以下、本発明を実施する場合の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明が適用される無線通信システムの構成を示す図である。
同図に示すように、この無線通信システムにおいて、第1の基地局101および第2の基地局102のそれぞれのセル106、107は一部重なり合っている。いま、端末103は、各基地局101、102のセル106、107が重なり合う領域に存在しており、電波強度のより高い側の基地局すなわち第1の基地局101のみと無線通信を行っている。
基地局101、102から端末103への信号104の送信は周波数ホッピング方式を用いて行われる。また、基地局101、102では、送信すべき信号に対して誤り訂正符号化が行われ、端末103は受信した信号を誤り訂正復号して基地局101、102からの送信情報を得る。なお、各々の基地局101、102にとって、自分以外の基地局が現在用いているホッピングパターンの種類と数は不明である。
第2の基地局102が端末103以外の端末と通信しているとき、端末103は、第1の基地局101から送信された信号104と同時に第2の基地局102から送信された信号105も受信することになる。このため、第1の基地局101で用いられているホッピングパターンと第2の基地局102で用いられているホッピングパターンとの間に衝突している部分があると、その衝突部分について、第2の基地局102から送信された信号105は、第1の基地局101から送信された信号104にとって干渉信号となり、端末103の受信性能を劣化させる要因の一つとなる。
図2は周波数ホッピング方式でのホッピングパターンの衝突の例を示すグラフである。各グラフ(a)(b)(c)(d)はそれぞれ縦軸に周波数、横軸に時間をとっている。図2(a)(b)に示すように、各基地局101、102は使用する周波数が一定時間毎に変化する周波数ホッピング方式を用いて信号を送信する。端末103は各基地局101、102からの信号を受信できる位置に存在しているので、端末103においては、図2(c)に示すように、各基地局101、102の送信信号が重なった状態で受信される。端末103では、第1の基地局101で用いられている送信ホッピングパターンに合わせてサンプリングする受信信号を選択しているため、図2(d)に示すように、ホッピングパターンの衝突が起きていない信号は第2の基地局102からの干渉信号の影響を受けないが、ホッピングパターンの衝突が起きている信号は干渉信号の影響を受け、端末103の受信性能を劣化させる要因となる。
そこで、図3に示すように、ホッピングパターンの衝突が起きている受信シンボルを検出し、その受信シンボルを、正常に伝送されたシンボルに影響を与えない信号であるヌルシンボルに置き換えて誤り訂正復号を行うことで、ホッピングパターンの衝突による受信性能の劣化抑制を図ることができる。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。この受信装置は図1の無線通信システムの端末103に用いられたものである。
同図に示すように、この受信装置は、基地局からの信号を受信する受信アンテナ201と、受信アンテナ201にて受信した信号に通信相手である基地局の送信ホッピングパターンに従って一定時間毎に変化する周波数信号を乗算するホッピングパターン乗算部202と、ホッピングパターン乗算部202の出力の帯域制限を行ってベースバンド周波数信号に変換する帯域通過フィルタ(以下、BPFと呼ぶ)203と、BPF203の出力をデジタル信号に変換するA/D変換部204と、デジタル受信信号を復調する復調部205と、復調された受信信号においてホッピングパターンの衝突によって劣化した受信シンボルをヌルシンボルに置換するヌル信号挿入部206と、ヌル信号挿入部206の出力に対して誤り訂正復号を行う誤り訂正復号部207と、誤り訂正復号された信号において訂正しきれなかった信号の有無を検出する誤り検出部208と、当該受信装置を制御する上位レイヤ209と、自局宛ての送信信号と他局宛ての送信信号との間でホッピングパターンの衝突が起きている受信シンボルを検出するホッピングパターン衝突検出部210と、受信用のホッピングパターンを発生するホッピングパターン発生部211と、ホッピングパターン発生部211からのホッピングパターンに基づいてホッピングパターン乗算部202に周波数信号を出力する周波数シンセサイザ212とを備えている。
図5は、上記のホッピングパターン衝突検出部210の構成を示す図である。
同図に示すように、このホッピングパターン衝突検出部210は、誤り訂正復号部207による誤り訂正復号に成功した信号ブロックを誤り訂正符号化する誤り訂正符号化部231と、誤り訂正符号化部231の符号化信号と誤り訂正復号部207による誤り訂正復号前の復調受信信号とを比較して差異のあるビット位置を検出する誤り位置検出部232と、誤り位置検出部232によって検出された誤りビット位置の誤りの発生率が閾値を上回る場合に、そのビット位置をホッピングパターンの衝突が起きているシンボル位置として判定してヌル信号挿入部206に通知する誤りシンボル位置判定部233とを備えている。
次に、本実施形態の受信装置の動作を説明する。
図6は第1の実施形態の受信装置の動作を示すフローチャートである。
受信アンテナ201で受信された信号は、ホッピングパターン乗算部202にて、周波数シンセサイザ212が発生する周波数信号つまり通信相手である第1の基地局101の送信ホッピングパターンに従って一定時間毎に変化する周波数信号と乗算され、乗算結果はBPF203を通過してベースバンド周波数信号に変換される。ホッピングパターンは通信の成立時にその通信相手である第1の基地局101から通知される。BPF203を通過したベースバンド周波数信号は、A/D変換部204にてデジタル信号に変換され、復調部205にて復調処理が行われる(ステップ601)。
前回までの復号処理においてホッピングパターンの衝突が既に検出されている場合は(ステップ602のYES)、ヌル信号挿入部206にて、ホッピングパターン衝突検出部210から通知される位置のシンボルをヌルシンボルに置換するヌルシンボル挿入処理が行われる(ステップ603)。
この後、ヌルシンボルが挿入された信号ブロックに対して、誤り訂正復号部207での誤り訂正、誤り検出部208での誤り検出が行われ(ステップ604)、誤りが検出されなければ、その信号ブロックの信号が上位レイヤ209に出力される。
また、前回までの復号処理においてホッピングパターンの衝突が検出されていない場合は(ステップ602のNO)、ヌルシンボルの挿入処理を行わず、ステップ604にて、復調信号に対して誤り訂正復号と誤り検出が行われる。
さらに、ステップ604での誤り検出の結果、誤りが検出されなかった場合(ステップ605のNO)、誤りシンボル位置を検索するため、ホッピングパターン衝突検出部210の誤り訂正符号化部231にて、復号信号を誤り訂正符号化してその符号化信号を誤り位置検出部232へ与える(ステップ606)。誤り位置検出部232では、誤り訂正符号化部231より与えられた符号化信号と同一信号ブロックの誤り訂正復号前の受信信号とを比較し、差異のあるビット位置を誤りの発生しているビット位置として誤りシンボル位置判定部233に通知する(ステップ607)。誤りシンボル位置判定部233は、誤り位置検出部232からの誤りビット位置の履歴を記録しており、誤りの発生率が閾値を上回るビット位置を、ホッピングパターンの衝突が起きている誤りシンボル位置として判定し(ステップ608)、そのシンボル位置をヌル信号挿入部206に通知する。ヌル信号挿入部206は、この通知に従って、ステップ603にて受信信号の中の該当する位置のシンボルをヌルシンボルに置換する。
また、上位レイヤ209は、誤り訂正符号ブロックの誤り率(BLER:ブロックエラーレート)を監視しており、ブロックエラーレートが閾値を超え(ステップ609のYES)、かつ、衝突していると推測されるシンボルの数が閾値を越えた場合(ステップ610のYES)、ホッピングパターンの衝突により、受信側での復号が困難であると判断し、通信相手である第1の基地局101に対してホッピングパターンの変更を要求する(ステップ611)。
このように、本実施形態の受信装置によれば、従来のシステムを変更することなく、ホッピングパターンの衝突を検出でき、ホッピングパターンの衝突が原因となる誤り訂正復号の性能劣化を防ぐことができる。さらに、ホッピングパターンの衝突に起因するホッピングパターン変更要求の頻度を結果的に下げることができるので、ホッピングパターンの再配置処理の頻度が削減し、システム全体のスループットが向上する。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
図7は第2の実施形態に係る送受信装置の構成を示す図である。この送受信装置は図1の無線通信システムの端末103に用いられたものである。
同図に示すように、この送受信装置は、受信系の構成として、基地局からの信号を受信する受信アンテナ201と、受信アンテナ201にて受信した信号に通信相手である基地局の送信ホッピングパターンに従って一定時間毎に変化する周波数信号を乗算するホッピングパターン乗算部202と、ホッピングパターン乗算部202の出力の帯域制限を行ってベースバンド周波数信号に変換する帯域通過フィルタ(BPF)203と、BPF203の出力をデジタル信号に変換するA/D変換部204と、デジタル受信信号を復調する復調部205と、復調された受信信号においてホッピングパターンの衝突によって劣化したシンボルをヌルシンボルに置換するヌル信号挿入部206と、ヌル信号挿入部206の出力に対して誤り訂正復号を行う誤り訂正復号部207と、誤り訂正復号された信号において訂正しきれなかった信号の有無を検出する誤り検出部208と、当該送受信装置を制御する上位レイヤ209と、自局宛ての送信信号と他局宛ての送信信号との間でホッピングパターンの衝突が起きているシンボル位置を検出するホッピングパターン衝突検出部240と、送受信用のホッピングパターンを発生するホッピングパターン発生部211と、ホッピングパターン発生部211より与えられたホッピングパターンに基づいてホッピングパターン乗算部202に周波数信号を出力する周波数シンセサイザ212とを備えている。
また、この送受信装置は、送信系の構成として、通信相手の基地局に信号を送信する送信アンテナ213と、送信すべき信号にホッピングパターンに従って一定時間毎に変化する周波数信号を乗算するホッピングパターン乗算部214と、ホッピングパターン乗算部214に与える送信信号の帯域制限を行う帯域通過フィルタ(BPF)215と、送信すべきデジタル変調信号をアナログ信号に変換するD/A変換部216と、送信すべき信号を変調する変調部217と、送信すべき信号の誤り訂正符号化を行う誤り訂正符号化部218と、送信すべき信号の誤り検出符号化を行う誤り検出符号化部219と、ホッピングパターン発生部211より与えられたホッピングパターンに基づいてホッピングパターン乗算部214に周波数信号を出力する周波数シンセサイザ220とを備えている。
この実施形態の送受信装置は、通信相手である第1の基地局101に対して、端末103へ向けた信号の送信を指定期間停止するように要求する送信停止要求信号を送り、これを受けた第1の基地局101が端末103へ向けた信号の送信を停止している期間にホッピングパターン衝突検出部240にてホッピングパターンの衝突検出を行う。
ホッピングパターン衝突検出部240は、図4の受信装置のもの(ホッピングパターン衝突検出部210)とは異なる構成を有している。すなわち、ホッピングパターン衝突検出部240は、通信相手である第1の基地局101の送信停止期間に受信電力を測定する受信信号電力測定部241を備えている。この受信信号電力測定部241は、受信電力の測定値が閾値を越えている場合にホッピングパターンの衝突が起きていることを認識し、ヌル信号挿入部206に対して、そのホッピングパターンの衝突が起きているシンボルの位置を通知する。
次に、この実施形態の送受信装置の動作を説明する。
図8は第2の実施形態の送受信装置の動作を示すフローチャートである。
上位レイヤ209は、誤り訂正符号ブロックの誤り率(BLER:ブロックエラーレート)を監視しており、ブロックエラーレートが閾値よりも大きくなったとき(ステップ801のYES)、ホッピングパターンの衝突が発生しているかどうかを確かめるために、通信相手である第1の基地局101に対して、ホッピングパターン1回分の送信を停止するように送信停止要求信号を出す(ステップ802)。この送信停止要求信号は、たとえば一回のホッピングパターン分の送信停止時間などを指定するための送信停止時間情報とタイミング情報とを含んでいる。
上位レイヤ209から出力された送信停止要求信号は、データ信号と同様に、誤り検出符号化部219にて誤り検出のために符号化された後、誤り訂正符号化部218にて誤り訂正のために符号化される。符号化された送信停止要求信号は変調部217にて変調され、D/A変換部216にてアナログ信号に変換される。この後、送信停止要求信号は、BPF215にて帯域制限された後、ホッピングパターン乗算部214にて、周波数シンセサイザ220から出力される周波数信号と乗算されて送信アンテナ213から送信される。
送信停止要求信号を受けた第1の基地局101は、たとえば図9(a)に示すように、送信停止要求信号に含まれる送信停止時間情報により指定される期間、タイミング情報により指定されるタイミングに従って、端末103に向けた信号の送信に停止期間を設ける。一方、端末103の通信相手ではない第2の基地局102は、送信停止要求信号を受けていないため、たとえば図9(b)に示すように、信号の送信に停止期間を設けない。
このとき端末103の受信アンテナ201には、たとえば図10(a)に示すように、第1の基地局101からの送信信号と第2の基地局102からの送信信号とが混在した状態で受信される。受信アンテナ201に受信された信号は、ホッピングパターン乗算部202にて、ホッピングパターン発生部211からの指示に従って周波数シンセサイザ212から発生する周波数信号と乗算された後、BPF203に導入される。図10(b)はBPF203を通過した後の受信信号を示している。このように第1の基地局101の送信停止期間は第2の基地局102からの信号のみが受信される。
この受信信号はA/D変換部204にてデジタル信号に変換された後、復調部205に送られるとともに、ホッピングパターン衝突検出部240に送られる。ホッピングパターン衝突検出部240において、受信信号電力測定部241は、第1の基地局101の送信停止期間の受信電力を測定し、測定した受信電力が閾値を越えた場合にホッピングパターンの衝突が発生しているものと認識し、ヌル信号挿入部206に対してそのホッピングパターンの衝突の起きているシンボル位置を通知する(ステップ803)。
一方、復調部205では、受信信号に対して復調処理が行われ、その結果はヌル信号挿入部206へ導入される(ステップ804)。ヌル信号挿入部206では、復調された受信信号について、ホッピングパターン衝突検出部240より通知されたホッピングパターン衝突位置のシンボルをヌルシンボルに置換するヌル信号挿入処理が行われる(ステップ806)。この後、ヌルシンボルが挿入された信号ブロックに対して、誤り訂正復号部207での誤り訂正と誤り検出部208での誤り検出が行われ(ステップ807)、誤りが検出されなければ、その信号ブロックの信号が上位レイヤ209に出力される。
また、この誤り検出処理の後、誤り訂正符号ブロックのブロックエラーレートが閾値を超え(ステップ808のYES)、かつ、ホッピングパターン衝突検出部240によりホッピングパターンの衝突が検出されたシンボルの数が閾値を越えた場合(ステップ809のYES)、受信信号の復号が困難であると判断し、通信相手である第1の基地局101に対してホッピングパターンの変更を要求する(ステップ810)。
なお、ブロックエラーレートが閾値未満の場合は(ステップ808のNO)、端末103から送信停止要求信号が発生しないことにより、ホッピングパターン衝突検出部240によるホッピングパターンの衝突検出は行われず、復調部205にて復調された信号はヌル信号挿入部206をスルーして誤り訂正復号部207へ送られる。
このように本実施形態によれば、端末103より自らに向けた信号の送信を指定期間停止する要求を受けて第1の基地局101が端末103へ向けた信号の送信を停止している期間に、端末103のホッピングパターン衝突検出部240にて受信電力を測定し、自局宛ての送信信号と他局宛ての送信信号との間でホッピングパターンの衝突が起きているシンボル位置を検出することで、確実かつ容易にホッピングパターンの衝突を検出することができ、ホッピングパターンの衝突が原因となる誤り訂正復号の性能劣化を防ぐことができる。さらに、この実施形態によってもホッピングパターンの衝突に起因するホッピングパターン変更要求の頻度を結果的に下げることができるので、ホッピングパターンの再配置処理の頻度が削減し、システム全体のスループットが向上する。
次に、本発明の第3の実施形態として、ホッピングパターン衝突検出部の他の実施形態を説明する。
図11は第3の実施形態に係るホッピングパターン衝突検出部250の構成を示す図であり、この受信装置におけるホッピングパターン衝突検出部250以外の構成は図4に示した第1の実施形態の受信装置と同様である。
同図に示すように、このホッピングパターン衝突検出部250は、受信した個々のシンボルごとに、推定した理想信号と実際の受信信号との差分電力を干渉信号の電力として推定する誤差成分電力推定部251と、誤差成分電力推定部251の推定結果に基づいてホッピングパターンの衝突を判断する誤りシンボル位置判定部252とを備えている。
図12は本実施形態の受信装置の動作を示すフローチャートである。
図4に示したように、アンテナ201で受信された信号は、ホッピングパターン乗算部202にて、周波数シンセサイザ212が発生する周波数信号と乗算され、乗算結果はBPF203を通過してベースバンド周波数信号に変換される。BPF203を通過した信号は、A/D変換部204でデジタル信号に変換され、復調部205にて復調処理が行われる(ステップ1201)。
復調信号は、図11に示すように、ホッピングパターン衝突検出部250の誤差成分電力推定部251に入力される。誤差成分電力推定部251は、復調信号を用いて、各々の受信シンボルについて、推定した理想信号と受信信号との差分電力を干渉信号の電力として推定して(ステップ1202)、その結果を誤りシンボル位置判定部252に与える。
誤りシンボル位置判定部252は、誤差成分電力推定部251より入力した受信シンボルごとの干渉信号の電力に基づいてホッピングパターンの衝突が起きているシンボルを判定する(ステップ1203)。具体的には、あらかじめ決められたホッピングパターン回数分の干渉信号電力の平均値が閾値を上回った場合、あるいは干渉信号電力の累積値が閾値を上回った場合に、そのシンボルがホッピングパターンの衝突が起きているものと判断し(ステップ1204のYES)、そのシンボルの位置をヌル信号挿入部206に通知する。ヌル信号挿入部206は、この通知に従って、受信信号の該当する位置のシンボルをヌルシンボルに置き換える(ステップ1205)。
この後、ヌルシンボルが挿入された信号ブロックに対して、誤り訂正復号部207での誤り訂正、誤り検出部208での誤り検出が行われ(ステップ1206)、誤りが検出されなければ、その信号ブロックの信号が上位レイヤ209に出力される。
また、ホッピングパターン衝突検出部250にて、ホッピングパターンの衝突が検出されない場合は(ステップ1204のNO)、ヌルシンボルの挿入を行わず、ステップ1206にて、復調信号に対して誤り訂正復号と誤り検出が行われる。
また、上位レイヤ209は、誤り訂正符号ブロックのブロックエラーレートを監視しており、ブロックエラーレートが閾値を超え(ステップ1207のYES)、かつ、衝突していると推測されるシンボルの数が閾値を越えた場合(ステップ1208のYES)、ホッピングパターンの衝突により、受信側での復号が困難であると判断し、通信相手である第1の基地局101に対して、ホッピングパターンの変更を要求する(ステップ1209)。
このように、本実施形態によれば、推定した理想信号と受信信号との差分電力を干渉信号の電力とみなすことで、ホッピングパターンの衝突が起きているシンボルを容易に特定することができる。
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
図13は第4の実施形態に係る受信装置の構成の一部を示す図である。
同図に示すように、この受信装置は、図示しない受信アンテナによって受信され、ホッピングパターンの乗算処理、帯域制限処理、A/D変換処理を経て得られたデジタル受信信号を復調する復調部205と、復調された受信信号においてホッピングパターンの衝突によって劣化した受信シンボルをヌルシンボルに置換するヌル信号挿入部206と、ヌル信号挿入部206の出力に対して誤り訂正復号を行う第1の誤り訂正復号部207Aと、第1の誤り訂正復号部207Aにて誤り訂正復号された信号において訂正しきれなかった信号の有無を検出する第1の誤り検出部208Aと、復調された信号ブロックの誤り訂正復号を行う第2の誤り訂正復号部207Bと、第2の誤り訂正復号部207Bにて誤り訂正復号された信号において訂正しきれなかった信号の有無を検出する第2の誤り検出部208Bと、自局宛ての送信信号と他局宛ての送信信号との間でホッピングパターンの衝突が起きている受信シンボルを検出するホッピングパターン衝突検出部214と、第1の誤り検出部208Aおよび第2の誤り検出部208Bの誤り検出結果に基づいて、第1の誤り訂正復号部207Aおよび第2の誤り訂正復号部207Bのいずれかの誤り訂正復号結果を選択して上位レイヤ209に出力する選択部213とを備えている。この受信装置の構成は、図4に示した第1の実施形態の受信装置、あるいは、図7に示した第2の実施形態の送受信装置に適用することが可能である。また、ホッピングパターン衝突検出部214に、図11に示したホッピングパターン衝突検出部250を用いることも可能である。
図14は本実施形態の受信装置の動作を示すフローチャートである。
図示しない受信アンテナによって受信され、ホッピングパターンの乗算処理、帯域制限処理、A/D変換処理を経て得られたデジタル受信信号は、復調部205にて復調される(ステップ1401)。復調された信号に対して、ホッピングパターン衝突検出部214にて上で述べた方法によりホッピングパターンの衝突検出が行われる(ステップ1402)。また、復調された信号は、第2の誤り訂正復号部207Bにて誤り訂正復号が行われ、誤り訂正復号された信号に対して第2の誤り検出部208Bにて誤り検出が行われる(ステップ1403)。ここで、誤りが検出されない場合(ステップ1404のNO)、ホッピングパターン衝突検出部214によるホッピングパターンの衝突検出結果に係らず、選択部213によって第2の誤り訂正復号部207Bの誤り訂正復号結果が上位レイヤ209に出力される。
また、第2の誤り検出部208Bにて誤りが検出され(ステップ1404のYES)、かつ、ホッピングパターン衝突検出部214によりホッピングパターンの衝突が検出された場合(ステップ1405のYES)、ヌル信号挿入部206にて、復調された信号に対して、ホッピングパターンの衝突の影響を受けているものと判断されるシンボルがヌルシンボルに置換する処理が行われる(ステップ1406)。この後、第1の誤り訂正復号部207Aにて、ヌルシンボルの挿入が行われた信号ブロックに対する誤り訂正復号が行われ、その誤り訂正復号に対して第1の誤り検出部208Aにて誤り検出が行われる(ステップ1407)。この結果、誤りが検出されない場合(ステップ1404のNO)、選択部213によって第2の誤り訂正復号部207Bの誤り訂正復号結果が上位レイヤ209に出力される。
また、上位レイヤ209は、誤り訂正符号ブロックのブロックエラーレートを監視しており、ブロックエラーレートが閾値を超え(ステップ1408のYES)、かつ、衝突していると推測されるシンボルの数が閾値を越えた場合(ステップ1409のYES)、ホッピングパターンの衝突により、受信側での復号が困難であると判断し、通信相手である第1の基地局101に対して、ホッピングパターンの変更を要求する(ステップ1410)。
このように本実施形態によれば、ヌルシンボルを挿入した場合と、挿入しない場合の両方について誤り訂正を行うことで、どちらか一方を行う場合と比較して、受信性能の悪い方を選択してしまうことがなく、受信性能を確実に向上することができる。
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
図15は第5の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
同図に示すように、この受信装置は、基地局からの信号を受信する受信アンテナ201と、受信アンテナ201にて受信した信号に通信相手である基地局の送信ホッピングパターンに従って一定時間毎に変化する周波数信号を乗算するホッピングパターン乗算部202と、ホッピングパターン乗算部202の出力の帯域制限を行ってベースバンド周波数信号に変換する帯域通過フィルタ(BPF)203と、BPF203の出力をデジタル信号に変換するA/D変換部204と、デジタル受信信号を復調する復調部205と、復調した信号ブロックの誤り訂正復号を行う誤り訂正復号部207と、誤り訂正復号部207によって誤り訂正復号された信号において訂正しきれなかった信号の有無を検出する誤り検出部208と、当該受信装置を制御する上位レイヤ209と、上位レイヤ209から取得した、通信中の基地局のホッピングパターンと他の基地局のホッピングパターンとを比較してホッピングパターンの衝突が起こる可能性があるシンボルの組み合せを衝突候補パターンとして検出するホッピングパターン衝突候補検出部215と、復調された受信信号において各々の衝突候補パターンに対応する位置のシンボルをヌルシンボルに置換するn個のヌル信号挿入部206−1〜206−nと、ヌル信号挿入部206−1〜206−nの出力に対してそれぞれ誤り訂正復号を行うn個の誤り訂正復号部207−1〜207−nと、誤り訂正復号部207−1〜207−nによって誤り訂正復号された信号において訂正しきれなかった信号の有無をそれぞれ検出するn個の誤り検出部208−1〜208−nと、受信用のホッピングパターンを発生するホッピングパターン発生部211と、ホッピングパターン発生部211より与えられたホッピングパターンに基づいてホッピングパターン乗算部202に周波数信号を出力する周波数シンセサイザ212と、誤り検出部208およびn個の誤り検出部208−1〜208−nの誤り検出結果に基づいて、誤り訂正復号部207およびn個の誤り訂正復号部207−1〜207−nのいずれかの誤り訂正復号結果を選択して上位レイヤ209に出力する選択部213とを備えている。
図16は本実施形態の受信装置の動作を示すフローチャートである。
アンテナ201で受信された信号は、ホッピングパターン乗算部202にて、周波数シンセサイザ212が発生する周波数信号つまり通信相手である第1の基地局101の送信ホッピングパターンに従って一定時間毎に変化する周波数信号と乗算され、乗算結果はBPF203を通過してベースバンド周波数信号に変換される。BPF203を通過した信号は、A/D変換部204でデジタル信号に変換され、復調部205にて復調処理が行われる(ステップ1601)。復調された信号に対して、誤り訂正復号部207にて誤り訂正復号が行われ、誤り訂正復号された信号に対して誤り検出部208にて誤り検出が行われる(ステップ1602)。ここで、誤りが検出されない場合(ステップ1603のNO)、選択部213によって誤り訂正復号部207の誤り訂正復号結果が上位レイヤ209に出力される。
誤り検出部208にて誤りが検出された場合(ステップ1603のYES)、ホッピングパターン衝突候補検出部215は、上位レイヤ209から通信中の基地局以外のn個の基地局で用いられているホッピングパターンの情報を受け取る。そして、これらのホッピングパターンと、通信中の基地局で用いられているホッピングパターンとをそれぞれ比較し、ホッピングパターンの衝突が起こる可能性のあるシンボルの組み合わせであるn個の衝突候補パターンを生成し(ステップ1605)、個々の衝突候補パターンをそれぞれ対応するヌル信号挿入部206−1〜206−nに通知する。
n個のヌル信号挿入部206−1〜206−nは、ホッピングパターン衝突候補検出部215から通知された衝突候補パターンに基づいてヌルシンボルの挿入処理を行う。ここで、n個のヌル信号挿入部206−1〜206−nは一部ずつ処理を実行する。すなわち、ヌル信号挿入部206−1によって1つ目の衝突候補パターンに基づくヌルシンボルの挿入が行われた信号ブロックが得られた後(ステップ1606)、この信号ブロックに対して誤り訂正復号部207−1にて誤り訂正復号が行われ、この誤り訂正復号に対して誤り検出部208−1にて誤り検出が行われる(ステップ1602)。ここで、誤りが検出されない場合(ステップ1603のNO)、選択部213によって誤り訂正復号部207−1の誤り訂正復号結果が上位レイヤ209に出力される。再び誤りが検出された場合には(ステップ1603のYES)、ヌル信号挿入部206−2による2つ目の衝突候補パターンに基づくヌルシンボル挿入処理が行われて同様に誤り訂正復号と誤り検出が繰り返される。このように誤りが検出される限り、次の衝突候補パターンに基づくヌルシンボル挿入処理、誤り訂正復号、誤り検出が、全ての衝突候補パターンに基づく処理が終了するまで同様に繰り返される。
このように本実施形態の受信装置によれば、通信中の基地局のホッピングパターンと他の基地局のホッピングパターンとを比較してホッピングパターンの衝突が起こる可能性があるシンボルの組み合せを検出することで、容易にホッピングパターンの衝突を検出することができ、ホッピングパターンの衝突が原因となる誤り訂正復号の性能劣化を防ぐことができる。さらに、この実施形態によってもホッピングパターンの衝突に起因するホッピングパターン変更要求の頻度を結果的に下げることができるので、ホッピングパターンの再配置処理の頻度が削減し、システム全体のスループットが向上する。
以上、周波数ホッピングを用いた無線通信方式について説明したが、本発明は時間ホッピング通信方式にも適用できる。
以下、本発明の第6の実施形態として、時間ホッピング通信方式の受信装置について説明する。
図17は時間ホッピング方式でのホッピングパターンの衝突の例を示すグラフである。各グラフ(a)(b)(c)(d)はそれぞれ横軸に時間をとっている。図17(a)(b)に示すように、各基地局101、102(図1参照)は一定時間ごとに、使用する時間が変化する時間ホッピング方式を用いて信号を送信する。端末103は各基地局101、102からの信号を受信できる位置に存在しているので、端末103においては、図17(c)に示すように、各基地局101、102の送信信号が重なった状態で受信される。端末103では、第1の基地局101で用いられている送信ホッピングパターンに合わせてサンプリングする受信信号を選択しているため、図17(d)に示すように、ホッピングパターンの衝突が起きていない信号は、第2の基地局102からの干渉信号の影響を受けないが、ホッピングパターンの衝突が起きている信号は干渉信号の影響を受け、端末103の受信性能が劣化する。
図18は第6の実施形態に係る時間ホッピング通信方式の受信装置の構成を示す図である。
同図に示すように、この受信装置は、基地局からの信号を受信する受信アンテナ401と、受信アンテナ401にて受信した信号にシステムにて定められた一定周波数の搬送周波数信号を乗算する乗算部402と、乗算結果の帯域制限を行ってベースバンド周波数信号に変換する帯域通過フィルタ(BPF)403と、帯域制限後の受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換部404と、デジタル受信信号から自端末宛の信号を選択するサンプルセレクタ405と、サンプルセレクタ405の信号選択タイミングを制御するタイミング制御部406と、基地局との通信の成立時に基地局より通知されたホッピングパターンに応じた信号選択タイミングをタイミング制御部406に通知するホッピングパターン発生部407と、サンプルセレクタ405により選択された受信信号を復調する復調部408と、復調した受信信号においてホッピングパターンの衝突によって劣化したシンボルをヌルシンボルに置換するヌル信号挿入部409と、ヌル信号挿入部409を通過した信号ブロックの誤り訂正復号を行う誤り訂正復号部410と、誤り訂正復号部410によって誤り訂正復号された信号において訂正しきれなかった信号の有無を検出する誤り検出部411と、当該送受信装置を制御する上位レイヤ412と、ホッピングパターンの衝突を検出するホッピングパターン衝突検出部413とを備えている。
ホッピングパターン衝突検出部413には、たとえば、図5に示したように、誤り訂正復号が成功した信号ブロックについて誤り訂正符号化を行う誤り訂正符号化部231と、誤り訂正符号化部231の出力信号と復調信号とを比較して差異のあるシンボル位置を誤りシンボルの位置として検索する誤り位置検出部232と、誤り位置検出部232によって得られた誤りシンボル位置の履歴を記録するとともに、指定の評価基準に従って履歴上の各々の誤りシンボル位置がホッピングパターンの衝突が起きているシンボルかどうかを判断し、ヌル信号挿入部206に対して指示を出す誤りシンボル位置判定部233とを備えたホッピングパターン衝突検出部210などをそのまま用いることができる。
次に、この受信装置の動作を説明する。
受信アンテナ401で受信された信号は、乗算部402にて、システムにて定められた一定周波数の搬送周波数信号と乗算され、乗算結果はBPF403を通過してベースバンド周波数信号に変換され、A/D変換部404にてデジタル信号に変換されてサンプルセレクタ405に導入される。
サンプルセレクタ405では、ホッピングパターン発生部407が発生する信号選択タイミングに基づくタイミング制御部406からの指示に従って、受信信号から自端末宛の信号を選択されて復調部408に入力され、復調部205にて自端末宛の信号に対する復調が行われる。
ここで、前回までの復号処理においてホッピングパターン衝突検出部413にてホッピングパターンの衝突が検出されている場合は、ヌル信号挿入部409にて、ホッピングパターンの衝突による影響を受けていると推定されるシンボルがヌルシンボルに置き換えられる。この後、ヌルシンボルが挿入された信号ブロックに対して、誤り訂正復号部410での誤り訂正、誤り検出部411での誤り検出が行われ、誤りが検出されなければ、その誤り訂正復号の結果が上位レイヤ412にわたされる。
また、前回までの復号処理においてホッピングパターンが衝突していないと判断された場合は、ヌルシンボルの挿入を行わず、復調信号に対して誤り訂正復号と誤り検出が行われる。
さらに、誤り検出の結果、誤りが検出されなかった場合、誤りシンボル位置を検索するため、ホッピングパターン衝突検出部413にて、ホッピングパターンの衝突の影響を受けているシンボルの位置を判断してその結果をヌル信号挿入部206に通知する。
また、上位レイヤ412は、誤り訂正符号ブロックの誤り率を監視しており、ブロックエラーレートが閾値を超え、かつ、衝突していると推測されるシンボルの数が閾値を越えた場合、ホッピングパターンの衝突により、受信側での復号が困難であると判断し、通信相手である基地局に対してホッピングパターンの変更を要求する。
このように、本実施形態の受信装置によれば、従来のシステムを変更することなく、時間ホッピング方式でのホッピングパターンの衝突を検出でき、ホッピングパターンの衝突が原因となる誤り訂正復号の性能劣化を防ぐことができる。さらに、ホッピングパターンの衝突に起因するホッピングパターン変更要求の頻度を結果的に下げることができるので、ホッピングパターンの再配置処理の頻度が削減し、システム全体のスループットが向上する。
ところで、図13に示した第4の実施形態では、ヌルシンボルを挿入した信号と、挿入しない信号の両方について誤り訂正を並列して同時に行うように構成したが、ヌルシンボルを挿入した信号に対する誤り訂正および誤り検出とヌルシンボルを挿入しない信号に対する誤り訂正および誤り検出とを順番に行い、いずれか一方の誤り訂正復号結果を上位レイヤに出力するように構成してもよい。
この場合の受信装置の構成の一部を第7の実施形態として図19に示す。同図に示すように、この受信装置は、図示しない受信アンテナによって受信され、ホッピングパターンの乗算処理、帯域制限処理、A/D変換処理を経て得られたデジタル受信信号を復調する復調部1901と、復調した信号を一時的に保存する復調信号バッファ1902と、復調された受信信号においてホッピングパターンの衝突によって劣化した受信シンボルをヌルシンボルに置換するヌル信号挿入部1903と、誤り訂正復号された結果の誤り検出手段における誤りの有無によって、ヌル信号が挿入されていない受信信号か、もしくは、ヌル信号が挿入された信号を選択する選択部1909と、復調された信号ブロックの誤り訂正復号を行う誤り訂正復号部1904と、誤り訂正復号部1904にて誤り訂正復号された信号において訂正しきれなかった信号の有無を検出する誤り検出部1905と、誤り検出部1905の誤り検出結果に基づいて、誤り訂正復号結果と誤り検出結果の少なくともいずれか一方を上位レイヤ1908に出力する出力判定部1906と、自局宛ての送信信号と他局宛ての送信信号との間でホッピングパターンの衝突が起きている受信シンボルを検出するホッピングパターン衝突検出部1907とを備えている。
101,102・・・基地局、103・・・端末、201・・・受信アンテナ、202・・・ホッピングパターン乗算部、204・・・A/D変換部、205・・・復調部、206・・・ヌル信号挿入部、207・・・誤り訂正復号部、208・・・誤り検出部、209・・・上位レイヤ、210・・・ホッピングパターン衝突検出部、211・・・ホッピングパターン発生部、212・・・周波数シンセサイザ、213・・・選択部、231・・・誤り訂正符号化部、232・・・誤り位置検出部、233・・・誤りシンボル位置判定部、240・・・ホッピングパターン衝突検出部、241・・・受信信号電力測定部、250・・・ホッピングパターン衝突検出部、251・・・誤差成分電力推定部、252・・・誤りシンボル位置判定部。