JP5392753B2 - 霧化装置及びそれを用いた霧化方法 - Google Patents
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Description
このような超音波振動によって液体を霧化する技術について、近年、盛んに研究や開発がなされている。そして、それらに関して既にいくつかの発明や考案が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、薬液保持部内の薬液に電圧を印加する電圧印加部と、尖端部に超音波振動を加える超音波発生部とを備えるものである。
このような構造によれば、液体に電圧を印加することで尖端部が形成され、この尖端部にさらに超音波振動を加えることによって液体が霧化されて微細な粒径を有するミストが安定して吐出されるという作用を有する。
特許文献2に開示された発明は、小径部が設けられたステップ小型超音波ホーンを有する超音波振動子と、この超音波振動子の振動面と所定の間隔を持って対向するように配置され,超音波振動子とともに噴霧液層の一部を構成する噴霧メッシュと、噴霧液槽と、この噴霧液槽の上方に設けられた噴霧液補給用のボトルとを備えるものである。
このような構造によれば、超音波が照射された液体が噴霧メッシュの微細孔を通過する際に霧化されてミストとなって吐出されるという作用を有する。
特許文献3に開示された発明は、霧化される液体が所定の液面まで注入された霧化容器と、発振器から発振出力が供給されるとともに,霧化容器の下部に装着される超音波振動子とが筐体の内部に設置され、筐体の側壁にファンが装着されるとともに、上端に傘状部材が装着されたパイプ部材が,霧化容器の上部の筐体にほぼ垂直に装着され、パイプ部材と傘状部材の間に噴出口が設けられた構造となっている。
このような構造によれば、霧化容器内の液体が超音波で霧化され、ファンからの送風によって液柱から千切れた後、パイプ部材の中を上昇する際に大きな径の粒子は落下し、小さな粒子のみが噴出口から噴出されるという作用を有する。
このような構造の霧化装置においては、液中にキャビテーションが発生しない程度に高い周波数で超音波発振手段を振動させると、液面近傍の所定の箇所に噴水状態の液柱が生じ、この液柱の表面に発生したキャピラリ波(毛細表面波)の波頭から分裂した液滴が霧となって気体中に飛散してミストが生成されるという作用を有する。そして、異なる周波数の超音波振動が干渉し合うことにより液面に非定常的な振動が生じ、より高い周波成分を含んだキャピラリ波が発生する。
なお、本願における同一箇所とは、略同一箇所を含む概念であり、「点対称をなす」とは、「略点対称をなす」を含む概念である。
このような構造の霧化装置においては、複数の超音波発振手段からそれぞれ放射される超音波振動同士が無駄なく干渉し合い、請求項1記載の発明の作用がより一層発揮される。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明を方法の発明としてとらえたものであり、請求項1記載の発明である霧化装置と同様の作用を有する。
なお、本願において所定の箇所とは、予め定められた任意の箇所を意味するものであり、「点対称をなす」とは、「略点対称をなす」を含む概念である。
このような霧化方法によれば、異なる周波数の超音波振動同士が無駄なく干渉し合うことから、請求項3記載の発明の作用がより一層発揮される。
図1に示すように、本実施例の霧化装置は、上部が開放され,内部に液体1が満たされた液槽2と、超音波発振手段として,この液槽2の内部に対向配置される超音波発振子3a,3bと、この超音波発振子3a,3bを駆動する駆動手段(図示せず)とを備えており、超音波発振子3a,3bは、その発振面を液体1の液面1aとそれぞれ所定の角度α1、α2をなすように傾斜した状態で、固定具(図示せず)を用いて液槽2に取り付けられている。そして、超音波発振子3a,3bは互いに異なる周波数で振動する。
なお、本願明細書において、上記角度α1、α2は、超音波発振子3a,3bの発振面の法線4a,4bが液体1の液面1aとなす角度のうち、鋭角の方を表すものとする。また、「超音波発振子3a,3bが対向配置される」とは、「互いの法線4a,4bが上方で交差するように超音波発振子3a,3bが配置される」ことを意味している。
なお、このとき生成されるミスト6の粒径は、液体1が水の場合には以下の式で表される。
図2は超音波発振子3a,3bの角度α1、α2とミストの粒径との関係を示すグラフである。横軸は、超音波発振子3a,3bが液面1aとなす角度α1、α2であり、縦軸はザウタ平均粒径(μm)である。なお、ザウタ平均粒径SMD(Sauter’s mean diameter)は、粒子数をn、粒子直径をd0とすると、次の式で表わされる。
図2に示すように、超音波発振子3a,3bの設定周波数が高いほど、生成されるミストの粒径が小さくなる傾向が認められた。そして、超音波発振子3a,3bを異なる周波数で振動させた場合には、生成されるミストの粒径はさらに小さくなる傾向が認められた。なお、超音波発振子3a,3bの一方のみを振動させた場合と、両方を振動させた場合とで、生成されるミストの粒径にほとんど差はないものの、前者よりも後者の方が生成されるミストの量は多かった。また、超音波発振子3a,3bが液面1aとなす角度を55°に設定した場合に、生成されるミストの粒径が最も小さい結果となった。
図3はミストの粒径分布を示すヒストグラムであり、横軸は個々の粒子の直径(μm)である。測定には、前述の位相ドップラー式粒子測定装置(TSI社製2D−PDPA)を用いた。なお、既に説明したように、本装置で測定可能な最小粒径が0.5μmであることから、図中左側のヒストグラムが直径0.5μmの部分で中断した状態となっている。
図3は、ミストの粒径分布がサブミクロンの範囲にまで及んでいることを示している。
また、本実施例の霧化装置によって実現される霧化方法は、方法の発明としてもとらえることができる。すなわち、液面を平面視した場合に液面近傍の所定の箇所を中心として点対称をなす液体内部の複数の箇所から、その所定の箇所に向けて斜め下方から一斉に、異なる周波数の超音波振動をそれぞれ放射させるのである。なお、この場合の「点対称をなす」とは、「略点対称をなす」を含む概念である。
さらに、上記の霧化方法において、液面を側面視した場合に、液面に対し50〜60°の角度をなすように各超音波振動を放射させた場合には、本実施例で説明した霧化装置と同様の作用及び効果が発揮される。
Claims (4)
- 上部に気層を有し、下部に液体が収容される液槽と、
前記液体の内部にその液面に対して傾斜した状態で設置される複数の超音波発振手段と、
この超音波発振手段を駆動する駆動手段とを備え、
前記超音波発振手段は前記液面近傍の同一箇所に向けて超音波振動をそれぞれ放射可能に、かつ、前記液面を平面視した場合に前記同一箇所を中心として点対称をなすように配置され、
前記駆動手段は前記超音波発振手段を互いに異なる周波数であって、かつ、キャビテーションが起きないような高い周波数で振動させることを特徴とする霧化装置。 - 前記超音波発振手段はその発振面の法線が前記液面に対して50〜60°の角度をなすように傾斜して設置されることを特徴とする請求項1記載の霧化装置。
- 液面近傍の所定の箇所に向けて、その斜め下方にあって、前記液面を平面視した場合に前記所定の箇所を中心として点対称をなす複数の箇所から、互いに異なる周波数であって、かつ、キャビテーションが起きないような高い周波数の超音波振動をそれぞれ放射させることを特徴とする霧化方法。
- 前記液面を側面視した場合に、前記超音波振動が前記液面に対して50〜60°の角度をなすように放射されることを特徴とする請求項3記載の霧化方法。
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