JP4397146B2 - 薬物含有複合粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平均粒径が1000nm未満であるナノオーダーの粒子(ナノ粒子)を含む薬物含有複合粒子の製造方法に関するものであり、特に、薬物粉末の表面を良好に改質することでドラッグデリバリーシステムに好適に用いることができる薬物含有複合粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医薬品製剤には、例えば、製造時における取り扱い易さ(ハンドリング性)、苦みのマスキング、溶解性の制御、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System、薬物送達システム、以下DDSと略す)特性等の多様な特性が要求されるため、従来より、必要な性質を付与するために、薬物を含む複数の原料を複合化することが行われている。
【0003】
複数の原料が複合化された例としては、例えば、賦形剤と薬物とが複合化されたもの、薬物の表面が滑沢剤やコート剤により覆われたものなどが挙げられる。ここで、上記賦形剤は薬物の取扱性を向上させて、所望の形態に製剤化することを容易にする役割を担い、滑沢剤は薬物の表面を滑らかでつやのある状態にする役割を担い、コート剤は、薬物の表面を覆うことにより、例えば、薬物の苦みをマスキングする役割を担うものである。
【0004】
中でも、薬物の表面を滑沢剤やコート剤等の各種表面改質剤で覆う技術は、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System、薬物送達システム、以下DDSと略す)の開発においても非常に注目されている。
【0005】
例えば、近年、薬物の投与方法として経肺投与が注目されている。肺には、消化管に匹敵する広い吸収面積を有すること、肺胞の上皮が薄く、その下には脈管系が発達しているので、物質の透過・吸収に有利であること、酵素活性が比較的低いこと、直接全身循環系に薬物を入れることができること等の利点があり、特に全身投与ルートとして非常に有効である。
【0006】
ここで、肺内に薬物を送達する方法としては、フロン等の揮発性噴射剤に薬物を溶解または懸濁させたものをエアゾール化して吸入させる方法が従来用いられていたが、フロンの使用制限に伴い、最近では薬物をドライパウダー化して吸入させる方法の開発が進められている。このような技術では、薬物をミクロンオーダーで粉末化した上で、該薬物粉末の表面を、コロイダルシリカ等の滑沢剤で改質して、その流動性を向上させている。これによって、薬物粉末の流動性や分散性が向上し、薬物の吸収を促進させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、薬物粉末の表面を改質する従来の技術では、ある程度の表面改質は可能であるものの、表面改質の制御や表面改質した薬物粉末の生産性に不十分な点があるという問題点を生じている。
【0008】
具体的には、コロイダルシリカ等の滑沢剤は、ナノオーダーの微粉体、すなわちナノ粒子であるため、滑沢剤による表面改質が容易ではなく、それゆえ、薬物の種類や用途に応じた、適度な表面改質が困難となり易い。また、表面改質には、ローター型の粉体複合化装置が用いられることが多いが、このような装置では、表面改質の制御が不十分となり易いだけでなく、表面改質した薬物粉末を大量生産するにも適していない。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、薬物粉末の表面を、ナノ粒子で良好に表面改質できるとともに、表面改質の良好な制御が可能で、かつ表面改質した薬物粉末の生産性も向上させ得る薬物含有複合粒子の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法を用いて、ナノ粒子と薬物粒子とを複合化することで、表面改質の良好な制御が可能で、かつ表面改質した薬物粉末の生産性も向上可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、球形晶析法により平均粒径が1000nm未満のナノ粒子を形成した後、該ナノ粒子と該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを含む混合分散液を作製し、該混合分散液を用いて流動層乾燥造粒法によりナノ粒子と薬物粉末とを複合化することで、薬物粉末の表面を改質することを特徴としている。
【0012】
上記方法によれば、球形晶析法によりナノ粒子を形成しているため、平均粒径が1000nm未満であるとともに略球形で均質なナノ粒子が容易に得られる。そして、このようにして得られたナノ粒子と該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを用いて混合分散液を作製した後、該混合分散液を用いて流動層乾燥造粒法により、ナノ粒子と薬物粉末とを複合化させている。そのため、ナノ粒子を薬物粉末の表面改質剤として有効に用いることが可能となり、従来のようなミクロン粒子を用いた表面改質に比べて、薬物粉末の表面を良好に改質できるとともに、表面の改質レベルを良好に制御することができる。また、流動層乾燥造粒法は、複合化の大量処理に適した方法であるため、表面改質した薬物粉末の生産性をより一層向上させることができる。
【0013】
また、本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、球形晶析法により平均粒径が1000nm未満のナノ粒子を形成した後、該ナノ粒子と該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを含む混合分散液を作製し、該混合分散液を乾燥粉末にし、該乾燥粉末を、乾式機械的粒子複合化法により複合化することで、薬物粉末の表面を改質することを特徴としている。
上記方法によれば、球形晶析法によりナノ粒子を形成しているため、平均粒径が1000nm未満であるとともに略球形で均質なナノ粒子が容易に得られる。また、得られたナノ粒子と該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを含む混合分散液を作製した後、該混合分散液を乾燥粉末にし、該乾燥粉末を乾式機械的粒子複合化法により複合化させている。そのため、ナノ粒子を薬物粉末の表面改質剤として有効に用いることが可能となり、従来のようなミクロン粒子を用いた表面改質に比べて、薬物粉末の表面を良好に改質できるとともに、表面の改質レベルを良好に制御することができる。また、乾式機械的粒子複合化法は、複合化の大量処理に適した方法であるため、表面改質した薬物粉末の生産性をより一層向上させることができる。
【0014】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法では、上記球形晶析法に、エマルジョン溶媒拡散法を用いるのが好ましい。また、上記ナノ粒子を滑沢剤として用いるのが好ましい。また、ナノ粒子として、高分子ナノ粒子を用いるのが好ましい。この場合、乳酸・グリコール酸共重合体またはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートからなる高分子ナノ粒子を用いるのが好ましい。これにより、薬物粉末を高分子で良好に表面改質できるだけでなく、高分子による表面改質のレベルも良好に制御することが可能となる。また、高分子ナノ粒子内に薬物が含まれた構成にすることもできる。
【0015】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、上記薬物粉末の平均粒径が、0.01μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。これによって、ナノ粒子により表面が改質された薬物粉末、すなわち本発明にかかる薬物含有複合粒子を効率的かつ確実に製造することができる。
【0016】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法の用途は特に限定されるものではなく、使用時にナノ粒子の特性を十分に生かしたい医薬品・医療品関係の用途に好適に用いられるが、例えば、粉末状の薬物を肺に送達して肺から薬物を吸収させる経肺製剤の製造には非常に好適に用いられる。本発明では、複合粒子の形状と密度とを良好に制御することができるので、経肺製剤の製造において、所定の空気力学径を設計し、薬物粉末の吸入特性を最適化させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図7に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
本実施の形態における薬物含有複合粒子の製造方法は、平均粒径が1000nm未満のナノ粒子と該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを含む混合物を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により複合化させることで、薬物粉末の表面を改質する方法である。
【0019】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、各種医薬品、医療品の開発等幅広い分野に好適に用いられるが、中でも、本実施の形態で例に挙げるように、経肺製剤のような粉末の薬剤を製造する用途や、粉末成分を含む薬物をDDSに応用する用途等に好適に用いることができる。
【0020】
本発明におけるナノ粒子とは、平均粒径が1000nm未満の粒子、すなわちナノオーダーの微粒子を指し、ナノスフェア、またはナノパーティクルとも表現される粒子である。なお、平均粒径が1000nm以上、すなわち平均粒径が1μm以上の粒子はミクロン粒子と表現する。
【0021】
本発明におけるナノ粒子の材質は、ナノ粒子化できる物質であれば特に限定されるものではないが、特に好ましくは、薬物とともに用いた場合に生体に悪影響を与えない物質であることが好ましい。もちろん、ナノ粒子そのものが薬物であってもよい。
【0022】
本発明で用いられる薬物の具体的な種類としては、特に限定されるものではない。例えば、解熱鎮痛消炎剤、ステロイド系消炎剤、抗腫瘍剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、抗生物質、合成抗菌剤、抗ウィルス剤、鎮けい剤、鎮咳剤、去たん剤、気管支拡張剤、強心剤、利尿剤、筋弛緩剤、脳代謝改善剤、マイナートランキライザー、メジャートランキライザー、β−ブロッカー、抗不整脈剤、痛風治療剤、血液凝固阻止剤、血栓溶解剤、肝臓疾患用剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、鎮吐剤、降圧剤、高脂血症用剤、交感神経興奮剤、経口糖尿病治療剤、経口抗癌剤、アルカロイド系麻薬、ビタミン剤、頻尿治療剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤などが挙げられる。
【0023】
本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法では、例えば、図2に示す様に、生体適合性を有する物質で形成されたナノ粒子60と、薬物粉末(例えばミクロン粒子)71とを複合化して、薬物含有複合化粒子70を製造する。これによって薬物の吸収性をさらに一層向上させることが可能となる。
【0024】
例えば、本発明は、ドライパウダー型の経肺製剤の製造に利用することができる。具体的には、経肺製剤では、薬物粉末を、吸入器(ドライパウダー噴射デバイス)に充填供給してから、口腔内に向けて噴射する。噴射された薬物粉末は、口腔内から肺へと到達する。
【0025】
ここで、上記薬物粉末はミクロン粒子であることがほとんどであるが、このミクロン粒子の薬物粉末を、ナノ粒子で表面改質した薬物含有複合粒子70として、図3に示すように、これを吸入器40に充填供給してから、口腔内に向けて噴射する。これによって、薬物含有複合粒子70は、口腔から肺へ送達された後、肺で良好に沈着させ、しかも薬物の吸収性をより一層向上させることができる。それゆえ、本発明を利用すれば、従来経肺製剤としては用いることが困難であると考えられてきた薬物、例えば、インスリンやカルシトニン等のペプチド系薬物をも利用することができる。
【0026】
また、ミクロン粒子は、ナノ粒子ほどではないが微細なため、流動性が低い等の取扱性の低下を招く。そのため、薬物粉末の吸入器への充填供給を容易かつ簡素に実施することができない。しかも、口腔内で複合粒子が崩壊して直接ナノ粒子が生じると、ナノ粒子が再度凝集する等して、空気中で良好に分散できない。そこで、本発明の製造方法を用いることで、薬物粉末の吸入器内での流動性の向上や、空気中での分散性の改善を図ることができる。
【0027】
そこで、本実施の形態では、生体適合性高分子でナノ粒子を形成し、さらに、このナノ粒子と薬物粉末とを複合化することによって、薬物の表面を改質する。すなわち、本発明では、平均粒径が1000nm未満であるナノ粒子該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを含む混合物を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により複合化させる複合化工程を含んでいる。
【0028】
上記方法によれば、ナノ粒子および薬物粉末とを、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法を用いて複合化させるため、ナノ粒子を薬物粉末の表面改質剤として有効に用いることが可能になり、従来のようなミクロン粒子を用いた表面改質に比べて、薬物粉末の表面を良好に改質できるとともに、表面の改質レベルを良好に制御することができる。また、流動層乾燥造粒法や乾式機械的粒子複合化法は複合化の大量処理に適した方法であるため、表面改質した薬物粉末の生産性をより一層向上させることができる。
【0029】
本発明で用いられるナノ粒子としては、目的となる薬物の表面を改質し、生体内での吸収性や定着性等を向上させることができる材質からなっていればよいが、好ましくは、各種滑沢剤粉末を用いる。
【0030】
上記滑沢剤としては、例えば、一般に滑沢剤として用いられている各種オリゴ糖類や、薬物分野でコート剤として用いられている化合物を好適に用いることができる。
【0031】
より具体的には、例えば、乳糖、白糖、マンニトール、ソルビトール等のオリゴ糖類;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプルピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、キトサン、ポリエチレングリコール、乳酸・グリコール酸共重合体等の生体適合性高分子類;炭酸カルシウム、タルク、チタニア(酸化チタン)、シリカ(酸化ケイ素)等の無機化合物類;シュガーエステル、ステアリン酸マグネシウム等の界面活性剤;等が挙げられる。
【0032】
上記各化合物はナノ粒子化していればよい。例えば無機化合物の場合、コロイド状となっていればよい。具体的には、シリカの場合、市販のコロイダルシリカを好ましく用いることができる。
【0033】
このうち、生体適合性高分子は、球形晶析法にてナノ粒子化することが好ましい。つまり、本発明では、表面改質剤として用いるナノ粒子を、球形晶析法を用いて形成するナノ粒子形成工程を含むことが好ましい。球形晶析法では、晶析と造粒とを同時に実施することができるので、高品質のナノ粒子を形成できるだけでなく、ナノ粒子の設計性も向上させることができる。
【0034】
球形晶析法は、化合物合成の最終プロセスにおける結晶の生成・成長プロセスを制御することで、球状の結晶粒子を設計し、その物性を直接制御して加工することができる方法である。球形晶析法には、晶析する結晶の生成・凝集機構の違いによって球形造粒法(SA法)と、エマルジョン溶媒拡散法(ESD法)とに分けることができる。
【0035】
SA法は、二種類の溶媒を用いて目的物質の結晶を析出させて、球形造粒結晶を形成する方法である。具体的には、まず、目的物質を溶解し難い貧溶媒と、該目的物質を良好に溶解でき、かつ貧溶媒にも混和拡散できる良溶媒とを準備する。そして、良溶媒に目的物質を溶解させた溶液を、撹拌下、貧溶媒中に滴下する。このとき、良溶媒の貧溶媒への移行や温度効果等による溶解度の低下を利用することで、目的物質の結晶が系内に析出する。
【0036】
さらに、系内に、目的物質と親和性を有し貧溶媒には混和しない少量の液体(液体架橋剤)を添加すると液体架橋剤が遊離する。そして、結晶の間に架橋が形成され、界面張力および毛細管力により、非ランダムに結晶が凝集し始める(ファニキュラー状態)。この系に対して、さらに機械的剪断力を加えると凝集した結晶は圧密化され、略球状の造粒物となる(キャピラリー状態)。さらに、この造粒物がランダムに合一することで、最終的な球形造粒結晶が形成される。
【0037】
上記良溶媒および貧溶媒の種類、並びに液体架橋剤の種類は、目的物質の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、結晶析出時の条件や機械的剪断力の加え方も特に限定されるものではなく、目的物質の種類や、球形造粒結晶の粒径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよい。
【0038】
本発明では、特に、生体適合性高分子をナノ粒子化する場合には、ESD法を用いることがより好ましい。このESD法も、二種類の溶媒を用いる方法であるが、SA法とは異なり、エマルジョンを形成してから、良溶媒と貧溶媒との相互拡散を利用して高分子を球状に結晶化させる方法である。具体的には、まず、図4の左上に示すように、良溶媒中に溶解した高分子溶液41を撹拌下、貧溶媒42中に滴下する。このとき、図4の右上に示すように、高分子溶液41が貧溶媒に迅速に拡散し、図4の左下に示すように、自己エマルジョン化(Marangoni効果)によりエマルジョン滴55が形成される。
【0039】
そして、図4の左下に示すように、エマルジョン滴55の冷却、並びに、良溶媒および貧溶媒の相互拡散(図中白矢印が良溶媒の拡散、黒矢印が貧溶媒の拡散を示す)により、エマルジョン滴55内で、薬物の溶解度が低下していき、図4の右下に示すように、薬物の球形結晶粒子56が、エマルジョン滴55の形状を保持したまま析出、成長する。
【0040】
上記良溶媒および貧溶媒の種類についても、SA法と同様、目的の高分子の種類等に応じて決定されるものであり特に限定されるものではない。また、エマルジョンの形成条件や結晶析出時の冷却条件等も特に限定されるものではなく、目的となる高分子薬物の種類や、球形結晶粒子55の粒径(本発明の場合ナノオーダー)等に応じて適宜決定すればよい。
【0041】
上記球形晶析法では、物理化学的な手法でナノ粒子を形成でき、しかも得られるナノ粒子が略球形であるため、均質なナノ粒子を、触媒や原料化合物の残留といった問題を考慮する必要なく、容易に形成することができる。また、球形晶析法では、良溶媒に薬物と高分子とを溶解させるだけで、複合化されたナノ粒子を形成することができるので、非常に好ましい。
【0042】
本実施の形態では、球形晶析法により得られる高分子ナノ粒子(高分子ナノスフェア)としては、乳酸・グリコール酸共重合体またはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートからなる粒子が特に好ましい。これにより、薬物粉末を高分子により良好に表面改質できるだけでなく、高分子による表面改質のレベルも良好に制御することが可能となる。また、上記高分子ナノ粒子には、上記生体適合性高分子だけでなく、各種薬物が含まれていても良い。これによって、表面のナノ粒子の薬物と内部の薬物粒子との双方を同時に投与できるという利点が得られる。
【0043】
次に、生体適合性高分子を含むナノ粒子(高分子ナノスフェア)を用いる場合を例に挙げて、上記各工程を含む本発明の製造方法の流れを説明する。
【0044】
まず、図5の上段左に示すように、ナノ粒子形成工程にて、前述したようにナノ粒子を形成する(図4参照)。これによって、同上段中央に示すように、ナノ粒子60が分散した分散液43が調製される。さらに、同上段右に示すように、このナノ粒子分散液43に対して、さらに、薬物粉末71を加えて十分に撹拌する。これによって、図5下段左に示すように、薬物粉末71とナノ粒子60とのナノ粒子・薬物分散液44が調製される。
【0045】
本発明では、上記ナノ粒子・薬物分散液44を用いて複合粒子70を製造するが、この複合粒子70の製造には、図5下段左に示すように、前述した流動層乾燥造粒法や乾式機械的粒子複合化法を用いて複合化を実施する(複合化工程)。なお、図5では、流動層乾燥造粒法をSDと、乾式機械的粒子複合化法をFDと略記する。
【0046】
次に、上記複合化工程で用いられる流動層乾燥造粒法および乾式機械的粒子複合化法について、それぞれ具体的に説明する。
【0047】
流動層乾燥造粒法では、具体的には、図6に示すような、流動層乾燥造粒・コーティング型の粉体処理装置11を用いる。
【0048】
上記粉体処理装置11は、図6に示すように、大略的に、略円筒形状の空間である上方部位と、同じく略円筒形状の空間で上方部位よりも内径の小さい下方部位と、上方部位および下方部位をつなぎ、内径が連続的に変化し、かつ断面が略台形状の中部位との3つの空間が一体化してなる流動層空間13を内部に有するケーシング12、該ケーシング12の最下部に設けられ、上方の流動層空間13に対して液体原料を噴射可能とするスプレーノズル14、流動層空間13の上方部位において、下方側に突出する2つのバッグフィルタ15a・15b、図示しない液体原料供給部、および、同じく図示しない、流動層空間13に乾燥・流動化用エアーを供給するエアー供給部を備えている。
【0049】
上記粉体処理装置11では、はじめ何もない流動層空間13内に、液体原料を噴霧することで、粒子の凝集造粒とレイヤーリング造粒との繰り返しにより、顆粒状の粉体を形成することができる。それゆえ、装置構成が簡単で製造プロセスを簡素化できる上に、良質の顆粒を製造でき、しかも顆粒を製造する場合に、シード粒子の投入が必要ないという利点がある。
【0050】
本発明では、上記凝集造粒およびレイヤーリング造粒を利用して、上記ナノ粒子・薬物分散液44を液体原料として流動層空間13内に噴射して、これらナノ粒子60および薬物粉末71をシード粒子とする。
【0051】
具体的には、まず、図6の左図に示すように、液体原料供給部から供給された上記液体原料(図中矢印S)を流動層空間13内に噴射する。噴霧供給された液体原料のスプレーミスト径は10μm程度と極めて微小な液滴であるため、液体原料は流動層空間13を上昇していく過程で瞬間的に固化されて、微粒子65となって、流動層空間13上方のバッグフィルタ15a・15bに捕集される。
【0052】
上記バッグフィルタ15a・15bでは,パルスジェット逆洗方式により、間欠的に微粒子65をケーシング12の下方のスプレーゾーン14aに払い落とす。このスプレーゾーン14aは、スプレーノズル14から液体原料が噴射される領域であるため、ここで微粒子65の表面に液体原料が付着し、凝集しつつ成長して顆粒66とになる。この過程が凝集造粒である。
【0053】
また、上記凝集造粒と同時に、より大きく成長した顆粒66に対しては、液体原料がその顆粒66の表面へ直接付着し、さらに乾燥され固化される。これによって、顆粒66はさらに成長する。この過程がレイヤーリング造粒である。
【0054】
このような凝集造粒とレイヤーリング造粒とが継続することで、図6の中図に示すように、顆粒66の流動層(図中矢印F)が流動層空間13内に形成される。なお、図6では、バッグフィルタ15aからバッグフィルタ15bに向かって流動層が形成されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
これ以降に供給された液体原料は、ほぼ全てが顆粒66の表面に付着して展延し、さらに析出して乾燥される。すなわち、流動層が形成後はレイヤーリング造粒が進展する。そのため、このレイヤーリング造粒の期間を調節することで、顆粒66の球形化と重量の増加とを制御することが可能となり、図6の右図に示すように、最終的に、適度な平均粒径を有する顆粒66、すなわち薬物含有複合粒子70が得られる。
【0056】
なお、粉体処理装置11は、上記ケーシング12の内部、すなわち、上記流動層空間13の雰囲気を、液体原料やナノ粒子60の種類等に応じて適宜変更することができるものであってもよい。例えば、エアー供給部から、不活性ガスや加熱ガス等の各種のガスをケーシング12の内部に流入させてもよい。
【0057】
このように、流動層乾燥造粒法では、流動しているナノ粒子60および薬物粉末71に対して、さらに上記ナノ粒子60および薬物粉末71を含む、ナノ粒子−薬物分散液44を噴霧しながら乾燥することにより、薬物含有複合粒子70を製造する。それゆえ、表面改質された薬物粉末71としての薬物含有複合粒子70を効率的かつ高品位に製造できる。
【0058】
上記流動層乾燥造粒法で用いられる上記薬物粉末71の平均粒径は、0.01μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。これによって、本発明にかかる薬物含有複合粒子70を効率的かつ確実に製造することができる。
【0059】
次に、乾式機械的粒子複合化法では、具体的には、図1および図7に示すような粉体処理装置21を用いる。
【0060】
上記粉体処理装置21は、図1に示すように、大略的に、略円筒形状の閉空間を形成するケーシング22、該ケーシング22の内部に設けられた同じく有底略円筒形状の筒状回転体23、該筒状回転体23の内周面に対して押圧力および剪断力を発生させて被処理物を処理すべく上記筒状回転体23の内部に配設したプレスヘッド24とからなる。
【0061】
上記筒状回転体23を回転させることで、該筒状回転体23の内周面に形成した受け面25と上記プレスヘッド24とを相対回転させ、図7にも示すように、上記受け面25と上記プレスヘッド24との間に間隙として形成されている押圧部26に存在する被処理物27に押圧力および剪断力を付与して複合化処理を行うものである。
【0062】
図1に示すように、上記ケーシング22の内部には、略円筒形状であって鉛直方向の回転軸心Xの回りに回転自在な筒状回転体23を備えている。該筒状回転体23は、回転軸部32と該回転軸部32に連接した底部34、及び該底部34に連接した円筒壁部35とにより構成されている。
【0063】
本実施の形態に用いられる上記粉体処理装置21においては、上記押圧部26に対して被処理物27を積極的に循環させるための被処理物排除手段として、筒状回転体23の底部34付近における複数箇所に、筒状回転体23の円筒壁部35を貫通するスリット28が形成されている。このスリット28は、上記押圧部26に保持された被処理物27の一部を、筒状回転体23が駆動回転されている最中に処理空間29の外部に排除するものであり、後述するように、全ての被処理物27が上記押圧部26に対して順次循環供給される。
【0064】
粉体処理装置21を構成するケーシング22は、支持部材(図示せず)によって支持され、基台(図示せず)に載置固定されている。該ケーシング22の内部には、被処理物27を処理するための密閉された処理空間29が形成される。当該ケーシング22は被処理物投入口30を有している。上記ケーシング22本体の底部周縁の一部には、処理が終了した被処理物27を取り出すための被処理物取出口31を設けている。上記構成により、被処理物27を連続処理することが可能となる。
【0065】
上記回転軸部32は、軸受(図示せず)を介して回転自在に基台(図示せず)に取り付けられている。そして、この基台に取り付けられたモータおよび該モータに連結された駆動ベルト(図示せず)によって、上記回転軸部32のプーリー(図示せず)に駆動力が伝達され、上記筒状回転体23が回転駆動される。筒状回転体23を回転駆動することで被処理物27には遠心力が作用し、被処理物27は筒状回転体23の受け面25に押し付けられることとなる。
【0066】
上記筒状回転体23の底部34は、上記回転軸部22と筒状回転体23の円筒壁部35とを連結する機能、および、上記被処理物27を保持する保持手段としての機能を有する。すなわち、該底部34は、後述する円筒壁部35との関係において互いの面が折れ曲がった関係にあり、筒状回転体23が回転する際に、被処理物27が十分に処理されずに押圧部26から下方に逃げてしまうのを防止する。
【0067】
上記円筒壁部35の内周面は、遠心力を受けて外向きに移動しようとする被処理物27の受け面25となる。すなわち、被処理物27を上記押圧部26に留めておき、上記受け面25と上記プレスヘッド24との協働によって被処理物27に押圧力および剪断力を付与して粉体処理を行う。
【0068】
この円筒壁部35の底部付近には、図1に示すようにスリット28が複数形成されている。このスリット28は、上記受け面25、つまりは上記円筒壁部35を貫通しており、円筒壁部35の回転軸心Xを挟んで対称の位置に、例えば合計二箇所設けてある。上記スリット28は、上記押圧部26に保持された被処理物27の一部を押圧部26の外部に排出するためのものであり、被処理物27を排出する手段として機能する。スリット28は、例えば受け面25の下方側に保持された被処理物27ほど多く排出するように下方側の開口面積の比率が上方側に対して大きくなるように形成してある。
【0069】
本実施の形態では、例えば、上記スリット28を断面が半円形状のとい状に形成する。被処理物27は、遠心力によって上記受け面25に押し付けられつつ、同時に重力の影響を受ける。このため、図1に示す円筒壁部35の場合、被処理物27は鉛直方向下方へ移動して上記受け面25と上記底部34との境界近傍に堆積しがちとなる。この部分に堆積する被処理物27は、筒状回転体23の回転負荷を増大させると共に、上記押圧部26への被処理物27の循環を阻害する。それゆえ、当該部分に堆積した被処理物27を、スリット28を介して積極的に排出することで上記不都合を解消し、粉体処理の効率を向上させる。
【0070】
上記構成によれば、上記押圧部26に存在する被処理物27のほとんどがスリット28を介して押圧部26の外に排出される。それゆえ、被処理物27は一定時間、押圧部26に保持されて押圧力および剪断力を付加され粉体処理が確実に行われる。
【0071】
上記筒状回転体23の内部には、上記受け面25に所定の間隔を有して配置するプレスヘッド24が設けられている。該プレスヘッド24は、上記受け面25と協働して被処理物27に押圧力および剪断力を付与する。そのため、プレスヘッド24の水平断面形状は、図7に示すように、例えば半円形状に構成してある。上記構成によって、該プレスヘッド24と上記受け面25との間に侵入しようとする被処理物27を圧密し、粉体粒子の複合化や球状化処理に有利な効果が得られる。
【0072】
また、プレスヘッド24の水平断面形状を半円形状とする場合には、その曲率を受け面25の曲率よりも大きくする。これにより、筒状回転体23の受け面25に固定された被処理物27は、筒状回転体23の回転により押圧部26を通過する際に、強力な圧縮力・剪断力を受ける。ここで、複数種類の混合物を被処理物27として用いると、強力な圧縮力、剪断力を受けることにより、粒子の複合化、粒子表面の改質、粒子形状のコントロール、粒子レベルの微細精密分散混合(粉体融合)等が生じることとなり粒子特性を制御することが可能となる。
【0073】
また、上記プレスヘッド24はケーシング22と同様に固定した構成としてもよいし、何らかの駆動手段を用いて回転駆動し、上記受け面25に対して積極的に相対回転させる構成にしてもよい。すなわち、プレスヘッド24の回転方向あるいは回転速度を適宜設定することで、当該プレスヘッド24と上記受け面25との相対回転速度をより細かく設定できて、被処理物27に応じた最適な処理条件を設定することが可能となる。なお、上記プレスヘッド24の温度を制御する構成としてもよい、例えば図示は省略するが、プレスヘッド24の内部に熱媒体通路を確保しておけば、被処理物27の熱特性に応じて最適な処理条件を設定することが容易となる。
【0074】
上記ケーシング22の外周下方部には循環用ブレード36が設けられている。該循環用ブレード36は、筒状回転体23の周方向に沿って複数枚設けるが、その枚数は任意である。当該循環用ブレード36は、スリット28から筒状回転体23の外方に排出された被処理物27を再び上記押圧部26に循環させるためのものである。この循環用ブレード36は、上記被処理物27を円筒壁部35の外周面に沿って上昇させ、円筒壁部35の上端を超えて筒状回転体23の処理空間29に還流させ上記押圧部26に戻すように円滑かつ確実に搬送するために、上記ケーシング22の内面形状に適合させて形成してある。
【0075】
上記構成の粉体処理装置21を用いて被処理物27を処理することにより、被処理物27が遠心力によって筒状回転体23の受け面25に押し付けられ、集合作用を受けて、受け面25において圧密状態の被処理物27の層が生成する。その一方で、当該圧密された被処理物27の一部は、スリット28を介して筒状回転体23の外側に排出されるし、筒状回転体23の内部に存在する被処理物27は、上記プレスヘッド24によってある程度の攪拌作用を受ける。それゆえ、被処理物27の複合化処理を速やかに進行させることができる。
【0076】
上述したように、粉体処理装置21によれば、被処理物27はケーシング22の被処理物投入口30よりその処理空間29に投入され、筒状回転体23とプレスヘッド24とにより強力な圧縮力・剪断力を受けることにより複合化処理される。また、筒状回転体23の壁面にはスリット28が形成されているため、上記混合物は筒状回転体23のスリット28を通して筒状回転体23の処理空間29の外側に送られる。そして、この外側に送られた被処理物27は、図1に示すように、循環用ブレード36により筒状回転体23の上部に搬送されて、再び筒状回転体23の内側に戻されて再度圧縮力・剪断力を受けることとなる。このように、被処理物27は、筒状回転体23とプレスヘッド24とにより繰り返し強力な圧縮力・剪断力を受けることにより、効果的に複合化処理がなされる。
【0077】
なお、粉体処理装置21は、上記ケーシング22の内部、すなわち、上記処理空間29の雰囲気を、被処理物27の種類等に応じて適宜変更することができるものであってもよい。例えば、不活性ガスや加熱ガス等の各種のガスを上記被処理物投入口30からケーシング22の内部に投入したり、加圧・真空ポンプ等を用いてケーシング22の内部を加減圧したりする構成としてもよい。この場合には、例えば、ケーシング22と筒状回転体23の回転軸部32との間に、図示しないシール部材を設けることにより、処理空間29の内部の雰囲気を確実に調整することができる。
【0078】
上記ケーシング22の周囲には、主に上記処理空間29の温度を調節するためのジャケット33を設けている。当該ジャケット33へは、別に設けたタンク(図示せず)からの加熱媒体または冷却媒体が必要に応じて循環供給される。これにより、上記ケーシング22の内部温度を調節することができる。例えば、被処理物7として、温度変化によって変質するおそれのある薬物を処理する場合においては、ジャケット33に加熱媒体または冷却媒体を循環供給することにより、処理中の被処理物27の温度を所望の温度として薬物の変質を防止することができる。
【0079】
上記乾式機械的粒子複合化法では、被処理物27として、上記ナノ粒子−薬物分散液44を乾燥させて得られる粒子混合物を用い、この被処理物27に対して、圧縮力および剪断力を加えることにより、薬物粒子71の表面に複数のナノ粒子60を付着させる。それゆえ、この方法を用いても、薬物含有複合粒子70を効率的かつ高品位に製造できる。
【0080】
上記乾式機械的粒子複合化法で用いられる上記薬物粉末71の平均粒径も、流動層乾燥造粒法と同様、0.01μm以上500μm以下の範囲内であればよい。これによって、本発明にかかる薬物含有複合粒子70を効率的かつ確実に製造することができる。
【0081】
ここで、本発明にかかる製造方法では、さらに、上記表面改質された薬物粉末を凝集させて二次造粒したものを、薬物含有複合粒子としてもよい。すなわち、本発明では、表面改質された薬物粉末を二次造粒する二次造粒工程が含まれていても良い。
【0082】
二次造粒の構成としては、特に限定されるものではなく、結合剤を介して薬物粉末を凝集させてなる結合剤凝集型の薬物粉末凝集体(薬物含有複合粒子)であってもよいし、キャリア粒子を介して薬物粉末を凝集させてなるキャリア型の薬物粉末凝集体(薬物含有複合粒子)であってもよい。
【0083】
上記二次造粒工程では、本発明では、上記複合化工程と同様、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法を用いることが非常に好ましい。これによって、表面改質した薬物粉末の構造を損なうことなく凝集させて、二次造粒された薬物含有複合粒子を得ることができる。なお、流動層乾燥造粒法では、結合剤凝集型の薬物粉末凝集体が得られ、乾式機械的粒子複合化法では、キャリア型の薬物粉末凝集体が得られる。
【0084】
上記二次造粒工程で得られた薬物粉末凝集体(薬物含有複合粒子)は、ナノ粒子を含む一次粒子である、表面改質された薬物粉末同士を、分散および集合が可能なように複合化させている。そのため、例えば経肺製剤に利用する場合、上記薬物粉末凝集体を吸入器に仕込んでから、口腔内に上記薬物粉末凝集体を噴射させると、噴射時に薬物粉末凝集体が良好に崩壊することにより、表面改質された薬物粉末が分散して、口腔内から肺へと吸入される。これにより、上記薬物含有複合粒子を吸入製剤として好適に用いることができる。
【0085】
なお、上記キャリア粒子として用いられる材質は、具体的には、多糖類としては、例えば、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類や、コムギでんぷん、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン等のデンプン類等が挙げられる。また、親水性高分子としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のポリマーが挙げられる。中でも、多糖類粉末としては、微結晶セルロースや、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等が好ましく、親水性高分子粉末としては、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
【0086】
このように、本発明の代表的な用途としては、医薬品の製造用途、特に、抗喘息薬や抗アレルギー剤を高分散型粉末吸入製剤(経肺製剤)の製造を非常に好ましく挙げることができるが、もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の医薬品・医療品の製造開発に良好に利用することができることはいうまでもない。
【0087】
例えば、前述した経肺製剤以外に、インスリン等の糖尿病治療薬を複合粒子化することで、注射薬に代わる経口または経肺投与型のDDS製剤の開発にも利用できる。また、粘着付着性のナノ粒子を用いることで、骨粗鬆症治療薬カルシトニン等を経口・経肺投与型のDDS製剤の開発にも利用できる。
【0088】
さらに、DDSとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の親水性高分子を用いることで、水系腸溶性コーティング基剤の開発にも利用できるし、直接打錠用生体内分解性長期情報型埋込用(インプラント)基剤や、その他ペプチド性薬物等の難吸収性経口投与薬物の吸収改善等にも用いることができる。
【0089】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
〔実施例1〕
濡れ性、流動性、分散性等がよくない抗喘息薬(平均粒径3μm)のプランルカスト水和物35gと、予め流動層乾燥造粒法の粉体処理装置(図6参照、ホソカワミクロン製アグロマスタAGM−2SD)で乾燥させた高分子ナノスフェアHP−55(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、平均粒径52nm)3.5gとを、乾式機械的粒子複合化法の粉体処理装置(図1および7参照、ホソカワミクロン製AM−MINI(メカノフュージョン・ミニ)、処理容量100ml/バッチ、ケーシング内径φ=80mm、冷水ジャケット付、ローター回転数最大3500rpm)に仕込み、ローター回転数1500rpmで15分間処理した。なお、水冷ジャケットに水を流通させ、粉体温度は30℃以下に抑えた。水冷しないと、時間とともに粉体温度が上昇し、80℃を超えたあたりで融着現象が生ずるためである。
【0091】
得られた薬物含有複合粒子を、(株)ユニシアジェックス製の吸入器に充填供給して噴射した後、空気中の分散状態を確認した。また、得られた薬物含有複合粒子を水に分散させて濡れ性も確認した。充填供給は簡便であり、空気中の分散状態も濡れ性も良好であった。
【0092】
〔実施例2〕
実施例1において、ナノ粒子としてコロイダルシリカを3.5g用いるとともに、ローター回転数2250rpmとした以外は実施例1と同様にして処理した。得られた薬物含有複合粒子を、吸入器に充填供給して噴射した後、空気中の分散状態を確認した。また、得られた薬物含有複合粒子を水に分散させて濡れ性も確認した。充填供給は簡便であり、空気中の分散状態も濡れ性も良好であった。
【0093】
このように、本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法を用いれば、プランルカスト水和物の表面が良好に改質され、分散性や濡れ性が大きく改善された。
【0094】
〔実施例3〕
HP−55(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)のエタノール/水=8/2溶液を水中に撹拌下滴下して高分子ナノスフェアを形成させ、直ちに系内に平均粒径2μmのプランルカスト水和物(抗喘息薬、疎水性)を添加して、ナノ粒子−薬物分散液を調整した。このナノ粒子−薬物分散液を、流動層乾燥造粒法の粉体処理装置AGM−2SDで処理し、表面をHP−55で改質した薬物含有複合粒子を得た。
【0095】
得られた薬物含有複合粒子を、吸入器に充填供給して噴射した後、空気中の分散状態を確認した。また、得られた薬物含有複合粒子を水に分散させて濡れ性も確認した。充填供給は簡便であり、空気中の分散状態も濡れ性も良好であった。
【0096】
〔実施例4〕
実施例3において、予め、流動層乾燥造粒法の粉体処理装置AGM−2SD内にキャリア粒子(例えば、平均粒子径で30〜50μm)を仕込み、このキャリア粒子の表面上に、上記ナノ粒子−薬物分散液を噴霧供給することで、薬物含有複合粒子を得た。得られた薬物含有複合粒子は、キャリア粒子の表面に凝集し、かつ表面改質された薬物粉末となった。
【0097】
得られた薬物含有複合粒子を、吸入器に充填供給して噴射した後、空気中の分散状態を確認した。また、得られた薬物含有複合粒子を水に分散させて濡れ性も確認した。充填供給は簡便であり、空気中の分散状態も濡れ性も良好であった。これにより、上記薬物含有複合粒子を吸入製剤として用いることが可能となる。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる薬物含有複合粒子の製造方法は、平均粒径が1000nm未満のナノ粒子と該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを含む混合物を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法により複合化させることで、薬物粉末の表面を改質する方法である。
【0099】
上記方法においては、上記ナノ粒子として、滑沢剤粉末を用いることが好ましい。上記滑沢剤としては、コロイド状の無機化合物粉末、または界面活性剤粉末が用いられてもよいし、上記滑沢剤として、球形晶析法により得られる高分子ナノ粒子を用いてもよい。さらに、上記薬物粉末の平均粒径が、0.01μm以上500μm以下の範囲内であると好ましい。
【0100】
上記方法によれば、ナノ粒子および薬物粉末を、流動層乾燥造粒法または乾式機械的粒子複合化法を用いて複合化させている。そのため、ナノ粒子を薬物粉末の表面改質剤として有効に用いることが可能になり、薬物粉末の表面の良好に改質できるとともに、表面の改質レベルを良好に制御することができるという効果を奏する。
【0101】
また、流動層乾燥造粒法や乾式機械的粒子複合化法は複合化の大量処理に適した方法であるため、表面改質した薬物粉末の生産性をより一層向上させることができるという効果も奏する。
【0102】
このように、本発明では、例えば、環境にやさしい機械的プロセスで、高齢化社会に対応した次世代DDS開発に応用することができる。それゆえ、ナノテクノロジーに基づく医薬品・医療品への応用技術を確立することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法に用いられる、粉体処理装置の一構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造過程の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の利用の一形態である経肺製剤の使用例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法に用いられる球形晶析法の一例を説明する模式図であり、具体的にはエマルジョン溶媒拡散法の造粒過程を示す。
【図5】本発明の実施の一形態にかかる薬物含有複合粒子の製造方法の複合化工程の前段で実施される分散液の調製の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の一形態にかかる複合粒子の製造方法に用いられる、粉体処理装置の他の構成例および複合化の例を示す模式図である。
【図7】図1に示す粉体処理装置により被処理物に圧縮力および剪断力を与える際の動作を説明する断面図である。
【符号の説明】
60 ナノ粒子(滑沢剤粉末・高分子ナノ粒子)
70 薬物含有複合粒子
71 薬物粉末

Claims (9)

  1. 球形晶析法により平均粒径が1000nm未満のナノ粒子を形成した後、該ナノ粒子と該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを含む混合分散液を作製し、該混合分散液を用いて流動層乾燥造粒法により前記ナノ粒子と前記薬物粉末とを複合化することで、前記薬物粉末の表面を改質することを特徴とする、薬物含有複合粒子の製造方法。
  2. 球形晶析法により平均粒径が1000nm未満のナノ粒子を形成した後、該ナノ粒子と該ナノ粒子よりも平均粒径の大きい薬物粉末とを含む混合分散液を作製し、該混合分散液を乾燥粉末にし、該乾燥粉末を、乾式機械的粒子複合化法により複合化することで、前記薬物粉末の表面を改質することを特徴とする、薬物含有複合粒子の製造方法。
  3. 前記球形晶析法に、エマルジョン溶媒拡散法を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  4. 前記ナノ粒子を、滑沢剤として用いることを特徴とする、請求項1ないし3の何れか1項に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  5. 前記ナノ粒子として、高分子ナノ粒子を用いることを特徴とする、請求項1ないし4の何れか1項に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  6. 前記高分子ナノ粒子が、乳酸・グリコール酸共重合体またはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートからなることを特徴とする、請求項5に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  7. 前記高分子ナノ粒子内に薬物が含まれていることを特徴とする、請求項5または6に記載の薬物含有複合粒子の製造方法
  8. 前記薬物粉末の平均粒径は、0.01μm以上500μm以下の範囲内であることを特徴とする、請求項1ないし7の何れか1項に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
  9. 粉末状の薬物を肺に送達して肺から薬物を吸収させる経肺製剤に用いられることを特徴とする、請求項1ないし8の何れか1項に記載の薬物含有複合粒子の製造方法。
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