JP4143418B2 - シート材判別装置、及びシート材判別方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート材の種類を判別するシート材判別装置、及び該シート材判別装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、シート材の種類を自動判別するためのシート材判別装置が、様々な技術分野で注目されている。以下、その一例として、用紙の種類を判別する用紙種類判別装置について説明する。
【0003】
インクジェットプリンタ等に用いる用紙の種類は年々増えてきている。例えば、昨今のインクジェットプリンタ市場においては、デジタルカメラの普及等により写真画質の印刷に対するニーズが高まって来ていてフォト光沢紙の利用が増えてきている。また、OHP用紙やコート紙や普通紙等も使用されている。
【0004】
このインクジェットプリンタにおいては、印刷時に用紙の種類を設定する必要があるが、その設定を行うことが煩雑であり、設定を間違うと印刷画像品質が悪くなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、用紙種類判別装置をインクジェットプリンタに搭載して、自動的に用紙の種類を判別し、その判別結果に基き印刷を行うようにする技術が注目されており、照射源から用紙に光を照射し、用紙の種類により反射光、散乱光あるいは透過光に違いが生じることを利用してその用紙の種類を判別するようにした光学的方法が提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−40227号公報
【特許文献2】
特開2000−301805号公報
【特許文献3】
特開2001−63870号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような光学的検知方法を用いる場合は、照射源、及び反射光、散乱光、透過光を検出するレンズなどの検出手段を必要とするため、当該用紙検出装置を構成する部品数が多くなるという欠点があった。
【0008】
そこで、本発明では、レンズなどの光学部品を用いることなく判別が可能なシート材判別装置、及び該シート材判別装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、本願の請求項1に係る発明は、画像形成用のシート材の種類を判別するシート材判別装置であって、振動を発生させる第1及び第2の振動発生素子と、該第1及び第2の振動発生素子から発生されて前記シート材を伝播してきた振動を検出する振動検出素子と、該振動検出素子の検出信号に基づき前記シート材の種類を判別する判別手段と、を備え、前記第1及び第2の振動発生素子と前記振動検出素子は、前記第1の振動発生素子と前記振動検出素子との距離aと、前記第2の振動発生素子と前記振動検出素子との距離bと、が互いに異なるように配置され、前記振動検出素子は、前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を変化させた場合にシート材内で干渉する振動を検出し、前記判別手段は、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が極大値をとるときの周波数、又は極小値をとるときの周波数の少なくとも一方、に基づいてシート材を判別することを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項3に係る発明は、画像形成用のシート材の種類を判別するシート材判別装置であって、振動を発生させる第1及び第2の振動発生素子と、該第1及び第2の振動発生素子から発生されて前記シート材を伝播してきた振動を検出する振動検出素子と、該振動検出素子の検出信号に基づき前記シート材の種類を判別する判別手段と、を備え、前記第1の振動発生素子と前記振動検出素子との距離をa、前記第2の振動発生素子と前記振動検出素子との距離をbとした場合、前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を同一かつ一定とし、前記距離aと前記距離bとの差a−bを変化させることでシート材内で発生する干渉する振動を前記振動検出素子で検出し、前記判別手段は、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が極大値をとるときの前記差a−b、又は極小値をとるときの前記差a−bの少なくとも一方に基づいて、シート材を判別することを特徴とする。
【0011】
さらに、本願の請求項6に係る発明は、振動を発生させる第1及び第2の振動発生素子、及び該第1及び第2の振動発生素子から発生されて前記シート材を伝播してきた振動を検出する振動検出素子を用いて画像形成用のシート材の種類を判別するシート材判別方法であって、前記第1及び第2の振動発生素子、及び振動検出素子は、前記第1の振動発生素子と前記振動検出素子との距離aと前記第2の振動発生素子と前記振動検出素子との距離bとが互いに異なるように配置されており、前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を変化させる工程と、前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を変化させることでシート材内で発生する干渉する振動を振動検出素子で検出する工程と、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が極大値をとるときの周波数、又は、極小値をとるときの周波数の少なくとも一方、に基づいてシート材を判別する工程と、を有することを特徴とする。
さらに、本願の請求項8に係る発明は、振動を発生させる第1及び第2の振動発生素子、及び該第1及び第2の振動発生素子から発生されて前記シート材を伝播してきた振動を検出する振動検出素子を用いて画像形成用のシート材の種類を判別するシート材判別方法であって、前記第1の振動発生素子と前記振動検出素子との距離をa、前記第2の振動発生素子と前記振動検出素子との距離をbとした場合、前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を同一かつ一定とし、前記距離aと前記距離bとの差a−bを変化させることでシート材内で発生する干渉する振動を前記振動検出素子で検出する工程と、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が極大値をとるときの前記差a−b、又は極小値をとるときの前記差a−bの少なくとも一方に基づいてシート材を判別する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図9を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
本実施の形態に係るシート材判別装置は、シート材の種類を判別するための装置であって、図1に例示するように、振動を発生させる複数の振動発生素子1と、該振動発生素子1により発生されシート材Pを伝播してきた振動を検出する振動検出素子2と、該振動検出素子2の検出信号に基きシート材Pの種類を判別する判別手段3と、を備えている。
【0014】
この場合、振動発生素子1には、交流電圧を発生させる電源4を接続しておくと良く、その周波数を任意に変えられるようにしておくと良い(詳細は後述)。また、上述した振動検出素子2には、その検出信号を増幅する増幅器(不図示)や、他の信号処理装置を接続し、さらに前記判別手段3を接続しておくと良い。
【0015】
なお、前記振動発生素子1や振動検出素子2は一定の荷重(該素子をシート材に密着させるための荷重)をかけておくと良い。
【0016】
ここで、
・ 図1や図2に示すように、前記複数の振動発生素子1及び前記振動検出素子2をシート材Pの一面(つまり、一側の面)に接触させても、
・ 図3に示すように、前記複数の振動発生素子1をシート材の一面に接触させ、前記振動検出素子2をシート材の他面(つまり、他側の面)に接触させても、・ 図4に示すように、少なくとも1つの振動発生素子1及び少なくとも1つの振動検出素子2をシート材の一面に接触させ、少なくとも1つの振動発生素子1をシート材の他面に接触させても、
良い。なお、前記複数の振動発生素子1及び前記振動検出素子2をシート材Pの表裏両面にそれぞれ配置しても良い。その場合は、シート材の表裏検知も精度良くできる。
【0017】
シート材の判別のためには、
・ 振動発生素子1にて発生させる振動の周波数(以下“振動周波数”とする)を変化させていく方法と、
・ 振動発生素子1と振動検出素子2との位置関係を変化させていく方法と、
を用いることができる。以下、これらの方法について詳細に説明する。
【0018】
振動発生素子1の振動周波数を変化させていく場合、
・ 一の振動発生素子1と振動検出素子2との距離aと、他の振動発生素子1と振動検出素子2との距離b(振動発生素子1と振動検出素子2とのシート材Pに沿った距離をいう。図3等のように振動発生素子1と振動検出素子2とがシート材Pの別々の側にそれぞれ配置されているような場合にはシート材Pに投影したときの投影距離に相当する。)とは異なるように設定しておき、
・ 各振動発生素子1の振動周波数を変化させた場合における前記振動検出素子2の検出信号に基きシート材を判別する、
ようにすれば良い。なお、振動周波数を変化させる過程において各振動発生素子1の振動周波数は等しくしておくと良い。ここで、各振動発生素子1が振動を発生させると、それらの振動はシート材中を伝播する過程で干渉するが、その干渉が振動検出素子2によって検出され、その検出信号の振幅は振動周波数に応じて変化する。例えば、振動発生素子1や振動検出素子2を図1に示すように配置した場合、振動発生素子1にて発生した振動がシート材中を伝播し、シート材の対向面で反射して振動検出素子2に到達するが、振動検出素子2の検出信号の振幅は図5に示すような挙動を示す。つまり、
・ 受信強度極大条件(式1参照)を満たす周波数では、2つの振動発生素子1にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り(式2参照)、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす周波数では、2つの振動発生素子1にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
ところで、図5のような特性曲線において、
・ 前記検出信号が一の極大値を示すときの周波数と他の極大値を示すときの周波数との差(周波数差)や、
・ 前記検出信号が一の極小値を示すときの周波数と他の極小値を示すときの周波数との差(周波数差)や、
・ 前記検出信号が一の極大値を示すときの周波数と一の極小値を示すときの周波数との差(周波数差)
は、シート材中における振動の伝播速度(つまり音速)やシート材の厚さに応じて異なることから、上記判別手段3にて上記周波数差を求めてシート材の厚さを加味することによりシート材の材質を求めることができる。なお、シート材が、複数の層からなる多層構造のものである場合、振動の反射は各層界面で起こるため、受信強度の周波数依存性はシート材の各層の音速(v)および各層の厚さ(t1、t2、、、)により変化し、振動の干渉ピークの周波数差はその種類のシート材特有の値となる。このことよりシート材の種類を識別することができる。
【0022】
また、振動発生素子1と振動検出素子2との位置関係を変化させていく場合、
・ 全ての振動発生素子1の振動周波数は同一かつ一定とし、
・ 前記振動発生素子1又は前記振動検出素子2を移動させた場合における前記振動検出素子2の検出信号に基きシート材を判別する、
ようにすると良い。ここで、図6は、振動発生素子1を移動させる様子を示す模式図であり、図7は、振動検出素子2を移動させる様子を示す模式図である。なお、素子1,2の移動を開始する前の段階で、上記距離(つまり、一の振動発生素子1と前記振動検出素子2との距離a、及び他の振動発生素子1と前記振動検出素子2との距離b)は等しく設定されていても、異なるように設定されていても良い。ここで、各振動発生素子1が振動を発生させると、それらの振動はシート材中を伝播する過程で干渉するが、その干渉が振動検出素子2によって検出され、その検出信号の振幅は上記距離の差「a−b」に応じて変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす「a−b」の値では、2つの振動発生素子1にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす「a−b」の値では、2つの振動発生素子1にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0023】
ところで、その特性曲線において、
・ 前記検出信号が一の極大値を示すときの値と他の極大値を示すときの値との差や、
・ 前記検出信号が一の極小値を示すときの値と他の極小値を示すときの値との差や、
・ 前記検出信号が一の極大値を示すときの値と一の極小値を示すときの値との差
は、シート材中における振動の伝播速度(つまり音速)やシート材の厚さに応じて異なることから、上記判別手段3にて上記差を求めてシート材の厚さを加味することによりシート材の材質を求めることができる。
【0024】
ところで、上述した振動発生素子1には
・ ある特定の方向へのみ進行する表面弾性波を誘起するものを用いても、
・ 広い範囲の方向に進行する振動を誘起するものを用いても、
良い。また、振動検出素子2には、
・ ある特定の方向からの表面弾性波を検出するものを用いても、
・ 広い範囲の方向からの振動を検出するものを用いても、
良い。
【0025】
ここで、ある特定の方向に進行する弾性波を誘起或いは検出する振動発生素子1や振動検出素子2は、図8に詳示するように、圧電体Aと電極B1,B2とによって構成すれば良い。また、圧電体Aはシリコン基板C等に支持させれば良く、その形成にはスパッタ法やCVD法やレーザーアブレーション法等を用いると良い。さらに、圧電体Aには酸化亜鉛PZTを用いると良い。電極B1,B2としては、互いに対向するように配置した櫛形電極が好ましい。この電極B1,B2は圧電体Aの表面に形成すると良く、フォトリソグラフィー法やエッチング処理等を用いることにより電極B1,B2と圧電体Aとが同一表面を呈するようにすると良い。これらの電極B1,B2は、金や白金等で形成すると良い。
【0026】
これに対して、広い範囲の方向からの弾性波を誘起或いは検出する振動発生素子10や振動検出素子20は、図9に詳示するように、圧電体Dと、該圧電体Dの両面(対向する二面)に形成された電極E1,E2と、によって構成すると良い。圧電体Dにはチタン酸ジルコン酸亜鉛やチタン酸バリウム、酸化亜鉛などの酸化物セラミクスを用いると良い。電極E1,E2は、金や白金や銀等の金属(又はそれらを含む合金)で形成しても、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)や酸化亜鉛などの酸化物電極で形成しても良い。そして、一方の電極E2には、シート材に接触させる部位Fを取り付けると良く、該部位Fは耐磨耗性に富んだ材料で構成すると良い。また、該部位Fは、弾性波の伝播方向を広い範囲にするために球面にすると良い。なお、上述した圧電体Dや電極E1,E2の替わりに、磁歪素子とコイル、永久磁石とコイル、またはモーターとクランプ等を用いてもよい。
【0027】
ところで、振動発生素子を少なくとも1つ配置し、振動検出素子を複数配置して、該振動検出素子の検出信号に基き判別手段がシート材の種類を判別するようにしても良い。
【0028】
この場合、
・ 前記振動発生素子及び前記複数の振動検出素子がシート材の一面に接触されていても、
・ 前記複数の振動検出素子がシート材の一面に接触され、前記振動発生素子がシート材の他面に接触されていても、
・ 少なくとも1つの振動発生素子及び及び少なくとも1つの振動検出素子がシート材の一面に接触され、少なくとも1つの振動検出素子がシート材の他面に接触されていても、
良い。なお、前記振動発生素子及び前記複数の振動検出素子をシート材の表裏両面にそれぞれ配置し、シート材の表裏検知を行うようにしても良い。
【0029】
シート材を判別する方法としては、一の振動検出素子と前記振動発生素子との距離、及び他の振動検出素子と前記振動発生素子との距離を異なるように設定し、前記振動発生素子にて発生させる振動の周波数を変化させた場合における前記複数の振動検出素子の検出信号に基きシート材を判別する方法を取ることができる。その場合、前記判別手段は、前記検出信号が一の極大値を示すときの周波数と他の極大値を示すときの周波数との差、前記検出信号が一の極小値を示すときの周波数と他の極小値を示すときの周波数との差、或いは、前記検出信号が一の極大値を示すときの周波数と一の極小値を示すときの周波数との差に基きシート材を判別すれば良い。
【0030】
また、別のシート材判別方法としては、前記振動発生素子から一定周波数の振動を発生させ、前記振動発生素子又は前記振動検出素子を移動させた場合における前記複数の振動検出素子の検出信号に基きシート材を判別する方法を取ることができる。その場合、前記判別手段は、前記検出信号が一の極大値を示すときの値と他の極大値を示すときの値との差、前記検出信号が一の極小値を示すときの値と他の極小値を示すときの値との差、或いは、前記検出信号が一の極大値を示すときの値と一の極小値を示すときの値との差に基きシート材を判別すれば良い。なお振動発生素子としては表面弾性波を発生させる素子を用いることができ、振動検出素子としては表面弾性波を検出する素子を用いることができる。
【0031】
なお、上述した構成のシート材判別装置によって用紙の種類、すなわち、普通紙、OHPシート、コート紙(表面にアルミナ等がコートしてある用紙)、光沢紙等の別を判別すれば良い。そして、このシート材判別装置を画像形成装置に組み込んで記録媒体である印字用紙の種類を判別するようにすると良い。
【0032】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0033】
本実施の形態によれば、レンズなどの光学部品を用いることなく簡単な装置でシート材の判別が可能となる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例に関して具体的に説明する。
【0035】
(実施例1)
本実施例では、図1に示すように、2個の表面弾性波発生素子(振動発生素子)1と1個の表面弾性波検出素子(振動検出素子)2とを用紙(シート材)Pの一面に接触させた。なお、2個の表面弾性波発生素子1の間に表面弾性波検出素子2を配置し、用紙との接触ポイントが一直線上になるようにした。また、本実施例における表面弾性波発生素子1や表面弾性波検出素子2は、図8に詳示する構造とした。さらに、表面弾性波発生素子1には高周波発生装置(電源)4を接続し、表面弾性波検出素子2には判別部(判別手段)3を接続した。
【0036】
次に、本実施例で用いる表面弾性波発生素子1及び表面弾性波検出素子2の作製方法を図10に沿って説明する。
【0037】
まず、シリコン基板C上にスパッタ法により圧電体Aである酸化亜鉛を約10μm成膜する(図10(a) 参照)。
【0038】
次に、この酸化亜鉛膜Aの表面にリソグラフィー法によってレジストRを形成する。このレジストRには図10(b) に示すように櫛歯状をした溝部を一対形成しておいて、この溝部に相当する部分だけ酸化亜鉛膜Aを露出させておく。そして、約33%に希釈した酢酸を用いて、酸化亜鉛膜Aを300nmの厚さだけエッチングをする。その後、Pt電極をスパッタ法によって約300nmの厚さに形成し、アセトン等の有機溶媒を用いてレジストRを取り除く。これにより、図10(c) に示すように、一対の櫛歯形状をした電極B1,B2が酸化亜鉛膜Aに形成された。なお、表面弾性波発生素子1及び表面弾性波検出素子2のサイズは8mm×10mm×0.8mm程度とした。
【0039】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0040】
いま、高周波発生装置4から表面弾性波発生素子1に交流信号(交流電圧)を印加すると、その表面弾性波発生素子1は表面弾性波(交流信号に対応した周波数の表面弾性波)を発生させる。その表面弾性波は用紙表面を伝播した後に表面弾性波検出素子2により検出される。
【0041】
各表面弾性波発生素子1からの表面弾性波は干渉し合うが、高周波発生装置3により交流信号の周波数を2MHzから5MHzまで変化させていくと、表面弾性波検出素子2にて検出される信号の振幅は図11に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす周波数では、2つの表面弾性波発生素子1にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす周波数では、2つの表面弾性波発生素子1にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0042】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0043】
(実施例2)
本実施例では、図7に示すように、2個の表面弾性波発生素子1と1個の表面弾性波検出素子2とを用紙(シート材)の一面に接触させた。なお、2個の表面弾性波発生素子1の間に表面弾性波検出素子2を配置し、用紙との接触ポイントが一直線上になるようにした。また、一方の表面弾性波発生素子1と表面弾性波検出素子2との距離aと、他方の表面弾性波発生素子1と表面弾性波検出素子2との距離bとは10mmとし、表面弾性波検出素子2は駆動機構によって(表面弾性波発生素子1を結ぶ直線上を)移動できるようにした。ところで、表面弾性波発生素子1及び表面弾性波検出素子2は実施例1と同一のものを使用した。
【0044】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0045】
いま、各表面弾性波発生素子1から2MHzの周波数の表面弾性波を発生させると、それらの表面弾性波は用紙表面を伝播し干渉し合った後に表面弾性波検出素子2により検出される。この状態で表面弾性波検出素子2を初期位置から1〜5mm離れた部分を移動させると、表面弾性波検出素子2にて検出される信号の振幅は図12に示すように変化する。
【0046】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0047】
(実施例3)
本実施例では、図6に示すように、2個の表面弾性波発生素子1と1個の表面弾性波検出素子2とを用紙(シート材)の一面に接触させた。なお、2個の表面弾性波発生素子1の間に表面弾性波検出素子2を配置し、用紙との接触ポイントが一直線上になるようにした。また、一方の表面弾性波発生素子1と表面弾性波検出素子2との距離aと、他方の表面弾性波発生素子1と表面弾性波検出素子2との距離bとは10mmとし、一方の表面弾性波発生素子1は駆動機構によって(表面弾性波発生素子1を結ぶ直線上を)移動できるようにした。ところで、表面弾性波発生素子1及び表面弾性波検出素子2は実施例1と同一のものを使用した。
【0048】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0049】
いま、各表面弾性波発生素子1から2MHzの周波数の表面弾性波を発生させると、それらの表面弾性波は用紙表面を伝播し干渉し合った後に表面弾性波検出素子2により検出される。この状態で表面弾性波発生素子1を0〜5mmの範囲で移動させると、表面弾性波検出素子2にて検出される信号の振幅は図13に示すように変化する。
【0050】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0051】
(実施例4)
本実施例では、広い範囲の方向に進行する振動を誘起する振動発生素子10や、広い範囲の方向からの振動を検知する振動検出素子20を用いた。それらの素子10,20の構成は図9に示す通りとした。すなわち、チタン酸ジルコン酸鉛セラミクス製の圧電体Dを用い、該圧電体Dの対向する二つの面に白金ペーストによる電極E1,E2を形成した。なお、圧電体Dは、直方体とし、厚み(電極間寸法)を0.2mmとし、電極に沿った面の寸法を0.1×0.1mmとした。さらに、一方の電極E2を覆うようにアルミナ製の半球状(半径0.1mm)の凸部Fを配置し、この凸部Fが用紙に接触されるようにした。
【0052】
本実施例では、図14に示すように、2個の振動発生素子10と1個の振動検出素子20とをマニピュレータMにて位置調整可能に支持させた上で用紙(シート材)の一面に接触させた。なお、2個の振動発生素子10の間に振動検出素子20を配置し、用紙との接触ポイントが一直線上になるようにした。また、一方の振動発生素子10と振動検出素子20との間隔を0.6mmとし、他方の振動発生素子10と振動検出素子20との間隔を0.5mmとした。さらに、振動発生素子10の電極E1は高周波発生装置4に接続し、振動検出素子20の電極E1は交流電圧計に接続した。
【0053】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0054】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に振幅20Vの交流信号(交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0055】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、高周波発生装置4により交流信号の周波数を20MHzから50MHzまで変化させていくと、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図5に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0056】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0057】
(実施例5)
本実施例では、実施例4と同じ構成の振動発生素子10や振動検出素子20やマニピュレータMを用いた。そして、実施例4と同様に、2個の振動発生素子10と1個の振動検出素子20とを用紙(シート材)の一面に接触させたが、各振動発生素子10と振動検出素子20との間隔をそれぞれ0.55mmとした。その他の構成や製造方法は実施例4と同様とした。
【0058】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に交流信号(振幅20Vで周波数20MHzの交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0059】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、振動検出素子20を
−0.1mm≦x≦+0.1mm
但し、xは初期位置からの移動距離であり、「−」は一方の振動発生素子10に近づく方向で、「+」は他方の振動発生素子10に近づく方向を意味する。の範囲で移動させると、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図15に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0060】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0061】
(実施例6)
本実施例では、実施例4と同じ構成の振動発生素子10や振動検出素子20やマニピュレータMを用いた。そして、実施例4と同様に、2個の振動発生素子10と1個の振動検出素子20とを用紙(シート材)の一面に接触させたが、各振動発生素子10と振動検出素子20との間隔をそれぞれ0.55mmとした。その他の構成や製造方法は実施例4と同様とした。
【0062】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に交流信号(振幅20Vで周波数20MHzの交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0063】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、一方の振動発生素子10を
0.45mm≦距離b≦0.65mm
但し、距離bは、移動する振動発生素子と振動検出素子との間の距離の範囲で移動させると、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図16に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0064】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0065】
(実施例7)
本実施例では、実施例4と同じ構成の振動発生素子10や振動検出素子20やマニピュレータMを用いた。そして、図17に示すように、2個の振動発生素子10を用紙(シート材)の一面に接触させ、1個の振動検出素子20を用紙(シート材)の他面に接触させた。各素子の接触ポイントが一直線上になるようにし、一方の振動発生素子10と振動検出素子20との間隔を0.6mmとし、他方の振動発生素子10と振動検出素子20との間隔を0.5mmとした。その他の構成や製造方法は実施例4と同様とした。
【0066】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0067】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に振幅20Vの交流信号(交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0068】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、高周波発生装置4により交流信号の周波数を20MHzから50MHzまで変化させていくと、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図5に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0069】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0070】
(実施例8)
本実施例では、実施例4と同じ構成の振動発生素子10や振動検出素子20やマニピュレータMを用いた。そして、実施例7と同様に、2個の振動発生素子10を用紙(シート材)の一面に接触させ、1個の振動検出素子20を用紙(シート材)の他面に接触させたが、各振動発生素子10と振動検出素子20との間隔をそれぞれ0.55mmとした。その他の構成や製造方法は実施例7と同様とした。
【0071】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に交流信号(振幅20Vで周波数20MHzの交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0072】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、振動検出素子20を
−0.1mm≦x≦+0.1mm
但し、xは初期位置からの移動距離であり、「−」は一方の振動発生素子10に近づく方向で、「+」は他方の振動発生素子10に近づく方向を意味する。の範囲で移動させると、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図15に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0073】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0074】
(実施例9)
本実施例では、実施例4と同じ構成の振動発生素子10や振動検出素子20やマニピュレータMを用いた。そして、実施例7と同様に、2個の振動発生素子10を用紙(シート材)の一面に接触させ、1個の振動検出素子20を用紙(シート材)の他面に接触させたが、各振動発生素子10と振動検出素子20との間隔をそれぞれ0.55mmとした。その他の構成や製造方法は実施例4と同様とした。
【0075】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に交流信号(振幅20Vで周波数20MHzの交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0076】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、一方の振動発生素子10を
0.45mm≦距離b≦0.65mm
但し、距離bは、移動する振動発生素子と振動検出素子との間の距離の範囲で移動させると、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図16に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0077】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0078】
(実施例10)
本実施例では、実施例4と同じ構成の振動発生素子10や振動検出素子20やマニピュレータMを用いた。そして、図18や図19に示すように、用紙(シート材)の一面には振動発生素子10及び振動検出素子20を1つずつ接触させ、用紙の他面には1個の振動発生素子10を接触させた。各素子の接触ポイントが一直線上になるようにし、一方の振動発生素子10と振動検出素子20との間隔を0.6mmとし、他方の振動発生素子10と振動検出素子20との間隔を0.5mmとした。その他の構成や製造方法は実施例4と同様とした。
【0079】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0080】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に振幅20Vの交流信号(交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0081】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、高周波発生装置4により交流信号の周波数を20MHzから50MHzまで変化させていくと、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図5に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0082】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0083】
(実施例11)
本実施例では、実施例4と同じ構成の振動発生素子10や振動検出素子20やマニピュレータMを用いた。そして、実施例10と同様に、用紙(シート材)の一面には振動発生素子10及び振動検出素子20を1つずつ接触させ、用紙の他面には1個の振動発生素子10を接触させたが、各振動発生素子10と振動検出素子20との間隔をそれぞれ0.55mmとした。その他の構成や製造方法は実施例10と同様とした。
【0084】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に交流信号(振幅20Vで周波数20MHzの交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0085】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、振動検出素子20を
−0.1mm≦x≦+0.1mm
但し、xは初期位置からの移動距離であり、「−」は一方の振動発生素子10に近づく方向で、「+」は他方の振動発生素子10に近づく方向を意味する。の範囲で移動させると、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図16に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0086】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0087】
(実施例12)
本実施例では、実施例4と同じ構成の振動発生素子10や振動検出素子20やマニピュレータMを用いた。そして、実施例10と同様に、用紙(シート材)の一面には振動発生素子10及び振動検出素子20を1つずつ接触させ、用紙の他面には1個の振動発生素子10を接触させたが、各振動発生素子10と振動検出素子20との間隔をそれぞれ0.55mmとした。その他の構成や製造方法は実施例10と同様とした。
【0088】
いま、高周波発生装置4から振動発生素子10に交流信号(振幅20Vで周波数20MHzの交流電圧)を印加すると、その振動発生素子10は音波(交流信号に対応した周波数の音波)を発生させる。その音波は用紙表面を伝播した後に振動検出素子20により検出される。
【0089】
各振動発生素子10からの音波は干渉し合うが、一方の振動発生素子10を
0.45mm≦距離b≦0.65mm
但し、距離bは、移動する振動発生素子と振動検出素子との間の距離の範囲で移動させると、振動検出素子20にて検出される信号の振幅は図16に示すように変化する。すなわち、
・ 受信強度極大条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は強め合い、検出信号の振幅は極大値を取り、
・ 逆に、受信強度極小条件を満たす状態では、2つの振動発生素子10にて発生した振動は弱め合い、検出信号の振幅は極小値を取る。
【0090】
用紙を伝播するときの音速はその用紙の種類によって異なり、当該グラフのピーク間隔も用紙に固有の値となる。従って、当該グラフのピーク間隔を測定することにより、普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類を判別することができる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、レンズなどの光学部品を用いることなく簡単な装置でシート材の判別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す断面図。
【図3】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す断面図。
【図4】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す断面図。
【図5】検出信号の振幅と振動周波数との関係を示す図。
【図6】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す断面図。
【図7】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す断面図。
【図8】振動発生素子及び振動検出素子の構成を示す外観斜視図。
【図9】振動発生素子及び振動検出素子の構成を示す側面図。
【図10】振動発生素子及び振動検出素子の製造方法を説明するための模式図。
【図11】検出信号の振幅と振動周波数との関係を示す図。
【図12】検出信号の振幅と振動検出素子の移動距離との関係を示す図。
【図13】検出信号の振幅と距離b(振動検出素子と振動発生素子との間の距離)との関係を示す図。
【図14】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す外観斜視図。
【図15】検出信号の振幅と振動検出素子の移動距離との関係を示す図。
【図16】検出信号の振幅と距離b(振動検出素子と振動発生素子との間の距離)との関係を示す図。
【図17】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す外観斜視図。
【図18】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す外観斜視図。
【図19】本発明に係るシート材判別装置の構成の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 表面弾性波発生素子(振動発生素子)
2 表面弾性波検出素子(振動検出素子)
3 判別部(判別手段)
4 高周波発生装置(電源)
10 振動発生素子
20 振動検出素子
P 用紙(シート材)
Claims (9)
- 画像形成用のシート材の種類を判別するシート材判別装置であって、振動を発生させる第1及び第2の振動発生素子と、該第1及び第2の振動発生素子から発生されて前記シート材を伝播してきた振動を検出する振動検出素子と、該振動検出素子の検出信号に基づき前記シート材の種類を判別する判別手段と、を備え、
前記第1及び第2の振動発生素子と前記振動検出素子は、前記第1の振動発生素子と前記振動検出素子との距離aと、前記第2の振動発生素子と前記振動検出素子との距離bと、が互いに異なるように配置され、
前記振動検出素子は、前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を変化させた場合にシート材内で干渉する振動を検出し、
前記判別手段は、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が極大値をとるときの周波数、又は極小値をとるときの周波数の少なくとも一方、に基づいてシート材を判別することを特徴とするシート材判別装置。 - 前記判別手段は、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が一の極大値をとるときの周波数と他の極大値をとるときの周波数との差、又は、一の極小値をとるときの周波数と他の極小値をとるときの周波数との差、又は、一の極大値をとるときの周波数と他の極小値をとるときの周波数との差、に基づいてシート材を判別することを特徴とする請求項1に記載のシート材判別装置。
- 画像形成用のシート材の種類を判別するシート材判別装置であって、振動を発生させる第1及び第2の振動発生素子と、該第1及び第2の振動発生素子から発生されて前記シート材を伝播してきた振動を検出する振動検出素子と、該振動検出素子の検出信号に基づき前記シート材の種類を判別する判別手段と、を備え、
前記第1の振動発生素子と前記振動検出素子との距離をa、前記第2の振動発生素子と前記振動検出素子との距離をbとした場合、
前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を同一かつ一定とし、前記距離aと前記距離bとの差a−bを変化させることでシート材内で発生する干渉する振動を前記振動検出素子で検出し、
前記判別手段は、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が極大値をとるときの前記差a−b、又は極小値をとるときの前記差a−bの少なくとも一方に基づいて、シート材を判別することを特徴とするシート材判別装置。 - 前記判別手段は、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が一の極大値をとるときの前記差a−bと他の極大値をとるときの前記差a−bとの差、又は、一の極小値をとるときの前記差a−bと他の極小値をとるときの前記差a−bとの差、又は、極大値をとるときの前記差a−bと極小値をとるときの前記差a−bとの差、に基づいて、シート材を判別することを特徴とする請求項3に記載のシート材判別装置。
- 前記振動発生素子または前記振動検出素子は、圧電体と、該圧電体に形成された一対の櫛形電極と、によって構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート材判別装置。
- 振動を発生させる第1及び第2の振動発生素子、及び該第1及び第2の振動発生素子から発生されて前記シート材を伝播してきた振動を検出する振動検出素子を用いて画像形成用のシート材の種類を判別するシート材判別方法であって、
前記第1及び第2の振動発生素子、及び振動検出素子は、前記第1の振動発生素子と前記振動検出素子との距離aと前記第2の振動発生素子と前記振動検出素子との距離bとが互いに異なるように配置されており、
前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を変化させる工程と、
前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を変化させることでシート材内で発生する干渉する振動を振動検出素子で検出する工程と、
前記振動検出素子で検出した振動の振幅が極大値をとるときの周波数、又は、極小値をとるときの周波数の少なくとも一方、に基づいてシート材を判別する工程と、を有することを特徴とするシート材判別方法。 - 前記シート材を判別する工程は、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が一の極大値をとるときの周波数と他の極大値をとるときの周波数との差、又は、一の極小値をとるときの周波数と他の極小値をとるときの周波数との差、又は、一の極大値をとるときの周波数と他の極小値をとるときの周波数との差、に基づいてシート材を判別する工程であることを特徴とする請求項6に記載のシート材判別方法。
- 振動を発生させる第1及び第2の振動発生素子、及び該第1及び第2の振動発生素子から発生されて前記シート材を伝播してきた振動を検出する振動検出素子を用いて画像形成用のシート材の種類を判別するシート材判別方法であって、
前記第1の振動発生素子と前記振動検出素子との距離をa、前記第2の振動発生素子と前記振動検出素子との距離をbとした場合、
前記第1及び第2の振動発生素子の周波数を同一かつ一定とし、前記距離aと前記距離bとの差a−bを変化させることでシート材内で発生する干渉する振動を前記振動検出素子で検出する工程と、
前記振動検出素子で検出した振動の振幅が極大値をとるときの前記差a−b、又は極小値をとるときの前記差a−bの少なくとも一方に基づいてシート材を判別する工程と、を有することを特徴とするシート材判別方法。 - 前記シート材を判別する工程は、前記振動検出素子で検出した振動の振幅が一の極大値をとるときの前記差a−bと他の極大値をとるときの前記差a−bとの差、又は、一の極小値をとるときの前記差a−bと他の極小値をとるときの前記差a−bとの差、又は、極大値をとるときの前記差a−bと極小値をとるときの前記差a−bとの差、に基づいて、シート材を判別することを特徴とする請求項8に記載のシート材判別方法。
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