JP2014081389A - グルコース濃度測定器システム、グルコース濃度測定メータ - Google Patents
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Abstract
【課題】チップ管理や測定の手間を低負担にすることが可能なグルコース濃度測定器システムおよびそのサブシステムを提供すること。
【解決手段】矩形板状のグルコースセンサチップを積層状に複数格納し、そのセンサチップを一つずつスライドさせて取り出せる箱体と、センサチップに関する情報を保持させた電子タグと、を有する格納ケースと、格納ケースを収容可能な携行ケースと、センサチップの先端部が挿入されるコネクタ部と、その挿入を検出する検出部と、挿入が検出されたときに電子タグに向けて電波放射するNFCモジュールと、センサチップ上で生じさせた試料液の電気化学的反応による、流れる電流の変化量を検知する検知部と、この変化量を、NFCモジュールが得たセンサチップに関する情報に基づいて校正し、試料液のグルコース濃度を求める処理を行う処理部と、を有するグルコース濃度測定メータとを具備する。
【選択図】図2
【解決手段】矩形板状のグルコースセンサチップを積層状に複数格納し、そのセンサチップを一つずつスライドさせて取り出せる箱体と、センサチップに関する情報を保持させた電子タグと、を有する格納ケースと、格納ケースを収容可能な携行ケースと、センサチップの先端部が挿入されるコネクタ部と、その挿入を検出する検出部と、挿入が検出されたときに電子タグに向けて電波放射するNFCモジュールと、センサチップ上で生じさせた試料液の電気化学的反応による、流れる電流の変化量を検知する検知部と、この変化量を、NFCモジュールが得たセンサチップに関する情報に基づいて校正し、試料液のグルコース濃度を求める処理を行う処理部と、を有するグルコース濃度測定メータとを具備する。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば採取した血液中のグルコースの濃度を測定するグルコース濃度測定器システム、およびこのシステムを構成するグルコース濃度測定メータに係り、特に、測定の手間削減に好適なグルコース濃度測定器システムおよびグルコース濃度測定メータに関する。
被験者が自ら自身の血液をごく微量採取して、この血液試料中のグルコース濃度(いわゆる血糖値濃度)を容易に測定できるようにした、一揃いのセンサ装置群が利用可能になっている。その核となっているのは、血液に対して電気化学的に反応を起こさせるように構成した一種のバイオセンサ、グルコースセンサチップである。
グルコースセンサチップは、作用極、対極の2つの電極、酵素、および電子受容体を備えている。酵素は、このセンサチップに付着させた試料液中のグルコースを選択的に酸化してグルコン酸を生成し、また同時に電子受容体を還元して還元体を生成する。この還元体に電極で一定の電圧を印加すると還元体は再び酸化される。その際に電極間に電流が流れ、この電流が試料液中のグルコース濃度に依存することから、電流の多寡によりグルコース濃度を検知できる。
グルコースセンサチップは、その2つの電極間に電圧を印加するため、およびその電流を検出するため、測定メータ(グルコース濃度測定メータ)に装着して使用される。グルコースセンサチップ自体は、体外診断用医薬品として扱われ、グルコース濃度測定メータとは異なり測定ごとの使い切りである。
現状ではグルコースセンサチップのグルコース検知感度には、その製造上、ばらつきが避けられず、このため、例えば製造ロットに従って、その検知感度を示す数値が製品に付されている。被験者は、この数値を見て、これを測定校正のためグルコース濃度測定メータに手入力しなければならないという手間がある。また、グルコースセンサチップをグルコース濃度測定メータに装着するまで長期間、保存に適切な管理を要することや、装着自体の手間も被験者にとっては負担が大きい。
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、グルコース濃度測定器システム、およびこのシステムを構成するグルコース濃度測定メータにおいて、チップ管理や測定の手間を低負担にすることが可能なグルコース濃度測定器システムおよびグルコース濃度測定メータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様であるグルコース濃度測定器システムは、長矩形板状のグルコースセンサチップを積層状に複数個格納し、該複数のグルコースセンサチップのうちのひとつのグルコースセンサチップをスライドさせて取り出し可能に構成された箱体と、該箱体に取り付けられた、該箱体に格納された前記グルコースセンサチップに関する情報を保持させた電子タグと、を有する格納ケースと、前記格納ケースを収容可能な携行ケースと、前記格納ケースからスライドさせた前記グルコースセンサチップの先端部が挿入され得るように構成されたコネクタ部と、該コネクタ部に前記グルコースセンサチップの前記先端部が挿入されたことを検出する検出部と、前記コネクタ部に前記グルコースセンサチップの前記先端部が挿入されたことが前記検出部によって検出されたときに、前記格納ケースの前記電子タグに向けて情報読み取り用の電波を放射するNFCモジュールと、前記コネクタ部に挿入された前記グルコースセンサチップ上で生じさせた試料液の電気化学的反応によって生じる、該グルコースセンサチップに流れる電流の変化の量を前記コネクタ部を介して検知する検知部と、該検知部によって検知された前記電流の変化の量を、前記NFCモジュールによって前記格納ケースの前記電子タグから得た前記グルコースセンサチップに関する前記情報に基づいて校正し、前記試料液のグルコース濃度を求める処理を行う処理部と、を有するグルコース濃度測定メータとを具備する。
すなわち、このシステムは、格納ケース、携行ケース、グルコース濃度測定メータを有する。格納ケースは、グルコースセンサチップを収めた箱体と、この箱体に取り付けられた電子タグとを有する。箱体からは、グルコースセンサチップをスライドしてひとつずつ取り出せる。電子タグには、これが取り付けられた箱体に格納のグルコースセンサチップに関する情報が保持されている。携行ケースは、格納ケースの携行に適するようにこれを収容することができる。
グルコース濃度測定メータは、グルコースセンサチップの先端部がコネクタ部に挿入されたときにこれを検出し、この検出により、その具有するNFC(near field communication)モジュールが上記電子タグに向けて情報読み取り用の電波を放射する。したがって、これにより、グルコース濃度測定メータは、コネクタ部に挿入されたグルコースセンサチップに関する情報を得ることができ、よって、グルコース濃度を求める処理においてその校正を自動的に行うことができる。
ゆえに、このシステムによれば、チップ管理や測定の手間を低負担にすることが可能である。
また、本発明の別の態様であるグルコース濃度測定メータは、長矩形板状のグルコースセンサチップの先端部が挿入され得るように構成されたコネクタ部と、前記コネクタ部に前記グルコースセンサチップの前記先端部が挿入されたことを検出する検出部と、前記コネクタ部に前記グルコースセンサチップの前記先端部が挿入されたことが前記検出部によって検出されたときに、前記グルコースセンサチップに関する情報を保持している電子タグが感知可能な情報読み取り用の電波を放射するNFCモジュールと、前記コネクタ部に挿入された前記グルコースセンサチップ上で生じさせた試料液の電気化学的反応によって生じる、該グルコースセンサチップに流れる電流の変化の量を前記コネクタ部を介して検知する検知部と、前記検知部によって検知された前記電流の変化の量を、前記NFCモジュールによって前記電子タグから得た前記グルコースセンサチップに関する前記情報に基づいて校正し、前記試料液のグルコース濃度を求める処理を行う処理部とを具備することを特徴とする。
このグルコース濃度測定メータは、上記システムを構成する一部である。
本発明によれば、チップ管理や測定の手間を低負担にすることが可能なグルコース濃度測定器システムおよびグルコース濃度測定メータを提供することができる。
以下での記載に関わらず、図1、図5、図6を参照して説明する形態それ自体は参考態様である。ただし、発明の実施形態として参照されるべき事項を含んではいる。
本発明の一実施形態であるグルコースセンサチップ格納ケースの構成を概念的に示す斜視図。
本発明の一実施形態であるグルコース濃度測定器システムを概念的に説明する構成図。
本発明の一実施形態であるグルコース濃度測定メータによる、グルコース濃度の測定態様を説明する構成図。
本発明の一実施形態であるグルコース濃度測定メータの内部構成を示すブロック図。
図1に示したものとは異なる、本発明の一実施形態であるグルコースセンサチップ格納ケースの構成を概念的に示す斜視図。
図2に示したものとは異なる、本発明の一実施形態であるグルコース濃度測定器システムを概念的に説明する構成図。
本発明の実施態様として、格納ケースの前記電子タグに保持させてある前記グルコースセンサチップに関する前記情報が、該グルコースセンサチップが有するグルコース検知感度を校正するための情報のほか、該グルコースセンサチップの製造管理番号および使用期限を含む、とすることができる。
このように、グルコースセンサチップに関する情報を種々に設定することで、グルコース濃度の校正のほかにも種々の応用ができる。製造管理番号を設定すれば、グルコース濃度測定メータに取り込まれた情報を、医療機関の管理アプリケーションを経由して、例えば医薬品メーカーにフィードバックできるので、トレーサビリティ管理になる。使用期限を設定すれば、例えば、グルコースセンサチップをグルコース濃度測定メータに装着したときに、その期限切れをユーザに報知することができる。
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。まず、図1は、本発明の一実施形態であるグルコースセンサチップ格納ケースの構成を概念的に示す斜視図である。同図に示すように、この格納ケース10は、その格納対象のグルコースセンサチップ15のほか、箱体11、センサチップ押し上げ台12、電子タグ13を有する。箱体11には、センサチップ取り出し溝11a、スライドレバー用溝11bが形成されている。
このグルコースセンサチップ格納ケース10は、医薬品メーカーが被験者にグルコースセンサチップ15を提供するための容器として、同図に示すような態様で例えばさらに包装されて流通され得る。すなわち、格納ケース10ごと、体外診断用医薬品として扱われ得る。
グルコースセンサチップ15は、長矩形の板状の形状を有しており、図示するように、積層状に複数(例えば25枚)が箱体11に格納されている。グルコースセンサチップ15自体については以下である。グルコースセンサチップ15は、作用極、対極の2つの電極(不図示)、酵素、および電子受容体を備えている。酵素は、このセンサチップ15に付着させた試料液中のグルコースを選択的に酸化してグルコン酸を生成し、また同時に電子受容体を還元して還元体を生成する。この還元体に電極で一定の電圧を印加すると還元体は再び酸化される。その際に電極間に電流が流れ、この電流が試料液中のグルコース濃度に依存することから、電流の多寡によりグルコース濃度を検知できる。
このような、グルコース濃度検出のためのセンサチップ15の構成およびその作用自体は公知である。よってこれ以上の詳細は省略する。グルコースセンサチップ15は、その2つの電極間に電圧を印加するため、およびその電流を検出するため、グルコース濃度測定メータに装着して使用される。その態様については後述するが、センサチップ15の一方の端部(図示左側)には、測定メータとの接続に供される電気接続部(不図示)があり、他方の端部(図示右側)近傍には、試料液を付着させる受液部(不図示)が設けられている。受液部に付着された試料液はセンサチップ15内で生じる毛管現象により上記電極に達する。
格納ケース10の箱体11内部に積層して格納されたセンサチップ15は、その図示上側のものからその長手方向にスライド移動させることで箱体11から取り出され得る。スライド移動させたセンサチップ15を通過させるため、箱体11には、そのスライド移動を妨げない程度の幅および長さでセンサチップ取り出し溝11aが形成されている。また、センサチップ15をスライド移動させるため、箱体11には、その図示上面に、センサチップ15の一方の端部(受液部側)を送り出すためのスライドレバー(不図示)を案内するスライドレバー用溝11bが形成されている。この溝11bは、センサチップ15を押し過ぎて離脱させないように、図示左側、中途までの溝になっている。
格納ケース10には、さらに、積層状に格納されたセンサチップ15を図示底面側から押し上げるためのセンサチップ押し上げ台12が内蔵されている。この押し上げ台12は、センサチップ15を押し上げる方向にのみ移動可能に構成されている。この格納ケース10は、実際には、後述するグルコースセンサチップ携行ケースに収容されて使用される。その収容状態で押し上げ台12は、携行ケース側の機構により、センサチップ15が取り出されひとつずつ使用されるに従い、次のセンサチップ15の取り出しに備えるようにセンサチップ15を押し上げていく。
なお、押し上げ台12の内部には、格納されたセンサチップ15のため、例えば、乾燥剤を備えさせることができる。このような乾燥剤を設けることにより、この格納ケース10が、後述するグルコースセンサチップ携行ケースに収容された状態においても、その格納されたセンサチップ15を長期間(例えば1年程度)良好に保存することができる。
格納ケース10の箱体11には、その格納されたグルコースセンサチップ15に関する情報を保持させた電子タグ13が取り付けられている。電子タグ13は、グルコース濃度測定メータ(後述)による情報読み取り用の電波の放射により、その保持する情報の無線発信が可能である。電子タグ13が保持する情報として、その格納されたグルコースセンサチップ15が有するグルコース検知感度を校正するのに必要な情報のほか、そのグルコースセンサチップ15の製造管理番号や使用期限を挙げることができる。
グルコースセンサチップ15は、一般に、そのグルコース検知感度が例えば製造ロットにより変動し、一定ではない。その検知感度は、現行品で、例えば40もの段階にクラス分けされ製造されている。後述するように、電子タグ13を電磁的に読み取ることでグルコース検知感度の校正を自動的になすことができる。
次に、図2は、本発明の一実施形態であるグルコース濃度測定器システムを概念的に説明する構成図である。同図において、図1中に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
図2に示すように、図1に示した格納ケース10は、グルコースセンサチップ携行ケース20に収容されて使用される。携行ケース20は、そのための収容部21および収容部ふた側22のほか、台押し上げ機構23、スライドレバー24を有する。携行ケース20内に収容された格納ケース10からスライド移動させて取り出されるセンサチップ15は、その端部(電気接続部側)がグルコース濃度測定メータ30のコネクタ部31に挿入され得る。測定メータ30は、コネクタ部31のほか、表示部32、操作ボタン33を有する。
携行ケース20は、格納ケース10に格納されたセンサチップ15を実際に使用する意図で取り出すため、およびこれを携行するために利便性を有するように構成されている。そのため、格納ケース10を収める空間である収容部21に収容された格納ケース10は、まず、収容部ふた側22を閉めることで携行に応じた状態になる。その状態は、センサチップ15を有した格納ケース10を密閉空間内にほぼ閉ざした状態であり、容易にセンサチップ15の良好な保存を可能とする。
格納ケース10に格納されたセンサチップ15を実際に使用するため取り出すときには、携行ケース20の収容部ふた側22を図示するように開く。格納ケース10の図示底面側は、台押し上げ機構23に押し付けられている。台押し上げ機構23は、格納ケース10のすでに説明した押し上げ台12を押し上げ可能な例えばばね機構を有している。格納ケース10の図示上面側には、携行ケース20のスライドレバー24が、格納ケース10のスライドレバー用溝10bで案内されるように位置しており、この状態でスライドレバー24を図示した方向にスライドさせることで、センサチップ15を格納ケース10および携行ケース20から突き出させることができる。
センサチップ15を格納ケース10および携行ケース20から突き出させた状態で、次に、図示するように、測定メータ30をセンサチップ15に近づけ、そのコネクタ部31にセンサチップ15の端部(電気接続部側)を挿入させ(ばね力で銜えさせ)、装着する。これにより、センサチップ15と測定メータ30とが電気的に接続される(このとき後述するように無線で電子タグ13が読み取られる)。その状態で、次に、測定メータ30を携行ケース20から遠ざけて、携行ケース20から、測定メータ30に装着したセンサチップ15を引き抜く。これにより、測定メータ30によるグルコース濃度測定の準備が整う。
この一連の準備においては、被験者がセンサチップ15に手で直接に触れることはまったくなく、センサチップ15の皮脂よごれを避けることができる。よって、その測定の外乱要因を良好に除去できる上、格納ケース10に格納された多くのセンサチップ15をばらばらに扱うことがないため、装着自体の手間も負担なく非常に容易である。
次に、図3は、本発明の一実施形態であるグルコース濃度測定メータによる、グルコース濃度の測定態様を説明する構成図である。同図において、すでに説明した図中に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
グルコース濃度の測定を行うときには、図3に示すように、測定メータ30にセンサチップ15が装着された状態で、センサチップ15の端部(受液部側)近傍に試料液を付着させる。このためには、被験者は、まず、穿刺器具(不図示)を指先あるいは掌などに押し付け、皮膚に微小な傷をつける。傷から得た血液を試料液としてこれをセンサチップ15の受液部に付着させる。あとは自動的に測定メータ30が試料液のグルコース濃度の算出を行い、その結果を表示部32に表示する。表示された結果は、例えば、その日時とともに測定メータ30が有する記憶部(後述する)に自動的に記憶される。
そして、測定が終了のあと、センサチップ15は、例えば、測定メータ30が有する不図示の排出機構を被験者が操作することで、測定メータ30から手を触れることなく排出され得る。なお、操作ボタン33は、例えば、過去に測定された結果を表示するなどの操作のため使用され得る。
図4は、本発明の一実施形態であるグルコース濃度測定メータの内部構成を示すブロック図である。以下、同図を参照して、測定メータ30の電気的な動作について補足的に説明する。同図に示すように、測定メータ30は、コネクタ部31、表示部32、操作ボタン33のほか、その内部構成として、挿入検出部34、NFC(near field communication)モジュール35、電流変化量検知部36、校正処理部37、記憶部38を有する。
コネクタ部31は、センサチップ15の先端(電気接続部側)が挿入され得る構造を有している。そして、センサチップ15の挿入により、センサチップ15に対して所定の電圧を印加し、また、印加した電圧によって生じる電流を導き入れる入出力部として機能する。センサチップ15に印加する電圧を仲介するように、および印加した電圧によって生じる電流を仲介するように、コネクタ部31は、電気的に、挿入されたセンサチップ15と電流変化量検知部36との間に位置している。
また、測定メータ30には、コネクタ部31にセンサチップ15の先端が挿入されたことを検出するため、挿入検出部34が設けられている。挿入検出部34として、具体的には、例えば、マイクロスイッチのようなメカニズム部品や、フォトカプラのような光電子部品が挙げられる。挿入検出部34でセンサチップ15の挿入が検出されると、その旨がNFCモジュール35に伝えられる。
NFCモジュール35は、挿入検出部34からセンサチップ15の挿入の旨が伝えられると、情報読み取り用の電波を放射する。この電波は、必然的に、格納ケース10の電子タグ13に向けてなされることになる。これはすでに説明したように、測定メータ30のコネクタ部31にセンサチップ15を銜えさせたとき、測定メータ30は、格納ケース10のごく至近にあり、よって電子タグ15とも至近になっているためである。
NFCモジュール35が情報読み取り用の電波を放射することにより、電子タグ13は、その保持する情報を無線で伝えてくる。NFCモジュール35は、これを捉えて校正処理部37に送る。その情報は、すでに説明したように、例えば、グルコースセンサチップ15が有するグルコース検知感度を校正するのに必要な情報のほか、例えばそのグルコースセンサチップ15の製造管理番号や使用期限である。
電流変化量検知部36は、コネクタ部31に挿入されたグルコースセンサチップ15上で生じさせた試料液の電気化学的反応によって生じる、グルコースセンサチップ15に流れる電流の変化の量をコネクタ部31を介して検知する。その電流変化の原因はすでに説明したとおりである。検知された電流の変化量は校正処理部37に伝えられる。
校正処理部37は、電流変化量検知部36によって検知された電流の変化の量を、NFCモジュール35によって格納ケース10の電子タグ13から得たグルコースセンサチップ15に関する情報に基づいて校正し、試料液のグルコース濃度を求める処理を行う。すでに説明したように、センサチップ15のグルコース検知感度は、例えば製造ロットにより変動し、一定ではない。現行品で、例えば40もの段階にクラス分けされている。
この実施形態では、校正処理部37の校正は、グルコース検知感度を測定メータ30に被験者が手入力することなく情報を捉えて、自動的に行われる。したがって、被験者にとって手入力の手間なく容易に、正しい測定値を得ることができる。校正処理部37によって得られた測定値は、例えば、その測定日時とともに、表示部32に表示され、さらに記憶部38に送られて記憶される。
以上が測定メータ30の基本的な動作であるが、以下、随意的なその他の動作について補足する。電子タグ13に製造管理番号が保持されている場合は、測定メータ30に取り込まれた情報を、医療機関の管理アプリケーション(後述)を経由して、例えば医薬品メーカーにフィードバックできる。これにより、体外診断用医薬品としてのセンサチップ15のトレーサビリティ管理が可能になる。また、使用期限が電子タグ13に保持されている場合は、例えば、センサチップ15を測定メータ30に装着したときに、測定メータ30を介してその期限切れを被験者に報知することができる。さらには、電子タグ13に保持させてある情報によって、格納ケース10の真贋を判定するというような応用も考えられる。
また、測定メータ30は、そのNFCモジュール35を利用すれば、この測定メータ30の側を読み取られる側として機能させることができる。これによれば、例えば、医療機関に備えられた読み取り器でこの測定メータ30を読み取り、その記憶保持された一連のグルコース濃度測定結果を、無線(ケーブルレス)で吸い上げることができる。医療機関の読み取り器は、その接続された管理アプリケーションと一体的に動作するものとしておけば、医療機関と被験者とのコミュニケーションは大いに手間が省ける。医療機関においては、NFCモジュール35による無線の情報通信のため、感染リスクの低減も図れる。
次に、本発明の別の実施形態について、図5、図6を参照して説明する。まず、図5は、図1に示したものとは異なる、本発明の一実施形態であるグルコースセンサチップ格納ケースの構成を概念的に示す斜視図である。図5において、すでに説明した構成要素と同一のものには同一符号を付し、その説明は省略する。
このグルコースセンサチップ格納ケース11Aには、電子タグ13に代えてコード票14が付されている。その余は図1に示したものと同様である。コード票14に含める情報としては、電子タグ13の場合と同様に、グルコースセンサチップ15が有するグルコース検知感度を校正するのに必要な情報のほか、そのグルコースセンサチップ15の製造管理番号や使用期限を挙げることができる。コード票14には、図示すようなバーコードのほか、2次元のコード票(例えばQRコード(登録商標))を利用することができ、さらには、より秘匿性を増すため可視光で読み取れないインクで書かれているなどのものも考えられる。
次に、図6は、図2に示したものとは異なる、本発明の一実施形態であるグルコース濃度測定器システムを概念的に説明する構成図であり、上記図5に示した格納ケース10Aを利用することを前提としたシステムの構成図である。図6において、すでに説明した図中に登場のものと同一のものには同一符号を付しその説明は省略する。
このシステムでは、グルコースセンサチップ携行ケース20Aには、その収容された格納ケース10Aに付されたコード票14を読み取る読取部25が設けられている。読取部25で読み取られた情報は、携行ケース20Aに内蔵されたメモリ部26に送られ保持される。メモリ部26に送られ保持された情報は、さらに、電子タグ27に送られ保持される。電子タグ27は、図2における電子タグ13と同様に、測定メータ30による情報読み取り用の電波の放射により、その保持する情報の無線発信が可能である。
格納ケース10Aに格納されたセンサチップ15を実際に使用するため取り出すときの手順については、ほぼ図2での説明と同様である。すなわち、測定メータ30をセンサチップ15に近づけ、そのコネクタ部31にセンサチップ15の端部(電気接続部側)を挿入、装着し、これにより、センサチップ15と測定メータ30とが電気的に接続される点、および、このとき、測定メータ30との間の無線で電子タグ27が読み取られる点は、同様である。
この実施形態では、携行ケース20Aの読取部14およびメモリ部26を電気的に作動させるため、バッテリ28(例えばボタン電池、乾電池など)を内蔵する必要がある。一方、格納ケース10Aには、電子タグ13が不要で、より安価なコード票14を付すだけで済むため、格納ケース10A自体として安価にすることが可能である。携行ケース20Aは格納ケース10Aを入れ替えれば何度も使用できるため、ある程度継続的な測定を要する被験者の場合、このシステムの方が安価になる可能性がある。
10,10A…グルコースセンサチップ格納ケース、11…箱体、11a…センサチップ取り出し溝、11b…スライドレバー用溝、12…センサチップ押し上げ台、13…電子タグ、14…コード票、15…グルコースセンサチップ、20,20A…グルコースセンサチップ携行ケース、21…収容部、22…収容部ふた側、23…台押し上げ機構、24…スライドレバー、25…読取部、26…メモリ部、27…電子タグ、28…バッテリ、30…グルコース濃度測定メータ、31…コネクタ部、32…表示部、33…操作ボタン、34…挿入検出部、35…NFCモジュール、36…電流変化量検知部、37…校正処理部、38…記憶部。
Claims (3)
- 長矩形板状のグルコースセンサチップを積層状に複数個格納し、該複数のグルコースセンサチップのうちのひとつのグルコースセンサチップをスライドさせて取り出し可能に構成された箱体と、該箱体に取り付けられた、該箱体に格納された前記グルコースセンサチップに関する情報を保持させた電子タグと、を有する格納ケースと、
前記格納ケースを収容可能な携行ケースと、
前記格納ケースからスライドさせた前記グルコースセンサチップの先端部が挿入され得るように構成されたコネクタ部と、該コネクタ部に前記グルコースセンサチップの前記先端部が挿入されたことを検出する検出部と、前記コネクタ部に前記グルコースセンサチップの前記先端部が挿入されたことが前記検出部によって検出されたときに、前記格納ケースの前記電子タグに向けて情報読み取り用の電波を放射するNFCモジュールと、前記コネクタ部に挿入された前記グルコースセンサチップ上で生じさせた試料液の電気化学的反応によって生じる、該グルコースセンサチップに流れる電流の変化の量を前記コネクタ部を介して検知する検知部と、該検知部によって検知された前記電流の変化の量を、前記NFCモジュールによって前記格納ケースの前記電子タグから得た前記グルコースセンサチップに関する前記情報に基づいて校正し、前記試料液のグルコース濃度を求める処理を行う処理部と、を有するグルコース濃度測定メータと
を具備することを特徴とするグルコース濃度測定器システム。 - 前記格納ケースの前記電子タグに保持させてある前記グルコースセンサチップに関する前記情報が、該グルコースセンサチップが有するグルコース検知感度を校正するための情報のほか、該グルコースセンサチップの製造管理番号および使用期限を含む請求項1記載のグルコース濃度測定器システム。
- 長矩形板状のグルコースセンサチップの先端部が挿入され得るように構成されたコネクタ部と、
前記コネクタ部に前記グルコースセンサチップの前記先端部が挿入されたことを検出する検出部と、
前記コネクタ部に前記グルコースセンサチップの前記先端部が挿入されたことが前記検出部によって検出されたときに、前記グルコースセンサチップに関する情報を保持している電子タグが感知可能な情報読み取り用の電波を放射するNFCモジュールと、
前記コネクタ部に挿入された前記グルコースセンサチップ上で生じさせた試料液の電気化学的反応によって生じる、該グルコースセンサチップに流れる電流の変化の量を前記コネクタ部を介して検知する検知部と、
前記検知部によって検知された前記電流の変化の量を、前記NFCモジュールによって前記電子タグから得た前記グルコースセンサチップに関する前記情報に基づいて校正し、前記試料液のグルコース濃度を求める処理を行う処理部と
を具備することを特徴とするグルコース濃度測定メータ。
Priority Applications (1)
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