JP4142203B2 - 高電圧絶縁ステータ巻線 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機械の分野に関連する。本発明は、少なくとも1つのステータ巻線バーを有する高電圧絶縁ステータ巻線に関連し、このステータ巻線バーは、重ねて配置された複数の絶縁層を備えた巻線絶縁材によって囲まれ、各絶縁層がベース上に配置された、詳細にはマイカぺーパ(雲母紙)の形態の、絶縁材料で構成されている高電圧絶縁ステータ巻線に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイカペーパのベースとして、繊維または不織布が用いられているこのようなステータ巻線は、先行技術において一般に知られている。
【0003】
発電に用いられるような高電圧発生器または高電圧モータでは、ステータ巻線は、通常、積層されたステータコアの対応するスロットに挿入され且つそこに固定された巻線バーを備えている。積層ステータコアから絶縁するために、ステータ巻線は、高電圧に耐えられる巻線絶縁材によって囲まれており、何層かの巻線絶縁材がストリップとして巻線バーのまわりに巻き付けられ、引き続いて、(溶剤を含まない)含浸樹脂を含浸させられている。絶縁巻線ストリップは、実質的には、マイカペーパからなり、機械的な理由により、ベースにつけられ、このベースに連結されている。絶縁材料(ガラスまたはプラスチック繊維)からなる繊維または不織布が、通常、べース材料として使用される。この場合、ベースは、引き続く含浸のために必要な中間空間を提供する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
巻線絶縁材用の材料の耐電圧性に関するますます厳しい要求は、絶縁材の厚さおよび巻かれた層の数の増大させている。しかしながら、厚さが増加するにつれて、同時に巻線と積層ステータコアとの間の熱伝達が悪化し、熱損失の散逸の問題が生じる。さらに、どのようなステータジオメトリに対しても、巻線を、より小さな導体断面に設計しなければならず、この結果、発生するパワーが減少する。
【0005】
したがって、本発明の1つの目的は、機械の利用度を改善するために、新規な巻線絶縁材を提供することであり、同時に、この改良された巻線絶縁材は、改良された誘電利用度(耐電圧性)および改良された熱利用度(耐熱性)を特徴としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述したタイプのステータ巻線の場合には、コロナ放電に耐えることができるフィラーを導入することによって改良した(高品質)耐熱プラスチックフィルムをベースとして使用することによって、上記目的が達成される。デュポン社が、例えば商品名「カプトン CR(KAPTON CR)」として市販し、電線の絶縁用にベース材料として既に使用されている改良プラスチックフィルムを使用することによって、同じ誘電抵抗の場合には巻線絶縁材の厚さを減少させることができ、同じ厚さの場合には、誘電抵抗を増大させることができ。絶縁材の構造は、同時に、フィルム状ベースによって均質化される。このようなフィルムを使用することにより、3kv/mmより大きな動作電界強さを可能とし、且つ、クラスFより良い熱的機械利用度(thermal machine utilization)を達成できる。
【0007】
本発明の第1の好ましい実施形態は、ポリイミドまたはポリエチレンナフタレート(PEN:poly-ethylene-naphthalate)から構成されたフィルムをベースとして使用し、かつ、金属酸化物、特に、酸化アルミニウムまたは窒化硼素をフィラーとして使用することを特徴としている。フィルムの材料を特別に選択することにより、ベースが機械的及び電気的要求に確実に応じることができるようになる。フィラーが、コロナ放電およびグロー放電の劣化作用に対する抵抗性をベースに付与する。
【0008】
もし、本発明の第2の好ましい実施形態によって、ベースを3つの層から構成し、フィラーを含まないコア層をフィラーを含むカバー層の間に配置し、且つ、ベースの3つの層の各々の厚さをベースの厚さの約3分の1にすれば、機械特性および電気特性の特別に有利な組み合わせが得られる。充填されていないコア層が、主に機械的強度を保証する一方、充填されたカバー層がベースの表面をコロナ放電から保護する。
【0009】
実施により証明されている、本発明によるステータ巻線の別の好ましい実施態様は、巻線絶縁体が含浸樹脂で含浸させられており、含浸を容易にするためチャンネル即ち流路が絶縁層の間に配置され、このチャンネルを形成するために、繊維、特にガラス繊維で形成された中間層が絶縁層の間に配置され、絶縁層と中間層の厚さの比率が5:1であり、更に、中間層の各々の間に複数の絶縁層が、中間層の数に対する絶縁層の数の全体比率が5:1であるように配置されていることを特徴としている。このような構成により、巻線絶縁体の電気特性および温度特性を不必要に悪化させることなく、適切な含浸が可能となる。
【0010】
別の実施形態が従属項に由来する。
【0011】
添付図面に関連して考慮すると、以下の詳細な説明を参照することによって、本発明及びこれに伴う利点の多くの更に完全な認識がより良く理解できるようになり、本発明及びこれに伴う利点の多くを更に完全に認識できるであろう。
【0012】
【発明の実施の形態】
各図面においては、同じ参照番号は、同一または対応する部材を指しており、図1は、ステータ巻線バーの設計の一例の断面を示し、本発明は、このようなステータ巻線バーを前提としている。ステータ巻線バー10は、ほぼ矩形の断面を有しており、近接して束ねられた複数の(例えば、銅で構成された)導体要素11を備えており、これらは導体要素絶縁材12でそれぞれ包まれ、全体として、外側が巻線絶縁材13によって包まれたパケットを形成している。先行技術では、巻線絶縁体13は、図2に拡大して詳細に示すような構造を有している。従って、巻線絶縁体13は、多数の絶縁層21を備え、これら絶縁層は、積層して巻き付けられている。各絶縁層12は、マイカペーパ14と、もう一つの層すなわちベース15を備え、このベースは、マイカペーパ14の大部分の領域に連結され、絶縁層21に必要な機械的強度を付与している。ベース15は、先行技術では、一般的には、比較的厚い繊維または不織布からなり、その結果、誘電的に有効なマイカペーパ14のパッケージング密度が減少させられていた。
【0013】
本発明は、図3に示されるように、異なったアプローチを採用しており、すなわち、絶縁層22で、ペーパマイカペーパ14用のベース16として、比較的薄い改良プラスチックフィルムを使用し、このプラスチックフィルムは、ポリイミドまたはポリエチレンナフタレート(PEN:poly-ethylene-naphthalate)からなり且つフィラー(充填剤)として金属酸化物、特に、酸化アルミニウムまたは窒化硼素を含む熱的に高品質のプラスチックフィルムペーパであるのが好ましい。フィラーは、プラスチックフィルムがコロナ放電およびグロー放電に耐えることができること保証する。適当な改良プラスチックフィルムとしては、例えば、市販されている、デュポン社の商品名「カプトン(KAPTON)CR」がある。
【0014】
原則的には、フィラーは、フィルム内で均一に分散させられているのがよい。しかしながら、フィラーはフィルムの機械的特性を悪化させ、そして、主にフィルムの表面に近い領域に必要であるので、図4に示されるように、各ベース16が3層で構成されるときには、フィラーを含まないコア層19を、フィラーを含む2つのカバー層18,20の間に配置するのが特に有利である。ベース16の3つの層18,19,20の各々の厚さは、ベース16の厚さの約3分の1である。ベース16のようなフィルムは、特に、絶縁材構造によって、図2に示されている公知の繊維構造と比較して絶縁材の長期誘電抵抗を数倍、増大させる。
【0015】
マイカペーパ14とフィルムベース16だけから形成される絶縁材構造体の欠点は、特に、高電圧発生器では一般的である厚さが比較的厚いときには、繊維のベース15と比べ、フィルムベース16が、含浸樹脂が絶縁体構造に浸透するのを困難にするので、絶縁構造全体を含浸させるのが難しいことがある。したがって、図3に示されているように、もし、含浸を簡単にするために、細かいチャンネル(流路)が絶縁層22の間に設けられ、このチャンネルが絶縁層22の間に配置され且つ細い繊維、詳細にはガラス繊維で構成された中間層17によって形成されていれば有利である。絶縁層22と中間層17との厚さの比率は、この場合、約5:1であるのが好ましい。巻線絶縁体13を確実に含浸するためには、この場合、複数の絶縁層22を中間層の各々の間に、中間層17の数に対する絶縁層の数の比率が5:1であるように配置するのが十分である。中間層17は、含浸を促進するだけでなく、さらに、最終的な絶縁構造体の機械的な補強も行う。
【0016】
変形例として、巻線絶縁体13の厚さが薄ければ、中間層17を完全に省いてもよい。
【0017】
全体として、本発明は、誘電特性および温度特性が大幅に改善された巻線絶縁体を有するステータ巻線を提供する。
【0018】
上記開示から、本発明の多くの改良、変更が可能であることは明らかである。従って、添付の特許請求の範囲内において、本明細書で詳細に説明した方法とは異なった方法で本発明を実施できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が基礎としているようなステータ巻線バーの設計の一例の断面図である。
【図2】 繊維状ベース上に配置したマイカペーパを使用する、先行技術による巻線絶縁材の詳細を示す拡大図である。
【図3】 本発明の好ましい実施形態であり、繊維状中間層を備えた改良されたプラスチックフィルムでできたベース上に設けられたマイカぺーパを備えた巻線絶縁材の詳細を示す拡大図である。
【図4】本発明のもう一つの実施形態による絶縁テープ組み合わせの内部3層構造の詳細を示す、図3より拡大した図面である。
【符号の説明】
10:ステータ巻線バー
11:導体要素
12:導体要素絶縁材
13:巻線絶縁材
14:マイカペーパ
15:ベース(例えば、繊維)
16:ベース(改良プラスチックフィルム)
17:中間層
18、20:カバー層
19:コア層
21:絶縁層(先行技術)
22:絶縁層(本発明)
Claims (9)
- 少なくとも一つの巻線バー(10)を有する電気機械用高電圧絶縁ステータ巻線であって、前記ステータ巻線バー(10)は、互いに重ねて配置された複数の絶縁層(22)を備えた巻線絶縁材(13)によって囲まれ、各絶縁層(22)はベース(16)上に配置された、特にマイカペーパ(14)の形態の絶縁材料を備え、前記ベース(16)として耐熱プラスチックフィルムが使用され、該プラスチックフィルムがコロナ放電に耐えることができるフィラーを導入することよって改良されており、
前記ベース(16)が3層からなり、フィラーを含まないコア層(19)が、フィラーを含むカバー層(18、20)の間に配置され、前記ベース(16)の3つの層(18、19、20)の各々の厚さが、前記ベース(16)の厚さの約3分の1であり、
前記ベース(16)として使用されているプラスチックフィルムが、ポリエチレンナフタレート( PEN : poly-ethylene-naphthalate )から構成されている高電圧絶縁ステータ巻線。 - 前記フィラーとして、金属酸化物、特に酸化アルミニウムが使用されている請求項1に記載のステータ巻線。
- 前記フィラーとして、窒化硼素が使用されている請求項1に記載のステータ巻線。
- 前記絶縁層(22)内の前記ベース(16)に対する前記絶縁材料(14)の厚さの比率が約2:1である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のステータ巻線。
- 前記巻線絶縁材(13)が、含浸樹脂で含浸されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のステータ巻線。
- 前記含浸を簡単にするために、前記絶縁層(22)の間にチャンネルが配置されている請求項5に記載のステータ巻線。
- 前記チャンネルを形成するために、繊維、特にガラス繊維で構成された中間層が、前記絶縁層(22)の間に配置されている請求項6に記載のステータ巻線。
- 絶縁層(22)と中間層(17)の厚さの比率が約5:1である請求項7に記載のステータ巻線。
- 複数の絶縁層(22)が、前記中間層(17)の各々の間に、中間層(17)の数に対する絶縁層(22)の数の全体比率が5:1であるように、配置されている請求項7または8に記載のステータ巻線。
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