JP4144201B2 - ウエット洗浄処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面基板の半導体のウエハーや配線回路基板のプリント基板および液晶や平面ディスプレイ用等の平面ガラス基板の超音波発振による洗浄手段を備えたウエット処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のウエット処理装置として特開平8−224555にてあきらかなように複数個の超音波発振素子から周波数の異なる超音波を発生して被ウエット処理基板に付着する粒径の異なるパーティクルを除去するようにしたマルチ高周波数のウエット処理装置が提案されている。
【0003】
図5に示す、3つの超音波発振素子が同心円上に支持部材に接着され、超音波発振素子22,23,24からそれぞれ1MHz、2MHz、3MHzの超音波が照射されるように構成され、超音波発振素子にそれぞれ発振電源が接続されている。このように構成されたマルチ高周波数超音のウエット処理装置では、液体流入口19から洗浄液を入れ、超音波発振素子22,23,24を間欠的又は連続的に作動して液体噴出口18から異なった周波数の超音波によって励起された洗浄液を噴出して洗浄すると、パーティクル粒径の大小にわたって効率良くパーティクルが被ウエット処理基板10から洗浄されると提案している。
【0004】
たとえば、周波数が1MHz洗浄では約0.1μm径のパーティクルに効果があるとすれば、1MHz、2MHz、3MHzの超音波を同時に発生して、0.1〜0.3μmのパーティクルの洗浄をカバーすると言う考えのもと行われている。
【0005】
このように、半導体デバイスを扱う超音波発振装置は、デバイスにダメージを与えないようにキャビテーションの発生しない600kHz〜3MHzの高周波が使われている。しかし、液晶等のディスプレイ用ガラスの受け入れ洗浄等においては、キャビテーションが発生しないMHz帯では、洗浄能力の不足が問題になる場合がある。ここで言うキャビテーションによる洗浄とは、超音波を液体中に伝播させる際に発生する微小な真空の泡が、ある瞬間に消滅することによって生じる衝撃波を用いて洗浄を行う方法である。
【0006】
キャビテーションを積極的に行わせるには30〜200kHzのMHz帯以下の周波数の超音波が必要である。但し、定在波を立てた従来の30〜200kHzの周波数では、振幅の節と腹による洗浄ムラが厚さ方向に出来る。また、節と腹に依存して、ゴミが節に固定し集められるため再付着が起こりやすいので好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、1つは、洗浄をMHz帯の周波数の高い超音波で行うとともに、それぞれ周波数の異なる2個の超音波発振子を近接周波のMHz帯の超音波によるうなり(ビート)の成分で洗浄を行う。そのうなりの超音波の周波数は30〜200kHzと低く、キャビテーションが発生するため、キャビテーションによる洗浄効果も見込まれる。また、前記のうなりをうまく利用し、うなりの周波数を連続的に変化させる周波数の掃引によって波の節や腹が固定せずに移動し、その移動による流れが洗浄時に発生するごみを輸送し、常にゴミの少ない洗浄面を与えることが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明は上記問題を解決するため、請求項1に係る発明は、被ウエット処理基板10を搬送する搬送手段と、洗浄処理液9を供給する手段と、前記洗浄用流体を励起する複数の超音波発振素子を備えた超音波処理装置であって、周波数が異なる複数の発振素子の備わった洗浄ヘッド容器5のウエット処理液槽6に対向して被ウエット処理基板10を配置し前記超音波発振素子ヘッド1,2と被ウエット処理基板10の間の前記ウエット処理液槽6に純水もしくは機能水による洗浄処理液9を満たしたウエット処理装置において、前記超音波発振素子として0.5〜2MHzの第1超音波発振素子1と、第1超音波発振素子と、20〜200kHz周波数差のある第2超音波発振素子2を備え
前記被ウエット処理基板10の処理面に対向する洗浄ヘッド容器5の天井の部分を山形とし、その山形部に超音波発振素子1、2を被ウエット処理基板10の処理面に対し一定の角度を付けて設置し、
前記第1超音波発振素子1と第2超音波発振素子2の両方もしくは少なくとも片方は周波数を可変でき、
かつ前記第1超音波発振素子1と第2超音波発振素子2において、第2超音波発振素子2の周波数を第1超音波発振素子1の周波数の近傍で掃引することによって、第1超音波発振素子1との間のうなりによる音圧および振幅によって被ウエット処理基板10の処理面上に洗浄処理液9の流れを発生させることを特徴とするウエット洗浄処理装置である。
【0009】
本発明は上記問題を解決するため、請求項2に係る発明は、前記被ウエット処理基板10を搬送する搬送手段と洗浄処理液9を供給する手段と、前記洗浄処理液9を励起する複数の超音波発振素子を備えた超音波処理装置であって、前記第1と第2超音波発振素子1,2において、第2超音波発振素子2の周波数を掃引することによって、被ウエット処理基板10の処理面上において、うなりによる音圧や振幅差による移動する節を持つことを特徴とする請求項1記載のウエット洗浄処理装置である。
【0010】
本発明は上記問題を解決するため、請求項3に係る発明は、前記第1超音波発振素子1の備わった洗浄ヘッド容器5と第2超音波発振素子2の備わった洗浄ヘッド容器5は音響的にほぼ独立に緩衝材を介して接続されていて、それぞれの超音波発振素子に過大な負荷がかからないように考慮されていることを特徴とする請求項1記載のウエット洗浄処理装置である。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
[作用]
本発明は、従来技術で使用するMHzに近い0.5〜2MHz域の超音波発振素子を基本にして、別の超音波発振素子を共振域の周波数の30〜200kHz近傍まで接近させて共振を起こし、30〜200kHz周波数域の定在波は周波数を連続的に変化させる周波数の周波数を掃引(スキャン)することで、音圧を変化させることで解消することである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明する。図1に2つの周波数異なる超音波発振素子を備えた本発明のウエット処理装置を示す。
【0016】
本発明の実施形態の超音波のウエット処理装置は、2つの異なる周波数の超音波発振素子1,2からなり、2つの超音波発振素子の備わった洗浄ヘッド容器5に対向して被ウエット処理基板10を配置し、前記超音波発振素子ヘッド1,2と被ウエット処理基板10の間に純水4もしくは機能水9を満たし、前記超音波発振素子は、0.5〜2MHzの第1超音波発振素子1と、第1超音波発振素子と周波数が20〜200kHz異なる第2超音波発振素子2を備えており、それぞれの超音波発振素子は、発振電源に接続されている。
【0017】
また、図2に示すように、第2超音波発振素子2の周波数は20〜200KHzの範囲で可変できて、第1超音波発振素子1による超音波と第2超音波発振素子2の超音波の間で、うなりまたはビートと呼ばれる共振13が発生する。そのうなりやビートの共振は、周波数をするために、被ウエット処理基板10上を音圧10(腹や節)が移動する。
【0018】
また図3に示すように、キャビテーションの発生する20〜200kHzの周波数で、周波数を掃引(スキャン)することで、音圧の流れ14ができて、通常の低周波にみられるような音圧の変化15によって定在波が立たないため、洗浄ムラもなく、また、洗浄で発生したゴミも音圧の流れ14によって運ばれるため、ダメージの無い、また洗浄で1度取れたゴミの再付着も少なく洗浄効果の良好な超音波洗浄か可能となる。
【0019】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。液晶用ガラス基板(550mm×650mm×1.1mm厚)10を本ウエット処理装置で洗浄した。超音波発振素子の周波数は、第1超音波素子1は1MHz、第2超音波素子2は1.05〜1.1MHzの発振子を用いた。毎秒10kHzで周波数をスイープ(掃引)した。すると、ガラス面上で音圧分布15が変化移動し、それとともに処理液の流れによって、洗浄で取れたパーティクル等の汚れが流れた。従来の固定周波数では、洗浄で取れた汚れは節に固定され停滞し流れることはなかった。
【0020】
また、MHz帯単独や隣接しない 1MHz、2MHz、3MHz、の多周波での洗浄も行ってみたが、超音波の洗浄効果が弱く洗浄残りや洗浄ムラが発生した。半導体デバイス等においては、MHz帯によるソフトな洗浄が有効のようであるが、今回のガラス基板の洗浄には、洗浄能力が低い。
【0021】
【発明の効果】
近接する2周波数の超音波によるうなりが発生するように、第1超音波素子1と第2超音波素子2の周波数の差が20〜200KHzの超音波で洗浄を行い、その超音波差の周波数がMHz帯に比較し低いため、キャビテーションが発生し、キャビテーションによる洗浄が可能になるとともに、その周波数が掃引(スキャン)した為に、定在波が発生せず、なおかつ、音圧分布が移動することにより被ウエット処理基板表面に流れが起きて、洗浄後の汚れが流されて、再付着しないために優れた洗浄結果が得られ、又洗浄ヘッド容器5の天井の部分を山形とし、その山形部の超音波発振素子と、処理基板の角度を最適化により超音波の強度を徐々に下げられる為に、再付着が防げ、又周波数を可変することにより、付着物の粒子径に幅広く対応でき、洗浄効果の範囲が拡大し、希望する粒子径に対応する洗浄条件も設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のウエット処理装置の概要を説明する断面図である。
【図2】 本発明の機能(うなりの共振点)を説明する断面図である。
【図3】 本発明の周波数掃引(スキャン)による音圧の流れを説明する断面図である。
【図4】 本発明の周波数スキャンによる被ウエット処理基板上の音圧を説明する平面図である。
【図5】 従来のマルチ振動子の洗浄機を説明する断面図である。
【符号の説明】
1…第1超音波発振素子
2…第2超音波発振素子
3…(超音波発振素子の)支持体
4…冷却用純水
5…洗浄ヘッド容器
6…ウエット処理液槽(超純水や機能水)
7…ウエット処理液入り口
8…ウエット処理液排出口
9…洗浄処理液(ウエット処理液)(液が広がる)
10…被ウエット処理基板
11…基板搬送用ローラー
12…超音波の放射の説明用
13…うなりの共振を説明
14・・・第2超音波発振素子の周波数の掃引による音圧の流れを説明
15・・・音圧の変化の説明用
16…カバー
17…カバーの拡大された一端
18…液体噴出口
19…液体入り口
20…支持部材
21…Oリング
22…超音波発振素子(同心円状)
23…超音波発振素子(同心円状)
24…超音波発振素子(同心円状)

Claims (3)

  1. 被ウエット処理基板10を搬送する搬送手段と、洗浄処理液9を供給する手段と、前記洗浄用流体を励起する複数の超音波発振素子を備えた超音波処理装置であって、周波数が異なる複数の発振素子の備わった洗浄ヘッド容器5のウエット処理液槽6に対向して被ウエット処理基板10を配置し前記超音波発振素子ヘッド1,2と被ウエット処理基板10の間の前記ウエット処理液槽6に純水もしくは機能水による洗浄処理液9を満たしたウエット処理装置において、前記超音波発振素子として0.5〜2MHzの第1超音波発振素子1と、第1超音波発振素子と、20〜200kHz周波数差のある第2超音波発振素子2を備え
    前記被ウエット処理基板10の処理面に対向する洗浄ヘッド容器5の天井の部分を山形とし、その山形部に超音波発振素子1、2を被ウエット処理基板10の処理面に対し一定の角度を付けて設置し、
    前記第1超音波発振素子1と第2超音波発振素子2の両方もしくは少なくとも片方は周波数を可変でき、
    かつ前記第1超音波発振素子1と第2超音波発振素子2において、第2超音波発振素子2の周波数を第1超音波発振素子1の周波数の近傍で掃引することによって、第1超音波発振素子1との間のうなりによる音圧および振幅によって被ウエット処理基板10の処理面上に洗浄処理液9の流れを発生させることを特徴とするウエット洗浄処理装置。
  2. 前記被ウエット処理基板10を搬送する搬送手段と洗浄処理液9を供給する手段と、前記洗浄処理液9を励起する複数の超音波発振素子を備えた超音波処理装置であって、前記第1と第2超音波発振素子1,2において、第2超音波発振素子2の周波数を掃引することによって、被ウエット処理基板10の処理面上において、うなりによる音圧や振幅差による移動する節を持つことを特徴とする請求項1記載のウエット洗浄処理装置。
  3. 前記第1超音波発振素子1の備わった洗浄ヘッド容器5と第2超音波発振素子2の備わった洗浄ヘッド容器5は音響的にほぼ独立に緩衝材を介して接続されていて、それぞれの超音波発振素子に過大な負荷がかからないように考慮されていることを特徴とする請求項1記載のウエット洗浄処理装置。
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