JP4144135B2 - 防滑用アクリルエマルション、その製造方法及び防滑用塗料組成物 - Google Patents
防滑用アクリルエマルション、その製造方法及び防滑用塗料組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防滑用アクリルエマルションに関し、更に詳しくは、段ボール、板紙などの表面に塗布して、これらに防滑効果を与える防滑性及び耐ブロッキング性に優れる防滑用アクリルエマルション、その製造方法及び該防滑用アクリルエマルションと充填剤とを含有してなる防滑用塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
農産物、水産物、加工食品、各種工業製品などの多くの製品が、段ボール箱、カートンなどの紙器、種々の紙袋で包装して、パレットに多段に積載され、運搬されている。これらの包装された製品が、積載や運搬時に滑ると荷崩れを起し、運送効率を低下させるばかりでなく、製品を破損したり、人体を危険に晒したりするという問題が生じる。
【0003】
この荷崩れを防ぐ目的で、これらの紙器、紙袋の表面に防滑性を付与することために、防滑剤の塗布が従来から行われている。
こうした防滑剤には、非粘着型の防滑剤と粘着型の防滑剤の2つがある。
【0004】
非粘着型の防滑剤として、無機充填剤とバインダー(共重合体エマルション)とを組み合わせた被覆組成物を塗布し、紙器などの表面に凹凸のある皮膜を形成させ、この凹凸の物理的かみ合せによって滑り防止を行う方法がある(例えば、特開昭55−107597、特開昭61−186597等)が、無機充填剤の量が少ないと被覆組成物を塗布した紙が他の紙と接着し(以下、ブロッキングという)、剥離した時にその紙が破け、紙器の美観を損ない、逆に多いと塗布層の透明性が損なわれるという問題があった。透明性を改良する方法として、無色透明のコロイダルシリカとアクリル共重合体とからなる複合体粒子エマルションを使用することが提案されている(特開平1−308748)が、調製が難しく、分散安定性に欠けるために塗布時にエマルションが凝集するという問題があった。
【0005】
粘着型の防滑剤として、核部分のガラス転移温度(以下、Tgという)が20〜90℃で、殻部分のTgが−20〜10℃である二重構造のアクリルエマルションによって滑り防止を行う方法(特開平4−306273)が提案されているが、気温が高くなるとブロッキングが起こるという問題があった。また、ビニル系重合体エマルジョンにテルペン(共)重合体を含有させた組成物によって滑り防止を行う方法(特開平6−80953)が提案されているが、テルペン(共)重合体を溶解するのに有機溶媒を含有しているために火災や人体への影響を考慮しなければならないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記事情に鑑み、防滑性及び耐ブロッキング性に優れ、かつ有機溶媒を使用する必要の無い防滑用アクリルエマルションを得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のアルカリ可溶性共重合体中和物で分散安定化された、特定範囲の平均粒子径を有する二重構造のアクリルエマルションを使用すれば、上記の目的を達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
かくして、本発明によれば、重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合させて得られるアルカリ可溶性共重合体の中和物で分散安定化された、300〜1000nmの平均粒子径を有する、核部分および殻部分からなる二重構造のアクリル(共)重合体のエマルションであって、該エマルションは、該エマルションを構成する全(共)重合体の単量体単位のうち、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位とエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位との合計量が50重量%以上である組成を有し、核部分の(共)重合体のガラス転移温度(Tg)が30〜110℃であり、殻部分の(共)重合体がエチレン性不飽和ニトリル単量体単位2〜15重量%及びこれと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体単位85〜98重量%からなり、そのTgが−50〜+20℃であり、核部分の(共)重合体とアルカリ可溶性共重合体との重量の比率が、40/60〜85/15であり、且つ核部分の(共)重合体とアルカリ可溶性共重合体との合計重量と殻部分の(共)重合体との重量の比率が、20/80〜50/50である防滑用アクリルエマルションが提供される。
【0009】
また、本発明によれば、核部分の(共)重合体エマルションの存在下で重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体を重合して得たエマルションを、pH7以上に調整し、その後、更に、殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を添加して重合することを特徴とする上記防滑用アクリルエマルションの製造方法が提供される。
【0010】
更に、本発明によれば、殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を重合するにあたり、この殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を、重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体を重合して得られた共重合体の中和物で乳化して、核部分の(共)重合体エマルションの存在下で、重合することを特徴とする上記防滑用アクリルエマルションの製造方法が提供される。
【0011】
更に、本発明によれば、該防滑用アクリルエマルションと充填剤とを含有してなる防滑用塗料組成物が提供される。
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、アクリルエマルションとは、エマルションを構成する全(共)重合体の単量体単位のうち、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位とエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位との合計量が50重量%以上であるエマルションをいう。
【0013】
本発明の防滑用アクリルエマルションは、核部分および殻部分からなる二重構造のアクリル(共)重合体のエマルションである。本発明において、二重構造のエマルションは、粒子が異層構造化したもので、Tgが高い核部分の(共)重合体の粒子表面が、Tgが低い殻部分の(共)重合体で完全に、または部分的に覆われているエマルションをいう。
【0014】
(核部分の(共)重合体)
核部分の(共)重合体は、Tgが、30〜110℃、好ましくは50〜100℃であることが必要である。これが30℃より低いと、塗布層の耐ブロッキング性が悪くなり、110℃より高いと防滑性が悪くなる。
【0015】
核部分の(共)重合体を製造するための単量体は、特に限定されず、例えば、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、架橋性単量体等を使用できる。これらの単量体は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0016】
芳香族ビニル単量体は、特に限定されないが、例えば、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等を挙げることができる。これらの芳香族ビニル単量体のうち、スチレンが好ましい。
【0017】
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体は、エチレン性不飽和モノカルボン酸又はエチレン性不飽和多価カルボン酸の、ハロゲン等の置換基を有していてもよい各種アルコールとのエステルである。
エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル、エチレン性不飽和多価カルボン酸エステルとしては、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等が挙げられる。
【0018】
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステルが挙げられる。
【0019】
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体が挙げられる。
【0020】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル等が挙げられる。
【0021】
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等の共役ジビニル化合物;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0022】
(殻部分の(共)重合体)
殻部分の(共)重合体は、Tgが、−50〜+20℃、好ましくは−25〜+5℃であることが必要である。これが−50℃より低いと耐ブロッキング性が低下し、+20℃より高いと防滑性が低下する。
【0023】
殻部分の(共)重合体の組成は、エチレン性不飽和ニトリル単量体単位2〜15重量%およびこれと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体単位98〜85重量%である。
【0024】
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、核部分の(共)重合体に使用することができる(メタ)アクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。このうち、アクリロニトリルが好ましい。
エチレン性不飽和ニトリル単量体単位が2重量%より少ないと、耐ブロッキング性が悪くなり、15重量%より多いと、加熱により塗布層が着色する。
【0025】
エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体は、特に限定されず、核部分に使用することができる芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体等を使用できる。これらのうち、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体が好ましく、中でも、アクリル酸エチルが好ましい。
【0026】
(アルカリ可溶性共重合体中和物)
本発明の防滑用アクリルエマルションは、特定のアルカリ可溶性共重合体中和物で分散安定化されていることが必須である。
本発明において使用するアルカリ可溶性共重合体中和物は、重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合させて得られる、アルカリ可溶性共重合体の中和物である。
分散安定化の方法としては、核部分の(共)重合体エマルションの存在下で、アルカリ可溶性共重合体を構成する単量体と重合性乳化剤を重合して、中和した後に、殻部分を構成する単量体を重合する方法、殻部分の(共)重合体を構成するための単量体をアルカリ可溶性共重合体の中和物を用いて乳化し、該乳化物を核部分の(共)重合体エマルションの存在下に、添加し、重合する方法が挙げられる。
【0027】
アルカリ可溶性共重合体は、重合性乳化剤を用いて、エチレン性不飽和カルボン酸単量体15〜55重量%、好ましくは20〜40重量%及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体45〜85重量%、好ましくは60〜80重量%を共重合して得られる。
【0028】
アルカリ可溶性共重合体は、その分子量が500〜20,000、好ましくは1,000〜15,000である。分子量が500より小さいとアルカリ可溶性共重合体が粒子表面に吸着され難いので分散安定化効果が小さくなり、20,000より大きいと粘度が高くなり、取り扱いが困難になる。
【0029】
アルカリ可溶性共重合体に使用することのできる重合性乳化剤は、分子中に少なくとも1つの重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する界面活性剤であり、具体例として、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼンスルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンの燐酸エステル等のアニオン性重合性乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルベンゼンエーテル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(メタ)アクリル酸エステル等のノニオン性重合性乳化剤が挙げられる。
重合性乳化剤の使用量は、通常、アルカリ可溶性共重合体を構成するための単量体100重量部に対して、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%である。
【0030】
アルカリ可溶性共重合体を構成するためのエチレン性不飽和カルボン酸単量体は、特に限定されず、核部分又は殻部分の(共)重合体と同様のものを使用することができる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体量が、15重量%より少ないと得られる塗被紙の耐ブロッキング性が悪くなり、55重量%より多くなるとエマルションの粘度が高くなり、取扱いが困難になる。
【0031】
重合性乳化剤及びエチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体は、特に限定されず、核部分又は殻部分の(共)重合体に使用することができる芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体等を使用することができる。
【0032】
アルカリ可溶性共重合体中和物は、アルカリ可溶性共重合体を塩基により中和して得られる。この際、使用できる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類;等が使用される。この中でも、アンモニアが好ましい。
【0033】
本発明の防滑用アクリルエマルションを構成するアクリル(共)重合体において、核部分の(共)重合体とアルカリ可溶性共重合体との重量の比率は、40/60〜85/15、好ましくは、60/40〜80/20である。
殻部分の比率が上記範囲を外れて低い場合は、得られる塗被紙の防滑性が悪くなり、逆に高い場合は、耐ブロッキング性が悪くなる。
【0034】
本発明の防滑用アクリルエマルションを構成するアクリル(共)重合体において、核部分の(共)重合体とアルカリ可溶性共重合体の合計重量と殻部分の(共)重合体の重量との比率は、20/80〜50/50、好ましくは、25/75〜45/55である。
殻部分の比率が上記範囲を外れて低い場合は、得られる塗被紙の防滑性が悪くなり、逆に高い場合は、耐ブロッキング性が悪くなる。
【0035】
本発明の防滑用アクリルエマルションの平均粒子径は、300〜1,000nm、好ましくは、400〜800nmである。平均粒子径が、300nmより小さいと防滑性が低下し、逆に1,000nmより大きいと塗布層の透明性が低下する。
【0036】
本発明の防滑用アクリルエマルションは、核部分の(共)重合体エマルションの存在下で重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体を共重合して得たエマルションを、pH7以上に調整し、その後、更に、殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を添加して重合することによって製造することができる。以下、この方法を第1の製造方法という。
【0037】
核部分の(共)重合体エマルションの製造法としては、粒子径制御の観点から、通常、シード重合法が採用され、シード粒子の存在下、通常、乳化剤を使用しないで、核部分を構成するための単量体を、重合開始前に一括して添加または重合開始後に分割添加あるいは連続添加して、重合する。分割添加あるいは連続添加する場合、添加量は均一にすることもでき、重合の進行段階に応じて変えることもできる。この際、シード粒子の組成は特に限定されず、単量体の組成と同じであっても、異なってもよい。また、シード粒子の粒子径及び使用量は、目的に応じて適宜選定すればよい。
【0038】
核部分の(共)重合体エマルションを製造するにあたり、単量体中に(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、エチレン性不飽和カルボン酸単量体等の親水性の高い単量体を含有させることにより、エマルションが安定性良く製造できる。これらの親水性の高い単量体の中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
これらの親水性の高い単量体は、核部分の(共)重合体の組成中、通常、0.1〜5重量%使用する。この量が0.1重量%より少ないと、重合安定性の付与が十分でなく、5重量%より多いと、エマルションの粘度が高くなるので取り扱いが困難になる。
【0039】
第1の製造方法において、アルカリ可溶性共重合体は、重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体を、核部分の(共)重合体エマルションの存在下に、重合開始時に一括して添加するか、重合開始時に一部を添加した後、残部を連続的または断続的に添加するか、または重合開始時から連続的添加して、共重合する。
【0040】
第1の製造法において、アルカリ可溶性共重合体は、核部分の重合に引き続いて、同一の反応容器で重合しても、予め他の反応容器で重合した核部分の(共)重合体エマルションを移送して重合してもよい。
【0041】
アルカリ可溶性共重合体は、得られたエマルションを、塩基によりpH7以上に調整して、中和する。
【0042】
次いで、殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を、分散安定化されたエマルションに連続添加し、重合する。
【0043】
エマルションから未反応単量体を除去した後、pH及び濃度を調整して、本発明の防滑用アクリルエマルションを得る。
【0044】
第1の製造方法において、核部分の(共)重合体、アルカリ可溶性共重合体及び殻部分の(共)重合体の重合に用いることのできる重合開始剤は、特に限定されない。具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物等を挙げることができる。
これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤の使用量は、その種類によって異なるが、核部分の(共)重合体、アルカリ可溶性共重合体及び殻部分の(共)重合体の各重合で使用する全単量体に対して、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%である。
【0045】
また、これらの重合開始剤は還元剤との組み合わせで、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。
レドックス系重合開始剤の還元剤は特に限定されず、その具体例としては、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物;メタンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸化合物;ジメチルアニリン等のアミン化合物;などが挙げられる。
これらの還元剤は単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
還元剤の使用量は、還元剤によって異なるが、重合開始剤1重量部に対して0.03〜10重量部であることが好ましい。
【0046】
第1の製造方法において、乳化剤は、通常、アルカリ可溶性共重合体の製造に使用することができる重合性乳化剤のみを使用すればよい。その他の乳化剤についは、本発明の目的を損なわない範囲で使用してもよい。
それらの例としては、通常に使用されるノニオン性、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤などを使用することができる。
【0047】
第1の製造方法おいて、核部分の(共)重合体、アルカリ可溶性共重合体及び殻部分の(共)重合体の製造する時の重合温度は、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃である。
【0048】
また、本発明の防滑用アクリルエマルションは、殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を重合するにあたり、この殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を、重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体を重合して得られた共重合体の中和物で乳化して、核部分の(共)重合体エマルションの存在下で、重合することも製造することができる。以下、この方法を第2の製造方法という。
【0049】
核部分の(共)重合体エマルションは、第1の核部分の(共)重合体の製造方法と同様にして製造する。
【0050】
次いで、殻部分の(共)重合体を構成する単量体を、アルカリ可溶性共重合体中和物を用いて乳化し、核部分の(共)重合体エマルションの存在下で、該乳化物を連続的に添加して、重合する。
この時、核部分の(共)重合体エマルションは、塩基によりpH7以上に調整する。これにより、殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を乳化しているアルカリ可溶性共重合体中和物が分散安定化される。
アルカリ可溶性共重合体中和物の使用量は、殻部分を構成する単量体100重量部に対し、20〜100重量%、好ましくは20〜50重量%である。この使用量が20重量%より少ないと、乳化安定性が悪くなり、100重量%より多くなると粘度が高くなり、取扱いが困難になる。
【0051】
第2の製造方法において、殻部分の(共)重合体を構成する単量体を乳化するアルカリ可溶性共重合体中和物は、製造方法に特に限定はなく、乳化重合又は溶液重合で製造したアルカリ可溶性共重合体を、塩基によりpH7以上に調整することによって中和し、製造する。
例えば、乳化重合の場合、重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体を重合して得られた共重合体のエマルションを、塩基によりpH7以上に調整することによって中和し、製造する。
【0052】
第2の製造法において、殻部分の(共)重合体を構成する単量体は、核部分の重合に引き続いて、同一の反応容器で重合しても、予め他の反応容器で重合した核部分の(共)重合体エマルションを移送して重合してもよい。
【0053】
エマルションから未反応単量体を除去した後、pH及び濃度を調整して、本発明の防滑用アクリルエマルションを得る。
【0054】
第2の製造方法において、核部分の(共)重合体、アルカリ可溶性共重合体及び殻部分の(共)重合体の重合に用いることのできる重合開始剤は、第1の製造方法に使用できるものを使用できる。
【0055】
第2の製造方法において、乳化剤は、アルカリ可溶性共重合体を乳化重合で製造する場合に、前述した重合性乳化剤のみを使用すればよい。その他の乳化剤についは、本発明の目的を損なわない範囲で使用してもよい。
それらの例としては、通常に使用されるノニオン性、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤などを使用することができる。
【0056】
第2の製造方法おいて、核部分の(共)重合体、アルカリ可溶性共重合体及び殻部分の(共)重合体の製造する時の重合温度は、第1の製造方法と同様に、通常、0〜100℃、好ましくは30〜90℃である。
【0057】
本発明の防滑用アクリル系エマルションは、エマルション単独でも防滑性能を有しているが、充填剤と混合して防滑用塗料組成物としても使用することができる。
【0058】
本発明の防滑用塗料組成物に用いる充填剤は、特に限定されず、無機充填剤でも、有機充填剤でもよい。無機充填剤としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、有機充填剤としては、セルロースビーズ、架橋ポリスチレン粒子、アクリル及び塩化ビニル等の樹脂を粉体にしたもの等を挙げることができる。
【0059】
充填剤は、通常、体積平均粒子径2〜300μm、重量平均粒子径/数平均粒子径の比が3.0以下のものが使用される。
充填剤の体積平均粒子径が2μmより小さいと塗工表面の凹凸が不足するために防滑性が低下し、300μmを超える場合は透明性が低下するので望ましくない。重量平均粒子径/数平均粒子径の比が3.0より大きくなると、防滑性が低下するので望ましくない。
【0060】
これら充填剤の含有量は、通常、アクリルエマルションの固形分100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは20重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。30重量部より多いと、防滑性が低下するばかりか、防滑塗料組成物を調製する時の配合安定性及び塗料を塗布した層の透明性も低下するので好ましくない。
【0061】
本発明の防滑用塗料組成物は、常法によって調製することができる。その際、該組成物には、充填剤の他、この分野で通常使用される消泡剤、増粘剤、防腐剤、造膜助剤等の添加物を混合することができる。
【0062】
本発明の防滑用アクリルエマルション及び防滑用塗料組成物は、段ボール箱、カートンなどの紙器、種々の紙袋等の被塗物に、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーターなどの塗工機を使用して塗工し、これらに優れた防滑性を付与することができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断りの無い限り、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。エマルションの重量は固形分換算である。
【0064】
(実施例1)
窒素置換した攪拌機付きの重合容器に、ポリメタクリル酸メチルからなるシードエマルション粒子(粒子径50nm)0.05部、スチレン87.1%、アクリル酸2−エチルヘキシル11.9%及びメタクリル酸2−ヒドロキシルエチル1.0%からなる単量体混合物30.8部及びイオン交換水65部を仕込み、攪拌しながら70℃迄昇温した後、イオン交換水2部に過硫酸カリウム0.1部を溶解させた開始剤水溶液を添加して、4時間反応させ、核部分の共重合体エマルションを得た。この時の重合転化率は98%、体積平均粒子径は430nmであった。
【0065】
次に、アクリル酸エチル28.6%、スチレン43.9%及びメタクリル酸27.5%からなる単量体混合物9.2部、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩0.09部、チオグリコール酸オクチル0.74部並びにイオン交換水6.8部を一括して添加した後、イオン交換水1部に過硫酸カリウム0.05部を溶解させた開始剤水溶液を添加し、1時間反応させた。この時の全単量体の重合転化率は99%、体積平均粒子径は490nmであった。28%アンモニア水を中和剤として1.8部添加し、pHを7.5に調整し、80℃迄昇温させた。
【0066】
更に、イオン交換水6部に過硫酸カリウム0.3部を溶解させた開始剤水溶液を添加した後、アクリル酸エチル88.0%及びアクリロニトリル12.0%からなる単量体混合物60部を3時間かけて添加し、その後2時間熟成させ、殻部分の共重合体を被覆させた。水冷して重合を終了させた後の全単量体の重合転化率は99%であった。エマルションから、未反応単量体を除去した後、pH及び濃度を調整して、固形分濃度が50%、pHが7.0のエマルションを得た。得られたエマルションの体積平均粒子径は670nmであった。
【0067】
(実施例2)
窒素置換した攪拌機付きの重合容器に、アクリル酸エチル28.6%、メタクリル酸メチル43.9%及びメタクリル酸27.5%からなる単量体混合物13.8部、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩0.25部、t−ドデシルメルカプタン0.49部並びにイオン交換水25.7部を仕込み、攪拌して乳化し、70℃迄昇温した後、イオン交換水4部に過硫酸カリウム0.2部を溶解させた開始剤水溶液を添加し、1時間反応させた。反応液を冷却後、28%アンモニア水を中和剤として2.8部添加し、pHを7.5に調整し、アルカリ可溶性共重合体中和物を得た。それに、イオン交換水27部を添加した後、アクリル酸エチル88.0%及びアクリロニトリル12.0%からなる単量体混合物55部を添加し、殻部分の(共)重合体を構成する単量体のエマルションを得た。
【0068】
一方、別の窒素置換した攪拌機付きの重合容器に、ポリメタクリル酸メチルからなるシードエマルション粒子(粒子径50nm)0.08部、スチレン99.0%及びメタクリル酸2−ヒドロキシルエチル1.0%からなる単量体混合物31.2部及びイオン交換水38部を仕込み、攪拌しながら70℃迄昇温した後、イオン交換水2部に過硫酸カリウム0.1部を溶解させた開始剤水溶液を添加して、4時間反応させ、核部分の共重合体エマルションを得た。この時の重合転化率は98%、体積平均粒子径は370nmであった。その後、28%アンモニア水を0.2部添加し、重合系のpHを7.5に調整した。更に、80℃迄昇温し、イオン交換水10部に過硫酸カリウム0.5部を溶解させた開始剤水溶液を添加した後、前記殻部分の(共)重合体を構成する単量体のエマルションを3時間かけて添加し、その後2時間熟成させ、殻部分の共重合体を被覆させた。水冷して重合を終了させた後の全単量体の重合転化率は99%であった。エマルションから、未反応単量体を除去した後、pH及び濃度を調整して、固形分濃度が50%、pHが7.0のエマルションを得た。得られたエマルションの体積平均粒子径は540nmであった。
【0069】
(実施例3〜6、比較例1〜2)
表1に示すように、モノマー組成、シード粒子量、重合性乳化剤量及び連鎖移動剤を変えた他は実施例1と同様にしてエマルションを得た。得られたエマルションの平均粒子径を表1に示す。
【0070】
(比較例3)
窒素置換した攪拌機付きの重合容器に、ポリメタクリル酸メチルからなるシードエマルション粒子(粒子径50nm)0.05部、スチレン87.1%、アクリル酸2−エチルヘキシル11.9%及びメタクリル酸2−ヒドロキシルエチル1.0%からなる単量体混合物40部及びイオン交換水65部を仕込み、攪拌しながら70℃迄昇温した後、イオン交換水2部に過硫酸カリウム0.1部を溶解させた開始剤水溶液を添加して、4時間反応させ、核部分の共重合体エマルションを得た。この時の重合転化率は98%、体積平均粒子径は470nmであった。
【0071】
次に、別途、窒素置換した攪拌機付きの容器に、アクリル酸エチル95.0%及びアクリロニトリル5.0%からなる単量体混合物60部、イオン交換水60部及びポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩0.5部を仕込み、攪拌して乳化し、殻部分の(共)重合体を構成する単量体のエマルションを得た。該エマルションを3時間かけて添加し、その後2時間熟成させ、殻部分の共重合体を被覆させた。水冷して重合を終了させた後の全単量体の重合転化率は99%であった。エマルションから、未反応単量体を除去した後、pH及び濃度を調整して、固形分濃度が50%、pHが7.0のエマルションを得た。得られたエマルションの体積平均粒子径は670nmであった。
【0072】
【表1】
【0073】
(実施例7)
実施例1で得られたエマルションの固形分濃度を37%に希釈し、段ボール用ライナー紙に、高速枚葉式コーターを使用して、ワイヤーバーNo.3、速度999mm/秒で、塗工量が、2.5〜3.5g/m2となるように塗工した後、オーブンにて110℃で1分間乾燥した。この塗被紙を温度23℃、湿度65%の条件で24時間、調湿した。得られた塗被紙の物性を評価した。その結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
(実施例8〜12、比較例4〜6)
表2に示すように、実施例2〜6、比較例1〜3のエマルションを用いて、実施例7と同様にして塗被紙を作製し、その物性を評価した。結果を表2に示す。
【0076】
(実施例13)
実施例1で得られたエマルションの固形分100部と塩化ビニル重合体粒子(新第一塩ビ社製PB−52:粒子径20μm)9部とを混合して得られた組成物を用いて、実施例7と同様にして塗被紙を作製し、その物性を評価した。結果を表2に示す。
【0077】
[エマルションの評価方法]
エマルションの防滑性、耐ブロッキング性の測定方法は下記のとおりである。(防滑性)
防滑性は、滑り角度試験TAPPI標準法T503に規定されている傾斜法試験に準じて、23℃、湿度65%の条件下で、レベルプロトラクター(東栄工業株式会社製)を使用して、塗被紙の滑り角度を測定し、評価した。
即ち、先ず、得られた塗被紙を裁断して、2.5cm×17cmと7.5cm×20cmの試験片を作製する。7.5cm×20cmの試験片を機械本体に塗工面が表になるようにして貼り付ける。次に、試験面が2.5cm×15cm、重量375gの金属板に2.5cm×17cmの試験片を塗工面が表になるようにして貼り付ける。金属板を機械の中央に試験片同士が接触するように重ね、金属板を徐々に傾けて、その金属板が滑り始める角度を測定した。
この角度が大きい方が防滑性が高い。
【0078】
(耐ブロッキング性)
塗被紙を裁断して、6.7cm×10cmの試験片を2枚作製する。塗布面同士を合わせ、40℃、湿度90%の条件下で29.4KPaの荷重をかけ、18時間放置後、取り出して室温まで放冷した後、試験片を両手で剥離し、その試験片の剥離状態の程度により、以下の基準で判定した。
評価基準 ○:剥離し難くなるが、片方の紙への他方の紙の付着なし
△:剥離し難く、片方の紙に他方の紙が少し付着する程度
×:剥離しない
【0079】
表2の塗被紙の評価結果から、以下のことがわかる。
殻部分のエチレン性不飽和ニトリル単量体量が本発明で規定した範囲より少ないエマルションを使用して得られた比較例4の塗被紙は、防滑性が悪い。
体積平均粒子径が本発明で規定した範囲より小さいエマルションを使用して得られた比較例5の塗被紙は、防滑性が悪い。
アルカリ可溶性共重合体で分散安定化されていないエマルションを使用して得られた比較例6の塗被紙は、耐ブロッキング性が悪い。
【0080】
これに対して、本発明のエマルション及び塗料組成物を用いた実施例7〜13の塗被紙は、防滑性及び耐ブロッキング性に優れていることがわかる。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、アルカリ可溶性共重合体中和物で分散安定化された、特定粒径を有する核部分および殻部分からなる二重構造のアクリル(共)重合体のエマルションであって、核部分の(共)重合体のガラス転移温度、殻部分の(共)重合体組成、ガラス転移温度、及び核部分の(共)重合体とアルカリ可溶性共重合体と核部分の(共)重合体との重量の比率が特定の範囲にあるアクリルエマルションを用いれば、防滑性及び耐ブロッキング性に優れた塗被紙を得ることができる。
Claims (4)
- 重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合させて得られるアルカリ可溶性共重合体の中和物で分散安定化された、300〜1000nmの平均粒子径を有する、核部分および殻部分からなる二重構造のアクリル(共)重合体のエマルションであって、該エマルションは、該エマルションを構成する全(共)重合体の単量体単位のうち、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体単位とエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位との合計量が50重量%以上である組成を有し、核部分の(共)重合体のガラス転移温度(Tg)が30〜110℃であり、殻部分の(共)重合体がエチレン性不飽和ニトリル単量体単位2〜15重量%及びこれと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体単位85〜98重量%からなり、そのTgが−50〜+20℃であり、核部分の(共)重合体とアルカリ可溶性共重合体との重量の比率が、40/60〜85/15であり、且つ核部分の(共)重合体とアルカリ可溶性共重合体との合計重量と殻部分の(共)重合体との重量の比率が、20/80〜50/50である防滑用アクリルエマルション。
- 核部分の(共)重合体エマルションの存在下で重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体を共重合して得たエマルションを、pH7以上に調整し、その後、更に、殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を添加して重合することを特徴とする請求項1記載の防滑用アクリルエマルションの製造方法。
- 殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を重合するにあたり、この殻部分の(共)重合体を構成するための単量体を、重合性乳化剤、エチレン性不飽和カルボン酸単量体及びこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体からなる単量体を重合して得られた共重合体の中和物で乳化して、核部分の(共)重合体エマルションの存在下で、重合することを特徴とする請求項1記載の防滑用アクリルエマルションの製造方法。
- 請求項1記載の防滑用アクリルエマルションと充填剤とを含有してなる防滑用塗料組成物。
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