JP4143398B2 - 二重系無線送信装置および伝送データ受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル無線装置に関し、特に、伝送系を二重に備えた無線送信装置を切り換えて運用する二重系無線伝送方法および二重系無線伝送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地上波放送のデジタル化に伴い、デジタル無線伝送装置が用いられるようになっている。特に、公共の放送業務用などの極めて高い信頼性が要求される伝送装置では、実際の放送時の故障に対する耐性や保守作業時の運用性確保、即ち、放送を中断することなく、故障の修理や保守を行う等の見地から信号伝送装置を二重にし、冗長性が与えられるように構成される場合が多い。
【0003】
このようなデジタル無線伝送装置では、放送信号などの伝送データの他に、無線伝送路の特性変動に対応するために使用される波形等化用基準信号、所謂、トレーニング信号などの非伝送データが一定周期で挿入されて伝送される場合が多い。なお、トレーニング信号については後述する。ここで、デジタル無線伝送装置の送信側において、二重化された送信装置を切り換える際に、非伝送データの伝送期間に切り換えを行なうことで、切り換えに伴うデータの欠落が生じないようにする方式が提案されている。その一例を図15および16で説明する。図15は、二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の構成を示すブロック図、図16は、その動作を説明するための図である。なお、図16の横軸は、時間を示している。図15は、一例として、同一の信号に対して、入力からアンテナの手前までを1号系送信装置1と2号系送信装置2の二重系とし、アンテナ4を共通にした場合のブロック図を示している。
【0004】
1号系送信装置1と2号系送信装置2には、同じ信号源から1号系信号と2号系信号として分配され、それぞれの装置に入力される。また、同期生成器12は、非伝送データ挿入信号、例えばトレーニング信号を生成し、1号系非伝送データ挿入部10、2号系非伝送データ挿入部11及び同期切換信号発生器9に出力される。これにより1号系非伝送データと2号系非伝送データとは、同期して伝送される。
【0005】
まず、1号系送信装置1に入力された1号系信号は、1号系非伝送データ挿入部10に入力される。1号系非伝送データ挿入部10では、同期生成器12から供給される非伝送データ挿入信号を一定周期でベースバンドの伝送信号に挿入され、図16に示す1号系伝送データ(a)のように組み合わせデータとして1号系デジタル変調部5に出力される。
【0006】
同様に、2号系送信装置2に入力された2号系信号は、2号系非伝送データ挿入部11で非伝送データ挿入信号を一定周期でベースバンドの伝送信号に挿入され、図16に示す2号系伝送データ(b)のように組み合わせデータとして2号系デジタル変調部6に出力される。また、図16において、(c)は、非伝送データ挿入同期信号、(d)は、RF切換制御信号、(e)は、RF出力切換同期制御信号、(f)は、RF出力切換器から出力される伝送データの内容を示している。
【0007】
1号系デジタル変調部5は、入力された組み合わせデータをデジタル変調し、1号系送信周波数変換部7に出力する。1号系送信周波数変換部7は、入力された信号を所定の周波数のRF信号に周波数変換し、RF出力切換器3に出力され、アンテナ4からRF出力として伝送される。同様に、2号系送信装置2に入力される2号系信号も2号系非伝送データ挿入部11、2号系デジタル変調部6、2号系送信周波数変換部8を通り、RF出力切換器3に出力される。
【0008】
同期切換信号発生器9は、RF切換動作制御信号を発生し、故障発生時や保守作業時等で1号系送信装置1から2号系送信装置2へ、また逆に、2号系から1号系へ送信の切換えを行なう場合、装置運用者の所定の操作によりRF出力部を切り換える動作をする。即ち、図16の時刻t0でRF切換制御信号が入力され、1号系から2号系へ切換えの指示があった場合、RF出力切換動作同期制御信号を生成し、次の非伝送データ同期信号が発生する時刻t1から所定の時間τ遅延させたタイミングでRF切換器3を切り換える。これにより今まで、1号系受信装置1からの信号を送信アンテナ4に出力していたものを、2号系受信装置2からの信号を送信アンテナ4に出力するようにする。従って、この方式は、非伝送データの区間で切り換わるので、伝送データが欠落するのを回避した無瞬断の切換動作を実現することができる。
【0009】
また、同期生成器を用いない二重系のデジタル無線送信装置が提案されている。その一例を図17および18を用いて説明する。図において、図15と同じものには、同じ符号が付されている。図において、1号系信号非伝送データ挿入部10′と2号系信号非伝送データ挿入部11′は、図18に示す非伝送データ挿入同期信号発生部111を内蔵し、それぞれが発生する非伝送データ挿入同期信号を互いに送受信し、かつ、同期切換信号発生器9′にも供給されている。
【0010】
同期切換信号発生器9′は、1号系送信装置1と2号系送信装置2のどちらの系統が現在使用されているかを示すため、1号系信号非伝送データ挿入部10′に1号系選択信号を供給し、また、2号系信号非伝送データ挿入部11′には、2号系選択信号を供給する。
【0011】
この動作について説明する。例えば、現在1号系送信装置1が使用されている場合、同期切換信号発生器9′は、1号系選択信号を選択側に設定し、2号系選択信号を非選択側に設定する。この場合、1号系送信装置1は、マスター側と位置付け、1号系信号非伝送データ挿入部10′自身が発生する1号系非伝送データ挿入同期信号によるタイミングで非伝送データの挿入を行う。この時、2号系送信装置2は、スレーブ側と位置付け、1号系信号非伝送データ挿入部10′から供給される1号系非伝送データ挿入同期信号によるタイミングで、2号系信号非伝送データ挿入部11′での非伝送データの挿入を行う。また、2号系送信装置2が使用されている場合、2号系信号非伝送データ挿入部11′自身が発生する2号系非伝送データ挿入同期信号によるタイミングによって、両送信装置の非伝送データの挿入処理を行う。
【0012】
次に、1号系信号非伝送データ挿入部10′の具体的構成について図18を基に説明する。1号系信号非伝送データ挿入部10′は、非伝送データ挿入同期信号発生部111、非伝送データ信号発生部112、セレクタ113および114で構成されている。非伝送データ信号発生部112は、非伝送データを発生し、セレクタ113の入力端子bに出力する。また、1号系信号非伝送データ挿入部10′に入力された1号系信号は、セレクタ113の入力端子aに入力される。非伝送データ挿入同期信号発生部111は、非伝送データ挿入同期信号を発生し、セレクタ113の制御入力端子dに切換信号として出力される。
【0013】
セレクタ113は、切換信号によって、入力端子aに入力される1号系信号の間に入力端子bから入力される非伝送データを挿入し、その組み合せデータを出力端子cから1号系デジタル変調部5に出力する。
【0014】
セレクタ114の入力端子aには、1号系信号非伝送データ挿入部10′の内部で発生したリセット信号が供給され、セレクタ114の入力端子bには、2号系信号非伝送データ挿入部11′から供給される2号系非伝送データ挿入同期信号が入力され、セレクタ114の制御入力端子dには、同期切換信号発生器9′から供給される1号系選択信号が入力される。
【0015】
セレクタ114は、1号系選択信号によって、使用されている送信装置の系統を選択し、1号系送信装置1が選択されていれば、入力端子aからのリセット信号を出力端子cから非伝送データ挿入同期信号発生部111に出力し、2号系送信装置2が選択されていれば、入力端子bからの2号系非伝送データ挿入同期信号を出力端子cから非伝送データ挿入同期信号発生部111に出力する。非伝送データ挿入同期信号発生部111は、その内部のカウンタ回路をセレクタ114から入力された信号によってリセットする。これによって、1号系信号非伝送データ挿入部10′は、非伝送データ伝送期間での切換え動作を行なうことができる。
【0016】
2号系送信装置2についても上記と同様の動作が行なわれ、2号系信号非伝送データ挿入部11′が、その内部で発生したリセット信号と1号系信号非伝送データ挿入部10′からの1号系非伝送データ同期信号とのどちらかを、同期切換信号発生器9′から供給される2号系選択信号によって、非伝送データ伝送期間での切換え動作を行なう。
【0017】
以上のような構成と制御により、2系統の送信装置1および2の非伝送データの送信期間が一致し、切換時には、図16に示したタイミングでRF出力の切換が行われ、伝送データが欠落するのを回避した無瞬断の切換動作を実現している。
【0018】
而して、上述した二重系のデジタル無線送信装置において、非伝送データ区間で切り換えて伝送データが欠落するのを防止する方法を説明したが、この非伝送データでの切り換えに関して、受信側の自動等化器に関してもいろいろな問題があることが明らかになった。以下これについて説明する。
【0019】
上記従来の装置で説明した二重系のデジタル無線送信装置のアンテナからデジタルの伝送データが送信されるが、伝送路の波形歪やエコーなどが発生する。従って、受信側では、これらを等化するために自動等化器を内蔵した受信装置が良く知られている。この自動等化器を等化状態にするためには、前述したように予め決められたトレーニング信号(図16に示す非伝送データに相当する)と呼ばれる信号を送信側から、受信側に伝送される。このデジタル伝送データは、例えば、我が国の標準規格(ARIB STD-B11 1.0版)(1997年5月策定、社団法人 電波産業会)では、図5に示すように、19200シンボル(1.2msec)からなるフレームFの繰返し信号であり、このフレームデータは、255シンボルのトレーニング信号T(なお、トレーニング信号を総称する時には、トレーニング信号Tとし、個々のトレーニング信号を説明する時には、T1、T2、・・・と称することにする。)と残りのシンボルをデータ信号D(同様に、データ信号を総称する場合はデータ信号D、個々の場合はD1、D2、・・・と称する。)とする信号から構成されている。
【0020】
このデジタルデータを受信する受信側では、送信側で発生させたトレーニング信号Tと全く同じトレーニング信号を発生させて、受信した信号との差をとり、自動等化器のタップ係数値の更新を行ない、等化状態に引き込ませる。
【0021】
この等化アルゴリズムについては、“適応ディジタル信号処理と自動等化器”(非特許文献1参照)に詳しく解説してあるので、ここでは説明を省略する。
【0022】
この自動等化器の等化引き込み状況を図6に示す。例えば、トレーニングの等化アルゴリズムは、(1)式のようにするのが一般的である。
【0023】
(Cn+1)=(Cn)−α・(X*)・(e)・・・・・・・・・・(1)
ここに、Cnは、n時刻のタップ係数値、Cn+1は、(n+1)時刻のタップ係数値、X*は、入力信号の共役複素数、eは、等化残誤差、αは、タップ更新ゲインを表す。なお、(1)式に使用されている()は、()内の記号が複素信号であることを表している。以下、このような表示を本明細書では、図面を含め複素信号表示とする。
【0024】
図6は、縦軸に等化残誤差量、横軸に引き込み時間を示し、αをパラメータにした等化引き込み状況を示している。図6から明らかなように、(1)式のタップ更新ゲインαの値の大きさにより、引き込みの様子が異なる。即ち、αを比較的大きくすれば、引き込み時間は短いが、引き込み後の等化残誤差量は大きくなる。また、αを小さくすれば、引き込み等化後の等化残誤差量は小さくなるが、引き込み速度が遅くなり、等化状態に到達するのに時間がかかる。従って、引き込み時間と等化後の等化残誤差との関係は、トレードオフの関係にあり、αを適切な値に決めることが必要になる。なお、αの値は、一般的に0.001あるいは0.002等のような大きさの値であるが、具体的には、等化器を設計する場合の引き込み時間と等化残誤差の目標値を設定し、決定するのが望ましい。
【0025】
而して、同じαでも等化残誤差が大きい時には、急速に引き込んでいくが、等化残誤差が小さくなるにつれて、その引き込み速度は、だんだんと鈍くなり、時間がかかるようになる。従って、完全に引き込むまでには、相当な時間がかかるので、等化誤差がある程度以下となる時間で打ち切るのが普通である。
【0026】
図5に示したようなデジタルデータ構成、つまりトレーニング信号Tとデータ信号Dとを交互に挿入するシステムでは、トレーニング信号Tを送出している期間は、データ伝送ができないので、その期間をできるだけ短くしてデータ伝送効率を上げようとする。それとは反対にデータ信号Dの期間を長くすれば同様にデータ伝送効率が上がるが、今度は、トレーニング信号Tの挿入間隔が長くなって、伝送路の変化に追従できなくなる。従って、使用する伝送路の変化状況によって、トレーニング信号Tとデータ信号Dの構成比を決めるのが望ましい。こういった意味からトレーニング信号Tは、短い方が良いが、等化残誤差が完全に最小値に至らないトレーニング信号Tの期間を採用する場合が多くなっている。
【0027】
また、その等化残誤差をタップ更新ゲインαに対応した最小値にするための方法として、トレーニング信号Tで等化した結果のタップ係数値を記憶しておき、次のトレーニング信号Tのスタート時に初期値としてこの記憶しておいたタップ係数値を読み出して使用する。そして、トレーニング信号Tによる等化引き込みを継続して行ない、更に、そのトレーニング信号T1での最終のタップ係数値を記憶して、次のトレーニング信号T2での等化の初期値とすることにより、等化残誤差を順次低減する方法がある。以下このような方式をタップ係数値保持方式と称することにする。
【0028】
図7は、上述したように前回のタップ係数値を保持し、等化残誤差を順次低減するタップ係数値保持方法を示したものである。即ち、等化器に受信された信号と等化特性を示すもので、トレーニング信号T1で等化した結果のタップ係数値を記憶しておき、次のトレーニング信号T2では、前のトレーニング信号T1で等化した結果のタップ係数値を読み出し、これを初期値としてトレーニング信号T2で等化し、この結果のタップ係数値を記憶し、次のトレーニング信号T3では、トレーニング信号T2で等化した結果のタップ係数値を読み出し等化する。このようにすることによって、長いトレーニング信号で引き込んだ場合と同等の等化効果が得られ、自動等化器が完全に引き込み状態となり、等化残誤差がタップ更新ゲインαにおける最小値に到達させることができることになる。その結果、等化残誤差量を小さくでき、伝送データのビット誤り率が低くなり、データ伝送の誤りが極めて少なくなり、信頼性の高いデジタル伝送システムとすることができる。
【0029】
図8は、図7に示すタップ係数値保持方式の従来の自動等化器の具体的構成を示すブロック図である。なお、図8において、信号線の太線は、ベクトル量を表わし、細線は、スカラー量を表わしている。以下の各図においても同様である。伝送路から伝送され、復調部で復調されたベースバンド信号(X)は、入力端子50に印加される。このベースバンド信号(X)は、(2)式で表される。
【0030】
(X)=Xi+j・Xq・・・・・・・・・・・・・・・(2)
なお、Xiは、直交座標軸で同相成分、Xqは、直交成分を表す。
このベースバンド信号(X)は、タップ係数値可変のトランスバーサルフィルタ51に供給され、トランスバーサルフィルタ51からは、出力信号Σ(C)・(X)が出力され、出力端子52から自動等化されたデジタルデータが得られる。トランスバーサルフィルタ51の出力は、演算器(ここでは加算器)53に印加される。一方、受信側では、送信側で発生したトレーニング信号Tと同じ基準信号(Ref)が基準信号発生器(図示せず)で発生され、端子54に印加される。この基準信号(Ref)は、例えば、64QAM信号では、I、Q直交座標で決まる基準信号である。加算器53では、この(Ref)信号とトランスバーサルフィルタ51の出力信号との差が取られ、その等化残誤差(e)が得られる。入力端子50に印加されたベースバンド信号(X)は、共役複素数変換器55にも印加され、その出力として(3)式で示される共役複素数信号(X*)が得られる。
【0031】
(X*)=Xi−j・Xq・・・・・・・・・・・・・・(3)
次に、この共役複素数信号(X*)と誤差(e)とが乗算器56で積算され、更に、乗算器57でタップ更新ゲインαが積算される。従って、乗算器57の出力としてα・(X*)・(e)が得られ、これが加算器58に印加される。
【0032】
59は、スイッチ回路であり、端子61には、“(0)”が与えられている。トレーニング信号Tがないとき、即ち、スタート時は、スイッチ回路59は、接点dから“(0)”の信号が加算器58に印加されている。そして、トレーニング信号Tが到来すると、スイッチ回路59の接点は、cに切替わり、遅延回路60からの信号が加算器58に印加される。遅延回路60は、遅延時間TB(1/変調速度)の遅延時間を有し、遅延時間TBだけ遅延させたタップ係数値(Cn)が加算器58に印加される。従って、加算器58の出力は、(1)式に示すものとなり、新しいタップ係数値(Cn+1)となる。以後この新しいタップ係数値(Cn+1)がトランスバーサルフィルタ51のタップ係数を更新し、自動等化器36は動作する。
【0033】
トレーニング信号Tの期間、この等化アルゴリズムにより、等化動作を行なうことにより、トランスバーサルフィルタ51の特性は、伝送路33の周波数特性の逆特性となっていき、等化残誤差が最小となり、等化状態になったときには、トランスバーサルフィルタ51の出力信号は、伝送路の周波数特性を等化した状態となり、歪みのない信号となる。
【0034】
また、前回のタップ係数値を保持しないで、トレーニング信号Tが到来する度にタップ係数値を0にする自動等化回路は、図8の自動等化回路で実現できる。なお、このような方式の自動等化回路を0クリア方式の自動等化回路と称することにする。図8においてトレーニング信号Tが到来する度に、スイッチ回路59の接点は、dに接続され、端子61の“(0)”が加算器58に印加され、トランスバーサルフィルタ51のタップ係数値が0クリアされ、その直後にスイッチ回路59の接点は、cに切替わり、遅延回路60からの信号が加算器58に印加される。これにより0クリア方式の自動等化回路が実現できる。
【0035】
【非特許文献1】
“11.適応ディジタル信号処理と自動等化器”、電子通信学会編、昭和50年11月、231頁〜243頁
【0036】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、自動等化回路には、トレーニング信号Tを受信したときに、タップ係数値を全て0クリアして等化引き込み処理を行なう0クリア方式と、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を継続して行なうタップ係数値保持方式とがある。そして自動等化回路では、等化残誤差を減少させるためには、0クリア方式よりも、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を継続して等化引き込みするタップ係数値保持方式の方が性能が向上することが分かっている。しかしながら先に説明した二重系のデジタル無線装置では、タップ係数値の情報を継続する等化方式にすると、切り換えをしたとき、等化状態が悪くなり、ビットエラーが発生する可能性がある。即ち、デジタル無線装置の性能を上げようとすると、二重系のデジタル無線装置として切り換えが不可能となるが、切り換えを行なおうとすると、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を保持できないので、性能を下げたままで使用しなければならないという不都合がある。
【0037】
本発明の目的は、高信頼性の自動等化回路を有する二重系無線伝送方法および二重系無線伝送装置を提供することである。
【0038】
本発明の他の目的は、伝送路の特性変化に対しても安定な自動等化方式を用いる二重系無線伝送方法および二重系無線伝送装置を提供することである。
【0039】
本発明の更に他の目的は、タップ係数値の情報を継続する自動等化方式を用いる二重系無線伝送方法および二重系無線伝送装置を提供することである。
【0040】
【課題を解決するための手段】
本発明の二重系無線送信方法は、伝送データをそれぞれ送信する第1の送信装置と第2の送信装置と、上記第1と第2の送信装置の出力を切替える出力切換手段と、上記第1と第2の送信装置の切換信号を発生する切換制御部および上記出力切換手段を制御するタイマー手段を有する二重系無線送信装置において、上記第1の送信装置と第2の送信装置のいずれの送信装置が使用されているかの上記切換信号を上記伝送データに挿入する場合、上記タイマー手段の第1の期間は、上記第1の送信装置の伝送データを選択する第1の切換信号を挿入し、上記タイマー手段の第2の期間は、上記第2の送信装置の伝送データを選択する第2の切換信号を挿入し、上記タイマー手段の制御に基づき上記第1の送信装置と第2の送信装置の出力伝送データを選択して出力するように構成される。
【0041】
また、本発明の二重系無線送信装置は、伝送データをそれぞれ送信する第1の送信装置と第2の送信装置と、上記第1と第2の送信装置の出力を切替える出力切換手段と、上記第1と第2の送信装置の切換信号を発生する切換制御部および上記出力切換手段を制御するタイマー手段とからなり、上記切換制御部は、上記第1の送信装置と第2の送信装置のいずれの送信装置が使用されているかの上記切換信号を上記伝送データに挿入する切換信号挿入部を含み、上記切換信号挿入部は、上記タイマー手段の第1の期間は、上記第1の送信装置の伝送データを選択する第1の切換信号を挿入し、上記タイマー手段の第2の期間は、上記第2の送信装置の伝送データを選択する第2の切換信号を挿入するように動作する。
【0042】
また、本発明の伝送データ受信装置は、異なる送信装置からの伝送データを受信する受信部と上記受信した伝送データを切替える切換手段と、上記切換手段の出力がそれぞれ供給される第1と第2の自動等化回路と、上記切換手段を制御する切換信号検出手段および上記第1と第2の自動等化回路の出力を取出す出力手段からなり、上記異なる送信装置からの伝送データは、上記異なる送信装置のいずれの送信装置からの伝送データであるかを示す切換信号および上記伝送データを等化するトレーニング信号を含み、上記第1と第2の自動等化回路は、互いに異なる等化方式の等化回路であり、上記切換信号検出手段は、上記伝送データからいずれの送信装置からの伝送データであるかを示す切換信号を検出し、上記検出信号により上記切換手段を制御し、上記第1と第2の自動等化回路の出力を選択するように構成される。
【0043】
また、本発明の伝送データ受信装置において、上記第2の自動等化回路は、0クリア方式の自動等化回路であり、上記第1の自動等化回路は、タップ係数値保持方式、位相補正方式およびリーク方式のいずれか1つの自動等化回路で構成される。
【0044】
また、本発明の伝送データ受信装置において、上記第1の自動等化回路は、タップ係数値可変のトランスバーサルフィルタを有し、上記トランスバーサルフィルタに周期的な上記トレーニング信号を含む伝送データを印加する手段と、上記トランスバーサルフィルタの出力を取出す手段と、上記印加された第1のトレーニング信号の引き込み後の第1の位相角を検出する手段と、上記第1のトレーニング信号に続く第2のトレーニング信号の引き込み後の第2の位相角を検出する手段と、上記第1と第2の位相角を比較し、上記比較結果に基づいて上記タップ係数値を補正する手段および上記補正されたタップ係数値で上記トランスバーサルフィルタのタップ係数を制御する手段とから構成される。
【0045】
また、本発明の伝送データ受信装置において、上記第1の自動等化回路は、更に、上記第1のトレーニング信号の引き込み後のタップ係数値を減衰する手段を有し、上記減衰された第1のトレーニング信号の引き込み後のタップ係数値の位相角を補正するように構成される。
【0046】
また、本発明の伝送データ受信装置において、上記第1の自動等化回路は、タップ係数値可変のトランスバーサルフィルタを有し、上記トランスバーサルフィルタに周期的なトレーニング信号を含むデジタルデータを印加する手段と、上記トランスバーサルフィルタの出力を取出す手段と、上記周期的なトレーニング信号が到来する度に、上記トレーニング信号の引き込み後のタップ係数値を0クリアする手段と、上記所定のトレーニング信号の引き込み後のタップ係数値を検出する手段と、上記検出されたタップ係数値のメインタップの位相角と前回のトレーニング信号の引き込み後のタップ係数値のメインタップの位相角とを比較する手段と、上記前回のトレーニング信号の引き込み後のタップ係数値に(1−β)(0<β<1)を乗じる手段と、上記(1−β)を乗じたタップ係数値を上記比較手段の比較結果に基づいて補正する手段と、上記補正されたタップ係数値と上記所定のトレーニング信号の引き込み後のタップ係数値に定数βを乗じたタップ係数値を乗算する手段および上記乗算手段の出力により上記トランスバーサルフィルタのタップ係数を制御する手段とから構成される。
【0047】
更にまた、本発明は、データを伝送する二重系無線送信装置と上記二重系無線送信装置からの伝送データを受信する伝送データ受信装置とからなる二重系無線伝送装置であって、上記二重系無線送信装置は、伝送データをそれぞれ送信する第1と第2の送信装置と、上記第1と第2の送信装置の出力を切替える出力切換手段と、上記第1と第2の送信装置の切換信号を発生する切換制御部および上記出力切換手段を制御するタイマー手段とからなり、上記切換制御部は、上記第1の送信装置と第2の送信装置のいずれの送信装置が使用されているかの上記切換信号を上記伝送データに挿入する切換信号挿入部を含み、上記切換信号挿入部は、上記タイマー手段の第1の期間は、上記第1の送信装置の伝送データを選択する第1の切換信号を挿入し、上記タイマー手段の第2の期間は、上記第2の送信装置の伝送データを選択する第2の切換信号を挿入するように動作し、上記受信装置は、上記第1と第2の送信装置からの伝送データを受信する受信部と上記受信した伝送データを切替える切換手段と、上記切換手段の出力がそれぞれ供給される第1と第2の自動等化回路と、上記切換手段を制御する切換信号検出手段および上記第1と第2の自動等化回路の出力を取出す出力手段からなり、上記第1と第2の送信装置からの伝送データは、上記第1と第2の送信装置のいずれの送信装置からの伝送データであるかを示す切換信号および上記伝送データを等化するトレーニング信号を含み、上記第1と第2の自動等化回路は、互いに異なる等化方式の等化回路であり、上記切換信号検出手段は、上記伝送データからいずれの送信装置からの伝送データであるかを示す切換信号を検出し、上記検出信号により上記切換手段を制御し、上記第1と第2の自動等化回路の出力を選択するように構成される。
【0048】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の一実施例の二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の概略構成を示すブロック図である。なお、図15と同じものには、同じ符号が付されている。13は、同期切換信号発生回路、14は、タイマー回路、15は、同期信号発生回路、16は、1号系信号入力端子、17は、伝送クロック入力端子、18は、RF切替え信号入力端子、19は、2号系信号入力端子である。
【0049】
図4は、図3に示す本発明の二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の動作を説明するためのタイミングチャートを示す。まず、1号系送信装置1から2号系送信装置2に切り換える場合を考える。RF切替え信号入力端子18に印加された切換信号SW1が同期切換信号発生回路13に入力されると、タイマー回路14が所定時間動作するように構成されている。即ち、図4では、タイマーTSの動作をON−OFFで示している。
【0050】
そして、タイマーTSがOFFの状態では、この切換用制御信号として、1号系送信装置1側では、A(例えば、1ビットの信号で与えることもできる。)という信号を1号系信号非伝送データ挿入部10により挿入する。また、タイマーがONの状態では、Bという信号を同様に2号系信号非伝送データ挿入部11で挿入する。これら信号AおよびBは、図4では、トレーニング信号Tの直後に切換用制御信号として付加されている状態が示されている。しかし、これら信号AおよびBは、必ずしもトレーニング信号の直後でなくても、データ信号Dのフォーマット構成の中に含めることも可能であり、特にその位置は、これらに限定されるものではない。ここでは、説明の都合上、トレーニング信号Tの直後とする。従って、本実施例では、同期信号発生回路15は、トレーニング信号Tと1号系送信装置1側か、2号系送信装置2側かを示す信号AおよびBを発生する機能を有する。
【0051】
この信号は、デジタル変調部5で変調され、送信周波数変換部7にて、必要な周波数の信号に変換され、切換回路3に入力される。切換回路3は、通常は、接点がc側となっており、1号系出力信号SO1としてアンテナ4から送信される。
【0052】
而して、切換信号SW1が変化したときから、トレーニング信号に同期した信号が同期切換信号発生回路13からタイマー回路14に出力される。タイマーTSがONしている時間は、例えば、トレーニング信号Tとデータ信号Dで構成されている1周期の期間である。タイマーTSがONから再びOFFに戻った時点で切換回路3の接点をc側からd側に切り換えられ、切換回路3の出力として2号系出力信号SO2がアンテナ4から出力される。なお、タイマーTSは、ON期間をトレーニング信号Tとデータ信号Dで構成されている1周期の期間と説明したが、1周期以上であっても良いことは勿論である。従って、アンテナ4の出力としては、1号系送信装置1からの出力信号と2号系送信装置2からの出力信号とが切換回路3によって切換わり、図4に示したようなRF送出信号SRTとなる。
【0053】
次に、受信側について、図1および図2を基に説明する。図2は、本発明の一実施例の二重系デジタル無線伝送装置の受信側装置の概略構成を示すブロック図であり、図1は、図2に示すデジタル復調部の一実施例を説明するための概略構成を示すブロック図である。図1において、20は、送信側から送られるRF送出信号SRTを受信するアンテナ、21は、受信周波数変換部で、所定の周波数帯の信号(通常は、中間周波数(IF)信号)に変換される。22は、デジタル復調部で、ここで復調された信号は、出力端子23から出力され、必要な信号処理を行って、モニタ(図示せず。)等に表示される。
【0054】
図1において、受信周波数変換部21の出力は、入力端子25を介して復調部26に印加され、ここでベースバンド信号に変換される。次に、このベースバンド信号を自動等化するため、切換回路27に印加される。28は、タップ係数値保持方式、位相補正方式またはリーク方式(これらについては後述する。)の自動等化回路で構成されている。29は、0クリア方式自動等化回路で構成されている。なお、以下の説明では、装置構成(ハードウェアのイメージ)で説明するが、実際は、信号処理プロセッサのソフトウェアの変更で、これらの方式を変更できることは言うまでもない。また、ハードウェアで構成した場合でも、図1に示したような自動等化機能のブロック全体を切り換えずに、共通する部分はそのままとして、相違する部分だけを切り換えるように構成することも可能である。30は、切換回路、31は、切換制御信号検出回路、32は、データ変換回路である。
【0055】
図1の動作を図4を用いて説明する。切換制御信号検出回路31は、受信されたRF送出信号SRTに含まれている切換信号AおよびBを検出し、図4に示すスイッチ切換信号SW2を発生し、切換回路27および30に印加する。即ち、切換制御信号検出回路31は、トレーニング信号の直後に挿入した切換用制御信号をAか、Bかを検出し、Aという情報を検出した場合には、切換回路27および30の接点をa側にし、Bという情報を検出した場合には、接点をb側にする。切換回路27および30がa側に接続されている時は、1号系送信装置1からの信号を受信しており、この場合、受信信号は、タップ係数値保持方式、位相補正方式またはリーク方式の自動等化回路28で自動等化される。なお、図4では、リーク方式の自動等化動作AEを一例として示している。
【0056】
一方、切換回路27および30がb側に接続されている時は、2号系送信装置2からの信号を受信しており、この場合、受信信号は、0クリア方式の自動等化回路で自動等化される。自動等化回路で等化された信号は、データ変換回路32で必要な信号形態に変換され、出力端子33から出力される。
【0057】
以上説明したように故障の修理や保守を行う等のために、送信側で2号系送信装置2に切換えた信号部分は、受信側では、自動等化器が0クリア方式であり、それ以外の期間では、タップ係数値保持方式、位相補正方式またはリーク方式の自動等化を行っている。
【0058】
なお、0クリア方式の自動等化回路は、例えば、図8に示したようにトレーニング信号Tが到来する度にトランスバーサルフィルタのタップ係数を0クリアすることで実現できるし、また、タップ係数値保持方式の自動等化回路は、図8に示すように最初のトレーニング信号Tが到来する時のみ0クリアし、以後は、タップ係数値を保持する方式の自動等化回路が使用可能である。
【0059】
次に、更に改良された方式の自動等化回路について、以下に説明する。なお、この改良された方式の自動等化回路については、本出願人が先に出願した特願2002−333475(2002年11月18日出願)に詳しく説明されている。
【0060】
図9は、本発明に使用される自動等化回路のブロック図を示すもので、ナイキスト間隔でサンプリングする構成のものが示されている。一般に、伝送路の特性が変化した場合、図8に示す従来の自動等化回路では、等化残誤差量が最小に到達しなかったり、逆に等化残誤差量が増える場合がある。例えば、伝送路で周波数に変化があった場合等は、トレーニング信号Tの位相も異なるので、タップ係数値を保持する方式のものは、継続した等化引込にならない状態となる。図9は、このような周波数に変化があった場合、それを補正するような自動等化回路であり、これを位相補正方式の自動等化回路と呼ぶことにする。なお、図9において、図8と同じものには、同じ符号が付されている。ベースバンド信号(X)が入力端子50を介して、トランスバーサルフィルタ51に印加される。トランスバーサルフィルタ51の詳細な構成は、図10に示される。即ち、図10は、従来周知のナイキスト間隔でサンプリングされるトランスバーサルフィルタ51を示し、90−1、90−2、・・・90−nは、遅延時間TB(1/変調速度)を有する遅延回路である。91−1、91−2、・・・91−n、91−(n+1)は、乗算器で、それぞれの乗算器には、タップ係数入力端子92−1、92−2、・・・92−n、92−(n+1)が設けられ、n時刻のタップ係数値が加算器58から印加される。乗算器91−1、91−2、・・・91−n、91−(n+1)の出力信号は、加算器93で加算され、その出力としてΣ(C)・(X)が得られる。なお、図11で示すトランスバーサルフィルタ51の動作は、従来から良く知られているので、ここでは説明を省略する。
【0061】
さて、トランスバーサルフィルタ51の出力Σ(C)・(X)は、図8で説明したと同様に、演算器53で受信側で発生させたトレーニング信号(Ref)との誤差(e)を検出する。この誤差(e)は、乗算器56に印加すると同時に、位相角度検出器80に印加される。位相角度検出器80では、基準となる直交座標軸上で、現在受信しているトレーニング信号の位相角(θnew)を演算し、加算器81に出力する。
【0062】
一方、前回のトレーニング信号にて引き込んだタップ係数値(Cn)のメインタップ係数値の角度(θold)を位相角度検出器85で計算する。なお、84は、遅延回路で、遅延回路84の遅延時間TFは、加算器81に印加される位相角(θnew)および(θold)の遅延時間が一致するように選ばれる。この遅延回路84から得られるタップ係数値(Cn)は、前回のトレーニング信号Tを等化した結果なので、タップ係数値がトレーニング信号の位相角を表わしている。
【0063】
従って、演算器81の出力として、位相角(θnew)および(θold)の位相差(Δθ)が算出される。これは、前回のトレーニング信号を受信したときのキャリヤ周波数の位相と現在受信しているトレーニング信号のキャリヤ周波数の位相との差を演算したことになる。この位相差(Δθ)は、位相回転用複素変換回路82で、(4)式で示される補正信号(ejθ)を発生し、乗算器83に印加する。
【0064】
(ejθ)=cosθ+j・sinθ・・・・・・・・・・・(4)
乗算器83では、遅延回路84で記憶していたタップ係数値(Cn)を回転し、現在受信中のトレーニング信号のキャリヤ周波数の位相θnewに合わせる。即ち、補正された信号となる。この信号がスイッチ回路59の接点dに印加され、トレーニング信号到来時の最初に乗算器83にてΔθ回転させれば、次からは、スイッチ回路59の接点をd側からc側に切り換える。スイッチ回路59の動作を図10により説明する。トレーニング信号T1が到来すると、スイッチ回路59の接点は、接点dにあり、乗算器83から補正された信号が加算器58に印加される。次に、スイッチ回路59の接点は、c側に切り換えられ、遅延回路60の出力(Cn)が加算器58に加えられ、この状態が次ぎのトレーニング信号T2が到来するまで続く。
【0065】
このようにすることにより、トレーニング信号Tを受信した先頭で新しいキャリヤ周波数の位相に合わせた状態から等化引き込みが行われるので、伝送路33で周波数が変化しても、等化引き込みを継続できるようになり、等化残誤差量(e)を最小値までもっていくことができる。
【0066】
更に、本発明に使用する自動等化回路の他の一実施例を図11を用いて説明する。図11は、ダブルサンプリング構成の自動等化回路が示されている。なお、図9と同じものには、同じ符号が付されている。ベースバンド信号(X)が入力端子50を介して、トランスバーサルフィルタ51に印加される。トランスバーサルフィルタ51の詳細な構成は、図12に示される。即ち、図12は、従来周知のダブルサンプリング構成のトランスバーサルフィルタ51を示し、95−1、95−2、・・・95−nは、遅延時間TB/2を有する遅延回路である。96−1、96−2、・・・96−n、96−(n+1)は、乗算器で、それぞれの乗算器には、タップ係数入力端子97−1、97−2、・・・97−n、97−(n+1)が設けられ、n時刻のタップ係数値が加算器58から印加される。乗算器96−1、96−2、・・・96−n、96−(n+1)の出力信号は、加算器98で加算され、その出力としてΣ(C)・(X)が得られる。
【0067】
なお、図12で示すトランスバーサルフィルタ51は、遅延回路95−1、95−2、・・・95−nの遅延時間が図9に示すトランスバーサルフィルタ51の遅延回路の遅延時間が1/2になったもので、ナイキストサンプリングの場合とほぼ同じ構成である。従って、図12で示すトランスバーサルフィルタ51の詳細な動作説明は、従来から良く知られているので省略する。
【0068】
而して、ダブルサンプリング構成の自動等化器は、文献IEEE TRANSACTION ONCOMMUNICATIONS, VOL. COM-24, NO. 8, AUGUST 1979, 856頁―864頁“Fractional Tap-Spacing Equalizer and Consequences for Clock Recovery in Data Modems”に示されている。この文献によると、長い時間のタップ更新に対して、タップ係数値のドリフト現象があるために、その対策としてリーク機能が必要となることが記載されている。
【0069】
従って、図11に示す本発明の実施例では、遅延回路84の出力をリーク機能を有する乗算器100を介して乗算器83に印加される。この乗算器100は、トレーニング信号T毎にリーク動作をする機能を有する。即ち、スイッチ回路59は、図8で述べたようにトレーニング信号T1を受信して、タップ更新を開始する寸前には、接点d側にあり、前回受信したトレーニング信号(C'n)に(1−β)(ここに、0<β<1の定数である。)を乗算する。このβは非常に小さな値であり、前回のトレーニング信号での結果のタップ係数値をほんの少し減ずる(リークさせる)ことになる。
【0070】
前回受信したトレーニング信号(C'n)に(1−β)を乗算された信号は、乗算器83で位相差分(Δθ)だけ回転させる。そして、一旦、(1−β)を乗じた後は、スイッチ回路59は、接点をc側にして、図9に示す自動等化器と同様の動作を行なう。なお、このように前回のトレーニング信号での結果のタップ係数値をほんの少し減ずる方式の自動等化回路をリーク方式の自動等化回路と呼ぶことにする。
【0071】
更にまた、本発明に使用する自動等化回路の更に他の一実施例を図13および図14を用いて説明する。この実施例は、位相補正方式の自動等化回路とリーク方式の自動等化回路を組み合わせた方式の自動等化回路である。図13において、図11と同じものには、同じ符号が付されている。また、図14は、図13の自動等化回路の各スイッチ回路の動作を説明するタイムチャートを示す図である。なお、図13に示すトランスバーサルフィルタ51には、図10および図12に示すトランスバーサルフィルタ51が使用可能である。
【0072】
図13に示すスイッチ回路121は、図14のSW121に示すようにトレーニング信号Tの開始から終了直前までは、接点bに接続され、トレーニング信号Tの終了直前からデータDの期間は、接点aに接続されている。また、スイッチ回路59は、図14のSW59で示されるタイミングでスイッチされ、端子61には、“(0)”の信号が印加される。従って、スイッチ回路121が接点bに接続されている期間は、図8に示す自動等化回路と全く同じ構成となり、動作もこれと全く同じである。そしてスイッチ回路121がトレーニング信号Tの終了直前に接点aに切り換えられ、後述する位相補正およびリーク機能を付加され、更新されたタップ係数値がトランスバーサルフィルタ51に与えられる。
【0073】
次に、スイッチ回路122は、図14のSW122に示すようなタイミングでトレーニング信号Tの期間中にONされ、遅延回路60に加えられるタップ係数値(Cn)を引き込み、乗算器123および位相角度検出器80に加えられる。位相角度検出器80では、引き込んだタップ係数値に対してメインタップ(中央タップ)の位相角(θnew)を検出する。また、前回トレーニング信号Tを受信したとき引き込んだタップ係数値(C'n)は、遅延回路84に記憶されており、位相角度検出器85では、このメインタップの位相角(θold)を検出する。これら位相角(θnew)と位相角(θold)が加算器81で加算(ここでは減算)され、位相角差(Δθ)が求められ、位相回転複素変換器82で位相回転され、スイッチ回路125を介して、乗算器83に入力される。
【0074】
一方、この乗算器83には、前回トレーニング信号でのタップ係数値(C'n)にリーク処理即ち(1−β)を乗算した信号が入力される。その結果、リークしたタップ係数値を(Δθ)分回転したことになる。なお、スイッチ回路125は、図14のSW125で示すタイミングで接点e、fが切り換わるように動作する。即ち、トレーニング信号Tの開始から終了直前までは接点fに接続され、端子126の信号“(1)”(=1+j・0)が入力され、回転しないようになっている。また、トレーニング信号Tの終了直前からデータDの期間は、接点eに接続され、(Δθ)分回転する動作をする。
【0075】
加算器124では、この回転したタップ係数値から、今回、0クリアして引き込ませたタップ係数値に、βをかけた値を引く。この構成により、前回のタップ係数値に対して、現在のトレーニング信号Tで引き込んだタップ係数値を、(1−β):βの割合で加えていくことにより、目的とする複数のトレーニング信号Tを継続してタップ更新するのと等価な動作とすることができる。従って、図14に示すようにトレーニング信号T1、T2、・・・の引き込み後のタップ係数値のように順次等化残誤差が減少する自動等化器を実現することができる。
【0076】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された二重系無線伝送方法および二重系無線伝送装置に限定されるものではなく、上記以外のデジタル無線伝送方法およびデジタル無線伝送装置に広く適応することが出来ることは、言うまでも無い。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように公共の放送業務用などの極めて高い信頼性が要求される伝送装置では、実際の放送時の故障に対する耐性や保守作業時の運用性確保のため、放送を中断することなく、故障の修理や保守を行う等の見地から信号伝送装置を二重にし、冗長性が与えられるように構成される。この二重系の信号伝送装置からの信号を受信する側では、伝送信号を自動等化する必要があり、二重系の信号送信装置を切り換えたときにも、等化状態がよく、ビットエラーの発生の少ない自動等化回路を有する二重系無線伝送方法および二重系無線伝送装置を実現でき、その効果は、極めて大きい。
【0078】
また、本発明は、切り換えを実行するときに、一時的に自動等化器の等化方式を0クリア方式に切り換え、切り換えが実行されれば、また、継続方式に戻すようにしている。そうすれば、通常の使用時には、継続方式にて性能が向上した状態で使用でき、切り換え時は、一時的に0クリア方式にするが、これは切り換えが頻繁に行なわれるわけではなく、アラーム発生時や保守点検時のみといった非常に稀なので、多少性能が下がってもほとんど影響を受けない二重系無線伝送方法および二重系無線伝送装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受信側装置のデジタル復調部の一実施例を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の二重系デジタル無線伝送装置の受信側装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例の二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例の二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の動作タイミングを説明するための図である。
【図5】本発明に使用するデジタルデータの一例を示す図である。
【図6】トレーニング信号受信による自動等化回路の引込み状態を説明する図である。
【図7】複数のトレーニング信号を使用した場合の自動等化の動作を説明する図である。
【図8】従来の自動等化回路の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の二重系デジタル無線伝送装置に使用される自動等化回路の一実施例を示す図である。
【図10】図9に示す自動等化回路に用いられるトランスバーサルフイルタの一例を示す図である。
【図11】本発明の二重系デジタル無線伝送装置に使用される自動等化回路の他の一実施例を示す図である。
【図12】図11に示す自動等化回路に用いられるトランスバーサルフイルタの一例を示す図である。
【図13】本発明の二重系デジタル無線伝送装置に使用される自動等化回路の更に他の一実施例を示す図である。
【図14】図13に示す自動等化回路の動作タイミングを説明するための図である。
【図15】従来の二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の一例を説明するブロック図である。
【図16】図15に示す送信側装置の動作を説明するための図である。
【図17】従来の二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の他の一例を説明するブロック図である。
【図18】図17に示す非伝送データ挿入部の具体的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1:1号系送信装置、2:2号系送信装置、3:出力切換器、4、20:アンテナ、5、6:デジタル変調部、7、8:周波数変換部、10、11:非伝送データ挿入部、13:同期切換信号発生回路、14:タイマー回路、15:同期信号発生回路、16:1号系信号入力端子、17:伝送クロック入力端子、18:RF切替え信号入力端子、19:2号系信号入力端子、21:受信周波数変換部、22:デジタル復調部、23:出力端子、25:入力端子、26:復調部、27、30:切換回路、28、29:自動等化回路、31:切換制御信号検出回路、32:データ変換回路、33:出力回路。
Claims (3)
- 伝送データをそれぞれ送信する第1の送信装置と第2の送信装置と、上記第1と第2の送信装置の出力を切替える出力切換手段と、上記第1と第2の送信装置の切換信号を発生する切換制御部および上記出力切換手段を制御するタイマー手段とからなり、上記切換制御部は、上記第1の送信装置と第2の送信装置のいずれの送信装置が使用されているかの上記切換信号を上記伝送データに挿入する切換信号挿入部を含み、上記切換信号挿入部は、上記タイマー手段の第1の期間は、上記第1の送信装置の伝送データを選択する第1の切換信号を挿入し、上記タイマー手段の第2の期間は、上記第2の送信装置の伝送データを選択する第2の切換信号を挿入するように動作することを特徴とする二重系無線送信装置。
- 異なる送信装置からの伝送データを受信する受信部と上記受信した伝送データを切替える切換手段と、上記切換手段の出力がそれぞれ供給される第1と第2の自動等化回路と、上記切換手段を制御する切換信号検出手段および上記第1と第2の自動等化回路の出力を取出す出力手段からなり、上記異なる送信装置からの伝送データは、上記異なる送信装置のいずれの送信装置からの伝送データであるかを示す切換信号および上記伝送データを等化するトレーニング信号を含み、上記第1と第2の自動等化回路は、互いに異なる等化方式の等化回路であり、上記切換信号検出手段は、上記伝送データからいずれの送信装置からの伝送データであるかを示す切換信号を検出し、上記検出信号により上記切換手段を制御し、上記第1と第2の自動等化回路の出力を選択することを特徴とする伝送データ受信装置。
- 請求項2記載の伝送データ受信装置において、上記第2の自動等化回路は、0クリア方式の自動等化回路であり、上記第1の自動等化回路は、タップ係数値保持方式、位相補正方式およびリーク方式のいずれか1つの自動等化回路で構成されていることを特徴とする伝送データ受信装置。
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