JP4142777B2 - 冷陰極管点灯用インバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷陰極管を点灯するためのインバータに関し、特に、圧電トランスを用いた冷陰極管点灯用インバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
良く知られているように、インバータは、トランスとスイッチング回路とを含み、直流入力をスイッチング回路でスイッチングしてトランスに供給し、トランスから交流出力を得るものであり、スイッチングを制御して交流出力が調整される。ここで、用いるトランスはインバータトランスと呼ばれる。
【0003】
一方、冷陰極管は、特にノート型のパーソナルコンピュータやワードプロセッサーなどの装置における表示装置として用いられている液晶ディスプレイのバックライトとして用いられている。これら装置の小型軽量化の要求のために、バックライト用冷陰極管の点灯回路としてのインバータでは、通常の電磁トランスに比べて、遥かに小型、軽量、低背の圧電トランスが用いられている。
【0004】
図3は、圧電トランスをインバータトランスに用いた従来の冷陰極管点灯用のインバータ回路を示す。同図を参照して、インバータ回路1の入力端より直流電圧+Vcが入力されると、駆動トランジスタ5がオンし、駆動トランジスタ5の出力電圧が圧電トランス11の入力端子2及び3を介して一次側に印加され、その結果、出力検出用分圧抵抗6を通して一次側に電流が流れる。
【0005】
その電流による出力検出用分圧抵抗6の両端間電圧が、検出信号増幅用トランジスタ7により増幅された後に、駆動トランジスタ5のスイッチングを制御する。このようにして、駆動トランジスタ5のスイッチング周波数が、圧電トランス11の共振周波数に迫従して、自励発振が維持され、圧電トランス11の出力端子4に接続された冷陰極管50を点灯させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷陰極管の特性上、暗黒効果により、特に冷陰極管の周囲温度が低い場合は電流が流れにくく、上記した従来の冷陰極管点灯用インバータでは、電源投入直後冷陰極管が点灯し難いという問題があった。また、冷陰極管が点灯しない場合、圧電トランスの出力側はオープン状態となり、最悪の場合には圧電トランスが破損するという致命的な欠陥があった。
【0007】
そこで、本発明は上記欠陥を解決するもので、その目的とするところは電源投入時の起動性、特に低温での点灯性が優れた冷陰極管点灯用インバータを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、冷陰極管の点灯電圧を出力するための所定の共振周波数を有する圧電トランスと、前記共振周波数近傍の周波数で発振する電圧制御発振回路と、該電圧制御発振回路の出力を受けて該圧電トランスを駆動する駆動回路と、前記圧電トランスに接続されて前記点灯電圧を入力された前記冷陰極管に流れる電流を検出する冷陰極管電流検出回路とを備え、該冷陰極管電流検出回路で検出された電流に応じて前記電圧制御発振回路の発振周波数を制御する圧電トランス式冷陰極管点灯用インバータであって、負荷インピーダンスの変化に対応して、前記圧電トランスを保護する保護手段を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、前記保護回路は、前記圧電トランスの入力電流を監視し、該入力電流が過大になっている間のみ前記電圧制御発振回路を停止させる回路を用いることにより、冷陰極管を点灯する際、冷陰極管に点灯電圧が間欠的に印加されるようにできる。
【0010】
あるいは、前記保護回路は、前記圧電トランスの出力電圧を監視し、該出力電圧が過大になっている間のみ前記電圧制御発振回路を停止させる回路とすることにより、冷陰極管を点灯する際、冷陰極管に点灯電圧が間欠的に印加されるようにできる。
【0011】
更に、該インバータの電源投入時に起動して一定時間動作し、該一定時間後に前記電圧制御発振回路を停止させるタイマー回路を設け、該タイマー回路の動作時間内に前記冷陰極管電流検出回路から検出電流が出力された時、前記タイマー回路の動作を解除するように構成すると良い。
【0012】
更に、調光信号を発生する調光回路を有し、該調光信号は、所定の調光周波数と前記冷陰極管の所望の輝度に対応したデューティ比とを有し、前記電圧制御発振回路が、該調光信号の各ON期間のみ間欠的に作動されるように該調光信号によって制御される。
【0013】
【作用】
本発明の圧電トランス式冷陰極管点灯用インバータによると、冷陰極管の点灯開始時に、圧電トランスの2次側のインピーダンスが過大になり入力電流が過大である時、保護回路により電圧制御発振回路を停止し、これにより、圧電トランスへの入力電流が停止すると、再び電圧制御発振回路が動作し、再び圧電トランスが駆動される。このように、冷陰極管点灯起動時に圧電トランスをを間欠的に駆動し、冷陰極管に点灯電圧を間欠的に印加できるので、圧電トランスの破壊が防止されるとともに、暗黒効果や低温放置で点灯し難くなった冷陰極管を、短時間でかつスムースに点灯させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1を参照して、本発明の一実施の形態である冷陰極管点灯用インバータ10が、液晶ディスプレイ40のバックライトとしての冷陰極管50を点灯させるための点灯回路として示されている。図示のインバータ10は、圧電トランス11と、電圧制御発振回路12と、電圧制御発振回路12おける発振周波数を制御する発振周波数制御回路13と、スイッチング回路を有し圧電トランス11を駆動する駆動回路14と、冷陰極管50の電流を検出する冷陰極管電流検出回路15と、負荷インピーダンスの変化から圧電トランス11を保護する保護回路30と、タイマー回路31とから構成されている。尚、このインバータ10には、調整つまみ21を備えた調光回路20が接続され、冷陰極管50の輝度を制御できるようになっている。
【0016】
電源投入によりインバータ10へ直流電圧Vccが入力されると、電圧制御発振回路12から所定の発振周波数の電圧(発振信号)が出力され、駆動回路14に供給され、駆動電圧として圧電トランス11の一次側に印加され、圧電トランス11の2次側出力が冷陰極管50に印加される。冷陰極管50に流れる電流は冷陰極管電流検出回路15によって電圧信号として検出される。
【0017】
詳細には、冷陰極管電流検出回路15は、冷陰極管50とアース間に接続された抵抗と、この抵抗に接続された整流平滑回路とを有する。この抵抗に冷陰極管電流が流れることによって該抵抗の両端に生じるAC電圧を整流回路で整流し、平滑回路で平滑することによって、冷陰極管電流に比例したDC電圧が検出電圧信号として得られる。
【0018】
この検出電圧信号は発振周波数制御回路13を介して制御電圧として電圧制御発振回路12にフィードバックされ、電圧制御発振回路12の発振周波数を制御する。かくして、電圧制御発振回路12の発振周波数は圧電トランス11の共振周波数に近付くように制御される。この結果、圧電トランス11の昇圧比が上昇し、冷陰極管50が放電を開始する。
【0019】
この結果、冷陰極管50を流れる電流が急激に増加し、したがって、冷陰極管電流検出回路15及び発振周波数制御回路13により制御された電圧制御発振回路12の発振周波数は圧電トランス11の共振周波数に安定され、冷陰極管50の発光も安定する。
【0020】
ところで、インバータ10へ直流電圧Vccが入力され、インバータが動作開始して冷陰極管50の点灯が開始される際、冷陰極管50が、その暗黒効果や低温放置の理由で、点灯しない場合は、圧電トランス11の2次側はオープン状態となり、圧電トランス11に過大な電力が入力され、圧電トランス11が破損してしまう。
【0021】
そこで、本インバータ10では、圧電トランス11を保護するため、圧電トランス11の一次側に流れる電流を保護回路30によりモニターし、過大な電流が検出されたときは、保護回路30は停止信号を出力し、この停止信号を受けて電圧制御発振回路12はその出力を一時的に停止する。
【0022】
詳細には、保護回路30は、駆動回路14の出力端とアース間に接続された抵抗と、該駆動回路の出力端に接続された入力端子、基準電圧源に接続された他の入力端子、および出力端子を有する電圧比較器とを有している。駆動回路14から圧電トランス11へ供給される一次電流の一部がこの抵抗に流れ一次電流に比例した電圧降下を発生する。この電圧降下によるアースに対する電位が電圧比較器の一方の入力端子に供給され、基準電圧源の電圧と比較され、その差が検出電圧として出力端子から出力される。前記電圧降下が基準電圧源の電位より高い時の検出電圧が停止信号として電圧制御発振回路12に供給される。電圧制御発振回路12は、例えば、その出力回路にスイッチ回路を有し、このスイッチ回路が停止信号でオフとされことによって、駆動回路14への駆動電圧の供給を停止する。
【0023】
尚、この保護回路30からの停止信号は、直接に電圧制御発振回路12に供給されずに、発振周波数制御回路13に供給されて、電圧制御発振回路12への制御電圧の供給を制御するようにしても良い。
【0024】
この結果、圧電トランス11の一次側には駆動電圧が印加されないので、圧電トランス11の一次側には電流が流れず、保護回路30が動作しないため、再び電圧制御発振回路12to駆動電圧が圧電トランス11に供給される。
【0025】
上述した保護回路30の制御による電圧制御発振回路12の起動、停止、再起動(前記の例のように出力回路にスイッチ回路を用いた場合は、正確には出力の送出、停止、再送出ということになる)の動作が、冷陰極管50が点灯して冷陰極管電流検出回路15で冷陰極管電流を検出するまで、繰り返される。この繰り返しの間、圧電トランス11には交流電圧が間欠的に入力される。すなわちバースト電圧が入力される。バーストの周期としては、点灯性の確保と圧電トランス11の保護を考慮して、20ms以下が望ましい。
【0026】
また、冷陰極管50の破損などにより、圧電トランス11の2次側がオープン状態に維持されると、上記動作の繰り返しによっても冷陰極管電流が流れることはない。したがって、前記繰り返し動作は数秒間継続後、停止されるべきである。そのために、例えば、電源投入とともに数秒管動作するタイマー回路31を設けている。タイマー回路31が動作中に冷陰極管電流検出回路15により冷陰極管電流を検出するとタイマー回路31の動作を解除する。一方、タイマー回路31の動作期間内に冷陰極管電流が検出されなければ、タイマー回路31はタイマー動作時間経過後に停止信号を発生する。この停止信号は、保護回路30からの停止信号と同様に、電圧制御発振回路12に供給され、電圧制御発振回路12を停止させる。ただし、タイマー回路31は、そのタイマー動作時間経過後も、この停止信号を出力し続けるので、タイマー回路が再び起動されるまでは、電圧制御発振回路12から出力が圧電トランス11へ供給されることはない。
【0027】
このタイマー回路31の停止信号は、直接に、電圧制御発振回路12へ供給することなく、発振周波数制御回路13に供給されて、電圧制御発振回路12への制御電圧の供給を停止するようにしても良い。
【0028】
なお、調光回路20は、冷陰極管50の発光強度(輝度)を調節するためのもので、調整つまみ21で設定され輝度に対応したデューティ比のパルス信号としての調光信号を出力する。ここで、調光信号の周波数(調光周波数)は、電圧制御発振回路12の発振周波数より遥かに小さい。この調光信号は発振周波数制御回路13へ印加され、発振周波数制御回路13から電圧制御発振回路12への制御電圧の供給を制御する。
【0029】
例えば、発振周波数制御回路13はその出力回路にANDゲートを備え、2入力に調光信号と制御電圧信号とをそれぞれ供給するものとする。この結果、調光信号のON期間には制御電圧が電圧制御発振回路12に供給され、OFF期間には供給されない。この結果、電圧制御発振回路12は、調光信号のON期間のみ動作されるこになる。すなわち、間欠的に動作され、したがって、圧電トランス11の一次側には間欠的に交流信号が供給され、これに応じて間欠的に二次側出力がえられ、冷陰極管50は間欠的に点灯されることになる。
【0030】
すなわち、冷陰極管50は、調光信号のON期間に点灯され、OFF期間に消灯される点滅を繰り返すことになる。調光周波数を、点滅が視覚的に捕らえられない程度の大きさに選択することによって(通常、100Hzから1kHzである)、視覚的には、冷陰極管50は点灯状態に維持される。しかしながら、調光信号のデューティ比によって、実際の点灯時間は変化するので、調光信号の周期より遥かに長いある時間内で積分された点灯時間は変化するので、点灯時の視覚的な明るさ(輝度)も変化する。すなわち、調光信号のデューティ比を調節することによって、調光を達成することができる。
【0031】
図2は、他の実施の形態によるインバータ回路を示す図で、図1のものと、保護回路を除いて同様である。したがって、同様のものには、同じ参照符号を付して示し、それらの説明は省略する。
【0032】
図2において、保護回路は30´として示されており、圧電トランス11の出力電圧を監視し、該出力電圧が過大電圧である時、停止信号を発生し、電圧制御発振回路12を停止させるものである。
【0033】
保護回路30´は、電圧比較器からなり、圧電トランスの出力電圧と基準電圧とを比較し、誤差電圧を発生するもので、前者が後者より高い時の誤差電圧を停止信号として電圧制御発振回路12へ供給する。
【0034】
この保護回路30´によっても、図1の保護回路30と同様に、圧電トランス11を保護することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によるインバータでは、保護回路により圧電トランスの出力側インピーダンスの過大である時を検知し、その間圧電トランスへの駆動電圧の供給を停止するこによって、冷陰極管の点灯起動時に、点灯用電圧を冷陰極管に間欠的に印加することにより、暗黒効果や低温放置で点灯し難くなった冷陰極管を短時間で、かつスムースに点灯させることができ、冷陰極管の起動性が改善される。
【0036】
しかも、圧電トランスに間欠的に駆動電圧を印加して冷陰極管に点灯用電圧を間欠的に供給するので、圧電トランスの負担が少なく破損も起こらない。
【0037】
更に、点灯用電圧が一定時間繰り返し印加されても冷陰極管が点灯しない場合には、タイマー回路により電圧制御発振回路を停止させ、圧電トランスの一次側入力を停止させることによって、圧電トランスの破損を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による冷陰極管点灯用インバータを示すブロック図である。
【図2】本発明の他の実施の形態による冷陰極管点灯用インバータを示すブロック図である。
【図3】従来例による圧電トランスを用いた冷陰極管点灯用インバータを示す回路図である。
【符号の説明】
10 冷陰極管点灯用のインバータ
11 圧電トランス
12 電圧制御発振回路
13 発振周波数制御回路
14 駆動回路
15 冷陰極管電流検出回路
20 調光回路
21 調整つまみ
30,30´ 保護回路
31 タイマー回路
40 液晶ディスプレイ
50 冷陰極管
Claims (4)
- 冷陰極管の点灯電圧を出力するための所定の共振周波数を有する圧電トランスと、前記共振周波数近傍の周波数で発振する電圧制御発振回路と、該電圧制御発振回路の出力を受けて該圧電トランスを駆動する駆動回路と、前記圧電トランスに接続されて前記点灯電圧を入力された前記冷陰極管に流れる電流を検出する冷陰極管電流検出回路とを備え、該冷陰極管電流検出回路で検出された電流に応じて前記電圧制御発振回路の発振周波数を制御する圧電トランス式冷陰極管点灯用インバータであって、
前記圧電トランスの入力電流を監視し、該入力電流が過大になっている間のみ前記電圧制御発振回路を停止させる保護回路を有し、該保護回路を設けることにより、冷陰極管を点灯する際、冷陰極管に点灯電圧が間欠的に印加されるようにしたことを特徴とする冷陰極管点灯用インバータ。 - 冷陰極管の点灯電圧を出力するための所定の共振周波数を有する圧電トランスと、前記共振周波数近傍の周波数で発振する電圧制御発振回路と、該電圧制御発振回路の出力を受けて該圧電トランスを駆動する駆動回路と、前記圧電トランスに接続されて前記点灯電圧を入力された前記冷陰極管に流れる電流を検出する冷陰極管電流検出回路とを備え、該冷陰極管電流検出回路で検出された電流に応じて前記電圧制御発振回路の発振周波数を制御する圧電トランス式冷陰極管点灯用インバータであって、
前記圧電トランスの出力電圧を監視し、該出力電圧が過大になっている間のみ前記電圧制御発振回路を停止させる保護回路を有し、該保護回路を設けることにより、冷陰極管を点灯する際、冷陰極管に点灯電圧が間欠的に印加されるようにしたことを特徴とする冷陰極管点灯用インバータ。 - 請求項1又は請求項2に記載の冷陰極管点灯用インバータにおいて、該インバータの電源投入時に起動して一定時間動作し、該一定時間後に前記電圧制御発振回路を停止させるタイマー回路を有し、該タイマー回路の動作時間内に前記冷陰極管電流検出回路から検出電流が出力された時、前記タイマー回路の動作を解除することを特徴とする冷陰極管点灯用インバータ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷陰極管点灯用インバータにおいて、さらに、調光信号を発生する調光回路を有し、該調光信号は、所定の調光周波数と前記冷陰極管の所望の輝度に対応したデューティ比とを有し、前記電圧制御発振回路が、該調光信号の各ON期間のみ間欠的に作動されるように該調光信号によって制御されることを特徴とする冷陰極管点灯用インバータ。
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