℃に設定している。
【0025】
充填型加熱炉1で加熱処理を受けた後のコンクリート塊Aは、粗骨材ミル2および細骨材ミル3に順次送られてすりもみ処理がなされるようになっている。
【0026】
粗骨材ミル2は、二重ドラム型のもので構成されており、外ドラム21と、この外ドラム21の内側に同軸状に設けられた内ドラム22と、この内ドラム22内に投入された複数のすりもみ媒体23とを備えている。
【0027】
外ドラム21および内ドラム22は、ともに円筒状の外周壁を有し、その軸線が供給口22a側から搬出口22b、21a側に向かって水平に保持された状態で、その軸線回りに回転駆動されるようになっている。内ドラム22には複数の貫通孔が形成されているとともに、その外周に網目サイズが4.5mm程度の網部22cが巻き付けられている。網部22cは、内ドラム22内ですりもみ処理によって生じた4.5mm以下のモルタルCを篩い分けて外ドラム21側に移動させるようになっている。すりもみ媒体23は、耐磨耗性を有する鋼球によって構成されたものであり、コンクリート塊Aに対する破砕、摩砕によって、粗骨材BからモルタルCを分離するようになっている。
【0028】
また、上記供給口22aは、粗骨材ミル2の軸線方向の一端における内ドラム22の内側に位置しており、搬出口22bは、粗骨材ミル2の軸線方向の他端における内ドラム22の内側に位置しており、もう一つの搬出口21aは、粗骨材ミル2の軸線方向の他端における内ドラム22と外ドラム21との間に位置している。このため、充填型加熱炉1から供給されたコンクリート塊Aは、供給口22aから内ドラム22内に入り、同内ドラム22内ですりもみ処理されて粗骨材Bとなったものは搬出口22bから搬出されて細骨材ミル3に供給され、すりもみ処理時に内ドラム22から網部22cを介して外ドラム21側に流出したモルタルCは搬出口21aから搬出されて細骨材ミル3に供給されるようになっている。
【0029】
細骨材ミル3は、円筒状の外周壁を有し、その軸線が供給口3a側から搬出口3b側に向けて水平に保持された状態で、その軸線回りに回転駆動されるようになっている。この細骨材ミル3は、粗骨材ミル2で分別されたモルタルCを、粗骨材Bをすりもみ媒体として利用するようになっている。このすりもみ処理により、モルタルCにおける細骨材Dからセメントペーストが破砕、摩砕により分離されることになる。
【0030】
細骨材ミル3において製造された細骨材Dおよび粗骨材Bは、骨材分級設備4に送られ、細骨材Dと粗骨材Bとに分級されるようになっている。骨材分級設備4は、篩目が5mmの振動篩41を備えており、振動篩41を通過した骨材を細骨材Dとして回収し、振動篩41を通過せず篩い上となった骨材を粗骨材Bとして回収するようになっている。
【0031】
一方、細骨材ミル3で細骨材Dが製造されることに伴って、副産微粉が生じることになる。この副産微粉は、細骨材ミル3内を供給口3aから搬出口3bに流れ、微粉分級処理設備5に吸引される空気の流れによって、回収されるようになっている。また、粗骨材ミル2、骨材分級設備4において発生した副産微粉についても、微粉分級処理設備5に吸引される空気の流れによって、回収されるようになっている。また、上述した空気の流れは、粒径が150μm以下の副産微粉を移送することが可能な速さに設定されている。
【0032】
微粉分級処理設備5は、図2に示すように、第1の分級器51と、第2の分級器52と、バグフィルタ53とを備えたもので構成されている。第1の分級器51は、空気の流れによって運ばれてきた150μm以下の副産微粉のうち、90μm超の副産微粉の通過を阻止し、90μm以下の副産微粉の通過を許容するものである。この第1の分級器51で捕らえた90μm超で150μm以下の副産微粉は、粗の副産微粉Eとしてタンク51aに貯蔵するようになっている。なお、粗の副産微粉Eは、細骨材Dの粒度調整に利用し、余ったものをタンク51aに貯蔵するようにしてもよい。
【0033】
第2の分級器52は、第1の分級器51を通過した90μm以下の副産微粉のうち、30μm超の副産微粉の通過を阻止し、30μm以下の副産微粉の通過を許容するものである。この第2の分級器52で捕らえられた30μm超で90μm以下の副産微粉は、細の副産微粉Fとしてタンク52aに貯蔵するようになっている。
【0034】
バグフィルタ53は、第2の分級器52を通過した30μm以下の副産微粉を回収するフィルタを備えたもので構成されている。このバグフィルタ53で捕らえられた30μm以下の副産微粉は、微細の副産微粉Gとしてタンク53aに貯蔵するようになっている。また、図3は、150μm以下の全副産微粉について、粒径と累積頻度との関係について実測した結果を示している。この図から、粒径が30μm以下の副産微粉は、全副産微粉の約60重量%に達し、粒径が90μm以下の副産微粉は、全副産微粉の約80重量%に達していることがわかる。
【0035】
また、150μm以下の副産微粉について化学分析と熱分析の結果に基づき成分組成を求めたものを表1および表2に示す。表1から、副産微粉全体では、セメント水和物の成分と骨材の成分とがそれぞれ50重量%の割合で存在していることがわかる。さらに、表2から、30μm超で150μm以下の副産微粉では、SiO2 (酸化珪素)成分が56.5重量%と多いことから骨材の成分が多く含まれていることがわかるとともに、CaO成分が17.6重量%と少ないことからセメント水和物の成分が少ないことがわかる。これに対して、30μm以下の副産微粉では、SiO2 成分が40.4重量%と少なくなっていることから骨材の成分が少なくなっていることがわかるとともに、CaO成分が32.6重量%と多くなっていることからセメント水和物の成分が多くなっていることがわかる。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
上記副産微粉は、流体中に含まれる水銀、銅、鉛、亜鉛、クロム、ニッケル、カドミウム、チタン、マンガン、コバルト、ヒ素、スズ、ビスマス等の重金属あるいは重金属化合物やリン酸等の不純物を吸着により排除する不純物吸着材として用いられるようになっている。この場合、150μm以下の全ての副産微粉、90μm以下の全ての副産微粉、90〜150μmの粗の副産微粉E、30〜90μmの細の副産微粉F、30μm以下の微細の副産微粉Gをそれぞれそのまま、不純物吸着材として使用することが可能であるとともに、それぞれの副産微粉を主たる原料として水和反応により所定の形状に硬化させたものを不純物吸着材として使用することが可能である。
【0039】
上記所定の形状としては、図4の(a)に示す球形状のものや、(b)に示す円筒状のものの他、例えば多面体状、多角柱状、多角筒状等のものがある。
【0040】
また、副産微粉は、表2に示すように、150μm以下のものでも、CaOを27.4重量%、SiO2 を46.0重量%程度含むことから、セメント水和物が加熱されて生じたカルシウムシリケート脱水物の再水和反応により、
3CaO・2SiO2 ・3H2 O
となって、充分に硬化することになる。すなわち、副産微粉を主たる成分とする原料に適量の水等を加えて混練したスラリーを図示しない型に注入して成形した後、常温で養生することにより、図4(a)、(b)に示す球状や円筒状の不純物吸着材Pが形成されることになる。なお、粒径が90μm以下の副産微粉や、30μm以下の微細の副産微粉Gを原料として用いることにより、CaOの成分が多くなり、活性度の高いものとなるので、さらに速くかつ強度の大きなものに硬化させることができる。
【0041】
また、副産微粉を主成分とする原料をオートクレーブ養生により硬化させて、不純物吸着材Pを製造するようにしてもよい。
この場合、上記原料に二水石膏等の他の原料を加えるとともに、適量の水、アルミニウム等の発泡剤、添加物等を加えて混練したスラリーを約45℃に調節した状態で、図4(a)、(b)に示す球状や円筒状に成形するための型(図示せず)に注入して発泡させ、所望時間硬化させることにより半可塑体となったものを上記型から取り出して、約180℃、約10気圧の飽和水蒸気圧下で養生させる。これにより、軽量気泡コンクリートによって構成された球状や円筒状の不純物吸着材Pが形成されることになる。
【0042】
上記不純物吸着材Pは、図5に示すように、浄化容器61に収納された状態で、不純物の吸着のために使用されることになる。浄化容器61は、二重管状に形成されたものであり、外管61aと内管61bとの間の底面板61c上に複数の不純物吸着材Pを収容するようになっている。なお、図5は、球形状の不純物吸着材Pを収容した例を示しているが、円筒状あるいはその他の形状の不純物吸着材Pを収容するようにしてもよい。また、不純物吸着材Pは、外管61aと内管61bとの間の流体が流れる通路に設けられた状態になっている。
【0043】
また、上記底面部61cは、複数の貫通孔を有するもので構成されている。したがって、不純物を含む水(流体)は、ポンプ62を介して浄化容器6の上方から外管61aと内管61bとの間に供給され、複数の不純物吸着材Pの間を通って底面部61cから下方に抜け、さらに内管61b内を通って、浄化容器6の上方に抜け、タンク63に排出されるようになっている。そして、不純物吸着材Pは、上蓋61dを外すことにより、浄化容器61に収納したり、取り出したりすることが可能になっている。
【0044】
次に、上述した骨材再生設備の作用効果について説明する。この骨材再生設備においては、5mm以上のコンクリート塊Aを充填型加熱炉1で加熱処理するようにしているので、熱風が各コンクリート塊Aの間の隙間を流れやすくなる。このため、コンクリート塊Aの加熱時間の短縮を図ることができるとともに、加熱炉1に投入されたコンクリート塊Aを一定の温度で均一に加熱することができる。したがって、セメントペーストを均一に脱水脆弱化させることができるので、加熱後のすりもみ処理において、粗骨材や細骨材からセメントペーストを効率よく確実に分離することができる。
【0045】
また、粗骨材ミル2においては、モルタルCが網部22cから外ドラム21側に移動するので、モルタルCにおける細骨材が鋼球のすりもみ媒体23によって過度に粉砕されることがない。すなわち、細骨材がすりもみ媒体23によってさらに小さなものに粉砕されるのを防止することができる。
【0046】
一方、細骨材ミル3においては、粗骨材Bをすりもみ媒体として使用し、鋼球等のすりもみ媒体を使用していないので、すりもみ処理に要するコストの低減を図ることができるとともに、細骨材Dが鋼球等の比重の大きなすりもみ媒体によってさらに細かく粉砕されてしまうのを防止することができる。また、粗骨材Bについても細骨材DやモルタルC等によって仕上げ処理をすることができる利点がある。
【0047】
さらに、粗骨材ミル2、細骨材ミル3および骨材分級設備4において発生した副産微粉を微粉分級処理設備5で回収することができるので、作業環境の悪化を防止することができる。そして、微粉分級処理設備5においては、各分級器51、52と、バグフィルタ53によって、副産微粉を上述した所定の粒度範囲ごとに、粗の副産微粉E、細の副産微粉Fおよび微細の副産微粉Gに分級することができる。
【0048】
また、上記副産微粉を用いた不純物吸着材Pにおいては、副産微粉が多孔質状になっていることから、重金属やリン酸等の不純物を含む流体と接触させることにより、当該流体に含まれる不純物を吸着することができる。
【0049】
この場合、流体としては、気体であっても、水等の液体であってもよい。例えばゴミ焼却設備において発生する重金属やダイオキシン等の不純物を含む飛灰を空気とともに浄化容器61に供給したり、飛灰等の不純物を洗浄した後の廃水を浄化容器61に供給したりすることによって、空気や水に含まれる不純物を不純物吸着材Pに吸着させることができる。
【0050】
そして、不純物吸着材Pを球形に形成したものにあっては、浄化容器61内に密度の高い状態で収納することができるので、不純物を効率よく吸着することができる。また、円筒状に形成したものにあっては、表面積が大きくなることから、不純物を吸着する効率が高くなる。特に、不純物吸着材Pを常温養生によって成形したものにあっては、当該不純物吸着材Pを簡単に製造することができる利点がある。
【0051】
また、オートクレーブ養生により製造した不純物吸着材Pにあっては、不純物吸着材Pが発泡によって、さらに多くの空隙を有する多孔質状のものとなるので、流体に含まれる不純物をより効率よく吸着することができる。
【0052】
しかも、上記発泡による空隙部は、微生物が棲み付くのに充分な大きさになるので、池、湖沼、河川等のBOD、窒素、リン酸等を微生物によって除去する水質浄化用のブロックとしても有効に利用することができる。また、熱帯魚等を飼育する水槽の水を浄化するブロックとしても活用することができる。
【0053】
なお、上記実施形態においては、不純物吸着材Pとして副産微粉を球形や円筒形状等の所定の形状に形成したもので構成したが、この不純物吸着材としては、副産微粉をそのまま水等の流体に投入して、当該流体中に含まれる重金属等の不純物を吸着するようにしたものであってもよい。この場合、沈澱後の不純物吸着材を回収することにより、不純物を回収することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1または2に記載の発明によれば、加熱後のすりもみ処理によって回収された副産微粉が多孔質状のものとなっているので、その副産微粉を粉体の状態のまま、不純物吸着材として用いて、不純物を含んだ流体、例えば水に投入して撹拌することにより、当該不純物を吸着することができる。
【0055】
また、副産微粉は、セメント水和物が加熱されて生じたカルシウムシリケート脱水物の再水和反応により、
3CaO・2SiO2 ・3H2 O
となって、硬化することになる。したがって、この硬化によって塊状となった多孔質状の不純物吸着材に流体を接触させることによっても、流体中の不純物を吸着することができる。
【0058】
また、原料を常温養生により硬化させているので、略球形状のものや、筒状のものを、簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態として示したコンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材に用いる副産微粉を製造するための骨材再生設備を示す概略構成図である。
【図2】上記骨材再生設備における微粉分級処理設備を示す概略構成図である。
【図3】上記骨材再生設備において産出した副産微粉の粒径と累積頻度との関係を測定した結果を示す図である。
【図4】上記コンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材の形状を示す図であって、(a)は球状に成形したものの例を示す図であり、(b)は円筒形状に成形したものの例を示す図である。
【図5】上記コンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材を収納する浄化容器を示す概略構成図である。
【符号の説明】
A コンクリート塊
B 粗骨材(骨材)
D 細骨材(骨材)
E 粗の副産微粉(副産微粉)
F 細の副産微粉(副産微粉)
G 微細の副産微粉(副産微粉)
P 不純物吸着材
Claims (2)
- 流体中に不純物として含まれる重金属類もしくは重金属化合物またはリン酸を吸着除去するための不純物吸着材の製造方法であって、
コンクリート廃材を破砕して得られたコンクリート塊を、100〜500℃に加熱処理した後にすりもみ処理して骨材を回収する際に生じた、セメント水和物50重量%および骨材微粉50重量%からなる粒径が150μm以下の副産微粉を捕集し、次いで上記副産微粉に水を加えて混練することによって得られたスラリーを型に注入して成形した後に、常温で養生することを特徴とするコンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材の製造方法。 - 上記コンクリート塊を、軸線回りに回転する円筒状のミル内に供給して上記すりもみ処理を行い、かつ上記ミル内の空気を吸引して上記副産微粉を捕集するとともに、当該空気の流速を上記粒径150μm以下の副産微粉の移送が可能となるように設定したことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート塊からの副産微粉を主成分とした不純物吸着材の製造方法。
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JP2004305910A (ja) | 2004-11-04 |
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