JP4143716B2 - Age−rage拮抗剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、AGE-RAGE拮抗剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年糖尿病患者数は増加の一途を辿り、1998年の厚生省統計では我が国の推定罹患人口は690 万人、予備軍を含めると1400万人と報告されている。糖尿病患者の生命予後と quality of life (QOL)を直接左右するのは、一次的なインスリン作用不足ではなく、高血糖の結果二次的に起こる全身各部の血管障害すなわち血管合併症である。したがって、糖尿病合併症の成因を明らかにし、また、如何にこれを克服するかを解明することは緊急な解決を要する国民的研究課題である。糖尿病合併症発症・進展に関わる環境因子として、高血糖状態で加速的に形成・蓄積される後期糖化反応生成物 (advanced glycation endproducts: AGE)と、これに応答する細胞側因子として、AGE を特異的に認識する細胞表面レセプター (receptor for AGE: RAGE) が重要な働きをしているとの知見が報告されつつある。
【0003】
AGE とは、グルコースなどの還元糖とタンパク質のアミノ基とが非酵素的に反応し、Shiff 塩基、Amadori 転移化合物を経て形成される不可逆的な架橋物質の総称である。最近の研究では、反応性に富むグリセルアルデヒド(glyceraldehyde)やグリコールアルデヒド(glycolaldehyde)、メチルグリオキザール、グリオキサール、3-デオキシグルコソンといった各種中間代謝産物からもAGE は形成されると言われている。またAGE 形成は、Amadori 転移化合物の酸化的分解やグルコースの自動酸化、さらに脂質の過酸化などによっても生じるとも言われる。生体内には、赤血球膜蛋白、アルブミン、リポプロテイン、アンチトロンビン、トロンボモジュリンなどの血中血漿タンパク質、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどの細胞外基質構成タンパク質など様々なタンパク質や核酸などが存在するが、それらが AGE化することにより機能障害が生ずるものと考えられている。AGE としては、カルボキシメチルリジン、カルボキシエチルリジン、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、イミダゾリウム塩、イミダゾロン、デヒドロイミダゾロン、フルオロリンクなどが同定されているが、これ以外にも未知の構造体を含めて様々な物質の存在も考えられている。
【0004】
AGE は、糖尿病や老化に伴った様々な合併症に関与することが指摘され、モノサイト/マクロファージ、ニューロン、平滑筋細胞、内皮細胞などの細胞表面に発現される受容体などの細胞表面受容体と結合することも知られている。AGE はこうした受容体(レセプター)と相互作用し、様々な生理的及び生物学的作用を生体や細胞に及ぼすと考えられている。AGE は、例えば、内皮細胞に対してはそれを増殖させたり、また透過性や血栓形成を高める。また、モノサイト/マクロファージなどでは、サイトカインの放出を促したり、さらには細胞の増殖、移動、マトリックスの合成に関与する各種ファクターの放出を促したりする。さらに、脈管壁における炎症反応にも関与することも疑われている。
最近本発明者の山本は、ヒト血管細胞で発現するRAGE蛋白に分子多様性があり、これはRAGE遺伝子転写産物のオルタナティブ スプライシングによることを明らかにし、そして、主要分子種の一つが可溶型RAGE蛋白で、膜結合領域を欠くため細胞外に分泌される一方、成熟膜結合型蛋白と同一の細胞外ドメインをもつため、AGE を捕捉しうることを見出した。実際、組み換えヒト可溶型RAGE蛋白を精製しAGE リガンドとの結合実験を行うと、高い親和性で種々のAGE 画分と結合することが立証された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
AGE はその受容体(レセプター)と相互作用し、様々な生理的及び生物学的作用を生体や細胞に及ぼし、その結果、様々な疾患や病気を引き起こしたり、悪化させる働きをしている証拠が明らかにされつつあるので、AGE と RAGE との間の相互作用に影響を与える物質を提供し、様々な疾患や病気の予防や治療、診断をできるようにすることが求められている。特に、上記RAGE蛋白とAGE との間の相互作用を阻害したり、抑制したり、拮抗する物質を提供できれば、様々な疾患や病気の予防や治療、診断に資するものとの期待が集まっている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、RAGEスプライスバリアントのうち、V 領域ドメインを持つものと持たないものとの比較から、AGE 結合領域がV 領域ドメイン内に存在するとの証拠を得て、さらに鋭意研究の結果、リガンド結合部位を同定することに成功し、本発明に至った。
【0007】
本発明は、
〔1〕 Lys-Gly-Ala-Pro-Lys-Lys-Pro-Pro-Gln-Arg-Leu-Glu-Trp-Lys-Leu-Asn (配列表の配列番号:7) 及び Trp-Lys-Leu-Asn-Thr-Gly-Arg-Thr-Glu-Ala-Trp-Lys-Val-Leu-Ser-Pro-Gln-Gly (配列表の配列番号:8) から成る群から選ばれたアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するペプチドあるいはその誘導体又はその塩;
〔2〕 Lys-Gly-Ala-Pro-Lys-Lys-Pro-Pro-Gln-Arg-Leu-Glu-Trp-Lys-Leu-Asn (配列表の配列番号: 7)であるペプチドあるいはその誘導体である上記〔1〕記載の化合物;
〔3〕 Trp-Lys-Leu-Asn-Thr-Gly-Arg-Thr-Glu-Ala-Trp-Lys-Val-Leu-Ser-Pro-Gln-Gly (配列表の配列番号: 8)であるペプチドあるいはその誘導体である上記〔1〕記載の化合物;
〔4〕 上記〔1〕記載の化合物を有効成分として含有することを特徴とする医薬組成物;
〔5〕 上記〔1〕記載の化合物を有効成分として含有し、AGE とRAGEとの間の相互作用を阻害することを特徴とするAGE-RAGE拮抗剤;
【0008】
〔6〕 RAGE含有試料及び/又はRAGE発現細胞に、上記〔5〕記載のAGE-RAGE拮抗剤を接触せしめることを特徴とするAGE-RAGE相互作用の阻害法;
〔7〕 (i) 配列番号:7又は8 のペプチドの存在下あるいは非存在下に、AGE 含有試験試料とRAGEあるいはRAGE発現細胞と接触せしめ、該ペプチドの存在下と非存在下との間で比較を行うことを特徴とするAGE-RAGE相互作用解析法、又は
(ii) (a) 配列番号:7のペプチドあるいは配列番号:8のペプチドの存在下あるいは非存在下に、さらに、(b) グリセルアルデヒド由来AGE あるいはグリコールアルデヒド由来AGE の存在下あるいは非存在下に、試験試料とRAGEあるいはRAGE発現細胞と接触せしめ、該ペプチドの存在下と非存在下との間及びグリセルアルデヒド由来AGE もしくはグリコールアルデヒド由来AGE の存在下あるいは非存在下との間で比較を行うことを特徴とするAGE-RAGE相互作用解析法
であることを特徴とする上記〔6〕記載の阻害法;
〔8〕 RAGE発現細胞が、内皮細胞、血管平滑筋細胞、神経細胞、マクロファージ、リンパ球、網膜血管細胞、網膜神経細胞、歯肉関連細胞、皮膚関連細胞、糸球体細胞、尿細管細胞及び結合組織細胞から成る群から選ばれたものであることを特徴とする上記〔6〕又は〔7〕記載の阻害法;
〔9〕 上記〔1〕記載の化合物を有効成分として含有し、AGE とそのレセプターとの間の相互作用、RAGEの発現量の変化及びAGE 捕捉活性の変化から成る群から選ばれたものに起因した疾患用医薬であることを特徴とする医薬;
〔10〕 糖尿病合併症、老化に付随した各種疾患、アルツハイマー病、動脈硬化症、生体内タンパク質のグリケーション化に起因した疾患あるいは病気の発症及び/又は進展、及び腫瘍の浸潤又は拡散から成る群から選ばれた病的な状態あるいは症状のためのものであることを特徴とする上記〔9〕記載の医薬;及び
〔11〕 糖尿病、糖尿病合併症、糖尿性腎症、糖尿性網膜症、糖尿性血管症、糖尿性細小血管症、腎糸球体硬化症、高脂質アテローム性動脈硬化症、神経細胞毒性、ダウン症候群、頭部外傷に伴う痴呆、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、アミロイドーシス、自己免疫疾患、炎症、腫瘍、癌、男性の勃起不全症、創傷治癒、歯周病、ニューロパシー及び神経の変性症から成る群から選ばれたものの治療及び/又は予防のためのものである上記〔9〕又は〔10〕記載の医薬を提供する。
【0009】
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本明細書において、用語「及び/又は」とは、 (1)併合的接続関係と (2)選択的接続関係の両方が存在することを意味しており、例えば「治療及び/又は予防」の場合では (1)治療及び予防並びに (2)治療又は予防の両方を包含する意味で使用されている。その他においても用語「及び/又は」は同様に (1)併合的接続関係と (2)選択的接続関係の両方を包含する意味で使用されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
本明細書において「可溶型RAGE」とは、糖尿病性合併症と関連の深いReceptor for advanced glycation endproducts (RAGE)に関連したペプチドであって、RAGEのスプライシング バリアントで膜貫通領域を有しないペプチドを指している。該可溶型RAGEは、例えば特願2001-78409号、特願2001-243114 号及び平成13年糖尿病学会(2001年4月16日) で開示のものが挙げられる。該可溶型RAGEは、347 個のアミノ酸残基からなるペプチドであり、そのC 末端側には特徴的な配列Glu-Gly-Phe-Asp-Lys-Val-Arg-Glu-Ala-Glu-Asp-Ser-Pro-Gln-His-Met を有しており、膜貫通型RAGE(膜型RAGE、膜結合型RAGE又は全長型RAGEともいう)に存在する膜貫通ドメインを欠いていることを特徴としている。該可溶型RAGEは、advanced glycation endproducts(AGE) 結合活性を有するか、あるいはAGE とそのレセプターの間の相互作用に阻害あるいは抑制活性を有することが観察されている。典型的には、該可溶型RAGEは、生体内に存在する天然型ペプチド(内在性ペプチドあるいは内因性ペプチド)で、C末端部分の16個のアミノ酸残基においてRAGE蛋白質と異なっているものである。代表的な該可溶型RAGEとしては、配列表の配列番号:1のDNA でコードされて産生されるポリペプチド、例えば配列表の配列番号:2のアミノ酸配列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられる。また、該可溶型RAGEの代表的なものでは、配列表の配列番号:2のアミノ酸配列Glu332〜Met347のうちの少なくとも 1〜16個の連続したアミノ酸残基をそのC 末端側に有し且つAGE 結合活性を有するもの、配列表の配列番号:2のアミノ酸配列Met1〜Val117のうちの少なくとも 1〜117 個の連続したアミノ酸残基をN 末端側に有し且つAGE 結合活性を有するもの、あるいはそれらの特徴を有し且つ配列表の配列番号:2のアミノ酸配列Tyr118〜Gly331に対し少なくとも60% の相同性を有するものなどが挙げられる。可溶型RAGEには、ヒト、チンパンジー、サル、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウサギなどの哺乳動物由来のものも包含されてもよい。本明細書において「RAGE」とは、全長型RAGE、上記可溶型RAGE、その他のAGE 結合活性を有するRAGEのスプライシング バリアントを包含してもよい。
【0011】
本発明の別の態様では、AGE 結合活性を欠失しているが、大部分の全長型RAGEあるいは可溶型RAGEに含まれるアミノ酸配列を有するポリペプチドが提供される。該AGE 結合活性を欠失RAGE類縁体としては、例えばN 末端欠失型RAGE(全長型とC 末端欠失型に存在する第1-101 アミノ酸残基を欠く) などが挙げられる。こうしたポリペプチドを産生するのに利用されるRAGEをコードする核酸は、一本鎖DNA 、二本鎖DNA 、RNA 、DNA:RNA ハイブリッド、合成DNA などの核酸であり、またヒトゲノムDNA 、ヒトゲノミックDNA ライブラリー、ヒト組織・細胞由来のmRNAに相補的なcDNA、合成DNA のいずれであってもよい。該RAGEをコードする核酸の塩基配列は、修飾(例えば、付加、除去、置換など)されることもでき、そうした修飾されたものも包含されてよい。さらには、以下説明するように、該核酸は、本発明においてデザインされたペプチドあるいはその一部をコードするものであってよく、好ましいものとしてはDNA が挙げられる。また該核酸は、AGE 結合活性、AGE とそのレセプターの間の相互作用に着目してデザインされたものあるいは同等の抗原性などのそれと実質的に同等の生物学的活性を有するペプチドをコードするといったそれと同効の塩基配列を含有するものであれば如何なるものであってもよい。ここで「同効の塩基配列」とは、例えばストリンジェントな条件で当該塩基配列のうちの連続した5個以上の塩基配列、好ましくは10個以上の塩基配列、より好ましくは15個以上の塩基配列、さらに好ましくは20個以上の塩基配列とハイブリダイズし、該ペプチドと実質的に同等のアミノ酸配列をコードするものなどが挙げられる。
【0012】
本発明では、遺伝子組換え技術を利用して所定の核酸を単離・配列決定したり、組換え体を作製したり、所定のペプチドを得ることができる。遺伝子組換え技術は、例えば J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd edition)", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995);日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法II」、東京化学同人 (1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA 技術)」、東京化学同人 (1992); R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 68 (Recombinant DNA), Academic Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100 (Recombinant DNA, Part B) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Press, New York (1983); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 153 (Recombinant DNA, Part D), 154 (Recombinant DNA, Part E) & 155 (Recombinant DNA, Part F), Academic Press, New York (1987); J. H. Miller ed., "Methods in Enzymology", Vol. 204, Academic Press, New York (1991); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 218, Academic Press, New York (1993)などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改変法により行うことができる (それらの中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含められる) 。
【0013】
本明細書中、「ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(Polymerase Chain Reaction) 」又は「PCR 」とは、一般的に、米国特許第 4683195号明細書などに記載されたような方法を指し、例えば、所望のヌクレオチド配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法を指している。一般に、PCR 法は、鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることのできる2個のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行うようなサイクルを繰り返し行うことを含むものである。典型的には、PCR 法で用いられるプライマーは、鋳型内部の増幅されるべきヌクレオチド配列に対して相補的なプライマーを使用することができ、例えば、該増幅されるべきヌクレオチド配列とその両端において相補的であるか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列に隣接しているものを好ましく使用され得る。5'端側のプライマーとしては、少なくとも開始コドンを含有するか、あるいは該開始コドンを含めて増幅できるように選択し、また3'端側のプライマーとしては、少なくともストップコドンを含有するか、あるいは該ストップコドンを含めて増幅できるように選択することが好ましい。プライマーは、好ましくは 5個以上の塩基、さらに好ましくは10個以上の塩基からなるオリゴヌクレオチド、より好ましくは18〜25個の塩基からなるオリゴヌクレオチドが挙げられる。プライマーの作製は、当該分野で知られた方法で行うことができ、代表的にはAngew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716-734 (1989) に記載されているような既知の方法、例えば、フォスフォトリエステル法、フォスフォジエステル法、フォスファイト法、フォスフォアミダイト法、フォスフォネート法などの方法により化学合成されることができる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を便利に行うことができることが知られており、例えば、自動化された合成装置、例えば、model 381A DNA synthesizer (Applied Biosystems) などを用いて行うことができる。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はそれ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、イノシンなどの天然においては普通でない塩基あるいはトリチル化された塩基などを含有していてよい。
【0014】
PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができるが、例えば R. Saiki, et al., Science, 230: 1350, 1985; R. Saiki, et al., Science, 239: 487, 1988 ; H. A. Erlich ed., PCR Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995) ; M. A. Innis et al. ed., "PCR Protocols: a guide to methods and applications", Academic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxford (1991); M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998-9002 (1988) などに記載された方法あるいはそれを修飾したり、改変した方法に従って行うことができる。また、PCR 法は、それに適した市販のキットを用いて行うことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者により明らかにされているプロトコルに従って実施することもできる。
得られたPCR 産物は、通常 1〜2% アガロースゲル電気泳動にかけて、特異なバンドとしてゲルから切り出し、例えば、gene clean kit (Bio 101)などの市販の抽出キットを用いてDNA を抽出する。抽出されたDNA は適当な制限酵素で切断し、必要に応じ精製処理したり、さらには必要に応じ5'末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18 などのpUC 系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲーションし、適当なコンピータント細胞を形質転換する。クローニングされたPCR 産物はその塩基配列を解析される。PCR 産物のクローニングには、例えば、p-Direct (Clontech), pCR-Script TM SK(+) (Stratagene), pGEM-T (Promega), pAmp TM (Gibco-BRL)などの市販のプラスミドベクターを用いることが出来る。宿主細胞の形質転換をするには、例えばファージベクターを使用したり、カルシウム法、ルビジウム/カルシウム法、カルシウム/マンガン法、TFB 高効率法、FSB 凍結コンピテント細胞法、迅速コロニー法、エレクトロポレーションなど当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様な方法で行うことができる(D. Hanahan, J. Mol. Biol., 166: 557, 1983 など)。目的とするDNA を単離するためには、逆転写PCR (polymerase chain reaction coupled reverse transcription; RT-PCR) 、RACE (rapid amplification of cDNA ends) を適用することが出来る。RACEは、例えば、M. A. Innis et al. ed., "PCR Protocols" (M. A. Frohman, "a guide to methods and applications"), pp.28-38, Academic Press, New York (1990) などに記載された方法に従って行うことができる。
【0015】
所定の核酸を同定したりするには、ハイブリダイゼーション技術を利用するが、該ハイブリダイゼーションは、所定のDNA をナイロンフィルターなどの膜に転写せしめ、必要に応じ変成処理、固定化処理、洗浄処理などを施した後、その膜に転写せしめられたものを、必要に応じ変成させた標識プローブDNA 断片と、ハイブリダイゼーション用バッファ中で反応させて行われる。ハイブリダイゼーション処理は、普通約35℃〜約80℃、より好適には約50℃〜約65℃で、約15分〜約36時間、より好適には約1 時間〜約24時間行われるが、適宜最適な条件を選択して行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーション処理は、約55℃で約18時間行われる。ハイブリダイゼーション用バッファとしては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、例えば、Rapid hybridization buffer(Amersham)などを用いることができる。転写した膜の変成処理としては、アルカリ変性液を使用する方法が挙げられ、その処理後中和液や緩衝液で処理するのが好ましい。また膜の固定化処理としては、普通約40℃〜約 100℃、より好適には約70℃〜約90℃で、約15分〜約24時間、より好適には約1 時間〜約4 時間ベーキングすることにより行われるが、適宜好ましい条件を選択して行うことができる。例えば、フィルターを約80℃で約2 時間ベーキングすることにより固定化が行われる。転写した膜の洗浄処理としては、当該分野で普通に使用される洗浄液、例えば1M NaCl 、1mM EDTAおよび 0.1% sodium dodecyl sulfate (SDS) 含有 50mM Tris-HC1緩衝液,pH8.0 などで洗うことにより行うことができる。ナイロンフィルターなどの膜としては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、例えば、ナイロンフィルター[ハイボンド(Hybond)-N、Amersham]などを挙げることができる。
【0016】
上記アルカリ変性液、中和液、緩衝液としては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、0.5M NaOH および1.5M NaCl を含有する液などを挙げることができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl 含有 0.5M Tris−HCl 緩衝液,pH8.0 などを挙げることができ、緩衝液としては、例えば、 2×SSPE(0.36M NaCl、20mM NaH2PO4および2mM EDTA)などを挙げることができる。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に応じて転写した膜はプレハイブリダイゼーション処理することが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50% formamide、 5×Denhardt's溶液(0.2 %ウシ血清アルブミン、0.2 % polyvinyl pyrrolidone)、 5×SSPE、0.1 % SDS、100 μg/ml 熱変性サケ精子DNA ]などに浸し、約35℃〜約50℃、好ましくは約42℃で、約 4〜約24時間、好ましくは約 6〜約8 時間反応させることにより行うことができるが、こうした条件は当業者であれば適宜実験を繰り返し、より好ましい条件を決めることができる。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブDNA 断片の変成は、例えば、約70℃〜約100 ℃、好ましくは約100 ℃で、約1 分間〜約60分間、好ましくは約 5分間加熱するなどして行うことができる。なお、ハイブリダイゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法で行うことができるが、本明細書でストリンジェントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、約15〜約50mM、好ましくは約19〜約40mM、より好ましくは約19〜約20mMで、温度については約35〜約85℃、好ましくは約50〜約70℃、より好ましくは約60〜約65℃の条件を示す。
ハイブリダイゼーション完了後、フィルターを十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーション反応をした標識プローブDNA 断片以外の標識プローブを取り除く。フィルターの洗浄処理は、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いて行うことができ、例えば、0.1 % SDS含有 0.5×SSC ( O.15M NaCl、15mM クエン酸)溶液などで洗うことにより実施できる。特異的なハイブリダイゼーション反応をした標識プローブDNA 断片以外の標識プローブを取り除くなどしてから検出処理をすることができる。
【0017】
得られたDNA 断片を、下記で詳しく説明するような適当なベクター、例えば、プラスミドpEX 、pMAMneo 、pKG5などのベクターに組込み、下記で詳しく説明するような適当な宿主細胞、例えば、大腸菌、酵母、CHO 細胞、COS 細胞などで発現させることができる。また、該DNA 断片は、そのままあるいは適当な制御配列を付加したDNA 断片として、または適当なベクターに組込み、そして動物に導入して、所定の遺伝子、例えば、N-末端欠失RAGEを発現するトランスジェニック動物を作成することができる。動物としては、哺乳動物が挙げられ、例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウシなどが挙げられる。好ましくは、マウスなどの動物の受精卵に該DNA 断片を導入して、トランスジェニック動物を作成することができる。外来遺伝子を哺乳動物などの動物細胞に導入する方法としては当該分野で知られた方法あるいはそれと実質的に同様な方法で行うことができ、例えばリン酸カルシウム法(例えば、F. L. Graham et al., Virology, 52: 456, 1973など)、DEAE- デキストラン法(例えば、D. Warden et al., J. Gen. Virol., 3: 371, 1968など)、エレクトロポレーション法(例えば、E. Neumann et al., EMBO J, 1: 841, 1982 など)、マイクロインジェクション法、リボソーム法、ウイルス感染法、ファージ粒子法などが挙げられる。こうして所定の遺伝子をトランスフェクションされた動物細胞の産生する遺伝子産物は、それを解析することもできる。
【0018】
所定の遺伝子など(本発明で得られたDNA など)を組込むプラスミドとしては遺伝子工学的に常用される宿主細胞(例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞宿主、酵母、CHO 細胞、COS 細胞等の真核細胞宿主、Sf21等の昆虫細胞宿主)中で該DNA が発現できるプラスミドであればどのようなプラスミドでもよい。こうした配列内には、例えば選択した宿主細胞で発現するのに好適に修飾されたコドンが含まれていることができるし、制限酵素部位が設けられていることもできるし、目的とする遺伝子の発現を容易にするための制御配列、促進配列など、目的とする遺伝子を結合するのに役立つリンカー、アダプターなど、さらには抗生物質耐性などを制御したり、代謝を制御したりし、選別などに有用な配列(ハイブリドタンパク質や融合タンパク質をコードするものも含む)等を含んでいることができる。好ましくは、適当なプロモーター、例えば大腸菌を宿主とするプラスミドでは、トリプトファンプロモーター(trp) 、ラクトースプロモーター(lac) 、トリプトファン・ラクトースプロモーター(tac) 、リポプロテインプロモーター(lpp) 、λファージ PL プロモーター等を、動物細胞を宿主とするプラスミドでは、SV40レートプロモーター、MMTV LTRプロモーター、RSV LTR プロモーター、CMV プロモーター、SRαプロモーター等を、酵母を宿主とするプラスミドでは、GAL1、GAL10 プロモーター等を使用し得る。
【0019】
大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、例えばpBR322、pUC18 、pUC19 、pUC118、pUC119、pSP64 、pSP65 、pTZ-18R/-18U、pTZ-19R/-19U、pGEM-3、pGEM-4、pGEM-3Z 、pGEM-4Z 、pGEM-5Zf(-) 、pBluescript KS TM 、(Stratagene)などが挙げられる。大腸菌での発現に適したプラスミドベクターとしては、pAS 、pKK223 (Pharmacia)、pMC1403 、pMC931、pKC30 、pRSET-B (Invitrogen)なども挙げられる。動物細胞を宿主とするプラスミドとしては、SV40ベクター、ポリオーマ・ウイルスベクター、ワクシニア・ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが挙げられ、例えばpcD 、pcD-SRα、CDM8、pCEV4 、pME18S、pBC12BI 、pSG5 (Stratagene) などが挙げられる。酵母を宿主とするプラスミドとしては、YIp 型ベクター、YEp 型ベクター、YRp 型ベクター、YCp 型ベクターなどが挙げられ、例えばpGPD-2などが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細胞が大腸菌の場合、例えば大腸菌K12 株に由来するものが挙げられ、例えばNM533 、XL1-Blue、C600、DH1 、DH5 、DH11S 、DH12S 、 DH5α、DH10B 、HB101 、MC1061、JM109 、STBL2 、B834株由来としては、BL21(DE3)pLysSなどが挙げられる。宿主細胞が動物細胞の場合、例えばアフリカミドリザル線維芽細胞由来のCOS-7 細胞、COS-1 細胞、CV-1細胞、マウス線維芽細胞由来のCOP 細胞、MOP 細胞、WOP 細胞、チャイニーズ・ハムスター細胞由来のCHO 細胞、CHO DHFR- 細胞、ヒトHeLa細胞、マウス細胞由来C127細胞、マウス細胞由来NIH 3T3 細胞などが挙げられる。昆虫細胞としては、カイコ核多角体病ウイルス (Bombyx mori nuclear polyhedrosis virus) あるいはそれに由来するものをベクターとし、カイコ幼虫あるいはカイコ培養細胞、例えばBM-N細胞などを用いることが挙げられる。植物細胞を宿主細胞として使用することも可能であり、それに適するベクターと共に、それらは当該分野で広く知られている。
【0020】
本発明のタンパク質をコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、必要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返しクローニングを行うことにより、高い発現能を安定して有する細胞株を得ることができる。例えば、宿主細胞として動物細胞を用いた形質転換体において、dhfr遺伝子を選択マーカーとして利用した場合、MTX 濃度を徐々に上げて培養し、耐性株を選択することにより、本発明のタンパク質をコードするDNA を増幅させ、より高い発現を得られる細胞株を得ることができる。本発明の形質転換体は、本発明のタンパク質をコードする核酸が発現可能な条件下で培養し、目的物を生成、蓄積せしめることができる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている培地中で培養することができる。例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞宿主、酵母などを宿主としている形質転換体は、液体培地を好適に使用することができる。培地中には、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては,例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加してもよい。また、必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えることができる。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0021】
培養は、例えば大腸菌では通常約15〜約45℃で約3〜約75時間行い、必要により、通気や攪拌を加えることもできる。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、たとえば約5〜約20%の胎児牛血清を含むMEM 培地、PRMI1640培地、DMEM培地などが用いられる。pHは約6〜約8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜約40℃で約15〜約72時間行い、必要に応じて通気や攪拌を加える。上記培養細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により粗抽出液を得る方法などを適宜用いることができる。緩衝液の中には尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤や、トリトン X-100(商品名)、ツウィーン-20 (商品名)などの界面活性剤を加えてあってもよい。培養液中に目的生成物が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる目的生成物は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせてその精製を行なうことができ、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、例えばジエチルアミノエチル基あるいはカルボキシメチル基などを持つ担体などを用いたイオン交換クロマトグラフィー法、例えばブチル基、オクチル基、フェニル基など疎水性基を持つ担体などを用いた疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製して得ることができる。好ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、リガンドなどを固定化したアフィニティー・クロマトグラフィーなどで処理し精製分離処理できる。例えば、ゼラチン−アガロース・アフィニティー・クロマトグラフィー、ヘパリン−アガロース・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0022】
遺伝子組換え法で製造する時に融合タンパク質として発現させ、かくして得られた融合タンパク質をその融合部を利用してアフィニティクロマトグラフィーなどで精製することも可能である。こうした融合タンパク質としては、ヒスチジンタグに融合せしめられたもの、あるいは、β- ガラクトシダーゼ(β-gal) 、マルトース結合タンパク (MBP), グルタチオン-S-トランスフェラーゼ (GST)、チオレドキシン (TRX)又は Cre Recombinaseのアミノ酸配列に融合せしめられたものなどが挙げられる。同様に、ポリペプチドは、ヘテロジーニアスなエピトープのタグを付加され、該エピトープに特異的に結合する抗体を用いてのイムノアフィニティ・クロマトグラフィーによる精製をなし得るようにすることもできる。より適した実施態様においては、該エピトープタグとしては、例えば AU5, c-Myc, CruzTag 09, CruzTag 22, CruzTag 41, Glu-Glu, HA, Ha.11, KT3, FLAG (registered trademark, Sigma-Aldrich), Omni-probe, S-probe, T7, Lex A, V5, VP16, GAL4, VSV-G などが挙げられる。(Field et al., Molecular and Cellular Biology, 8: pp.2159-2165 (1988); Evan et al., Molecular and Cellular Biology, 5: pp.3610-3616 (1985); Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6): pp.547-553 (1990); Hopp et al., BioTechnology, 6: pp.1204-1210 (1988); Martin et al., Science, 255: pp.192-194 (1992); Skinner et al., J. Biol. Chem., 266: pp.15163-15166 (1991); Lutz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: pp.6393-6397 (1990)) など。酵母を利用した two-hybrid 法も利用できる。さらに融合タンパク質としては、検出可能なタンパク質となるようなマーカーを付されたものであることもできる。より好適な実施態様においては、該検出可能なマーカーは、ビオチン/ストレプトアビジン系のBiotin Avi Tag、螢光を発する物質などであってよい。該螢光を発する物質としては、オワンクラゲ (Aequorea victorea)などの発光クラゲ由来の緑色螢光タンパク質(green fluorescent protein: GFP)、それを改変した変異体(GFPバリアント) 、例えば、EGFP (Enhanced-humanized GFP), rsGFP (red-shift GFP), 黄色螢光タンパク質 (yellow fluorescent protein: YFP), 緑色螢光タンパク質 (green fluorescent protein: GFP),藍色螢光タンパク質 (cyan fluorescent protein: CFP), 青色螢光タンパク質 (blue fluorescent protein: BFP), ウミシイタケ (Renilla reniformis) 由来のGFP などが挙げられる(宮脇敦史編、実験医学別冊ポストゲノム時代の実験講座3−GFP とバイオイージング、羊土社 (2000年))。また、上記融合タグを特異的に認識する抗体(モノクローナル抗体及びそのフラグメントを含む)を使用して検出を行うこともできる。
【0023】
得られたタンパク質やペプチドは、それを酵素免疫測定法など知られた手法で、適当な担体あるいは固相に結合せしめて固相化することがでる。固相化タンパク質、固相化ペプチドは、便利に結合アッセイや物質のスクリーニングにしようできる。
本発明の一つの態様では、活性化合物及び活性ペプチド(本発明の活性成分)は、ヒト全長型RAGE、ヒト可溶型RAGE、特には配列表の配列番号:2に示されたヒト可溶型RAGEのうち、39-54 位のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するペプチドあるいはその誘導体又はその塩、そして51-68 位のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するペプチドあるいはその誘導体又はその塩のものを含んでいてよい。該ペプチドは、ペプチド模擬物、合成ペプチド、又はペプチド類縁体であり得る。該ペプチドは、天然には見出されない旋光性を有する非天然ペプチド、すなわちD-アミノ酸(D-amino acid)又はL-アミノ酸(L-amino acid)であることもできる。該アミノ酸は、ペプチドの半減期が増加するように、又はペプチドの効力が増大するように、又は生物利用度が増大するように改変された合成アミノ酸によって置換されていてもよい。「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書を通じて、互換的に使用する。該ペプチドは、sRAGE のAGE 結合部位を模擬するのに必要なアミノ酸領域を保持したものが挙げられる。
該ペプチドは、天然のペプチドの誘導体、修飾ペプチド、標識ペプチド、非天然ペプチドを含むペプチドであってもよい。前記ペプチド模擬物は、AGE とRAGEとの相互作用を阻害し得る化合物を決定するためのスクリーニングを実施し、ペプチド模擬物である様々な化合物を含む大規模なライブラリーをスクリーニングすることによって同定することができる。
【0024】
本発明のペプチド又はポリペプチドは、配列番号:7及び8 で表される配列に変化を有していてもよい。本発明のペプチドは、ペプチドの機能にマイナス方向の影響を与えず、ペプチド機能をプラス方向に増加させることができるような変更(例えば、ペプチドの効力を増加させる変更)を配列中に含んでいることができる。該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同等な置換体(変更)としては、そのアミノ酸が属するところのクラスのうちの他のアミノ酸類から選ぶことができうる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、トリプトファン、メチオニンなどが挙げられ、極性(中性)としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられ、陽電荷をもつアミノ酸(塩基性アミノ酸)としては、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられ、陰電荷をもつアミノ酸(酸性アミノ酸)としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。また、L-アラニンをD-アラニンに置き換えたり、L-リジンをD-リジンに置き換えたり、L-リジンをL-アルギニンに置き換えたり、L-バリンをD-バリンに置き換えたりしたものであってもよい。さらには、当業者に周知の化学的改変技術によっても、上記のペプチドはそれが改変(修飾)できることは理解されよう。該ペプチドに加えられる改変(修飾)については、多くの形態のものが知られており、それらは当該分野の基礎的な参考書及びさらに詳細な論文並びに多数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業者に周知である。幾つかのとりわけ常套的な改変・修飾としては、例えばグリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、水酸化及びADP-リボシル化等が挙げられ、例えばT. E. Creighton, Proteins-Structure and Molecular Properties, Second Edition, W. H. Freeman and Company, New York, (1993); B.C.Johnson (Ed.), Posttranslational Covalent Modification of Proteins, Academic Press, New York, (1983) (Wold, F., "Posttranslational Protein Modifications: Perspective and Prospects", pp.1-12); Seifter et al., "Analysis for Protein Modifications and nonprotein cofactors", Meth. Enzymol., 182: 626-646 (1990); Rattan et al., "Protein Synthesis: Posttranslational Modification and Aging", Ann. N. Y. Acad. Sci., 663: p.48-62 (1992)等の記載を参照できる。
【0025】
本発明の配列番号:7又は8 に相当するアミノ酸配列を有するペプチドは、天然に存在する形態に加えて、そのペプチドの機能と同等、又はより強力な、又はよりプラスの機能を有するペプチド類縁体のような他のポリペプチドも含む。該類縁体は、加水分解に対してより安定なもの(それ故、天然のものよりも顕著な、又は長期の効果を有し得る)又は一つ以上の潜在的なO-グリコシル化及び/ 又はN-グリコシル化部位を除去又は付加するように改変されたものが含まれる。
本発明のペプチドは、少なくとも一部分が天然でなくてもよいペプチド模擬化合物であってよい。ペプチド模擬化合物は、当該アミノ酸配列の一部を模擬した小分子であってよい。該化合物は、それを模擬するために、増加した安定性、効力、効果(potency) 、生物学的利用性を有していてよい。さらに、該化合物は、減少した毒性を有していてよい。該ペプチド模擬化合物は、増大した腸粘膜透過性を有していてよい。該化合物は、合成的に調製することができる。本発明の化合物には、L-、D-、DL- 、又は非天然アミノ酸、α,α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸が含まれていてよい。該化合物のペプチド骨格は、PSI-[CH=CH] で置換された少なくとも一つの結合を有してもよい。さらに、該化合物には、トリフルオロチロシン、p-Cl-フェニルアラニン、p-Br-フェニルアラニン、ポリ-L-プロパルギルグリシン、ポリ-D,L-アリルグリシン、あるいはポリ-L-アリルグリシンが含まれていてよい。
【0026】
また、該化合物は、糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症などの糖尿病合併症で問題の血管合併症を抑制する生物学的活性を有するペプチド模擬化合物であり、該化合物は、適切な模擬体で置換された結合、ペプチド骨格、又はアミノ酸成分を有する。適切なアミノ酸模擬物であってよい非天然アミノ酸としては、例えばβ-アラニン、L-α-アミノ酪酸、L-γ-アミノ酪酸、L-α-アミノイソ酪酸、L-ε-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、N-ε-Boc-N-α-CBZ-L-リジン、N-ε-Boc-N-α-Fmoc-L-リジン、L-メチオニンスルフォン、L-ノルロイシン、L-ノルバリン、N-α-Boc-N-δ-CBZ-L-オルニチン、N-δ-Boc-N-α-CBZ-L-オルニチン、Boc-p-ニトロ-L-フェニルアラニン、Boc-ヒドロキシプロリン、Boc-L-チオプロリンなどが挙げられる。
本明細書において、「実質的に同等」とはペプチドの活性、例えば、阻害活性、生理的な活性、生物学的な活性が実質的に同じであることを意味する。さらにまた、その用語の意味の中には、実質的に同質の活性を有する場合を包含していてよく、該実質的に同質の活性としては、AGE とRAGEとの間の相互作用に対する活性、例えば、AGE のいずれか一つに対するAGE-RAGE拮抗活性、膜貫通型RAGEのAGE のいずれか一つに対する結合活性に対して抑制あるいは阻害する活性などを挙げることができる。該実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的に同質であることを示し、例えば、生理的に、薬理学的に、あるいは生物学的に同質であることを示す。例えば、AGE の膜貫通型RAGEに対する結合を阻害する活性などの活性が、同等 (例えば、約 0.001〜約1000倍、好ましくは約0.01〜約100 倍、より好ましくは約 0.1〜約20倍、さらに好ましくは約 0.5〜約2 倍) であることが好ましいが、これらの活性の程度、量的な要素は異なっていてもよい。
【0027】
本発明のペプチドの合成には、当該ペプチド合成分野で知られた方法、例えば液相合成法、固相合成法などの化学合成法を使用することができる。こうした方法では、例えばペプチド合成用樹脂を用い、適当に保護したアミノ酸を、それ自体公知の各種縮合方法により所望のアミノ酸配列に順次該樹脂上で結合させていく。縮合反応には、好ましくはそれ自体公知の各種活性化試薬を用いるが、そうした試薬としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドなどカルボジイミド類を好ましく使用できる。生成物が保護基を有する場合には、適宜保護基を除去することにより目的のものを得ることができる。
本発明のペプチドは、それが遊離型のものとして得られた場合には、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法で塩に変換することができ、またそれらは塩として得られた場合には、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法で遊離型のものあるいは他の塩に変換することができる。
本発明のペプチドの塩としては、生理的に許容されるものあるいは医薬として許容されるものが好ましいが、これらに限定されない。こうした塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との塩、例えば酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマール酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩などが挙げられる。さらに該塩としては、アンモニウム塩、例えばエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ヒドロキシエチルアミンなどの有機塩基との塩なども挙げられる。
【0028】
配列番号:7のペプチド及び配列番号:8のペプチドは、AGE とRAGEとの結合を阻害する活性を有する。特に配列番号:7のペプチドは、グリセルアルデヒド由来AGE とRAGEとの結合を特異的に阻害する活性を有する。また、配列番号:8のペプチドは、グリコールアルデヒド由来AGE とRAGEとの結合を特異的に阻害する活性を有する。かくして、該ペプチドあるいはその誘導体又はその塩は、AGE とそのレセプター(RAGE)との間の相互作用を阻害するのに有用であり、AGE-RAGE拮抗剤として有用である。該AGE-RAGE拮抗剤をRAGE発現細胞に接触せしめることで、AGE-RAGE相互作用を阻害することができる。該RAGE発現細胞としては、真核細胞であってよく、RAGEあるいはそのバリアントを発現しているものが挙げられ、例えば、内皮細胞、平滑筋細胞(例えば、血管平滑筋細胞など)、神経細胞、グリア細胞、ミクログリア細胞、マクロファージ、リンパ球細胞、骨髄細胞、網膜血管細胞、網膜神経細胞、歯肉関連細胞、皮膚関連細胞、糸球体細胞、尿細管細胞、結合組織細胞などが挙げられる。該ペプチドあるいはその誘導体又はその塩は、AGE とそのレセプターとの間の相互作用、可溶型RAGEの発現量の変化及びAGE 捕捉活性の変化から成る群から選ばれたものに起因した疾患用医薬として期待でき、例えば、糖尿病合併症、老化に付随した各種疾患、アルツハイマー病、動脈硬化症、生体内タンパク質のグリケーション化に起因した疾患あるいは病気の発症及び/又は進展、及び腫瘍の浸潤又は拡散などの病的な状態あるいは症状の予防及び/又は治療に有用である。そして、糖尿病、糖尿病合併症、糖尿性腎症、糖尿性網膜症、糖尿性血管症、糖尿性細小血管症、腎糸球体硬化症、高脂質アテローム性動脈硬化症、神経細胞毒性、ダウン症候群、頭部外傷に伴う痴呆、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、アミロイドーシス、自己免疫疾患、炎症、腫瘍、癌、男性の勃起不全症、創傷治癒、歯周病、ニューロパシー及び神経の変性症などの予防及び/又は治療に使用することが期待できる。該ペプチドあるいはその誘導体又はその塩は、(1) 血管内皮細胞増殖制御の破綻を阻害あるいは抑制する作用、(2) プロスタサイクリン産生能の低下を抑制する作用、(3) 血管周皮細胞喪失あるいは減少の阻止あるいは抑制作用、(4) 血管新生の阻害あるいは抑制作用、(5) 血栓形成の阻害あるいは抑制作用、(6) オートクリン血管内皮増殖因子の誘導の阻止あるいは抑制作用、(7) 微小血管内皮細胞の増殖の阻害あるいは抑制作用、(8) 微小血管内皮細胞による管腔形成に対する阻害あるいは抑制作用作用、(9) プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1の亢進の阻害あるいは抑制作用、(10)細胞外マトリックス蛋白産生の亢進を阻害あるいは抑制する作用、(11)血管透過性の亢進の阻害あるいは抑制作用などのいずれかの作用を期待できる。
【0029】
本発明の活性成分〔例えば、配列番号:7及び8 で表される配列に相当するアミノ酸配列を有するペプチドあるいはその誘導体又はその塩等、(b) 本発明を使用して見出された活性物質など〕を医薬として用いる場合、例えばAGE とRAGEとの間の相互作用阻害剤またはそれらの塩等は、通常単独或いは薬理的に許容される各種製剤補助剤と混合して、医薬組成物又は医薬調製物などとして投与することができる。好ましくは、経口投与、局所投与、または非経口投与等の使用に適した製剤調製物の形態で投与され、目的に応じていずれの投与形態(吸入法、あるいは直腸投与も包含される)によってもよい。
また、本発明の活性成分は、糖尿病合併症用剤、動脈硬化症用剤、抗高脂血症剤、抗腫瘍剤(抗がん剤)、腫瘍移転阻害剤、血栓形成阻害剤、アルツハイマー治療剤、関節破壊治療剤、消炎剤及び/又は免疫抑制剤と配合して使用することもでき、それらは、有利な働きを持つものであれば制限なく使用でき、例えば当該分野で知られたものの中から選択することができる。
【0030】
そして、非経口的な投与形態としては、局所、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内もしくは腹腔内投与を包含し得るが、患部への直接投与も可能であり、またある場合には好適でもある。好ましくはヒトを含む哺乳動物に経口的に、あるいは非経口的(例、細胞内、組織内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、胸腔内、脊髄腔内、点滴法、注腸、経直腸、点耳、点眼や点鼻、歯、皮膚や粘膜への塗布など)に投与することができる。具体的な製剤調製物の形態としては、溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤、浸出製剤などが挙げられ、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣を施した剤、丸剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、マイクロカプセル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョン剤、灌注剤、シロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、吸入剤、噴霧剤、軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ剤、パップ剤、クリーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸坐剤)、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、塗布剤、輸液剤、注射用液剤などのための粉末剤、凍結乾燥製剤、ゲル調製品等が挙げられる。
医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤化することができる。例えば、適宜必要に応じて、生理学的に認められる担体、医薬として許容される担体、アジュバント剤、賦形剤、補形剤、希釈剤、香味剤、香料、甘味剤、ベヒクル、防腐剤、安定化剤、結合剤、pH調節剤、緩衝剤、界面活性剤、基剤、溶剤、充填剤、増量剤、溶解補助剤、可溶化剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、粘着剤、弾性剤、可塑剤、崩壊剤、噴射剤、保存剤、抗酸化剤、遮光剤、保湿剤、緩和剤、帯電防止剤、無痛化剤などを単独もしくは組合わせて用い、それとともに本発明のタンパク質等を混和することによって、一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態にして製造することができる。
非経口的使用に適した製剤としては、活性成分と、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る媒体との無菌性溶液、または懸濁液剤など、例えば注射剤等が挙げられる。一般的には、水、食塩水、デキストロース水溶液、その他関連した糖の溶液、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類が好ましい注射剤用液体担体として挙げられる。注射剤を調製する際は、蒸留水、リンゲル液、生理食塩液のような担体、適当な分散化剤または湿化剤及び懸濁化剤などを使用して当該分野で知られた方法で、溶液、懸濁液、エマルジョンのごとき注射しうる形に調製する。
【0031】
注射用の水性液としては、例えば生理食塩液、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)を含む等張液などが挙げられ、薬理的に許容される適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノールなど)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート 80 TM, HCO-50など)などと併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)又は浸透圧調節のための試薬、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、アスコルビン酸などの酸化防止剤、吸収促進剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
【0032】
非経口投与には、界面活性剤及びその他の薬学的に許容される助剤を加えるか、あるいは加えずに、水、エタノール又は油のような無菌の薬学的に許容される液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化される。製剤に使用される油性ベヒクルあるいは溶剤としては、天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジあるいはトリグリセリド類、天然、半合成あるいは合成の油脂類あるいは脂肪酸類が挙げられ、例えばピーナッツ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油などの植物油が挙げられる。例えば、この注射剤は、通常本発明化合物を0.1 〜10重量%程度含有するように調製されることができる。
局所的、例えば口腔、又は直腸的使用に適した製剤としては、例えば洗口剤、歯磨き剤、口腔噴霧剤、吸入剤、軟膏剤、歯科充填剤、歯科コーティング剤、歯科ペースト剤、坐剤等が挙げられる。洗口剤、その他歯科用剤としては、薬理的に許容される担体を用いて慣用の方法により調製される。口腔噴霧剤、吸入剤としては、本発明化合物自体又は薬理的に許容される不活性担体とともにエアゾール又はネブライザー用の溶液に溶解させるかあるいは、吸入用微粉末として歯などへ投与できる。軟膏剤は、通常使用される基剤、例えば、軟膏基剤(白色ワセリン、パラフィン、オリーブ油、マクロゴール400 、マクロゴール軟膏など)等を添加し、慣用の方法により調製される。
【0033】
歯、皮膚への局所塗布用の薬品は、適切に殺菌した水または非水賦形剤の溶液または懸濁液に調剤することができる。添加剤としては、例えば亜硫酸水素ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムのような緩衝剤;酢酸または硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウムまたはクロロヘキシジンのような殺菌および抗真菌剤を含む防腐剤およびヒプロメルローズのような濃厚剤が挙げられる。
坐剤は、当該分野において周知の担体、好ましくは非刺激性の適当な補形剤、例えばポリエチレングリコール類、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等の、好ましくは常温では固体であるが腸管の温度では液体で直腸内で融解し薬物を放出するものなどを使用して、慣用の方法により調製されるが、通常本発明化合物を0.1 〜95重量%程度含有するように調製される。使用する賦形剤および濃度によって薬品は、賦形剤に懸濁させるかまたは溶解させることができる。局部麻酔剤、防腐剤および緩衝剤のような補助薬は、賦形剤に溶解可能である。経口的使用に適した製剤としては、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トローチのような固形組成物や、液剤、シロップ剤、懸濁剤のような液状組成物等が挙げられる。製剤調製する際は、当該分野で知られた製剤補助剤などを用いる。錠剤及び丸剤はさらにエンテリックコーティングされて製造されることもできる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。
【0034】
本発明の活性成分は、検出可能なマーカー物質と結合さたもの(例えば、125Iで放射能ラベルされたもの、又はビオチン化されたもの) として、そのラベルされたものをその受容体を有する細胞、又は組織、及び血液、脳脊髄液、又は尿のような液体試料における検出及び定量に有用な試薬とすることも可能である。
ペプチドのような物質は、投与されるとしばしば体内循環から速やかに除去されるので、比較的短時間においてのみその薬理学的活性を示すこととなる。その結果、治療に有効とする状態を維持するためには、生物活性のある物質を比較的大量且つ頻繁に投与することが必要とされる。ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールの共重合体、及びポリプロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、又はポリプロリンのような水溶性ポリマーを共有結合せしめてそれを修飾した物質は、対応する未修飾の物質と比べて、静脈内投与後の血中においてより長い半減期を示すことが知られている。このような修飾は、水溶液への物質の溶解度を増大させ、凝集を阻止し、物質の物理的及び化学的安定性を増大させ、物質の免疫原性及び反応性も著しく減少させる場合がある。その結果、未修飾の物質に比べてより少ない頻度で、あるいはより少ない用量で、このようなポリマー−物質付加体を投与することによって、所望のインビボ生物活性を達成することができる。
【0035】
ポリエチレングリコール(PEG)は、哺乳動物中で極めて毒性が低いことから、それを結合させることは特に有用である。また、PEG を結合せしめると、異種性化合物の免疫原性及び抗原性を効果的に減少せしめることができる場合がある。該化合物は、マイクロカプセル装置の中に入れて与えてもよい。PEG のようなポリマーは、アミノ末端のアミノ酸のα-アミノ基、リジン側鎖のε-アミノ基、アスパラギン酸又はグルタミン酸側鎖のカルボキシル基、カルボキシ末端のアミノ酸のα-カルボキシル基、又はある種のアスパラギン、セリン又はトレオニン残基に付着したグリコシル鎖の活性化された誘導体に、簡便に付着させることができる。
タンパク質との直接的な反応に適した多くの活性化された形態のPEG が知られている。タンパク質のアミノ基と反応させるのに有用なPEG 試薬としては、カルボン酸、カルボネート誘導体の活性エステル、特に、脱離基がN-ヒドロキシスクシンイミド、p-ニトロフェノール、イミダゾール、又は1-ヒドロキシ-2-ニトロベンゼン-4-スルフォネートであるものが挙げられる。同様に、アミノヒドラジン又はヒドラジド基を含有するPEG 試薬は、タンパク質中の過ヨウ素酸酸化によって生成したアルデヒドとの反応に有用である。
本発明の活性成分は、その投与量を広範囲にわたって選択して投与できるが、その投与量及び投与回数などは、処置患者の性別、年齢、体重、一般的健康状態、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療を行なっている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められる。
【0036】
医薬品製造にあたっては、その添加剤等や調製法などは、例えば日本薬局方解説書編集委員会編、第十四改正 日本薬局方解説書、平成13年6月27日発行、株式会社廣川書店;一番ヶ瀬 尚 他編 医薬品の開発12巻(製剤素剤〔I〕)、平成2年10月15日発行、株式会社廣川書店;同、医薬品の開発12巻(製剤素材〔II〕)平成2年10月28日発行、株式会社廣川書店などの記載を参考にしてそれらのうちから必要に応じて適宜選択して適用することができる。
本発明の活性成分は、AGE の活性、特にはAGE とRAGEとの間の相互作用を抑制あるいは阻害するといった生物学的活性をもつものであれば特に限定されないが、好ましくは有利な作用を持つものが挙げられる。
本発明の活性成分は、AGE とRAGEとの間の相互作用に起因する各種組織あるいは細胞における変化を抑制あるいは阻害するのに有用と期待される。また、該活性成分は、AGE の活性発現の抑制に有用であり、AGE とRAGEとの間の相互作用に起因する障害、異常及び/又は疾患の予防あるいは治療に有用である。また、AGE とRAGEとの間の相互作用が関与する腫瘍細胞などの移動、浸潤、遊走及び/又は転移の制御、例えば抑制に有用であると期待される。
該活性成分は、悪性腫瘍、すなわち、がんの移動、浸潤及び/又は転移の阻止及び/又は抑制するのに有用で、血管形成・新生阻害剤、抗腫瘍剤及び/又はがん転移抑制剤として期待できる。また、血液系細胞の、AGE が関与した障害、異常及び/又は疾患の予防あるいは治療にも有用で、糖尿病合併症治療・予防剤、動脈硬化症治療・予防剤、血栓症治療・予防剤、消炎剤及び/又は免疫抑制剤としても期待できる。さらに、アルツハイマー治療剤、関節破壊治療剤などとしても期待できる。
【0037】
さらに、本発明では、配列番号:7又は8 で表されるアミノ酸配列に基づいて分子設計を施して、AGE とRAGEとの間の相互作用を抑制あるいは阻害する活性を有する物質を得るのに使用できる。こうして得られる物質も本発明の思想の範囲内のものであるし、本発明の活性成分として扱うことができる。該配列から特定の特徴部分を選択し、(i) そのうちの薬理作用団をイソスターで置き換えることによりなされるか、(ii) 構成アミノ酸残基の少なくとも1個をD体のアミノ酸残基に置き換えるか、(iii) アミノ酸残基の側鎖を修飾するか、(iv) 該配列に存在するアミノ酸残基とは異なるアミノ酸残基を配置して連結するか、(v) 立体構造を解析してmimic 体をデザインすることなど、当該分野で採用される技術を駆使して行うことができる(例えば、首藤 紘一 編 医薬品の開発7巻(分子設計)、平成2年6月25日発行、株式会社廣川書店及びそこで引用している文献や論文など) 。そうした技術の一部は、上記で説明したものを含んでいる。
【0038】
本発明の別の態様では、RAGEのAGE 結合領域として、少なくとも二種の領域が存在すること、そして該結合性の点で性質の異なる領域を区別して拮抗する物質が提供できることを示している。したがって、本特徴を利用した、スクリーニング法やアッセイ法、そのための試薬、そして該手法を適用しての特異的なAGE-RAGE拮抗剤もここで提供され、それらすべては本発明の範囲内のものである。
かくして、本発明では、特定のAGE に特異的なAGE-RAGE拮抗剤、そのスクリーニング法、そのための試薬が提供される。例えば、配列番号:7又は8 のペプチドの存在下あるいは非存在下に、AGE 含有試験試料とRAGEあるいはRAGE発現細胞と接触せしめ、該ペプチドの存在下と非存在下との間で比較を行うことを特徴とするAGE-RAGE相互作用解析法が提供できる。
別の態様では、配列番号:7のペプチド(あるいは配列番号:8のペプチド) の存在下あるいは非存在下に、さらに、グリセルアルデヒド由来AGE (あるいはグリコールアルデヒド由来AGE)の存在下あるいは非存在下に、試験試料とRAGEあるいはRAGE発現細胞と接触せしめ、該ペプチドの存在下と非存在下との間及びグリセルアルデヒド由来AGE もしくはグリコールアルデヒド由来AGE の存在下あるいは非存在下との間で比較を行うことを特徴とするAGE-RAGE相互作用解析法が提供できる。該方法では、例えば当該生物学的活性(例えば、AGE とRAGEとの相互作用に関連した活性など)を測定して、比較する。該系内の物質は、必要に応じてフルオレッセインなどの蛍光、酵素や放射性物質で標識したものを使用できるが、そのまま使用することもできる。試験試料としては、例えばタンパク質、ペプチド、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、植物抽出物、動物などの組織抽出物、細胞抽出物などが挙げられる。特には合成化合物などを含んでいてよい。これら化合物は、新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。さらに、本発明の測定方法で測定される試料としては、あらゆる形態の溶液やコロイド溶液、非流体試料などが使用しうるが、好ましくは生物由来の試料、例えば胸腺、睾丸、腸、腎臓、脳、乳癌、卵巣癌、結腸・直腸癌、血液、血清、血漿、関節液、脳脊髄液、膵液、胆汁液、唾液、羊水、尿、その他の体液、細胞培養液、組織培養液、組織ホモジュネート、生検試料、組織、細胞などが挙げられる。該法では、通常の結合活性の測定法に準じて実施することができ、例えば当該分野で公知の方法などを参考にして行うことができる。また、各種標識、緩衝液系その他適当な試薬等を使用したり、そこで説明した操作等に準じて行うことができる。測定は反応に悪影響を与えないような緩衝液等の中で、例えば、pH約4〜約10 (好ましくは、pH約6〜約8)において行うことができる。これら個々のスクリーニングにあたっては、それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、本発明のAGE-RAGE相互作用解析系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる〔例えば、Methods in Enzymology, Academic Press 社 (USA)発行) など参照〕。
【0039】
本発明のさらなる態様では、ヒト全長型RAGE、ヒト可溶型RAGE、特には配列表の配列番号:2に示されたヒト可溶型RAGEのうち、39-54 位あるいは51-68 位のアミノ酸配列に相当する領域を識別しての、AGE-RAGE拮抗法に関する。本拮抗法は、当該領域を実質的に区別しているものであれば如何なる形態でもよく、活性の点で実質的に同等のものは制限なく含まれてよい。該AGE-RAGE拮抗法における実質的に同等の活性とは、当該領域を識別しているといった点で性質的に同質であることを示し、例えば、生理的に、薬理学的に、あるいは生物学的に同質であることを示す。本拮抗法を利用した前記したような疾患あるいは病的な症状の治療も本発明に包含される。AGE の違いに応じて如何なる病気が誘導されるかの解明、そしてその治療法、治療剤の開発に利用できる。
明細書及び図面において、用語は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。
本明細書で使用する略号のうち、アミノ酸に対して慣用的に用いられているものは次のようなものである:
A=Ala=アラニン; R=Arg=アルギニン; N=Asn=アスパラギン;
D=Asp=アスパラギン酸; C=Cys=システイン; Q=Gln=グルタミン;
E=Glu=グルタミン酸; G=Gly=グリシン; H=His=ヒスチジン;
I=Ile=イソロイシン; L=Leu=ロイシン; K=Lys=リシン; M=Met=メチオニン;
F=Phe=フェニルアラニン; P=Pro=プロリン; S=Ser=セリン; T=Thr=トレオニン;
W=Trp=トリプトファン; Y=Tyr=チロシン; V=Val=バリン。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されず、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
なお、以下の実施例において、特に指摘が無い場合には、具体的な操作並びに処理条件などは、DNA クローニングでは J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, "Molecular Cloning", 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor, N. Y. (1989) 及び D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995) ; 特にPCR 法では、H. A. Erlich ed., PCR Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995) 及び M. A. Innis et al. ed., "PCR Protocols", Academic Press, New York (1990)に記載の方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいはキットを用いている場合はそれらに添付の指示書(protocols) や添付の薬品等を使用している。
【0041】
実施例1
〔細胞〕
初代培養ヒト皮膚微小血管内皮細胞は、Cascade Biologics, Inc. (Portland,OR) より入手し、 poly(A)+ RNA 精製には継代数 5-10 の細胞を使用した。
〔ポリソ−ム由来 poly(A)+ RNA の分離〕
組織培養用フラスコで培養したヒト皮膚微小血管内皮細胞を氷冷リン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、セルスクレイパーで細胞を掻きとった。細胞懸濁液を遠心して細胞を沈澱として回収し、0.25M KCl, 10mM MgCl2, 1mM EDTA, 0.25M sucrose (RNase free), 0.1mM DTT, 2mM 4-(2-aminoethyl)-benzenesulfonyl fluoride, 1,000u/ml RNase inhibitor (Ambion, Inc., Austin, TX) を含む10mM Tris-HCl 緩衝液 (pH7.6)で懸濁後、ダウンス型ホモジナイザ−で破砕した。細胞核とミトコンドリアを除去するため細胞破砕液を12,000 x g、15分間遠心し上清を回収した。得られた上清を100,000 x g で 60 分間遠心し、ポリソ−ム画分を沈澱として回収した。得られたポリソ−ム画分より、Quickprep micro mRNA isolation kit (Amersham Pharmacia Biotech) を用いて、 poly(A)+ RNA を精製した。
【0042】
〔可溶型RAGE cDNA の分離〕
ヒト皮膚微小血管内皮細胞ポリソ−ム由来 poly(A)+ RNA を鋳型にoligo(dT) プライマーと AMV由来逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、RAGE遺伝子のエクソン1とエクソン11に対応するプライマー (配列表の配列番号: 3, 5'-GCCAGGACCCTGGAAGGAAGCA-3'; 配列表の配列番号: 4, 5'-CTGATGGATGGGATCTGTCTGTG-3') とTaKaRa La Taq ポリメラ−ゼを用いてRAGE cDNA を増幅した。増幅されたRAGE cDNA はpCR2.1 (Invitrogen) に挿入して大腸菌XL1-Blueを形質転換した。得られた組換え大腸菌コロニー32クローンよりプラスミドDNA を精製し、ABI377シーケンサ−(Aplied Biosystems Inc) を用いて塩基配列決定を行ない、可溶型RAGEをコードするcDNAを得た。
配列決定された可溶型RAGEをコードするcDNAの塩基配列及び該配列のオープン・リーディング・フレームでコードされるアミノ酸配列を、配列表の配列番号:1に示す。また、配列表の配列番号:2には可溶型RAGEのアミノ酸配列を示す。かくして得られた可溶型RAGE(soluble RAGE)は天然型(native)内在性(endogenous)であり、全長型RAGE(full RAGE) 及び膜貫通ドメインを有するRAGE cDNA より人工的に作製された組換え可溶化型RAGEとよばれるもの(US 5864018)とはC 末端部分の16個のアミノ酸(配列番号:2のうちの配列Glu332〜Met347) が異なっている。
【0043】
〔可溶型RAGE発現ベクターの作製〕
可溶型RAGEをコードするcDNAを鋳型として、EcoRI 認識配列を有する5'- プライマー (配列表の配列番号: 5, 5'-GAGAATTCGCCAGGACCCTGGAAGGAAGCA-3')と XbaI 認識配列を有する3'- プライマー (配列表の配列番号: 6, 5'-GATCTAGAGATTGTTGACCATCCCCCCAG-3') を用いて増幅した。増幅されたDNA を精製後、EcoRI とXbaIで消化し、動物細胞発現ベクターpCI-neo vector (Stratagen)の EcoRIとXbaIサイトに挿入した。発現ベクターDNA はQIAGEN社 (Valencia, CA) のプラスミド精製キットにて精製し、塩基配列はABI377シーケンサ−(Aplied Biosystems Inc) を用いて確認した。
【0044】
〔COS 7 細胞への可溶型RAGE発現ベクターの導入とstable transformant の分離〕
可溶型RAGE発現ベクターは、Tfx-20 reagent (Promega Corp., Madison, WI) を用いてCOS 7 細胞へ導入した。発現ベクター導入48時間後に、細胞培養培地にG418(Geneticin) を添加し、2週間後に複数のG418耐性コロニーを得た。得られたクローンは別々に培養し、細胞抽出物および培養培地を抗ヒトRAGE抗体を用いたウエスタンブロットで分析し、可溶型RAGEを高発現しているクローンを選択した。
〔Transformantの培養〕
組織培養用150 mmディッシュを用い、可溶型RAGE過剰発現COS7細胞を5%牛胎児血清及び 500μg/ml G418 含有ダルベッコ変法イーグル培地中で、37℃、5%CO2 の条件下コンフルエントまで培養後、細胞層をPBS (Ca2+/Mg2+-free)で2回洗浄し、培地を完全に取り除いた。続いて無血清ダルベッコ変法イーグル培地中で48時間培養した。その後、培養培地を回収し、10,000 rpmで20分間遠心した上清を0.22μm メンブレンフィルターで濾過し、得られた処理培地から以下の方法に従い可溶型RAGEを精製した。
【0045】
〔可溶型RAGE蛋白の精製〕
処理培地 4L を20 mM Tris-HCl (pH7.4)で平衡化したHiTrap Heparin(カラム体積 3×5 ml、Amersham Pharmacia)に流速3 ml/minでアプライし、75 ml の0.15 M NaCl 含有20 mM Tris-HCl (pH7.4)を用いて流速2 ml/minでカラムを洗浄した。続いて段階的に75 ml の0.3 M, 0.5 M及び1 M NaCl含有20 mM Tris-HCl pH7.4でカラムに結合したheparin 結合性物質を流速2 ml/minで順次溶出させ、5 mlずつ分画した。溶出された可溶型RAGE画分はWestern blottingにより同定した。次いで50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5) で平衡化したRESOURCE S 1 ml カラム (Amersham Pharmacia) に50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5) で5倍に希釈した可溶型RAGE画分を流速1 ml/minでアプライし、3 mlの0.2 M NaCl含有50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液を用い、流速 1 ml/min でカラムを洗浄した。次に5 mlの50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液を用い、流速1 ml/minで0.2 M から1.0 M まで直線的なNaClによる濃度勾配をかけ、カラムに結合した陰イオン物質を順次溶出させ、0.5 mlずつ分画した。可溶型RAGE画分はWestern blottingにより決定した。得られた可溶型RAGE画分を2 mlずつPBS (Ca2+/Mg2+-free)で平衡化したHiTrap脱塩カラム(カラム体積 2×5 ml、Amersham Pharmacia)にアプライし、PBS (Ca2+/Mg2+-free)を用いて流速0.5 ml/minでゲル濾過し、高分子量画分を回収した。その後、必要に応じCentricon YM-3(MILLIPORE) を用いた限外濾過により可溶型RAGE(sRAGE) 濃縮溶液を調製した。
【0046】
精製sRAGE タンパクの純度は100 ngタンパク相当を10%SDS-PAGE により分離後、ゲルの銀染色により評価した。
なお、上記のクロマトグラフは
【数1】
Figure 0004143716
システム (Amersham Pharmacia) を用い、溶出液は230 nm, 280 nmおよび300 nmにおける吸光度を測定してモニターした。
【0047】
〔精製組換え可溶型RAGE蛋白とAGE との結合試験〕
可溶型RAGEのAGE 結合能を表面プラズモン共鳴法によりBIACORE(Biacore, Sweden)を用いて確認した。Sensor chip CM5 (Biacore) にアミノカップリング法を用いて精製可溶型RAGE蛋白を固定化した。グルコースとウシ血清アルブミン(BSA) を無菌的に37℃で12週間インキュベートして調製したAGE-BSA をBIACORE のマイクロ流路系にアナライトとして500 μg/mlの濃度で添加した。その結果、インラインレファランス(コントロールチップ)やイムノグロブリンを固定したチップには全く反応せず、可溶型RAGEを固定したセンサーチップとのみ特異的な結合を示した。
【0048】
実施例2
〔RAGEスプライスバリアントのAGE 結合試験〕
HiTrap NHS-activated カラム(Amersham Pharmacia Biotech)に、該カラムに添付のインストラクションに従ってAGE2-BSAを約20mg/ml ゲルの密度で結合し、AGE アフィニティーカラムを作製した。
結合試験に用いたRAGEスプライスバリアント蛋白は以下のとおり調製した。
全長型およびN 末端欠失型RAGE(全長型とC 末端欠失型に存在する第1-101 アミノ酸残基を欠く) については、それぞれのcDNAを導入した過剰発現COS-7 細胞を破砕緩衝液 (0.25 M sucrose, 50 mM Tris-HCl (pH7.4), 10 mM KCl, 5 mM MgCl2, 1 mM phenylmethylsulfonyl fluoride)中で破砕し、得られた破砕懸濁液を 4℃、600 x g 、5 分間遠心して核を除去した後、さらに 4℃、100,000 x g 、30分間遠心して、膜画分を回収した。得られた全長型およびN 末端欠失型RAGE発現細胞由来膜画分を抽出緩衝液 (20 mM Tris-HCl (pH 7.4), 0.1 M NaCl, 1% 1-O-n-octyl-b-D-glucopyranoside, 1 mM phenylmethylsulfonyl fluoride)で、 4℃、60分間抽出した後、4 ℃、100,000 x g 、30分間遠心して不溶物を除去し、それぞれ粗精製全長型およびN 末端欠失型RAGE画分とした。
【0049】
可溶型RAGEについては、可溶型RAGE cDNA を導入した過剰発現COS-7 細胞の培養上清を回収し、 4℃、20,000 x g、15分間遠心して不溶物を除去し、可溶型RAGE画分とした。つづいて、3 種のスプライスバリアントを共通に認識する抗RAGE抗体を用いたウエスタンブロット分析により各画分に含まれるRAGE蛋白量を検定し、ほぼ等量のRAGE蛋白を含む試料を、平衡化緩衝液(20 mM Tris-HCl (pH 7.4) containing 0.1 M NaCl and 0.5% 1-O-n-octyl-b-D-glucopyranoside)で平衡化したAGE アフィニティーカラムに添加した。カラムを10倍容の平衡化緩衝液で洗浄後、結合した蛋白質を溶出緩衝液(20 mM Tris-HCl (pH 7.4) containing 2 M NaCl and 0.5% 1-O-n-octyl-b-D-glucopyranoside) で溶出した。3 種のスプライスバリアントを共通に認識する抗RAGE抗体を用いたウエスタンブロット分析により、カラムへ添加前の試料、カラムの素通り画分、および溶出画分を解析し、それぞれのバリアントのAGE 結合能を検定した。
その結果,全長型(Full)と可溶型(Soluble) のRAGE蛋白は溶出画分(Bound) に,N 末端欠失型(N-truncated)RAGE 蛋白は素通り画分(Pass through)に回収された(図1)。これは,前二者にあって後者にはない,N 末端免疫グロブリンV 領域様ドメインがAGE 結合能をもつことを示す。
【0050】
実施例3
〔オリゴペプチドの合成と競合試験〕
表面プラスモン共鳴法によるペプチド拮抗アッセイにより,RAGE蛋白上のAGE 結合部位を決定した。
すなわち、ヒトRAGE N末端イムノグロブリン様V 領域をカバーする V-N1, V-N2, V-C1, V-C2 の4 種類のオリゴペプチド:
V-N1, KGAPKKPPQRLEWKLN 39-54 (配列表の配列番号: 7)
V-N2, WKLNTGRTEAWKVLSPQG 51-68 (配列表の配列番号: 8)
V-C1, SPQGGGPWDSVARVLPNGSL 65-84 (配列表の配列番号: 9)
V-C2, PNGSLFLPAVGIQDEGIFR 80-98 (配列表の配列番号: 10)
(上式中、1文字表記のアミノ酸配列の次に示した数字は、配列番号: 2 のアミノ酸配列上のアミノ酸残基の位置を示す) を合成し、アッセイ前にAGE とそれぞれのペプチドを2 時間プレインキュベーションすることで、RAGEとの結合阻害活性を示す特定ペプチドを同定した。
【0051】
具体的には、アミノカップリング法で精製可溶型RAGE蛋白を固定したセンサーチップCM5 を10 mM HEPES (pH 7.4)、0.15 M NaClで平衡化後,25℃流速20 ml/min の条件下で 50 mg/ml のAGE をインジェクトし,BIAcore 2000システム(ビアコア、東京)を用いて質量変化を調べた。センサーチップの再生には、10 mM NaOH、0.5% SDS溶液を用いた。結果を図2〜7に示す。
その結果、グリセルアルデヒド由来AGE-2 とRAGEとの結合は,オリゴペプチド V-N1 によって濃度依存的に阻害されたが(図2) 、V-N2、V-C1、V-C2によっては影響をうけなかった(図3及び4) 。一方,グリコールアルデヒド由来 AGE-3とRAGEとの結合はV-N2により阻害されたが(図6) 、V-N1、V-C1、V-C2によっては影響されなかった(図5及び7) 。したがって,RAGE蛋白上のAGE 結合領域は、免疫グロブリンV 領域様ドメインのN 末端側半分に存在し、さらに、AGE-2 はV-N1、AGE-3 はV-N2とリガンドにより異なる結合部位をもつことが推定された。上記でAGE-2 (AGE2)とは、グリセルアルデヒド由来AGE(Watkins NG, Thorpe SR, Baynes JW: J. Biol. Chem. 260, 10629-10636,1985; Acharya AS, Cho YJ, Manjula BN: Biochemistry 27, 4522-4529, 1988; Bai Y, Ueno H, Manning JM: J. Protein Chem. 8, 299-315, 1989; Syrovy I, J. Biochem. Biophys. Methods 28, 115-121, 1994)であり、AGE-3 とは、グリコールアルデヒド由来AGE(Namiki M, Hayashi T: J. Argric. Food Chem. 23, 487-491, 1975; Acharya AS, Manning JM: Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80, 3590-3594, 1983; Glomb MA, Monnier VM: J. Biol. Chem. 270, 10017-10026, 1995)である。また、グルコース由来AGE(Brownlee M, Cerami A, Vlassara H: N. Eng. J. Med. 318, 1315-1321,1988) を使用しての測定も実施可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、AGE-RAGE拮抗剤として有用な物質が提供され、それにより糖尿病合併症の予防・進展防止用の薬剤が提供できる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
【0053】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 AGE アフィニティーカラムへのRAGEスプライスバリアントの結合性を示すため、素通り(Pass through)・溶出(Bound) 画分をポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)した後RAGE抗体を用いてウェスタン分析した結果を示す。
【図2】ペプチド拮抗阻害アッセイの結果を示す。合成ペプチドV-N1とグリセルアルデヒド由来AGE(50μg/ml)を横軸に示すモル比で2 時間プレインキュベーション後,表面プラスモン共鳴を測定した。
【図3】ペプチド拮抗阻害アッセイの結果を示す。合成ペプチドV-N2とグリセルアルデヒド由来AGE(50μg/ml)を横軸に示すモル比で2 時間プレインキュベーション後,表面プラスモン共鳴を測定した。
【図4】ペプチド拮抗阻害アッセイの結果を示す。合成ペプチドV-C1あるいはV-C2とグリセルアルデヒド由来AGE(50μg/ml)を横軸に示すモル比で2 時間プレインキュベーション後,表面プラスモン共鳴を測定した。
【図5】ペプチド拮抗阻害アッセイの結果を示す。合成ペプチドV-N1とグリコールアルデヒド由来AGE(50μg/ml)を横軸に示すモル比で2 時間プレインキュベーション後,表面プラスモン共鳴を測定した。
【図6】ペプチド拮抗阻害アッセイの結果を示す。合成ペプチドV-N2とグリコールアルデヒド由来AGE(50μg/ml)を横軸に示すモル比で2 時間プレインキュベーション後,表面プラスモン共鳴を測定した。
【図7】ペプチド拮抗阻害アッセイの結果を示す。合成ペプチドV-C1あるいはV-C2とグリコールアルデヒド由来AGE(50μg/ml)を横軸に示すモル比で2 時間プレインキュベーション後,表面プラスモン共鳴を測定した。

Claims (3)

  1. Trp-Lys-Leu-Asn-Thr-Gly-Arg-Thr-Glu-Ala-Trp-Lys-Val-Leu-Ser-Pro-Gln-Gly (配列表の配列番号 :8) のアミノ酸配列で表されるペプチド又はその塩であって、後期糖化反応生成物 (AGE) とそのレセプター (RAGE) との間の相互作用を阻害するものであることを特徴とするペプチド又はその塩を有効成分として含有し、後期糖化反応生成物(AGE)とそのレセプター(RAGE)との間の相互作用を阻害することを特徴とするAGE-RAGE拮抗剤。
  2. RAGE含有試料及び/又はRAGE発現細胞に、請求項記載のAGE-RAGE拮抗剤を接触せしめることを特徴とするAGE-RAGE相互作用の阻害法(人の治療方法は除く)。
  3. RAGE発現細胞が、内皮細胞、血管平滑筋細胞、神経細胞、マクロファージ、リンパ球、網膜血管細胞、網膜神経細胞、歯肉関連細胞、皮膚関連細胞、糸球体細胞、尿細管細胞及び結合組織細胞から成る群から選ばれたものであることを特徴とする請求項記載の阻害法。
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