JP2004212259A - シート材判別装置、及び該シート材判別装置を備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成でありながら、用紙の種類を正確に判別する。
【解決手段】表面弾性波を用紙Pに伝播させる表面弾性波発生素子10と、該表面弾性波を検知する表面弾性波検出素子20とを図示のように配置する。表面弾性波検出素子20にて検知した信号を増幅器21にて増幅し、アナログ/デジタル変換回路22にてデジタル信号に変換した後、演算部3が用紙の種類を判別する。レンズ等を用いて光学的に判別する装置と比べて構成が簡単となり、判別精度も向上される。
【選択図】 図1
【解決手段】表面弾性波を用紙Pに伝播させる表面弾性波発生素子10と、該表面弾性波を検知する表面弾性波検出素子20とを図示のように配置する。表面弾性波検出素子20にて検知した信号を増幅器21にて増幅し、アナログ/デジタル変換回路22にてデジタル信号に変換した後、演算部3が用紙の種類を判別する。レンズ等を用いて光学的に判別する装置と比べて構成が簡単となり、判別精度も向上される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート材の種類を判別するシート材判別装置、及び該シート材判別装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、シート材の種類を自動判別するためのシート材判別装置が、様々な技術分野で注目されている。以下、その一例として、用紙の種類を判別する用紙種類判別装置について説明する。
【0003】
インクジェットプリンタ等に用いる記録媒体としては様々な種類のものがある。例えば、昨今のインクジェットプリンタ市場においては、デジタルカメラの普及等により写真画質の印刷に対するニーズが高まって来ていてフォト光沢紙の利用が増えてきている。また、OHP用紙やコート紙や普通紙等も使用されている。
【0004】
このインクジェットプリンタにおいては、印刷時に用紙の種類を設定する必要があるが、その設定を行うことが煩雑であり、設定を間違うと印刷画像品質が悪くなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、用紙種類判別装置をインクジェットプリンタに搭載して、自動的に用紙の種類を判別し、その判別結果に基き印刷を行うようにする技術が注目されており、照射源から用紙に光を照射し、用紙の種類により反射光、散乱光あるいは透過光に違いが生じることを利用してその用紙の種類を判別するようにした光学的方法が提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−40227号公報
【特許文献2】
特開2000−301805号公報
【特許文献3】
特開2001−63870号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような光学的検知方法を用いる場合は、照射源、及び反射光、散乱光、透過光を検出するレンズなどの検出手段を必要とするため、当該用紙検出装置を構成する部品数が多くなるという欠点があった。
【0008】
そこで、本発明では、レンズなどの光学部品を用いることなく紙種の判別が可能なシート材判別装置及び該シート材判別装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、請求項1に係る発明は、シート材の種類を判別するシート材判別装置において、
表面弾性波を発生させる表面弾性波発生手段と、
シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する表面弾性波検出手段と、
該表面弾性波検出手段の検出結果に基いてシート材の種類を判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項10に係る発明は、上述したシート材判別装置を備えた画像形成装置に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本実施の形態に係るシート材判別装置は、シート材の種類を判別するための装置であって、例えば図1に示すように、表面弾性波を発生させる表面弾性波発生手段1と、シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する表面弾性波検出手段2と、該表面弾性波検出手段2の検出結果に基いてシート材の種類を判別する判別手段3と、を備えている。
【0013】
この場合、表面弾性波発生手段1は、交流信号を発生させる電源11と、該電源11から交流信号が印加されることに基き表面弾性波を発生させる表面弾性波発生素子10と、によって構成すると良い。ここで、電源11は、交流信号の周波数を変えられるようにしておくと良い(詳細は後述)。
【0014】
他方の表面弾性波検出手段2は、前記表面弾性波を検出する表面弾性波検出素子20を有している。この表面弾性波検出手段2を、前記表面弾性波検出素子20と、該表面弾性波検出素子20により検出された信号(出力信号)を増幅する増幅器21と、該増幅器21にて増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路22と、によって構成しても良い。
【0015】
ところで、前記表面弾性波検出手段2は、シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する必要がある。具体的には、シート材の影響を受けて減衰したり共振された表面弾性波を検出する必要がある。そのためには、図1に示すように、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20を少なくとも1つずつ、シート材Pの一方の面(しかも、互いに離れた箇所)に接触させると良い。その場合、表面弾性波発生素子10にて発生された表面弾性波は(図5のS1参照)、シート材表面を伝播する過程にて減衰され、或いは共振されて(同図のS2参照)表面弾性波検出素子20に検知されることとなる(同図のS3参照)。かかる場合、表面弾性波発生素子10からの表面弾性波がシート材Pに確実に伝播するように表面弾性波発生素子10には一定の荷重(該素子をシート材に密着させるための荷重)をかける必要がある。なお、図1では、前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子は1つずつ配置されているが、いずれか一方或いは両方を複数個配置しても良い。また、図1では、前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子はシート材Pの片側にのみ配置されているが、シート材Pの両側に配置しても良い。すなわち、図2に示すように、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20を少なくとも1つずつ、シート材の他方の面(互いに離れた箇所)にも接触させると良い。
【0016】
なお、シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する他の方法としては図3に示すものがある。すなわち、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20を少なくとも1つずつ、一の支持基板4に支持させ、かつ、該支持基板4における前記表面弾性波発生素子と前記表面弾性波検出素子との間の部分4a(以下、“基板中間部分”と称す)をシート材Pの一方の面に接触せると良い。かかる場合、表面弾性波発生素子10から発生された表面弾性波は(図5のS1参照)、主に、シート材表面ではなくて基板中間部分4aを伝播し(同図のS2参照)、表面弾性波検出素子20に検知される(同図のS3参照)。その場合、基板中間部分4aとシート材Pとが接触されているため、表面弾性波はその伝播過程において(シート材の影響を受けて)減衰され或いは共振されて表面弾性波検出素子20に検知されることとなる。かかる場合、基板中間部分4aとシート材Pとが確実に接触するように押圧部材5を設けておくと良い。なお、図3では、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20はシート材Pの片側にのみ配置されているが、図4に示すようにシート材の両側に配置しても良い。すなわち、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20が少なくとも1つずつ他の支持基板14に支持され、かつ、該他の支持基板14における前記表面弾性波発生素子と前記表面弾性波検出素子との間の部分(基板中間部分)14aがシート材Pの他方の面に接触されるようにしても良い。
【0017】
上述した表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20は、図6(a) (b) に詳示するように、圧電体Aと電極B1,B2とによって構成すれば良い。また、圧電体Aはシリコン基板C等に支持させれば良く、その形成にはスパッタ法やCVD法やレーザーアブレーション法等を用いると良い。さらに、圧電体Aには酸化亜鉛やPZTを用いると良い。電極B1,B2としては、互いに対向するように配置した櫛形電極が好ましい。この電極B1,B2は圧電体Aの表面に形成すると良く、フォトリソグラフィー法やエッチング処理等を用いることにより電極B1,B2と圧電体Aとが同一表面を呈するようにすると良い。これらの電極B1,B2は白金や金にて形成すると良い。なお、当該表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20は、各素子の特性により、それぞれが異なる形状となることを妨げない。
【0018】
シート材の判別は、表面弾性波の減衰率や共振周波数を用いて行うと良い。以下、その詳細について説明する。
【0019】
表面弾性波は、シート材を伝播する過程において減衰するという性質を有しており、しかも、その減衰率はシート材表面の密度によって異なる。また、この表面弾性波は、固有の周波数において共振するという性質を有しており、その共振周波数はシート材(正確には、シート材の密度)によって異なる。したがって、表面弾性波の減衰率や共振周波数を検知することによって、シート材の種類を判別することができる。
【0020】
表面弾性波の減衰率は、表面弾性波発生手段1によって発生させた表面弾性波と、表面弾性波検出手段2によって検出した値との差によって求めることができる。
【0021】
共振周波数を用いてシート材の判別を行うには、表面弾性波発生手段1によって発生させる表面弾性波の周波数を順次変えてゆき、共振したときの周波数を求めれば良い。すなわち、電源11に、交流信号の周波数を適宜変更できるタイプのものを用い、該電源11から表面弾性波発生素子10に印加する交流信号の周波数を順次変更して行く。これにより、表面弾性波の周波数も順次変更される。当該表面弾性波はシート材表面の密度により伝播の仕方が異なってくる。この伝播の違いを表面弾性波検出素子20を用いて検出する。その検出信号は増幅器21によって増幅され、アナログ/デジタル変換回路22にてデジタル信号に変換され、判別手段3にてシート材の判別に用いられる。
【0022】
なお、上述した構成のシート材判別装置によって用紙の種類、すなわち、普通紙、OHPシート、コート紙(表面にアルミナ等がコートしてある用紙)、光沢紙等の別を判別すれば良い。そして、このシート材判別装置を画像形成装置に組み込んで記録媒体である印字用紙の種類を判別するようにすると良い。
【0023】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0024】
本実施の形態によれば、レンズなどの光学部品を用いることなく簡単な装置でシート材の判別が可能となる。特に、表面弾性波発生素子10と表面弾性波検出素子20との構造を同一とした場合にはシート材判別装置の製造コストを低減できる。
【0025】
また、表面弾性波発生素子10や表面弾性波検出素子20をシート材の表裏両面に配置した場合には、判別精度を向上させることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例に関して具体的に説明する。
【0027】
(実施例1)
本実施例では、図1に示すように、表面弾性波発生素子10と高周波発生装置(電源)11とによって表面弾性波発生手段1を構成し、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に交流信号を印加できるようにした。また、表面弾性波検出素子20と増幅器21とアナログ/デジタル変換回路22とによって表面弾性波検出手段2を構成し、その検出手段2には演算部(判別手段)3を接続した。また、表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20は同一構造とし、用紙の一側表面に接触するように配置した。その押圧荷重は表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の使用条件により適宜調節した。さらに、これらの素子10,20は所定距離を開けた状態に配置するが、その距離は8mm程度とし、同じく表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の使用条件により適宜調節するようにした。
【0028】
まず、本実施例で用いる表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20の作製方法を図7に沿って説明する。
【0029】
まず、シリコン基板C上にスパッタ法により圧電体Aである酸化亜鉛を約10μm成膜する(図7(a) 参照)。
【0030】
次に、この酸化亜鉛膜Aの表面にリソグラフィー法によってレジストRを形成する。このレジストRには図7(b) に示すように櫛歯状をした溝部Dを一対形成しておいて、この溝部Dに相当する部分だけ酸化亜鉛膜Aを露出させておく。そして、約33%に希釈した酢酸を用いて、酸化亜鉛膜Aを300nmの厚さだけエッチングをする。その後、Pt電極をスパッタ法によって約300nmの厚さに形成し、アセトン等の有機溶媒を用いてレジストRを取り除く。これにより、図7(c) に示すように、一対の櫛歯形状をした電極B1,B2が酸化亜鉛膜Aに形成された。なお、表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20のサイズは8mm×10mm×0.8mm程度とした。
【0031】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0032】
いま、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に交流信号を印加すると、その表面弾性波発生素子10は表面弾性波(交流信号に対応した周波数の表面弾性波)を発生させる。その表面弾性波は用紙表面を伝播した後に表面弾性波検出素子20により検出される。その検出信号(交流信号)は増幅器21にて増幅され、アナログ/デジタル変換回路22にてアナログ信号からデジタル信号へ変換される。演算部3は、用紙判別のためのデータを保持しているので、該デジタル信号と該データとから用紙の種類(普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類)を判別することができる。
【0033】
なお、表面弾性波検出素子20により検出するのは表面弾性波の減衰率や共振周波数である。以下、具体的に説明する。
【0034】
該表面弾性波は、用紙表面を伝播するが、用紙を伝播する過程において減衰するという性質を有しており、しかも、その減衰率は用紙の種類(具体的には、用紙表面の密度)によって異なる(用紙の密度が大きい場合には減衰率が低く、用紙の密度が小さい場合には減衰率が高くなる)。したがって、表面弾性波の減衰率を表面弾性波検出素子20により検出すれば、用紙の種類を判別することができる。
【0035】
また、この表面弾性波は、固有の周波数において共振するという性質を有しており、その共振周波数は用紙(正確には、用紙の密度)によって異なる。したがって、表面弾性波の共振周波数を表面弾性波検出素子20により検出すれば、用紙の種類を判別することができる。
【0036】
なお、共振周波数を検知するには、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に印加する交流信号の周波数を順次変えれば良い。すると、表面弾性波の周波数も変化するので、表面弾性波検出素子20によって共振状態か否かを判別することにより用紙の共振周波数を求めることができる。そして、その共振周波数に基き用紙の種類を判別すれば良い。
【0037】
(実施例2)
本実施例では、図2に示す用紙種類判別装置を用いた。
【0038】
すなわち、用紙を挟み込むように2個の表面弾性波発生素子10を配置し、同じく用紙を挟み込むように2個の表面弾性波検出素子20を配置した。なお、各表面弾性波発生素子10と表面弾性波検出素子20とは所定距離だけ離して配置した。各素子の作製方法は実施例1と同じにした。
【0039】
本実施例によれば、用紙の表裏に配置された2つの表面弾性波検出素子20の検知結果を用いて用紙の種類を判別するため、表面弾性波検出素子20を1つだけ用いる場合に比べて判別精度を向上させることができる。つまり、用紙の物性は常に一定というわけではなくて例えば湿度等の影響により変化してしまう。しかし、本実施例のように用紙の表裏に配置された2つの表面弾性波検出素子20を用い、その検出結果の違いを加味して用紙の種類を判別するようにした方が、湿度等の影響によって用紙の物性が多少変化していたとしても、用紙の種類判別を正確に行うことができる。
【0040】
ところで、コート紙では、用紙片面にのみコート層(例えば、酸化アルミ層)が形成されているので、該コート紙を判別する場合は表面弾性波を該コート層に伝播させる必要がある。しかし、実施例1のように表面弾性波検出素子20を用紙片面にしか配置しないような場合には該表面弾性波検出素子20にコート層が対向するようにする必要がある。しかし、本実施例によれば、用紙の表裏両面にそれぞれ表面弾性波検出素子20を配置しているので、コート層を上下いずれの側に向けたとしてもコート紙であることを判別できる。
【0041】
(実施例3)
本実施例では、図3に示す用紙種類判別装置を作製した。
【0042】
すなわち、表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20を一定の距離を開けて1枚のシリコン基板(支持基板)4に埋め込んだ。そして、表面弾性波発生素子10と表面弾性波検出素子20との間の部分であって用紙の下側には押圧板5を配置し、該押圧板5を用紙に付勢させることにより基板中間部分4aと用紙Pとが接触するようにした。また、本実施例においては、基板中間部分4aが用紙に接触されていれば足り、表面弾性波発生素子10や表面弾性波検出素子20が用紙に接触されていなくても良い。
【0043】
そして、実施例1と同様に、表面弾性波発生素子10には高周波発生装置11を接続し、表面弾性波検出素子20には増幅器21やアナログ/デジタル変換回路22や演算部3を接続した。
【0044】
ここで、各素子10,20の形成方法について説明する。
【0045】
1枚のシリコン基板Cに圧電体Aを形成し、その圧電体Aには、実施例1と同様の方法で同様の形状・材質の電極B1,B2を形成した(図8参照)。すなわち、スパッタ法により圧電体Aである酸化亜鉛を約10μmの厚さだけ形成し、次に、この酸化亜鉛膜Aの表面にリソグラフィー法によってレジストRを形成した。このレジストRには図7(b) に示すように櫛歯状をした溝部Dを一対形成しておいて、この溝部Dに相当する部分だけ酸化亜鉛膜Aを露出させておく。そして、約33%に希釈した酢酸を用いて、酸化亜鉛膜Aを300nmの厚さだけエッチングをする。その後、Pt電極をスパッタ法によって約300nmの厚さに形成し、アセトン等の有機溶媒を用いてレジストRを取り除く。これにより、図8に示すように、一対の櫛歯形状をした電極B1,B2が酸化亜鉛膜Aに形成された。
【0046】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0047】
いま、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に交流信号を印加すると、その表面弾性波発生素子10は表面弾性波(交流信号に対応した周波数の表面弾性波)を発生させるが、その表面弾性波は(用紙を伝播するのではなくて)密度の高い基板中間部分4aを伝播し、その後、表面弾性波検出素子20により検出される。ところで、上述したように基板中間部分4aは一定荷重で用紙表面に接触されているため、表面弾性波は伝播する過程で用紙の影響を受ける。したがって、表面弾性波検出素子20による検出信号(交流信号)を増幅器21にて増幅し、アナログ/デジタル変換回路22にてアナログ信号からデジタル信号へ変換すると、演算部3により用紙の種類(普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類)を判別することができることとなる。
【0048】
なお、表面弾性波検出素子20により検出するのは表面弾性波の減衰率や共振周波数である。以下、具体的に説明する。
【0049】
上述したように基板中間部分4aは一定荷重で用紙表面に接触されているため、表面弾性波は伝播する過程で減衰し、しかも、その減衰率は用紙の種類(具体的には、用紙表面の密度)によって異なる。したがって、表面弾性波の減衰率を表面弾性波検出素子20により検出すれば、用紙の種類を判別することができる。
【0050】
また、この表面弾性波は、固有の周波数において共振するという性質を有しており、その共振周波数は用紙(正確には、用紙の密度)によって異なる。したがって、表面弾性波の共振周波数を表面弾性波検出素子20により検出すれば、用紙の種類を判別することができる。なお、共振周波数を検知するには、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に印加する交流信号の周波数を順次変えれば良い。すると、表面弾性波の周波数も変化するので、表面弾性波検出素子20によって共振状態か否かを判別することにより用紙の共振周波数を求めることができる。そして、その共振周波数に基き用紙の種類を判別すれば良い。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、レンズなどの光学部品を用いることなく簡単な装置でシート材の判別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート材判別装置の構造の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係るシート材判別装置の構造の一例を示す断面図。
【図3】本発明に係るシート材判別装置の構造の一例を示す断面図。
【図4】本発明に係るシート材判別装置の構造の一例を示す断面図。
【図5】本発明に係るシート材判別装置の判別方法を説明するためのフローチャート図。
【図6】(a) は、表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の外観を示す斜視図であり、(b) は、表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の構造を示す断面図。
【図7】表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の製造方法を説明するための図。
【図8】表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子を同一基板に支持させた場合の構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 表面弾性波発生手段
2 表面弾性波検出手段
3 演算部(判別手段)
4 シリコン基板(一の支持基板)
10 表面弾性波発生素子
11 高周波発生装置(電源)
14 シリコン基板(他の支持基板)
20 表面弾性波検出素子
21 増幅器
22 アナログ/デジタル変換回路
A 圧電体
B1,B2 電極
P 用紙(シート材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート材の種類を判別するシート材判別装置、及び該シート材判別装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、シート材の種類を自動判別するためのシート材判別装置が、様々な技術分野で注目されている。以下、その一例として、用紙の種類を判別する用紙種類判別装置について説明する。
【0003】
インクジェットプリンタ等に用いる記録媒体としては様々な種類のものがある。例えば、昨今のインクジェットプリンタ市場においては、デジタルカメラの普及等により写真画質の印刷に対するニーズが高まって来ていてフォト光沢紙の利用が増えてきている。また、OHP用紙やコート紙や普通紙等も使用されている。
【0004】
このインクジェットプリンタにおいては、印刷時に用紙の種類を設定する必要があるが、その設定を行うことが煩雑であり、設定を間違うと印刷画像品質が悪くなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、用紙種類判別装置をインクジェットプリンタに搭載して、自動的に用紙の種類を判別し、その判別結果に基き印刷を行うようにする技術が注目されており、照射源から用紙に光を照射し、用紙の種類により反射光、散乱光あるいは透過光に違いが生じることを利用してその用紙の種類を判別するようにした光学的方法が提案されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−40227号公報
【特許文献2】
特開2000−301805号公報
【特許文献3】
特開2001−63870号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような光学的検知方法を用いる場合は、照射源、及び反射光、散乱光、透過光を検出するレンズなどの検出手段を必要とするため、当該用紙検出装置を構成する部品数が多くなるという欠点があった。
【0008】
そこで、本発明では、レンズなどの光学部品を用いることなく紙種の判別が可能なシート材判別装置及び該シート材判別装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、請求項1に係る発明は、シート材の種類を判別するシート材判別装置において、
表面弾性波を発生させる表面弾性波発生手段と、
シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する表面弾性波検出手段と、
該表面弾性波検出手段の検出結果に基いてシート材の種類を判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項10に係る発明は、上述したシート材判別装置を備えた画像形成装置に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本実施の形態に係るシート材判別装置は、シート材の種類を判別するための装置であって、例えば図1に示すように、表面弾性波を発生させる表面弾性波発生手段1と、シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する表面弾性波検出手段2と、該表面弾性波検出手段2の検出結果に基いてシート材の種類を判別する判別手段3と、を備えている。
【0013】
この場合、表面弾性波発生手段1は、交流信号を発生させる電源11と、該電源11から交流信号が印加されることに基き表面弾性波を発生させる表面弾性波発生素子10と、によって構成すると良い。ここで、電源11は、交流信号の周波数を変えられるようにしておくと良い(詳細は後述)。
【0014】
他方の表面弾性波検出手段2は、前記表面弾性波を検出する表面弾性波検出素子20を有している。この表面弾性波検出手段2を、前記表面弾性波検出素子20と、該表面弾性波検出素子20により検出された信号(出力信号)を増幅する増幅器21と、該増幅器21にて増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路22と、によって構成しても良い。
【0015】
ところで、前記表面弾性波検出手段2は、シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する必要がある。具体的には、シート材の影響を受けて減衰したり共振された表面弾性波を検出する必要がある。そのためには、図1に示すように、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20を少なくとも1つずつ、シート材Pの一方の面(しかも、互いに離れた箇所)に接触させると良い。その場合、表面弾性波発生素子10にて発生された表面弾性波は(図5のS1参照)、シート材表面を伝播する過程にて減衰され、或いは共振されて(同図のS2参照)表面弾性波検出素子20に検知されることとなる(同図のS3参照)。かかる場合、表面弾性波発生素子10からの表面弾性波がシート材Pに確実に伝播するように表面弾性波発生素子10には一定の荷重(該素子をシート材に密着させるための荷重)をかける必要がある。なお、図1では、前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子は1つずつ配置されているが、いずれか一方或いは両方を複数個配置しても良い。また、図1では、前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子はシート材Pの片側にのみ配置されているが、シート材Pの両側に配置しても良い。すなわち、図2に示すように、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20を少なくとも1つずつ、シート材の他方の面(互いに離れた箇所)にも接触させると良い。
【0016】
なお、シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する他の方法としては図3に示すものがある。すなわち、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20を少なくとも1つずつ、一の支持基板4に支持させ、かつ、該支持基板4における前記表面弾性波発生素子と前記表面弾性波検出素子との間の部分4a(以下、“基板中間部分”と称す)をシート材Pの一方の面に接触せると良い。かかる場合、表面弾性波発生素子10から発生された表面弾性波は(図5のS1参照)、主に、シート材表面ではなくて基板中間部分4aを伝播し(同図のS2参照)、表面弾性波検出素子20に検知される(同図のS3参照)。その場合、基板中間部分4aとシート材Pとが接触されているため、表面弾性波はその伝播過程において(シート材の影響を受けて)減衰され或いは共振されて表面弾性波検出素子20に検知されることとなる。かかる場合、基板中間部分4aとシート材Pとが確実に接触するように押圧部材5を設けておくと良い。なお、図3では、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20はシート材Pの片側にのみ配置されているが、図4に示すようにシート材の両側に配置しても良い。すなわち、前記表面弾性波発生素子10及び前記表面弾性波検出素子20が少なくとも1つずつ他の支持基板14に支持され、かつ、該他の支持基板14における前記表面弾性波発生素子と前記表面弾性波検出素子との間の部分(基板中間部分)14aがシート材Pの他方の面に接触されるようにしても良い。
【0017】
上述した表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20は、図6(a) (b) に詳示するように、圧電体Aと電極B1,B2とによって構成すれば良い。また、圧電体Aはシリコン基板C等に支持させれば良く、その形成にはスパッタ法やCVD法やレーザーアブレーション法等を用いると良い。さらに、圧電体Aには酸化亜鉛やPZTを用いると良い。電極B1,B2としては、互いに対向するように配置した櫛形電極が好ましい。この電極B1,B2は圧電体Aの表面に形成すると良く、フォトリソグラフィー法やエッチング処理等を用いることにより電極B1,B2と圧電体Aとが同一表面を呈するようにすると良い。これらの電極B1,B2は白金や金にて形成すると良い。なお、当該表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20は、各素子の特性により、それぞれが異なる形状となることを妨げない。
【0018】
シート材の判別は、表面弾性波の減衰率や共振周波数を用いて行うと良い。以下、その詳細について説明する。
【0019】
表面弾性波は、シート材を伝播する過程において減衰するという性質を有しており、しかも、その減衰率はシート材表面の密度によって異なる。また、この表面弾性波は、固有の周波数において共振するという性質を有しており、その共振周波数はシート材(正確には、シート材の密度)によって異なる。したがって、表面弾性波の減衰率や共振周波数を検知することによって、シート材の種類を判別することができる。
【0020】
表面弾性波の減衰率は、表面弾性波発生手段1によって発生させた表面弾性波と、表面弾性波検出手段2によって検出した値との差によって求めることができる。
【0021】
共振周波数を用いてシート材の判別を行うには、表面弾性波発生手段1によって発生させる表面弾性波の周波数を順次変えてゆき、共振したときの周波数を求めれば良い。すなわち、電源11に、交流信号の周波数を適宜変更できるタイプのものを用い、該電源11から表面弾性波発生素子10に印加する交流信号の周波数を順次変更して行く。これにより、表面弾性波の周波数も順次変更される。当該表面弾性波はシート材表面の密度により伝播の仕方が異なってくる。この伝播の違いを表面弾性波検出素子20を用いて検出する。その検出信号は増幅器21によって増幅され、アナログ/デジタル変換回路22にてデジタル信号に変換され、判別手段3にてシート材の判別に用いられる。
【0022】
なお、上述した構成のシート材判別装置によって用紙の種類、すなわち、普通紙、OHPシート、コート紙(表面にアルミナ等がコートしてある用紙)、光沢紙等の別を判別すれば良い。そして、このシート材判別装置を画像形成装置に組み込んで記録媒体である印字用紙の種類を判別するようにすると良い。
【0023】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0024】
本実施の形態によれば、レンズなどの光学部品を用いることなく簡単な装置でシート材の判別が可能となる。特に、表面弾性波発生素子10と表面弾性波検出素子20との構造を同一とした場合にはシート材判別装置の製造コストを低減できる。
【0025】
また、表面弾性波発生素子10や表面弾性波検出素子20をシート材の表裏両面に配置した場合には、判別精度を向上させることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例に関して具体的に説明する。
【0027】
(実施例1)
本実施例では、図1に示すように、表面弾性波発生素子10と高周波発生装置(電源)11とによって表面弾性波発生手段1を構成し、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に交流信号を印加できるようにした。また、表面弾性波検出素子20と増幅器21とアナログ/デジタル変換回路22とによって表面弾性波検出手段2を構成し、その検出手段2には演算部(判別手段)3を接続した。また、表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20は同一構造とし、用紙の一側表面に接触するように配置した。その押圧荷重は表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の使用条件により適宜調節した。さらに、これらの素子10,20は所定距離を開けた状態に配置するが、その距離は8mm程度とし、同じく表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の使用条件により適宜調節するようにした。
【0028】
まず、本実施例で用いる表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20の作製方法を図7に沿って説明する。
【0029】
まず、シリコン基板C上にスパッタ法により圧電体Aである酸化亜鉛を約10μm成膜する(図7(a) 参照)。
【0030】
次に、この酸化亜鉛膜Aの表面にリソグラフィー法によってレジストRを形成する。このレジストRには図7(b) に示すように櫛歯状をした溝部Dを一対形成しておいて、この溝部Dに相当する部分だけ酸化亜鉛膜Aを露出させておく。そして、約33%に希釈した酢酸を用いて、酸化亜鉛膜Aを300nmの厚さだけエッチングをする。その後、Pt電極をスパッタ法によって約300nmの厚さに形成し、アセトン等の有機溶媒を用いてレジストRを取り除く。これにより、図7(c) に示すように、一対の櫛歯形状をした電極B1,B2が酸化亜鉛膜Aに形成された。なお、表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20のサイズは8mm×10mm×0.8mm程度とした。
【0031】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0032】
いま、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に交流信号を印加すると、その表面弾性波発生素子10は表面弾性波(交流信号に対応した周波数の表面弾性波)を発生させる。その表面弾性波は用紙表面を伝播した後に表面弾性波検出素子20により検出される。その検出信号(交流信号)は増幅器21にて増幅され、アナログ/デジタル変換回路22にてアナログ信号からデジタル信号へ変換される。演算部3は、用紙判別のためのデータを保持しているので、該デジタル信号と該データとから用紙の種類(普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類)を判別することができる。
【0033】
なお、表面弾性波検出素子20により検出するのは表面弾性波の減衰率や共振周波数である。以下、具体的に説明する。
【0034】
該表面弾性波は、用紙表面を伝播するが、用紙を伝播する過程において減衰するという性質を有しており、しかも、その減衰率は用紙の種類(具体的には、用紙表面の密度)によって異なる(用紙の密度が大きい場合には減衰率が低く、用紙の密度が小さい場合には減衰率が高くなる)。したがって、表面弾性波の減衰率を表面弾性波検出素子20により検出すれば、用紙の種類を判別することができる。
【0035】
また、この表面弾性波は、固有の周波数において共振するという性質を有しており、その共振周波数は用紙(正確には、用紙の密度)によって異なる。したがって、表面弾性波の共振周波数を表面弾性波検出素子20により検出すれば、用紙の種類を判別することができる。
【0036】
なお、共振周波数を検知するには、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に印加する交流信号の周波数を順次変えれば良い。すると、表面弾性波の周波数も変化するので、表面弾性波検出素子20によって共振状態か否かを判別することにより用紙の共振周波数を求めることができる。そして、その共振周波数に基き用紙の種類を判別すれば良い。
【0037】
(実施例2)
本実施例では、図2に示す用紙種類判別装置を用いた。
【0038】
すなわち、用紙を挟み込むように2個の表面弾性波発生素子10を配置し、同じく用紙を挟み込むように2個の表面弾性波検出素子20を配置した。なお、各表面弾性波発生素子10と表面弾性波検出素子20とは所定距離だけ離して配置した。各素子の作製方法は実施例1と同じにした。
【0039】
本実施例によれば、用紙の表裏に配置された2つの表面弾性波検出素子20の検知結果を用いて用紙の種類を判別するため、表面弾性波検出素子20を1つだけ用いる場合に比べて判別精度を向上させることができる。つまり、用紙の物性は常に一定というわけではなくて例えば湿度等の影響により変化してしまう。しかし、本実施例のように用紙の表裏に配置された2つの表面弾性波検出素子20を用い、その検出結果の違いを加味して用紙の種類を判別するようにした方が、湿度等の影響によって用紙の物性が多少変化していたとしても、用紙の種類判別を正確に行うことができる。
【0040】
ところで、コート紙では、用紙片面にのみコート層(例えば、酸化アルミ層)が形成されているので、該コート紙を判別する場合は表面弾性波を該コート層に伝播させる必要がある。しかし、実施例1のように表面弾性波検出素子20を用紙片面にしか配置しないような場合には該表面弾性波検出素子20にコート層が対向するようにする必要がある。しかし、本実施例によれば、用紙の表裏両面にそれぞれ表面弾性波検出素子20を配置しているので、コート層を上下いずれの側に向けたとしてもコート紙であることを判別できる。
【0041】
(実施例3)
本実施例では、図3に示す用紙種類判別装置を作製した。
【0042】
すなわち、表面弾性波発生素子10及び表面弾性波検出素子20を一定の距離を開けて1枚のシリコン基板(支持基板)4に埋め込んだ。そして、表面弾性波発生素子10と表面弾性波検出素子20との間の部分であって用紙の下側には押圧板5を配置し、該押圧板5を用紙に付勢させることにより基板中間部分4aと用紙Pとが接触するようにした。また、本実施例においては、基板中間部分4aが用紙に接触されていれば足り、表面弾性波発生素子10や表面弾性波検出素子20が用紙に接触されていなくても良い。
【0043】
そして、実施例1と同様に、表面弾性波発生素子10には高周波発生装置11を接続し、表面弾性波検出素子20には増幅器21やアナログ/デジタル変換回路22や演算部3を接続した。
【0044】
ここで、各素子10,20の形成方法について説明する。
【0045】
1枚のシリコン基板Cに圧電体Aを形成し、その圧電体Aには、実施例1と同様の方法で同様の形状・材質の電極B1,B2を形成した(図8参照)。すなわち、スパッタ法により圧電体Aである酸化亜鉛を約10μmの厚さだけ形成し、次に、この酸化亜鉛膜Aの表面にリソグラフィー法によってレジストRを形成した。このレジストRには図7(b) に示すように櫛歯状をした溝部Dを一対形成しておいて、この溝部Dに相当する部分だけ酸化亜鉛膜Aを露出させておく。そして、約33%に希釈した酢酸を用いて、酸化亜鉛膜Aを300nmの厚さだけエッチングをする。その後、Pt電極をスパッタ法によって約300nmの厚さに形成し、アセトン等の有機溶媒を用いてレジストRを取り除く。これにより、図8に示すように、一対の櫛歯形状をした電極B1,B2が酸化亜鉛膜Aに形成された。
【0046】
次に、用紙判別方法について説明する。
【0047】
いま、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に交流信号を印加すると、その表面弾性波発生素子10は表面弾性波(交流信号に対応した周波数の表面弾性波)を発生させるが、その表面弾性波は(用紙を伝播するのではなくて)密度の高い基板中間部分4aを伝播し、その後、表面弾性波検出素子20により検出される。ところで、上述したように基板中間部分4aは一定荷重で用紙表面に接触されているため、表面弾性波は伝播する過程で用紙の影響を受ける。したがって、表面弾性波検出素子20による検出信号(交流信号)を増幅器21にて増幅し、アナログ/デジタル変換回路22にてアナログ信号からデジタル信号へ変換すると、演算部3により用紙の種類(普通紙、OHPシート、コート紙、光沢紙等の種類)を判別することができることとなる。
【0048】
なお、表面弾性波検出素子20により検出するのは表面弾性波の減衰率や共振周波数である。以下、具体的に説明する。
【0049】
上述したように基板中間部分4aは一定荷重で用紙表面に接触されているため、表面弾性波は伝播する過程で減衰し、しかも、その減衰率は用紙の種類(具体的には、用紙表面の密度)によって異なる。したがって、表面弾性波の減衰率を表面弾性波検出素子20により検出すれば、用紙の種類を判別することができる。
【0050】
また、この表面弾性波は、固有の周波数において共振するという性質を有しており、その共振周波数は用紙(正確には、用紙の密度)によって異なる。したがって、表面弾性波の共振周波数を表面弾性波検出素子20により検出すれば、用紙の種類を判別することができる。なお、共振周波数を検知するには、高周波発生装置11から表面弾性波発生素子10に印加する交流信号の周波数を順次変えれば良い。すると、表面弾性波の周波数も変化するので、表面弾性波検出素子20によって共振状態か否かを判別することにより用紙の共振周波数を求めることができる。そして、その共振周波数に基き用紙の種類を判別すれば良い。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、レンズなどの光学部品を用いることなく簡単な装置でシート材の判別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート材判別装置の構造の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係るシート材判別装置の構造の一例を示す断面図。
【図3】本発明に係るシート材判別装置の構造の一例を示す断面図。
【図4】本発明に係るシート材判別装置の構造の一例を示す断面図。
【図5】本発明に係るシート材判別装置の判別方法を説明するためのフローチャート図。
【図6】(a) は、表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の外観を示す斜視図であり、(b) は、表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の構造を示す断面図。
【図7】表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子の製造方法を説明するための図。
【図8】表面弾性波発生素子及び表面弾性波検出素子を同一基板に支持させた場合の構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 表面弾性波発生手段
2 表面弾性波検出手段
3 演算部(判別手段)
4 シリコン基板(一の支持基板)
10 表面弾性波発生素子
11 高周波発生装置(電源)
14 シリコン基板(他の支持基板)
20 表面弾性波検出素子
21 増幅器
22 アナログ/デジタル変換回路
A 圧電体
B1,B2 電極
P 用紙(シート材)
Claims (10)
- シート材の種類を判別するシート材判別装置において、
表面弾性波を発生させる表面弾性波発生手段と、
シート材の影響を受けた表面弾性波を検出する表面弾性波検出手段と、
該表面弾性波検出手段の検出結果に基いてシート材の種類を判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とするシート材判別装置。 - 前記表面弾性波発生手段は、交流信号を発生させる電源と、該電源から交流信号が印加されることに基き表面弾性波を発生させる表面弾性波発生素子と、を有し、かつ、
前記表面弾性波検出手段は、前記表面弾性波を検出する表面弾性波検出素子を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート材判別装置。 - 前記表面弾性波検出手段は、前記表面弾性波検出素子により検出された信号を増幅する増幅器と、該増幅器にて増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路と、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート材判別装置。 - 前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子は、シート材の一方の面であって互いに離れた箇所に接触するように、少なくとも1つずつ配置された、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシート材判別装置。 - 前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子は、前記シート材の他方の面にも互いに離れた箇所に接触するように、少なくとも1つずつ配置された、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート材判別装置。 - 前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子が少なくとも1つずつ一の支持基板に支持され、かつ、
該支持基板における前記表面弾性波発生素子と前記表面弾性波検出素子との間の部分がシート材の一方の面に接触された、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシート材判別装置。 - 前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子が少なくとも1つずつ他の支持基板に支持され、かつ、
該他の支持基板における前記表面弾性波発生素子と前記表面弾性波検出素子との間の部分がシート材の他方の面に接触された、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート材判別装置。 - シート材の影響を受けて減衰したり共振された表面弾性波を前記表面弾性波検出手段によって測定することによりシート材の種類を判別する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート材判別装置。 - 前記表面弾性波発生素子及び前記表面弾性波検出素子は、圧電体と電極とを有する、
ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載のシート材判別装置。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート材判別装置を備えた画像形成装置。
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JP2003000705A JP2004212259A (ja) | 2003-01-06 | 2003-01-06 | シート材判別装置、及び該シート材判別装置を備えた画像形成装置 |
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---|---|---|---|---|
JP2019099329A (ja) * | 2017-12-01 | 2019-06-24 | コニカミノルタ株式会社 | 記録材判別装置、画像形成装置、および記録材判別装置の制御方法 |
-
2003
- 2003-01-06 JP JP2003000705A patent/JP2004212259A/ja active Pending
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