JP2004274498A - デジタル無線受信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝送路特性の変動に応じ、0クリア方式の自動等化処理と等化性能の良いタップ係数値保持方式を切り替えて使用することにより、伝送路特性の変動に対しての追従速度を改善すること。
【解決手段】伝送路等化のための波形等化用基準信号が周期的に挿入された伝送データを受信するデジタル無線受信装置において、送信装置からの伝送データを受信し復調する受信復調手段と、該受信復調した伝送データがそれぞれ供給される第1と第2の自動等化器と、該第1と第2の自動等化器の出力を切り換えて取り出す切換手段と、該切換手段を伝送路の特性変動に応じて切り換え制御する特性変動検出手段を有し、該特性変動検出手段出力により切換手段を制御し、第1と第2の自動等化器の出力を選択するようにしたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】伝送路等化のための波形等化用基準信号が周期的に挿入された伝送データを受信するデジタル無線受信装置において、送信装置からの伝送データを受信し復調する受信復調手段と、該受信復調した伝送データがそれぞれ供給される第1と第2の自動等化器と、該第1と第2の自動等化器の出力を切り換えて取り出す切換手段と、該切換手段を伝送路の特性変動に応じて切り換え制御する特性変動検出手段を有し、該特性変動検出手段出力により切換手段を制御し、第1と第2の自動等化器の出力を選択するようにしたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波形等化用基準信号を用いて等化処理を行うデジタル無線伝送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地上波放送のデジタル化に伴い、デジタル無線伝送装置が用いられるようになっている。 特に、公共の放送業務用などの極めて高い信頼性が要求される伝送装置では、実際の放送時の故障に対する耐性や保守作業時の運用性確保、即ち、放送を中断することなく、故障の修理や保守を行う等の見地から信号伝送装置を二重にし、冗長性が与えられるように構成される場合が多い。
このようなデジタル無線伝送装置では、放送に用いるテレビジョン信号などの伝送データの他に、無線伝送路の特性変動に対応するために使用される波形等化用基準信号、所謂、トレーニング信号などの非伝送データが一定周期で挿入されて伝送される場合が多い。なお、トレーニング信号については後述する。
【0003】
ここで、デジタル無線伝送装置の送信側において、二重化された送信装置を切り換える際に、非伝送データの伝送期間に切り換えを行なうことで、切り換えに伴うデータの欠落が生じないようにする方式が提案されている。 その一例を、図4および図5で説明する。図4は、二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の構成を示すブロック図、図5は、その動作を説明するための図である。なお、図5の横軸は、時間を示している。図4は、一例として、同一の信号に対して、入力からアンテナの手前までを1号系送信装置1と2号系送信装置2の二重系とし、アンテナ4を共通にした場合のプロック図を示している。
【0004】
1号系送信装置1と2号系送信装置2には、同じ信号源から1号系信号と2号系信号として分配され、それぞれの装置に入力される。 また、同期生成器12は、非伝送データ挿入信号、例えば、トレーニング信号を生成し、1号系非伝送データ挿入部10、2号系非伝送データ挿入部11及び同期切換信号発生器9に出力される。これにより、1号系非伝送データと2号系非伝送データとは、同期して伝送される。
まず、1号系送信装置1に入力された1号系信号は、1号系非伝送データ挿入部10に入力される。1号系非伝送データ挿入部10では、同期生成器12から供給される非伝送データ挿入信号を一定周期でベースバンドの伝送信号に挿入され、図5に示す1号系伝送データ(a)のように組み合わせデータとして1号系デジタル変調部5に出力される。
【0005】
同様に、2号系送信装置2に入力された2号系信号は、2号系非伝送データ挿入部11で非伝送データ挿入信号を一定周期でベースバンドの伝送信号に挿入され、図5に示す2号系伝送データ(b)のように組み合わせデータとして2号系デジタル変調部6に出力される。また、図5において、(c)は非伝送データ挿入同期信号、(d)はRF切換制御信号、(e)はRF出力切換同期制御信号、(f)はRF出力切換器から出力される伝送データの内容を示している。
1号系デジタル変調部5は、入力された組み合わせデータをデジタル変調し、1号系送信周波数変換部7に出力する。1号系送信周波数変換部7は、入力された信号を所定の周波数のRF信号に周波数変換し、RF出力切換器3に出力され、アンテナ4からRF出力として伝送される。同様に、2号系送信装置2に入力される2号系信号も2号系非伝送データ挿入部11、2号系デジタル変調部6、2号系送信周波数変換部8を通り、RF出力切換器3に出力される。
【0006】
同期切換信号発生器9は、RF切換動作制御信号を発生し、故障発生時や保守作業時等で1号系送信装置1から2号系送信装置2へ、また逆に、2号系から1号系へ送信の切換えを行なう場合、装置運用者の所定の操作によりRF出力部を切り換える動作をする。即ち、図5の時刻t0でRF切換制御信号が入力され、1号系から2号系へ切換えの指示があった場合、RF出力切換動作同期制御信号を生成し、次の非伝送データ同期信号が発生する時刻t1から所定の時間τ遅延させたタイミングでRF切換器3を切り換える。これにより今まで、1号系受信装置1からの信号を送信アンテナ4に出力していたものを、2号系受信装置2からの信号を送信アンテナ4に出力するようにする。従って、この方式は、非伝送データの区間で切り換わるので、伝送データが欠落するのを回避した無瞬断の切換動作を実現することができる。
【0007】
以上のような構成と制御により、2系統の送信装置1および2の非伝送データの送信期間が一致し、切換時には、図5に示したタイミングでRF出力の切換が行われ、伝送データが欠落するのを回避した無瞬断の切換動作を実現している。
而して、上述した二重系のデジタル無線送信装置において、非伝送データ区間で切り換えて伝送データが欠落するのを防止する方法を説明したが、この非伝送データでの切り換えに関して、受信側の自動等化器に関してもいろいろな問題があることが明らかになった。以下これについて説明する。
【0008】
上記従来の装置で説明した二重系のデジタル無線送信装置のアンテナから、デジタルの伝送データが送信されるが、伝送路の波形歪やエコーなどが発生する。従って、受信側では、これらを等化するために自動等化器を内蔵した受信装置が良く知られている。この自動等化器を等化状態にするために、前述したように、予め決められたトレーニング信号(図5に示す非伝送データに相当する)と呼ばれる信号を、送信側から受信側に伝送する。
このデジタル伝送データは、例えば、我が国の標準規格(ARIB STD−B11.0版)(1997年5月策定、社団法人 電波産業会)では、図6に示すように、19200シンボル(1.2msec)からなるフレームFの繰返し信号であり、このフレームデータは、255シンボルのトレーニング信号T(ここで、トレーニング信号を総称する時には、トレーニング信号Tとし、個々のトレーニング信号を説明する時には、T1,T2,・・・と称することにする)と残りのシンボルをデータ信号D(同様に、データ信号を総称する場合はデータ信号D、個々の場合はD1,D2,・・・と称する)とする信号から構成されている。
【0009】
このデジタルデータを受信する受信側では、送信側で発生させたトレーニング信号Tと全く同じトレーニング信号を発生させて、受信した信号との差をとり、自動等化器のタップ係数値の更新を行ない、等化状態に引き込ませる。
この等化アルゴリズムについては、“適応ディジタル信号処理と自動等化器”(非特許文献1参照)に詳しく解説してあるので、ここでは説明を省略する。
【0010】
この自動等化器の等化引き込み状況を図7に示す。ここで、トレーニング信号の等化アルゴリズムは、例えば、(1)式のようにするのが一般的である。
(Cn+1)=(Cn)−α・(X*)・(e) ・・・・・・・・ (1)
ここに、Cnは、n時刻のタップ係数値、Cn+1は、(n+1)時刻のタップ係数値、X*は入力信号の共役複素数、eは等化残誤差、αはタップ更新ゲインを表す。なお、(1)式に使用されている()は、()内の記号が複素信号であることを表している。以下、このような表示を本明細書では、図面を含め複素信号表示とする。
【0011】
図7は、縦軸に等化残誤差量、横軸に引き込み時間を示し、αをパラメータにした等化引き込み状況を示している。図7から明らかなように、(1)式のタップ更新ゲインαの値の大きさにより、引き込みの様子が異なる。即ち、αを比較的大きくすれば、引き込み時間は短くなるが、引き込み後の等化残誤差量は大きくなる。また、αを小さくすれば、引き込み等化後の等化残誤差量は小さくなるが、引き込み速度が遅くなり、等化状態に到達するのに時間がかかる。従って、引き込み時間と等化後の等化残誤差との関係は、トレードオフの関係にあり、αを適切な値に決めることが必要になる。なお、αの値は、一般的に0.001あるいは0.002等のような大きさの値であるが、具体的には、等化器を設計する場合の引き込み時間と等化残誤差の目標値を設定し、決定するのが望ましい。
【0012】
而して、同じαでも等化残誤差が大きい時は、急速に引き込んでいくが、等化残誤差が小さくなるにつれて、その引き込み速度は、だんだんと鈍くなり、時間がかかるようになる。従って、完全に引き込むまでには、相当な時間がかかるので、等化誤差がある程度以下となる時間で打ち切るのが普通である。
図6に示したようなデジタルデータ構成、つまり、トレーニング信号Tとデータ信号Dとを交互に挿入するシステムでは、トレーニング信号Tを送出している期間は、データ伝送ができないので、その期間をできるだけ短くしてデータ伝送効率を上げようとする。それとは反対にデータ信号Dの期間を長くすれば同様にデータ伝送効率が上がるが、今度は、トレーニング信号Tの挿入間隔が長くなって、伝送路の変化に追従できなくなる。 従って、使用する伝送路の変化状況により、トレーニング信号Tとデータ信号Dの構成比を決めるのが望ましい。こういった意味から、トレーニング信号Tは、短い方が良いが、等化残誤差が完全に最小値に至らないトレーニング信号Tの期間を採用する場合が多くなっている。
【0013】
また、その等化残誤差をタップ更新ゲインαに対応した最小値にするための方法として、トレーニング信号Tで等化した結果のタップ係数値を記憶しておき、次のトレーニング信号Tのスタート時に初期値としてこの記憶しておいたタップ係数値を読み出して使用する。そして、トレーニング信号Tによる等化引き込みを継続して行ない、更に、そのトレーニング信号T1での最終のタップ係数値を記憶して、次のトレーニング信号T2での等化の初期値とすることにより、等化残誤差を順次低減する方法がある。以下このような方式をタップ係数値保持方式と称することにする。
【0014】
図8は、上述したように前回のタップ係数値を保持し、等化残誤差を順次低減するタップ係数値保持方法を示したものである。即ち、等化器に受信された信号と等化特性を示すもので、トレーニング信号T1で等化した結果のタップ係数値を記憶しておき、次のトレーニング信号T2では、前のトレーニング信号T1で等化した結果のタップ係数値を読み出し、これを初期値としてトレーニング信号T2で等化し、この結果のタップ係数値を記憶し、次のトレーニング信号T3では、トレーニング信号T2で等化した結果のタップ係数値を読み出し等化する。このようにすることによって、長いトレーニング信号で引き込んだ場合と同等の等化効果が得られ、自動等化器が完全に引き込み状態となり、等化残誤差をタップ更新ゲインαにおける最小値に到達させることができる。その結果、等化残誤差量を小さくでき、伝送データのビット誤り率が低くなり、データ伝送の誤りが極めて少なくなり、信頼性の高いデジタル伝送システムとすることができる。
【0015】
図9は、図8に示すタップ係数値保持方式の従来の自動等化器の具体的構成を示すブロック図である。なお、図9において、信号線の大線は、ベクトル量を表わし、細線は、スカラー量を表わしている。以下の各図においても同様である。伝送路から伝送され、復調部で復調されたベースバンド信号(X)は、入力端子50に印加される。このベースバンド信号(X)は、(2)式で表される。
(X)=Xi+j・Xq ・・・・・・・・・・・・・ (2)
なお、Xiは、直交座標軸で同相成分、Xqは、直交成分を表す。
このベースバンド信号(X)は、タップ係数値可変のトランスバーサルフィルタ51に供給され、トランスバーサルフィルタ51からは、出力信号Σ(C)・(X)が出力され、出力端子52から自動等化されたデジタルデータが得られる。
【0016】
トランスバーサルフィルタ51の出力は、演算器(ここでは加算器)53に印加される。一方、受信側では、送信側で発生したトレーニング信号Tと同じ基準信号(Ref)が基準信号発生器(図示せず)で発生され、端子54に印加される。
この基準信号(Ref)は、例えば、64QAM信号では、I、Q直交座標で決まる基準信号である。加算器53では、この(Ref)信号とトランスバーサルフィルタ51の出力信号との差が取られ、その等化残誤差(e)が得られる。入力端子50に印加されたベースバンド信号(X)は、共役複素数変換器55にも印加され、その出力として(3)式で示される共役複素数信号(X*)が得られる。
(X*)=Xi−j・Xq ・・・・・・・・・・・・・・ (3)
次に、この共役複素数信号(X*)と誤差(e)とが乗算器56で積算され、更に、乗算器57でタップ更新ゲインαが積算される。従って、乗算器57の出力として、α・(X*)・(e)が得られ、これが加算器58に印加される。
【0017】
59は、スイッチ回路であり、端子61には、“(0)”が与えられている。トレーニング信号Tがないとき、即ち、スタート時は、スイッチ回路59は接点dから“(0)”の信号が加算器58に印加されている。そして、トレーニング信号Tが到来すると、スイッチ回路59の接点は、cに切替わり、遅延回路60からの信号が加算器58に印加される。
遅延回路60は、遅延時間TB(1/変調速度)の遅延時間を有し、遅延時間TBだけ遅延させたタップ係数値(Cn)が加算器58に印加される。 従って、加算器58の出力は、(1)式に示すものとなり、新しいタップ係数値(Cn+1)となる。以後この新しいタップ係数値(Cn+1)がトランスバーサルフィルタ51のタップ係数を更新し、自動等化器36は動作する。
【0018】
トレーニング信号Tの期間、この等化アルゴリズムにより、等化動作を行なうことにより、トランスバーサルフィルタ51の特性は、伝送路33の周波数特性の逆特性となっていき、等化残誤差が最小となり、等化状態になったときには、トランスバーサルフィルタ51の出力信号は、伝送路の周波数特性を等化した状態となり、歪みのない信号となる。
【0019】
また、前回のタップ係数値を保持しないで、トレーニング信号Tが到来する度にタップ係数値を0にする自動等化回路は、図9の自動等化回路で実現できる。なお、このような方式の自動等化回路を0クリア方式の自動等化回路と称することにする。図9においてトレーニング信号Tが到来する度に、スイッチ回路59の接点は、dに接続され、端子61の“(0)”が加算器58に印加され、トランスバーサルフィルタ51のタップ係数値が0クリアされ、その直後にスイッチ回路59の接点は、cに切替わり、遅延回路60からの信号が加算器58に印加される。これにより0クリア方式の自動等化回路が実現できる。
【0020】
【非特許文献1】
“11.適応ディジタル信号処理と自動等化器”、電子通信学会編、昭和50年11月、231頁〜243頁
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、自動等化回路には、トレーニング信号Tを受信したときに、タップ係数値を全て0クリアして等化引き込み処理を行なう0クリア方式と、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を継続して行なうタップ係数値保持方式とがある。そして自動等化回路では、等化残誤差を減少させるためには、0クリア方式よりも、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を継続して等化引き込みするタップ係数値保持方式の方が性能が向上することが分かっている。しかしながら先に説明した二重系のデジタル無線装置では、タップ係数値の情報を継続する等化方式にすると、切り換えをしたとき、等化状態が悪くなり、ビットエラーが発生する可能性がある。即ち、デジタル無線装置の性能を上げようとすると、二重系のデジタル無線装置として切り換えが不可能となるが、切り換えを行なおうとすると、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を保持できないので、性能を下げたままで使用しなければならないという不都合がある。
本発明は、これらの欠点を除去し、伝送路特性の変動に応じ、0クリア方式の自動等化処理と等化性能の良いタップ係数値保持方式を切り替えて使用することにより、伝送路特性の変動に対しての追従速度を改善することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、伝送路等化のための波形等化用基準信号が周期的に挿入された伝送データを受信するデジタル無線受信装置において、送信装置からの伝送データを受信し復調する受信復調手段と、該受信復調した伝送データがそれぞれ供給される第1と第2の自動等化器と、該第1と第2の自動等化器の出力を切り換えて取り出す切換手段と、該切換手段を伝送路の特性変動に応じて切り換え制御する特性変動検出手段を有し、該特性変動検出手段出力により切換手段を制御し、第1と第2の自動等化器の出力を選択するようにしたものである。
また、第1の自動等化器は、0クリア方式の自動等化器、第2の自動等化器は、タップ係数値保持方式の自動等化器で構成されており、特性変動検出手段は、伝送路の特性変動が大きい場合にはタップ係数値を0クリアする第1の自動等化器を選択し、伝送路の特性変動が小さい場合には前回のタップ係数値を引きついで等化処理を行う第2の自動等化器を選択するよう切換手段を制御するものである。
また、特性変動検出手段は、第1と第2の自動等化器のいずれかのタップ係数値について、前回のタップ係数値と今回のタップ係数値との差分を求め、その差分の大小で伝送路の特性変動の大小を判定するものである。
即ち、伝送路特性の変動が発生したときに、一時的に自動等化器の等化方式を0クリア方式に切り替え、変動が収束した後、タップ係数値保持方式に戻すようにする。そうすることで、伝送路特性が時間的に変化しない場合にはタップ係数値保持方式にて性能が向上した状態で伝送されてくる信号を受信でき、また、特性変動に対しては0クリア方式による追従性能が確保できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を、図1、図2、図3を用いて説明する。 図2は、本発明に係るデジタル無線伝送装置の受信側装置の概略構成を示すブロック図であり、図1は図2に示すデジタル復調部の一実施形態で、自動等化器を使用した場合のブロック図である。図3は図1の動作を説明するタイミングチャートである。
図2において、20は送信側から送信されてくるRF送出信号を受信するアンテナ、21は受信周波数変換部で、所定の周波数帯の信号(通常は、中間周波数(IF)信号)に変換される。22はデジタル復調部で、ここで復調された信号は、出力端子23から出力され、必要な信号処理を行って、モニタ(図示せず)等に表示される。
【0024】
図1において、受信周波数変換部21(図2)の出力は、入力端子25を介してデジタル復調部22の復調回路26に印加され、ここでベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号を自動等化するために、タップ係数値保持方式の自動等化器27と0クリア方式の自動等化器28へ入力され、各々の自動等化器で処理されたタップ係数値および等化されたベースバンド信号は、切り換え回路29によって切り換えられる。
なお、以下の説明では、装置構成(ハードウェアのイメージ)で説明しているが、ソフトウェアで構成している場合には、上記切り換えはソフトウェア処理の変更でよい。また、図1に示したような自動等化機能のブロック全体を切り換えずに、共通する部分はそのままとして、タップ係数値保持方式と0クリア方式とで相違する部分だけを切り換えても構わない。
【0025】
切り換え回路29で切り換えられたベースバンド信号は、データ変換回路30へ出力され、タップ係数値は遅延回路31へ出力される。遅延回路31は、前回の等化処理でのタップ係数値を加算器32へ出力し、そこで0クリア方式の自動等化器28の現在のタップ係数値との差分がとられ、この差分が特性変動検出回路33へ渡される。
0クリア方式の自動等化器28で得られるタップ係数値は、現時点での伝送路特性に応じて即座に変化するため、上記差分は前回の等化処理以降の伝送路特性の変動の大きさを表す。特性変動検出回路33は、上記差分とシミュレーションや実験などで求めたしきい値とを比較し、伝送路特性の変動が大きいと判断した場合は、切り換え回路29の接点をb側に切り換え、0クリア方式の自動等化器28を選択する。また、変動が小さいと判断した場合、接点をa側に切り換え、タップ係数値保持方式の自動等化器27を選択する。
【0026】
上記自動等化動作の詳細を図3のタイミングチャートに示し詳細に説明する。図3において、伝送路特性(b)は、最初は、状態Aであり、切り換え回路29の接点選択信号(d)はa側であり、自動等化動作(e)は、タップ係数値保持方式の自動等化器27が選択され、状態Aの伝送路特性に十分に等化され、タップ係数差分(c)が小さい状態にいるものとする。
受信するデータ(a)には、前述のように放送用信号等のデータにトレーニング信号が周期的に挿入されている。自動等化器27,28は、トレーニング信号を受信する度に等化処理を行い、タップ係数値が算出されると共に、0クリア方式の自動等化器28では、前回とのタップ係数値との差分が算出される。
【0027】
ここで、伝送路特性(b)が状態Aから状態Bへと変化した場合、その次の等化処理時のタップ係数値の差分(c)は増大する。 そこで、特性変動検出回路33により、その差分量が大きいと判断された場合、切り換え回路接点選択信号(d)がa側からb側へと切り換わり、0クリア方式の自動等化器28が選択される。
これにより、今まで状態Aを等化するように設定されていたタップ係数値が、直ちに状態Bを等化するように変更される。従って、その次の等化処理時には、タップ係数値差分(c)は小さくなり、切り換え回路接点選択信号(d)はa側に移り、タップ係数値保持方式の自動等化器27が選択され、等化性能の良いタップ係数値保持方式の等化処理に戻る。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような等化処理制御を行うことで、伝送路特性の変動が発生した場合には0クリア方式の自動等化処理を行い、その変動に追従させ、通常は性能の高いタップ係数値保持方式の自動等化処理を行うことが可能となり、より高性能のデジタル無線伝送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタル復調部の一実施例の構成を示すブロック図
【図2】本発明のデジタル無線伝送装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の動作を説明するタイミングチャート
【図4】二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の構成を示すブロック図
【図5】図4の動作を説明するための図
【図6】本発明に使用するデジタルデータの一例を示す模式図
【図7】トレーニング信号受信による自動等化回路の引き込み状態を説明する図
【図8】複数のトレーニング信号を使用した場合の自動等化動作を説明する図
【図9】従来の自動等化回路の一例を示すブロック図
【符号の説明】
22:デジタル復調部、26:復調回路、27:タップ係数値保持方式の自動等化器、28:0クリア方式自動等化器、29:切り換え回路、30:データ変換回路、31:遅延回路、32:加算器、33:特性変動検出回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、波形等化用基準信号を用いて等化処理を行うデジタル無線伝送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地上波放送のデジタル化に伴い、デジタル無線伝送装置が用いられるようになっている。 特に、公共の放送業務用などの極めて高い信頼性が要求される伝送装置では、実際の放送時の故障に対する耐性や保守作業時の運用性確保、即ち、放送を中断することなく、故障の修理や保守を行う等の見地から信号伝送装置を二重にし、冗長性が与えられるように構成される場合が多い。
このようなデジタル無線伝送装置では、放送に用いるテレビジョン信号などの伝送データの他に、無線伝送路の特性変動に対応するために使用される波形等化用基準信号、所謂、トレーニング信号などの非伝送データが一定周期で挿入されて伝送される場合が多い。なお、トレーニング信号については後述する。
【0003】
ここで、デジタル無線伝送装置の送信側において、二重化された送信装置を切り換える際に、非伝送データの伝送期間に切り換えを行なうことで、切り換えに伴うデータの欠落が生じないようにする方式が提案されている。 その一例を、図4および図5で説明する。図4は、二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の構成を示すブロック図、図5は、その動作を説明するための図である。なお、図5の横軸は、時間を示している。図4は、一例として、同一の信号に対して、入力からアンテナの手前までを1号系送信装置1と2号系送信装置2の二重系とし、アンテナ4を共通にした場合のプロック図を示している。
【0004】
1号系送信装置1と2号系送信装置2には、同じ信号源から1号系信号と2号系信号として分配され、それぞれの装置に入力される。 また、同期生成器12は、非伝送データ挿入信号、例えば、トレーニング信号を生成し、1号系非伝送データ挿入部10、2号系非伝送データ挿入部11及び同期切換信号発生器9に出力される。これにより、1号系非伝送データと2号系非伝送データとは、同期して伝送される。
まず、1号系送信装置1に入力された1号系信号は、1号系非伝送データ挿入部10に入力される。1号系非伝送データ挿入部10では、同期生成器12から供給される非伝送データ挿入信号を一定周期でベースバンドの伝送信号に挿入され、図5に示す1号系伝送データ(a)のように組み合わせデータとして1号系デジタル変調部5に出力される。
【0005】
同様に、2号系送信装置2に入力された2号系信号は、2号系非伝送データ挿入部11で非伝送データ挿入信号を一定周期でベースバンドの伝送信号に挿入され、図5に示す2号系伝送データ(b)のように組み合わせデータとして2号系デジタル変調部6に出力される。また、図5において、(c)は非伝送データ挿入同期信号、(d)はRF切換制御信号、(e)はRF出力切換同期制御信号、(f)はRF出力切換器から出力される伝送データの内容を示している。
1号系デジタル変調部5は、入力された組み合わせデータをデジタル変調し、1号系送信周波数変換部7に出力する。1号系送信周波数変換部7は、入力された信号を所定の周波数のRF信号に周波数変換し、RF出力切換器3に出力され、アンテナ4からRF出力として伝送される。同様に、2号系送信装置2に入力される2号系信号も2号系非伝送データ挿入部11、2号系デジタル変調部6、2号系送信周波数変換部8を通り、RF出力切換器3に出力される。
【0006】
同期切換信号発生器9は、RF切換動作制御信号を発生し、故障発生時や保守作業時等で1号系送信装置1から2号系送信装置2へ、また逆に、2号系から1号系へ送信の切換えを行なう場合、装置運用者の所定の操作によりRF出力部を切り換える動作をする。即ち、図5の時刻t0でRF切換制御信号が入力され、1号系から2号系へ切換えの指示があった場合、RF出力切換動作同期制御信号を生成し、次の非伝送データ同期信号が発生する時刻t1から所定の時間τ遅延させたタイミングでRF切換器3を切り換える。これにより今まで、1号系受信装置1からの信号を送信アンテナ4に出力していたものを、2号系受信装置2からの信号を送信アンテナ4に出力するようにする。従って、この方式は、非伝送データの区間で切り換わるので、伝送データが欠落するのを回避した無瞬断の切換動作を実現することができる。
【0007】
以上のような構成と制御により、2系統の送信装置1および2の非伝送データの送信期間が一致し、切換時には、図5に示したタイミングでRF出力の切換が行われ、伝送データが欠落するのを回避した無瞬断の切換動作を実現している。
而して、上述した二重系のデジタル無線送信装置において、非伝送データ区間で切り換えて伝送データが欠落するのを防止する方法を説明したが、この非伝送データでの切り換えに関して、受信側の自動等化器に関してもいろいろな問題があることが明らかになった。以下これについて説明する。
【0008】
上記従来の装置で説明した二重系のデジタル無線送信装置のアンテナから、デジタルの伝送データが送信されるが、伝送路の波形歪やエコーなどが発生する。従って、受信側では、これらを等化するために自動等化器を内蔵した受信装置が良く知られている。この自動等化器を等化状態にするために、前述したように、予め決められたトレーニング信号(図5に示す非伝送データに相当する)と呼ばれる信号を、送信側から受信側に伝送する。
このデジタル伝送データは、例えば、我が国の標準規格(ARIB STD−B11.0版)(1997年5月策定、社団法人 電波産業会)では、図6に示すように、19200シンボル(1.2msec)からなるフレームFの繰返し信号であり、このフレームデータは、255シンボルのトレーニング信号T(ここで、トレーニング信号を総称する時には、トレーニング信号Tとし、個々のトレーニング信号を説明する時には、T1,T2,・・・と称することにする)と残りのシンボルをデータ信号D(同様に、データ信号を総称する場合はデータ信号D、個々の場合はD1,D2,・・・と称する)とする信号から構成されている。
【0009】
このデジタルデータを受信する受信側では、送信側で発生させたトレーニング信号Tと全く同じトレーニング信号を発生させて、受信した信号との差をとり、自動等化器のタップ係数値の更新を行ない、等化状態に引き込ませる。
この等化アルゴリズムについては、“適応ディジタル信号処理と自動等化器”(非特許文献1参照)に詳しく解説してあるので、ここでは説明を省略する。
【0010】
この自動等化器の等化引き込み状況を図7に示す。ここで、トレーニング信号の等化アルゴリズムは、例えば、(1)式のようにするのが一般的である。
(Cn+1)=(Cn)−α・(X*)・(e) ・・・・・・・・ (1)
ここに、Cnは、n時刻のタップ係数値、Cn+1は、(n+1)時刻のタップ係数値、X*は入力信号の共役複素数、eは等化残誤差、αはタップ更新ゲインを表す。なお、(1)式に使用されている()は、()内の記号が複素信号であることを表している。以下、このような表示を本明細書では、図面を含め複素信号表示とする。
【0011】
図7は、縦軸に等化残誤差量、横軸に引き込み時間を示し、αをパラメータにした等化引き込み状況を示している。図7から明らかなように、(1)式のタップ更新ゲインαの値の大きさにより、引き込みの様子が異なる。即ち、αを比較的大きくすれば、引き込み時間は短くなるが、引き込み後の等化残誤差量は大きくなる。また、αを小さくすれば、引き込み等化後の等化残誤差量は小さくなるが、引き込み速度が遅くなり、等化状態に到達するのに時間がかかる。従って、引き込み時間と等化後の等化残誤差との関係は、トレードオフの関係にあり、αを適切な値に決めることが必要になる。なお、αの値は、一般的に0.001あるいは0.002等のような大きさの値であるが、具体的には、等化器を設計する場合の引き込み時間と等化残誤差の目標値を設定し、決定するのが望ましい。
【0012】
而して、同じαでも等化残誤差が大きい時は、急速に引き込んでいくが、等化残誤差が小さくなるにつれて、その引き込み速度は、だんだんと鈍くなり、時間がかかるようになる。従って、完全に引き込むまでには、相当な時間がかかるので、等化誤差がある程度以下となる時間で打ち切るのが普通である。
図6に示したようなデジタルデータ構成、つまり、トレーニング信号Tとデータ信号Dとを交互に挿入するシステムでは、トレーニング信号Tを送出している期間は、データ伝送ができないので、その期間をできるだけ短くしてデータ伝送効率を上げようとする。それとは反対にデータ信号Dの期間を長くすれば同様にデータ伝送効率が上がるが、今度は、トレーニング信号Tの挿入間隔が長くなって、伝送路の変化に追従できなくなる。 従って、使用する伝送路の変化状況により、トレーニング信号Tとデータ信号Dの構成比を決めるのが望ましい。こういった意味から、トレーニング信号Tは、短い方が良いが、等化残誤差が完全に最小値に至らないトレーニング信号Tの期間を採用する場合が多くなっている。
【0013】
また、その等化残誤差をタップ更新ゲインαに対応した最小値にするための方法として、トレーニング信号Tで等化した結果のタップ係数値を記憶しておき、次のトレーニング信号Tのスタート時に初期値としてこの記憶しておいたタップ係数値を読み出して使用する。そして、トレーニング信号Tによる等化引き込みを継続して行ない、更に、そのトレーニング信号T1での最終のタップ係数値を記憶して、次のトレーニング信号T2での等化の初期値とすることにより、等化残誤差を順次低減する方法がある。以下このような方式をタップ係数値保持方式と称することにする。
【0014】
図8は、上述したように前回のタップ係数値を保持し、等化残誤差を順次低減するタップ係数値保持方法を示したものである。即ち、等化器に受信された信号と等化特性を示すもので、トレーニング信号T1で等化した結果のタップ係数値を記憶しておき、次のトレーニング信号T2では、前のトレーニング信号T1で等化した結果のタップ係数値を読み出し、これを初期値としてトレーニング信号T2で等化し、この結果のタップ係数値を記憶し、次のトレーニング信号T3では、トレーニング信号T2で等化した結果のタップ係数値を読み出し等化する。このようにすることによって、長いトレーニング信号で引き込んだ場合と同等の等化効果が得られ、自動等化器が完全に引き込み状態となり、等化残誤差をタップ更新ゲインαにおける最小値に到達させることができる。その結果、等化残誤差量を小さくでき、伝送データのビット誤り率が低くなり、データ伝送の誤りが極めて少なくなり、信頼性の高いデジタル伝送システムとすることができる。
【0015】
図9は、図8に示すタップ係数値保持方式の従来の自動等化器の具体的構成を示すブロック図である。なお、図9において、信号線の大線は、ベクトル量を表わし、細線は、スカラー量を表わしている。以下の各図においても同様である。伝送路から伝送され、復調部で復調されたベースバンド信号(X)は、入力端子50に印加される。このベースバンド信号(X)は、(2)式で表される。
(X)=Xi+j・Xq ・・・・・・・・・・・・・ (2)
なお、Xiは、直交座標軸で同相成分、Xqは、直交成分を表す。
このベースバンド信号(X)は、タップ係数値可変のトランスバーサルフィルタ51に供給され、トランスバーサルフィルタ51からは、出力信号Σ(C)・(X)が出力され、出力端子52から自動等化されたデジタルデータが得られる。
【0016】
トランスバーサルフィルタ51の出力は、演算器(ここでは加算器)53に印加される。一方、受信側では、送信側で発生したトレーニング信号Tと同じ基準信号(Ref)が基準信号発生器(図示せず)で発生され、端子54に印加される。
この基準信号(Ref)は、例えば、64QAM信号では、I、Q直交座標で決まる基準信号である。加算器53では、この(Ref)信号とトランスバーサルフィルタ51の出力信号との差が取られ、その等化残誤差(e)が得られる。入力端子50に印加されたベースバンド信号(X)は、共役複素数変換器55にも印加され、その出力として(3)式で示される共役複素数信号(X*)が得られる。
(X*)=Xi−j・Xq ・・・・・・・・・・・・・・ (3)
次に、この共役複素数信号(X*)と誤差(e)とが乗算器56で積算され、更に、乗算器57でタップ更新ゲインαが積算される。従って、乗算器57の出力として、α・(X*)・(e)が得られ、これが加算器58に印加される。
【0017】
59は、スイッチ回路であり、端子61には、“(0)”が与えられている。トレーニング信号Tがないとき、即ち、スタート時は、スイッチ回路59は接点dから“(0)”の信号が加算器58に印加されている。そして、トレーニング信号Tが到来すると、スイッチ回路59の接点は、cに切替わり、遅延回路60からの信号が加算器58に印加される。
遅延回路60は、遅延時間TB(1/変調速度)の遅延時間を有し、遅延時間TBだけ遅延させたタップ係数値(Cn)が加算器58に印加される。 従って、加算器58の出力は、(1)式に示すものとなり、新しいタップ係数値(Cn+1)となる。以後この新しいタップ係数値(Cn+1)がトランスバーサルフィルタ51のタップ係数を更新し、自動等化器36は動作する。
【0018】
トレーニング信号Tの期間、この等化アルゴリズムにより、等化動作を行なうことにより、トランスバーサルフィルタ51の特性は、伝送路33の周波数特性の逆特性となっていき、等化残誤差が最小となり、等化状態になったときには、トランスバーサルフィルタ51の出力信号は、伝送路の周波数特性を等化した状態となり、歪みのない信号となる。
【0019】
また、前回のタップ係数値を保持しないで、トレーニング信号Tが到来する度にタップ係数値を0にする自動等化回路は、図9の自動等化回路で実現できる。なお、このような方式の自動等化回路を0クリア方式の自動等化回路と称することにする。図9においてトレーニング信号Tが到来する度に、スイッチ回路59の接点は、dに接続され、端子61の“(0)”が加算器58に印加され、トランスバーサルフィルタ51のタップ係数値が0クリアされ、その直後にスイッチ回路59の接点は、cに切替わり、遅延回路60からの信号が加算器58に印加される。これにより0クリア方式の自動等化回路が実現できる。
【0020】
【非特許文献1】
“11.適応ディジタル信号処理と自動等化器”、電子通信学会編、昭和50年11月、231頁〜243頁
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、自動等化回路には、トレーニング信号Tを受信したときに、タップ係数値を全て0クリアして等化引き込み処理を行なう0クリア方式と、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を継続して行なうタップ係数値保持方式とがある。そして自動等化回路では、等化残誤差を減少させるためには、0クリア方式よりも、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を継続して等化引き込みするタップ係数値保持方式の方が性能が向上することが分かっている。しかしながら先に説明した二重系のデジタル無線装置では、タップ係数値の情報を継続する等化方式にすると、切り換えをしたとき、等化状態が悪くなり、ビットエラーが発生する可能性がある。即ち、デジタル無線装置の性能を上げようとすると、二重系のデジタル無線装置として切り換えが不可能となるが、切り換えを行なおうとすると、前回受信したときに引き込んだタップ係数値の情報を保持できないので、性能を下げたままで使用しなければならないという不都合がある。
本発明は、これらの欠点を除去し、伝送路特性の変動に応じ、0クリア方式の自動等化処理と等化性能の良いタップ係数値保持方式を切り替えて使用することにより、伝送路特性の変動に対しての追従速度を改善することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、伝送路等化のための波形等化用基準信号が周期的に挿入された伝送データを受信するデジタル無線受信装置において、送信装置からの伝送データを受信し復調する受信復調手段と、該受信復調した伝送データがそれぞれ供給される第1と第2の自動等化器と、該第1と第2の自動等化器の出力を切り換えて取り出す切換手段と、該切換手段を伝送路の特性変動に応じて切り換え制御する特性変動検出手段を有し、該特性変動検出手段出力により切換手段を制御し、第1と第2の自動等化器の出力を選択するようにしたものである。
また、第1の自動等化器は、0クリア方式の自動等化器、第2の自動等化器は、タップ係数値保持方式の自動等化器で構成されており、特性変動検出手段は、伝送路の特性変動が大きい場合にはタップ係数値を0クリアする第1の自動等化器を選択し、伝送路の特性変動が小さい場合には前回のタップ係数値を引きついで等化処理を行う第2の自動等化器を選択するよう切換手段を制御するものである。
また、特性変動検出手段は、第1と第2の自動等化器のいずれかのタップ係数値について、前回のタップ係数値と今回のタップ係数値との差分を求め、その差分の大小で伝送路の特性変動の大小を判定するものである。
即ち、伝送路特性の変動が発生したときに、一時的に自動等化器の等化方式を0クリア方式に切り替え、変動が収束した後、タップ係数値保持方式に戻すようにする。そうすることで、伝送路特性が時間的に変化しない場合にはタップ係数値保持方式にて性能が向上した状態で伝送されてくる信号を受信でき、また、特性変動に対しては0クリア方式による追従性能が確保できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を、図1、図2、図3を用いて説明する。 図2は、本発明に係るデジタル無線伝送装置の受信側装置の概略構成を示すブロック図であり、図1は図2に示すデジタル復調部の一実施形態で、自動等化器を使用した場合のブロック図である。図3は図1の動作を説明するタイミングチャートである。
図2において、20は送信側から送信されてくるRF送出信号を受信するアンテナ、21は受信周波数変換部で、所定の周波数帯の信号(通常は、中間周波数(IF)信号)に変換される。22はデジタル復調部で、ここで復調された信号は、出力端子23から出力され、必要な信号処理を行って、モニタ(図示せず)等に表示される。
【0024】
図1において、受信周波数変換部21(図2)の出力は、入力端子25を介してデジタル復調部22の復調回路26に印加され、ここでベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号を自動等化するために、タップ係数値保持方式の自動等化器27と0クリア方式の自動等化器28へ入力され、各々の自動等化器で処理されたタップ係数値および等化されたベースバンド信号は、切り換え回路29によって切り換えられる。
なお、以下の説明では、装置構成(ハードウェアのイメージ)で説明しているが、ソフトウェアで構成している場合には、上記切り換えはソフトウェア処理の変更でよい。また、図1に示したような自動等化機能のブロック全体を切り換えずに、共通する部分はそのままとして、タップ係数値保持方式と0クリア方式とで相違する部分だけを切り換えても構わない。
【0025】
切り換え回路29で切り換えられたベースバンド信号は、データ変換回路30へ出力され、タップ係数値は遅延回路31へ出力される。遅延回路31は、前回の等化処理でのタップ係数値を加算器32へ出力し、そこで0クリア方式の自動等化器28の現在のタップ係数値との差分がとられ、この差分が特性変動検出回路33へ渡される。
0クリア方式の自動等化器28で得られるタップ係数値は、現時点での伝送路特性に応じて即座に変化するため、上記差分は前回の等化処理以降の伝送路特性の変動の大きさを表す。特性変動検出回路33は、上記差分とシミュレーションや実験などで求めたしきい値とを比較し、伝送路特性の変動が大きいと判断した場合は、切り換え回路29の接点をb側に切り換え、0クリア方式の自動等化器28を選択する。また、変動が小さいと判断した場合、接点をa側に切り換え、タップ係数値保持方式の自動等化器27を選択する。
【0026】
上記自動等化動作の詳細を図3のタイミングチャートに示し詳細に説明する。図3において、伝送路特性(b)は、最初は、状態Aであり、切り換え回路29の接点選択信号(d)はa側であり、自動等化動作(e)は、タップ係数値保持方式の自動等化器27が選択され、状態Aの伝送路特性に十分に等化され、タップ係数差分(c)が小さい状態にいるものとする。
受信するデータ(a)には、前述のように放送用信号等のデータにトレーニング信号が周期的に挿入されている。自動等化器27,28は、トレーニング信号を受信する度に等化処理を行い、タップ係数値が算出されると共に、0クリア方式の自動等化器28では、前回とのタップ係数値との差分が算出される。
【0027】
ここで、伝送路特性(b)が状態Aから状態Bへと変化した場合、その次の等化処理時のタップ係数値の差分(c)は増大する。 そこで、特性変動検出回路33により、その差分量が大きいと判断された場合、切り換え回路接点選択信号(d)がa側からb側へと切り換わり、0クリア方式の自動等化器28が選択される。
これにより、今まで状態Aを等化するように設定されていたタップ係数値が、直ちに状態Bを等化するように変更される。従って、その次の等化処理時には、タップ係数値差分(c)は小さくなり、切り換え回路接点選択信号(d)はa側に移り、タップ係数値保持方式の自動等化器27が選択され、等化性能の良いタップ係数値保持方式の等化処理に戻る。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような等化処理制御を行うことで、伝送路特性の変動が発生した場合には0クリア方式の自動等化処理を行い、その変動に追従させ、通常は性能の高いタップ係数値保持方式の自動等化処理を行うことが可能となり、より高性能のデジタル無線伝送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタル復調部の一実施例の構成を示すブロック図
【図2】本発明のデジタル無線伝送装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の動作を説明するタイミングチャート
【図4】二重系デジタル無線伝送装置の送信側装置の構成を示すブロック図
【図5】図4の動作を説明するための図
【図6】本発明に使用するデジタルデータの一例を示す模式図
【図7】トレーニング信号受信による自動等化回路の引き込み状態を説明する図
【図8】複数のトレーニング信号を使用した場合の自動等化動作を説明する図
【図9】従来の自動等化回路の一例を示すブロック図
【符号の説明】
22:デジタル復調部、26:復調回路、27:タップ係数値保持方式の自動等化器、28:0クリア方式自動等化器、29:切り換え回路、30:データ変換回路、31:遅延回路、32:加算器、33:特性変動検出回路。
Claims (3)
- 伝送路等化のための波形等化用基準信号が周期的に挿入された伝送データを受信するデジタル無線受信装置において、送信装置からの上記伝送データを受信し復調する受信復調手段と、該受信復調した伝送データがそれぞれ供給される第1と第2の自動等化器と、該第1と第2の自動等化器の出力を切り換えて取り出す切換手段と、該切換手段を伝送路の特性変動に応じて切り換え制御する特性変動検出手段を有し、該特性変動検出手段出力により上記切換手段を制御し、上記第1と第2の自動等化器の出力を選択することを特徴とするデジタル無線受信装置。
- 請求項1において、上記第1の自動等化器は、0クリア方式の自動等化器、上記第2の自動等化器は、タップ係数値保持方式の自動等化器で構成されており、上記特性変動検出手段は、伝送路の特性変動が大きい場合にはタップ係数値を0クリアする上記第1の自動等化器を選択し、伝送路の特性変動が小さい場合には前回のタップ係数値を引きついで等化処理を行う上記第2の自動等化器を選択するよう上記切換手段を制御することを特徴とするデジタル無線受信装置。
- 請求項1または2において、上記特性変動検出手段は、上記第1と第2の自動等化器のいずれかのタップ係数値について、前回のタップ係数値と今回のタップ係数値との差分を求め、その差分の大小で伝送路の特性変動の大小を判定することを特徴とするデジタル無線受信装置。
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