JP3609774B2 - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散通信を実行する無線通信装置および無線通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、無線LANや移動通信等の分野では、耐ノイズ性の向上等の目的から、スペクトラム拡散通信が利用され始めている。スペクトラム拡散は、1次変調によって得られた侠帯域変調信号の周波数帯域幅を2次変調によって広域な周波数帯域に広げて送信する通信方式であり、直接拡散方式と、周波数ホッピング方式とが知られている。
【0003】
周波数ホッピング方式はホッピングパターンを規定する拡散符号列に従ってキャリアの周波数を時間と共に変化させながら信号を伝送する方式であり、キャリアの周波数を伝送帯域範囲内で変化させることにより、結果的に侠帯域変調信号を、ノイズに強い広帯域な信号に拡散することができる。
【0004】
特開平10−22876号公報、および特許第3091703号公報には、それぞれ周波数ホッピングを用いた無線通信システムが開示されている。
【0005】
特開平10−22876号公報には、周波数ホッピングを行う際に一つの周波数を利用した通信時間(滞留時間)を変更可能にする技術が開示されている。滞留時間の長さは、送信すべきデータの種類(画像、音声)、またはそのデータに要求される秘匿性の度合いによって決定される。
【0006】
特許第3091703号公報には、周波数ホッピングを用いたスペクトラム拡散通信において、専用の調査信号を送信局から受信局に送信することによって受信レベルの低い周波数チャネルを調査し、その周波数チャネルを一律に使用中止する技術が開示されている。
【0007】
周波数ホッピングを用いたスペクトラム拡散通信においても、同一周波数帯域の電波が他の機材から発信されると、無線信号の干渉による通信路の劣化が引き起こされ、結果的にデータ再送回数の増大等によるデータ通信効率の低下を招くことになる。よって、特許第3091703号公報のような、干渉に対する対策技術が必要とされるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、モバイル機器で無線通信を行う場合には、その無線環境は動的に変化する為、無線通信環境の誤り特性は時間とともに変化し、さらに周波数チャネル毎にその誤り特性の状態は個々に異なる。したがって、据え置き型のデータ通信機器の場合とは異なり、モバイル機器への応用を想定した場合には、変化する無線通信環境の誤り特性に合わせて常に最適な条件で無線通信を行うための新たな仕組みが必要とされる。
【0009】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、周波数チャネル毎にその無線通信路の状況に対応した最適な条件で無線通信を行うことが可能な無線通信装置および無線通信方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明は、複数の周波数チャネル間でキャリアの周波数が切り替えられる周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散通信を用いて無線通信を実行する無線通信装置において、現在のデータ・パケットの送信に使用されているタイムスロット内の空き時間に、次のデータ・パケットの送信に使用されるホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスを実行するキャリアセンス手段と、前記ホッピング先周波数チャネルへの切替えの直前に前記キャリアセンス手段によって実行された前記ホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスの結果に基づいて、前記ホッピング先周波数チャネルを用いて送信すべき前記次のデータ・パケットのパケット長を決定する手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
この無線通信装置によれば、現在のデータ・パケットの送信に使用されるタイムスロット内の空き時間に、次のデータ・パケットの送信に使用されるホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスが実行され、ホッピング先周波数チャネルへの切替えの直前に実行されたホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスの結果に基づいて、当該ホッピング先周波数チャネルを用いて送信される次のデータ・パケットのパケット長が決定される。この場合、例えば、誤り率特性が低い周波数チャネルについては当該周波数チャネルを有効利用するためにパケット長を長くし、また誤り率特性が高い周波数チャネルについてはより通信エラーの発生確率を低くし且つ再送制御に必要なデータサイズを小さくするためにパケット長を短くする、といった制御が行われる。これにより、周波数チャネル毎にその無線通信路の状況に対応した最適な条件で無線通信を行うことが可能となるので、データ通信に使用される周波数チャネル数を減らすことなく、変化する無線通信環境に柔軟に対応することが可能となる。
【0012】
また、周波数チャネル毎にデータ・パケットのパケット長を最適化するのみならず、エラー耐性強度の種類の最適化をも併せて行ったり、またパケット長の最適化処理に代えてエラー耐性強度の種類のみを最適化することも有効である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る無線通信装置の構成が示されている。ここでは、本無線通信装置として、BluetoothTM規格に準拠した無線通信を実行する無線通信デバイス12を例示して説明することとする。無線通信デバイス12は、ホスト装置11に内蔵される内蔵デバイスまたはホスト装置11に取り外し自在に装着可能な外部デバイスとして実現することができる。ホスト装置11は、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話などのようなモバイル機器である。
【0016】
無線通信デバイス12は、ISMバンド(Industrial, Scientific and Medical Band)と称される2.4GHz帯を用いて、他の機器との間で無線通信を行う。2.4GHz帯の周波数帯域内には複数の周波数チャネルが定義されており、それら周波数チャネルが時分割的に切り替えられながら利用される。無線通信デバイス12による無線通信においては、キャリアの周波数を変えながら無線通信を行う、周波数ホッピングスペクトラム拡散spread spectrum−frequency hopping(SS−FH)が利用される。2.4GHz帯の周波数帯域には1MHz間隔で79個の周波数チャネルが割り当てられており、ホッピングパターンに基づいて、キャリア周波数として使用される周波数チャネルの切り替えが行われる(周波数ホッピング)。
【0017】
BluetoothTM規格の無線通信はマスタ・スレーブ形式で実現され、ホッピングパターンの管理はマスタによって行われる。同じホッピングパターンを用いて、1台のマスタと最大7台のスレーブとの間でピコネットと称される無線ネットワークを形成することができる。
【0018】
無線通信デバイス12は、図示のように、ベースバンド部13、RF部14、およびアンテナ15から構成されている。ベースバンド部13では、ホスト11とRF部14との間のインタフェースに必要なデジタル信号処理を初め、無線通信制御に必要な各種のプロトコル制御が実行される。さらに、ベースバンド部13においては、RF部14およびアンテナ15を介して送信すべきデータ・パケット(Tx)の生成、およびアンテナ15およびRF部14を介して受信したデータ・パケット(Rx)の分解、などの処理も行われる。このベースバンド部13には、CPU131、メモリ132、チャネル切り替え制御部133、およびホストインタフェース134が設けられている。CPU131はベースバンド部13の動作を制御するために設けられたプロセッサである。
【0019】
本実施形態においては、周波数チャネル毎にその周波数チャネルを用いて送信すべきデータ・パケットのパケット長またはそのデータ保全強度(エラー耐性強度)を最適化するための処理がCPU131によって実行される。そのために、CPU131は、相手局との間の無線通信の実行中に、その無線通信で使用される各周波数チャネルの無線通信路の誤り特性を観測する処理を同時に行い、そして各周波数チャネルの誤り特性に応じてその周波数チャネルを用いて送信すべきデータ・パケットのパケット長またはそのデータ保全強度を動的に決定する。
【0020】
チャネル切り替え制御部133はホッピングパターンに基づいて周波数チャネルの切り替えを制御するためのものであり、625マイクロ秒のタイムスロット毎にホッピング先の周波数チャネルの値をCPU131およびRF部14に通知する動作を行う。周波数チャネルの切り替えは基本的にはタイムスロットを基準にして行われるが、複数のタイムスロットにまたがってパケットの送信または受信を行う場合には、それらタイムスロットの期間中は周波数チャネルの切り替えは行われず、同一の周波数チャネルが使用され続ける。ホッピング先の周波数チャネルの通知は、CPU131およびRF部14に対して同時に行われる。
【0021】
RF部14には、送信モジュール141および受信モジュール142が設けられている。送信モジュール141および受信モジュール142が使用するキャリアの周波数は、チャネル切り替え制御部133から通知される周波数チャネルの値に基づいて切り替えられる。
【0022】
CPU131は、ホスト31から送信対象のデータを受信すると、それをメモリ132に記憶する。CPU131はチャネル切り替え制御部133からの通知によって次のデータ・パケットの送信に使用すべきホッピング先の周波数チャネルを認識する。次いで、CPU131は、メモリ132に登録されている誤り特性テーブルを参照して、次のデータ・パケットの送信に使用すべきホッピング先の周波数チャネルに関する現在の誤り特性を調べる。そして、CPU131は、その誤り特性に基づいて、当該周波数チャネルを用いて送信すべきデータ・パケットの最適なパケット長またはデータ保全強度を決定する。
【0023】
この場合、ホッピング先の周波数チャネルの無線通信路の状況が予めしきい値として定めた値よりも悪い場合は、その周波数チャネルを用いて送信するパケットのパケット長の長さを短くする処理もしくはデータ保全強度の強化が行われ、また、予めしきい値として定めた値よりも良好な場合には、パケットのパケット長の長さを長くする処理、もしくはデータ保全強度の軽減が行われる。データ保全強度は、当該データ・パケットに施すエラー耐性強度の程度を示す。具体的には、どの程度の自己訂正機能をデータ・パケットに適用するかによって、そのデータ・パケットのデータ保全強度が決定される。
【0024】
図2には、誤り特性テーブルの一例が示されている。この誤り特性テーブルは、各周波数チャネルの誤り特性をデータ・パケットの受信状況を基に観測する場合の例である。
【0025】
すなわち、誤り特性テーブルにおいては、「送達成功回数」、「観測回数」、「パケット種別」の項目が79個の周波数チャネルそれぞれについて設けられている。「送達成功回数」は、当該周波数チャネルにおいてデータ・パケットが受信局側で正しく受信された回数を示す。「観測回数」は、当該周波数チャネルにおいてデータ・パケットが受信局側で正しく受信されたかどうかの観測を行った回数を示している。「パケット種別」は、データ・パケットの送信に使用したパケットの種別(データ保全強度、パケット長)を示す。
【0026】
使用するパケットの種別(パケットタイプ)は、当該周波数チャネルの受信状況の変化に合わせて変更される。この場合、データ・パケットの種別が変更される毎に「送達成功回数」および「観測回数」の値は初期化されることとし、また、所定の観測回数に達するまではパケットの種別を変更しないものとし、さらに、初回のデータ通信においてはその周波数チャネルの受信状況は最良と判断するものとする。
【0027】
BluetoothTM規格においては、データを送出するパケット種別としてDHn(nは1、3、5のいずれかを値とし、パケット全体のCRCによる誤り検出機能があり、連続したn個のタイムスロットに渡って同一周波数にて送出するもの)と、DMn(nは1、3、5のいずれかを値とし、パケット・ヘッダがBCH符号方式のFECによる自己誤り訂正機能かつパケット全体のCRCによる誤り検出機能があり前述のDHnよりもデータ保全強度は高いもののDMnよりもパケット当たりで搬送される情報量は劣る。連続したn個のタイムスロットに渡って同一周波数にて送出するもの)とが定義されている。
【0028】
使用すべき周波数チャネルの受信状況に応じてパケット長を可変設定する場合は、DH5、DH3、DH1を選択的に(またはDM5、DM3、DM1を選択的に)使用すればよい。また、使用すべき周波数チャネルの受信状況に応じてパケットのデータ保全強度を可変設定する場合は、DHnとDMnを選択的に使用すればよい。
【0029】
図3は、パケット長を可変設定しながら行われる無線通信の様子を示している。ここでは、キャリア周波数fCはデータ・パケットの受信状況は良好であるが、キャリア周波数fBはやや悪く、キャリア周波数fCはさらに悪い場合を想定している。キャリア周波数fCの周波数チャネルを用いてデータ・パケットを送信する場合にはそのデータ・パケットのパケット長は3(連続する3つのタイムスロットにまたがるパケット長)に設定される。この場合、その3つのタイムスロットの期間中は、送信局および受信局のどちらもキャリア周波数fCを使用する。キャリア周波数つまり周波数チャネルの切り替えは、データ・パケットの終結を待って行われる。受信局では、送信されてくるデータ・パケットのヘッダに含まれるパケットタイプから当該パケットのパケット長を認識して、周波数チャネルの切り替えタイミングを制御すればよい。これにより、パケット長を可変しても、送信局および受信局側それぞれの周波数ホッピングパターンを同一に維持することが出来る。
【0030】
同様に、キャリア周波数fBの周波数チャネルを用いてデータ・パケットを送信する場合にはそのデータ・パケットのパケット長は1(シングルタイムスロット内に収まるパケット長)に設定され、またキャリア周波数fCの周波数チャネルを用いてデータ・パケットを送信する場合にはそのデータ・パケットのパケット長は5(連続する5つのタイムスロットにまたがるパケット長)に設定される。
【0031】
送信局側から受信局側へのデータ・パケットの送信の度に受信局からは応答パケットが返される。この応答パケットにより、当該データ・パケットに関する受信状況を送信局側で知ることが出来る。
【0032】
なお、図3では、マスタからスレーブへのデータ送信時についてのみデータ・パケットのパケット長を可変設定する場合を示したが、同様の制御をスレーブからマスタへのデータ・パケットの送信時に適用することも出来る。
【0033】
図4は、パケット保全強度を可変設定しながら行われる無線通信の様子を示している。ここでは、キャリア周波数fBはキャリア周波数fAよりも受信状況が悪いので、キャリア周波数fBの周波数チャネルを用いてデータ・パケットを送信する場合には、キャリア周波数fAの周波数チャネルを用いてデータ・パケットを送信する場合よりも高いデータ保全強度が用いられる。
【0034】
図5は、送信すべきデータ・パケットのパケット長を1タイムスロット内でそれぞれ可変設定する場合を示している。このように1タイムスロット内でパケット長を変えるようにしても、十分な効果を得ることが出来る。
【0035】
また、パケット長とデータ保全強度との組み合わせが異なる複数のデータ・パケットを、周波数チャネルの受信状況に応じて選択的に使用してもよい。この場合、例えば、受信状況が最良の場合にあってはパケットタイプを上述のDH5とし、以下、受信状況が劣化する毎にDM5,DH3,DM3,DH1,DM1の順にて送出するデータ・パケットのタイプが変更される。また、同受信状況が改善される毎にその逆の順にて送出するデータ・パケットのタイプが変更される。データ・パケットのタイプが変更された場合にはメモリ132に記憶されている誤り特性テーブルにおいては、該当する周波数チャネルの「パケット種別」が変更されると共に、その「送達成功回数」および「観測回数」が初期化される。
【0036】
次に、図6のフローチャートを参照して、無線通信デバイス12によって実行されるデータ送信処理の手順について説明する。
【0037】
CPU131は、チャネル切り替え制御部133からのホッピング先の周波数チャネルの通知に基づき、次のデータ・パケット送信に使用すべき周波数チャネルを決定する(ステップS101)。次いで、CPU131は、誤り特性テーブル上の該当する周波数チャネルに関する「送達成功回数」と「観測回数」を読み取り、その周波数チャネルに関する現在の誤り率特性(本例では、送達成功率)を調べる(ステップS102)。CPU131は、現在の誤り率特性に基づいて、データ送信に使用すべきデータ・パケットの種別を決定するためのパケットタイプ決定処理を実行する(ステップS103)。
【0038】
このパケットタイプ決定処理では、図7のフローチャートに示されているように、CPU131は、まず、当該周波数チャネルについての観測回数が所定の回数を上回ったかどうかを調べ(ステップS201)、観測回数が所定の回数を上回っている場合には、誤り率特性(送達成功率)が予め決められた下限値以下であるかどうかを判断し(ステップS202)、送達成功率が下限値以下であれば、DH5,DM5,DH3,DM3,DH1,DM1の順に従い、パケットタイプを現在のパケットタイプから1ランクだけ下位ランクに変更する処理(データ保全強度を上げる、またはパケット長を短くする)が実行される(ステップS204)。例えば、現在のパケットタイプがDH5であった場合には、DM5に変更されることになる。一方、送達成功率が一定値よりも高い場合には現在のパケットタイプがそのまま維持されるか、あるいはパケットタイプを現在のパケットタイプから1ランクだけアップグレードする処理(強度を下げる、またはパケット長を長くする)が実行される。後者の場合には、誤り率特性(送達成功率)が予め決められた下限値以下ではない場合に、送達成功率が予め決められた上限値以上であるかどうかを判断し(ステップS203)、上限値以上であれば、パケットタイプを現在のパケットタイプから1ランクだけアップグレードする処理(強度を下げる、またはパケット長を長くする)が実行されることになる(ステップS204)。
【0039】
パケットタイプの変更後は、CPU131は、変更後の新たなパケットタイプを誤り特性テーブル上の該当する周波数チャネルに関する「パケット種別」に登録するとともに、「送達成功回数」および「観測回数」の値をそれぞれ初期化する(ステップS205)。
【0040】
次に、CPU131は、図6のステップS104に戻り、送信対象のデータをメモリ132から読み取り、それをステップS103で決定したパケットタイプのデータ・パケットに組み立てるためのパケット生成処理を実行する。組み立てられたデータ・パケットはFSK等の1次変調が施された後に送信モジュール141に送られ、そこでホッピング先の周波数チャネルに対応するキャリア周波数に重畳されてアンテナ15から受信局宛に送信される(ステップS105)。
【0041】
次に、図8のフローチャートを参照して、無線通信デバイス12によって実行される誤り率観測処理の手順について説明する。
【0042】
CPU131は、送信したデータ・パケットに対する応答パケットを受信局から受信すると(ステップS302)、その応答パケットのヘッダ部を解析することによって、送信したデータ・パケットの受信状況(送達成功の有無)を判断する(ステップS302,S303)。なお、受信局(相手局)から送出されるデータ・パケットと応答パケットが兼用されることもある。送信したデータ・パケットが正常に受信された場合(送達成功)には、CPU131は、誤り率テーブル上の該当する周波数チャネルに対応する「送達成功回数」および「観測回数」を共にインクリメントし(ステップS303)、また送信したデータ・パケットが正常に受信されなかった場合(送達失敗)には「観測回数」のみがインクリメントする(ステップS305)。このようにして、送信したデータ・パケットの受信状況が周波数チャネル毎に累積されていく。
【0043】
尚、予め決められた時間までに相手局からの応答パケットの受信が認められない場合は、これを当該の周波数チャネルにおける送達失敗と見なし、「観測回数」をインクリメントする。
【0044】
図9には、誤り特性テーブルの第2の例が示されている。この誤り特性テーブルは、各周波数チャネルの誤り特性を、キャリアセンスによって観測する場合の例である。
【0045】
すなわち、本誤り特性テーブルにおいては、「キャリア検出回数」、「観測回数」、「パケット種別」の項目が79個の周波数チャネルそれぞれについて設けられている。「キャリア検出回数」は、当該周波数チャネルにおいて一定電界強度レベル以上のキャリアが検出された回数を示す。「観測回数」は、当該周波数チャネルにおいてキャリアセンスを行った観測回数を示している。「パケット種別」は、データ・パケットの送信に使用したパケットの種別(データ保全強度、パケット長)を示す。
【0046】
この場合、ホッピング先の周波数チャネルに関するキャリアの検出頻度が予めしきい値として定めた値よりも高い場合は、その周波数チャネルを用いて送信するパケットのパケット長の長さを短く、もしくはデータ保全強度の強化が行われ、また、予めしきい値として定めた値以下の場合には、パケットのパケット長の長さを長く、もしくはデータ保全強度の軽減が行われる。
【0047】
各周波数チャネルのキャリアセンスは、周波数チャネルの切り替えが行われるたびに、その切り替えに先立って当該切り替え先の周波数チャネルに関する電界強度レベルを調べることによって実現することが好ましい。この場合、必ずしもキャリア検出頻度という統計値を用いずとも、直前の観測でキャリアが検出されたかどうか、あるいはその検出された電界強度レベルの値に応じて、現在の通信環境に最適なデータ・パケットのデータ保全強度またはパケット長を周波数チャネル毎に決定することが出来る。もちろん、キャリア検出頻度という統計値を用いることにより、瞬時的なノイズ等に影響されることなく、通信期間全体にわたって無線通信路の状況を正しく観測することが出来る。
【0048】
図10には、キャリアセンス処理を実行するタイミングの一例が示されている。BluetoothTM規格においては、送信と受信を時分割で行うTDDが利用されている。この場合、1タイムスロット内でデータ・パケットの送信が完了するシングルタイムスロット、および複数のタイムスロットにまたがってデータ・パケットを送信するマルチタイムスロットのどちらにおいても、通常は、データ・パケットの送信に使用される送信用のタイムスロット期間中には、空き時間がある。
【0049】
図10は、この空き時間を用いて、次の送信用のタイムスロット期間中におけるデータ・パケットの送信に使用される周波数チャネルのキャリアセンスを行う場合の様子が示されている。このように、観測対象のホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスを、その直前の送信用タイムスロット内の空き時間を用いて行うことにより、観測対象のホッピング先周波数チャネルに関する現在の通信環境を的確に把握することが出来る。もちろん、受信モジュール142内にデータ・パケット受信用のバンドパスフィルタとキャリア検出用のバンドパスフィルタの双方を設ける構成を適用すれば、任意のタイミングで所望の周波数チャネルに関するキャリアセンスを行うことが出来る。
【0050】
次に、図11のフローチャートを参照して、無線通信デバイス12によって実行されるデータ送信処理の手順について説明する。
【0051】
CPU131は、チャネル切り替え制御部133からのホッピング先の周波数チャネルの通知に基づき、次のデータ・パケット送信に使用すべき周波数チャネルを決定する(ステップS401)。次いで、CPU131は、現在送信中のデータ・パケット送信の完了後の空き時間を利用して、ホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスを実行する(ステップS402)。キャリアセンスの結果は、誤り率特性テーブルに反映される。すなわち、キャリアが検出された場合には、該当する周波数チャネルの「キャリア検出回数」および「観測回数」がそれぞれインクリメントされ、キャリアが検出された場合には「観測回数」のみがインクリメントされる。
【0052】
次いで、CPU131は、誤り特性テーブル上の該当する周波数チャネルに関する「キャリア検出回数」と「観測回数」を読み取り、現在の誤り率特性(本例では、キャリア検出頻度)を調べる(ステップS403)。CPU131は、現在の誤り率特性に基づいて、データ送信に使用すべきデータ・パケットの種別を決定するためのパケットタイプ決定処理を実行する(ステップS404)。このパケットタイプ決定処理では、図7のフローチャートで説明した処理が実行される。次に、CPU131は、送信対象のデータをメモリ132から読み取り、それをステップS103で決定したパケットタイプのデータ・パケットに組み立てるためのパケット生成処理を実行する(ステップS405)。組み立てられたデータ・パケットは送信モジュール141に送られ、アンテナ15を介して受信局宛に送信される(ステップS406)。
【0053】
なお、送信したデータ・パケットの受信状況とキャリア検出結果の双方を用いて、各周波数チャネルの誤り率を管理するようにしても良い。この場合には、例えば、各周波数チャネルの送達成功回数の値を、対応する周波数チャネルに関するキャリア検出結果に基づいて重み付けする等の処理を行えば良い。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、無線データ通信にて使用するデータ・パケットのデータ保全強度またはパケット長を送達状況もしくはキャリア・センス状況により周波数チャネル毎に動的かつ自動的に決定することにより、無線干渉等の無線環境の動的な状況変化に応じて無線データ通信におけるデータ転送効率を向上させることが可能となる。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、周波数チャネル毎にその無線通信路の状況に対応した最適な条件で無線通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の無線通信装置にて管理される誤り率テーブルの一例を示す図。
【図3】同実施形態の無線通信装置が送出パケットのパケット長を可変設定しながら無線通信を行う例を示す図。
【図4】同実施形態の無線通信装置が送出パケットのデータ保全強度を可変設定しながら無線通信を行う例を示す図。
【図5】同実施形態の無線通信装置が送出パケットのパケット長を可変設定しながら無線通信を行う第2の例を示す図。
【図6】同実施形態の無線通信装置によって実行されるデータ送信処理の手順を示すフローチャート。
【図7】同実施形態の無線通信装置によって実行されるパケットタイプ決定処理の手順を示すフローチャート。
【図8】同実施形態の無線通信装置によって実行される誤り率観測処理の手順を示すフローチャート。
【図9】同実施形態の無線通信装置にて管理される誤り率テーブルの第2の例を示す図。
【図10】同実施形態の無線通信装置がキャリアセンスを実行するタイミングの一例を示す図。
【図11】同実施形態の無線通信装置によって実行されるデータ送信処理の手順の第2の例を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…ホスト
12…無線通信デバイス
13…ベースバンド部
14…RF部
131…CPU
132…メモリ
133…チャネル切り替え制御部
134…ホストインタフェース
Claims (4)
- 複数の周波数チャネル間でキャリアの周波数が切り替えられる周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散通信を用いて無線通信を実行する無線通信装置において、
現在のデータ・パケットの送信に使用されているタイムスロット内の空き時間に、次のデータ・パケットの送信に使用されるホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスを実行するキャリアセンス手段と、
前記ホッピング先周波数チャネルへの切替えの直前に前記キャリアセンス手段によって実行された前記ホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスの結果に基づいて、前記ホッピング先周波数チャネルを用いて送信すべき前記次のデータ・パケットのパケット長を決定する手段とを具備することを特徴とする無線通信装置。 - 複数の周波数チャネル間でキャリアの周波数が切り替えられる周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散通信を用いて無線通信を実行する無線通信装置において、
現在のデータ・パケットの送信に使用されているタイムスロット内の空き時間に、次のデータ・パケットの送信に使用されるホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスを実行するキャリアセンス手段と、
前記ホッピング先周波数チャネルへの切替えの直前に前記キャリアセンス手段によって実行された前記ホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスの結果に基づいて、前記ホッピング先周波数チャネルを用いて送信すべき前記次のデータ・パケットの誤り耐性強度の種類を決定する手段とを具備することを特徴とする無線通信装置。 - 複数の周波数チャネル間でキャリアの周波数が切り替えられる周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散通信を用いて無線通信を実行する無線通信方法において、
現在のデータ・パケットの送信に使用されているタイムスロット内の空き時間に、次のデータ・パケットの送信に使用されるホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスを実行するキャリアセンスステップと、
前記ホッピング先周波数チャネルへの切替えの直前に前記キャリアセンスステップによって実行された前記ホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスの結果に基づいて、前記ホッピング先周波数チャネルを用いて送信すべき前記次のデータ・パケットのパケット長を決定するステップとを具備することを特徴とする無線通信方法。 - 複数の周波数チャネル間でキャリアの周波数が切り替えられる周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散通信を用いて無線通信を実行する無線通信方法において、
現在のデータ・パケットの送信に使用されているタイムスロット内の空き時間に、次のデータ・パケットの送信に使用されるホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスを実行するキャリアセンスステップと、
前記ホッピング先周波数チャネルへの切替えの直前に前記キャリアセンスステップによって実行された前記ホッピング先周波数チャネルに関するキャリアセンスの結果に基づいて、前記ホッピング先周波数チャネルを用いて送信すべき前記次のデータ・パケットの誤り耐性強度の種類を決定するステップとを具備することを特徴とする無線通信方法。
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