JP4143753B2 - 取り出し機構を備えた分析用具カートリッジ、およびこれと分析装置のセット - Google Patents

取り出し機構を備えた分析用具カートリッジ、およびこれと分析装置のセット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、複数の分析用具を収容した分析用具カートリッジ、分析用具を装着して使用し、この分析用具に供給された試料液中の特定成分を分析するように構成された分析装置、および 分析用具カートリッジと分析装置のセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
体液中の特定成分、たとえば血液中のグルコースの濃度を測定する一般的な方法としては、酸化還元酵素を触媒とした酸化還元反応を利用したものがある。その一方で、自宅や出先などで簡易に血糖値の測定が行えるように、手のひらに収まるようなサイズの簡易血糖値測定装置(分析装置の一例)が汎用されている。この簡易血糖値測定装置では,酵素反応場を提供するとともに使い捨てとして構成されたバイオセンサ(分析用具の一例)を装着した上で、このバイオセンサに血液を供給することにより血糖値の測定が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示したように、簡易血糖値測定装置90に対するバイオセンサ91の装着は、通常、使用者がバイオセンサ91を手に持ち、それを簡易血糖値測定装置90の挿入口92に差し込むことにより行われる。このような、バイオセンサ91の装着方法では、次に説明するような不具合があった。
【0004】
バイオセンサ91は、たとえばアルミニウムシートなどをラミネートした包装体に個別に収容された状態で市販されている。この場合に、簡易血糖値測定装置90にバイオセンサ91を装着するためには、まず包装体からバイオセンサ91を取り出す必要がある。このような作業は、血糖値を測定しようとする度に行う必要があって煩わしく、とくに、視力の衰えた人や年配者にとっては不便である。
【0005】
バイオセンサ91は、幅寸法が0.5〜1cm程度で長さ寸法2〜5cm程度のチップ状である一方、簡易血糖値測定装置90の挿入口92は、その開口部分がバイオセンサ91の断面に対応した大きさを有している。そのため、挿入口92に対してバイオセンサ91を差し込む作業は、必ずしも容易ではなく、とくに視力の衰えた人や年配者にとっては不便である。
【0006】
本願発明は、このような事情のもとに考えだされたものであって、分析装置に対して、簡単な操作によって分析用具を装着できるようにすることを課題としている。
【0007】
【発明の開示】
本願発明では、上記した課題を解決すべく、次の技術的手段を講じている。
【0008】
すなわち、本願発明の第1の側面により提供される分析用具カートリッジは、収容空間およびこの収容空間と外部空間との間を連通する取り出し口を有するケースと、上記収容空間内に積層状態で収容された複数の分析用具と、を備えた分析用具カートリッジであって、上記取り出し口を介して、上記ケースから上記分析用具を一枚ずつ取り出すための取り出し機構と、上記取り出し口を開閉するための開閉機構とをさらに備えており、上記取り出し機構および上記開閉機構は、1つの操作体により構成されているとともに、上記操作体は、この操作体を待機状態から特定方向へ移動させることにより上記分析用具を一体動させるための係合凸部と、上記待機状態において上記取り出し口を閉塞する閉塞部と、上記待機状態から上記特定方向に上記操作体を移動させたときに上記取り出し口を開放する開口部と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
ケースは、たとえば収容空間を規定するとともに取り出し口が設けられた環状壁部を有している。この場合、操作体はループ状に形成されて、環状壁部の外面に沿って配置され、環状壁部に対して相対動可能に構成される。
【0011】
分析用具は、係合凸部が係合する係合部を有しているのが好ましい。この係合部は、分析用具に設けられた凹部あるいは凸部により構成される。分析用具が、キャピラリを有するものである場合には、このキャピラリに連通する空気抜き穴を係合部として利用してもよい。
【0012】
ケースの収容空間内には、乾燥剤を収容しておくのが好ましい。そうすれば、収容空間内が除湿されて、湿気により分析用具が劣化してしまうのが抑制される。とくに、酵素など含んだ試薬層を有する分析用具においては、収容空間内を除湿することは好ましい。複数の分析用具は、たとえば載置台に支持された状態で収容空間内に収容されるが、この場合には載置台に乾燥剤が固定される。乾燥剤の固定は、たとえば粒状の乾燥剤を樹脂材料とともに混練して樹脂内に乾燥剤を分散させることにより、あるいは載置台の表面に乾燥剤粉末を付着させることにより行われる。
【0013】
上述したように、操作体は、ケースに対して相対動するが、この移動時に操作体をガイドするために、ケースに対してガイド部を設けておくのが好ましい。ガイド部は、たとえばケースに設けられた溝や突起として構成される。
【0014】
収容空間においては、たとえば複数の分析用具よりも上層として、分析用具の特性に関する情報を出力可能な情報出力チップを積層しておくのが好ましい。情報出力チップから出力される情報としては、たとえば分析用具の感度に関する情報(分析装置において検量線を選択するのに必要な情報)、分析用具の個別情報(製造日、使用期限、製造会社、製造場所(製造国や製造工場)など)などが挙げられる。
【0015】
収容空間内において、情報出力チップを最上部となるように収容しておけば、分析用具カートリッジからは最初に情報出力チップが取り出される。そのため、当該分析用具カートリッジを使用するにあたって、まず分析装置に対して分析用具の特性に関する情報を認識させることができる。たとえば、情報出力チップからの情報が検量線の選択に必要な情報である場合には、検量線の選択を怠ってしまう可能性が低減される。このような検量線の選択方法では、使用者が分析装置に対してボタン操作を行うなどといった煩わしい操作を行う必要もないため、検量線の選択にあたっての使用者の負担を低減することができるようになる。
【0016】
本願発明の第2の側面においては、上述した本願発明の第1の側面に係る分析用具カートリッジと、この分析用具カートリッジから取り出した分析用具を装着し、この分析用具に供給された試料液中の特定成分を分析するように構成された分析装置と、のセットであって、上記分析用具カートリッジおよび上記分析装置には、上記分析装置に対して上記分析用具カートリッジを位置決め固定するためのカートリッジ固定手段が設けられていることを特徴とする、分析用具カートリッジと分析装置のセットが提供される。
【0017】
カートリッジ固定手段は、たとえばケースに設けられた切欠と、分析装置に設けられた凹部と、を備えている。
【0018】
本願発明の第3の側面においては、上述した本願発明の第1の側面に係る分析用具カートリッジと、この分析用具カートリッジから取り出した分析用具を装着し、この分析用具に供給された試料液中の特定成分を分析するように構成された分析装置と、のセットであって、上記分析装置は、上記分析用具の端部が挿入される挿入部を備えており、上記分析用具カートリッジおよび上記挿入部には、上記分析装置に対して上記分析用具を固定するための分析用具固定手段が設けられていることを特徴とする、分析用具カートリッジと分析装置のセットが提供される。
【0019】
分析用具固定手段は、たとえば分析用具および挿入部のうちの一方に設けられた凸部と、それらのうちの他方に設けられ、かつ凸部と係合する凹部と、備えている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1には、本願発明に係るセンサカートリッジ1と分析装置2とのセットを示した。
【0021】
センサカートリッジ1は、図2に示したように複数のバイオセンサ3を保持したものであり、バイオセンサ3を1枚ずつ取り出せるように構成されている。このセンサカートリッジ1は、図1および図2に示したようにケース4およびこのケース4に対して相対動(回転動)する操作ベルト5を備えている。
【0022】
ケース4は、たとえば樹脂成形により形成された第1および第2部材41,42を有しており、これらを接合することにより複数のバイオセンサ3を収容するための収容空間43が形成されている。
【0023】
第1部材41は、板状部44および環状壁部45を有している。板状部44には、切欠44Aが設けられている。一方、第2部材42は、第1部材41の板状部44と同様な形態を有している。すなわち、第2部材42もまた、切欠42Aを有している。各切欠42A,44Aは、底部面42Aa,44Aaおよび2つのテーパ面42Ab,44Abを有しており、外方に向かうにつれて拡開した形状を有している。これらの切欠42A,44Aは図6および図7を参照して後述するように、センサカートリッジ1から取り出したバイオセンサ3を分析装置2に装着する際に、分析装置2に対してセンサカートリッジ1を位置決め固定するために利用されるものである。
【0024】
第1部材41の環状壁部45は、板状部44の周縁部からこの板状部44の厚み方向に突出する上壁部45A、側壁部45B,45Cおよび底壁部45Dを有している。上壁部45Aと側壁部45Bとの間には、切欠46が設けられている。この切欠46は、収容空間43と外部と連通するものであり、最上部に位置するバイオセンサ3が図中の矢印B方向に移動したときに、それを外部に取り出すためのものである。環状壁部45の周辺には、複数の突起47が設けられている。これらの突起47は、操作ベルト5が回転動する際に、それをガイドする機能を有している。複数の突起47は、第2部材42に設けてもよく、また、このようなガイド機能は、第1または第2部材41,42に溝を設けることによって達成してもよい。
【0025】
上壁部45Aには、2つのスリット45aおよびストッパ部45bが設けられている。スリット45aは、図中の矢印AB方向に延びているとともに、上壁部45Aを貫通している。このスリット45aには、後述する操作ベルト5の係止爪51が挿通され、この係止爪51が矢印AB方向に移動するのが許容されている。ストッパ部45bは、板状部44の厚み方向に延びており、操作ベルト5の移動を規制するものである。
【0026】
収容空間43内には、底壁部45Dに固定されたバネ48により支持された載置台49が収容されている。この載置台49は、バネ48により上壁部45A側に向けて付勢されている。載置台49と上壁部45Aとの間には、バネ48の弾発力によって複数のバイオセンサ3が積層状態で挟持されている。これにより、収容空間43ひいてはケース4内に複数のバイオセンサ3が保持されている。
【0027】
なお、複数のバイオセンサ3の上に補正チップ(図示略)を収容しておき、最初に補正チップが取り出されるように構成してもよい。ここで、補正チップとは、たとえば分析装置2が、複数の検量線に関するデータを記憶している場合に、これらの検量線の中からバイオセンサの感度に最も適合する検量線を選択するために使用するものである。したがって、センサカートリッジ1を用いる場合に、最初に補正チップが取り出されるようにしておけば、補正チップを用いての検量線の選択を怠ってしまう可能性が低減される。また、補正チップを用いて検量線を選択するようにすれば、煩わしい操作(たとえば検量線の選択に当たって使用者が分析装置2に対してボタン操作を行うこと)を行う必要もなくなって、検量線の選択にあたっての使用者の負担を低減することができるようになる。
【0028】
載置台49としては、除湿機能を有するものを使用するのが好ましい。そうすれば、バイオセンサ3が湿気により劣化しやすい場合であっても、それを抑制することができる。このような載置台49としては、たとえば、熱可塑性樹脂とシリカなどの乾燥剤の粉末とを混練しそれを成形したもの、樹脂や金属などの板材に乾燥剤をたとえば粉末状で付着させたもの、あるいは多孔質体の内部に乾燥剤を固定したものが使用される。なお、載置台49に除湿機能を付与しない場合には、収容空間43内に乾燥剤を保持しておくのが好ましい。
【0029】
バネ48は、たとえば板バネとして構成されているとともに第1部材41に対して一体化されている。バネ48は、第1部材41を成形する際に、この第1部材41ともに一体成形され、あるいは別部材として形成された板バネを第1部材41の成形の際にインサート成形することにより第1部材41に対して一体化される。ただし、作業性および製造コストの観点からは、第1部材41とともにバネ48を一体的成形するのが好ましい。もちろん、板バネに代えて、コイルバネ、発泡性樹脂、ゴムなどの弾性体を用いることもできる。
【0030】
バイオセンサ3は、図3および図4に良く表れているように、基板30上に、スペーサ31を介してカバー32を取り付けた構成を有している。このバイオセンサ3には、基板30とカバー32との間に流路33が形成されている。この流路33は、試料導入口33aおよび空気抜き口33bを介して外部と連通している。バイオセンサ3にはさらに、基板30の幅方向に延びる2つの凹部34,35が設けられている。凹部34は、図5を参照して後述する操作ベルト5とともにバイオセンサ3を移動させる際に利用するものである。一方、凹部35は、図7(c)および(d)を参照して後述するようにバイオセンサ3を分析装置2に装着する際に利用するものである。なお、凹部34,35は、スペーサ31およびカバー32の双方を貫通しているが、必ずしもそれらの双方を貫通するように形成する必要はない。
【0031】
基板30の上面30aには、作用極36、対極37、一対の検知用電極38(以下、これらを総称して「電極36〜38」という場合がある)および試薬層39が設けられている。
【0032】
作用極36および対極37は、たとえば試薬層39に対して定電位を与えたときに、試薬層39から供給される電子の量を応答電流として測定する際に利用されるものである。一方、一対の検知用電極38は、バイオセンサ3の流路33内に血液が導入されたか否かを判断するために利用されるものである。電極36〜38の一端部36a,37a,38aは、スペーサ31やカバー32には覆われておらず、露出している。これらの一端部36a,37a,38aは、後述する分析装置2の端子25(図6および図7参照)と接触させるための端子部を構成している。
【0033】
試薬層39は、たとえば固形状であり、電極36〜38を一連に覆うようにして形成されている。この試薬層39は、たとえば相対的に多量のメディエータ(電子伝達物質)に対して相対的に少量の酸化還元酵素を分散させたものである。電子伝達物質としては、たとえば鉄やRuの錯体が使用される。酸化還元酵素は、濃度測定の対象となる特定成分の種類によって選択される。特定成分としては、たとえばグルコース、コレステロール、乳酸が挙げられる。このような特定成分に対しては、酸化還元酵素としては、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼが挙げられる。
【0034】
操作ベルト5は、図1、図2および図5に示したように全体としてループ状の形態を有しており、第1部材41の環状壁部45の外面に沿うようにして張り巡らされている。操作ベルト5は、ノブ50、一対の係止爪51、閉塞部52、および開口部53を有している。
【0035】
ノブ50は、環状壁部45の外面に沿って、この環状壁部45ひいてはケース4に対して操作ベルト5を相対移動(回転動)させるためのものである。
【0036】
一対の係止爪51は、環状壁部45における上壁部45Aのスリット45aに挿通され、このスリット45aを介して突出する端部をバイオセンサ3の凹部34に係止するためのものである。一対の係止爪51は、ノブ50を操作することによってスリット45a内を移動するとともに、上壁部45Aに対して相対動する。このとき、係止爪51が凹部34に係止されているために、ノブ50の操作によってバイオセンサ3も環状壁部45ひいてはケース4に対して相対動させられる。係止爪51の数や形状は、図示された例には限定されず、設計変更可能である。
【0037】
閉塞部52は、待機状態(バイオセンサ3を取り出さない状態)において、環状壁部45の切欠46を閉塞している。これにより、待機状態におけるケース4の収容空間43内の気密性が確保され、バイオセンサ3が水分により劣化し、あるいはバイオセンサ3の電極36〜38間がホコリなどによりショートしてしまうことが抑制されている。
【0038】
開口部53は、操作ベルト5を環状壁部45に対して相対動させた場合、つまり、バイオセンサ3を移動させた場合に、環状壁部45の切欠46を開放するためのものである。これにより、収容空間43内に保持されたバイオセンサ3を収容空間43から外部に排出することができるようになる。開口部53内には、ケース4のストッパ部45bが位置しており、操作ベルト5の移動により開口部53を規定するエッジとストッパ部45bが干渉したときに操作ベルト5の移動が制限される。
【0039】
以上の構成を有するセンサカートリッジ1では、待機状態においては図5(a)に示したように、最上部に位置するバイオセンサ3の凹部34に操作ベルト5の係止爪51が係合しているとともに、バイオセンサ3が上方側に向けて付勢されている。これにより、操作ベルト5の移動により、最上部に位置するバイオセンサ3のみがケース4に対して相対動可能とされている。一方、ケース4の切欠46は操作ベルト5の閉塞部52により閉塞されている。これにより、待機状態でのケース4内の気密性が確保されている。
【0040】
図5(b)に示したように、ノブ50を操作してこのノブ50を図中の矢印B方向に移動させれば、ノブ50とともに係止爪51や閉塞部52が矢印B方向に移動する。このとき、操作ベルト5は、ケース4の複数の突起47によってガイドされつつ、環状壁部45の外面に沿って相対動(回転動)する。そして、操作ベルト5を回転動させれば、閉塞部52が切欠46から外れるとともに、操作ベルト5の開口部53が切欠46の部分に位置して収容空間43と外部とを連通する。一方、係止爪51がバイオセンサ3の凹部34に係合していることから、係止爪51が矢印B方向に移動することによってバイオセンサ3も矢印B方向に移動する。バイオセンサ3は、上方側に付勢されているとともに、ノブ50の移動によって切欠46が開放していることから、切欠46からバイオセンサ3が1枚だけ排出されていく。このとき、ケース4内のバイオセンサ3が上方に付勢されていることから、複数のバイオセンサ3の全体が上方側に移動する。
【0041】
そして、ケース4からバイオセンサ3を完全に排出した場合には、図5(a)に示した待機状態とすべく、ノブ50を矢印A方向に移動させる。そうすれば、最上部に位置するバイオセンサ3の凹部34に操作ベルト5の係止爪51が係止されて待機状態とされる。
【0042】
図1および図6に示したように、分析装置2は、たとえばバイオセンサ3に供給された試料液中の特定成分の濃度を、電気化学的手法により測定するように構成されている。この分析装置2は、センサカートリッジ1を位置決め固定可能な保持部20と、バイオセンサ3を挿入するための挿入部21と、を備え、その他にディスプレイ22や操作ボタン23を有している。
【0043】
保持部20は、センサカートリッジ1における切欠42A,44Aが係合する部分であり、一対の凹部24,25からなる。これらの凹部24,25はテーパ面24a,25aおよびガイド面24b,25bを有している。各凹部24,25におけるガイド面24b,25bの間の距離は、ケース4における第1部材41の板状部44と第2部材42との間の距離に対応している一方、凹部24,25のテーパ面24a,25aの傾斜状態はケース4の切欠42A,44Aのテーパ面42Ab,44Abの傾斜状態に対応している。そのため、分析装置2に対してセンサカートリッジ1を装着する場合には、センサカートリッジ1の切欠42A,44Aと保持部20の凹部24,25とが嵌合する。このとき、切欠42A,44Aによって分析装置2の厚み方向の移動が制限されるとともに、凹部24,25のガイド面24b,25bによってセンサカートリッジ1の厚み方向の移動が制限される。その結果、センサカートリッジ1は、分析装置2に対して位置決めされた状態で固定される。
【0044】
挿入部21は、保持部20の凹部24,25間に形成されており、バイオセンサ3の一端部を収容可能な保持空間26を有している。この保持空間26を規定する上壁面27には、下方に突出する凸部27aが形成されている。この凸部27aは、図7(c)および(d)に示したように保持空間26内にバイオセンサ3を挿入した場合に、バイオセンサ3の凹部35に嵌合するものである。これにより、分析装置2に対してバイオセンサ3を装着した状態が維持される。保持空間26内にはさらに、複数の端子28(図面上には1つの端子28しか表されていない)が延出している。複数の端子28は、バイオセンサ3の電極36〜38の一端部36a〜38aに対応する部位に、たとえば4つ配置されている。各端子28は、下方側に向けて付勢されている。したがって、保持空間26内にバイオセンサ3を挿入した場合には、端子28と保持空間26を規定する下壁面29との間にバイオセンサ3の基板30が挟持される。このとき、複数の端子28が電極36〜38の一端部36a〜38aに接触する。
【0045】
このような分析装置2に対しては、センサカートリッジ1を利用して、次に説明するような動作によりバイオセンサ3が装着される。
【0046】
まず、図7(a)に示したように、分析装置2に対してセンサカートリッジ1を位置決め固定する。このような位置決め固定は、上述したように、分析装置2の保持部20に対して、センサカートリッジ1の切欠42A,44Aを嵌合させることにより行われる。このとき、センサカートリッジ1(ケース4)の切欠46と分析装置2の挿入部21も位置合わせされる。
【0047】
次いで、図5を参照して説明した手順にしたがってセンサカートリッジ1からバイオセンサ3を排出すれば、分析装置2に対してバイオセンサ3が装着される。より具体的には、たとえば使用者の手操作によってセンサカートリッジ1のノブ50を矢印B方向に移動させれば、バイオセンサ3が矢印B方向に移動してセンサカートリッジ1からバイオセンサ3が排出されていく(図5参照)。このとき、図7(b)に示したようにバイオセンサ3の端部30bから分析装置3の挿入部21に挿入されていく。さらにバイオセンサ3矢印B方向に移動させれば、図7(c)に示したように基板30の端部30bが端子28と下壁面29との間に挟持されるとともに、凸部27aがバイオセンサ3の凹部35と係合する。このようにしてバイオセンサ3が分析装置2に固定された状態において、図7(d)に示したように矢印A方向に分析装置2からセンサカートリッジ1を離反させれば、分析装置2に対してバイオセンサ3が装着される。
【0048】
一方、分析装置2での濃度測定は(図3および図4参照)、バイオセンサ3に対して、試料導入口33aを介して試料液を供給することにより行われる。試料導入口33aから導入された試料液は、空気抜き穴33bに向けて流路33内を進行する。このとき、試薬層39と試料液中の特定成分とが反応し、メディエータが還元あるいは酸化される。そして、一端部36a,37aを介して試薬層39に電圧を印加すれば、作用極36とメディエータとの間で電子の授受が行われる。この電子授受量は、作用極36および対極37を利用して、分析装置において測定される。この電子授受量は、特定成分の濃度に相関するものであるため、電子授受量を測定することによって特定成分の濃度を演算することができる。一方、検知用電極38において、これらの電極に対する電子授受量を測定することにより、バイオセンサ2に対して試料液が供給されたことを検知することもできる。
【0049】
本実施の形態では、分析装置2に対してセンサカートリッジ1を位置決め固定し、ノブ50を移動させるだけで分析装置2に対してバイオセンサ3を装着することができる。分析装置2に対するセンサカートリッジ1の位置決め固定は、センサカートリッジ1の切欠42A,44Aおよび分析装置2の凹部24,25を利用して簡易に行うことができ、またノブ50を移動させる動作も極めて容易である。このように、本実施の形態では、極めて簡易な操作によって分析装置2に対してバイオセンサ3を装着することができるため、視力の衰えた人や年配者であっても、不具合なくバイオセンサ3を装着することができる。
【0050】
本願発明は、上述した本実施の形態には限定されず、種々の設計変更が可能である。たとえば、センサカートリッジ1については、図8に示したようにループ状の操作ベルトに代えて、帯状の操作ベルト5′を使用してもよく、図9に示したようにバイオセンサ3を移動させる部材と、ケース4の切欠46を開閉する部材とを、別体として形成してもよい。
【0051】
図8に示した例では、操作ベルト5′は、帯状に形成されている点を除いては、先に説明した操作ベルト5同様な構成を有しており、この操作ベルト5′は、環状壁部45の上壁部45Aおよび切欠46を覆うようにして設けられている。操作ベルト5′の両端部は、コイルバネB1,B2を介してケース4の環状壁部45に固定されている。自然状態においては、閉塞部52′によって切欠46が閉鎖されているとともに、係止爪51′がバイオセンサ3の凹部34に係止されている。使用者の手操作などによって操作ノブ50′を図中の矢印B方向に移動させた場合には、バイオセンサ3が矢印B方向に移動するとともに、開口部53′が切欠46に対応する部位に位置して切欠46が開放される。これにより、切欠46からバイオセンサ3が排出される。そして、ノブ50′に作用する力を解放すれば、バネ力によって操作ベルト5′が自動的に自然状態に復帰する。
【0052】
一方、図9に示した例では、ノブ50″と係止爪51″とが一体成形された操作体5″がバネB1を介してケース4の環状壁部45に固定されている。ケース4の切欠46はカーテン52″により閉塞されている。そして、操作体5″を移動させれば、カーテン52″を押しのけつつ、バイオセンサ3がケース4の外部に押し出されていく。操作体5″に作用する力を解除すれば、バネB1の弾性力によって操作体5″が自動的にもとの位置に復帰する。
【0053】
また、ノブ50の移動によりバイオセンサ3を移動させる手法についても、たとえば図10に例示したように設計変更可能である。図10(a)にはバイオセンサ3に凸部34′を設け、係止爪51が凸部34′を押すことによってバイオセンサ3を移動させる例を、図10(b)には係止爪51がバイオセンサ3の後端を押すことによりバイオセンサ3を移動させる例を、図10(c)には係止爪51がバイオセンサ3に設けられた空気抜き口33bに係止され、この状態においてバイオセンサ3を移動させる例をそれぞれ示した。
【0054】
一方、分析装置に対してセンサカートリッジを位置決め固定し、あるいは分析装置に対してバイオセンサを固定する手段についても種々に設計変更可能である。たとえば、分析装置の挿入部に凹部を設ける一方で、バイオセンサに上記凹部と係合する凸部を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明に係る分析装置とセンサカートリッジとのセットの一例を説明するための全体斜視図である。
【図2】 図1に示したセンサカートリッジの分解斜視図である。
【図3】 図2に示したバイオセンサの全体斜視図である。
【図4】 図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】 ンサカートリッジにおけるバイオセンサの取り出し動作を説明するための断面図である。
【図6】 図1のVI VI線に沿う断面図である。
【図7】 ンサカートリッジから分析装置へのバイオセンサの装着動作を説明するための断面図である。
【図8】 ンサカートリッジにおける操作ベルトの他の例を説明するための要部断面図である。
【図9】 ンサカートリッジにおいて、バイオセンサを移動させる部材と、切欠の開閉部材と別体として構成した例を説明するための要部断面図である。
【図10】 ンサカートリッジにおけるバイオセンサの取り出し手法の他の例を示す断面図である。
【図11】 従来における分析装置に対するバイオセンサの装着動作を説明するための全体斜視図である。
【符号の説明】
1 センサカートリッジ(分析用具カートリッジ)
2 分析装置
21 挿入部
24,25 凹部(カートリッジ固定手段)
27a 凸部(分析用具固定手段)
3 バイオセンサ(分析用具)
34 凹部(係合部)
35 凹部(分析用具固定手段)
4 ケース
42A,44A 切欠(カートリッジ固定手段)
43 収容空間
45 環状壁部
46 切欠(取り出し口)
47 突起(ガイド部)
49 載置台
5 操作ベルト(操作体)
5″ 操作体
50,50′,50″ ノブ(操作部)
51,51′,51″ 係止爪(係合凸部)
52,52′ 閉塞部
52″ カーテン(閉塞部)
53,53′ 開口部

Claims (9)

  1. 収容空間およびこの収容空間と外部空間との間を連通する取り出し口を有するケースと、上記収容空間内に積層状態で収容された複数の分析用具と、を備えた分析用具カートリッジであって、
    上記取り出し口を介して、上記ケースから上記分析用具を一枚ずつ取り出すための取り出し機構と、上記取り出し口を開閉するための開閉機構とをさらに備えており、
    上記取り出し機構および上記開閉機構は、1つの操作体により構成されているとともに、上記操作体は、この操作体を待機状態から特定方向へ移動させることにより上記分析用具を一体動させるための係合凸部と、上記待機状態において上記取り出し口を閉塞する閉塞部と、上記待機状態から上記特定方向に上記操作体を移動させたときに上記取り出し口を開放する開口部と、を備えていることを特徴とする、取り出し機構を備えた分析用具カートリッジ。
  2. 上記ケースは、上記収容空間を規定するとともに上記取り出し口が設けられた環状壁部を有しており、
    上記操作体は、ループ状に形成されており、かつ上記環状壁部の外面に沿って配置されて、上記環状壁部に対して相対動可能とされている、請求項に記載の分析用具カートリッジ。
  3. 上記分析用具は、上記係合凸部が係合する係合部を有している、請求項またはに記載の分析用具カートリッジ。
  4. 上記操作体は、この操作体を外力により移動させるための操作部を有している、請求項ないしのいずれかに記載の分析用具カートリッジ。
  5. 上記収容空間内には、乾燥剤が収容されている、請求項1ないしのいずれかに記載の分析用具カートリッジ。
  6. 上記複数の分析用具は、載置台に支持された状態で上記収容空間内に収容されており、
    上記乾燥剤は、上記載置台に固定されている、請求項に記載の分析用具カートリッジ。
  7. 上記ケースには、上記操作体を移動させたときにこの操作体をガイドするためのガイド部が設けられている、請求項ないしのいずれかに記載の分析用具カートリッジ。
  8. 上記収容空間においては、上記複数の分析用具よりも上層として、上記分析用具の特性に関する情報を出力可能な情報出力チップが積層されている、請求項1ないしのいずれかに記載の分析用具カートリッジ。
  9. 請求項1ないしのいずれかに記載した分析用具カートリッジと、この分析用具カートリッジから取り出した分析用具を装着し、この分析用具に供給された試料液中の特定成分を分析するように構成された分析装置と、のセットであって、
    上記分析用具カートリッジおよび上記分析装置のうちの少なくとも一方には、上記分析装置に対して上記分析用具カートリッジを位置決め固定するためのカートリッジ固定手段が設けられていることを特徴とする、分析用具カートリッジと分析装置のセット。
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