JP4142318B2 - 薬物含有複合粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平均粒径が1000nm未満であるナノオーダーの粒子(ナノ粒子)を含む薬物含有複合粒子の製造方法に関するものであり、特に、ドラッグデリバリーシステム等に応用可能な、薬物を含有する複合粒子を好適に製造できる薬物含有複合粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平均粒径が1000nm未満、すなわち平均粒径が1μmより小さいナノオーダーの微粉体、すなわちナノ粒子は、従来のミクロンサイズの微粉体に比べて、比表面積や活性度が極めて大きく、様々な物性が劇的に変化し、あらゆる分野で製品性能特性の画期的な向上をもたらす可能性が高い。特に、医薬品・医療品分野における製剤技術の分野では、ナノ粒子の応用範囲は非常に広いものとなっている。
【0003】
具体的には、まず、ナノ粒子は非常に粒子径が小さい。そのため、例えば、注射剤においては、末端毛細血管の直径が約4μm程度であることから、固形の薬物をナノ粒子化すれば、静脈注射を行っても血栓の発生を回避できる。また、筋肉注射や皮下注射でも炎症や腫傷形成等を減少させることが可能である。
【0004】
さらに、ナノ粒子は比表面積が大きいことから、表面エネルギーの増加をもたらし、その結果、ナノ粒子は高反応性を示すことになる。それゆえ、薬物の経口、経肺投与においては、薬物のナノ粒子化により、生体内での薬物の透過性や吸収部位到達性を向上できるとともに、ナノ粒子は生体膜の表面に強く付着し易いため、薬物の吸収部位滞留性等が増大し、その結果、薬物の吸収性を増大させることが可能となる。
【0005】
したがって、ナノ粒子は、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System、薬物送達システム、以下DDSと略す)の開発においても非常に注目されている。
【0006】
ところが、上記ナノ粒子の高反応性は、ナノ粒子の利点となる反面、ナノ粒子の不安定化を招くことにもなる。それゆえ、投与前後のナノ粒子薬物の安定性が低下する等の問題が生じる。
【0007】
そこで、従来、ナノ粒子を、化学的方法や物理化学的方法を用いて複合化することで、ナノ粒子薬物の安定性を向上させる技術が開発されている。具体的には、例えば、球形晶析法を用いて、薬物と高分子とをコンポジット化することで、高分子ナノ粒子を形成している。なお、上記高分子としては、生体分解性や生体適合性に優れる高分子が好ましく用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ナノ粒子の高反応性は、ナノ粒子の強い表面付着性に寄与するが、この強い表面付着性は、ナノ粒子同士の付着・凝集も招くことになる。それゆえ、ナノ粒子の流動性は非常に低い。しかも、ナノ粒子は超微粒子であるため、従来のマイクロオーダーの微粒子よりも嵩高くなる。それゆえ、ナノ粒子の取扱性(ハンドリング性)が低下するという問題が生じる。
【0009】
上記球形晶析法のようなナノ粒子の複合化技術は、ナノ粒子そのものの安定性を十分に高めるものであるが、安定化したナノ粒子の取扱性を十分に高める技術ではない。
【0010】
例えば、薬物を投与する場合には、投与後の薬物の挙動が重要になるのは当然であるが、その薬物自体が、投与前に取り扱い難いものであれば、いくら優れたドラッグデリバリー機能を発揮できても、医薬品としての完成度は低いものとなってしまう。例えば、経肺製剤の場合、吸入器に薬物粉末を充填供給するが、薬物粉末がナノ粒子であれば、流動性が低いため、充填供給を容易かつ簡素に実施することができない。
【0011】
また、ナノ粒子の高反応性は、加熱や機械的応力(加圧、剪断)による優れた成膜・融着性等の特性を発揮できるため、これら特性(機能)を活用した新素材開発も可能である。しかしながら、ナノ粒子の取扱性が低ければ、上記新素材の開発にも影響を与えることになる。
【0012】
一般に、疎水性で帯電性を有する粉末の場合は造粒が困難であることが知られているが、ナノ粒子の場合、非常に微小な粒子であるので、粒子設計上、このような微小な粒子を、使用時または使用後に良好に分散できるように造粒することは非常に困難となっている。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、ナノ粒子の利点を損なうことなく取扱性を向上させ、DDS等の各種医薬品分野に好適に応用できる複合粒子の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、自然に凝集し易いナノ粒子の問題点を利用して、逆に、ナノ粒子同士を、使用時に分散可能なように人為的に凝集させることにより、ナノ粒子の利点を損なわずにその取扱性を向上させ得ることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、上記の課題を解決するために、薬物および生体適合性高分子を含む複合粒子の製造方法であって、上記薬物および生体適合性高分子の少なくとも一方を、平均粒径が1000nm未満のナノ粒子化するとともに、該ナノ粒子を含む混合物を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により複合化させることで、高分子ナノコンポジット粒子を形成することを特徴としている。
【0016】
上記方法によれば、薬物のナノ粒子および生体適合性高分子のナノ粒子の少なくとも一方を含む粒子混合物を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法を用いて複合化させている。そのため、ナノ構造を有する機能性ミクロン粒子を得ることができる。それゆえ、例えば、使用時に薬物のナノ粒子を十分に分散させ得る薬物含有複合粒子や、薬物の粒子表面を、生体適合性高分子のナノ粒子で改質してドラッグデリバリー特性を向上させた薬物含有複合粒子を製造することができる。その結果、ナノ粒子の利点を損なわずにその取扱性を向上させた医薬品の製造に利用することができる。
【0017】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、上記の課題を解決するために、平均粒径が1000nm未満であるナノ粒子を含む一次粒子を形成する一次粒子形成工程と、上記一次粒子同士が可逆的に集合するように、一次粒子を複合化させる複合化工程とを含むことを特徴としている。
【0018】
上記方法によれば、ナノ粒子を含む一次粒子同士を、分散および集合が可能なように複合化させているので、一次粒子の凝集状態を制御することになる。そのため、得られる薬物含有複合粒子(ナノコンポジット粒子)を、使用時に、ナノ粒子を含む一次粒子にまで崩壊・分散させ得るように薬物含有複合粒子を設計することが可能になる。
【0019】
そのため、使用前には、薬物含有複合粒子の平均粒径がナノオーダーよりも大きいため、嵩高くなく流動性に優れた状態にできるとともに、使用時(使用後)には、ナノ粒子の機能を発揮できるように、薬物含有複合粒子を一次粒子にまで崩壊させて使用することが可能となる。それゆえ、ナノ粒子の利点を損なうことなくその取扱性を向上させることができる。
【0020】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、上記一次粒子が、複数のナノ粒子を凝集させてなるナノ粒子凝集体である。該ナノ粒子凝集体の凝集状態を適宜制御すれば、薬物含有複合粒子が、一次粒子であるナノ粒子凝集体まで崩壊した後、さらにナノ粒子にまで崩壊させることができる。それゆえ、大きな粒径を有する薬物含有複合粒子を、使用時にナノ粒子そのものとして使用することが可能になる。その結果、ナノ粒子の利点を十分に生かした上で、その取扱性を向上させることができる。
【0021】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、上記ナノ粒子として、薬物粉末が用いられることが好ましい。これによって、本発明にかかる製造方法を、DDS用の医薬品の製造等に好適に用いることができる。
【0022】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、さらに、上記ナノ粒子を球形晶析法により形成するナノ粒子形成工程を含むことが好ましい。球形晶析法では、晶析と造粒とを同時に実施することができるので、高品質のナノ粒子を形成できるだけでなく、ナノ粒子の設計性も向上させることができる。
【0023】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、上記複合化工程では、流動層乾燥造粒法により、ナノ粒子凝集体を二次造粒することが好ましい。
【0024】
流動層乾燥造粒法では、流動している一次粒子に対して結合剤を含む液体を噴霧しながら乾燥することにより、結合剤を介して該一次粒子を二次凝集させる。それゆえ、薬物含有複合粒子を効率的かつ高品位に製造できるだけでなく、ナノ粒子の凝集状態も制御することができる。その結果、ナノ粒子の利点を損なうことなく取扱性をより一層向上させることができる。
【0025】
上記流動層乾燥造粒法では、用いられる上記一次粒子の平均粒径は、0.01μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。これによって、一次粒子が二次造粒された薬物含有複合粒子を効率的かつ確実に製造することができる。なお、後述する経肺製剤として用いられる場合には、一次粒子の平均粒径は0.01μm以上15μm以下の範囲内が好ましい。
【0026】
また、上記流動層乾燥造粒法では、一次粒子同士を結合させる結合剤が用いられることが好ましい。この結合剤としては、生体適合性高分子の水溶液を挙げることができる。これにより、一次粒子が二次造粒された薬物含有複合粒子の二次造粒状態を制御できる。特に、ナノ粒子として薬物が用いられる場合には、生体適合性高分子を用いることが好ましい。
【0027】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、上記複合化工程では、乾式機械的粒子複合化法により、一次粒子よりも外径の大きいキャリア粒子の表面に、上記ナノ粒子凝集体を付着させてもよい。
【0028】
乾式機械的粒子複合化法では、上記一次粒子とキャリア粒子とを混合してなる粒子混合物に対して、圧縮力および剪断力を加えることにより、キャリア粒子の表面に複数のナノ粒子凝集体を付着させる。それゆえ、この方法を用いても、薬物含有複合粒子を効率的かつ高品位に製造できるだけでなく、ナノ粒子の凝集状態も制御することができる。その結果、ナノ粒子の利点を損なうことなく取扱性をより一層向上させることができる。
【0029】
上記乾式機械的粒子複合化法では、用いられる上記一次粒子の平均粒径は、0.01μm以上500μm以下の範囲内であり、上記キャリア粒子の平均粒径は、1μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。これによって、キャリア粒子と一次粒子との薬物含有複合粒子を、効率的かつ確実に製造することができる。なお、後述する経肺製剤として用いられる場合には、一次粒子の平均粒径は0.01μm以上15μm以下の範囲内が好ましく、キャリア粒子の平均粒径は10μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。
【0030】
上記乾式機械的粒子複合化法では、上記キャリア粒子として、多糖類粉末または親水性高分子粉末が用いられることが好ましい。これにより、キャリア粒子とナノ粒子凝集体との薬物含有複合粒子の複合状態、すなわちキャリア粒子の表面にナノ粒子凝集体が付着した状態を良好に制御できる。特に、ナノ粒子として薬物が用いられる場合には、上記セルロース類やデンプン類等からなる多糖類粉末や、ポリメタクリル酸メチル等からなる親水性高分子粉末を用いることが好ましい。
【0031】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法では、さらに、上記複合化工程の前に、キャリア粒子の表面を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により改質するキャリア粒子表面改質工程を含むことが好ましい。このキャリア粒子表面改質工程でのキャリア粒子の表面改質は、上記各手法によりキャリア粒子の表面を平滑化する改質であってもよいし、キャリア粒子と滑沢剤粒子とを、上記各手法により複合化させる改質であってもよい。
【0032】
上記キャリア粒子表面改質工程により、キャリア粒子の表面に対する一次粒子の付着状態を制御することができる。したがって、一次粒子とキャリア粒子との分離性を制御することが可能になり、薬物含有複合粒子を一次粒子へ良好に崩壊・分散させることができる。
【0033】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法の用途は特に限定されるものではなく、使用時にナノ粒子の特性を十分に生かしたい用途に好適に用いられるが、例えば、粉末状の薬物を肺に送達して肺から薬物を吸収させる経肺製剤の製造には非常に好適に用いられる。本発明では、薬物含有複合粒子の形状と密度とを良好に制御することができるので、経肺製剤の製造において、所定の空気力学径を設計し、薬物粉末の吸入特性を最適化させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
本実施の形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、ナノ粒子を含む一次粒子を形成し、さらに、この一次粒子同士が可逆的に集合するように、該一次粒子を複合化させる方法である。上記一次粒子同士を可逆的に集合させるように複合化する方法としては、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法を用いることが非常に好ましい。
【0036】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、各種新素材の開発等幅広い分野に好適に用いられるが、中でも、特に医薬品用途、例えば、本実施の形態で例に挙げるように、経肺製剤のような粉末の薬剤を製造する用途等に好適に用いることができる。なお、以下の説明では、説明の便宜上、薬物含有複合粒子を、適宜、複合粒子と略して表現する。
【0037】
本発明におけるナノ粒子とは、平均粒径が1000nm未満の粒子、すなわちナノオーダーの微粒子を指し、ナノスフェア、またはナノパーティクルとも表現される粒子である。なお、平均粒径が1000nm以上、すなわち平均粒径が1μm以上の粒子はミクロン粒子と表現する。
【0038】
本発明におけるナノ粒子の材質は、ナノ粒子化できる物質であれば特に限定されるものではない。本実施の形態では、本発明の一利用分野として、薬物のナノ粒子を例に挙げて説明するが、勿論、他の物質のナノ粒子を用いても構わないことは言うまでもない。すなわち、本実施の形態では、上記ナノ粒子として、薬物粉末を用いる。薬物のナノ粒子を用いることで、後述するように、本発明にかかる製造方法を、DDS用の医薬品の製造等に好適に用いることができる。
【0039】
本発明におけるナノ粒子の製造方法としては、目的の物質を、1000nm未満の平均粒径を有する粒子に加工することができる方法であれば特に限定されるものではないが、本発明では、特に薬物をナノ粒子化する場合には、球形晶析法を用いることが非常に好ましい。
【0040】
球形晶析法は、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の結晶粒子を設計し、その物性を直接制御して加工することができる方法である。球形晶析法には、晶析する結晶の生成・凝集機構の違いによって球形造粒法(SA法)と、エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)とに分けることができる。
【0041】
SA法は、二種類の溶媒を用いて薬物結晶を析出させて、球形造粒結晶を形成する方法である。具体的には、まず、目的の薬物を溶解し難い貧溶媒と、該薬物を良好に溶解でき、かつ貧溶媒にも混和拡散できる良溶媒とを準備する。そして、良溶媒に溶解させた薬物溶液を、撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、良溶媒の貧溶媒への移行や温度効果等による溶解度の低下を利用することで、図2(a)の最左図に示すように、薬物の結晶51が系内に析出する。
【0042】
さらに、系内に、薬物と親和性を有し貧溶媒には混和しない少量の液体(液体架橋剤)を添加すると、図2(a)の最左図に示すように、液体架橋剤52が遊離する。そして、結晶51の間に架橋が形成され、界面張力および毛細管力により、図2(a)の左から2番目の図に示すように、非ランダムに結晶51が凝集し始める。なお、この状態をファニキュラー状態という。
【0043】
ファニキュラー状態の系に対して、さらに機械的剪断力を加えると凝集した結晶51は圧密化され、図2(a)の左から3番目の図に示すように、略球状の造粒物53となる。なお、この状態をキャピラリー状態という。キャピラリー状態の造粒物53がランダムに合一することで、図2(a)の最右図に示すように、最終的な球形造粒結晶54が形成される。
【0044】
上記良溶媒および貧溶媒の種類、並びに液体架橋剤52の種類は、目的となる薬物の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、結晶析出時の条件や機械的剪断力の加え方も特に限定されるものではなく、目的となる薬物の種類や、球形造粒結晶54の粒径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよい。
【0045】
ESD法も、二種類の溶媒を用いる方法であるが、SA法とは異なり、エマルジョンを形成してから、良溶媒と貧溶媒との相互拡散を利用して薬物を球状に結晶化させる方法である。具体的には、まず、良溶媒中に溶解した薬物溶液を撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、薬物と良溶媒とが親和性を持つため、良溶媒の貧溶媒への移行が遅れ、図2(b)の左図に示すように、エマルジョン滴55が形成される。
【0046】
そして、図2(b)の中図に示すように、エマルジョン滴55の冷却、並びに、良溶媒および貧溶媒の相互拡散(図中黒矢印が良溶媒の拡散、白矢印が貧溶媒の拡散を示す)により、エマルジョン滴55内で、薬物の溶解度が低下していき、図2(b)の右図に示すように、薬物の球形結晶粒子56が、エマルジョン滴55の形状を保持したまま析出、成長する。
【0047】
上記良溶媒および貧溶媒の種類についても、SA法と同様、目的となる薬物の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、エマルジョンの形成条件や結晶析出時の冷却条件等も特に限定されるものではなく、目的となる薬物の種類や、球形結晶粒子55の粒径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよい。
【0048】
上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要なく、容易に形成することができる。また、DDS用途では、薬物を生体適合性の高分子等で修飾する場合があるが、球形晶析法では、良溶媒に薬物と高分子とを溶解させるだけで、複合化されたナノ粒子を形成することができるので、非常に好ましい。
【0049】
上記球形晶析法によりナノ粒子化される薬物の具体的な種類としては、特に限定されるものではない。例えば、解熱鎮痛消炎剤、ステロイド系消炎剤、抗腫瘍剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、抗生物質、合成抗菌剤、抗ウィルス剤、鎮けい剤、鎮咳剤、去たん剤、気管支拡張剤、強心剤、利尿剤、筋弛緩剤、脳代謝改善剤、マイナートランキライザー、メジャートランキライザー、β−ブロッカー、抗不整脈剤、痛風治療剤、血液凝固阻止剤、血栓溶解剤、肝臓疾患用剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、鎮吐剤、降圧剤、高脂血症用剤、交感神経興奮剤、経口糖尿病治療剤、経口抗癌剤、アルカロイド系麻薬、ビタミン剤、頻尿治療剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤などが挙げられる。
【0050】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法では、例えば、上述したようにして形成されたナノ粒子を用い、該ナノ粒子をさらに造粒する。ここで、本発明では、上記ナノ粒子をそのまま用いてもよいが、ナノ粒子を含む一次粒子を形成してから、さらに二次造粒することがより好ましい。
【0051】
例えば、本発明は、ドライパウダー型の経肺製剤の製造に利用することができる。ここで、経肺製剤では、薬物粉末をいったん吸入器(ドライパウダー噴射デバイス)に充填供給してから、口腔内に向けて噴射する。
【0052】
ところが、ナノ粒子は非常に微細なため、流動性が低い等の取扱性の低下を招く。そのため、薬物粉末がナノ粒子であれば、吸入器への薬物粉末の充填供給を容易かつ簡素に実施することができない。しかも、口腔内で複合粒子が崩壊して直接ナノ粒子を生じるよう設計しても、実際には、良好にナノ粒子にまで分散できず、一部は凝集したままとなるおそれがある。それゆえ、薬物を良好に肺まで送達することができない場合が生じる。
【0053】
そこで、口腔から肺に到達するまでは、例えばミクロン粒子としておき、肺に到達して初めてナノ粒子化すれば、噴射時に、均質なミクロン粒子を良好に空気中に分散できるため、肺への薬物の到達率を高めることができるとともに、肺に沈着した時点でナノ粒子化するので、肺からの薬物の吸収性を向上させることができるため好ましい。それゆえ、経肺製剤では、プランルカスト水和物等の抗喘息薬やステロイド剤等の抗アレルギー薬のような肺へ直接投与することが好ましい薬物だけでなく、インスリンやカルシトニン等のペプチド系薬物をも利用することができる。
【0054】
しかも、球形晶析法を用いて、各種生体適合性高分子で修飾されたナノ粒子をさらに複合化させれば、得られる複合粒子(高分子ナノコンポジット粒子)は、肺への沈着性を向上させ得る等、DDS用の医薬品としても利用可能となる。
【0055】
そこで、本実施の形態では、ナノ粒子を含む一次粒子を造粒し、さらに、この一次粒子を二次造粒するという工程を経ることが好ましい。すなわち、本発明では、平均粒径が1000nm未満であるナノ粒子を含む一次粒子を形成するナノ粒子凝集体形成工程と、上記一次粒子同士が可逆的に集合するように、該一次粒子を複合化させる複合化工程とを含んでいることが好ましい。
【0056】
上記2つの工程を含んでいれば、ナノ粒子を含む一次粒子同士を、分散および集合が可能なように複合化させているので、一次粒子の凝集状態を制御することになる。そのため、得られる複合粒子を、使用時に、ナノ粒子を含む一次粒子にまで崩壊させ得るように複合粒子を設計することが可能になる。
【0057】
これにより、使用前には、複合粒子の平均粒径がナノオーダーよりも大きいため、嵩高くなく流動性に優れた状態にできるとともに、使用時(使用後)には、ナノ粒子の機能を発揮できるように、複合粒子を一次粒子にまで崩壊させて使用することが可能となる。それゆえ、ナノ粒子の利点を損なうことなくその取扱性を向上させることができる。
【0058】
例えば、図3に示すように、経肺製剤では、薬物のナノ粒子を含む一次粒子61を複合化して複合粒子62を形成し、この複合粒子62を吸入器40に充填供給する。複合粒子62は数十μm程度の平均粒径にできるので、その流動性や取扱性が向上し、吸入器40に容易かつ簡素に充填供給することができる。また、噴射時には容易に一次粒子61に崩壊・分散するので、微細な一次粒子61となって気道を通過して肺に確実に到達することになる。
【0059】
ここで、前述したように、上記一次粒子は、複数のナノ粒子を凝集させてなるナノ粒子凝集体である。該ナノ粒子凝集体の凝集状態を適宜制御すれば、複合粒子が、一次粒子であるナノ粒子凝集体まで崩壊した後、さらにナノ粒子にまで崩壊させることができる。それゆえ、大きな粒径を有する複合粒子を、使用時にナノ粒子そのものとして使用することが可能になる。その結果、ナノ粒子の利点を十分に生かした上で、その取扱性を向上させることができる。
【0060】
さらに前述したように、特に薬物をナノ粒子化する場合には、球形晶析法を用いることが好ましいため、本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、上記ナノ粒子を球形晶析法により形成するナノ粒子形成工程を含むことが好ましい。球形晶析法では、晶析と造粒とを同時に実施することができるので、高品質のナノ粒子を形成できるだけでなく、ナノ粒子の設計性も向上させることができる。
【0061】
経肺製剤の製造と使用とを例に挙げて、上記各工程を含む本発明の製造方法の流れを説明する。
【0062】
まず、ナノ粒子形成工程にて、球形晶析法で前述したようにナノ粒子を形成する(図2(a)・(b)参照)。次に、図4に示すように、一次粒子形成工程にて、ナノ粒子を凝集させ、一次粒子としてのナノ粒子凝集体61を形成する。一次粒子形成工程で実施される一次造粒方法としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、後述する流動層乾燥造粒法を用いる。
【0063】
上記ナノ粒子凝集体61は、図4に示すように、ナノ粒子60のみを凝集させてなる非キャリア型のナノ粒子凝集体61aであってもよいし、一次キャリア59を介してナノ粒子60を凝集させてなるキャリア型のナノ粒子凝集体61bであってもよい。
【0064】
上記一次キャリア59としては、生体に親和性を有しているか、生体内で特に悪影響を及ぼさずに、ナノ粒子60を凝集させることができる材質であれば特に限定されるものではないが、特に生体内で用いる場合には、水溶性の化合物を用いることが好ましい。これによって、生体内で恒常的に維持される湿度からナノ粒子凝集体61bが吸湿(吸水)して、容易にナノ粒子60まで崩壊する。
【0065】
本発明では、例えば、後述する複合化工程で説明する流動層乾燥造粒法によりキャリア型のナノ粒子凝集体61bを形成することができるので、後述する各種結合剤を好適に用いることができる。もちろん、他の方法によりキャリア型のナノ粒子凝集体61bを形成してもよい。
【0066】
また、上記一次粒子は、ナノ粒子凝集体61に限定されるものではなく、ナノ粒子60とミクロン粒子との凝集体であってもよい。あるいは、薬物を含むナノ粒子60で表面改質した薬物粉末であってもよい。つまり、本発明で用いられる一次粒子は、ナノ粒子60を含んでおり、最終的な分散でナノ粒子60が生じる粒子となっていればよい。
【0067】
次に、複合化工程にて、上記ナノ粒子凝集体61を二次造粒、すなわち複合化して複合粒子62を製造する。ここで、上記複合化工程としては、本発明では、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法を用いることが非常に好ましい。これによって、ナノ粒子60の構造を損なうことなくナノ粒子60を凝集させてなるミクロン粒子(複合粒子62)を得ることができる。
【0068】
なお、流動層乾燥造粒法では、結合剤64を用いて二次造粒された結合剤凝集型の複合粒子62aが得られ、乾式機械的粒子複合化法では、キャリア粒子63(上記一次造粒時の一次キャリア59とは別)を用いて二次造粒されたキャリア型の複合粒子62bが得られる。
【0069】
上記複合化工程で得られた複合粒子62は、ナノ粒子60を含む一次粒子、好ましくはナノ粒子凝集体61同士を、分散および集合が可能なように複合化させている。そのため、例えば上記経肺製剤に利用する場合、薬物のナノ粒子60を含む複合粒子62を、吸入器に仕込んでから、口腔内に上記複合粒子62を噴射させると、図4に示すように、噴射時に複合粒子62が良好に崩壊することにより、図3に示すように、ナノ粒子凝集体61が分散して、口腔内から肺へと吸入される。
【0070】
より具体的には、流動層乾燥造粒法で得られた結合剤凝集型の複合粒子62aの場合は、結合剤64による凝集状態が噴射時に良好に崩壊して、ナノ粒子凝集体61が生じ、乾式機械的粒子複合化法で得られたキャリア型の複合粒子62bの場合は、キャリア粒子63の表面に付着することによる凝集状態が噴射時に良好に崩壊して、ナノ粒子凝集体61が生じる。
【0071】
上記複合粒子62の平均粒径はナノオーダーよりも十分に大きく、例えば、数十〜数百μmであれば、該複合粒子62は嵩高くなく流動性に優れた状態にできるため、経肺製剤として、吸入器に仕込む際等の取扱性が向上する。しかも、使用時には、十数μm程度以下、好ましくは0.01μm〜15μm程度のナノ粒子凝集体61(一次粒子)に崩壊・分散し、良好に肺まで吸入される。
【0072】
さらに、肺では、いったんミクロン粒子であるナノ粒子凝集体61として沈着するが、肺内の湿度によりナノ粒子凝集体61が吸水したり一次キャリア59が溶解したりすることで、該ナノ粒子凝集体61は容易にナノ粒子60まで崩壊・再分散する。そのため、ナノ粒子60の高反応性により、肺内での薬物の透過性や吸収部位到達性、吸収部位滞留性等が向上し、その結果、薬物の吸収性を増大させることが可能となる。
【0073】
このように、本発明にかかる製造方法を用いれば、ナノ粒子60の利点を損なうことなくその取扱性を向上させることができる。
【0074】
次に、上記複合化工程で好ましく用いられ、さらに一次粒子形成工程でも用いることが可能な、流動層乾燥造粒法および乾式機械的粒子複合化法について、それぞれ具体的に説明する。
【0075】
流動層乾燥造粒法では、具体的には、図1に示すような、流動層乾燥造粒・コーティング型の粉体処理装置11を用いることで、結合剤凝集型の複合粒子62aが得られる。
【0076】
上記粉体処理装置11は、図1に示すように、大略的に、略円筒形状の空間である上方部位と、同じく略円筒形状の空間で上方部位よりも内径の小さい下方部位と、上方部位および下方部位をつなぎ、内径が連続的に変化し、かつ断面が略台形状の中部位との3つの空間が一体化してなる流動層空間13を内部に有するケーシング12、該ケーシング12の最下部に設けられ、上方の流動層空間13に対して液体原料を噴射可能とするスプレーノズル14、流動層空間13の上方部位において、下方側に突出する2つのバッグフィルタ15a・15b、図示しない液体原料供給部、および、同じく図示しない、流動層空間13に乾燥・流動化用エアーを供給するエアー供給部を備えている。
【0077】
上記粉体処理装置11では、はじめ何もない流動層空間13内に、液体原料を噴霧することで、粒子の凝集造粒とレイヤーリング造粒との繰り返しにより、顆粒状の粉体を形成することができる。それゆえ、装置構成が簡単で製造プロセスを簡素化できる上に、良質の顆粒を製造でき、しかも顆粒を製造する場合に、シード粒子の投入が必要ないという利点がある。
【0078】
本発明では、上記凝集造粒およびレイヤーリング造粒を利用して、ナノ粒子またはナノ粒子凝集体を分散・懸濁させた液体原料を流動層空間13内に噴射して、これらナノ粒子60またはナノ粒子凝集体61をシード粒子とする。また、液体原料として結合剤64を用いることで、ナノ粒子60を凝集させてナノ粒子凝集体61を形成したり、ナノ粒子凝集体61を凝集させて本発明にかかる複合粒子62を製造したりすることができる。
【0079】
具体的には、まず、図1の左図に示すように、液体原料供給部から供給された上記液体原料(図中矢印S)を流動層空間13内に噴射する。噴霧供給された液体原料のスプレーミスト径は10μm程度と極めて微小な液滴であるため、液体原料は流動層空間13を上昇していく過程で瞬間的に固化されて、微粒子65となって、流動層空間13上方のバッグフィルタ15a・15bに捕集される。
【0080】
ここで、上記微粒子65は、シード粒子がナノ粒子60の場合、該ナノ粒子60の周囲に結合剤64(すなわち一次キャリア59)が付着した構成となる。また、シード粒子がナノ粒子凝集体61の場合は、該ナノ粒子凝集体61の周囲に結合剤64が付着した構成となる。
【0081】
上記バッグフィルタ15a・15bでは,パルスジェット逆洗方式により、間欠的に微粒子65をケーシング12の下方のスプレーゾーン14aに払い落とす。このスプレーゾーン14aは、スプレーノズル14から液体原料が噴射される領域であるため、ここで微粒子65の表面に液体原料が付着し、凝集しつつ成長して顆粒66になる。この過程が凝集造粒である。
【0082】
ここで、上記顆粒66は、シード粒子がナノ粒子60の場合、該ナノ粒子60が結合剤64(すなわち一次キャリア59)を介して凝集したナノ粒子凝集体61となる。また、シード粒子がナノ粒子凝集体61の場合は、該ナノ粒子凝集体61が結合剤64を介して二次凝集した、本発明にかかる複合粒子62となる。
【0083】
また、上記凝集造粒と同時に、より大きく成長した顆粒66に対しては、液体原料がその顆粒66の表面へ直接付着し、さらに乾燥され固化される。これによって、顆粒66はさらに成長する。この過程がレイヤーリング造粒である。
【0084】
このような凝集造粒とレイヤーリング造粒とが継続することで、図1の中図に示すように、顆粒66の流動層(図中矢印F)が流動層空間13内に形成される。なお、図1では、バッグフィルタ15aからバッグフィルタ15bに向かって流動層が形成されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
これ以降に供給された液体原料は、ほぼ全てが顆粒66の表面に付着して展延し、さらに析出して乾燥される。すなわち、流動層が形成後はレイヤーリング造粒が進展する。そのため、このレイヤーリング造粒の期間を調節することで、顆粒66の球形化と重量の増加とを制御することが可能となり、図1の右図に示すように、最終的に、適度な平均粒径を有する顆粒66、すなわちナノ粒子凝集体61または複合粒子62が得られる。
【0086】
なお、粉体処理装置11は、上記ケーシング12の内部、すなわち、上記流動層空間13の雰囲気を、液体原料やナノ粒子60の種類等に応じて適宜変更することができるものであってもよい。例えば、エアー供給部から、不活性ガスや加熱ガス等の各種のガスをケーシング12の内部に流入させてもよい。
【0087】
このように、流動層乾燥造粒法では、流動しているナノ粒子凝集体61に対して液状の結合剤64を噴霧しながら乾燥することにより、結合剤64を介して該ナノ粒子凝集体61を二次凝集させる。それゆえ、結合剤凝集型の複合粒子62aを効率的かつ高品位に製造できる。また、同様にして、球形晶析法で得られたナノ粒子60をシード粒子としてナノ粒子凝集体61を製造することもできる。
【0088】
それゆえ、流動層乾燥造粒法では、ナノ粒子60から開始して、ナノ粒子凝集体61の形成から複合粒子62の形成まで連続的に実施することができる。そのため、ナノ粒子60の凝集状態を良好に制御することができ、その結果、ナノ粒子60の利点を損なうことなく取扱性をより一層向上させることができる。
【0089】
上記流動層乾燥造粒法で用いられる上記ナノ粒子凝集体61の平均粒径は、0.01μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。これによって、ナノ粒子凝集体61が二次造粒された複合粒子62を効率的かつ確実に製造することができる。なお、本発明は経肺製剤の製造に好適に用いることができるが、経肺製剤の場合には、一次粒子すなわちナノ粒子凝集体61の平均粒径は0.01μm以上15μm以下の範囲内が好ましい。
【0090】
また、上記流動層乾燥造粒法で用いられる結合剤64としては、生体適合性高分子の水溶液を挙げることができる。これにより、ナノ粒子凝集体61が二次造粒された複合粒子62の二次造粒状態を制御できる。特に、ナノ粒子60として薬物が用いられる場合には、生体適合性高分子を用いることが好ましい。
【0091】
上記生体適合性高分子は、薬物の用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、キトサン、乳酸・グリコール酸共重合体等を挙げることができる。また、流動層乾燥造粒法で用いられる液体原料には、水、シード粒子(ナノ粒子60またはナノ粒子凝集体61)、上記各種生体適合性高分子に加えて、各種糖類が添加されてもよい。この糖類としては、具体的には、例えば、乳糖、白糖、マンニトール、ソルビトール等のオリゴ糖類等が挙げられる。
【0092】
次に、乾式機械的粒子複合化法では、具体的には、図5および図6に示すような粉体処理装置21を用いる。
【0093】
上記粉体処理装置21は、図5に示すように、大略的に、略円筒形状の閉空間を形成するケーシング22、該ケーシング22の内部に設けられた同じく有底略円筒形状の筒状回転体23、該筒状回転体23の内周面に対して押圧力および剪断力を発生させて被処理物を処理すべく上記筒状回転体23の内部に配設したプレスヘッド24とからなる。
【0094】
上記筒状回転体23を回転させることで、該筒状回転体23の内周面に形成した受け面25と上記プレスヘッド24とを相対回転させ、図6にも示すように、上記受け面25と上記プレスヘッド24との間に間隙として形成されている押圧部26に存在する被処理物27に押圧力および剪断力を付与して複合化処理を行うものである。
【0095】
図5に示すように、上記ケーシング22の内部には、略円筒形状であって鉛直方向の回転軸心Xの回りに回転自在な筒状回転体23を備えている。該筒状回転体23は、回転軸部32と該回転軸部32に連接した底部34、及び該底部34に連接した円筒壁部35とにより構成されている。
【0096】
本実施の形態に用いられる上記粉体処理装置21においては、上記押圧部26に対して被処理物27を積極的に循環させるための被処理物排除手段として、筒状回転体23の底部34付近における複数箇所に、筒状回転体23の円筒壁部35を貫通するスリット28が形成されている。このスリット28は、上記押圧部26に保持された被処理物27の一部を、筒状回転体23が駆動回転されている最中に処理空間29の外部に排除するものであり、後述するように、全ての被処理物27が上記押圧部26に対して順次循環供給される。
【0097】
粉体処理装置21を構成するケーシング22は、支持部材(図示せず)によって支持され、基台(図示せず)に載置固定されている。該ケーシング22の内部には、被処理物27を処理するための密閉された処理空間29が形成される。当該ケーシング22は被処理物投入口30を有している。上記ケーシング22本体の底部周縁の一部には、処理が終了した被処理物27を取り出すための被処理物取出口31を設けている。上記構成により、被処理物27を連続処理することが可能となる。
【0098】
上記回転軸部32は、軸受(図示せず)を介して回転自在に基台(図示せず)に取り付けられている。そして、この基台に取り付けられたモータおよび該モータに連結された駆動ベルト(図示せず)によって、上記回転軸部32のプーリー(図示せず)に駆動力が伝達され、上記筒状回転体23が回転駆動される。筒状回転体23を回転駆動することで被処理物27には遠心力が作用し、被処理物27は筒状回転体23の受け面25に押し付けられることとなる。
【0099】
上記筒状回転体23の底部34は、上記回転軸部22と筒状回転体23の円筒壁部35とを連結する機能、および、上記被処理物27を保持する保持手段としての機能を有する。すなわち、該底部34は、後述する円筒壁部35との関係において互いの面が折れ曲がった関係にあり、筒状回転体23が回転する際に、被処理物27が十分に処理されずに押圧部26から下方に逃げてしまうのを防止する。
【0100】
上記円筒壁部35の内周面は、遠心力を受けて外向きに移動しようとする被処理物27の受け面25となる。すなわち、被処理物27を上記押圧部26に留めておき、上記受け面25と上記プレスヘッド24との協働によって被処理物27に押圧力および剪断力を付与して粉体処理を行う。
【0101】
この円筒壁部35の底部付近には、図5に示すようにスリット28が複数形成されている。このスリット28は、上記受け面25、つまりは上記円筒壁部35を貫通しており、円筒壁部35の回転軸心Xを挟んで対称の位置に、例えば合計二箇所設けてある。上記スリット28は、上記押圧部26に保持された被処理物27の一部を押圧部26の外部に排出するためのものであり、被処理物27を排出する手段として機能する。スリット28は、例えば受け面25の下方側に保持された被処理物27ほど多く排出するように下方側の開口面積の比率が上方側に対して大きくなるように形成してある。
【0102】
本実施の形態では、例えば、上記スリット28を断面が半円形状のとい状に形成する。被処理物27は、遠心力によって上記受け面25に押し付けられつつ、同時に重力の影響を受ける。このため、図5に示す円筒壁部35の場合、被処理物27は鉛直方向下方へ移動して上記受け面25と上記底部34との境界近傍に堆積しがちとなる。この部分に堆積する被処理物27は、筒状回転体23の回転負荷を増大させると共に、上記押圧部26への被処理物27の循環を阻害する。それゆえ、当該部分に堆積した被処理物7を、スリット28を介して積極的に排出することで上記不都合を解消し、粉体処理の効率を向上させる。
【0103】
上記構成によれば、上記押圧部26に存在する被処理物27のほとんどがスリット28を介して押圧部26の外に排出される。それゆえ、被処理物27は一定時間、押圧部26に保持されて押圧力および剪断力を付加され粉体処理が確実に行われる。
【0104】
上記筒状回転体23の内部には、上記受け面25に所定の間隔を有して配置するプレスヘッド24が設けられている。該プレスヘッド24は、上記受け面25と協働して被処理物27に押圧力および剪断力を付与する。そのため、プレスヘッド24の水平断面形状は、図6に示すように、例えば半円形状に構成してある。上記構成によって、該プレスヘッド24と上記受け面25との間に侵入しようとする被処理物27を圧密し、粉体粒子の複合化や球状化処理に有利な効果が得られる。
【0105】
また、プレスヘッド24の水平断面形状を半円形状とする場合には、その曲率を受け面25の曲率よりも大きくする。これにより、筒状回転体23の受け面25に固定された被処理物27は、筒状回転体23の回転により押圧部26を通過する際に、強力な圧縮力・剪断力を受ける。ここで、複数種類の混合物を被処理物27として用いると、強力な圧縮力、剪断力を受けることにより、粒子の複合化、粒子表面の改質、粒子形状のコントロール、粒子レベルの微細精密分散混合(粉体融合)等が生じることとなり粒子特性を制御することが可能となる。
【0106】
また、上記プレスヘッド24はケーシング22と同様に固定した構成としてもよいし、何らかの駆動手段を用いて回転駆動し、上記受け面25に対して積極的に相対回転させる構成にしてもよい。すなわち、プレスヘッド24の回転方向あるいは回転速度を適宜設定することで、当該プレスヘッド24と上記受け面25との相対回転速度をより細かく設定できて、被処理物27に応じた最適な処理条件を設定することが可能となる。なお、上記プレスヘッド24の温度を制御する構成としてもよい、例えば図示は省略するが、プレスヘッド24の内部に熱媒体通路を確保しておけば、被処理物27の熱特性に応じて最適な処理条件を設定することが容易となる。
【0107】
上記ケーシング22の外周下方部には循環用ブレード36が設けられている。該循環用ブレード36は、筒状回転体23の周方向に沿って複数枚設けるが、その枚数は任意である。当該循環用ブレード36は、スリット28から筒状回転体23の外方に排出された被処理物27を再び上記押圧部26に循環させるためのものである。この循環用ブレード36は、上記被処理物27を円筒壁部35の外周面に沿って上昇させ、円筒壁部35の上端を超えて筒状回転体23の処理空間29に還流させ上記押圧部26に戻すように円滑かつ確実に搬送するために、上記ケーシング22の内面形状に適合させて形成してある。
【0108】
上記構成の粉体処理装置21を用いて被処理物27を処理することにより、被処理物27が遠心力によって筒状回転体23の受け面25に押し付けられ、集合作用を受けて、受け面25において圧密状態の被処理物27の層が生成する。その一方で、当該圧密された被処理物27の一部は、スリット28を介して筒状回転体23の外側に排出されるし、筒状回転体23の内部に存在する被処理物27は、上記プレスヘッド24によってある程度の攪拌作用を受ける。それゆえ、被処理物7の複合化処理を速やかに進行させることができる。
【0109】
上述したように、粉体処理装置21によれば、被処理物27はケーシング22の被処理物投入口30よりその処理空間29に投入され、筒状回転体23とプレスヘッド24とにより強力な圧縮力・剪断力を受けることにより複合化処理される。また、筒状回転体23の壁面にはスリット28が形成されているため、上記混合物は筒状回転体23のスリット28を通して筒状回転体23の処理空間29の外側に送られる。そして、この外側に送られた被処理物27は、図5に示すように、循環用ブレード36により筒状回転体23の上部に搬送されて、再び筒状回転体23の内側に戻されて再度圧縮力・剪断力を受けることとなる。このように、被処理物27は、筒状回転体23とプレスヘッド24とにより繰り返し強力な圧縮力・剪断力を受けることにより、効果的に複合化処理がなされる。
【0110】
なお、粉体処理装置21は、上記ケーシング22の内部、すなわち、上記処理空間29の雰囲気を、被処理物27の種類等に応じて適宜変更することができるものであってもよい。例えば、不活性ガスや加熱ガス等の各種のガスを上記被処理物投入口30からケーシング22の内部に投入したり、加圧・真空ポンプ等を用いてケーシング22の内部を加減圧したりする構成としてもよい。この場合には、例えば、ケーシング22と筒状回転体23の回転軸部32との間に、図示しないシール部材を設けることにより、処理空間29の内部の雰囲気を確実に調整することができる。
【0111】
上記ケーシング22の周囲には、主に上記処理空間29の温度を調節するためのジャケット33を設けている。当該ジャケット33へは、別に設けたタンク(図示せず)からの加熱媒体または冷却媒体が必要に応じて循環供給される。これにより、上記ケーシング22の内部温度を調節することができる。例えば、被処理物27として、温度変化によって変質するおそれのある薬物を処理する場合においては、ジャケット33に加熱媒体または冷却媒体を循環供給することにより、処理中の被処理物27の温度を所望の温度として薬物の変質を防止することができる。
【0112】
上記乾式機械的粒子複合化法では、被処理物27として、一次粒子、すなわちナノ粒子凝集体61とキャリア粒子63とを混合してなる粒子混合物を用い、この被処理物27に対して、圧縮力および剪断力を加えることにより、キャリア粒子63の表面に複数のナノ粒子凝集体61を付着させることができる。それゆえ、この方法を用いても、複合粒子62を効率的かつ高品位に製造できるだけでなく、ナノ粒子60の凝集状態も制御することができる。その結果、ナノ粒子60の利点を損なうことなく取扱性をより一層向上させることができる。
【0113】
上記乾式機械的粒子複合化法で用いられる上記ナノ粒子凝集体61(一次粒子)の平均粒径は、0.01μm以上500μm以下の範囲内であり、上記キャリア粒子63の平均粒径は、1μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。これによって、キャリア粒子63とナノ粒子凝集体61(一次粒子)との複合粒子62を効率的かつ確実に製造することができる。なお、本発明は経肺製剤の製造に好適に用いることができるが、経肺製剤の場合には、一次粒子すなわちナノ粒子凝集体61の平均粒径は0.01μm以上15μm以下の範囲内が好ましく、キャリア粒子63の平均粒径は10μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。
【0114】
上記乾式機械的粒子複合化法で用いられるキャリア粒子63としては、薬物の用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではないが、一般的には、生体適合性高分子、特に、多糖類粉末または親水性高分子粉末が用いられることが好ましい。これにより、キャリア粒子63とナノ粒子凝集体61(一次粒子)との複合粒子62の複合状態、すなわちキャリア粒子63の表面にナノ粒子凝集体61が付着した状態を良好に制御できる。
【0115】
上記キャリア粒子63としては、具体的には、多糖類としては、例えば、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類や、コムギでんぷん、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン等のデンプン類等が挙げられる。また、親水性高分子としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のポリマーが挙げられる。
【0116】
特に、ナノ粒子60として薬物が用いられる場合には、多糖類粉末としては、微結晶セルロースや、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等が好ましく、親水性高分子粉末としては、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
【0117】
ここで、本発明にかかる製造方法では、さらに、上記複合化工程の前に、キャリア粒子63の表面を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により改質するキャリア粒子表面改質工程を含んでいるとより好ましい。上記キャリア粒子表面改質工程を実施することで、キャリア粒子63の表面に対する一次粒子(ナノ粒子凝集体61等)の付着状態を制御することができる。したがって、一次粒子とキャリア粒子63との分離性を制御することが可能になり、複合粒子62を一次粒子へ良好に崩壊・分散させることができる。
【0118】
キャリア粒子63の表面改質では、マクロ的には球状であること、ミクロ的には突起状の起伏(≦0.1μm)を有する表面にすることにより、キャリア粒子63と一次粒子との付着性・分離性を制御することができる。これは、一次粒子との接触点数が多くなり、付着し易くなる一方、各粒子間の接触面積が小さくなり、ファンデルワールス力が減少するので、例えば経肺製剤として用いる場合には、気流中で一次粒子が分離し易くなるためである。
【0119】
それゆえ、上記キャリア粒子表面改質工程で実施される表面改質は、上記マクロ的およびミクロ的な条件を満たす改質であればよい。具体的には、上記流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により、キャリア粒子63の表面を平滑化する改質であってもよいし、キャリア粒子63と滑沢剤粒子とを上記各手法により複合化させる改質であってもよい。
【0120】
キャリア粒子63の表面の平滑化は、上記流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法で説明した各粉体処理装置11または21を用いることで、容易に実施することができる。同様に、キャリア粒子63と滑沢剤との複合化についても、上記各粉体処理装置11または21を用いることで、容易に実施することができる。
【0121】
上記滑沢剤粒子は、キャリア粒子63の表面に付着することによって、キャリア粒子63と一次粒子との付着状態(分離性)を制御できる材質からなっていれば特に限定されるものではないが、例えば、一般に滑沢剤として用いられている各種オリゴ糖類や、薬物分野でコート剤として用いられている化合物等を好適に用いることができる。
【0122】
具体的には、例えば、乳糖、白糖、マンニトール、ソルビトール等のオリゴ糖類;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプルピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、キトサン、ポリエチレングリコール、乳酸・グリコール酸共重合体等の生体適合性高分子類;炭酸カルシウム、タルク、チタニア(酸化チタン)、シリカ(酸化ケイ素)等の無機化合物類;シュガーエステル、ステアリン酸マグネシウム等の界面活性剤;等が挙げられる。
【0123】
上記滑沢剤粉末は、ナノ粒子化されているとより好ましい。これによって、上記流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法による複合化を良好に進めることができる。例えば、上記シリカは、コロイダルシリカとして用いられることが好ましく、上記生体適合性高分子類は、球形晶析法により形成される高分子ナノ粒子(高分子ナノスフェア)となっていることが好ましい。
【0124】
このように、本発明は、ナノ粒子を、使用時または使用後に崩壊・分散できるように二次造粒する方法であって、特に、二次造粒のためのナノ粒子や一次粒子の造粒(凝集)に、生体適合性高分子を用いることが非常に好ましい。
【0125】
換言すれば、本発明は、薬物および生体適合性高分子を含む薬物含有複合粒子の製造方法であって、上記薬物および生体適合性高分子の少なくとも一方を、平均粒径が1000nm未満のナノ粒子化するとともに、該ナノ粒子を含む混合物を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により複合化させることで、高分子ナノコンポジット粒子を形成する方法であるとも表現できる。
【0126】
これによって、ナノ構造を有する機能性ミクロン粒子を得ることができるので、例えば、使用時に薬物のナノ粒子を十分に分散させ得る薬物含有複合粒子や、薬物の粒子表面を、生体適合性高分子のナノ粒子で改質してドラッグデリバリー特性を向上させた薬物含有複合粒子を製造することができる。その結果、ナノ粒子の利点を損なわずにその取扱性を向上させた医薬品の製造に利用することができる。
【0127】
本発明の代表的な用途としては、医薬品の製造用途、特に、上述した経肺製剤の製造を非常に好ましく挙げることができる。本発明では、薬物含有複合粒子の形状と密度とを良好に制御することができるので、経肺製剤の製造において、所定の空気力学径を設計し、薬物粉末の吸入特性を最適化させることができる。
【0128】
もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、使用時にナノ粒子の特性を十分に生かしたい用途に好適に用いられればよく、医薬品の製造以外にも、各種のナノテクノロジーを応用した新素材の開発等に好適に利用することができることはいうまでもない。
【0129】
例えば、本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法の医薬品製造開発への利用だけでも、前述したように、抗喘息薬や抗アレルギー剤を高分散型粉末吸入製剤(経肺製剤)に利用できる以外に、インスリン等の糖尿病治療薬を複合粒子化することで、注射薬に代わる経口または経肺投与型のDDS製剤の開発にも利用できる。また、粘着付着性のナノ粒子を用いることで、骨粗鬆症治療薬カルシトニン等を経口・経肺投与型のDDS製剤の開発にも利用できる。
【0130】
さらに、DDSとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の親水性高分子を用いることで、水系腸溶性コーティング基剤の開発にも利用できるし、直接打錠用生体内分解性長期情報型埋込用(インプラント)基剤や、その他ペプチド性薬物等の難吸収性経口投与薬物の吸収改善等にも用いることができる。
【0131】
【実施例】
以下、実施例および図7により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0132】
〔実施例1〕
平均粒径1〜2μmのプランルカスト水和物の粒子を、ナノ粒子を含む一次粒子のモデルとして用い、流動層乾燥造粒法の粉体処理装置(図1参照、ホソカワミクロン製アグロマスタAGM−2SD)に1kg仕込み、旋回流式パルスジェット分散機を作用させつつ流動化させた。このときの流動化(乾燥)空気量を0.8m3/min、入り口空気温度を80℃とした。また、結合剤としては、5℃以下程度のHPC(ヒドロキシプロプルセルロース)水溶液をボトムのスプレーノズルより噴霧供給(5%水溶液の場合で300g程度)し、平均粒径30〜40μm程度の顆粒(複合粒子)とした。
【0133】
得られた顆粒を、(株)ユニシアジェックス製の吸入器に充填供給して噴射した後、噴射前後の顆粒状態を観察した。充填供給は簡便であり、顆粒の一次粒子への分散も良好であった。
【0134】
得られた顆粒は、流動層乾燥造粒法による分散・凝集過程を経て形成されているため、顆粒から一次粒子への分散・崩壊性は非常に優れていた。それゆえ、吸入器への薬剤供給・充填時は、流動性の良い顆粒として振る舞う一方、吸入時の分散作用により、顆粒が良好に分散・崩壊する。そのため、微細な一次粒子となって気道を通過して肺に到達することがわかる。
【0135】
〔実施例2〕
キャリア粒子として、平均粒径40μmの乳糖を用いた。この乳糖50gを乾式機械的粒子複合化法の粉体処理装置(図5および6参照、ホソカワミクロン製AM−MINI(メカノフュージョン・ミニ)、処理容量100ml/バッチ、ケーシング内径φ=80mm、冷水ジャケット付、ローター回転数最大3500rpm)に仕込み、ローター回転数2500rpmで15分間処理した。なお、水冷ジャケットに水を流通させ、粉体温度は40℃以下に抑えた。水冷しないと、時間とともに粉体温度が上昇し、80℃を超えたあたりで融着現象が生ずるためである。
【0136】
これによって、ローターによる圧縮力・剪断力によりキャリア粒子の表面を平滑化する表面改質を実施した。表面処理された乳糖のキャリア粒子には、アモルファス化は生じなかった。
【0137】
その後、ナウタミキサ(逆円錐形混合機)を用いてキャリア粒子表面に、平均粒径1〜2μmのプランルカスト水和物の粒子(一次粒子のモデル)を付着させて顆粒を形成し、吸入器に充填供給して噴射した後、噴射前後の顆粒状態を観察した。充填供給は簡便であり、顆粒の一次粒子への分散も良好であった。
【0138】
〔実施例3〕
実施例2と同様に、キャリア粒子として、平均粒径40μmの乳糖を用いた。この乳糖40gと、滑沢剤としてシュガーエステル5gとをAM−MINIに仕込み、ローター回転数3500rpmで20分間処理した。なお、実施例2と同様に、水冷ジャケットを使用し、粉体温度は40℃以下に抑えた。乳糖のアモルファス化は抑制された。
【0139】
その後、実施例2と同様にして顆粒を形成し、吸入器に充填供給して噴射した後、噴射前後の顆粒状態を観察した。充填供給は簡便であり、顆粒の一次粒子への分散も良好であった。また、シュガーエステルで表面改質する前後において、電子顕微鏡写真によるキャリア粒子の表面の観察結果を図7に示す(図左の表面改質前が500倍、図右上の表面改質後が300倍)。
【0140】
〔実施例4〕
滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム(St−Mg)5gを用いた以外は実施例3と同様にして、顆粒を形成し、吸入器に充填供給して噴射した後、噴射前後の顆粒状態を観察した。充填供給は簡便であり、顆粒の一次粒子への分散も良好であった。また、St−Mgで表面改質する前後において、電子顕微鏡写真によるキャリア粒子の表面の観察結果を図7に示す(図左の表面改質前が500倍、図右下の表面改質後が300倍)。
【0141】
図7から明らかなように、滑沢剤で表面改質したキャリア粒子(粉砕乳糖)は、改質前よりもキャリア粒子の表面を滑らかでつやのある状態にできた。それゆえ、一次粒子のキャリアへの付着・分離性が大きく改善(制御)できた。
【0142】
〔実施例5〕
滑沢剤としてコロイダルシリカ5gを用いた以外は実施例3と同様にして、顆粒を形成し、吸入器に充填供給して噴射した後、噴射前後の顆粒状態を観察した。充填供給は簡便であり、顆粒の一次粒子への分散も良好であった。
【0143】
図7の結果から明らかなように、乾式機械的粒子複合化法により表面改質することで、乳糖の表面に、シュガーエステル(図7右上)やステアリン酸マグネシウム(図7右下)が均一に分散ボンディングされていることが分かる。それゆえ、未処理品(図7左)に比べて顆粒(複合粒子)の流動性と、一次粒子への分散性の著しい向上が確認され、一次粒子のキャリアへの付着・分離性が大きく改善(制御)できた。
【0144】
〔実施例6〕
キャリア粒子として、デンプンを用いた以外は、実施例2と同様にして、顆粒を形成し、吸入器に充填供給して噴射した後、噴射前後の顆粒状態を観察した。充填供給は簡便であり、顆粒の一次粒子への分散も良好であった。
【0145】
〔実施例7〕
アグロマスタAGM−2SDに、20%水溶液に調製した乳糖溶液を噴霧乾燥造粒させ、平均粒径35μmの球状微粒子(キャリア粒子)を得た。運転中は、旋回流式パルスジェット分散機を適宜作動(噴射ON、時間0.3秒、OFF時間5秒、エアジェット圧5kgf/cm2)させ、得られた微粒子を流動層内壁面に沿って旋回分散(壁面上を転がる作用)させることで、キャリア粒子の球形化、平滑化を促進させた。なお、流動化(乾燥)空気量を0.8m3/min、入り口空気温度を80℃、排気温度を45℃、乳糖溶液供給速度を10g/min、乳糖溶液供給量を1000gとした。
【0146】
その後、実施例2と同様にして、顆粒を形成し、吸入器に充填供給して噴射した後、噴射前後の顆粒状態を観察した。充填供給は簡便であり、顆粒の一次粒子への分散も良好であった。
【0147】
〔実施例8〕
実施例7において、得られたキャリア粒子を用いて、引き続き、ステアリン酸マグネシウム分散液(アルコール系、5%分散液、200g)をAGM−2SD内に供給し、先に作製されている微粒子表面をコーティングした。
【0148】
その後、実施例7と同様にして、顆粒を形成し、吸入器に充填供給して噴射した後、噴射前後の顆粒状態を観察した。充填供給は簡便であり、顆粒の一次粒子への分散も良好であった。
【0149】
特に、平滑化したキャリア粒子表面にステアリン酸マグネシウムをボンディングさせた上で、表面を平滑化した場合には、顆粒から一次粒子への分散・崩壊性は極めて優れていた。
【0150】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、平均粒径が1000nm未満であるナノ粒子を含む一次粒子を形成する一次粒子形成工程と、上記一次粒子同士が可逆的に集合するように、一次粒子を複合化させる複合化工程とを含む方法であり、上記複合化工程は、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により実施されることが好ましく、複合化には、生体適合性高分子が用いられることが好ましい。
【0151】
さらに、上記一次粒子が、複数のナノ粒子を凝集させてなるナノ粒子凝集体であり、好ましくは、上記ナノ粒子を球形晶析法により形成するナノ粒子形成工程を含み、さらに、複合化にキャリア粒子を用いる場合、上記複合化工程の前に、キャリア粒子の表面を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により改質するキャリア粒子表面改質工程を含んでいる。
【0152】
上記方法によれば、ナノ粒子を含む一次粒子同士を、分散および集合が可能なように複合化させているので、一次粒子の凝集状態を制御することになる。そのため、得られる薬物含有複合粒子(ナノコンポジット粒子)を、使用時に、ナノ粒子を含む一次粒子にまで崩壊・分散させ得るように薬物含有複合粒子を設計することが可能になる。
【0153】
そのため、使用前には、薬物含有複合粒子の平均粒径がナノオーダーよりも大きいため、嵩高くなく流動性に優れた状態にできるとともに、使用時(使用後)には、ナノ粒子の機能を発揮できるように、薬物含有複合粒子を一次粒子にまで崩壊させて使用することが可能となる。それゆえ、ナノ粒子の利点を損なうことなくその取扱性を向上させることができるという効果を奏する。
【0154】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法の用途は特に限定されるものではなく、使用時にナノ粒子の特性を十分に生かしたい用途に好適に用いられるが、例えば、粉末状の薬物を肺に送達して肺から薬物を吸収させる経肺製剤の製造には非常に好適に用いられる。本発明では、薬物含有複合粒子の形状と密度とを良好に制御することができるので、経肺製剤の製造において、所定の空気力学径を設計し、薬物粉末の吸入特性を最適化させることができるという効果を奏する。
【0155】
このように、本発明では、例えば、環境にやさしい機械的プロセスで、高齢化社会に対応した次世代DDS開発に応用することができる。それゆえ、ナノテクノロジーに基づく医薬品・医療品への応用技術を確立することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法に用いられる、粉体処理装置の一構成例および複合化の例を示す模式図である。
【図2】(a)・(b)は、本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法に用いられる球形晶析法を説明する模式図であり、(a)は球形造粒法の造粒過程を、(b)はエマルジョン溶媒拡散法の造粒過程を示す。
【図3】本発明の利用の一形態である経肺製剤の使用例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法で得られる薬物含有複合粒子の凝集、造粒、崩壊、および分散の過程を説明する模式図である。
【図5】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法に用いられる、粉体処理装置の他の構成例を示す断面図である。
【図6】図5に示す粉体処理装置により被処理物に圧縮力および剪断力を与える際の動作を説明する断面図である。
【図7】本発明の一実施例である、キャリア粒子の表面改質の具体例を示す図面代用写真であり、左は、複合化前の乳糖粒子の図面代用電子顕微鏡写真(500倍)であり、右上は、シュガーエステルで複合化した後の乳糖粒子の図面代用電子顕微鏡写真(300倍)であり、右下は、ステアリン酸マグネシウムで複合化した後の乳糖粒子の図面代用電子顕微鏡写真(300倍)である。
【符号の説明】
60 ナノ粒子
61 ナノ粒子凝集体(一次粒子)
62 薬物含有複合粒子(高分子ナノコンポジット粒子)
63 キャリア粒子
64 結合剤

Claims (15)

  1. 薬物および生体適合性高分子を含む薬物含有複合粒子の製造方法であって、
    上記薬物および生体適合性高分子の少なくとも一方を、平均粒径が1000nm未満ナノ粒子化するとともに、
    該ナノ粒子を含むナノ粒子凝集体で一次粒子を形成する一次粒子形成工程と、
    上記一次粒子同士が可逆的に集合するように、一次粒子を複合化させる複合化工程とにより、高分子ナノコンポジット粒子を形成することを特徴とする薬物含有複合粒子の製造方法。
  2. さらに、上記ナノ粒子を球形晶析法により形成するナノ粒子形成工程を含むことを特徴とする請求項に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  3. 上記複合化工程では、上記一次粒子を、流動層乾燥造粒法により複合化させることを特徴とする請求項1または2に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  4. 上記複合化工程では、流動層乾燥造粒法により、一次粒子を二次造粒することを特徴とする請求項1、2または3に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  5. 上記一次粒子の平均粒径は、0.01μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  6. 上記流動層乾燥造粒法では、一次粒子同士を結合させる結合剤が用いられることを特徴とする請求項4または5に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  7. 上記結合剤が、生体適合性高分子の水溶液であることを特徴とする請求項に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  8. 上記複合化工程では、上記一次粒子を、乾式機械的粒子複合化法により複合化させることを特徴とする請求項1または2に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  9. 上記複合化工程では、乾式機械的粒子複合化法により、一次粒子よりも外径の大きいキャリア粒子の表面に、上記一次粒子を付着させることを特徴とする請求項1、2または8に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  10. 上記一次粒子の平均粒径は、0.01μm以上500μm以下の範囲内であり、上記キャリア粒子の平均粒径は、1μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  11. 上記キャリア粒子として、多糖類粉末または親水性高分子粉末が用いられることを特徴とする請求項9または10に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  12. さらに、上記複合化工程の前に、キャリア粒子の表面を平滑化するか、またはキャリア粒子と滑沢剤粒子とを複合化させることで、キャリア粒子の表面を改質するキャリア粒子表面改質工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  13. 上記キャリア粒子表面改質工程を、流動層乾燥造粒法により行うことを特徴とする請求項12に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  14. 上記キャリア粒子表面改質工程を、乾式機械的粒子複合化法により行うことを特徴とする請求項12に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  15. 粉末状の薬物を肺に送達して肺から薬物を吸収させる経肺製剤の製造に用いられることを特徴とする請求項1ないし14の何れか1項に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
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